ハイリスク薬のポイントブック

ハイリスク薬のポイントブック
精神神経用剤
~抗うつ剤・躁病・躁状態治療剤編~
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目
次
◆ 参考 診療報酬におけるハイリスク薬の考え方 ・・・・ 1
◆薬学的管理指導において特に注意すべき事項 ・・・・・・・ 2
◆気分障害について 〔参考〕新型うつ病について ・・・・・・ 4
抗うつ剤
◆対応時の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
◆服薬指導 全般の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
□服薬指導のポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
□患者家族への指導 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
□過量服薬防止・自殺予防 ・・・・・・・・・・・・・ 9
◆うつ病・状態、抑うつ患者に「禁忌」な薬剤 ・ 10
◆抑うつ、うつ状態を起こしやすい薬剤 ・・・・ 10
◆抗うつ剤の世代分類と特徴 ・・・・・・・・・・・ 10
【各製剤概要】
■SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤) ・・・・・ 11
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)
パロキセチン(パキシル) ・ セルトラリン(ジェイゾロフト)
■SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)・ 14
ミルナシプラン(トレドミン) ・ デュロキセチン(サインバルタ)
■三環系抗うつ剤
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
アミトリプチリン(トリプタノール)
イミプラミン(トフラニール、イミドール)
クロミプラミン(アナフラニール)
トリミプラン(スルモンチール) ・ ノルトリプチリン(ノリトレン)
■トリアゾロピリジン系
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
トラゾドン(レスリン、デジレル)
■ベンズアミド系
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
スルピリド(アビリット、ドグマチール)
■NaSSA(ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤)・・21
ミルタザピン(リフレックス、レメロン)
◆うつ病の概要
:診断 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
:気分変調性障害(気分変調症)とは ・・・ 22
:症状・経過予後・検査所見・目的 ・・・・・・ 22
躁病・躁状態治療剤
◆対応時の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆服薬指導 全般の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・
□服薬指導のポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・
□患者家族への指導 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆躁病・躁状態のある患者に「禁忌」な薬剤 ・
◆躁病・躁状態治療剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
【各製剤概要】
■気分安定薬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アモキサピン(アモキサン) ・ ドスレピン(プロチアデン)
炭酸リチウム(リーマス) ・ カルバマゼピン(テグレトール)
ロフェプラミン(アンプリット)
バルプロ酸(デパケン)
■四環系抗うつ剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
セチプチリン(テシプール)
マプロチリン(ルジオミール)
ミアンセリン(テトラミド)
■非定型抗精神病薬
25
25
26
28
28
29
29
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
オランザピン(ジプレキサ)
◆双極性障害(躁うつ病)の概要 ・・・・・・・・・ 31
:病状、病状評価、疫学、経過、予後
□抗うつ剤一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
□双極性障害(躁うつ病)一覧 ・・・・・・・・・・・ 37
*( )は主な商品名
この冊子は、現在、愛知県薬剤師会 情報室と岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センターが共同し
県薬剤師会ホームページの会員情報に提供している『ハイリスク薬の薬学的管理指導 薬局向け参
考資料』より作成しました。
近年、「向精神薬等の処方せん確認の徹底等について」薬食総発 0910 第 1 号厚生労働省医薬食
品局総務課長(平成 22 年 9 月 10 日)でも見られるように、精神神経用剤が注目されています。
そこで、今回はハイリスク薬の精神神経用剤の中の「抗うつ剤・躁病・躁状態治療剤」について冊
子にまとめました。日常業務にお役立てください。
参考 診療報酬におけるハイリスク薬の考え方
ハイリスク薬の薬学的管理指導を実施する上で必要な、薬局・薬剤師が行うべき標準的な業務を
示したものが、
「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第 1 版)」
[(社)日本薬剤師会 平成 21 年 11 月 24 日]です。このガイドラインは、平成 22 年度厚生労働
省保健局医療課改定時説明会、厚生局集団指導にて特定薬剤管理指導加算の参考にするものです。
特にハイリスク薬については、5-Components を意識した服薬指導が望まれています。
① 薬剤の効果(作用)
:どういう効果があるか、いつごろ効果が期待できるか
② 副作用(副作用の自覚症状)
:どのような副作用が起こりうるか、いつ頃から、どのように自覚されるか
③ 服薬手順
:どのように、いつ、いつまで服用するか、食事との関係、最大用量、服用を継続する
意義
④ 注意事項
:保管方法、残薬の取り扱い、自己判断による服薬や管理の危険性
⑤ 再診の予定(次回受診日)
:いつ再診するか、予定より早く受診するのはどのような時か
平成 22 年 4 月 1 日より設けられている特定薬剤管理指導加算は、患者に対する薬学的管理や指
導を充実させるため、特に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)が処方された際に、そのハイ
リスク薬の効果や関連副作用の自覚症状の有無などを確認するとともに、服用に際しての注意事項
などを詳細に説明し、かつ、指導を行った場合に算定できます。
個々の患者さんを薬剤のハイリスクから守るため、薬局薬剤師が投薬時に患者さんと対面におい
て、情報収集し考え、フォロー・指導を行うものであり、画一的な内容では網羅しきれない綿密な
薬学的管理指導です。患者さん又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点につい
ては、薬剤服用歴の記録に記載することが基本となります。
-1-
◇うつ・躁状態・躁病治療時における
薬学的管理指導において特に注意すべき事項
・ 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
・ 原疾患の症状と類似した副作用(錐体外路症状、パーキンソン症候群等)や致死的副作用
(悪性症候群、セロトニン症候群等)のモニタリング
・ 薬識が不足している患者及び患者家族への教育とアドヒアランス
・ 薬物の依存傾向を示す患者等に対して、治療開始時における適正な薬物療法に関する情
報を提供
・ 自殺企図等による過量服薬の危険性のある患者の把握と服薬管理の徹底
・ 転倒に関する注意喚起
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◆ 気分障害について
気分障害は、代表的な内因性の精神疾患で、古代ギリシャの医師ヒポクラテスが病状を躁状態とうつ状態
に分類したことから、この疾患の研究が始まったとされている。
気分障害の特徴的な症状
うつ状態
特徴的な症状
感情障害
躁状態
理由もなく憂うつな気分になり、すべてが面
気分の高揚、活動性の増多、睡眠要求の減
白くないと感じる抑うつ気分。
少、自尊心が肥大と、刺激性が亢進。
喜怒哀楽の感情が薄れて、無感情の状態。
思考障害
①思考形式の障害
①思考形式の障害
思考のテンポが遅くなり、判断力、決断力が
観念が次々と湧き出し、理論的思考が不可
低下し、重症化すると思考制止を起こす。
能になり、まとまりがなくなる。
②思考内容の障害
②思考内容の障害
罪業妄想、貧困妄想、心気妄想が特徴的。
自分は天才であると述べるなどの誇大傾向
を示し、周囲に対し、尊大・傲慢な態度をと
る。重症化すると、誇大妄想が出現する。
意欲・行為の
精神運動が静止した状態となり、やるべきこ
感情の高揚とともに欲動も亢進し、多動とな
障害
とがわかっていながら、億劫でできなくなる。
る。意欲の亢進が強くなると、行為心迫の状
態となり、手当たり次第に何かしようとする。
身体症状
睡眠障害はうつ病患者の 90%以上に出現
早期覚醒や睡眠時間減少などの睡眠障害
する。入眠障害、中途覚醒、早期覚醒などが を起こすが、不眠の訴えはない。食欲、性欲
あらわれ、朝方に気分が悪く、離床しにくい。
は亢進し、集中力がなくなる。
一部の患者では、夜間に不眠がないにもか
かわらず、昼間も眠いという睡眠過剰の傾向
を示す。食欲不振、便秘又は下痢も高頻度
に認められる。性欲は極端に低下することが
多い。
神村
英利編著:精神科の薬と患者ケア Q&A,じほう,2009
-2-
気分障害は、病的気分とそれに随伴する自律神経及び精神運動性機能の障害が主たる臨床像である精神
障害の一群であり、単一の疾患としてよりは、数週間から数ヵ月にわたって持続し、個人の日常生活機能
を著しく障害し、しばしば挿間的ないし周期的に繰り返す傾向のある徴候と症状の集合からなる症候群と
考えられる。
気分障害は、うつ病性障害と双極性障害(抑うつ状態と躁状態の両方が起こる、従来躁うつ病と言った
障害)に大別され、気分障害における気分症状、気分が低下または高揚している期間(病相)のことを気
分エピソードと呼び、症状鑑別にあたっての診断基準となる。
気分エピソードと気分障害の分類
気分エピソードの分類
大うつ病エピソード
躁病エピソード
軽躁病エピソード
混合性エピソード
気分障害の分類
うつ病障害
大うつ病性障害
気分変調性障害
双極性障害
双極Ⅰ型障害
双極Ⅱ型障害
気分循環性障害
その他
一般身体疾患による物質性誘発性
気分障害(うつ病・双極性障害):薬局 Vol.61、No.4、2010 より
うつ病性障害には、大うつ病(単極性うつ病)、気分変調性障害、特定不能うつ病性障害が含まれ、こ
れらの障害では躁状態が既往歴に存在しない。大うつ病は抑うつ気分だけが気分障害としてあらわれ、患
者数は気分障害の約 8 割を占めており、人口の 1 割以上の人が罹るといわれている。
うつ病の病因は不明であるが、脳内セロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなどのモノアミンが関連
していること、遺伝的要因が強いこと、再燃しやすいことなどが示されている。大うつ病障害の平均発症
年齢は 20 歳半ばが最も多く、40 歳までに発症するものが半数を占めるとされるが、40~50 歳で初発す
る例も多くある。男女比は 1:2 と女性の方が多く、女性ホルモンの特性、出産の影響、女性特有の心理
社会的ストレス要因、遺伝的要因が理由として考えられる。また、うつ病になりやすい人には几帳面、生
真面目、勤勉、義務感が強く、仕事熱心、凝り性、融通が利かないなどの性格が多いといわれるが、最近
では自己への愛着が強く、回避的で自己よりも他者の責任を追及する人格傾向におけるうつ状態も注目さ
れている。
-3-
〔参考〕新型うつ病
注)
注)専門用語ではありません
21 世紀に入り、従来のうつ病と異なる新しいタイプのうつ病が増え始めた。
俗にいう新型うつ病の臨床的な特徴は、10 歳代後半~30 歳代の若年層に多く、
① 周囲の人たちの些細な一言で傷ついてしまう、
② 情緒面の起伏がかなり激しく、自己の感情のコントロールがまったく出来なくなってしまう、
③ 攻撃的になるなど他責傾向が強い、
④ 自己愛的な性格傾向を有する、
⑤ 幼い頃から「良い子」を演じたり、親などの顔色をうかがったりする傾向が強かった、
⑥ 自分なりのルールや価値観を重視する傾向が強い、
などがあげられる。また、典型的なうつ病では抑うつ気分や意欲の低下などの抑うつ状態が全般的にみ
られるのに対して、新型うつ病では過食、過眠等の身体症状がみられ、自分の好きなことはできるが、嫌
いなことはできない、仕事に出かけるというときは、うつ病の精神症状や自律神経症が出現し、仕事終了
後や休日には症状が顕在化しないという。
新型うつ病の場合、軽く背中を押す程度の励ましがむしろ必要なことが多く、休養することがいつも良
いとは限らない。
薬物療法は、SSRI、SNRI を第一選択とするのが現実的であるが、効果はそれ程期待できない。
典型的なうつ病と俗にいう新型うつ病の違い
典型的なうつ病
新型うつ病
中高年(特に男性)に多い
若年(特に女性)に多い
社会の秩序・ルールを重視
自分の秩序・ルールを重視
几帳面
ルーズ
大好きなことでもできない
好きなことはできるが、嫌いなことはできない
早朝から午前中にかけて調子が悪い
夕方から夜間にかけて調子を崩す
夕方頃は比較的元気
自己犠牲的、献身的態度
自己愛的傾向
自責的で罪悪感をもつ
他責的傾向が強い
自分の発言に控え目で慎重
他人の些細な一言に傷つく
人に頼まれると断れない
人に頼まれても断れる
うつ病であることを認めたがらない
積極的に受診し、自ら診断書を求める
休職中も症状が出る
休職中は症状が出ない、復帰すると再発
不眠、食欲低下
過食、過眠
周囲は励ましてはいけない
軽く背中を押す程度の励ましが必要
薬物療法は効果的
薬物療法はあまり効かない
病識は比較的強い
病識は薄い
〔参考〕福西
神村
勇夫:非定型うつ病,医学のあゆみ Vol.233 No.2,192-195,2010
英利:現代型うつ病ってなに?,精神科の薬と患者ケア Q&A、じほう,2009
うつ病Q&A,日本うつ病学会ホームページ,2011
-4-
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抗うつ剤
<対応時の注意>
1.ゆっくりと話をして、患者の話を聞く
2.
「頑張れ」などと励まさない
患者は励ましに応えられないことで自分を責めるため、患者のペースを大切に考える。
3.患者に接する際の基本は「安心」を与える。
「優しい」、「暖かい」雰囲気で対応する
同じ説明でも「○○しなければダメ」と言うよりは「○○すれば大丈夫」と説明するなど伝え方を工夫
する。
4.相手に即して対応する(先入観や偏見を持たない)
一般的には非常識なこと(例えば、幻覚、幻聴など)であっても、病気自体が由来する状況から患者に
とっては現実的な可能性がある。
5.対応者によって説明が違うことで不安を与えない
医師からどの様に説明を受けたのか尋ねたりして、医師、薬剤師及び薬剤への不信感を持たさない。
6.ポジティブな方向への説明を心がける
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□服薬指導
うつ状態の治療には、薬物療法を中心に長期間の服用が必要となる。
▼全般の注意
(「精神科薬剤師業務標準マニュアル」日本病院薬剤師会精神科病院特別委員会編より)
1.患者は、うつ病を疲労や心労の結果と考え、自分の能力や努力が足りないために発病したと、自分
を責め苦しんでいることが多い。したがって、うつ病は病気であることをよく説明し、精神的負担を
軽減させる。
2.うつ病の治療は医師に委ね、指示通りに薬物治療等を行えば必ず軽快できることを理解してもらう。
3.
