ティーボールの生い立ちと魅力

2009 年 3 月 「笑顔いっぱいティーボール」より
―ティーボールの生い立ちと魅力―
ティーボールは、投手のいない野球、ソフトボールです。したがって、そのゲームは、
打者が本塁プレートの後方に置いたバッティングティーにボールを載せ、そのボールを打
者が打つことによって始まります。
打者は止まっているボールを 90 度のフェア地域に打つため、空振りやファウルはほとん
どなく、打球は内野手や外野手方向へ頻繁に飛び、短時間(1 ゲーム約 30 分)で全員が運
動の基本的な動作である「打つ、捕る、投げる、走る」を楽しく学習できます。
ティーボールの広がりに関しては、世界で 3 つの大きな流れがあります。1 つはオースト
ラリアとニュージーランド、2 つはアメリカやカナダ、3 つは日本を中心としたアジアでの
広がりです。
オーストラリアとニュージーランドでは、1980 年頃からソフトボールやベースボール、
更にはクリケットの入門期の 6 歳から 12 歳の子供たちを対象として、各地の小学校でプレ
ーされています。
アメリカやカナダの北米、そして中南米では、1988 年国際野球連盟(IBA)と国際ソフ
トボール協会(ISF)が協力して、6 歳、7 歳、8 歳(7 月 31 日生まれまで)の子供たちを
対象としたティーボールのルールを成文化しました。
我が国においては、1977 年(昭和 52 年)に小・中学校および高等学校からソフトボー
ル(ベースボール型球技)が学習指導要領から外れたのを機会に創設された「大学スロー
ピッチソフトボール研究会」
(会長 吉村正)が中心となって、1993 年 11 月、「日本ティ
ーボール協会」(会長
海部俊樹)を発足させました。これは、健康医学、スポーツ科学、
野球、ソフトボール、ゴルフ等の研究者や指導者が協力して組織されたものでした。
日本ティーボール協会は、
「すべての人にベースボール型球技を」を合い言葉に、アメリ
カやオーストラリアのティーボールを参考に、小学生のみならず、女性や中高年、障がい
のある人たちをも対象としたボールやバットを作り、更には新しいルールを考案し、プレ
ーする人たち全員が気持ちのいい汗をかき、笑顔が出る日本式ティーボールのゲームを作
り上げました。
また、近年、ティーボールはクリケットやラウンダースの前段階の球技として、イギリ
スを中心にそれらの球技を愛する国々でも広がりをみせています。
この冊子は、「笑顔いっぱいティーボールの教材を作る会」のメンバーが、議論と実践、
合宿やミーティングを重ねて作成したものです。日本全国の小学生のみならず、アジア、
ヨーロッパ、アフリカの各国にも広がることを夢みて、全力投球したものです。
この冊子が、小学生を指導される先生方や地域の指導者の方々に役立てば幸甚です。
2009 年 3 月
NPO 法人日本ティーボール協会
会長 海部 俊樹(元内閣総理大臣)
理事長 吉村 正 (早稲田大学教授)