岩国地域 魅力度アップ戦略報告書 (対象地域:岩国市、本郷村、錦町、美川町、美和町) 岩国地域における、岩国(市街)と玖北地域では、観光資源とそれに伴う観光客の 客層、アクセスルート等が大きく異なることから、別々の流れの中で観光振興を図る。 岩国については、錦帯橋と周辺地域での観光商業の集積を図り、錦帯橋周辺から町 並みへの観光客の流れを創出し、楽しめる歴史空間として歩ける町づくりを進める。 玖北地域については、豊かな自然環境や農山村風景等を活かし、“スローツーリズ ムの里づくり”を目指し、体験型観光やグリーン・ツーリズムの推進などを図る。 1 現 状 (1) 観光客数の動向 (単位:千人) H10 H11 H12 H13 H14 H14/H10 岩国市 2,310 2,166 2,062 2,093 2,445 106 % (錦帯橋) 751 698 651 663 788 105 % 錦 町 341 587 534 535 464 136 % 本郷村 20 18 18 11 7 35 % 美川町 159 126 127 124 139 87 % 美和町 114 119 119 118 118 104 % 小 634 850 798 788 728 115 % 2,944 3,016 2,860 2,881 3,173 108 % 玖 北 地 域 計 計 ○ 岩国市は、県内では、下関市に次いで2番目の観光入込地となっている。観光客数 の推移を見ると、平成8年の2,600千人をピークに減少していたが、14年には 半世紀ぶりに行われた錦帯橋の架け替えによる効果等により、観光客数が増加に転じ ている。 ○ 錦町、本郷村、美川町、美和町の玖北地域(4町村)における全体の観光客数の推 移を見ると、11年の850千人をピークに減少しており、14年には728千人と なっている。また、町村別では錦町が464千人と一番多く、以下美川町、美和町、 本郷村の順となっている。 (2) 観光資源・施設と魅力 岩国市街と岩国北部から玖北地域にかけては、歴史・風土や自然環境等に違いが見 られ、観光資源も大きく異なっており、各市町村がそれぞれの特色を活かした観光地 づくりを進めている。 岩国市街 日本三名橋の一つである「錦帯橋」を中心にその両岸には、武家屋敷や町家などが 適度に集積し、城下町の風情が色濃く漂う地域。 ○ 錦帯橋と横山地区、さらに周辺に広がる手付かずの竹林、川面、錦帯橋下流、 -1- 川原、岩国城山麓(ロープウェイ山頂からの展望)など ○ 歴史町名が残され、宇野千代の小説「おはん」の舞台となった城下町 ○ 錦帯橋祭り、鵜飼、錦川水の祭典、灯のまつりなど錦帯橋を彩る年間行事 ○ 岩国寿司や岩国太平、鮎、海の幸などの魅力的な食(料理) 岩国北部∼玖北地域(美川・錦・本郷・美和) 錦川や宇佐川をはじめ、弥栄湖、寂地峡、羅漢山など豊かな自然に恵まれ、また一 方では、田舎が現存し、神楽をはじめとする伝統芸能・文化も良く伝承されている、 旧き良き日本の農山村風景を有する地域。 ○ 自然・農業などの体験学習やグリーン・ツーリズムの最適地 ○ 自然を満喫し、何もせずに、のんびり、ゆったりと過ごすことができる観光 ○ 錦川流域や弥栄湖など水に親しめる地域。カヌーが盛んで、キャンプ場や温泉、 コテージなどアウトドア施設が充実 * 以上のとおり、岩国地域における岩国(市街)と玖北地域では、観光資源が大きく 異なっており、それに伴う観光客の客層や出発地域、目的地へのアクセスルート・手 段も異なっている。また、現状では、地域全体としての纏まりも薄いため、次の大き な流れに分けて、両地域の観光振興策を検討していくことが適当である。 