「頑張って下さい」など患者を一方的に励ます言葉は、患者を突き放した言い方に受け取られる。さ
らに患者の自責感・絶望感を強めることにもなるので、「一緒に頑張りましょうね」等の痛みを共有
する言い方を心掛ける。
4.うつ病は再発する可能性が高く、一進一退を繰り返しながら軽快していくことが多いことを説明す
る。
5.患者との信頼関係を構築し、決して自殺しないように、また万が一そのような気持ちになったとき
は、必ず相談するように約束させる。
6.うつ病の患者は理解力・判断力を備えた人が多いので、主治医の了解の上で薬剤の効果(発現まで
の時間など)から予想される副作用(口渇、眠気、倦怠感など)まで情報提供したほうがコンプライ
アンスの良い傾向がある。
7.重要な問題の決定は病状が安定するまで延期する。
□自殺念慮、自殺企図
抗うつ剤の投与により、24 歳以下の患者*で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があ
る。また、自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に一包化するなど服薬管理を
行う。
*
24 歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現リスクの上昇は認められず、65 歳以上においてはそ
のリスクは減少した。
□効果発現
抗うつ剤の効果発現には 1~3 週間、
効果が実感できるまでに 1~2 ヵ月程度かかることがあるため、
効果がすぐに現れないからと自分の判断で服用を中止することがないよう説明する必要がある。
-5-
□アクティベーション・シンドローム(賦活症候群)
抗うつ剤の投与開始初期(多くは 2 週間以内)や増量後に不安や焦燥などの症状を伴う場合がある。
主な症状として、不安、焦燥感、不眠などの比較的軽度なものから、易刺激性(イライラ)、衝動性、
敵意、攻撃性、パニック発作、アカシジア、軽躁、躁などの重症な事象まである。ただし、この状態は、
一過性のものであるが、衝動性などの症状から自傷行為・自殺行為に至るおそれがある。抗うつ剤開始
9 日までに自殺関連事象の危険性が高いと示唆されている。
アクティベーション・シンドロームは高齢者よりも若年齢の方が生じやすく、女性では他害行為の念
慮が高く、男性では実際に他害行為に至る割合が高い。
□中止後の発現症状(中止後症候群)
1 ヵ月以上抗うつ剤を服用した後、急激に中断することで、吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、めまい、倦
怠感、睡眠障害、アカシジアやパーキンソン症状等が数日~1 週間以内に現れる。高濃度からの急速中
断では、軽躁状態、低濃度からの急速中断では攻撃性や衝動性を生じやすいとの報告がある。発現した
症状は、ほとんどの場合そのまま数日すれば改善する。
□維持療法
うつ病初発例の約 50~60%が再発されるといわれ、再発を繰り返すごとに次の再発率が高くなって
いく。十分な効果が見られたら、その量を 6 ヵ月~1 年間継続し、症状の再燃がなければ、さらに 6 ヵ
月~1 年間かけて漸減中止する。症状の再燃が見られたら、それ以前の量まで一旦戻し、減量をやり直
すことが推奨されている。
<服薬指導のポイント>
□患者の自覚症状を確認する
・気分・意欲障害・・・・憂うつ、気分が落ち込んでいる、希望がない、声が小さい、不安感、気力の低下、
疲労感、焦燥感(イライラする、じっとしていられない)など
・思考障害・・・・集中力・思考力が落ちている、無価値感、悲観的、自責感など
・身体症状・・・・睡眠障害、食欲不振、体重の減少、全身倦怠感、頭痛など
・投与開始、投与量を変更する際は、患者の状態や病態の変化を観察する
□服薬状況の確認
・医師の指示どおりに決められた時間に、決められた量を服用できているか
・効果が現れるまで 2~4 週間の服用が必要であることが理解されているか、またこの間に一過性の不
安や増強、不眠をみることがある
⇒ ベンゾジアゼピン系抗不安剤、睡眠剤が有効である。
・服用に不安を持ち、自己判断で投与量を変えていないか
⇒ 投与を中止する際は、患者の状態を見ながら数週間または数ヵ月かけて徐々に減量する。また、
減量、中止後に耐えられない症状があらわれた場合は減量または中止前の用量に戻し、より緩やかに
減量する
・自殺目的の大量服用に気をつける
□リスク因子の有無
・気分障害の誘因の有無・・・近親者の死亡、病気、転勤、結婚、離婚、昇進など
・パーキンソン病、認知症、糖尿病、更年期、産後、自己免疫疾患などの有無
・自殺念慮・自殺企図の既往
・患者の性格・・・几帳面、生真面目、勤勉、義務感が強く、仕事熱心、凝り性、融通が利かないなどの
性格か、または自己への愛着が強く、回避的で自己よりも他者の責任を追及する性格か
・妊娠または妊娠する可能性
□他の疾患にかかっていないかの確認
・緑内障、閉尿(排尿困難)、心筋梗塞・不整脈などの心疾患
・躁うつ病
・てんかん等のけいれん性疾患
-6-
□他の薬剤の併用
・うつ病患者に投与禁忌・・・レセルピン、バレニクリン(禁煙補助剤) →ホームページ一覧参照
・うつ病を起こしやすい薬物・・・副腎皮質ホルモン、インターフェロン、レセルピン、β遮断剤、Ca拮
抗剤、抗ヒスタミン剤、経口避妊薬など
・薬物を投与後に「気分が落ち込んだ」、
「不安やイライラが出た」、
「眠れなくなった」
、
「食欲がなくな
った」などの症状がないか
・ワーファリン、抗血小板剤
・肝代謝酵素における阻害・誘導作用により影響する薬剤と併用はないか
□生活習慣の確認
・食事・・・食欲不振または過食になっていないか、適正な食事をとっているか
・体重の変化
・睡眠状況
・十分な休養をとっているか
・自動車の運転
・アルコール摂取の有無
□服用忘れの対応
・飲み忘れもなく、指示どおりに服用できているか
・医師の説明を理解しているか
・服用に対して不安、質問がないか
□副作用の発症の有無を確認
・転倒
・眠気、めまい・・・自動車の運転など危険を伴う機械操作する際には十分注意させる
・SSRI、SNRI・・・吐気、嘔吐、性機能異常、不安、焦燥、興奮、発熱、発汗など
・NaSSA・・・眠気、不安、焦燥、興奮、体重・食欲の増加など
・三環系・四環系・・・口渇、便秘、閉尿、起立性低血圧、眠気、錐体外路症状など
→資料4 抗うつ剤の注意すべき副作用と初期症状一覧:ホームページ参照
各種抗うつ剤で抗コリン作用による副作用が高頻度に出現することが知られており、抗うつ効果よりも副
作用の方が早く出現することがある。
抗うつ剤の副作用と薬理学的作用
薬理学的作用
抗ヒスタミン作用
抗コリン作用
抗α1 アドレナリン作用
抗α2 アドレナリン作用
5-HT2A 刺激作用
5-HT2c 刺激作用
5-HT3 刺激作用
副作用
体重増加
眠気
便秘
口渇
閉尿
霧視
洞性頻脈
認知機能障害
平衡機能障害
起立性低血圧
眠気
持続性勃起
不安
アカシジア
不眠
性機能障害
焦燥
食思不振
嘔気、下痢などの消化器症状
頭痛
眠気、めまい、ふらつき、起立性低血圧などの副作用がある場合は、転倒に注意する。
-7-
抗うつ剤の副作用とその対策
分類
副作用
原因
対策
モサプリド(ガスモチン)、ドンペリドン(ナウゼリン)追加
悪心・嘔吐
性機能障害
セロトニン再取り込み阻害
トラゾドン(レスリン、デジレル)、ミアンセリン(テトラミド)
(セロトニン受容体刺激)
に変薬
I
R
S
S
下痢
トリメプチン(セレキノン)追加投与
α遮断剤(ナフトピジル(フリバス))、タムスロシン(ハル
閉尿
頭痛
ナール)など)、コリン作動剤(臭化ジスチグミン(ウブレ
ノルアドレナン再取り込み阻害
チド))追加投与
(ノルアドレナン受容体刺激)
ベンゾジアゼピン系抗不安剤追加投与
頻脈
SSRI に変薬
I
R
N
S
血圧上昇
うがい、白虎加人参湯やエチルシステイン(チスタニン)
口渇
便秘
追加投与
SSRI、SNRI に変薬
ムスカリン受容体阻害
運動、水分摂取、緩下剤追加投与
(抗コリン作用)
コリン作動剤(臭化ジスチグミン(ウブレチド))追加投与
閉尿
三環系
起立性低血圧
催眠・鎮静
体重増加
SSRI に変薬
減量、ミドドリン(メトリジン)、ドンペリドン(ナウゼリン)追
α1 アドレナリン受容体阻害
加投与
α1 アドレナリン受容体阻害
減量、1 日 1 回投与
ヒスタミン H1 受容体阻害
ヒスタミン H1 受容体阻害
SSRI に変薬
ムスカリン受容体阻害
QT 延長
α1 アドレナリン受容体阻害
減量、SSRI に変薬
β受容体阻害(キニジン様作用)
その他
持続性勃起
α2 アドレナリン受容体阻害
減量
〔参考〕今日の治療薬 2009,南江堂
・主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査で、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系
抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
□OTC薬や民間療法の使用状況の確認
・健康食品や民間薬などを摂っていないか、また摂りたいと考えていないか
・・・セントジョーズワート、バレリアンなど
・漢方薬・・・加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯など
・むやみに OTC 薬や民間薬を使用して、薬物療法の妨げにならないよう注意し、治療薬との併用に問
題がないか確認する
□家族への協力
・自殺のサイン(自殺を口にするなど)を家族に説明しているか
・長期薬剤の服用の必要性が理解できているか
・医師への連絡先の確認ができているか
・薬剤管理の協力ができるか
・本人と家族の両方から情報収集ができるか
-8-
□患者家族への指導
・うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、投与開始早期ならびに投与量
を変更する際には、不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカ
シジア、精神運動不穏、軽躁、躁病等の行動の変化及び基礎疾患悪化患者の状態及び病態の変化を注意
深く観察するよう説明する。
・自殺目的での大量服用をする可能性があるため、自殺傾向が認められる場合は、医師と相談のうえ、家
族の協力を得て厳重な薬剤管理を行う。
・薬物療法が終結した場合でも再燃・再発の可能性があることを説明し、初期に治療が再開できるように、
うつ病の症状を事前に知らせておく。
〔参考〕「抗うつ薬(SSRI/SNRI)を処方する際に留意するべき点」
自殺のサイン(自殺予防の十箇条) 「自殺総合対策大綱の概要」(パンフレット)より
次のようなサインを数多く認める場合は、自殺の危険が迫っています
1. うつ病の症状に気をつけよう (気分が沈む、自分を責める、仕事の能率が
落ちる、決断できない、不眠が続く)
2. 原因不明の身体の不調が長引く
3. 酒量が増す
4. 安全や健康が保てない
5. 仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
6. 職場や家庭でサポートが得られない
7. 本人とって価値のあるもの(職、地位、家族、財産)を失う
8. 重症の身体の病気にかかる
9. 自殺を口にする
10. 自殺未遂に及ぶ
(「SSRI/SNRI を中心とした抗うつ薬適正使用に関する提言」日本うつ病学会より)
(1) 若い患者に処方する場合はより注意深い観察が必要である。
(2) 女性では他害行為の念慮・企図が出ることがあるが、男性に比べて実行に移すことが少ないのに対
して、男性では他害行為につながる傾向があることを認識すること。
(3) 過去の病歴を十分聴取し、過去に衝動的行動歴がある場合には処方するか否かを含め慎重な判断を
する。
(4) 主病名が「うつ病」や「大うつ病」ではなく、
「うつ状態」
「不安障害」
「双極性障害」
「脳器質疾患
のうつ状態」などの場合には、特に慎重な投与が必要である。
(5) 他の精神障害、パーソナリティ障害がある場合には、ない場合よりも慎重かつ細やかな観察をする。
(6) 「アクティベーション・シンドローム」が生じている場合には、他者への攻撃性とともに自殺のリ
スクについても注意を払う。
□「過量服薬防止・自殺予防」
(「薬局・薬剤師の年間カレンダー」平成 23 年 2 月~4 月:日本薬剤師会編より)
患者背景を踏まえた服薬指導や治療・服薬に対する患者の理解促進、服薬状況の確認や適切な介入、服
薬状況に関する処方医との連携など、薬剤師が当然行う業務をよりきめ細やかに行うことが、過量服薬等
を未然に防ぎ、自殺への結びつきを予防することにつながる。
「薬剤師が行う過量服薬対策、自殺対策への取り組み」についての薬局での具体的な取り組み例をあげ
る。
-9-
●薬局・薬剤師の取り組み例 -薬剤師は、過量服薬のリスクの高い患者のゲートキーパー-
○うつ等の病態や薬物治療に関する知識習得(行政や関係団体等の研修機会の活用など)
○知識普及・啓発
・ 「眠れていますか?」等の国民に分かりやすい気づきのきっかけの提供
○早期発見
・ 一般用医薬品の睡眠改善薬の常用者(連用者)
、大量購入者への声かけ、受診勧奨
・ 来局者とのコミュニケーションから得る様々な情報(不眠などのうつ病のサイン、自殺企図などの
SOS サイン)から、かかりつけ医や専門医療機関、各種相談機関との連携
○適切な薬物治療の提供(過量服薬リスク者への対応を含む)
・ 適切な服薬指導による患者の服薬意義の理解の向上(お薬手帳の積極的活用など)
・ 処方内容の確認と医師への疑義照会、提案(種類・量、過量・重複、処方間隔等)
・ 患者のコンプライアンス管理(服薬状況の確認、効果の確認、副作用や相互作用の確認(自殺企図の
副作用等))
・ 患者への声かけ、相談応需、情報提供、指導・副作用症状の注意(服薬自己中止、過量服薬に関する
指導等も)
・ 処方医への疑義照会、情報提供、提案
・ 適切な薬物治療の継続のための効果的な介入(服薬指導の工夫など)
・ 専門医以外で処方された向精神薬服用中の患者や、自殺企図の危険性がある医薬品を服用中の患者に
ついて注意深い観察と対応
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆うつ病・うつ状態、抑うつのある患者に「禁忌」な薬剤
