ポンプ、流体機器について

ポンプ、流体機器について
株式会社相互ポンプ製作所
1.ポンプ
1-1A.ポンプの種類(ターボ形)
羽根車を回転し、遠心力やスクリューの推力で送水する構造
遠心式
軸流式
斜流式
1-1B.ポンプの種類(容積形)
一定量をポンプに吸い込んで、吸い込んだ液体を押し出す構造
1-2.うず巻きポンプ
*空調設備の冷水・温水・冷温水ポンプ等
に使用されており、一般的なポンプ。
*軸封部はグランドパッキンが一般的である
が、漏れを嫌う場合や、圧力が高い場合
はメカニカルシールを使用。
*弊社の特徴としては、高背圧(2.0MPa)
ポンプを製作可能。
1-3.立型うず巻きポンプ
*横型うず巻きポンプを立型にして
省スペース化を図った構造。
同一性能の横型ポンプに比べて設置
スペースは約40~50%。
*電動機主軸を特殊加工し直接羽根車を
つけている。 よって芯だし不要。
*吸込・吐出の方向は90度振りで自由に
決めることが可能。
*立型うず巻きポンプを製作しているのは
弊社のみ。
1-4.多段タービンポンプ(多段ボリュートポンプ)
*うず巻きポンプで全揚程が不足する場合、
多段タービンポンプを使用。
*1段目の羽根車を出た水が2段目に入り、
3段目、最終段を経て吐出される。
*主に揚水・給水・ボイラー給水・消火等の
用途で使用。
*弊社では、吸込方向が左右どちらでも製作
可能。
1-5.ラインポンプ
*うず巻きポンプの一種で、配管の途中
に取り付ける比較的小容量のポンプ
*配管に取り付けたまま、メンテナンスが
できる。
*主に温水循環・給湯循環用として使用。
1-6.水中ポンプ
ガイドパイプ
*据え付け方法は、定置型と着脱型がある。
*用途としては、清水用・汚水用・雑用水用・
汚物用があり、それぞれ構造が異なる。
*羽根車の形状により、クローズド型・ノンク
ロッグ型・ボルテックス型等があるが、
形状はメーカにより大きく異なる。
*清水はクローズド型、それ以外はノンク
ロッグ型・ボルテックス型が使用される。
(図はボルテックス型[弊社ではセントルク
型])
羽根車前面とケーシング底面とのスキマを
広げると異物は詰まりにくいが、ポンプ効率
は悪くなる。
1-6A.水中ポンプ(汚物や雑排水)選定時の注意
*並列運転がある場合、2台分の水量で
全揚程を決定する必要がある。
*この時、単独で運転すると、ポンプの運転点
はH2となるため、軸動力はP2となる。
(水量はQ2)
*ポンプの選定時は仕様水量で形式を決定
するが、実際の性能曲線を取り寄せ、Q2で
軸動力オーバーしないか確認する必要があ
る。
1-7.立軸ポンプ
*電動機と玉軸受部が陸上にあるため
安心感がある。
また、メンテナンスも有利である。
陸上
*水中部の構造は非常にシンプルで
高寿命。
*最近では長軸の芯合わせが困難になっ
てきており、製作しているメーカが非常に
少なくなってきている。
水中
1-8.ポンプの性能曲線(Q-H曲線)
客先仕様
全揚程
=(吐出圧力-吸込圧力
)/0.00981
+測点高差
ポンプ効率
=
全揚程 (吐出し量/1000) 0.163
軸動力
1-9.ポンプの省エネ1
量産のポンプメーカーの場合、各
型式(黒枠で囲まれた範囲)は同
じ性能。
例えば、50m×0.5m3/minのポ
ンプが必要な場合、実際は62m
の全揚程がでることになる。
弊社では受注生産なので、イン
ペラーカットを実施し、上記仕様
にできるだけ近い性能となるよう
に製作する。(上記の場合50~
52m)
例えば、62mを52mにインペ
ラーカットを実施した場合、約1
6%の省エネとなる。
1-10.ポンプの省エネ2
1.高効率型の電動機に交換する。
→電動機効率が1~3%改善されるため、ポンプの運転
時間、消費動力によっては大きな省エネとなる。
例 30kWで4000時間/年 電動機効率91.7%→93.6% 15円/kWh
(30/0.917-30/0.936)×4000×15=39,846円の省エネ
2.回転数を変更する。
→インバータ制御、最近ではIPM電動機+専用コントローラで更なる
省エネ
3.オープン羽根車のスキマを変更する。
→リニヤポンプの開放スキマ羽根制御。
2.リニヤポンプ
2-1.クローズド羽根車 -通常のうず巻きポンプの羽根車-
前面にフタがあるため、ブレードの全体は見ることはできない。
ブレード
ブレード
2-2.オープン羽根車 -リニヤポンプの羽根車-
前面のフタと羽根車を分離し、前面がオープンな状態なのでブレードの全体を見るこ
とがでる。分離したフタ部の名称は「羽根プレート」 。
ブレード
2-3.リニヤポンプのスキマ制御1
オープン羽根車と羽根プレートのスキマを調整し、圧力制御を行っている。
スキマ大で圧力低下(動力も低下)、スキマ小で圧力上昇(動力も上昇)
2-4.リニヤポンプのスキマ制御2
スキマが最小の場合は通常のクローズド羽根車とほぼ同じ構造となるため、ポンプ性
能としては最大となる。
スキマが開いてくるとポンプ性能は少しずつ下がり、それに伴い軸動力も下がる。
