第79号 2016年4月より電力自由化の拡大開始

2016年2月
第 79号
もうすぐ電力の自由化が拡大します!!
来たる 2016 年 4 月から、電力小売り全面自由化が始まります。これまで、契約する電力会社は地域ご
とに決められていました。しかし今後は、家庭向けの電力販売において、電力を供給する会社の新規参入
が認められるようになります。そのため、これからは自分の好きな電力会社を自由に選んで契約すること
ができます。
★全面自由化までの経緯
1995 年、電気事業法が改正され、特定規模電気事業者(Power Producer&Supplier 以下略して PPS)が電
力を電力会社に販売できるようになりましたが、供給先に規制がありました。PPS が電力会社のネットワ
ークを利用し、電力を供給するようになったことで 2000 年以降、部分自由化が始まりました。2000 年 3
月に大規模工場等(2,000kW 以上)、2004 年 4 月からは百貨店、中規模工場、スーパー等(500kW 以上)、2005
年は小規模工場等(50kW 以上)へと拡大されていきました。2016 年、コンビニなどの商店や一般の家庭向
けに電力の小売りが拡大される全面自由化へ至ります。
★消費者への影響
電力が全面自由化されると、電力の消費者にとっては「電気料金の抑制」や「再生可能エネルギーなど
特徴のある電気の購入」など嬉しい効果が期待されています。
また、発電用のエネルギー源も選択できます。環境負荷の低い電力を使いたい方は、再生可能エネルギ
ーを扱う業者と契約することもできるようになります。このように、太陽光や風力、バイオマスといった
再生可能エネルギーで発電された電力の契約を選んだ場合は、間接的に地球温暖化緩和にもつながります。
今後、様々な電力供給会社の新規参入が相次ぐとみられており、電気料のプランの選択肢が拡大するこ
とが期待されています。茨城県内でも、2015 年にエネルギー事業を手掛ける業者(水戸市)とサッカーチー
ムとが共同出資した PPS の設立例があります。また、PPS で太陽光やバイオマス、小水力発電などの再生
可能エネルギーによる地域分散型のエネルギーを採用すると、例えば地域の森林を利用したバイオマスで
は、林地残材や間伐材を発電用燃料に回せるようになり、林業の採算性の向上により雇用創出などの地域
経済の活性化につながることが期待されています。
一方、従来の大手電力会社も、スーパーや携帯電話会社、ガス会社等の異業種と販売提携し、自社ポイ
ントと相手先のポイントを交換できるものなど、新しい料金プランを工夫しています。
電力全面自由化に当たって各電力会社では「昼高く夜安い」、
「携帯電話代とセット割」のメニューなど、
迷ってしまいそうなほど、様々な選択肢が用意されるので、契約している電力会社を乗り換える時は電気
料金や環境負荷など、何を最優先して選ぶのかを慎重に検討することが大切です。
(次頁に続く)
気になる茨城県内の指定廃棄物の処分問題 どうなった??
「指定廃棄物」とは、2011 年 3 月 11 日の東日本大震災に伴う福島第一原発事故の影響により水道施設で発生
した汚泥や除染の際に出た草や木、稲わらやゴミ焼却灰など放射線量が基準値を超えた廃棄物のことです。国は
2011 年 11 月に当該廃棄物の処分場を茨城県内にも造る方針を示しましたが、候補地を選定できない状態で各地
のゴミ焼却施設や下水処理施設などの公的機関に分散保管されていました。震災発生から間もなく 5 年、私たち茨
城県民にとって心配事のひとつであった指定廃棄物の処分方針が、2016 年 2 月 4 日に水戸市内で開かれた環境
省、茨城県、県内 14 市町村の首長との会議で決まりました。
県内の指定廃棄物は他県と比べて放射性物質濃度が比較的低いことや、大半の廃棄物が公的機関で保管され
ていることも考慮され、専用の処分場候補地を決定することを見送り、当面は現状どおりの分散保管を維持すること
が容認されました。2012 年発行『環境かわら版 第 61 号』*で、県内の指定廃棄物の処分場候補地に希少生物が
生息していたという問題を取り上げましたが、この方針決定により希少生物のすみかが減ってしまう心配がなくなっ
たようです。
*出典 URL http://www.hitachi-life.co.jp/company/image/kawara12_61.pdf
海岸のゴミ拾い活動と「マイクロプラスチック」
今回は当社グループ会社の日木産業㈱より紹介のありました「クリーンピック」活動と併せて、海岸
のゴミ拾い活動を採り上げます。
クリーンピックとは、ゴミ拾いによる環境保全活動を、ルールと競技性を持ったスポーツに変えた新し
い競技のことです。誰でも楽しく参加でき、優勝をめざして競い合いながら海や山をきれいにしようとい
う趣旨があります。競技時間内に落ちているゴミを集め、分別したそれぞれのゴミを計量し、ゴミの種類
ごとのポイント(自然ゴミの流木はポイントになりません)を算出し、ポイントの多いチームが勝ちとなりま
す。チーム編成は 5 人 1 チームがルールです。入賞すると賞金が贈られます。スポーツ感覚で楽しめて、
環境保全活動にもつながる仕組みとなっています。全国各地で開かれており、茨城県内でも鉾田青年会議
所が誘致し、2015 年 7 月 12 日、同市で開催されました。クリーンピックのほかにも、鉾田市から鹿島方
面の海岸では、サーフチームのメンバーたちの月 1 回の清掃活動が行われています。
近年、海岸へ漂着あるいは海に流出したプラスチックごみの生態系への影響が課題になっています。プ
ラスチックごみは紫外線による劣化や海岸の砂などとの接触による摩耗で細かくなり、ゆくゆくは大きさ
5mm 以下の「マイクロプラスチック」になり、魚などの海の生き物がエサと間違えて食べてしまいます。
プラスチック自体が有害物質を含むだけでなく、PCB(ポリ塩化ビフェニル)等の別の有害物質が表面に吸
着しやすい性質があります。そのため、漁業資源でもある魚が有害物質を体内に取り込むと、わたしたち
の食料となる段階で、小魚がより大きな魚に食べられる食物連鎖を経て有害物質が生物濃縮されてしまう
恐れがあると予測されています。2016 年 1 月 20 日から 23 日に開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)
でも、重量換算で 2050 年までに海に漂うプラスチックごみが魚の量を上回るという深刻な予測が報告され
ました。
そこで、マイクロプラスチックの発生を防ぐためにも、海岸に漂着したプラスチックごみは細かくなる
前に回収して適正処理されることが重要です。クリーンピックに限らず、ボランティア清掃などのイベン
トが近場で開催されたら、積極的に参加してみてはいかがでしょうか。(担当:酒井)
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TEL 0294-25-1259 FAX 0294-24-1577
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