「ソーラーシェアリング」のすすめ

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「ソーラーシェアリング」のすすめ
公式 URL は
http://www.d3.dion.ne.jp/~higashi9/sola1.htm
CHO 技術研究所 044-299-4158
川崎市川崎区東門前2-1-14 長島 彬
1、はじめに
今日、未曾有の災害から真の復興を目指し立ち上がろうとしています。津波による農業や漁業の被害は復興
委員会の提案に期待するところでありますが、原子力発電事故による放射能汚染地域の復興は困難を極める
ことが予想されます。
従来太陽光発電は家の屋根に取り付けその余剰電力を買い取って普及を図ってまいりましたが、太陽光発
電に適切な住宅や工場の屋根の面積は限られ、日本中に普及しても取得できる電力量は自ずと限定され、日
本における全発電量の10%に遙かに及ばないことは、多くの識者から指摘される事実であります。
一方耕作放棄地などの農地を太陽光発電に転用することは、法律上はもとより食料自給率を保つためにも許
容される方法にはなり得ません。
2、ソーラーシェアリングとは
多くの植物にとっても動物にとっても太陽光は強すぎれば有害であり、とりわけ水分がなければ死に直結する
場合もあります。ゆえに多くの動物は穴の中、水中、森の中に生活の場を求めており、植物もまた葉を茂らせる
ことによって大部分を日陰にしてどうにか生き続けることに成功してきました。ほとんどの生物は太陽光が過剰
な場合の対処として水分を蒸散して体温を下げています。言い換えれば太陽光は生物にとって過剰なのです。
植物の光合成と光の強さの関係を表す特性(Fig-1)においては、各作物には一定の光の強さ以上の光は光合
成量の増大にほとんど貢献できないことを示しています。この光合成量がほぼ一定になる光の強さをその植物
の光飽和点と呼びます。(例外としてサトウキビやトウモロコシのように飽和点を持たない植物もあります)
この光飽和点の特性より耕作地や牧草地の剰余の光線から農産・畜産物とともに電力をも得る方法、すなわ
ち「ソーラーシェアリング」の考え方によって、太陽光発電には大面積が必要であるという最大の問題点が解決
できる見通しを立てました。(弊研究所におきましては 2003 年、太陽光発電の大面積が必要という最大の欠点を
克服することを一応特許出願し、2005年にその技術を公開して無償で誰もが何処の国でも使用できることにし
ました。 特許公開2005-277038)
Fig-1 において稲でもおよそ 2 万ルクス(木漏れ
日状態日向の5分の1)あれば 80%の光合成量
が得られています。東西方向に樹林や山や家屋
があり半日間も日陰になるような水田の稲が十
分実る事実からも説明できます。レタスなどは人
工の照明でさえも生産できることからも太陽光が
作物にとって強すぎるということが解ります。
この作物の持っている基本的な性質を上手く
利用すると、Fig-2 のように太陽光発電のパネル
を細くして間隔を開き農作業に支障のない高さ
(コンバインが作業出来る高さ)の架台に取り付
けて太陽光発電を行い、下の部分的に日陰が出
Fig-1 光飽和点の説明
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来る農地では作物を収穫して広い農地で電力と作物の両方
Fig-2 基本構想説明図
が得られるというソーラーシェアリングの基本的構造が出来
ます。Fig-2 Fig-3
弊研究所ではこの考え方を推進する目的で昨年千葉県
市原市皆吉に実証試験場作りました。発電パネルなど総て
の資材は市販のものを使用して作りました。
Fig-4
Fig-5
昨年7月に完成しましたので植え付けが遅れましたが落
花生で基礎試験を開始し、その結果定性的ですが日陰が比
較的多い場所の方が良い収穫が得られました。日照りで高
Fig-3 普及したときの上空から見たイメージ
温障害が生じにくかったことが考えられます。
3、太陽光発電の実力
(1)価格
福島原子力発電の事故によって原子力発電の本当の発
電単価が問われることになりました。原子力発電は使用済
核燃料の処分費はもとより事故補償費や震度7の地震や大
津波に耐える補強、冷却系のさらなる補強などフェイルセ
ーフ対策費用は限りなく増加して行かざるを得ません。一
Fig-4 実証試験 1 号機(初年度 落花生の植付)
方太陽光発電はその生産量の増加と変換効率の上昇に
よって発電単価は何処までも下がる可能性を秘めていま
す。よく kwh あたりの発電単価で原子力は7円弱で太陽光
発電は60円などと比較されますが、正しい比較とは言え
ません。原子力は発電端(発電所)で、太陽光発電の価格
は受電端(使用場所)であるからです。原子力は送電費、
変電費、配電費、一般管理費、宣伝費に加えて事故処理
費や修理費、加えて使用済み燃料の管理費、処分費、宣