→資料2 うつ病・うつ状態、抑うつのある患者に「禁忌」と記載のある薬剤一覧:ホームページ参照
抗コリン作用を有する薬剤は、緑内障、閉尿(排尿困難)、心筋梗塞・不整脈などの心疾患の症状を悪
化される可能性がある。また、躁うつ病、自殺念慮・自殺企図の既往のある患者に注意する。
◆抑うつ、うつ状態を起こしやすい薬剤
→資料3
添付文書に「抑うつ」や「うつ状態」等の副作用の記載がある薬剤一覧:ホームページ参照
治療目的で投与された薬物によって、うつ病が生じることがある。うつ病を起こしやすい薬物として
は、副腎皮質ホルモン、インターフェロン、レセルピン、β遮断剤、Ca 拮抗剤、抗ヒスタミン剤、経口
避妊薬などが報告されている。特に副腎皮質ホルモンは 40mg/日を超えると起こしやすいので、要注意
する。(最近では、10mg/日台で抑うつ状態を惹起する可能性も指摘されている。
)
これらの薬物を投与後に「気分が落ち込んだ」、
「不安やイライラが出た」
、
「眠れなくなった」、
「食欲が
なくなった」などの訴えには薬物によるうつ病の可能性を疑う必要がある。
◆抗うつ剤の世代分類と特徴
①第一世代(三環系)
:治療効果は確実で、重症うつ病に対しては SSRI や SNRI を凌ぐという報告があ
る。しかし、抗コリン作用が強く、心毒性等の副作用も多い。適応や用量設定に注意
する必要がある。
②第二世代(四環系):第一世代の三環系より治療効果はやや劣るが、副作用は軽減されている。効果発
現の早い薬剤もある。
③第三世代(SSRI)
:三環系抗うつ剤に代わり、第一選択薬として使用されるようになっている。第二世
代の四環系より治療効果はやや弱く、作用発現が遅い。抗コリン作用は弱く、心毒性
も極めて弱いが、投与初期に悪心等の消化器症状の副作用が多い。有効なのは、単極
-10-
性うつ病、うつ状態に有効であるが、双極性障害に対しては効果が劣る。
うつ病以外のパニック障害、強迫性障害などの効能を持つ。
④第四世代(SNRI)
:SSRI と共に三環系抗うつ剤に代わり、第一選択薬として使用されるようになって
いる。第一世代に匹敵する効果があり、作用発現も早い。抗コリン作用は SSRI より
はややあるが、悪心は少なく心毒性も極めて弱い。うつ病に合併する慢性疼痛に有効
との報告がある。
⑤その他(トラゾドン)
:三環系や四環系とは異なる構造で、抗コリン作用より抗セロトニン作用を持つ。
抗うつ作用は相対的に強くない。
⑥新規(NaSSA) :モノアミン再取り込み阻害作用によらず、ノルアドレナリン神経及びセロトニン神
経の活動を高めることで神経伝達を促進する。投与 1 週間目から効果発現があり、眠
気の副作用があるため就寝前に投与する。
◆抗うつ剤一覧
→資料1
抗うつ剤一覧:P34 参照
【各製剤概要】
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
セロトニン再取り込み阻害作用に限局し、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用はないか極めて弱く、
三環系・四環系抗うつ剤と異なり抗コリン作用、抗ヒスタミン作用、キニンジン様作用、α1 受容体遮断
作用をほとんど持たない。
単極性のうつ病エピソード、メランコリー症状、気分変調症に対する効果は確立されている。
<SSRI共通注意事項>
1.18 歳未満の患者への投与には厳重な注意が必要
2.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者には使用しない
3.保険上の適応症が薬剤よって異なる
4.効果発現までに2~4週間を要する
5.投与中止(突然の中止)を避ける
6.眠気、めまい等があらわれることがある
7.セロトニン症候群の出現に注意する
□消化器系障害
悪心、嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器症状が最も頻度の高い副作用である。悪心は 20%程度の患
者に出現し、ときには嘔吐を伴うが、投与初期に出現し、継続して服用すると 2~3 週間以内に次第に消
失する。出現は、用量依存的で、5-HT3、5-HT4 受容体刺激性が関与している。対処法として、食直後の
服用、服用前に牛乳を飲むなど症状の軽減に努めるか、モサプリド(ガスモチン)など 5-HT3 作動剤を
もちいる。
□不眠・眠気
SSRI は用量依存性に REM 睡眠量を減少し、REM 睡眠潜時を遅延させるため不眠を訴える場合があ
る。この不眠に対しては、睡眠持続作用のあるミアンセリン、トラゾドンの併用が有効である。
□焦燥感、自殺念慮、アクティベーション・シンドローム
→P5~6 「自殺念慮、自殺企図」、
「アクティベーション・シンドローム」参照
投与初期や増量後に不安、焦燥、パニック発作、不眠、衝動性、若年者の自殺念慮が出現することがあ
る。これは、5-HT2 受容体刺激が関与していると考えられる。
特にパロキセチン(パキシル)においては、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあり、18 歳未満
の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討するという警告がついている。
□頭痛
投与初期に片頭痛と筋緊張性頭痛を増悪させるが、服用を続けると 2~3 週間以内に軽減し消失すると
される。
-11-
□中断症候群
急激な中断もしくは減量により吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、めまい、倦怠感などが生じる。半減期の短
い薬物に生じやすく(パロキセチン≧セルトラリン)
、減量・中止後 1 週間以内に出現し、持続期間も 2
週間以内で症状が重い場合には、いったん減量前の用量まで増量することで軽減することがある。
□セロトニン症候群
中枢セロトニン活動亢進によって生じるもので、SSRI 単剤でも生じるが、MAO 阻害剤との併用では
発生頻度が高くなるため、併用禁忌である。セロトニン作動剤の投与開始や増量により発現し、精神変調
(錯乱、軽躁)、焦燥、ミオクローヌス、発汗、悪寒、振戦、下痢、発熱などのうち3項目以上がみられ
る。異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。
また、シプロヘプタジン(ペリアクチン)やプロプラノロール(インデラル)で症状が改善する。セロト
ニン作動剤の中止によりほとんどの例では 1~2 日以内に症状は消失する。
〔参考〕セロトニン症候群の診断基準(Sternbach による)
A.
セロトニン作動薬の投与開始や増量に一致して、次の症状のうち少なくとも 3 つを認める
① 精神状態の変化(錯乱、軽躁)
② 焦燥
③ ミオクローヌス
④ 反射亢進
⑤ 発汗
⑥ 悪寒
⑦ 振戦
⑧ 下痢
⑨ 協調運動障害
⑩ 発熱
B.
他の病因(例えば感染、代謝疾患、精神作用物質乱用やその離脱)が否定される
C.
上記の症状と徴候の出現に先だって抗精神病薬の投与開始や増量が行われていない
□性機能障害
男性における勃起障害、射精遅延や射精不能、両性における性欲低下等は、セロトニンとの関連が示唆
され、SSRI においては頻度(20~40%)が高い。海外での臨床試験において、SSRI が精子特性を変化
させ、受精率に影響を与える可能性が報告されている。
□その他の副作用
・躁転 →三環系抗うつ剤と異なり躁転は少ないとされるが、SSRI による治療中に躁病エピソードや軽
躁病エピソードが誘発されることがある。特に双極性障害の家族歴が存在する場合などは症
状の変化に注意する。
・錐体外路症状 →アカシジア、パーキンソン症状、ジストニア、ジスキネジアなどの錐体外路症状の発
現頻度は少ないが出現することがある。
・悪性症候群 →SSRI 単独で発現することはまれであるが、抗精神病剤と併用された場合には発現する
可能性がある。
・あくび →ドパミン、セロトニンやアセチルコリン受容体などの刺激によりあくびが引き起こされる
□相互作用
CYP 関連:
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)
:阻害 1A2(強)、3A4、2D6(主)
、2C19
パロキセチン(パキシル):阻害 2D6
セルトラリン(ジェイゾロフト):2D6(主)、2C19、2C9、2B6、3A4
-12-
・SSRI と三環系抗うつ剤の併用は三環系抗うつ剤の血中濃度を上昇し、中毒域に至る可能性がある
→抗コリン作用による口渇、便秘、排尿障害、α1 遮断作用による起立性低血圧、キニジン様作
用による心伝導障害
・MAO 阻害剤(セレギリン塩酸塩、エフピー)
→脳内セロトニン濃度が高まり、セロトニン症候群があらわれることがある。MAO 阻害剤を投
与中あるいは投与中止後 2 週間以内の患者には投与しないこと。また、本剤の投与中止後 2
週間以内(フルボキサミン:少なくとも 1 週間以上)に MAO 阻害剤の投与を開始しないこと。
・セロトニン作用剤(トリプタン系薬剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤など)
、L-トリプトファン、
炭酸リチウム、セントジョーズワート
→セロトニン作用が増強され、錯乱、発熱、ミオクローヌス、振戦、協調異常、発汗等の副作用
が発現。また、セントジョーズワートはセロトニン作用を有する。
・出血傾向が増強する薬剤(非定型抗精神病剤、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤、アスピリン等
の非ステロイド系抗炎症剤、ワルファリン等)
→SSRI の投与により血小板におけるセロトニンの取り込みを阻害することにより血小板凝集能
が阻害され、併用により出血傾向が増大することがある。
□飲食・健康食品などとの併用
→資料5 健康食品・サプリメント等食品との相互作用一覧:ホームページ参照
・セントジョーンズワート、L-トリプトファンを含む健康食品→セロトニン作用の増強
・アルコール(飲酒)→作用の増強
□妊娠中の服用
胎児への潜在的なリスクを考慮すると妊娠中は投与しないことが望ましいが、うつ病の増悪や再燃・再
発のリスクを考慮して使用する場合がある。使用にあたり慎重になり、投与量を減量しやすいが、妊娠中
は肝代謝の亢進と分布容量の増加が生じるため血中濃度を保つために投与量を増やさなければならない。
妊娠末期に SSRI を投与した場合に、新生児遷延性肺高血圧症のリスク増加、また、薬物離脱症状の発現
が報告されている。
1.フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)
強迫性障害、社会不安障害の適応をもつ。三環系抗うつ剤とほぼ同程度の効果を示すが、抗コリン作用
はほとんどなく、痙攣誘発作用、催不整脈作用、血圧低下作用は三環系に比べて弱い。
<注意事項>
→<SSRI共通注意事項>
・十分な水とともに服用し、かみ砕くと苦みがあり、舌のしびれ感があらわれることがあるため、かみ砕
かないよう指導する。
2.パロキセチン(パキシル)
パニック障害、強迫性障害、社会不安障害の適応をもつ。1 日 1 回夕食後の投与。
他の SSRI と比較すると抗コリン作用が強く、体重増加、性機能障害、中断症候群が多いという報告があ
る。
<注意事項>
→<SSRI共通注意事項>
・警告: 自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、18 歳未満の大うつ病性障害患者に投与
する際には適応を慎重に検討すること
3.セルトラリン(ジェイゾロフト)
パニック障害の適応を持つ。肝薬物代謝酵素 CYP の影響は少ないが、他の SSRI と比較すると下痢を起
こしやすい。
<注意事項>
→<SSRI共通注意事項>
-13-
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
セロトニン及びノルアドレナリンの両モノアミンの再取り込みを阻害する。三環系・四環系抗うつ剤と
は異なり、抗コリン作用、抗ヒスタミン作用、α1 受容体遮断作用は弱い。
効果の面では三環系抗うつ剤に近く、SSRI と比較すると、実質的な差はみられないが、不安等の改善
に加え、意欲低下にも効果を示すため、わずかに有効性が高い可能性が報告されている。他の抗うつ剤に
比べて効果発現の時間が 1~2 週間と比較的速いので、急性期治療に使われる。また、反復性うつ病に対
する再発予防効果も実証されている。
<SNRI共通注意事項>
1.24 歳以下の患者への投与には厳重の注意が必要
2.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者には使用しない
3.前立腺肥大症等排尿困難のある患者、 緑内障又は眼内圧亢進のある患者、高血圧又は心疾患のある患
者、肝又は腎障害のある患者、躁うつ病、脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者、てんか
ん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者には副作用の発現に注意する
4.効果発現までに1~2週間を要する
5.投与中止(突然の中止)を避ける
6.眠気、めまい等があらわれることがある
7.セロトニン症候群の出現に注意する
□消化器系障害
→P11 SSRI「消化器系障害」参照
SSRI と同様に悪心、嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器症状の発現頻度は高い。
□心血管系
三環系と異なり心電図変化は来さないが、心拍数の増加、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれる可能
性があるので、高血圧又は心疾患の患者には注意する。
□排尿障害
SSRI や三環系抗うつ剤おける頻度以上に発生する。これは尿路に対するノルアドレナリン刺激の亢進
によると考えられる。
□焦燥感、自殺念慮、アクティベーション・シンドローム
→P5~6 「自殺念慮、自殺企図」
、「アクティベーション・シンドローム」参照
リスクは SSRI と同様と推定されるため、投与初期や増量後に不安、焦燥、パニック発作、不眠、衝動
