3-1-6 防災効果 ~都市の安全向上 1)植物の保水効果による都市の

3-1-6
防災効果
~都市の安全向上
1)植物の保水効果による都市の安全向上
林や森は昔から、その保水能力により雨水が一度に流れるのを防ぐこと、およびそれにより土
砂の崩壊・流出を防止するなど、水害を防ぎ、減らすのに役立ってきた。
都市では、コンクリート・アスファルト面が多いため、雨水の急激な流出などの水害に弱い構
造になりがちである。最近、頻度が高くなった集中豪雨(時には「ゲリラ豪雨」
)により、各地
で被害が続出している。
屋上や建物周辺に植物を植えることで、そうした豪雨による水の流れを抑制する効果があり、
都市内の緑化による水害緩和が期待されている。
2)防火・延焼遮断効果
生木にはもともと強い耐火性がある。樹種や気象条件によっても異なるが、樹木の葉に多くの
水分が含まれ、高温になると水分を蒸発させて温度の上昇を抑制し、葉の重なりと動きで熱の浸
透を防ぐ働きがあるためである。
また、樹木の配置にもよるが、炎上せず残れば遮熱効果が期待できる。地震などで大規模な火
災が起こったとき、延焼を防ぐ効果を持つ。関東大震災のときには樹林帯のあった上野公園など
で、多くの人の命が救われたことはよく知られている。阪神・淡路大震災においても、神戸市長
田区(JR 鷹取駅南方)の大国公園のクスノキとイチョウによって延焼拡大が阻止されたと言わ
れている。このほか、庭の樹木群が近隣からの火炎による延焼を阻止した事例は少なくない。
このように、耐火性のある植物を適切に配置することで、都市全体の延焼防止、避難路・避難
所の安全性向上などに効果がある。また、屋上緑化・壁面緑化などを、防災公園や他の都市防災
施設と関連させ計画的に展開させることは、延焼防止や避難経路確保に有効であると言われてい
る。
特に壁面緑化は火災から建築物を保護する効果もあるとも言われている。
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図3-1-63 防災公園とまちづくり
(財団法人都市緑化技術開発機構 HP より)
[3-1-6の参考文献]:
3-1-6a 常緑キリンソウ普及協会 HP(㈱緑化計画研究所)
3-1-6b 国土交通省
総合技術プロジェクト
市基盤整備技術の開発
循環型社会および安全な環境形成のための建築・都
「まちづくりにおける防災評価・対策技術の開発」報告書(平成
15 年 3 月)(国土技術政策総合研究所 HP による)
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