伝費、廃炉費用、送電ロス費まで加えなければ正当な評価にはなりません(実質 20 円以上になる可能性が大き
いでしょう)。
一方の太陽光発電は 2011 年 3 月の実勢価格(設置工事費込み)で 2.96kW で 1,499,020 円です。年間 3100kWh、
25 年間に 77500kWh が期待できますので 1,499,020÷77500=19.3 円/kWh になり、すでに平均的な買電価格より
安くなっております。太陽光発電を導入せずに預金した
時に得られる利子や修理費を勘案しても 23 円以下にな
ります。
これが補助金無しでの実際の太陽光発電単価は、
輸入品が自由化され円高が進む中でさらに下がること
が予想されます。
本年 4 月に完成した太陽光発電2号機(Fig-6)の実際
の価格は、電気工事込みの設備価格が 4.56kW の出力
で 163 万円、設置用の架台の材料費等が約 17 万円、
Fig-5 実証試験場1号機 (本年春 タマネギ植付)
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合計 180 万円になり、25 年間の発電量を 115000kWh と想
Fig-6 実証試験場 2 号機 (2011 年庭への設置)
定しますと 1800000÷115000=15.7 円にすぎません。 この
ように、すでに発電単価自体、太陽光発電のほうが原子力
より安くなっております。
(2)出力の変動不安定という批判について
太陽光発電の欠点にとしてあげられる日照による変動
が激しいという Fig-7 のような非難は当を得た批判と言えま
せん。個人宅の発電量の変化は図のように雲がかかり急
激に変動しますが、広い範囲に分布した太陽光発電全体
の発電量の変化は雲の移動する早さによって決まるから
です。たとえば雲が時速 50km で西方から流れてきたとすれば、 Fig-7 変動
太陽光発電所が東西 50km に分布していれば晴天時の出力
が曇天時の出力まで落ちるには 1 時間必要になります。また
Fig-8 のように、日本全体を考えれば前線の移動によって減じ
る発電量は雲の範囲で減るだけに過ぎないのです。
4、ソーラーシェアリングの効果
(1)農家収入増加と太陽光発電の限界の打破
何よりも設置面積の制約がなくなります。我が国の400万
ヘクタールの耕作地は作物とエネルギーの供給可能地域に
変わり、無尽蔵の油田を得たことに匹敵します。よってこの政
Fig-8
雨雲
策の発表だけでも原油高を阻止可能になります。
米作農家の収入は従来反収 10 万円ほどと言われてきまし
たが、近年ますます減少して農業の魅力が落ち後継者が得ら
れず農業危機が叫ばれて久しく、未だに抜本的解決の端緒す
ら見つかっておりません。
今「ソーラーシェアリング」を米作にあてはめて考えますと、1
反(1000 ㎡)の 4 分の 1 を太陽光発電に利用すれば 25 ㎡で
3kW、年間 3100kWh の発電が出来ますから、1 反でその 10 倍
30kW で 31000 kWh が得られます。電力売価を 40 円とすれば 124 万円、25 年間で 3100 万円が得られます。設
置費用は kW 当たり 50 万円なら 1500 万円見込めば良く、ソーラーシェアリングを実施することによって初めて、
農家の資産価値を大幅に引き上げられて収入も増やせ、農家
の後継者問題を根本から解決出来ることが期待されます。
(2)期待される発電量について
日本の農地 460 万 ha のわずか 13%、60 万 ha にソーラーシェ
アリングを実施しその 25%の面積(15 万 ha)の太陽光発電を行
えば年間 1800 億 kWh の電力が得られます。このときの平均的
な発電電力は 1 億 2 千万 kW が得られる計算になります。これ
は Fig-11 に示される 1 日の電気の使用量の最低ラインになり、
ひたすら太陽光発電を増加していった場合でも蓄電の配慮はほ
Fig-9 1 日の使用電力の変化
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とんど不要な年間発電量ということになります。
200 万 ha にソーラーシェアリングを拡大し、昼間の余剰電力を
Fig-10 農地面積:463 万 ha
蓄電して夜間の化石燃料の使用量を減じる工夫も合わせて行
えば、全電力を太陽光発電と水力、風力などの自然エネルギー
で得ることが可能になります。
300 万 ha までソーラーシェアリングを拡大すれば年間 9000 億
kWh の電力が得られます。
さらに、内水面や牧草地、駐車場その他にも拡大し、また発
電効率が現在の約 2 倍(30%)になれば全エネルギーを太陽光発電でまかなうことが出来ます。人類が江戸時代
のように他の生物と同様に地下資源に頼らず、太陽の光のエネルギーのみで生き続けられることを可能にする
のが「ソーラーシェアリング」の考え方であります。