性、若年者の自殺念慮が出現することがある。
□セロトニン症候群 →P12 SSRI「セロトニン症候群」参照
中枢セロトニン活動亢進によって生じるもので、MAO 阻害剤との併用では発生頻度が高くなるため、
併用禁忌である。
□中断症候群
減量・中止後 1 週間以内に吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、めまい、倦怠感などが生じ、持続期間も 2 週間
以内で、症状が重い場合には、いったん減量前の用量まで増量することで軽減することがある。
□その他の副作用
・躁転 →三環系抗うつ剤と異なり躁転は少ないとされるが、SNRI による治療中に躁病エピソードや軽
躁病エピソードが誘発されることがある。特に双極性障害の家族歴が存在する場合などは症状の
変化に注意する。
・体重増加や食欲増進 →抗ヒスタミン作用をもつ薬剤でおこり、投与1週間以内に体重増加がみられる
□相互作用
・セレギリン塩酸塩(エフピー)
→主にモノアミン酸化酵素阻害剤による神経外アミン総量の増加及び抗うつ剤によるモノアミ
ン作動性神経終末におけるアミン再取り込み阻害によると考えられている。
セレギリン塩酸塩中止後、本剤を投与する場合は、2 週間以上の間隔をあけること。また、
本剤投与後セレギリン塩酸塩に切り替える場合は、5 日ほど(ミルナシプラン:2~3 日)の間
-14-
隔をあけること
・セロトニン作用薬(トリプタン系薬剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤など)
、L-トリプトファン、
炭酸リチウム
→セロトニン作用が増強され、錯乱、発熱、ミオクローヌス、振戦、協調異常、発汗等の副作用
が発現。
・アドレナリン、ノルアドレナリン(特に注射剤)、降圧剤(クロニジン塩酸塩等)
→アドレナリン作用が増強することにより、心血管作用(血圧上昇等)を増強するおそれがある。
・バルビツール酸誘導体、ロラゼパム等
→相互に作用を増強することがある。
□飲食・健康食品などとの併用→資料5 健康食品・サプリメント等食品との相互作用一覧:ホームページ参照
・セントジョーンズワート、L-トリプトファンを含む健康食品 →セロトニン作用の増強
・アルコール(飲酒) →作用の増強
□妊娠中の服用
胎児への潜在的なリスクを考慮すると妊娠中は投与しないことが望ましいが、うつ病の増悪や再燃・再
発のリスクを考慮して使用する場合がある。使用にあたり慎重になり、投与量を減量しやすいが、妊娠中
は肝代謝の亢進と分布容量の増加が生じるため血中濃度を保つために投与量を増やさなければならない。
妊娠末期に SNRI を投与した場合に、呼吸窮迫、低血糖症、筋緊張低下、振戦等、また、薬物離脱症状と
同様の症状の発現が報告されている。
1.ミルナシプラン(トレドミン)
うつ病エピソードに対する効果は三環系うつ剤及び SSRI とも同等で、治療中断率は三環系抗うつ剤よ
り少ないことが示されている。血圧変化や心電図変化もみられないが、悪心・嘔吐・便秘などの消化器症
状、傾眠、頭痛、浮動性めまいなどの神経系症状や、排尿障害が投与初期に約 30%あらわれ、3 日以内に
約半数に悪心、嘔吐が発現することが報告されている。特に他の抗うつ剤に比べ排尿障害が多く発現する
ため、尿閉のある患者には禁忌である。
肝臓チトクローム P450 の影響を受けず、相互作用のリスクが少ない。
<注意事項>
→<SNRI共通注意事項>
・空腹時に服用すると嘔気、嘔吐が強く出現するおそれがある
・尿閉(前立腺疾患等)のある患者
2.デュロキセチン(サインバルタ)
セロトニン及びノルアドレナリンの再取り込み作用の他の受容体に対する親和性は低い。うつ病エピ
ソードに対する効果は SSRI とでは同等であり、
身体症状も含めた多様なうつ症状に対して有効である。
血漿蛋白結合率は 90%以上と高く、肝臓で主に CYP1A2 と CYP2D6 で代謝される。
<注意事項>
→<SNRI共通注意事項>
・高度の肝障害又は腎障害のある患者
・コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者
三環系抗うつ剤
アモキサピン(アモキサン)以外の三環系抗うつ剤は、分子構造に3つの環構造をもっている。このう
ち、側鎖に1つのメチル基をもつノルトリプチリン(ノリトレン)を 2 級アミン、それ以外の側鎖に2つ
のメチル基をもつものを 3 級アミンと呼ぶ。3 級アミンは生体内で 2 級アミンに代謝される。血漿中では
90%以上が蛋白質と結合し、脂溶性が高い。
三環系抗うつ剤は、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害する作用をもち、精神賦活作用
に優れているが、中枢性及び末梢性抗コリン作用、抗ヒスタミン作用、抗アドレナリン作用、α1 受容体
-15-
遮断作用も強いため、副作用が強く出る。
単極性のうつ病に有効であるが、双極性のうつ病には少なくとも単独での使用は推奨されない。
<三環系抗うつ剤共通事項>
1.24 歳以下の患者への投与には厳重の注意が必要
2.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者には使用しない
3.投与中止(突然の中止)を避ける
4.緑内障のある患者、閉尿のある患者、心筋梗塞の回復初期の患者には禁忌
5.心疾患のある患者、甲状腺機能亢進症の患者、躁うつ病、脳の器質的障害又は統合失調症の素因のあ
る患者、てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者には副作用の発現に注意する
6.眠気、めまい等があらわれることがある
7.セロトニン症候群の出現に注意する
□抗コリン作用を有する →緑内障のある患者、閉尿のある患者には禁忌
三環系・四環系抗うつ剤の頻度の高い副作用として、起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口
渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれる。重度となると、便秘は麻痺性イレウスに、排尿困難は
尿閉に至る。
投与中にコンタクトレンズを使用している場合、抗コリン作用により、涙液分泌を減少させるため角膜
上皮の障害があらわれるおそれがある。また、中枢性の抗コリン作用により精神症状(幻覚、せん妄、精
神錯乱、痙攣)が増悪される。抗コリン性の副作用はある程度は慣れが生ずるが、長期間服用していても
副作用は持続する。
高齢者では、特に副作用が起こりやすいので注意する。
□心毒性
三環系・四環系抗うつ剤は、キニジン様作用をもつ抗不整脈剤(Ⅰa 型)と同様な作用をももつため、過量
服用により心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈が発現することがある。
心電図上、T 波の平板化、QT 間隔延長、ST 低下がみられる。
心疾患の既往がある患者や高齢者には第一世代(三環系)の薬物は避ける。
□起立性低血圧
α1 アドレナリン受容体遮断作用による頻度の高い副作用である。高齢者や身体疾患を伴う者では失神
や転倒の危険があり、骨折や外傷につながる。
→資料6 転倒を引き起こす主な薬剤一覧:ホームページ参照
□鎮静・眠気
主として抗ヒスタミン作用により、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあ
る。これらの鎮静作用は、不眠や焦燥の強い患者には治療効果として利用できる。
□痙攣
三環系・四環系抗うつ剤は痙攣閾値を低下させる。投与量が大きいほどリスクも大きいが、実際の発現
には痙攣既往、家族歴、脳器質疾患の有無、アルコール、抗不安剤や睡眠剤などの使用と離脱の有無、発
熱や脱水の有無など多くの要因が関与する。
□体重増加
抗ヒスタミン作用によるとされるが、詳細は不明である。
□錐体外路症状
抗精神病剤に比べて頻度は少ないが、アカシジア、パーキンソン症状、ジストニア、ジスキネジアなど
の錐体外路症状などが出現することがある。
□性機能障害
男性における勃起障害、射精遅延や射精不能、両性における性欲低下は、ほとんどすべての三環系・
四環系抗うつ剤により生じる。これは、セロトニンとの関連が示唆される。
□躁転
三環系・四環系抗うつ剤による治療中に躁病エピソードや軽躁病エピソードが誘発されることがある。
特に双極性障害の家族歴が存在する場合などは症状の変化に注意する。
-16-
□モニタリング
血圧、心拍数、精神状態、体重の変動をチェックする。
□大量服用
三環系・四環系抗うつ剤は大量に服用した場合、せん妄、痙攣、腸管膀胱麻痺、不整脈、昏睡状態、呼
吸抑制に至る重篤かつ致命的な状態を生じうる。
大量服用の場合は抗コリン作用による消化管の活動低下のため吸収が遅延し、服用後 12 時間以内なら
ば胃洗浄が有効とされる。薬物の大部分(90%以上)は血漿蛋白と結合し、脂溶性で組織に広く分布して
いるため血液透析は効果がない。三環系・四環系抗うつ剤は比較的に半減期が長いので、2~3 日は症状
が持続する。
□中断症候群
三環系・四環系抗うつ剤においても中断症候群は、減量・中止後 2~3 日以内に生じる。症状として、
不安を伴う身体症状(食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、発汗、頭痛)、睡眠障害、パーキンソン症状、アカ
シジア、軽躁状態、不安発作、せん妄、不整脈が認められる。特に高用量を長期服用後に急激に中断する
と生じやすい。
□その他の副作用
・振戦・ミオクローヌス →不安・緊張によって誘発あるいは増悪する。
・錐体外路症状 →アカシジア、パーキンソン症状、ジストニア、ジスキネジアなどの錐体外路症状の発
現頻度は少ないが出現することがある。
・悪性症候群 →三環系・四環系抗うつ剤により発現する可能性がある。
・アレルギー反応 →アレルギー性の皮膚発疹が 2~4%に出現し、まれに肝機能障害や血液障害が生じ
る。
・う歯 →長期投与でう歯発現の増加を招くことが報告されている。
□相互作用
・セレギリン塩酸塩(エフピー) →セロトニン症候群
→主にモノアミン酸化酵素阻害剤による神経外アミン総量の増加及び抗うつ剤によるモノアミン
作動性神経終末におけるアミン再取り込み阻害によると考えられている。
セレギリン塩酸塩中止後、三環系抗うつ剤を投与する場合は、2 週間以上の間隔をあけること。
また、三環系抗うつ剤投与後セレギリン塩酸塩に切り替える場合は、2~3 日間の間隔をあける
こと。
・セロトニン作用薬(トリプタン系薬剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤など)
、L-トリプトファン、
炭酸リチウム
→セロトニン作用が増強され、錯乱、発熱、ミオクローヌス、振戦、協調異常、発汗等の副作用が
発現。
・抗コリン作動剤(トリヘキシフェニジル、アトロピン等)、アルコール、フェノチアジン系精神神経用
剤(レボメプロマジン等)
→作用が増強され、口渇、便秘、尿閉、視力障害、眠気等があらわれることがある。
・カリウム製剤
→三環系抗うつ剤の抗コリン作用により消化管運動が抑制され、カリウム製剤の消化管粘膜刺激が
あらわれやすい。
・アドレナリン作動剤(アドレナリン、ノルアドレナリン)
→三環系抗うつ剤は交感神経末梢へのノルアドレナリンの取り込みを抑制し、受容体のアドレナリ
ン作動性を上昇させ、作用を増強させることがある。
・降圧剤(グアネチジン硫酸塩、硫酸ベタニジン)
→アドレナリン作動性神経末でのグアネチジンの取り込みを阻害し、降圧作用を減弱させると考え
られる。
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体)
、全身麻酔剤(ハロタン等)
、抗不安剤(アルプラゾラム等)
、
アルコール、サリドマイド、フェノチアジン系精神神経用剤(レボメプロマジン等)
→いずれも中枢神経抑制作用を有するため抑制作用が増強されることがある。
-17-
・ST 合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)
→三環系抗うつ剤の作用を減弱するおそれがある。
・インスリン製剤(インスリン)
、スルフォニル尿素系糖尿病用剤(グリベンクラミド、グリクラジド)
→機序は不明であるが、他の三環系抗うつ剤でインスリン感受性を増強する等の報告がある。
□飲食・健康食品などとの併用 →資料5 健康食品・サプリメント等食品との相互作用一覧:ホームページ参照
・セントジョーンズワート、L-トリプトファンを含む健康食品→セロトニン作用の増強
・アルコール(飲酒)→作用の増強
□妊娠中の服用
胎児への潜在的なリスクを考慮すると妊娠中は投与しないことが望ましいが、うつ病の増悪や再燃・再
発のリスクを考慮して使用する場合がある。使用にあたり慎重になり、投与量を減量しやすいが、妊娠中
は肝代謝の亢進と分布容量の増加が生じるため血中濃度を保つために投与量を増やさなければならない。
三環系抗うつ剤を投与していた婦人から生れた新生児に痙攣発作、過呼吸、摂食不良、過剰発汗などの
中断症候群、また、抗コリン作用による便秘、排尿困難が認められている。
1.アミトリプチリン(トリプタノール)
夜尿症の効能をもつ。鎮静作用に優れているため、睡眠障害や焦燥感の強い症状に適しており、夕方以
降に服用することで、催眠効果も期待できるが、効果発現は遅い。
三環系抗うつ剤の中では、抗コリン作用が最も強く副作用が発現しやすい。
アミトリプチリンは代謝されてノルトリプチリンとなる。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
2.イミプラミン(トフラニール、イミドール)
夜尿症の効能をもつ。意欲高揚作用が強い、抑うつ気分、意欲の低下に有効であるが、鎮静作用や抗不
安作用は弱く、焦燥感や異常な興奮を惹起させることがあるため夕方や睡眠前の投与では睡眠障害(入眠
困難、浅眠)を引き起こす。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
3.クロミプラミン(アナフラニール)
夜尿症の効能をもつ。他の三環系抗うつ剤に比べて効果発現が速く、感情調整作用、不安・鎮静作用を