スキマが開ききった状態がポンプの最小性能となる。(スキマは約0.2mm~30mm)
2-5.圧力制御のしくみ1
羽根車と主軸は回転する。
羽根プレートから左側は
軸方向にのみ動作
2-6.圧力制御のしくみ2
例えば、左記のa点で運転していたとします。(単段型リニヤポンプの場合)
水量がQ1からQ2に減少した場合
水量がQ1からQ3に増加した場合
ポンプ性能1にそって運転点がbに移
動するため吐出圧力上昇
ポンプ性能1にそって運転点がdに移
動するため吐出圧力低下
パイロット弁の増幅効果でバランス
室圧力が急上昇
パイロット弁の増幅効果でバランス
室圧力が急低下
羽根プレートが左側に移動しスキマS
がひろがる。その結果、ポンプ性能
が変化し圧力が低下していく。
羽根プレートが右側に移動しスキマS
がせまくなる。その結果、ポンプ性
能が変化し圧力が上昇していく。
もとの圧力に戻ると(ポンプ性能2・
運転点はc)、バランス室圧力も復帰
し、羽根プレートが停止する。
もとの圧力に戻ると(ポンプ性能3・
運転点はe)、バランス室圧力も復帰
し、羽根プレートが停止する。
このように電気的なフィードバック制御がないことと、水圧変化を直接制御力
(羽根プレートを動かす力)に利用しているため、下記の特徴があります。
1.非常に速い応答性。
2.ほとんどハンチングしませんので、圧力変動が非常に少ない。
3.ポンプの圧力制御に電気的な計装はまったくない。
この制御を自力水力制御と呼んでいる。
2-7.圧力制御のしくみ3
吐出揚程
100mmLPWB-5S型
79m-850L/min
流量[L/min]
300
0
流量
600
900
吐出揚程[m]
1min
3.セントルクポンプ
3-1.セントルクポンプとは
遠心ポンプ(セントリーヒューガル)と羽根車前面の
うず流れ(トルクフロー)を組み合わせたポンプ。
後面壁の湾曲で
うず流れ発生
一般的に異物をつまりにくくしようと
すれば、スキマSを広くとる必要があ
る。
但し、広くすれば、ポンプ効率が悪く
なる。
弊社では、羽根車の後面壁を湾曲さ
せ、うず流れを発生させることにより、
ポンプ効率の低下を抑えている。
3-2.特徴 -無閉塞-
1.羽根車前面の大きなクリアランスと
羽根車前面のトルクフローにより
ポンプにつまらない。
2.C&G切断機構(カッタープレート
と羽根車前端面部の切断機構)
により、異物を細断し、配管にも
つまらない。
ケーシング
羽根車
3-2A.切断状況ビデオ
3-3.特徴 -豊富な機種-
セントルクポンプの特徴は羽根車とケーシングにある。
この部分が同じであればよいため、機種は豊富となる。
立型
水中型
タンクユニット型
3-4.主な使用場所
・全国のし尿処理プラント
・主な地下街の汚水槽・雑排水槽
・ビル設備の汚水槽・雑排水槽
・地下鉄駅の汚水槽
他社製品が詰まるとの事で、弊社のセントルクポンプに入れ替えていただいた件数は約140
件以上はありますが、「詰まりが解消されなかった」と言うクレームは1件も聞いていません。
最近では、東京駅の駅ビルでノース(セントルク)は問題がないのに、サウス(他社)は頻繁に
つまるとの事で、入れ替えていただき、詰まりが解消したとの事で喜んでいただきました。
4.その他の流体機器
4-1.重力式呼水装置1
・原理
空気層
閉
閉
空気層
下側のバルブ
を開
閉
開
タンクの水が落水すると、上部空気層は膨張する。
その結果、膨張した空気層は負圧となる。
4-2.重力式呼水装置2
1.補給水弁を開けてタンクに水を貯
める。
2.満水検知器で減水を検出すると呼
水開始。
3.落水弁を開けてタンクの水を落水
させる。
→その結果タンク上部の真空度が
上昇する。
4.戻し弁を開くとポンプ内も負圧とな
り、水が吸い上がってくる。
4-3.重力式呼水装置3(特長)
排気管
接続口
戻し弁
補給水弁
タンク
制御盤
落水弁
・タンク1台で複数ポンプの呼水
可能(1~8台)
・可動部は小口径の電動弁だけ
でありメンテナンスが簡単
・フート弁が必要ないので、吸込
配管の圧損低減
・システム全体が陸上にあるため、
安心感がある。
4-4.水位制御ユニット1
・水位制御コントローラと水位センサーのユニット品
・現在水位の表示、満水・減水・給水・空転防止等を設定(設定変更が簡単)
・給水設定は2個の設定値があり外部スイッチ等で切り替え可能
信号
水位センサー
水位制御コントローラ
4-5.水位制御ユニット2
例えば学校の受水槽制御
4-6.水位制御ユニット3
ボックス組込型
水位センサー2個型
4-7.リニヤバルブ1
パイロット弁
・リニヤポンプと同じ自力水力制御を
利用したバルブ
・高精度に圧力を制御
・二次圧制御用・一次圧制御用・差圧
制御用をラインナップ
シリンダ機構
4-8.リニヤバルブの使い方例
バイパス弁を廃止してリニヤバルブで省エネ
負荷が減ってもバイパス弁を開けるだけ
なので、ポンプの水量は同じなので
動力は同じ
負荷が減るとリニヤバルブは閉方向に
動作する。その結果、二次圧一定のまま
変流量となるため動力も下がる。