益田 津和野 高 津 川 ピュアライン岩国・ 益田観光連絡協議会 錦 川 錦 本郷 美和 美川 柳井 岩国 宮島 広島 広島・宮島・岩国地方連絡協議会 -2- Ⅰ (広島・宮島) 視点 Ⅱ 2 → ⇔ 岩国 ⇔ (柳井) 広島・宮島等との西山陽ルートの充実による観光振興 岩国北部 ⇔ 視点 ピュアラインによる広域観光ルートを睨んだ観光振興 → 玖北地域 ⇔ (津和野、益田) 観光振興上の課題 岩国市街 錦帯橋の架け替えや大河ドラマ「武蔵」等の効果により、観光客数は近年の減少傾 向に歯止めがかかり、増加に転じたが、今後とも維持・発展させていくためには、今 ある観光資源の魅力アップや掘り起こしを図り、中長期的な観光戦略のもとに取組を を進めていくことが求められている。 ○ 錦帯橋を訪れた観光客が、横山地区を回遊した後は、岩国城や町並みを回らずに 帰ってしまう立寄・見物型の県外日帰り観光地(広島・宮島等の西山陽ルートの経 由地)となっているため、多種多様な観光資源の一層の集積を図り、滞在時間を伸 ばし、宿泊に結び付けていくための魅力づくりと積極的なPRが必要である。 ○ 主な広域観光ルートである西山陽ルートにおける位置づけは、広島・宮島群に包 含され、岩国単独ではその価値は低い。また、行政も分かれているため、地域とし ての一体性に欠け、地域間交流も充分ではない。多様な広域観光ルートの開発に努 めるとともに、広島県等との連携をさらに強化し、誘客の拡大を図っていくことが 必要である。 ○ 地域での事業者や住民の観光振興への理解の希薄さが見受けられるため、地域全 体で協働しながら観光振興を進めていくための啓発と体制づくりが必要である。 (山口県観光アドバイザーの意見∼以下「adviser」) ・街全体のイメージが散漫であり、もう少し絞り込みが必要 ・錦帯橋を主として意識し過ぎる余り、他資源の取組が遅れる可能性はないか。 ・駐車場や市街散策のコースが未整備あり、初めて訪れる場合は、今のままで はかなり戸惑うのではないか。 ・各地への交通アクセス(特に二次交通)の充実 ・宿泊施設が脆弱 ・PR不足 総花的ではなく、具体的な情報発信 単独ではなく、広域観光ルートとなる地域が一体となったPR 岩国北部∼玖北地域(美川・錦・本郷・美和) 自然環境に恵まれた地域であるが、各町村が独自に開発を進めてきたため、地域全 体としての纏まりや訴求力に欠けている。このため、地域全体の観光イメージを共同 -3- して構築するとともに、積極的な情報発信を行い、知名度を高め、イメージを植え付 けていくことが課題となっている。 ○ 本郷村の高原、美和町の湖、美川町の地底、錦町の清流の山里などそれぞれの地 域の個性を共通のイメージのもと大胆に打ち出すことが重要である。逆に、錦川清 流線は名前が先行し、車窓から際だった清流のイメージは希薄であり、また、錦川 の由来となったツツジが錦の如く咲き誇る川渕もなく、国道沿いには川面を楽しむ 駐車スペースもない。このちぐはぐ感を具体的に摘出し、地域住民と協働で環境整 備を行うことが必要である。 ○ 二次交通の充実と各観光スポットへのアクセスルートや周辺インフラの整備が不 可欠である。また、錦川清流線が運行しているものの、現状では、マイカー利用に よる観光が大部分を占めているため、公共交通機関との乗り継ぎ改善やアクセスル ート、駐車場、トイレ等の整備を進め、マイカー利用客の利便性を高めていくこと が必要である。 (adviser) ・中国地方は、押しなべて豊かな自然を有していることから、この地域を訪れ なければならない必然性が希薄 ・自然と共存しながら、安全なアクセスルートや散策路、休憩施設、自然観察 ポイントなど各種インフラの整備 ・美しい自然を楽しむには「いつ頃、どこに行けば、何が見られる(又は何 ができる)」という具体的な情報発信が必要 3 観光戦略の基本的な方向(視点) 岩国市街 岩国を訪れるきっかけを増加させるとともに、横山地区の再整備と旧城下町の楽しむ 空間としての観光商業の集積を図り、これまでの錦帯橋周辺から町並みへの観光客の流 れを創出し、滞在時間を延ばし、宿泊に結び付けていく観光地づくりを進める。 また、吉川家の城下町として、市井に眠る吉川時代の文化を掘り起こし、観光客への 提示方法等を研究し、「錦帯橋のある城下町」から「城下町の中の錦帯橋」へ観光客の 認識を深めていく。 ○ 城下町を基本として、統一的なイメージに基づく町並みの魅力アップによる楽し く歩ける町づくり ○ 歴史の箱庭的な観光エリアである横山地区の魅力アップ。竹林、城山などの自然 遺産は、休憩所・遊歩道等の整備を進め、環境保全の面から活用 ○ 市民参加によるおもてなしの町づくり ○ 広島・宮島・柳井との西山陽ルートを柱としつつも、海路・空路等を活かしたそ れ以外の多様な広域観光ルートの開発による誘客拡大 -4- (adviser) ・城下町としてのコンセプトをきちんと決めて、多様な観光ニーズに対応でき る活性化策を検討していくことが大切。現状は、両方とも中途半端。 ・「町人・商人町の再生」と市民参加型の町づくりの推進 ・「30代女性」「熟年」「フルムーン」等をターゲットにした観光地づくり 岩国北部∼玖北地域(美川・錦・本郷・美和) 近年、経済至上主義を追求してきた社会への反省から、自分の価値観でじっくり考え、 充実感を重視しながら、無理のない姿勢で暮らす「スローライフ」という生き方が注目 を集めているが、玖北地域は、豊かで素朴な自然環境や農山村風景に恵まれていること から、スローライフを具現化する一つの形態であるスローツーリズム(※)の舞台とし て最適の環境を有している。このため 、 『スローツーリズムの里づくり』を共通のコン セプトとして、地域全体で取組を進めていく。 ※ スローツーリズムとは、ゆっくりと時間をかけて味わう旅行。また、如何に早 く目的地に到達し、どれくらい沢山の観光スポットを回れるかに価値を置いた現 在の旅行のあり方を見直すこと。 しかしながら、スローライフを楽しむ地域としては、まだまだ資源に多様性が不足し ているため、ピュアライン沿線の中で、六日市や柿木、日原等の島根県の自治体との連 携を強化し、地域の特性を活かした様々な資源の開発や掘り起こしに努めていく。 自治体間の連携が軌道に乗れば、ありのままの自然や生活者の姿を通して、人間 性回帰のツーリズムを展開する舞台に最適な地域となり得る。 ○ 近隣在住のファミリーや愛好家などを主なターゲットとして、錦川や宇佐川流域、 清流線を基軸に体験型観光を充実させ、日帰り客を中心にリピーターを増やしてい くほか、キャンプ等でじっくりと滞在することができる観光地づくり ○ 体験学習や都市と農村の交流などのグリーン・ツーリズムの推進 (adviser) ・近隣在住のファミリーを主体とし、素朴な自然を活かした体験型観光の推進 ・岩国の奥座敷としての観光地づくり → 4 温泉施設(露天風呂、特色ある温泉など)の充実 観光戦略 岩国市街 (1) 錦帯橋と横山地区周辺の観光資源の再整備・集積による新たな魅力の創出 《提言》横山地区については、趣のある休憩所や瀟洒なカフェ、レストラン等に積極 -5- 的にエリアを開く。また、この地区の雰囲気ならではの物品販売店など観光 客が歴史や自然を同時に楽しめる商業集積を進める。 《提言》四季折々の魅力を活かした錦帯橋及び周辺の各種イベントの充実と積極的な PRを行う。 ※ 錦帯橋を彩る年間行事(参考) 開 催 日 行 事 内 容 1月1日 4∼5月中旬 4月29日 6月1日∼8月31日 7月中旬∼8月中旬 8月第1土曜日 9月14日 初日の出を城山で∼ロープウェイ早朝運行∼ 錦川清流船(尾形船の運航) 錦帯橋まつり(城下町、錦帯橋を舞台に大名行列や奴道中等) 錦帯橋の鵜飼 岩国城・親子竹細工教室 錦川水の祭典(花火大会) 灯のまつり(あんどんを手に錦帯橋を渡る) *「宇野千代」まつりを同時開催 中秋の名月を城山で∼ロープウェイ観月運行∼ 大正ロマン・女人のまつり(花嫁のお輿入れを再現) 中秋の名月 11月2日 《提言》錦帯橋の夜間ライトアップのほかに吉香公園内の夜間散策、ロープウェイの 夜間運行による山頂からの眺めなど、夜間演出の充実を図り、積極的なPR を行う。 《提言》清流錦川の船下り、桜並木、竹林、白鷺、鮎、鵜飼、蓮、カヌーなど四季を 通じた風物詩と景観魅力を積極的にPRする。また、観光客の宿泊効果も期 待できる鵜飼については、一層の振興を図るとともに、鵜飼船(屋形船)の 時期以外の川下りや和船、筏、大型ゴムボート、帆掛け船等による川下りも 検討していく。 (adviser) ・錦帯橋の魅力アップ ex. 灯のまつりなどの夜のイベントの充実 宮島、柳井、津和野等の近隣観光地との共同イベント 夜間のライトアップの積極的PR 架け替え工事に際しての「工事関係者等によるガイド」付きの見学 ・武家町を観光ボランティア等の「語り部」を付けた形で「時空を越えて歩く」 という演出を加味 ex. 錦帯橋と一連の施設をセットにし、抹茶付きのパスポートの発行等 ・吉香公園で無料貸出自転車の提供 ・吉香公園内に循環バスの導入 ・錦帯橋近くに健康温泉ランドの設置 -6- ・ガイド付きのシロヘビ見学等により他にはないメリットをPR ・城下町のシンボルである岩国城の資料館や宝物館、休憩施設等の充実 ・紅葉谷公園については、車両等の乗り入れを規制し、野店等を演出。また、 夜間のライトアップを検討 (2) 町屋敷を活かした楽しく歩ける町づくり 《提言》地域の事業者や住民の幅広い協力を得ながら、城下町における大正ロマンを コンセプトとした町づくり(※)を進める。大正時代は、1915年から始 まることから、今後、大正90年祭や大正百年祭に向けた取組を進めていく。 ガス灯設置や大正商屋、大正の散策路、人力車などを整備するとともに、大 正デモクラシー等変革と民主主義の台頭の時代のイメージを明るく爽やかに 企画する。 ※ 岩国市の町づくりグループ、まちづくり岩国「大正ロマン」では、町並み に大正モダンから昭和初期時代の洋風建築が結構多いことから、現在“大正 ロマン不思議城下町”のキャッチフレーズを掲げ、町づくりに取り組んでい る。 《提言》埋もれた素材を活用する観点から、今一度、町並みの素材を検証し、点から 線への観光商業集積の充実を図っていくとともに、休憩スポットの整備や町 歩きマップの作成などにより、多様な町歩きができる散策ルートの開発を進 めていく。 (adviser) ・魅力的な店や宿は点在しているものの、纏まりは今一つ。市民パワーを活か しつつ、点から線、線から面への発展を ・歴史・文化、自然、人情そして空気を味わい消費できる空間づくり ex. 「竹と清流が織りなす町・岩国」、「文人の愛した町・岩国」そんな町を 歩いてみたい。