もつが、セロトニン取り込み阻害作用が強いためセロトニン症候群が出現することがある。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
4.トリミプラン(スルモンチール)
強い鎮静作用を併せもつため、不安、焦燥感、睡眠障害を改善し、食欲減退、性欲減退等の身体的兆候
を改善する。
肝臓チトクロームP450の影響を受けず、相互作用のリスクが少ない。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
5.ノルトリプチリン(ノリトレン)
他剤に比べて作用発現が速かであり、抑うつ、抑制、不安等のうつ病に随伴する精神症状や食欲不振、
頭痛、頭重、倦怠感、睡眠障害等の多彩な身体愁訴を改善する効果が優れている。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
6.アモキサピン(アモキサン)
ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用に対して選択性が高く、うつ病における行動抑制、不安症状、
思考抑制、希死念慮等に効果を示す。イミプラミン(トフラニール等)より速効性があり、抗コリン作用
は少ないが、代謝物がドパミン D2 受容体遮断作用をもつため、パーキンソン症候群やアカシジア、高プ
ロラクチン血症などを引き起こすことがある。
-18-
精神病性うつ病に期待ができ、単剤でも抗精神病剤を併用した場合とほぼ同等の効果を示す。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
7.ドスレピン(プロチアデン)
他の三環系抗うつ剤に比べて抗コリン作用が弱く、フリッカー試験のCFF 値(大脳の疲労や目の疲労の
指標)低下作用、唾液分泌抑制作用も弱い。
アミトリプチリン(トリプタノール)と同程度の抗うつ効果が得られる。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
8.ロフェプラミン(アンプリット)
イミプラミン誘導体で、効果発現が速やかである。抗コリン作用が弱いため、口渇、便秘やめまいなど
の副作用が弱く、鎮静作用、睡眠増強作用、筋弛緩作用、運動失調作用はきわめて弱い。痙攣助長作用は
認められておらず、循環器系に対する作用が弱いため、脈拍、心電図への影響が少ない。
内因性うつ病、反応性うつ病、退行期うつ病に、症状別では、抑うつ気分、動作・行動緩慢、意欲減退、
思考抑制、食欲減退、倦怠感、頭重・頭痛に改善が認められる。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
四環系抗うつ剤
四環系抗うつ剤は、三環系抗うつ剤の抗コリン性及びノルアドレナリンα1 受容体遮断作用による副作
用を軽減する目的で開発された。作用は他の抗うつ剤と異なり、シナプス間隙へのノルアドレナリンの放
出を抑制している前シナプスのノルアドレナリンα2 受容体を遮断し、脳内のノルアドレナリンの放出を
促進する。抗うつ効果は三環系抗うつ剤よりも弱いが、鎮静作用に優れており、心臓や血管系に対する影
響は少ないが、痙攣を誘発しやすい。
<四環系抗うつ剤共通事項>
→<三環系抗うつ剤共通事項> P14 を参照
1.セチプチリン(テシプール)
低用量でイミプラミン(トフラニール他)と同等の抗うつ作用を示し、ノルアドレナリン再取り込み阻
害作用とともにシナプス前α2 受容体遮断作用をもつ。効果発現は速効性であり、鎮静作用、催眠作用は
弱く、抗コリン作用による副作用や心毒性の発現も低い。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
2.マプロチリン(ルジオミール)
ノルアドレナリン再取り込み阻害作用が強く、三環系抗うつ剤より広いスペクトルをもち、抑うつ気分、
不眠、食欲不振、不安焦燥感などの症状に有効である。速効性で半減期が長いため夕方や就寝前の 1 日 1
回の投与が可能。抗コリン作用による副作用は三環系抗うつ剤よりやや少ないが、高用量を用いると痙攣
の発現頻度が高くなる。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
3.ミアンセリン(テトラミド)
ノルアドレナリン再取り込み阻害作用とともにシナプス前α2 受容体遮断作用をもち、不安、焦燥感の
あるうつ病に有効である。1 日 1 回の投与が可能で、比較的速効性があり、抗コリン作用は弱く、心毒性
はない。
<注意事項>
→<三環系抗うつ剤共通注意事項>
-19-
トリアゾロピリジン系
トラゾドン(レスリン、デジレル)
トラゾドンは、三環系、四環系とも構造が異なるトリアゾロピリンジン系の薬剤で、セロトニン再取り
込み阻害作用が強く、抗コリン作用は弱いが、抗ヒスタミン作用、抗アドレナリン作用があり、鎮静、催
眠作用が強く、熟眠効果があるので、不安・焦燥、SSRI による不眠に対して、有効である。抗うつ作用
は三環系抗うつ剤と同等である。
<注意事項>
1.24 歳以下の患者への投与には厳重の注意が必要
2.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者には使用しない
3.緑内障又は眼内圧亢進のある患者、排尿困難のある患者、心筋梗塞回復初期の患者及び心疾患の患
者又はその既往歴のある患者、躁うつ病、脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者、てんか
ん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者には副作用の発現に注意する
4.投与中止(突然の中止)を避ける
5.眠気、めまい等があらわれることがある
6.セロトニン症候群の出現に注意する
7.陰茎及び陰核の持続性勃起が起こることが報告されている
ベンズアミド系
スルピリド(アビリット、ドグマチール)
スルピリドは、ベンズアミド系のドパミン D2、D3、D4 受容体遮断作用をもつ薬剤である。
効果発現時期はアミトリプチリン(トリプタノール)とほぼ同様で、比較的少量で抗うつ作用が認められ、
気分変調症に対する有効性も示唆されている。妄想を伴ううつ病に対しては、抗うつ剤と併用して高用量
を用いることがある。
ドパミン受容体遮断作用をもつため、パーキンソン症状、ジストニア、ジスキネジアなどの錐体外路系
副作用の発現に注意する。
<注意事項>
1.心・血管疾患(QT 延長のある患者)、低血圧又はそれらの疑いのある患者の症状を悪化させるおそれ
がある
2.内分泌機能異常(プロラクチン値上昇)
、錐体外路症状等の副作用があらわれることがあるので注意す
る
3.肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている
4.腎障害のある患者では、高い血中濃度が持続するおそれがある
5.眠気、めまい、体重増加等があらわれることがある
6.セロトニン症候群の出現に注意する
NaSSA(ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤)
ミルタザピン(リフレックス、レメロン)
ミルタザピンは、中枢のシナプス前α2 アドレナリン自己受容体及びヘテロ受容体に対して拮抗作用を
示し、中枢のセロトニン及びノルアドレナリンの両方の神経伝達を増強する。5-HT1 受容体は遮断せず、
5-HT2 と 5-HT3 受容体の遮断作用によるセロトニンの神経伝達増大により、主に 5-HT1 受容体が活性化
される。ヒスタミン H1 受容体に対する強い遮断作用とα1 受容体に対する中程度の遮断作用がある。
他の抗うつ剤は作用発現に 2~4 週間程度かかるのに比べ、1 週間程度で効果が認められる。副作用とし
て抗ヒスタミン作用を有するため眠気の頻度が強く、食欲増加、体重増加がみられる。
-20-
<注意事項>
1.24 歳以下の患者への投与には厳重の注意が必要
2.自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者には使用しない
3.緑内障又は眼内圧亢進のある患者、排尿困難のある患者、高血圧又は心疾患のある患者、肝又は腎障
害のある患者、躁うつ病、脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者、てんかん等の痙攣性疾患
又はこれらの既往歴のある患者には副作用の発現に注意する
4.投与中止(突然の中止)を避ける
5.眠気、めまい、体重増加等があらわれることがある
6.セロトニン症候群の出現に注意する
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<うつ病の概要>
◆うつ病の診断
うつ病性障害の診断には、大うつ病エピソードの有無が必要とされる。大うつ病エピソードの基本的特
徴は、抑うつ気分または、ほとんどすべての活動における興味または喜びの喪失のいずれかが、2 週間以
上続くことにある。
大うつ病エピソードの診断基準(DSM-Ⅳ-TR)
A.
以下の①~⑨までの項目のうち、5個以上の項目(①か②のどちらかは必ず含ま
れる)が、毎日、2 週間以上続く
① 抑うつ気分(ほとんど一日中続く)
② 興味ないし喜びの著しい喪失(ほとんど一日中続く)
③ 体重あるいは食欲の変化(減少にないし増加)
④ 睡眠障害(不眠もしくは過眠)
⑤ 無価値感あるいは自責感
⑥ 自殺念慮(反復して起こる)あるいは自殺企図ないし明確な自殺の計画
⑦ 疲労感あるいは気分の減退
⑧ 思考力や集中の減退あるいは決断困難
⑨ 精神運動性の焦燥(イライラ落ち着かない)もしくは抑制(動きが少ない)
・観察項目:他者の判断によるもので、患者の主観ではない
B. 混合性エピソードの基準を満たさない
C. 症状が、本人に著しい苦痛をもたらすか、あるいは対人面、職業面などの機能障
害を引き起こしている
D. 乱用薬物や投薬あるいは身体疾患による症状ではない
E.
死別反応では十分に説明されない。すなわち、症状が 2 ヵ月を超える、あるいは症
状の程度が激しい
-21-
◆気分変調性障害(気分変調症)とは
軽症の抑うつ状態が長期間(2 年以上)持続することを特徴としている。抑うつ状態は大うつ病性障
害ほど重症ではないため、専門医による治療を受けていないことが多い。
気分変調症の診断基準(DSM-Ⅳ-TR)
A.
抑うつ気分がほとんど1日中存在し、それのない日よりもある日のほうが多く、患者自身の言明ま
たは他者の観察によって示され、少なくとも2年間続いている。
B.
抑うつのあいだ、以下のうち2つ、またはそれ以上が存在すること。
① 食欲減退、または過食。
② 不眠、または過眠。
③ 気力の低下、または疲労。
④ 自尊心の低下。
⑤ 集中力の低下、または決断困難。
⑥ 絶望感。
C.
この障害の2年の期間中(小児や青年については1年間)、1度に2ヶ月を超える期間、基準Aお
よびBの症状がなかったことはない。
D.
この障害の最初の2年間は(小児や青年については1年間)、大うつ病エピソードが存在したこと
がない。すなわち、障害は慢性の大うつ病性障害または大うつ病性障害、部分寛解ではうまく説
明されない。
ただし、気分変調性障害が発現する前に完全寛解しているならば(2ヶ月間、著明な徴候や症状
がない)、以前に大うつ病エピソードがあってもよい。さらに、気分変調性障害の最初の2年間(小
児や青年については1年間)の後、大うつ病性障害のエピソードが重複していることもあり、この
場合、大うつ病エピソードの基準を満たしていれば、両方の診断が与えられる。
E.
躁病エピソード、混合性エピソード、あるいは軽躁病エピソードがあったことはなく、また気分循環
性障害の基準を満たしたこともない。
F.
障害は、精神分裂病や妄想性障害のような慢性の精神病性障害の経過中にのみ起こるもので
はない。
G.
症状は物質(例えば、乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用や、一般身体疾患(例えば、甲
状腺機能低下症)によるものではない。
H.
症状は臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、他の重要な領域における機能の障害を引
き起こしている。
*大うつ病性障害や大うつ病エピソードの「大」は症状の程度の大小を示すものではない。
◆うつ病の症状
うつ病の初期は、睡眠障害、食欲低下など身体的な不調が前面にでるため、最初に内科に受診する場合
が 2/3 と最も多く、精神科や心療内科に受診するのは数%にすぎない。また、患者はたとえ気分の落ち
込みがあっても自分から精神疾患を訴えることはほとんどない。
-22-
うつ病の症状別分類
分類
感情障害
症状
抑うつ気分(憂うつ、悲しいく、希望がない、気落ちした)
興味・関心の低下
喜びの喪失、無感動
声が小さく、口調が遅い
不安感、焦燥感
意欲・行為障害
気力の低下、疲労感、倦怠感がほとんど毎日出現する
精神運動性の変化
焦燥(着座不能、足踏み、髪のかきむしりなど)
制止(思考制止、思考内容の貧困や無口)
離人症状(実在感の喪失、疎隔感、違和感を訴える)
思考障害
思考力、集中力の減退、決断困難
無価値感、罪責感
思考過程・思考内容の変化
悲観的、強い劣等感、自責感、虚無的・厭世的な考えの繰り返し
高齢者→妄想(①罪業妄想、②心気妄想、③貧困妄想)
被害妄想、否定妄想
強迫症状
高齢者→うつ病性仮性認知症(思考障害、見当識障害、記憶障害)
希死念慮
自殺念慮、自殺企図
身体症状
睡眠障害(90%以上の出現)
中途覚醒、早期覚醒、一部の患者で睡眠過剰
全身倦怠感、頭痛・頭重、腰痛などの身体諸所の痛み
動悸、息切れ
食欲低下、味を感じない、砂を噛んでいるように感じる
著しい体重の減少
季節性気分障害→食欲亢進、甘味や炭水化物の渇望
◆うつ病の経過
うつ病の特徴は多くの病相を反復し、病相間欠期は正常であるということである。病相を反復しても完
全に回復し、後遺症も残さないが、一部に寛解せず、遷延化、慢性化、神経症化するものがある。
大うつ病エピソードは、不安症状や軽い抑うつ症状を前駆期として、通常数日から数週かけて発現し、
典型的には 6 カ月以上続く。
大うつ病性障害の約 50~60%が 2 度目のエピソードをもつことが予測され、3 度目のエピソードをも
つ可能性は 70%、4 度目のエピソードをもつ可能性は 90%であり、5~10%は、のちに躁病エピソード
