【騒音に関する規制法の仕組み】

【騒音に関する規制法の仕組み】
(1) 環 境 基 準
環境基本法に基づく環境基準(平成 17 年 5 月 26 日環境省告示第 45 号改正)は表Ⅱ.2.4-1、Ⅱ.2.4-2 の
とおりである。これらは航空機、鉄道、建設作業の騒音には適用されない。
表 1 騒音に係る環境基準
地域の類型
昼間
夜間
AA
50dB 以下
40dB 以下
A 及び B
55dB 以下
45dB 以下
C
60dB 以下
50dB 以下
(注)1 時間の区分は、昼間を午前 6 時から午後 10 時までとし、夜間を午後 10 時から翌日の午前
6 時までの間とする。
2 AA を当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に
静穏を要する地域とする。
3 A を当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。
4 B を当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
5 C を当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業の用に供される地域とする。
表 2 道路に面する地域の環境基準
地域の区分
昼間
夜間
A 地域のうち 2 車線以上の車線を有する道路に面する地域
60dB 以下
55dB 以下
B 地域のうち 2 車線以上の車線を有する道路に面する地域及び
C 地域のうち車線を有する道路に面する地域
65dB 以下
60dB 以下
備考
車 線 とは、1 縦 列 の自 動 車 が安 全 かつ円 滑 に走 行 するために必 要 な一 定 の幅 員 を
有 する帯 状 の車 道 部 分 をいう。この場 合 において、幹 線 道 路 を担 う道 路 に近 接 する
空 間 については、上 表 にかかわらず、特 例 として次 表 の基 準 値 の欄 に揚 げるとおりとする。
基
準
値
昼
間
夜
間
70dB 以下
65dB 以下
備考
個別の住 居等において騒音 の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活 が営まれている
と認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては 45 デシベル以下、夜間に
あっては 40 デシベル以下)によることができる。
(2)
騒 音 規 制 法 による規 制
a. 特 定 工 場 等 に 対 す る 規 制
① 地 域指 定 大気 や水 質 の場合 と異 なり、住宅 密 集 地域 、病 院、学校の周 辺など、生 活環 境を保 全する
地域を指定して規制する(法 3 条)。
② 特定工場等に関する規制
(ア)特定施設……著しい騒音を発する施設で政令で定める施設
(イ)規制基準……環境大臣が特定工場において発生する規制の必要度に応じて、環境大臣が定める
基準の範囲内(表Ⅱ.2.4-3)で、知事が定める。市町 村は、知事の基準で十分でないと認めるとき
は、表Ⅱ.2.4-3 の範囲内で規制基準を定めることができる(法 4 条)。
(ウ)特定施設の届出……知事(市町村に委任)に対し、工事開始日の 30 日前までにしなければならな
い。
1
(エ)計画変更勧告……知事(市町村長)は届出受理の日から 30 日以内に不適合施設の使用方法の
変更、配置計画の変更を勧告できる。
(オ)改善勧告及び改善命令……(エ)と同じようなことについて、勧告または命令ができる。
(カ)小規模事業者への配慮……勧告または命令の内容について特に配慮しなければならない。
表 3 特定工場に関する騒音の規制基準 (単位 デシベル)
(昭和 48 年厚生、農林、通産、運輸省告示第 1 号、平成 18.9.29 環境省告示第 132 号改正)
評価値 : L A 5
時
区域の区分
(注) 1
昼
間
の
区
分
間
朝 ・ 夕
夜
間
第 1 種区域
45∼50
40∼45
40∼45
第 2 種区域
50∼60
45∼50
40∼50
第 3 種区域
60∼65
55∼65
50∼55
第 4 種区域
65∼70
60∼70
55∼65
昼 間とは、午 前 7 時又 は 8 時 から午 後 6 時 、7 時又 は 8 時までとし、朝 とは、午 前 5 時 又 は 6 時 から午 前 7 時 又は
8 時までとし、夕とは、午 後 6 時 、7 時 又は 8 時から午 後 9 時、10 時又 は 11 時までとし、夜 間とは、午 後 9 時、
10 時又 は 11 時から翌 日の午 前 5 時 又は 6 時までとする。
2
前項に規定 する第 1 種 区 域、第 2 種 区 域、第 3 種 区 域及 び第 4 種 区域 とは、それぞれ次の各号に掲げる区域 をいう。
一
第 1 種区域
二
第 2 種区域
良 好な住居の環境 を保全するため、特に静穏の保持 を必要 とする区域
住 居の用に供されているため、静 穏の保 持を必要 とする区 域
三
第 3 種区域
住 居の用にあわせて商 業 、工 業 等の用 に供されている区 域であって、その区域 内の住 民の生 活
環境 を保 全するため、騒 音の発 生 を防 止する必 要がある区域
四
第 4 種区域
主として工業 等の用に供されている区 域 であって、その区 域内の住民の生 活環 境を悪 化させない
ため、著 しい騒 音の発 生 を防 止する必 要がある区域(告 示より抜 粋)
