Technology Marketing 08: Design Scenario Prof. K. FUKUYO, MOT, Yamaguchi Univ. マズローの欲求5段階発達説と戦後日本 自己実現欲求 1980~ 自我欲求 「個」「差」 社会的欲求 「人並」「型」 安全欲求 1970~ 1980 1960~ 1970 1945~ 1960 生理的欲求 自分なりの 個人の領域 創造性 承認の欲求 所属と愛の 欲求 保障・安全・ 産業の領域 生命維持の 欲求 田中央『デザイン論』(岩波書店, 2005) 2 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 デザインシナリオの必要性 ユーザのニーズをつかみにくい時代への移行 多様化・個性化の進展によって「憧れ=目標」モデルが無く なった 既存の商品,サービスに対する顧客の反応をベースにした マーケティング手法では対応できない 「仮説提示」による新たなマーケティングおよび商品開 発の必要性 「見えないアイディア」の可視化->「提案型」 提案内容に対するユーザの反応を得る ユーザとの間のコンセンサス->「共創」 田中央『デザイン論』(岩波書店, 2005) 3 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 デザインシナリオ モノの提案からコトの提案へ ユーザーを主役としたドラマづくり―商品は演出の道具 誰がどのような場面でどのように商品を使うのか―コト ラーの6Oに関連 三不:「不満」,「不安」,「不思議」は新商品開発のネタ 不満 → 満足 不安 → 安心 不思議 → 納得 参考: 田中央『商品企画のシナリオ発想術』 4 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 「写ルンです」の発想例 フィルム・カメラの総合メーカーらしいビジネスアイテムの 創造 フィルムメーカーでなければできないこと(ー>フィルム現像 と販売が対になっており,カメラにフィルム内蔵化が可能) 顧客はカメラがほしいのではなく、写真がほしい 全国に張り巡らせたサービス網の活用(ー>手ぶらで出か けても必要なときにカメラが手に入る) 「いつでもどこでもネットワーク」「ワンタッチ・インスタン ト」 「安価で簡単操作のカメラ」を作るのではなく、「かたちも 操作も単純なカメラと、それを支えるサービスシステム」 を作る 5 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 簡単なシナリオの例:未来のノート Aさんはいつも一冊の薄いノートしか持ち歩かない 出張に行くときもこのノートをかばんに入れておくだけだ 時には2つに折り曲げてポケットにしまうこともある 6 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 未来のノート(続き) 会議の時には、ノートの上端にキーワードを書き込む。 そうすると必要な情報がノートの余白に浮かび上がる Bさんにメールを送るときには、 ノートにメールの文章を書いて 線で囲み、「Bさん宛てメール」 とメモすれば、準備完了だ ページをめくる動作をすれば、 書き込んだ情報は、どこかに 保存され、ノートは白紙に戻る Aさんは、このノートさえあれば、 ほとんどの仕事が済むと言う 7 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 このシナリオから読み取れるもの これは真の「ノートパソコン」である ペン入力のような日常動作が主体である キーボードの習熟が不要 = キーボードへの不満解消 誰でも使える ノートのように薄く軽い どこでも使える = 持ち運びにくさへの不満解消 いつでも使える 紙のように折り曲げることが可能である 8 持ち運びが楽 ラフな使い方ができる = 安心 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 この「ノート」に必要な技術課題は? ペン入力のような日常動作が主体である 手書き入力を発達させる必要性 -> ペンコムを発達させ る ノートのように薄く軽い ディスプレーの厚さは? -> 液晶? 有機EL? 記憶装置や、通信装置はどこに? -> 超小型のハードディスク? ペンの方にメモリー? 紙のように折り曲げることが可能である 9 ディスプレーおよび筐体の素材は? -> ゴムや有機EL? あるいはその他? それらの耐久性は? (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 デザインシナリオによる製品開発手順 未 来 生 活 の 想 像 10 未 来 製 品 の 想 像 ソ フ ト 面 ハ ー ド 面 ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 技 術 開 発 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 新 製 品 デザインシナリオによる知財戦略展開 ビジネスモデル特許 未 来 生 活 の 想 像 未 来 製 品 の 想 像 著作権 ソ フ ト 面 ハ ー ド 面 構想段階で様々な工業所有権を検討 11 ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 技 術 開 発 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 製品特許 新 製 品 製法特許 製品特許 デザインシナリオの効能 製品の具体的なイメージ、製品の使われ方のイメージが 得られる 必要な技術の全体像に対する見通し 同時に、押さえるべき知的財産権の見通しがつき、戦略 が立てられる 個人消費者、他社など、ユーザに対し、自社の技術の具 体的な活用法を提案できる -> 技術マーケティング の実現 12 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 シナリオづくりのプロセス ユーザ・リクア イアメント抽出 客観的 予測データ 主観的データ (生活願望) 13 シナリオづくり 近 未 来 生 活 シ ナ リ オ 近 未 来 商 品 シ ナ リ オ 仮説の提案・ 評価 プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ( 視 覚 化 ) 比 較 ・ 批 評 ・ 評 価 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 計画・実行 事 業 企 画 ・ 研 究 開 発 テ ー マ 抽 出 計 画 立 案 ・ 実 施 シナリオと時間尺度 現在 5 10 20 SF 未来予測B 未来予測A 事業計画 技術開発 商品企画 14 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 50 TRIZの9画面法 シ ス上 テ位 ム シ ス テ ム シ ス下 テ位 ム 15 電話線 交換機 電柱 固定電話 通信網 基地局 アンテナ 携帯電話 衛星通信 世界共通規格 マイク スピーカ 液晶 CCDカメラ 電池 小型燃料電池 人体発電 体温発電 過去 現在 未来 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 ウェアラブル インプラント 練習 TRIZの9画面法を利用して「未来の近距離交通手段」に ついて発想する 16 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 近未来の近距離交通手段 シ ス上 テ位 ム 道路 信号 駐車場 シ ス テ ム 自動車 シ ス下 テ位 ム エンジン タイヤ 過去 17 現在 (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013 未来 演習課題 各自が持ち寄った商品(アイディア)が生かされるシチュ エーションを考えてみること 18 どういう場合にその商品(アイディア)が活躍するのか どのようにその商品(アイディア)は使われるのか,そのメカ ニズム その商品(アイディア)によってどのような不満,不安,不思 議が解消されるのか? (c) Prof. Kazuhiro FUKUYO, PhD, 2013
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