自動車およびオートバイの排気音に対する快適性の客観的

自動車およびオートバイの排気音に対する快適性の客観的評価法
Automatic evaluation of comfortableness for exhaust sound by car or motorbike
三浦 雅展 1,山崎 瑞己 2,安井 希子 3
Masanobu MIURA1 , Mizuki YAMASAKI and Nozomiko YASUI
1
龍谷大学 理工学部 情報メディア学科
2
龍谷大学大学院 理工学研究科 情報メディア学専攻
3
松江工業高等専門学校 情報工学科
1
Dept. of Media Informatics, Faculty of Science and Technology, Ryukoku University
2
Graduate School of Science and Technology, Ryukoku University
3
Dept. of Informatics, Matsue College of Technology
概要 自動車およびオートバイの嗜好性による排気音の快適性評価への影響を調査し,快適であると評価された
排気音の物理的特徴から,その音に対する快適性の評価法を提案している.自動車およびオートバイのエンジン
回転数変化時(以後「吹かした時」)の 2 種類の排気音を収録し,それらの排気音を用いて快適性評価実験を行な
っている.また,被験者を「スポーツカーを好む者」と「好まない者」の 2 群に分け,各群において評価結果の違いを
調査している.さらに,排気音からラウドネスと Flux を算出し,快適性を予測する重回帰式が得られており,相関係
数で 0.74(好む群),0.82(好まない群)が得られ,有効性が確認されている.
Keyword: 快適性,ラウドネス,Flux,重回帰分析,排気音
1.はじめに
自動車およびオートバイから発生する排気音がある.
その自動車に対する嗜好性が影響していると考えられ
る.また,先行研究[3]では,排気音の快適性に関する
排気音は主にガソリンエンジンを原動力とする車体か
客観的評価方法が提案されているが,その手法では
ら発生し,搭載しているエンジンやマフラーの形状など
自動車に対する嗜好性は考慮されておらず,すべて
により異なる.ガソリンエンジンは主に直列エンジン,V
の状況を考慮した上での最適な手法だとは言い難い.
型エンジン,水平対向エンジンの 3 種類が存在するが,
以上のことから,自動車の排気音を評価するには自動
それらはエンジン内部のシリンダーという円筒部分の
車に対する嗜好性を考慮する必要がある.
向きが異なる.このようなエンジンの構造の違いにより,
そこで本研究では,自動車およびオートバイの嗜
異なった排気音が発生する[1].さらに,エンジン内部
好性による排気音の快適性評価への影響を調査し,
で発生する爆発音を消音させるための自動車部品で
排気音に対する快適性の客観的評価法を提案する.
あるマフラーの構造の違いによって排気音は変化する.
また,快適であると評価された排気音の物理的特徴か
そのため人間は,排気音に対してそれらの構造の違
ら模擬的な排気音(以後 模擬排気音)の作成方法を
いにより,異なった印象を受けると考えられる.また,排
検討する. 自動車およびオートバイの排気音に対す
気音に対する印象は,自動車やオートバイに対する嗜
る快適性を調査するためには,快適性の高い音がど
好性によって変化する[2].例えば,スポーツカーの排
のような音であるのかを調べる必要がある.そのため,
気音は一般に騒音レベルが高いため,不快に感じる
実際の自動車およびオートバイから排気音を収録し,
人がいる.しかし反対に,その音をスポーツカーの良さ
それらの排気音を用いて快適性に関する評価実験を
として賞賛する人も存在する.それらの評価の違いは,
行なう.この時,自動車およびオートバイの排気音は
エンジンの回転数によって音の高さや強さが変化する
客観的に評価する方法が提案された.また,オートバ
ため,エンジンの稼働状況を変化させた場合も検討す
イの研究では,アイドリング時の排気音に対してライ
る必要がある.そこで,先行研究[2,3]では用いられな
ダ・非ライダが感じる快適性を調査し,両者がそれぞ
かった吹かした時(ここでは,アイドリング時にアクセル
れ評価した快適性との関係を表わす物理量を調査が
操作によってエンジンの回転数を上げた状態)の排気
行なわれた.その研究によると,普段からオートバイを
音を収録した.吹かした時の排気音は,エンジンの回
運転するライダは低音域が強調された排気音を好む
転数による排気音の変化も考慮できるため,より正確
傾向があり,オートバイに乗らない非ライダは音が強い
な快適性評価方法の提案に繋がると考えられる.そし
ほど嫌う傾向があることが確認された.また,高音域が
て,それらの排気音を用いてシェッフェの一対比較法
強くなると,ライダ・非ライダ共に不快に感じる傾向が
の中屋の変法を用いた快適性に対する評価実験を行
みられた.これにより,オートバイに対する嗜好性の違
なう.被験者には 1 つの排気音に対して「快い-不快な」
いによって,排気音の好みに関する評価が異なること
を 7 段階尺度で評価させる.また,実験時に被験者に
が確認された.これは,オートバイに限らず自動車の
対して嗜好性に関するアンケートを実施し,被験者を
排気音においても同様のことが言えると考えられる.し
スポーツカーの排気音を好む者と好まない者の 2 群に
かし,これらの研究ではアイドリング時の排気音のみを
分けた.この評価実験の結果から,各群における評価
対象としているため,自動車が走行する際によく耳に
の違いを調査する.次に,排気音から物理パラメタを
するエンジンに回転数を与えた時の排気音も考慮した,
算出し,実験の結果から得られたスコアとの関係を調
総合的な評価が行なえているとは言い難い.