というイメージでの町づくり ・町歩きセットプラン(入場、土産物等の割引) ・町歩き「手ぶら」商品(荷物の配送) ・廃屋等の有効活用により、滞在空間の演出 ・車と人の道を分離、茶店など休憩できるスポットの整備 ・特定エリアの公共交通、観光・文化施設を利用できるパスポートの発行 ∼「便利で、わかりやすく、親切な町」 -7- (3) 岩国ならではの多彩な観光資源を活かした町づくり 《提言》岩国の新しい魅力づくりとして、清流錦川と「竹」「 ・ 竹林」を活用した自然 を活かした観光地づくりを進める。清流沿いを歩く「竹の道」の整備や「竹」 を使用した料理の演出(竹筒で炊くご飯、竹箸等)などを地域ぐるみで展開 し、「竹の町・岩国」をアピールしていく。 《提言》宇野千代や吉川英二、河上肇など、岩国出身の文人や著名人に焦点をあて各 種イベントや散策マップ、関連分野を収録したガイドブックの作成等を行い、 観光客に、文人等が時を過ごした岩国を実感して貰う。 〈課題〉宇野千代生家については、観光素材としての評価は高いが、現状では善意で ボランティアの協力のもとに公開されており、駐車場やトイレ、入場料等の 課題の整備が望まれる。 《提言》岩国寿司や岩国太平などの個性的な料理を活かし、これらを提供するおいし い店や楽しめる店、こだわりの店などを選定・紹介し、広く岩国の味をPR していく。 (adviser) ・文化都市「岩国」のこだわりイベントの実施 ex. 宇野千代に因んだ「恋愛文学賞」の創設 「おそうざい料理名人賞」の創設 錦帯橋の花火大会は江戸時代のものを復元 スイスのルツェン(カベル橋)、イタリアのフィレンツェ(ヴェッキオ橋) など「名橋を持つ世界の古都」との文化交流 ・岩国寿司の№1店の選出とブーム化 ・「蓮田」は稀に見るスケールであり、きちんと情報発信して売り出すべき。但 し、観光資源として整備されておらず、休憩施設や駐車場の整備等が必要 ex. 蓮の収穫等の体験、買物(朝市)、試食など 諫早湾の「ガタリンピック」等の土(泥)に触れるイベントの実施 ・米軍岩国基地の協力で吉香公園一帯で大規模なフリマーケットを開催し、米 軍関係の商品販売、地元住民を含めた交流を行う。 (4) 岩国への多様な広域観光ルートの開発と二次交通対策の整備充実 《提言》広島・宮島方面を主目的として来た観光客を岩国への誘客していくことは、 難しい面があるため、県内各地へ入ってきた観光客を海路(瀬戸内海)と陸 路の多様な広域観光ルートの開発により、岩国への誘客を進めていく。 ・柳井方面から、松山とソレイユ(高速艇)を利用した別府・九州の海路 ルート ・山口宇部空港から、湯田温泉、湯野温泉と連携した観光ルート -8- ・萩・石見空港から、山口地域、萩地域と連携した観光ルート ・大島地域と連携した観光ルート 〈関連する支援〉 「山口県観光周遊促進協議会」において、岩国地域を取り込んだ観光周 遊ルートづくりについて検討する。また、情報発信会(東京・大阪)、観 光情報誌[西の国から 」(年4回発行)で旅行代理店に旅行商品造成を働 きかける。 《提言》JR等の窓口から主要な観光スポットをめぐる巡回バスの開発を行う。 (5) 広域連携による観光戦略の推進 《提言》広島・宮島等との広域連携により、JRや旅行代理店等とタイアップした観 光キャンペーンを展開する。 《提言》修学旅行の誘致を進めるため、被爆地の広島との連携も視野に置きながら、 「平和教育」の一環として、米軍岩国基地との交流や見学について、検討を 進める。 〈関連する支援〉 「山口県修学旅行誘致促進協議会」においてモデルコースの紹介や教育関係 者・旅行代理店への情報発信等について、検討を行う。 (adviser) ・広島県との広域連携による誘致、誘客の仕組みづくり ex. JR(「ディスカバー ウエスト」キャンペーンを展開中)と航空会社の ジョイントによる誘客促進の取組 《提言》都道府県対抗男子駅伝により、広島から宮島口までがいつの間にか「宮島街 道」という名前が付いた様に、柳井までの国道に名前を付けてルートとして のイメージ戦略を展開する。