を発現する。
◆うつ病の予後
大うつ病性障害や双極性Ⅰ型障害の患者の自然経過を研究した結果によれば、1 年以内に 50%が回復
し、30%以下がその後の数年で回復したが、気分変調性障害が併存したものの回復は悪かった。また、回
復後の早期再燃が多く、大うつ病性障害の既往が数回または気分変調性障害が併存するものは特に多かっ
た。
最も深刻で悲惨な予後は自殺である。自殺は発病後 1~2 年に多く、10%前後にも及ぶ。家族歴に自殺
者をもつ場合は、家族歴をもたない患者の 2 倍と自殺率が高い。また、自殺の既往歴のある患者では、再
自殺企図の危険が高い。
-23-
予後不良の要因としては、気分変調性障害の併存、大うつ病性障害の数回の既往がある、アルコールや
薬物の乱用、不安性障害の存在などが考えられる。女性よりも男性の方が慢性の経過をとりやすい。
◆検査所見
海馬の委縮、左半球の前頭葉・側頭葉の血流低下、神経内分泌的な異常などが多く報告されているが、
確定診断に至るほどではない。
◆治療相における目的
うつ状態の治療には、患者にできるだけ早く休息をとらせ、日常生活上の精神的負担を軽減させる環境
整備を前提に薬物療法を行うのが基本とされ、電気けいれん療法(ECT)があり、経頭蓋磁気刺激(TMS)
による治療の研究も進められている。
主な目標は、うつ病の精神症状や身体症状が改善し、意欲が出て回復し、社会復帰できることで、うつ
病の再燃・再発や自殺予防を心掛けることが重要である。今まで自殺を企図したことのある患者の場合は
特に慎重な対応が望まれる。
うつ病の治療はおおまかに3つの治療相に分けて計画する。
①第1相(急性期)
:うつ病症状の速やかな軽減を目的
②第 2 相(継続期)
:寛解を保持し、再燃しないよう働きかけ、寛解が半年以上続き回復する
③第 3 相(維持期)
:再発しないよう予防する
うつ病の治療相と薬剤選択
相
期間
急性期
6~8 週
治療目標
寛解
推奨治療剤
第一選択:SSRI、SNRI
・不安障害:SSRI、SNRI
・重症うつ病:三環系抗うつ剤
・物質乱用、依存:イミプラミン、fluoxetine など
・パーソナリティ障害(人格障害):
非定型抗精神病剤、気分安定剤
・精神病像、焦燥:抗うつ剤と抗精神病剤の併用
・高齢者:SSRI、SNRI
継続期
維持期
急性期後
16~20 週
年単位
再燃を予防
再発を予防
急性期で用いて有効であった薬剤を継続し、用量を減
量しない
三環系抗うつ剤、SSRI、SNRI、ミルタザピン、リチウム
薬物療法が終結することになった場合は、抗うつ剤やベンゾジアゼピン系では退薬(離脱)症候が生じ
ることがあるため、数ヵ月かけて漸減中止とする。また、再燃・再発の可能性があるため、患者と家族に、
うつ病症状を説明し、治療が再開できるようにする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔参考〕精神医学講座担当者会議監修:気分障害ガイドライン第 2 版,医学書院,2010
尾崎紀夫他:うつ病,レシピ Vol.8 No.4,8-49,南山堂,2009
神村 英利他:精神科の薬と患者ケア Q&A、じほう,2009
伊藤文一:病気と薬パーフェクトブック 2010,薬局 Vol.61 No.4,975-985,南山堂
各医薬品
添付文書及びインタビューフォーム
(2011/02/08 更新)
-24-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
躁病・躁状態治療剤
<対応時の注意>
1.患者の興奮を誘発するような刺激的言動を避ける
一方的な説明とならないように配慮して、議論を避けて友好的な態度を保つ。
2.休養、服薬の必要性を説明する
病識に乏しく、病気に対する理解も得られにくいので、本人も自覚できる問題を取り上げ治療(服薬)の
必要性を説明する。
3.患者に接する際の基本は「安心」を与える。
「優しい」、「暖かい」雰囲気で対応する
同じ説明でも「○○しなければダメ」と言うよりは「○○すれば大丈夫」と説明するなど伝え方を工夫す
る。挑発するような一方的な説明にならないように十分配慮する。また、患者の挑発に対しても議論を避
け、丁寧かつ友好的な態度を保つ。
4.相手に即して対応する(先入観や偏見を持たない)
一般的には非常識なこと(例えば、幻覚、幻聴など)であっても、病気自体が由来する状況から患者にと
っては現実的な可能性がある。
5.対応者によって説明が違うことで不安を与えない
医師からどの様に説明を受けたのか尋ねたりして、医師、薬剤師及び薬剤への不信感を持たさない。
6.ポジティブな方向への説明を心がける
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
□服薬指導
急性期では多幸感により服薬指導を実施することが困難な場合が多いので、この時期は投与されてい
る薬剤の効果と副作用のチェックを中心に行い、症状が落ち着いてくれば服薬の必要性の説明を行う。
▼全般の注意
□維持療法
双極性障害は、躁病相とうつ病相を繰り返す慢性的な疾患で、初発の病相が終結した後、次の病相(再
発)までに数年を要する場合もある。再発や入院、自殺企図や衝動行為がいかに改善され、維持される
かは服薬の継続が重要とされる。双極性障害の最終目標である患者の社会復帰のためにも、薬に対する
疑問を解き、継続服薬の必要性、また予防療法は少なくとも 2 年間、可能であれば 3 年間は継続する必
要があることを理解してもらう。
再発予防の第一選択薬はリチウムが推奨される。リチウム予防治療中に再発した場合でもその程度や
気分変動を軽減することができるとされている。また、リチウム非反応者や副作用等で服用できない場
合は、バルプロ酸やカルバマゼピンによる療法も有用であるが、単剤より良好な予防効果が得られる場
合もあるので、リチウム非反応者であってもリチウムを中止せず他剤との併用療法も推奨される。
□再発の早期発見
再発の早期徴候を説明することで、医師へ適切に申告ができるようにして、早期に対処ができるよう
にしておく。多くの患者において、再発の早期徴候としては睡眠時間の短縮がみられ、この睡眠障害が
新たな躁病相の誘因になる可能性があるため、規則正しい睡眠パターンをとるように指導する。
□再発予防治療の中止時期
少なくとも 2 年間の再発予防治療で寛解が維持できた場合には再発予防の中止を考えるが、以前の病
相回数が多いほど、また病相の程度が重いほど予防療法の期間は長くなる。中止する際には、徐々に数
ヵ月かけて減量する必要があるので、患者もしくは家族に自己判断で急な服用中止をしないよう指導す
る。
□自殺念慮、自殺企図
典型的な躁病相における自殺は比較的まれであるが、混合病像をとる患者では自殺率は単極性うつ病
とほとんど変わらない。双極性障害に罹患した自殺者の 79%は自殺直前にうつ状態にあったとされ、
-25-
リチウムの長期にわたる維持療法が未遂および自殺行動の率を下げるとの報告がある。また、突然のリ
チウムの中止が自殺の危険を高める可能性があることが指摘されている。
□定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬
重症あるいは精神病性の躁状態の急性期治療において、抗精神病剤よりもリチウムの方が有効である
という結果が得られているが、リチウムの作用発現が遅いので、精神運動興奮、精神病像のある患者で
は効果が出るまで、症状をコントロールするための補助的治療として、以前は、気分安定薬の定型抗精
神病剤(ハロペリドール、レボメプロマジン等)が併用して用いられることが多かった。そのため錐体
外路症状や過鎮静が問題となることが多かった。近年では、非定型抗精神病薬(オランザピン等)が双
極性障害の治療(急性期治療)として気分安定薬と併用されることが増えていることにより、錐体外路
症状や過鎮静の副作用も改善されつつある。
<服薬指導のポイント>
□患者の自覚症状を確認する
・気分・意欲障害・・・・気分の高揚、多弁、多動、易刺激性など
・思考障害・・・・集中力・思考力の低下、観念が次々と湧き出す、理論的思考が不可能、まとまりがなく
なる、自己評価過大、傲慢など
・身体症状・・・・早朝覚醒、睡眠時間減少、食欲・性欲の亢進、集中力の低下など
・投与開始、投与量を変更する際は、患者の状態や病態の変化を観察する
□服薬状況の確認
・医師の指示どおりに決められた時間に、決められた量を服用できているか
⇒ 躁状態の場合、薬剤による鎮静を望まず服薬コンプライアンスは低い場合が多い
・服用に不安を持ち、自己判断で投与量を変えていないか
⇒ 中止する際には、徐々に数ヵ月かけて減量する必要があるので、患者もしくは家族に自己判断で
急な服用中止をしないよう指導する
⇒ 突然のリチウムの中止が自殺の危険を高める可能性があることが指摘されている
・ 大量服用に気をつける
⇒ 中毒症状の発現
・リチウムの効果が現れるまで 1~3 週間かかる
⇒ ベンゾジアゼピン系、ドパミン受容体拮抗剤、精神病用剤、バルプロ酸の併用
□リスク因子の有無
・気分障害の誘因の有無・・・軽躁病エピソードとうつ病エピソードを交互に繰り返す
・アルコールや物質(薬物)乱用をきたす
・家族歴
・自殺念慮・自殺企図の既往
・抗うつ薬による躁転
・出産直後または産後
・妊娠、妊娠している可能性がある
⇒ 妊娠中の薬剤の服用 リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンのいずれも、妊娠第1三半期(3
ヵ月)に服用した場合には、催奇性(二分脊椎・心房中隔欠損症・口蓋裂・尿道下裂・多指症・頭
蓋骨癒合症等)が高まることが知られている。一時的にリチウムの服用を中断し、妊娠後期に慎重
投与することもあるが、気分安定薬の中断が再発の危険性を高めると診断される場合は、全妊娠期
間を通じて継続されることもある。また、気分安定薬に準ずる予防効果をもつ非定型精神病剤の催
奇形性はリチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンより低いため治療に用いる場合がある。
□他の疾患にかかっていないかの確認
・肝障害、腎障害、心疾患、甲状腺機能亢進又は低下症のある患者
・リチウム・・・腎障害、心疾患、甲状腺機能亢進又は低下症の患者のある患者
・カルバマゼピン・・・緑内障、閉尿(排尿困難)
、心筋梗塞・不整脈などの心疾患
・てんかん等のけいれん性疾患
-26-
□他の薬剤の併用
・うつ病患者に投与禁忌・・・精神刺激剤
⇒ 行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化、幻覚、妄想、自殺念慮等の精神症状があ
らわれることがある
・うつ病を起こしやすい薬物・・・リバビリン、インターフェロン、オメプラゾールなど
・リチウム・・・非ステロイド性消炎鎮痛剤、利尿剤、ACE阻害剤などの併用
⇒ リチウム濃度の上昇
・バルプロ酸・・・カルバペネム系抗生物質
⇒ バルプロ酸の血中濃度が低下
・肝代謝酵素における阻害・誘導作用による影響のある薬剤と併用はないか
カルバマゼピン・・・CYP2C19で代謝し、CYP3A4などの代謝酵素誘導作用をもつ
・ワルファリンカリウム
□生活習慣の確認
・食事・・・食欲不振または過食になっていないか、適正な食事をとっているか
・体重の変化
・睡眠状況
・十分な休養をとっているか
・自動車の運転
・カフェイン、アルコール摂取の有無・・・利尿作用によりリチウム濃度の低下
・水分、塩分摂取量の確認・・・ナトリウム過剰摂取
⇒ リチウム濃度の低下
・ダイエット、高温、運動による過度の発汗、脱水、減塩食の有無・・・ナトリウム量の低下
⇒ リチウム濃度の上昇
□検査モニタリングの確認
血中リチウム濃度の測定を行っている場合は、患者に結果を尋ねるなどしてリチウム濃度に変動がな
いか、中毒域になっていないかを確認する
□服用忘れの対応
・飲み忘れもなく、指示どおりに服用できているか
・医師の説明を理解しているか
・服用に対して不安、質問がないか
□服用の必要性
・薬剤の説明と共に薬物療法の継続の必要性を説明する
⇒ 症状が落ち着いてからも 2~6 ヵ月間は再発予防のために服用を続ける必要がある
(維持療法について P25 参照)
・体内の水分・電解質の組成変化によりリチウム濃度が上下することを説明する
□過剰投与・中毒の発現
・リチウム・・・食欲低下、吐気、嘔吐、下痢、傾眠、振戦など
・カルバマゼピン・・・通常服用 1~3 時間後に、中枢神経障害(振戦、興奮、痙攣、意識障害、昏睡など)
が最も顕著で、心血管系の障害(血圧変化、心電図変化など)は通常は軽度であらわれる
・バルプロ酸・・・誤飲や自殺企図による過量服用により意識障害(傾眠、昏睡)、痙攣、呼吸抑制、高ア
ンモニア血症、脳水腫を起こした例が報告されている
□副作用の発症の有無を確認
・眠気、めまい・・・自動車の運転など危険を伴う機械操作する際には十分注意させる
・リチウム・・・体重増加、口渇、多尿、認知障害、不安、焦燥、興奮、発熱、発汗など
・カルバマゼピン・・・皮疹、複視、血液障害など
・バルプロ酸・・・発疹、脱毛、食欲亢進、激しい腹痛、発熱など
→資料3 躁病・躁状態治療剤の注意すべき副作用と初期症状一覧:ホームページ参照
-27-
気分安定薬の副作用
リチウム
カルバマゼピン
バルプロ酸
使用量に関係
口渇、多尿、体重増加、認
複視、眼振、倦怠感、悪心、
胃腸症状、肝機能障害、
した副作用
知障害、振戦、鎮静、協調
めまい、運動失調、皮疹、肝
振戦、鎮静、脱毛、食欲
運動障害、胃腸障害、脱
機能障害、白血球・赤血球減
亢進、体重増加、白血
毛、浮腫、心伝導障害、甲
少症
球・赤血球減少症
乾癬、嚢胞性ざ瘡、形態
再生不良性貧血、無顆粒球
肝機能障害、膵炎、顆粒
学的な腎変化
症、紅斑、剥脱性皮膚炎、低
球減少、多嚢胞性卵巣、
ナトリウム血症、低浸透圧血
抗アンドロゲン血症
状腺機能低下症
特異的副作用
症、甲状腺ホルモン低下、副
腎皮質ホルモン上昇、肝障
害、膵炎、心伝導障害
上島国利他:気分障害治療ガイドライン,医学書院,2010
□OTC薬や民間療法の使用状況の確認
・健康食品や民間薬などを摂っていないか、また摂りたいと考えていないか
カルバマゼピン・・・セント・ジョーンズ・ワート、グレープフルーツジュースなど
・むやみに OTC 薬や民間薬を使用して、薬物療法の妨げにならないよう注意し、治療薬との併用に問