査する.最後に,自動車およびオートバイの排気音の
そこで本研究では,エンジンの回転数による変化も
快適性に対する客観的評価法を提案する.
考慮した排気音の客観的評価方法を提案する.また,
2.先行研究の概要及び問題点
先行研究[3]でも調査されたように,自動車およびオー
自動車やオートバイから発生する排気音は,その車
トバイに対する嗜好性の違いが排気音の評価にどのよ
種のイメージに大きく貢献している.そのため,オート
うな影響をおよぼすのかについても調査する.これに
バイから発生する排気音の商標登録を試みるメーカー
より,あらゆる状況を考慮した上で排気音に対する評
も存在する[2,3].一般に,オートバイのユーザは排気
価を行なうことが可能となる.
音に対してのこだわりが強く,吸排気系統の部品を改
3.自動車およびオートバイの排気音の収録
造することで排気音を意図的に変える場合もある[4].
本研究では,自動車およびオートバイに対する嗜好
また,自動車においても,ユーザに心地良さを与える
性によって,快適性評価がどのように異なるかを調査
ような排気音を設計した自動車づくりが行なわれてい
する.そのため,自動車およびオートバイから発生する
る[2].以上のことから,排気音は自動車およびオート
排気音を用いて聴取実験を行なう.そこでまず,事前
バイを象徴する主要な音であると言える.さらに,自動
に排気音を収録する必要がある.本研究では,自動
車およびオートバイの排気音に対して,客観的な評価
車およびオートバイにおけるアイドリング時の排気音と,
方法の提案が行なわれており,例えば,自動車の排
「吹かした時」(ここでは,アイドリング時にアクセル操作
気音を用いて,エンジンの回転数がある回転域に達し
によってエンジンに回転数を上げた状態のこと)の排
た時の排気音に対する客観的な評価方法を検討した
気音の2種類に着目し収録を行なった.収録する排気
研究がある[4].その研究では,物理パラメタと官能評
音は,自動車およびオートバイのアイドリング時の排気
価結果との関係を調査し,物理パラメタから排気音を
音と,同車種の吹かした時の排気音の2種類とした.排
気音を2種類収録する理由は,どちらの音も日常的に
理量と評価値との関係を調査する.
よく耳にする排気音だと考えられるためである.収録対
4.2 一対比較法を用いた印象評価実験
象の自動車は10車種,オートバイは8車種で,様々な
エンジン形式や排気量のものを選定した.