(3)灌漑用水の節約
Fig-11 季節による電力需要の変化
高さ約 3m の架台に載せるソーラーパネルが不要な光線を遮
るので過熱防止のための蒸散作用を適正にして灌漑用水が節
約できるようになり、また地温も下がることが期待出来ます。
(4)防虫、防鳥による防除回数の減少
架台に防虫網を取り付けることができるので、作物の防除回
数を減らせます。
5、待たれる政策とは
(1)現在は太陽光発電の普及を計る施策として太陽光発電に
適した屋根や土地をもつ家屋に限定されていますが、余剰電
力買取制度を家の有無にかかわらずに自然エネルギーによる
全電力を高額で買い取る制度を確立すること。(国民有志全員
が参画できる仕組みを作る)
(2)量産効果を最大限重視し、共通化を推進すること。(大きさ、
結線方法、屋外用パワーコンディショナー、棚など最適な方案
を賞金を出して公募しそれを規格化して量産する)
(3)従来裸地を基準に行われてきた作物の品種改良を、より少
ない太陽光で十分の収量が得られるエネルギー変換効率を意
識した新たな目標設定を行い根本から見直すこと。
(4)導入促進のために優遇税制の整備(補助金制度に換えて)
とリサイクルする方法を確立し、また天災や事故による破損に
対する保険制度も確立し設備の過剰品質を防止すること。
(5) 発電パネルの設置間隔を狭めて光量を減らし米の収量減
少見込みが立てば、これを減反方法として認めること。(休耕、
転作や不耕作に代わり)
(6) 太陽光利用する「受光権」を新しい権利として認めることを
法制化して、今後の太陽光利用の基礎を盤石にすること。(こ
Fig-12 発電電力総量
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れによって農家は農地上に太陽光発電装置を設置する権利をアパートやマンションに住む者に受光権として売
電収入の一部を賃貸料として正式に受けられ、農地の価値が上昇して農家資産が増加する)
(7)流通経費や工事費も削減する新しい太陽光発電体全体のコストダウンの仕組みをつくること。
(8)太陽光発電製品のメーカー保証が屋根上の設置に限定されているがソーラーシェアリング設置に対する製
品保証範囲を確立してメーカー保証を実施すること。
(9)貯金するよりソーラーシェアリングに投資することのほうが利回りを良くして税金による普及でなく民間の資
力が太陽光発電に流れる仕組みを作ること。(1 億 2 千万 kW の発電で約 60 兆円 の景気浮揚)
6、おわりに
従来の原子力発電が東日本大震災によってその脆弱性が明らかになりました。ならばその脆弱性を改良すれ
ば良いのでしょうか。ソーラーシェアリングの考え方が無かったときは炭酸ガスの排出を抑制しながら大電力の
需要に対応する唯一の方法として大電力が得
やすいという良い面だけを強調され、その陰の
Fig-13 核廃棄物の量(資源エネルギー庁)
部分は黙して語られることなく原子力が推進さ
れてきました。
しかし大電力を得る新しい方法「ソーラーシェ
アリング」が見つかった現在、「安全なら原子力」
という主張はもう成り立ちません。「安全」にすれ
ばするほど発電コストは上がり、ひとたび事故
が発生すれば巨額の賠償金の支払義務、さらに使用済み核燃料の処理、処分、加えて長年月を要する廃炉処
置(電気事業連合会による初の長期試算で、2045 年までに全国で約 30 兆円)まで考慮しなければなりません。
また Fig-13 に示されるように「一人一生分の高レベル放射性廃棄物がゴルフボール 3 個分(500g)」といわれ
ています。もし原子力による電力を使用した責任としてこの 3 個を自分の土地で 10 万年以上も管理し続けなけ
ればならないとしたら、原子力による電力を使用する者はおりません。「他人の土地」、「他人の故郷」だから良い
のでしょうか。原子力発電の持つ危険性に加えてこの放射性廃棄物という「未来への大きな負債」が生じること
も直視して正しい判断しなければなりません。
一方太陽光発電はソーラーシェアリングの普及と共に加速度的に価格が下がる可能性が大きく、この脱原発
社会を作る究極の方法「ソーラーシェアリング」を世界に先駆けて発信し、実用化し、普及することにより、初めて
「フクシマ」の汚名をそそぐことが可能になります。
人類が地下資源や原子力に頼ることから脱却して他の総ての生物と同じように再び「太陽エネルギーのみで
生活」できるようになる可能性を秘めたこの「ソーラーシェアリング」の実施を今こそ政治の最重要課題としてお
取り上げ下さるようお願い申し上げます。
なお、ソーラーシェアリングに関しまして、さらに詳しい説明や実証試験場の見学のご希望がございましたらご
連絡ください。誠意を込めてご案内に努めさせて頂きます。
実証試験場の住所 千葉県市原市皆吉 61 番地
公式 URL
http://www.d3.dion.ne.jp/~higashi9/sola1.htm