題がないか確認する
□患者家族への指導
・リチウム中毒の初期症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、振戦、傾眠、錯乱、発熱、発汗等)があら
われた場合は直ちに医師に連絡をする
・自殺のサイン(自殺を口にするなど)を家族に説明しているか
・長期薬剤の服用の必要性が理解できているか
・医師への連絡先の確認ができているか
・薬剤管理の協力ができるか
・本人と家族の両方から情報収集ができるか
患者ならびに家族に対する、双極性障害の症状、病相経過、治療方法に関する一般的知識、服薬の
必要性、副作用、再発徴候などの説明が、服薬コンプライアンスを良好にし再発率を低くする。
急性期は病識に乏しく、病気に対する理解も得られないが、反応をみながら一方的な説明にならな
いように注意する。
気分障害患者と同居する成人家族の約半数が治療的介入を要する程の精神状態を呈するとの報告
があり、家族に対する精神療法的配慮も必要とされる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆躁病・躁状態のある患者に「禁忌」な薬剤
→資料2 躁病・躁状態、双極性障害のある患者に対して「禁忌」の記載がある薬剤一覧:ホームページ参照
精神刺激剤により、行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化、幻覚、妄想、自殺念慮等の精
神症状があらわれることがあるので注意する。また、抗うつ剤による躁転、自殺企図の症状の変化にも気を
つける。
◆躁病・躁状態治療剤(気分安定薬)
→資料1 躁病・躁状態治療剤一覧:P37 参照
現在、気分安定薬として考えられているのは、リチウムと抗けいれん剤のバルプロ酸、カルバマゼピン
の 3 成分である。
リチウムは、誇大感や高揚感をもった典型的な躁状態では極めて有効性を示し、治療反応性は 60~90%
と高い。バルプロ酸は、混合性エピソードやラピッドサイクラー(P32 参照)に対してリチウムよりも有
-28-
用性が見いだされている。
主な気分安定薬の特徴
気分安定薬
リチウム
特に有効な病型・症状
問題点
①躁優位
①有効率が 30~50%
②躁状態とうつ状態が明確かつ交互
②安全域が狭い
に出現する
③効果発現が遅い
③爽快気分
④離脱が難しい
⑤てんかん等の脳波異常、重篤な心疾患、
腎障害、脱水、塩分制限の患者、妊婦に禁忌
パルプロ酸
①躁うつ混合状態
①肝機能障害
②不快状態
②過量服用で傾眠、昏睡、振戦、けいれん、
③リチウム無効
呼吸抑制
④ラピットサイクラー
③カルバペネム系抗生物質併用禁忌
⑤脳波異常
⑥脳の器質的障害
カルバマゼピン
①躁病、躁うつ病の躁状態
①三環系抗うつ剤過敏症、重篤な血液障害、
②統合失調症の興奮状態
第II度以上の房室ブロック、ボリコナゾールを
③注意欠如・多動性障害、広汎性発
投与患者には禁忌
達障害などで高掲気分、興奮、衝動
②肝障害、重篤な血液障害、薬疹があらわ
的行動が顕著
れる
笹原
将生:精神科の薬と患者ケア Q&A,じほう,2009
【各製剤概要】
気分安定薬
1.炭酸リチウム(リーマス他)
リチウムは、一価の陽イオンを有するアルカリ金属で、体内に存在し水溶性である。
作用機序は、まだ完全に解明されておらず、多くの作用が複合的に関連して作用するものと推測されて
いるが、双極性障害の第一選択薬とされ、典型的な躁状態では極めて有効で、鎮静させることなく気分高
揚作用と意欲亢進作用を示す。急性期治療のみならず、再発予防にも有効で、一般的には 5~21 日程度
で反応がみられる。
服用後、容易に吸収され、2.6 時間後に最高血中濃度に達する。代謝を受けず腎から排出され、血中半
減期は約 18 時間である。安全域が狭いので、中毒症状の発現に注意する。
<注意事項>
1.用法・用量の遵守
2.効果発現が遅く、改善まで 2~3 週間の治療を必要とすることがある
抑うつ状態に対する効果発現は躁状態に比べると長く 6~8 週間の期間を必要とする
3.適切な水分、ナトリウムの摂取が必要である。脱水、塩分制限患者には禁忌である
4.運動中、サウナ、暑い日には注意し、水分の調節をはかる
5.利尿作用がある多量のコーヒー、茶、コーラを飲まないようにする
水分が低くなると中毒を起こしやすくなるため、水分は十分にとるよう指導する
6.消化管障害は、牛乳とともに服用することで減少するという報告がある
7.服用を忘れた時、次の服用まで 2 時間位あいている時は直ちに服用し、決して 2 回分を一緒に服用し
ない
8.中毒に関する注意について、患者及びその家族に十分徹底させる
安全域が狭いので、中毒の初期症状を説明する。
-29-
9.定期的に医師の診断を受けること
10.腎排泄性のため脱水や腎機能障害を合併している場合や腎機能の低下を認める高齢者への投与は気を
つける
11.めまい、眠気等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械
類の操作に従事させない
12.妊娠をしていないか又妊娠の可能性がないか確認する
また、妊娠を希望している場合は医師にその旨を伝えるようにする
2.カルバマゼピン(テグレトール他)
カルバマゼピンはイミノスチルベン誘導体の抗てんかん剤であり、鎮静・静穏作用を併せ持ち、躁状態
のみならず、統合失調症の興奮状態、注意欠如、多動性障害などの攻撃的行動にも有効である。抗操作用
の発現には 1~2 週間かかるとされ、リチウムとの比較では、カルバマゼピンの効果は同等とする報告も
あるが、やや劣るとする報告もある。
カルバマゼピンの消化管からの吸収は比較的緩徐であり、最高血中濃度は 4~24 時間後に得られ、そ
の 70~80%が血漿蛋白と結合し、未変化体の血中半減期は約 36 時間であるが、反復投与した場合には薬
物代謝酵素の自己誘導が起こるため 16~24 時間となる。
<注意事項>
1.緑内障のある患者、閉尿のある患者、心筋梗塞の回復初期の患者には禁忌
2.心疾患のある患者、甲状腺機能亢進症の患者、躁うつ病、脳の器質的障害又は統合失調症の素因のあ
る患者、てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者には副作用の発現に注意する
3.めまい、眠気等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械
類の操作に従事させない。
4.連用中は定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい
肝臓・血液・皮膚への副作用が発現していないか確認する
5.妊婦又は妊娠している可能性、または妊娠を希望しているかの確認をする
葉酸の欠乏による催奇形の危険性を軽減するためにも葉酸の投与が必要である
6.甲状腺ホルモン濃度を低下させるとの報告がある
3.バルプロ酸(デパケン他)
バルプロ酸は、低級脂肪酸の Na 塩であり、リチウムとともに急性躁病の第一選択薬とされるが、多幸
気分を伴う躁病に対してはリチウムと同等とされる。特に混合性エピソードやラピッドサイクラーに対し
てリチウムよりも有用性が見いだされている。効果発現が早く、治療域と中毒域が離れており、欧米では
最も多く使用されている。我が国では 2002 年に躁病および躁うつ病の躁状態に対する効能効果が認めら
れた。
バルプロ酸は、内服後速やかに吸収され、1~4 時間以内に最高血中濃度に達し、血中半減期は 8~15
時間である。徐放剤においては、最高血中濃度は 9~12 時間、血中半減期は、16~26 時間である。ほと
んどが肝で代謝され、蛋白質との結合が強く、他の薬剤との相互作用が起こる可能性が高い。
<注意事項>
1.投与初期 6 ヵ月以内に重篤な肝障害があらわれることがあるので、投与初期 6 ヵ月間は定期的に肝機
能検査を受けるように説明し、からだのかゆみ、全身けん怠感等の初期症状の発現を確認する
2.めまい、眠気等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械
類の操作に従事させない。
3.連用中は定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい
肝臓・血液・皮膚への副作用が発現していないか確認する
4.自殺企図の既往及び自殺念慮のある躁病及び躁うつ病の躁状態の患者には、症状を悪化する可能性が
あるので注意する
5.尿素サイクル異常症が疑われる患者においては、アミノ酸分析等の検査のアンモニア値の変動を尋ね
るなどして、十分な観察を行う
-30-
6.妊婦又は妊娠している可能性、または妊娠を希望しているかの確認をする
葉酸の欠乏による催奇形の危険性を軽減するためにも葉酸の投与が必要である
7.頻度は低いが、体重増加や脱毛がみられることがあるので、説明をしておく
非定型抗精神病薬
オランザピン(ジプレキサ)
5-HT2A/D2 受容体親和性比が高いだけではなく、多数の神経伝達物質受容体に対する作用を持つ。統合
失調症に対する急性期治療及び維持治療、双極性障害の躁状態の急性期治療(単剤、リチウム又はバルプ
ロ酸との併用療法)及び維持治療に適応症がある。錐体外路症状、過鎮静やプロラクチン遊離が少ないも
のの体重増加、脂質代謝異常や血糖値上昇といった副作用があるので注意する。
<注意事項>
1.著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス等の重大な副作用が発現し死亡に至る場合があ
るので、あらかじめ患者及びその家族に十分に、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このよう
な症状があらわれた場合には直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるように指導する。
また、低血糖が現れる場合もあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症
状にも注意する。よって、糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者には禁忌である。
2.主な副作用は、体重増加、傾眠、不眠、便秘、アカシジア、食欲亢進、トリグリセリド上昇である。
3.眠気、反射能力低下等があらわれることがあるので、高所の作業、自動車の運転等危険を伴う機械類
の操作等に従事させない。
4.体重増加に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な指導を行う。
5.治療初期に、めまい、頻脈、起立性低血圧等があらわれることがある。心・血管疾患(心筋梗塞ある
いは心筋虚血の既往、心不全、伝導異常等)、脳血管疾患及び低血圧が起こりやすい状態(脱水、血液
量減少、血圧降下剤投与による治療等)が認められる場合には注意すること。
6.制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕在化するこ
とがあるので注意すること。
7.抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、
四肢の疼痛、浮腫等がないか、観察を十分に行うこと。
8.外国臨床試験では安全性について良好な忍容性が示されており、国内臨床試験では最長 24 週間投与
の安全性評価はあるが、躁症状が改善した場合には、本剤を漫然と投与しないよう注意する必要がある。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<躁病・躁状態の概要>
◆双極性障害(躁うつ病)の病状
躁うつ病は、現在 DSM-Ⅳ-TR(精神疾患の診断と統計の手引き)診断基準に基づいて双極性障害と呼
ばれることが多い。
双極性障害は、躁病相とうつ病相を繰り返すあるいは混在する難治性の疾患で、Ⅰ型、Ⅱ型と分けてい
る。双極Ⅰ型障害は、明らかな躁病エピソードあるいは混合性エピソードが少なくとも 1 回以上存在し、
統合失調症、統合失調感情障害といった精神疾患ではうまく説明ができず、入院を要するような重症の躁
状態を示す。一方、双極Ⅱ型障害は、より軽症で持続期間も少なく軽躁エピソードと一時期的な大うつ病
エピソードが入れ替わる病状としている。
本疾患の躁病相の標準的な薬物療法は未だ確立していないが、主に気分安定薬としてリチウム、バルプ
ロ酸およびカルバマゼピンが用いられている。
1.躁病エピソードの症状(P32 表参照)
米国精神医学会で定義する診断基準「DSM-Ⅳ-TR(精神疾患の診断と統計の手引き)」によると、躁
病エピソードは異常に高揚して誇大的な気分またはいらいらした怒りっぽい気分が最低1週間以上持続
するか、または期間が短くても入院が必要な程であることと定義される。躁病エピソードを示す患者は、
自分が病気だという意識(病識)は乏しく、むしろ「好調」と考えていることが多く、治療を困難にする
-31-
場合が多い。初期治療の目的は、焦燥、攻撃性、衝動性などの症状を素早くコントロールすることである。
躁病エピソードの診断基準(DSM-Ⅳ-TR)
A.
高揚した、開放的な、または怒りっぽい気分が、以上かつ持続的な期間が、少なくとも
1 週間継続する(入院を要した場合はいかなる期間でもよい)
B.
Aの気分の障害が存在する期間中、以下の項目 3 個以上が持続し、しかも顕著である
(もし、Aの気分の障害が怒りっぽい気分だけの場合、以下の項目 4 個以上が必要)
① 自尊心が過度で、誇大的な考え方になる
② 睡眠に対する欲求が減る(例:3 時間しか眠らなくても十分と感じる)
③ 普段より多弁で、次々話したいという気持ちが強い
④ 考えが次々と頭に浮かぶ
⑤ 注意がそれやすい(重要性の低い、関連性のない事柄へ用意に注意が向く)
⑥ 目的指向性がある活動(社会的、職業や学校内、性的活動のいずれか)が高まる
か、精神運動性の焦燥が生じる
⑦ 後で困ったことになる可能性が高いのに、つい自分が楽しいこと(買い物への浪
費、性的無分別、馬鹿げた事業への投資など)に熱中する
C.
混合性エピソードの基準を満たさない
D.
気分の障害が、職業的機能や日常の社会活動または人間関係に著しい障害を引き起
こすか、あるいは自分を傷つけたり他者を傷つけるのを防ぐため入院が必要になる
か、あるいは精神病性の特徴がある
E.