排気音に対する快適性を調査するために,実際の
自動車およびオートバイの排気音を用いて印象評価
アイドリング時および吹かした時の排気音は,
実験を行なった.実験には,シェッフェの一対比較法
Roland 社製のポータブルレコーダーR-26 を用いてサ
の中屋変法[5]を用いた.具体的には,被験者に対し
ンプリング周波数 44.1kHz,量子化ビット数 16bit で収
録した.アイドリング時の排気音の収録では,マフラー
の排気口を排気音の音源とし,排気口から 0.5m 離れ
た位置にマイクロフォンを設置した.収録時間は 1 回
て 2 つの音を呈示し,最初に聴いた音に比べて次に
聞いた音がどの程度快適かを,-3 から 3 までの 7 段階
評価(3 が最も快適)で回答させた.実験には,快適性
につき 5 分とし,1 車種につき 1 回ずつ収録を行なっ
を評価するために用いる形容詞が必要となるが,今回
た.吹かした時の排気音の収録では,マイクロフォンを
は「快い-不快な」を用いて実験を行なっている.呈示
排気口から 1m 離れた位置に設置した.アイドリング状
する刺激音は,自動車およびオートバイの吹かした時
態からアクセルを 1 度踏み込み回転数が安定するまで
の排気音である.自動車の排気音は 10 車種で,オー
を 1 回とし,1 車種につき 10 回ずつ収録を行なった.
トバイの排気音は 8 車種である.被験者は,正常な聴
収録場所は,アイドリング時および吹かした時の排気
音ともに特定の場所では行なっておらず,収録条件と
して騒音がなく,雑音の入らない環境で収録した.
4.快適性の主観評価と客観評価法
4.1 調査の目的と方針
前述の通り,自動車およびオートバイの排気音は,
車種やエンジン,マフラーの構造によって異なり,それ
を知覚する人間の印象も異なると考えられる.また,人
間は自動車およびオートバイに対する嗜好性の違い
によっても,排気音に対する印象が異なる[3].そこで
本研究では,自動車およびオートバイに対する嗜好性
の違いが,排気音の快適性評価に影響をおよぼすか
否かについて調査する.収録した自動車およびオート
バイの排気音を用いて快適性に対する印象評価実験
を実施する.排気音は,アイドリング時の排気音と吹か
した時の排気音の 2 種類とし,それぞれの排気音に対
して快適性評価を行なってもらう.また,実験と同時に
被験者に対して,自動車およびオートバイに対する嗜
好性を調査するためのアンケートを実施する.アンケ
ートの結果から,被験者を嗜好性の度合いによってい
くつかのグループに分け,グループごとで印象評価値
の算出を行なう.そして,排気音の特徴を表わすことが
できると考えられる物理パラメタを算出し,それらの物
力を持つ大学生 8 名(男性)とした.すべての被験者
はヘルシンキ宣言に基づいた実験同意書に同意して
いる.
評価手順として,まず被験者は防音室内のイスに座
りヘッドフォンを装着して,各自で防音室内の PC から
排気音を聴取する.呈示レベルは,被験者が無理なく
聴取できるレベルになるようヘッドフォンアンプを用い
て調節させた. 2 個 1 組の刺激音を聴取後,先に呈
示した音に対する後に呈示した音の快さの程度を 7 段
階で評価させている.なお,ヘッドフォンは STAX 社製
の SR-303 , ヘ ッ ド フ ォ ン ア ン プ は STAX 社 製 の
SRM-313 を用いた.また,印象評価実験と同時にアン
ケートを実施した.アンケートでは,自動車およびオー
トバイに対する嗜好性に関して調査するべく,自動車
およびオートバイの免許の有無,個人または家族で所
有している車体の有無,車体の所有台数,排気音に
対する意識などを調査した.
4.3 結果と考察
嗜好性の違いを考慮するため実施したアンケートの
結果から,スポーツカーに興味があると回答をした 4 名
(以後 好む群)と,排気音には興味がないと回答した
4 名(以後 好まない群)の 2 群に分けた.この 2 群に
よる印象評価実験の結果を比較して考察を行なう.
好む群において,全体的に評価値が快い方向へ固ま
4.3.1 自動車の排気音に対する評価結果
っていることから,好む群はオートバイの排気音に対し
自動車の吹かした時の排気音として実験に用いた刺
てあまり不快感を抱かないことが確認できる.
