タッチタイピング養成講座 井出学 平成 18 年 5 月 16 日 タッチタイピングとは 1 タッチタイピング1 とは手元を見ることなくキーボードを打つ技術です。タッチタイピングを習得すると画面や原稿 だけを見て入力することが出来るようになるため、入力効率が格段に上昇します。例えば、 タッチタイピングが出来 ない人がある原稿通りに文章を打ち込もうとすると、次のようなステップを繰り返すことになります。 1. まず原稿を確認(視線は原稿に)。 2. 手元を見ながら入力(視線は手元に)。 3. 画面で入力結果を確認(視線は画面に)。 そして再び原稿を見るころには、何処を打っていたのか分からなくなります。タッチタイピングが出来れば, 2. のプ ロセスを飛ばすことが出来るので、これだけで時間が 2/3 に短縮されるわけです。さらに上級者になると、(英文な らば2 ) 3. のプロセスも飛ばして、原稿だけを見ながら打ち続けることも出来るようになります。こうなれば、原稿か ら目を離さないので、何処を打っていたか分からなくなることもありません。 このように タッチタイピングを習得するだけで、仕事効率は確実に上昇します。タッチタイピングは現代社会にお いて、仕事の出来る人間の必須スキルです。 タッチタイピングの基本 2 基本的な日本語キーボードは下図の様な配置になっています。 1 2 3 4 Q W E A Shift 2.1 S Z 5 R D X 6 T F C 7 Y G V 8 U H B I J N 9 0 O K M BS P L , Enter ; . / Shift ホームポジション まず, Fに左手人差指、Jに右手人差指を置いて下さい。FとJのキーの所に「でっぱり」があることに気付くで しょう。次に、その横に中指・薬指・小指を置いていきます。すなわちAに左手小指、Sに左手薬指、Dに左手中指、 1 ブラインドタッチや タッチメソッドとも言います どうしても画面を確認しなくてはなりません。 2 日本語だと漢字変換をしなくてはならないので, 1 Kに右手中指、Lに右手薬指、 ;に右手小指を置きます。両手親指は下にあるスペースキー3 に置きましょう。両手の 指をこれらのキーに置いた状態を「ホームポジション」といいます。タッチタイピングでは常にこのホームポジショ ンに指を置くことが重要です。 2.2 どの指で打つか 次に左手小指(だけ)を少し曲げると、Zのキーがあるはずです。逆に左手小指(だけ)を少し伸ばして下さい。 そこにはQのキーがあるはずです。左手小指をもっと伸ばすと1のキーがあります。左手小指は基本的にこのZAQ 1の「斜め一列」にある4つのキーを押します(その左にある、半角全角変換キー、Tab キー、Ctrl キー、Shift キー も左手小指で押します)。 同様に左手薬指はXSW2の4つ、左手中指はCDE3の4つ、右手中指は”,” KI8の4つ、右手薬指は”.” LO 9の4つを押します。右手小指は”/””;” P0の4つ(とその右側にあるすべてのキー)を押します。 人差指は器用なので、斜め二列分のキーを押します。左手人差指はVFR4の列とBGT5の列で、右手人差指は MJU7の列とNHY6の列です。 A 2.3 S D F J K L ; 打ち方の基本 まず、ホームポジションに指を置いて(キーに触れて)下さい。人差指を置くキーには「でっぱり」があるのでキー ボードを見ないでもホームポジションは確認出来るはずです。その際、指を軽く(90◦ ぐらい)曲げて下さい。ホー ムポジションの状態で指が伸びきっていたら、その上にあるキーに届かなくなってしまいます。 他のキーを打つときには、必要な指だけ動かし、打った後にはホームポジションに戻るようにして下さい。 3 タッチタイピング練習最初の一歩 まず、常にホームポジションを取り・正しいキーを正しい指で打つ ことを徹底しましょう。自己流の打ち方をして いる人は必ず矯正しましょう。これには意味があります。例えば、両手の人差指だけで打つ人だと指一本に対応する キーは 20 以上になります。一方、正しい運指においては、器用な人差指で8個、その他の指は4個4 のキーが対応しま す。少ない本数の指で打てば対応するキーの数はそれだけ多くなります。その結果、各指の仕事はそれだけ複雑にな り、ミスタッチが増えます。スピードも一本指で打つよりも10本の指をフルに活用した方が当然上がります。ホー ムポジションを取る意味のひとつは、各キーの座標を相対的に覚えることにより、ミスタッチを減らすことです。例 えばQを打つのには、ホームポジションからなら少し左手小指を伸ばすだけ(Qの位置はAの上)ですが、ホームポ ジションを取らない人にとっては、Qの絶対座標を覚えなくてはなりません。 次に、手元を見ない 癖を確実につけましょう。タオルや箱で手元を隠して物理的に見えなくするのはいい方法です。 手元を見る癖がつくといつまでも上達しません。手元を見る癖がついている人は、今すぐにでも矯正すべきです。一 3 一番下の段にある大きいキーがスペースキーです 4 小指は例外的に Shift、Ctrl、Enter、BS 等も打ちます 時スピードが落ちても、慣れれば必ずスピードは上がります。