多様な事業の変化と 広がり

多様な事業の変化と
広がり
第 3 章では、JICS の基礎であり柱でもある機
材や物資の調査・調達の業務と、JICS が歩んで
3
きた 20 年間に実施してきた支援を示します。
冒頭の座談会では、それぞれ時期を
異にして入団した 4 人の職員とと
もに、JICS の組織や事業を振り
返ります。
本文では、無償資金協力の
さまざまな枠組み、技術協力
や有償資金協力に関わる JICS
の担当業務など、多様な事業
について説明します。長期にわ
たり JICS の重要な業務の柱であ
り続けている食糧援助、貧困農民支
援、ノン・プロジェクト無償や技術協力といっ
た援助では、柔軟に変化しつつその時々のニー
ズに応じた支援を行っています。
JICS の 20 年を支えてきたこれらの支援の紹
介を含めて、さまざまな JICS の仕事の実際を
紹介します。
第3章
職員座談会
久保 … 私は JICS が設立された 1989 年の 9 月に入団し
ました。この頃は 20 人くらいの小さな組織でした。募
集広告には「開発援助に貢献する専門家集団」と書かれ
てありましたが、正直最初は何をする組織なのかはわ
かっていませんでしたね。
(笑い)
入団して 3 カ月した頃、JICA の方とラオスに出張し
たのですが、そのときに ODA の調達の手続きについて
手取り足取り教えていただき、とても勉強になりまし
出席者
司
会
た。その後もさまざまな貴重な経験をさせていただき、
調達の仕組みやルールを学びました。自分で、主体的
に「調達」という仕事がようやくできるようになってき
久保
徹 業務第一部長︵一九八九年入団︶
白瀬
和広 総務課長補佐︵一九九ニ年入団︶
吉岡佐知子 業務第二部機材第一課︵ニ〇〇一年入団︶
牧
秀崇 業務第一部施設第一課︵ニ〇〇六年入団︶
大島
義也 事務局長
52
調
達
の
プ
ロ
と
し
て
たと感じたのは、入団後 3 年ほどたった頃にパキスタ
ンのゴミ案件を担当したときでしたね。
白瀬 … 私は 1992 年に同期 7 人とともに入団しました。
この年は、新卒が初めて大量に採用された年だったと
聞いています。入団後は 1 週間の研修を受けるとすぐ
に JICA に席を置き、海外の技術協力プロジェクトに派
遣される専門家などの携行機材の調達を担当しまし
た。JICA に 3 年近くいたので、JICS の仲間とは飲み会な
どで会うくらいで昼間の姿は知らなかったです。
(笑
い)
当時は、JICS の管理職はほとんど外部から来てい
た方でしたが、今ではほとんどプロパー職員になった
のが感慨深いですね。
吉岡 … 私は 2001 年に入団しました。
『国際開発ジャー
ナル』で JICS のことを知ったのが入団のきっかけです。
内定式で、
「JICS の仕事は地道で、ODA の縁の下の力持
ち 的な存在だ」と説明を受けたのをよく覚えていま
す。
「国際協力」というと華やかなイメージを持ってい
る方もあると思いますが、これまでずっと貧困農民支
援(2KR)を担当して、やはり地道な仕事だなと実感し
ています。入ったらすぐに、私が担当している 2KR の
予算が大幅に減ったので、この仕事はどうなるんだろ
うと不安になりました。
(笑い)
牧 … 私はスマトラ沖大地震・インド洋津波の起こっ
調達と専門性
た約 1 年半後の 2006 年に入団しました。1 期上の先輩
は入団後 3 カ月で津波災害支援の現地に派遣されたと
大島 … これまで色々な方に助けられ、育てられて、
聞き、
「自分も早く現地に行きたい」と思いました。入
JICS はこの 4 月で創立 20 周年を迎えます。ここまでの
る前に国際 NGO の方からロジスティック業務の重要
道は決して平坦ではなく、さまざまな困難があったと
性について話を聞く機会があったので、JICS がやって
思います。JICS にも他の企業と同じように順調な時期
いるような業務は地道ながらも意味があると考えてい
もつらい時期もあったと思いますが、それぞれ入団し
ました。入団後の印象としては、新卒でも即戦力とし
た頃の JICS の雰囲気はどうでしたか。
て扱ってもらっていると感じます。うれしいですね。
入るまで「調達」は、ワクチンなどの「物」を適切に届
引継ぎ現地で業務を行いま
けるといったようなイメージをもっていました。けれ
した。ナショナルスタッフ
ども、実際に従事してみると施設案件も多く、JICS の
は全員、この災害で家族や
仕事は「物」の調達というより、プロジェクト自体を形
家を失っていたこともあっ
にしていく仕事だと感じるようになりました。
た た め か、チ ー ム 内 は「早
「調達屋」としての
専門性を
久 保 徹 Tohru Kubo
大島 …「調達」というと一見、難しそうですが、実はだ
く復興させなくては」
「その
れもがあまり意識せずにやっているのではないでしょ
ために一丸となってがんば
うか。例えば、自分が何か買うときに、「より質のよい
ろう」という雰囲気がとても強かったですね。
物をより安く、より早く、アフターサービスのいいお
この案件では、現地の施工業者やコンサルタントと
店から買いたい」と思いますよね。これを実現させるの
契約を結び、施設の再建なども行ったのですが、現地
が「調達」
のプロだと思います。
業者は日本人の感覚に比べると時間に無頓着な部分も
技術協力、無償資金協力、有償資金協力のどれに関
ありますし、こちらが求めるレベルの書類もなかなか
し て も、資 機 材 や 役 務 の 調 達 は 重 要 な 要 素 で あ り、
出てこないので苦労しました。そういう状況でしたか
ODA の実施に「調達」は必要不可欠です。一方で、ODA