表1 収録した自動車のリスト
図1. 自動車の排気音に対する快適性評価の結果
表2 収録したオートバイのリスト
図2 オートバイの排気音に対する結果
1200
1200
激音のリストを表 1 に示す.また,自動車の吹かした時
周波数
の排気音に対して好む群の評価結果の平均を図1に
変動の傾き
1000
1000
示す.図1より,自動車の吹かした時の排気音の快適
F0ピーク値
800800
F0ピークの振幅値
600600
400400
200200
性は 2 群で対になる傾向が見られた.特に刺激音 ID6
00
Time
のように好む群で不快であるとされた排気音は,好ま
好む群が不快だと感じる排気音の特徴が,好まない群
に対しては快いと感じさせている可能性があると考えら
振幅
ない群において快適であると評価されている.これは,
れる.また,刺激音 ID4 の排気音においては,どちらの
群もともに不快だと感じさせる傾向にあることが確認で
きた.これは,嗜好性に関わらず不快に感じさせる何
Time
図3 吹かした時の F0 変動と時間波形
らかの特徴が排気音に含まれていると考えられる.
4.3.2 オートバイの排気音に対する評価結果
4.4 物理パラメタの検討及び算出方法
オートバイの吹かした時の排気音として実験に用い
アンケートおよび快適性に対する印象評価実験の
た刺激音のリストを表2示す.また,オートバイの吹かし
結果より被験者を 2 群に分け,それぞれの群の排気音
た時の排気音に対して好む群の評価結果および好ま
に対する評価値を算出した.その結果,自動車および
ない群の評価結果の平均を図2に示す.図2から,自
オートバイの排気音において,2 群の評価は主に対の
動車のアイドリング時の排気音を用いた評価結果と同
傾向があると考えられた.そこで,実験に用いた排気
様に,各群で評価値が対になる結果が得られた.また,
音から快適性と関係があると考えられる特徴を考慮し
た物理パラメタを算出した.本研究では音響信号処理
スペクトル重心,スペクトル変動(以後 Flux)および
で代表的な物理パラメタとして挙げられる,音圧レベル,
1
*
0.8
*: p<.05
*
*
相関係数r
0.6
0.4
0.2
好む群
0
-0.2
好まない群
-0.4
-0.6
F0ピーク
ピーク振幅値
傾き
Roughness
Flux
スペクトル重心
音圧レベル
F0ピーク
自動車(n=10)
ピーク振幅値
傾き
Roughness
音圧レベル
*
オートバイ(n=8)
Flux
*
-1
スペクトル重心
-0.8
図4 吹かした時の排気音における各群の主観評価値と物理パラメタとの相関
Roughness と,瞬時周波数から算出した F0 変動の傾き,
ものを示す.図4より,各群での評価基準と強い関係が
F0 のピーク値および F0 のピーク時における最大振幅
ある物理パラメタを読み取ることができる.2 群の評価
値の計 7 個である[6-8]. 以上,計 7 個のパラメタを各
値はともに音圧レベル,Flux との相関関係が強いこと
排気音に対して算出し,評価実験により得られた評価
が確認できた.
値との関係を調査する. 収録音におけるF0 の変化の
4.6 快適性に対する客観的評価方法の検討
例と F0 ピークの抽出例を図3に示す.
評価値と物理パラメタとの相関から,自動車および
4.5 快適性に関する客観的評価方法の提案
オートバイの吹かした時の排気音において 2 群それぞ
4.5.1 主観評価値と物理パラメタとの相関
れの評価には音圧レベルと Flux に強い相関が見られ
4.4 で述べた計 7 個の物理パラメタのうち,自動車の
た.そこで,音圧レベルおよび Flux の値を用いて,2
アイドリング時の排気音は音圧レベル,スペクトル重心,
群それぞれに対して有効だと考えられる快適性に関
Flux および Roughness の 4 個の物理パラメタを算出し,
する客観的評価方法を提案する.好む群における快
自動車およびオートバイの吹かした時の排気音から全
適性評価の算出式
てのパラメタを算出した.そして,それらの値と快適性
ける快適性評価の算出式
印象評価実験により得られた 2 群の評価値との相関 r
れ示す.好む群の算出には,排気音から得られる音圧
を算出した.その結果から,客観的評価方法の提案に
レベルの値と Flux の値を足し合わせたもの,好まない
有効だと考えられる物理パラメタを調査した.自動車
群の算出には,音圧レベルと Flux の値を負に変換し,
およびオートバイの吹かした時の排気音に対する 2 群
その値を足し合わせたものを用いた.また,Flux の値
それぞれの主観評価値と物理パラメタとの相関を図4
は音圧レベルの単位に合わせるため,dB 値への変換
に示す.図中のアスタリスクは,パラメタと主観評価値
を行なっている.