初心者は画面にキーボードが出て、自分の打ったキー が分かるタイプの練習ソフトで練習すべきです。 練習の初期段階では、読み上げながら打つ のが非常に効果的です5 。たとえば a, b, c... と打つときには「エー、 ビー、 シー...」と読みながら打ちましょう。ローマ字入力なら「か、き、く . . . 」と読みながら k a k i k u と打って いきましょう。英文ならばちゃんとした発音で読みながら打ちましょう。これは通常、文字というものは画像に対応 しているのではなく、音声に対応しているからです。例えば本を目読しているとき、文字という画像から意味に直接 変換しているのではなく、一度頭の中で音声に変換してから意味を得ているはずです。音声を反射的に打ち込める様 になれば初級者卒業です。話す速度で打ち込める様になれば、もう上級者です。 フレーズごとに指癖をつける のが速く打つための第一歩です。ここでいうフレーズとは通常の意味ではありませ ん。例えばローマ字入力では「か」を打つとき「k+a」の二文字を独立に打つのではなく、かならず「ka」という塊と して現われます。ここではこういう塊をフレーズと呼ぶことにします。ローマ字入力では、ほぼ2文字で1フレーズ になります。英文においては, たとえば「thing」ならば, th + ing と2つのフレーズに分けます。ing というフレーズ が流れるように打てれば、r を前に付け加えるだけで ring になりますし、do を前につければ doing になります。他 にも th ・ ough ・ ness ・ ate ・ ty などいろいろなフレーズがあるので、反射的に打てるように練習を重ねましょう。 少しずつでよいので、毎日トレーニングをする ことが大事です。初期段階では筋肉も発達していないので鍛える必 要もあります。時間が取れるならば、腕が疲れるまで練習して下さい。 良いキーボードを使いましょう。タッチ感覚の良いキーボードを使うと、スピードや疲労度が全然違います。どの キーボードがいいかは人によって違うので、店頭で試し打ちをしてみるといいかと思います。なお、ノートパソコン で練習をしている人はUSB接続のキーボードを購入することを勧めます。練習のやり過ぎでキーボードを壊してし まったとき、ノートパソコンだったら本体ごとメーカー送りになってしまいますから。 タッチタイピング上級者への道 4 以上の練習によってある程度までは誰でも上達することが出来ます。例えば、毎日練習すれば 200 打/分 ぐらいな らば半年∼1年で到達出来ると思います。しかし、ある程度で伸び悩む時期が来ます。そのときは、次の2つのトレー ニングを繰り返して下さい。 4.1 スピードを上げるトレーニング まず、正しい運指をしているか確認しましょう。運指が正しくない人は、矯正するだけでスピードが上がる可能性 があります。確実に矯正して下さい。 スピードを上げるトレーニングといってもやることはただ一つ、スピードを上げて打つだけです。確実性がさがっ てミスタッチが増えると思いますが気にすることはないです。スピードを指に叩き込むことだけに集中してください。 速いスピードで打つためにはリズム感も大切です。リズム感に注意しながら速く打って下さい。少なくとも一週間は 連続でスピードトレーニングを続けて下さい。あまり短い期間では効果はあがりません。 4.2 確実性を上げるトレーニング スピードを上げるトレーニングにより、打つ速度が上がったことが実感出来れば、次はそのスピードを出来るだけ 維持して6 、確実に打つ練習をして下さい。良く間違えるフレーズがあれば、そのフレーズだけ繰り返し打つのもい いでしょう。 入力の順序を間違える, 例えば i n g と打つ所を i g n と入れてしまう, ときはリズムがずれている可能性がありま す. 一度ゆっくりと打ってリズムを確認しましょう。 全く関係ないキーを打ってしまうときは重傷です。一度スピードをかなり落して、正確に打つことだけに集中して 下さい。正確性というのはスピードに直結します。 あがった速度で正確に打てるようになったら、再びスピードトレーニングに戻って更に速度を上げましょう。 5 人に見られると変な人だと思われるかもしれませんが 6 スピードトレーニングで 10 打/分スピードがあがったならば、ここでは 5 打/分スピードを落してもよいです 4.3 チャットを活用する タッチタイピング能力を上げるのにはチャットを活用するのもいい方法です。チャットでは会話のスピードで入力 しないといけないので、嫌でも打つのが速くなります。あまりはまり過ぎると、時間があっという間に過ぎてしまう ので注意が必要ですが・ ・ ・ 5 どこまで鍛えればいいのか・ ・ ・ 200 打/分 を超えれば、なんとか仕事が出来るレベルです。300 打/分 を超えれば、どんな仕事でも出来るはずで す。400 打/分 を超えれば、練習をサボってもコンスタントに 300 打/分ぐらいは出せるようになります。目標は大学 生のうちに 400 打/分 を出すことです。頑張って練習してください。
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