b. 特 定 建 設 作 業 に 対 す る 規 制
① 特定建設作業の実施の届出
著しい騒音を発生する政令で定める建設作業をともなう建設工事を施工しようとする者は、開始の 7 日
前までに、知事に届出なければならない。
② 規制基準
敷地境界線で測る。
③ 改善勧告及び改善命令
基準不適合作業について防止方法、作業時間の変更について行う。
④ 公共施設工事での建設作業
円滑な実施について特に配慮義務がある。
c. 公 安 委 員 会 に 対 す る 措 置 要 請
知 事(市 町村 長)は、許 容 限 度を超えて周 辺 環 境が著しく損なわれると認めるときは、都道 府 県 公 安委 員
会に道路交通法による措置をとることを要請する。これは環境省令で要請基準が定められている。
2
表 4 指定区域間における自動車騒音の要請限度
(平成 12.3.2 総理府令第 15 号、平成 12.12.15 総理府令第 150 号改正)
評価値 : LAeq
時 間 の区 分
区 域 の区 分
昼 間
夜 間
1
a 区域及び b 区域のうち 1 車線を有する道路に面する区域
65dB
55dB
2
a 区域のうち 2 車線以上の車線を有する道路に面する区域
70dB
65dB
3
b 区域のうち 2 車線以上の車線を有する道路に面する区域及び c 区域
のうち車線を有する道路に面する区域
75dB
70dB
(1) a 区 域 : 専ら住 居の用に供される区域
(2) b 区 域 : 主として住 居の用 に供される区 域
(3) c 区域 : 相当 数の住 居と併せて商 業 、工 業等の用に供される区 域
幹 線道 路 を担 う道路に接近する区 域(二 車線 以 下の車 線を有 する道 路の場 合は道路の敷地の境界 線から 15m、
二車 線を超 える車線 を有 する道 路の場 合は敷 地の境界 線から 20m までの範 囲をいう。)に係る
限度の特例: 昼間 : 75 dB、夜 間 : 70dB。
d. 深 夜 騒 音 等 の 規 制
カラオケ騒 音 のような深 夜 騒 音 、拡 声 器 騒 音 の規 制 は、地 方 公 共 団 体 が規 制 するのが適 切 であるので、
条例により規制が行われている。
(3)
航空機騒音規制
① 騒音基準適合証明制度
国際民間航空機構(ICAO)の航空機騒音基準に基づいて、航空法 20 条で省令で定める航空機につ
いて検査し基準に適合している場合に交付する。これを受けていないと航空の用 に供しえない。違反は罰
せられる(同法 20 条の 2)
② 環境基準
WECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)の値を、住民用地域 70 以下、それ以外の地域で通常の生
活を保全する地域 75 以下にする。地域類型のあてはめは知事が行う。
なお、航空機騒音に係る環境基準の一部改正が平成 19 年 12 月に告示され、近年の騒音測定器の技
術的進歩及び国際的動向に即して、WECPNL から L den (時間帯補正等価騒音レベル)が採用され、平成
25 年 4 月 1 日に施行されることとなった。
③ 航空環境対策
空港周 辺整 備対 策については、「公共用 飛行場 周辺 における航空 機騒 音による障害の防 止等に関す
る法律」がある。同法は、騒音障害防止等のため、航空機の離着陸経路・時間・航行方法などを告示で指
定できるとする(同法 3 条)。
このほかに、「特 定 空 港 周 辺 航 空 機 騒 音 対 策 特 別 措 置 法」では、新 東 京 国 際 空 港が指 定 されている。そこ
では空港周辺航空機騒音障害の防止と合理的土地利用としての「防止地区」などが定められ、建築制限等が
課せられる。
防止行為の助成(第 3 条)、住宅防音工事の助成(第 4 条)、移転の補償等(第 5 条)、緑地帯の整備等(第
6 条)、損失補償(第 13 条)を規定している。
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表 5 航空機騒音に係る環境基準
(昭和 48.12.27 環境庁告示、平成 12 年改正環境省告示第 78 号)
地域の類型
基準値(WECPNL)
Ⅰ
70 以下
AⅡ
75 以下
飛行場の区分
達成期間
新設飛行場
第三種空港及びこれに準ずるもの
既
設
(注) Ⅰをあてはめる地 域は専 ら住居の用に供される地 域とし
Ⅱをあてはめる地域 はⅠ以 外の地 域であって通 常の生
活を保全 する必要がある地 域とする。
第二種空港
A
(除、福岡空港)
B
新東京国際空港
直ちに
−
5 年以内
−
5 年以内に 85WECPNL 未満とすること、
10 年以内
または 85 以上の地域において屋内で 65
以下とすること
飛
①
行
場
改善目標
5 年以内に 85WECPNL 未満とするこ
10 年を超え
と、または 85 以上の地域において屋内
第一種空港(除、新東京国際空港)
る期 間 内 に
で 65 以下とすること
及び福岡空港
可 及 的 速 ②
やかに
10 年以内に 75WECPNL とすること、
または 75 以上の地域において屋内で
60 以下とすること
(注) 第二種空港 のうち、B とはターボジェット発動機を有する航空機が定期航空運送事業として離着陸するものを
いい、A とは B を除くものをいう。
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