沿線の市町と統一ロゴマークや標識の設置、共 同PR事業の実施などを行う(国土交通省との連携が必要)。 (6) おいでませ山口館(広島)を活用した観光物産情報の発信 《提言》岩国の観光物産に係る旬の情報を「おいでませ山口館(広島)」を活用し、 広島県民へリアルタイムに提供することにより、誘客の促進を図る。 (7) 市民参加によるおもてなしの町づくりの推進 《提言》岩国の観光地としての魅力を高めていくため、市民参加によるホスピタリテ ィ向上運動を推進する。また、観光ボランティアを育成し、有効に活用でき るシステムづくりを進めるともに、バリアフリー対策により高齢者や障害者 -9- が安心して観光できる優しい町づくりを進める。 〈関連する支援〉 県の「ホスピタリティ推進モデル地域」を活用し、モデル地域の指定を検討 する。 《提言》パーク&ライドの観点に立って、人と車の動線の分離や、スピード規制など 観光客が安心してゆったりと歩ける観光地づくりを進める。 (adviser) ・観光ボランティアガイドのシステム化 ・宿泊施設のサービス(おもてなし)向上 ・バリアフリー対策の推進 岩国北部∼玖北地域(美川・錦・本郷・美和) (1) 広域連携によるスローツーリズムの里づくり 《提言》ピュアライン沿線の各市町村との広域連携により、スローツーリズムを楽し める資源の開発・集積を図り、 『スローツーリズムの里づくり』を推進する。 * 具体的な推進方策 ① スローツーリズム連携エリア会議を開催し、広域のアイデンティティを 確認する。 ② 各市町村がスローツーリズム推進の企画を持ち寄り、農政・建設・教育 等の関係分野との調整・連携を行い、推進組織を設立する。 ③ スローライフの全国規模の大会や研究会を誘致し、住民の啓発と担い手 となる人材の育成を図る。 ④ 推進組織が広報企画などを全て担当する。 (2) 自然環境を活かした体験型観光や都市と農村の交流などのグリーン・ツーリズムの 推進 《提言》「都市と農村の交流」雛を販売する。関西・中京地区の都会から、修学旅行 や校外学習の誘致を図る。 * 具体的な推進方策 ① 玖北地域でホームスティが可能な農家を50件リストアップする。 ② 玖北4町村(或いは岩国を含めて5市町村)で、行政と民間が協働した 地域観光戦略会議を組織する。 ③ ピュアライン沿線の島根県側(六日市、日原町)と交流を深め、情報収 集等を行い、ノウハウの蓄積を図る。 ④ 共同で販売ツール(企画書・パンフレット等)を作成し、戦略的PRを 展開する。 - 10 - 《提言》近隣在住のファミリーや地域コミュニティ、愛好家等を対象として、カヌ ーや清流下りをはじめ、果物狩り、野菜づくり、自然(生き物)探索、ウ ォーキング、キャンプなど、季節を絞った様々な体験型タイプの商品開発を 進める。 〈関連する支援〉 参加体験型施設「山口遊学校」に組み入れ、九州などの近隣県を対象とし た誘客観光キャンペーンを行う。 (adviser) ・近隣の在住のファミリー、子供会、地域コミュニティに「気軽に楽しめる体 験ゾーン」として訴求。 ・季節を絞ったイベント的な商品開発 ex. 錦川清流線貸切列車で行く、夏休みファミリーウォーキング等 ・グリーン・ツーリズム、フラワー・ツーリズムの町づくり ・地元の食材を活かした味覚料理の提供 ・ハイキングコースの整備やバードウォッチングポイントの設置等による自然 の中で楽しく安全に過ごすルート&ポイントづくり ・トロッコ遊覧車(光るトンネル)については、トンネル内部のさらなる充実 とマイカー利用の利便性向上対策 ex. トンネル内装飾の拡大(観光客の参加型) トンネルは、「光る石」と「真っ暗闇」という二つの面の演出。