乱用薬物や投薬あるいは身体疾患による症状ではない
注:生物学的な抗うつ治療(例:投薬、電気けいれん療法、光療法)によって引き起こされたことが明白な躁病エピソードの
症状は、双極性障害Ⅰ型の診断には繋がらない
2.軽躁病エピソードの症状
躁病エピソードと基本症状を含む症状項目はまったく同じであるが、期間が 4 日以上であり、その症
状は比較的強くなく、入院を要せず、社会的・職業的機能障害を起こすほどではない。
3.うつ病エピソードの症状
うつ病エピソードでは、大うつ病性障害と同様に抑うつ気分や活動への興味、喜びの著しい減退をはじ
め、易疲労性、気力の減退、思考力や集中力の減退、自殺念慮・企図などの症状がみられる。このため、
双極性障害のうつ病の治療目標は、単極性うつ病と同様にうつ病の症状を寛解し、抗うつ剤使用による躁
病エピソードへの躁転を防ぐことである。
4.混合性エピソードの症状
少なくとも 1 週間の間ほとんど毎日、躁病エピソードと大うつ病エピソードの診断基準を共に満たす状
態で、躁病とうつ病の症状が同時に起こり、気分の変動が激しいため、自殺の危険性が高い。このため、
治療には十分量な気分安定薬の投与が必要とされる。バルプロ酸がリチウムより有効性が高いとの報告が
あり、米国精神医学会では、第一選択薬にバルプロ酸が推奨されている。
5.ラピッドサイクラー(急速交代型)
大うつ病、躁病、混合性または軽症躁病のいずれかの診断基準を満たす気分障害が、1 年間に 4 回以上
発現する。ラピッドサイクラーは女性が多いため、性周期の関連性を見落とさないようにする。
初期治療には、気分安定薬の単独使用を考えるが、リチウム単剤に対する反応性はあまり良くないとさ
れるため、バルプロ酸またはカルバマゼピンの使用が推奨される。気分安定薬が無効あるいは部分的反応
の場合は、気分安定薬の併用または非定型抗精神病剤の追加を考慮する。また、抗うつ剤は病相頻発を加
速する可能性があるので、可能な限り一度は抗うつ剤の中止を考える。
◆双極性障害(躁うつ病)の症状評価
躁状態の症状(重症度)評価には、DSM-Ⅳ-TR による評価が有用である。
-32-
躁病エピソードの重症度評価(DSM-Ⅳ-TR)
1.軽症:躁病エピソードの最小限の症状の基準を満たす
2.中等症:活動性の著しい増加。または判断の障害
3.重症、精神病性の特徴を伴わないもの:自己または他者に対する身体的障害を防ぐためほとん
どいつも監視を必要とする
4.重症、精神病性の特徴(妄想や幻覚)を伴うもの:
①気分に一致した精神病性の特徴:妄想や幻覚でその内容が肥大した価値、権力、知識、
身分、神や有名な人物との特別なつながりなど、典型的な躁病性の主題に完全に合致し
ているもの
②気分に一致しない精神病性の特徴:上記のような躁病性の主題に完全に合致していない
もの(例:誇大的な観念や主題と直接関係のない被害妄想、思考吹入、被支配妄想など)
◆双極性障害(躁うつ病)の疫学
双極性障害の正確な原因は不明であるが、遺伝的因子の関与が大きく、双極性障害の患者の第一親族は
気分障害の発症率が極めて高く、環境因子も重なって、平均発症年齢は 17~29 歳と若年者で発症する場
合が多い。これは大うつ病性障害よりも早い。また、性差においては双極Ⅰ型障害は男女ほぼ同じ頻度で
発症するが、双極Ⅱ型障害は女性において頻度が高い。性別はエピソードの出現順位に関連しており、男
性では初回エピソードが躁病エピソードであることが多いが、女性の場合はうつ病エピソードであること
が多い。双極性障害の女性では、次のエピソードが出産直後に現れる危険性が高く、産後に初発する場合
もある。月経前期が現在進行中のエピソードの悪化と関連する。初発年齢が 40 歳を超えている場合は、
一般身体疾患や物質乱用による可能性に注意する。特に 60 歳を過ぎて発症した場合は脳血管障害などを
疑う。
双極性障害も統合失調症と同様に冬生まれに多く、人種または民族による有病率の違いは知られていな
い。その他、双極Ⅰ型障害は既婚者と比べて離婚者や独身者により多いとの報告がある。
◆双極性障害(躁うつ病)の経過
双極性障害の経過は大うつ病性障害の経過ほど順調ではないことが認識されるようになってきている。
最初のエピソードは、躁病、軽躁病、混合性、うつ病のいずれかで始まり、続いて症状がなくなる期間
が数年続く。90%以上が 2 回目以降のエピソードをもち、躁病エピソードと軽躁病エピソードのおよそ
60~70%が大うつ病エピソードの直前または直後に起こる。1 回目と 2 回目のエピソードの間が 5 年以
上の場合が多いが、その後はエピソードの間隔が狭くなっていく。経過の多様性がこの疾患の特徴である。
◆双極性障害(躁うつ病)の予後
病前の職歴の不良、アルコール依存、精神病性の特徴、抑うつ的特徴、病相間の抑うつ的特徴、男性で
あることは予後不良を示す要因で、躁病相が短期間、発症が遅い、自殺念慮がほとんどない、精神的・身
体的疾患を併発しないことは良好な予後を示す。
双極性障害の患者では離婚率が非常に高く 2~3 倍に達し、配偶者や児童虐待、生活、仕事の面にも影
響を及ぼす。
また、自殺の完遂率は平均して 19%で、双極性障害の患者だけに絞った場合では自殺率の報告はない。
自殺は女性よりも男性で起こりやすく、うつ病エピソードの間に起こることが多く、物質乱用や不安障害
は自殺リスクを高める。一般に晩年に躁病を伴う方がうつ病だけの患者に比べて死亡率が高い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔参考〕日本うつ病学会治療ガイドラインⅠ.双極性障害 2011
精神医学講座担当者会議監修:気分障害ガイドライン第 2 版,医学書院,2010
中島振一郎:うつ病に対する気分安定薬,薬局 Vol.60 No.7,67-75,南山堂,2009
神村 英利他:精神科の薬と患者ケア Q&A、じほう,2009
木村
健:45 疾患の薬学管理チェックシート,じほう,2008
各医薬品
(2011.03.10 改訂)
添付文書及びインタビューフォーム
-33-
SNRI
SSRI
分類
(旭化成=ヤンセン)
トレドミン
ジェイゾロフト
(ファイザー)
(グラクソ)
パキシル
(アステラス)
ルボックス
(明治製菓)
デプロメール
主な商品
(会社名)
デュロキセチン サインバルタ
(塩野義)
ミルナシプラン
セルトラリン
パロキセチン
フルボキサミン
一般名
主な抗うつ剤一覧
用法・用量(/日)
うつ病・うつ状態
うつ病・うつ状態
うつ病・うつ状態、
パニック障害
12
8
2~3回食後、50~
100mg
高齢者:60mgまで
1回朝食後、40mg
60mgまで
22.5~24.1
15
9~14
血中半減期
(h)
1回、50~100mg
① 1回夕食後、20~
40mg、40mg/日まで
①うつ病・うつ状態 ② 1回夕食後、30mg、
②パニック障害
30mg/日まで
③強迫性障害
③ 1回夕食後、40mg、
④社会不安障害 50mg/日まで
④ 1回夕食後、20mg、
40mg/日まで
うつ病・うつ状態、
強迫性障害、社会 50~150mg/日、2回
不安障害
効能・効果
+++
+++
±
±
-
NA
副作用
+++++
+++
+++++
+++++
++++++
±
±
-
+
-
++
+
++
++
++
±
-
++
-
±
起立性
5-HT 抗コリン作用 鎮静・眠気 低血圧
再取り込み阻害作用
+
-
-
-
-
心毒性
+
±/+
+
体重増
加
+
1A2、
尿:70%(代)
2D6(阻害) 糞:20%
・排尿障害
・空腹時に服用→
嘔気、嘔吐が強く
出現するおそれ
・セロトニン、ノルア
ドレナリンの再取り
込み作用の他の受
容体に対する親和
性は極めて低い
CYP1A2、2D6の阻
・身体症状も含めた
害作用を持つ
多様なうつ症状に対
して、良好
・米国では糖尿病性
神経因性疼痛の適
応有
・相互作用が少ない
・意欲高揚作用をも
つ
・有効性は四環系と
同等
・再燃抑制効果
・相互作用が少ない
尿:43.5%(ほ ・抗コリン作用が少
2C19、
ない
・最大効果発現に8
2C9、2B6、 とんど代)
・他のSSRIと同程度 ~12週かかる
2D6(主)、 糞:44.5%
の有効性
・下痢が生じやすい
3A4
(9日・14C)
・パロキセチンより退
薬症状、体重増加
が少ない
阻害:2D6
欠点
・消化器症状が多
・抗コリン作用がほ
い
とんどない
・かみ砕くと苦み、
・三環系とほぼ同程
舌のしびれ感があ
度の効果
らわれる
利点
特徴
・性器能障害
・抗コリン作用、抗ヒ
・体重増加が生じ
スタミン作用、抗アド
やすい
(62%代、2%未) レナリン作用の副作
・自殺念慮の報告
用が少ない
あり
尿:64%
阻害:1A2
(強)、3A4、 尿:94%
2D6(主)、 (70h・14C)
2C19
排泄
+/++ 関与しない 尿:85%
(48h・60%代)
++
性機能
障害
CYP
1/3
第
二
世
代
第
一
世
代
クロミプラミン
イミプラミン
26.9
8
11.1
2.7
1回10~25mgを3回分
割または1日量を2回
分割
150mg/日まで2~3回
分割
1~数回、25~75mg
効果不十分:150~
300mgまで
75~150mg/日、2~3
回
1回10~25mg、2~3回
150mg/日まで漸増、
適宜減量
うつ病・うつ状態(内
因性うつ病、反応
性うつ病、退行期う
つ病、神経症性う
つ状態、脳器質性
精神障害のうつ状
態)
ミアンセリン
四
環 マプロチリン
系
セチプチリン
ロフェプラミン
ドスレピン
アモキサピン
うつ病・うつ状態
うつ病・うつ状態
うつ病・うつ状態
うつ病・うつ状態
(シェリング・プラウ=第 うつ病・うつ状態
一三共)
テトラミド
(ノバルティス)
ルジオミール
(持田)
テシプール
(第一三共)
アンプリット
(科研=日医工)
プロチアデン
(ワイス=武田)
アモキサン
(大日本住友)
ノルトリプチリン ノリトレン
46
18
30~75mg/日、2~3
回、または1日1回夕食
後あるいは就寝前
30~60mg/日分割、ま
たは1日1回夕食後あ
るいは就寝前
24(β相)
24
50~100mg/日、200mg
まで適宜減量
うつ病・うつ状態
スルモンチール
(塩野義)
3~6mg/日 分割
21
①1~3回、50~100mg
、225mgまで
アナフラニール ①うつ病・うつ状態 ②6歳未満:1~2回、
(アルフレッサ)
②夜尿症
10~25mg
6歳以上:1~2回、25
~50mg
トフラニール
(万有)
うつ病・うつ状態
9~20
血中半減期
(h)
①25~200mg/日 分
割、適宜減量
①うつ病・うつ状態 (まれに300mg)
(ノバルティス)
②夜尿症
②幼児:1回、25mg
イミドール
(田辺三菱=吉富)
学童:1~2回、25~
50mg
用法・用量(/日)
15.1
効能・効果
①30~150mg/日 分
割、適宜減量
①うつ病・うつ状態
(まれに300mg)
②夜尿症
②就寝前、10~30mg
適宜減量
主な商品
(会社名)
アミトリプチリン トリプタノール
一般名
三
トリミプラン
環
系
分類
主な抗うつ剤一覧
++
*1
++++
++*1
++
++
++++
+++
+
++
+++
+
NA
-
-
-
-
+++
+
++
+++
++++
++++
++++
5-HT
再取り込み阻害作用
副作用
±/+
++
±/+
+/++
+++
++
++++
++++
++++
++++
+++++
+++++
+++
+++
+/++
+++
++
++
+++
++
+++
++++
+
++
+
++
++
+
+
++
++
++
+++
起立性
抗コリン作用 鎮静・眠気
低血圧
±
++
±
+
++
+++
++
+++
+++
+++
+++
心毒性
+/++
++
体重増
加
排泄
2D6
2D6
2D6
尿:40%
・他より効果発現が
速やか
・抑制の強いうつ病
患者に奏功
・不安、焦燥、睡眠
障害を改善
・身体的兆候の改善
・他の三環系より効
果発現が速い
・感情調整作用、不
安鎮静作用をもつ
・意欲高揚作用が強
い
・抑うつ気分、意欲
の低下に有効
・長期使用で体重
増加あり
・パーキンソン症候
群、アカシジア、高
プロラクチン血症を
引き起こす
・鎮静、抗不安作用
は弱い
・焦燥感や異常興
奮を惹起させること
あり
・睡眠障害あり
・広範囲の症状に有
効
・発疹、けいれんが
・速効性で半減期が 起こりることあり
長い
・速効性
・抗コリン作用が弱
い
・他の三環系より抗
コリン作用が弱い
・抗コリン作用は極
1A2、2D6、
14
めて弱い
C)
尿:70%(
3A4
・比較的速効性あり
(96h・ H、
未>90%)
3
尿(48%)
糞(13%)
(48h・代+未)
尿:21%
(72h・3H)
糞:55%
(ほとんど代)
尿:30%
(24h・代+未)
欠点
・効果発現が遅い
・抗不安作用も持つ
・抗コリン作用が最
仮面うつに有効
も強い
利点
特徴
・速効性
・抗コリン様作用が
(120h・代+未) 弱い
尿:59.5%
糞:7.6%
糞:少量
(代+2%未)
尿:62%
尿
2D6(主)、 尿:2/3
3A4、
糞:1/3
2C19、1A2 (抱合体)
2D6(主)、
尿:72%
3A4、
(24h・代+未)
2C19、1A2
2D6(主)、
尿:18%(未)
3A4、
糞:少量
2C19、1A2
CYP
±/+ 2D6
+
性機能
障害
2/3
一般名
(シェリング・プラウ)
レメロン
(明治製菓)
リフレックス
(アステラス)
ドグマチール
(大日本住友)
アビリット
(ファイザー)
デジレル
(シェリング・プラウ)
レスリン
主な商品
(会社名)
75~200mg/日、1~数
回
用法・用量(/日)
うつ病・うつ状態
1回就寝前、15~
30mg、45mg/日まで
①300~600mg/日、分
①統合失調症
割、1,200mgまで
②うつ病・うつ状態
②150~300mg/日、分
③胃・十二指腸潰
割、600mgまで
瘍
③150mg/日、3回
うつ病・うつ状態
効能・効果
23.2
6~15
6~7
血中半減期
(h)
++++
-
±
NA
*1
-
*2
-
++++
5-HT
再取り込み阻害作用
副作用
-
-
+/++
+++
+
++++
-
-
+
起立性
抗コリン作用 鎮静・眠気
低血圧
±/+
-
++
心毒性
+++
+
+
体重増
加
〔参考〕櫻井美由紀他:ハイリスク治療薬2009,じほう
三輪 高市:抗うつ薬の副作用がうまく防げない,月刊薬事 Vol.51 No.7,47-52,2009
グッドマン・グルマン:薬理書 第11版,廣川書店
-:影響なし ±:どちらでもない +:軽度 ++:中等度 +++:中等度~高度 ++++:高度 +++++:最大
代:代謝物 未:未変化体
*1:シナプス前α2アドレナリン受容体遮断作用による
*2:NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤):シナプス後5-HT2及び5-HT3受容体を阻害し5-HT1受容体刺激
NaSSA ミルタザピン
ベンズア
スルピリド
ミド系
トリアゾ
ロピリジ トラゾドン
ン系
分類
主な抗うつ剤一覧
3
(24h)
尿:27.8%
(24h・代+未)
尿:39%
排泄
尿:75%
1A2、2D6、 (168h・14C、
3A4
未<5%)
糞:15%
3A4(主)、
2D6
CYP
H、14C:放射能活
-
-
++
性機能
障害
・錐体外路症状に
注意
・高プロラクチン血
症に注意
欠点
・投与1週目より効果
発現
・持続的な効果
・体重増加
・消化器症状が少な
い
愛知県薬剤師会 薬事情報室('10.06)
・抗うつ作用は相対
的に強くない
利点
特徴
3/3
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平成 23 年 3 月作成