との相関が 5%有意水準により有意であると認められた
を式(1),好まない群にお
を式(2)にそれぞ
(1)
(2)
その変動傾向と F0 の変化との関係について調査す
提案する客観的評価方法の検証を行なうため,提案
る必要がある.さらに今後は,新たなパラメタの
手法による推定値と主観評価値との相関を算出した.
検討とデータ数を増やしての検証が必要である.
式(1)と式(2)から算出した快適性における客観評価の
推定値と,図1と図2に示す各主観評価値との相関を
図5に示す.評価値と推定値との相関を算出した結果,
好む群では自動車,好まない群ではオートバイの排気
また,吹かした時以外の状態での排気音に対する
快適性の客観的評価法を検討する必要がある.
謝辞
本研究の一部は,科学技術振興機構,研究成
果最適展開支援事業(A-STEP)フィージビリティスタ
ディステージ探索タイプ(課題番号 AS251Z02449H)の
援助を受けた.
いて相関が 0.6 以上であることから,推定精度は十分
参考文献
高いと考えられる.また,自由度調整済み決定係数
[1] 青山元男,“図解クルマのメカニズム―自動車の
でもすべての場合で 0.3 以上が確認できた.以上より,
構造を各パーツごとに、わかりやすく,詳しく解説!”,
式(1)と式(2)での快適性に関する客観的評価方法は,
ナツメ社,pp.10-19 (2007).
妥当であるということが確認できた.
[2] 岩宮眞一郎,渡邊正智,高田正幸,“オートバイの
相関係数rあるいは
自由度調整済み決定係数R ²
音で相関の値 r が高かった.また,すべての条件にお
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
排気音に対するライダーと非ライダーの意識の違い”,
0.74
0.69
0.82
騒音制御,Vol.32,pp.425-436 (2008).
0.63
0.62
0.50
0.40
オートバイ (n=8)
0.32
自動車 (n=10)
[3] 岩宮眞一郎,“よくわかる最新音響の基本と応用”,
秀和システム,pp.274-278 (2011).
[4] 脇田敏祐,“自動車の音色評価”,豊田中央研究
好む
好まない
相関係数 r
好む
好まない
自由度調整済決定係数 R²
図5 推定値と主観評価値との相関係数および自由度
調整済決定係数
5.おわりに
本報告では自動車およびオートバイの吹かした
所 R&D レビュー,Vol.27,No.3,pp.29-32 (1992).
[5] 佐藤信,“統計的官能検査法”,日科技連,
pp.263-270(1985).
[6] 岩宮眞一郎,“音質評価指標-入門とその応用-”,
日本音響学会誌,コロナ社,Vol66.12,pp.603-609
時の排気音の嗜好性を考慮した客観的評価法を提
(2010).
案した.また,相関係数および自由度調整済み決
[7] G.Tzanetakis and P.Cook,“Musical genre
定係数から提案手法の妥当性を確認した.提案す
る客観的評価方法から得られる推定値と,主観評
価実験により得られた自動車およびオートバイの
主観評価値との相関係数および自由度調整済み決
定係数を確認したところ,すべての条件において
classification of audio signals”,IEEE Trans,Speech
Audio Process.10,pp.648-65 (2003).
[8] 後藤真孝,“音楽音響信号を対象としたメロディー
とベースの音高推定”,電子情報通信学会論文誌,コ
相関係数は 0.6 以上,自由度調整済み決定係数は
ロナ社,No1,pp.12-22 (2001).
0.3 以上の値が得られたため,提案手法の妥当性が
[9] E. Zwicker and H. Fastl,“psychoacoustics Facts
確認された.特に,自動車およびオートバイの吹
and models”, Splinger-Verlag,Berlin (1990).
かした音に対する快適性評価について,ラウドネ
[10] Mingsian R. Bai and Kuochan Chung,”Optimal
スおよび Flux が評価に関わる物理量であることが
示された.Flux は周波数成分の時間軸上での絶対
的な変化量を表す指標であるが,その変動幅や変
動傾向などの特徴は算出されていないが,今後は
design of panel speaker array with omnidirectional
characteristics” , J.Acoust.
pp1944-1952 (2002).
Soc.
Am.
112 ,