それ以外 は、フラワー・ツーリズムの視点を加え、軌道に沿って「花」で一杯い にし、「花遊覧車」の運行を市民参加型で実施 ・セットプラン(JR、トロッコ、バス等)の検討 ・宿泊施設の充実 (3) 清流・錦川と錦川清流線を活かした魅力アップ 《提言》錦川清流線に乗り、錦川流域の魅力を肌で感じて貰うため、イベントも可能 なトロッコ列車の走行を検討する。また、錦川清流線と続く錦町のトロッコ 遊覧車の沿線には、市民参加により四季折々の「花」が咲き誇る演出を創出 する。 《提言》清流に親しめるカヌーのメッカとして、積極的に売り出していくため、貸出 施設をはじめ、流域の駐車場やトイレの整備、泊まって行う体験施設の充実 を図る。また、インストラクターを養成確保し、何時でも気軽に体験できる 体制づくりを進める。 《提言》錦川流域沿いの環境保全に配慮するとともに、マイカー利用者等が安心・気 軽に止まれて、景観や水に親しめる場を整備する。 - 11 - (adviser) ・錦川流域沿いの遊歩道、トイレ、駐車場等の整備 (4) 地元料理と温泉施設の充実 《提言》旅館や飲食店で、地元の伝統野菜や農産物を使った生産者の顔の見える料理 を開発・提供する。 《提言》年間を通じて訪れることができるよう、美しい自然を見ながら居心地の良い 温泉施設の充実(露天風呂の整備や入浴に伴う宿泊施設の拡充など)を図る。 玖北地域の温泉は、まだまだ知名度が低いので、旬の味覚やイベントなどを 絡ませ積極的にPRしていく。 * 玖北地域の温泉 温泉名 町村名 双津峡温泉 深谷峡温泉 活性石温泉 錦 町 錦 町 美川町 備 考 錦町駅から15分(トロッコ遊覧車運行)。憩いの家 ログハウス(10 棟)、ふれあい農園 地底王国「ムーバレー」の施設内に開設 (5) おいでませ山口館(広島)の活用と錦川・宇佐川を前面に出した観光PRの実施 《提言》玖北地域の観光物産に係る旬の情報を「おいでませ山口館(広島)」を活用 し、広島県民へリアルタイムに提供することにより、誘客の促進を図る。 《提言》錦川・宇佐川など水に親しめる自然環境とアウトドアの充実を売りとして、 アウトドア雑誌とタイアップし、特集を定期的に組んで貰うことを検討する。 (adviser) ・自然と親しむための具体的情報発信を主としたPR活動 (6) 広域連携による観光戦略の推進 《提言》平和教育の観点から広島への修学旅行は今後も継続するものと見込まれるこ とから、これをベースとして、山口県側での体験学習・宿泊を加味したアプ ローチを検討する。 《提言》知名度が低いため、先ずは、多くの観光客に訪れて貰うことが大切であるこ - 12 - とから、岩国を起点として、錦川を遡り、津和野、萩へ抜けるルートの開発 ・PRを行う。 〈関連する支援〉 「島根・山口観光振興協議会」において、広域連携の重点地域として、観光 ルートづくりや観光PRなどの支援を検討する。 5 その他 岩国地域は、錦帯橋のみが突出し、それ以外の観光集積が今一つであったことから、 これまで、やや魅力に欠ける地域になっていた。 今後、西山陽ルートの横軸とピュアラインの縦軸の流れを明確に区分して、観光振興 を図っていくことで、それぞれのルートの色彩や相違が明確になるため、資源としての 幅と奥行きが増し、地域全体として相乗効果が見込まれ、観光地として一層の魅力アッ プが期待される。 - 13 -
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