ら、厳格さと柔軟さのバランスがとても難しかったで
予算は 1997 年をピークに 10 年間で約 40%減少してい
す。少し大げさですが、あまり厳格さを求めると、契約
ます。このようななかでは、決められた物を、決められ
できる業者が1社もない、ということにもなりかねま
た場所に、決められた期日までに納入することはもち
せんから。
ろん、入札などのプロセスにおいてこれまで以上に「透
また、説明責任という点でもこのプロジェクトは転
明性」
「公正性」を確保し、
「説明責任」を果たしつつ、調
機になったと思います。それまでは、JICS が外部に向
達を行うことが重要になってきていますね。
けて直接説明する機会はあまりありませんでしたが、
久保 … そうですね。日本全体の雰囲気として、公共調
達に対する意識が高まっていると感じます。公共調達
とは何かを問われ続けている。もし万が一、不適切な
ことが 1 つでもあれば JICS の存在意義がなくなってし
まう。煩雑で大変でも、手順を踏んできっちりやる。こ
こに「調達屋」としての私たちの専門性があると考えて
います。
この案件では前面に出て説明責任を果たすことが求め
られました。
牧 … 私が印象に残っているのは、2008 年 9 月にパキス
タンのイスラマバードで起こった、マリオットホテル
のテロ事件です。このとき、私はホテルの近くにある
パキスタンの JICS プロジェクト事務所にいました。す
ぐそばのホテルが爆発したので、驚いて慌ててしゃが
み込んだら、窓ガラスがゴーッとひどく震えたのをよ
く覚えています。テレビもなく状況がまったくわから
現場へ
なかったので、下の階にあるお店に行き、そこでテレ
ビを見せてもらいました。報道を見ながらショックを
大島 … アフガニスタンやイラクの復興支援、スマトラ
受け、すぐそばで苦しんでいる人たちのために何かし
沖地震による津波災害に対する支援、そして最近では
たいと強く思いましたが、その時は何をすればいいか
鳥インフルエンザ対策支援など、大きな節目に JICS は
わかりませんでした。
「調達」という切り口から関ってきたわけです。これま
その後、2005 年 5 月に四川地震が起きた際も私はパ
で担当した案件で特に印象に残っているのはどのよう
キスタンにいたのですが、震災報道を見ながら悲劇に
なことですか。
対して何もできない自分に歯がゆく感じていたとき、
白瀬 … 私はスマトラの地震・津波災害に対する支援
はっと気づいたんです。自分が携わっているパキスタ
を担当しました。2005 年のお正月に親戚の家にいた
ンの学校建設案件で、大きな地震が起きても崩れない
ら、部長から電話がかかってきて、
「明日からインドネ
しっかりした学校を作るということが、いつか起きる
シアに行ってくれ」といわれ、あわてて家に戻ったのを
かもしれない悲劇を防ぐ手立てにつながるのだと。今
今でもよく覚えています。その後、国内業務を経て、イ
の自分の仕事を通して、苦しみ悲しむ人々を少しでも
ンドネシアのプロジェクトマネージャーを前任者から
減らすために貢献しているのだ、そう思えるように
53
積み重ねを
大切に
吉岡佐知子
Sachiko Yoshioka
なったことで、仕事への熱
すが、輸送方法もあわせて考える必要があります。ま
意がさらに高まりました。
だ入団して間もない頃、専門家の携行機材として、ア
吉 岡 … 私 は、モ ル ド バ の
ナログの高度計を調達したことがありました。要望に
2KR プロジェクトを担当し
沿ったものを購入して送ろうとしたのですが、飛行機
てきたのですが、現地の実
で送ると高度計の針が振り切れてしまうことを上司に
施 機 関 の 方 か ら、
「JICS ス
指摘され、輸送方法を直前になって変更して、冷や汗
タッフの真面目な働きぶり
をかいたことがあります。
や、迅速で正確な仕事に感
吉岡 … 私も入札で大変なときがありました。相手国の
動した」
「これまでの JICS ス
要望を考慮しながらも、複数の機種で競合できる仕様
タッフの仕事ぶりがモルド
にして入札にかけたのですが、一番札(最低価格提示
バ関係者のよい手本とな
者)の会社が提示してきた機材の仕様が合っていな
り、その結果現地スタッフ
かったのです。それで当然失格としたのですが、その
のレベルが上がった」とい
企業は失格を不服として、繰り返し激しい抗議をして
われたことがありました。
きました。納得していただけるよう何度も話し合って、
そのときは、とてもうれし
最後はわかっていただくことができたのですが、あの
かったですね。
ときは仕様の難しさを改めて実感しました。
基本的には農機や肥料を調達して届けるのが 2KR の
プロジェクトなのですが、実は私たちは「物」だけじゃ
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なく、案件実施にかかわる方法や手続き、仕事に対す
る姿勢など、ソフト面でも現地の人々に影響を与えて
いるんだということを実感しました。
JICS の今後
大島 … ODA にはさまざま
な 変 化 が あ り、そ の ODA
大島 … それはうれしいですね。業務を通して、相手国
の潮流の変化は当然、JICS
の関係者から信頼を得ることができたとてもよい例で
の業務や役割にも大きな
はないでしょうか。一朝一夕には信頼を得ることはで
変化をもたらしています。
きませんから、きっと日ごろの努力や工夫の積み重ね
なかでもアフガニスタン
がその相手の方に伝わっていたのでしょうね。
と イ ラ ク の 復 興 支 援、イ
ンド洋大地震・スマトラ
仕様の難しさ
沖 津 波 災 害 支 援、そ し て
2006 年度に創設されたコ
転機となった
津波プロジェクト
大島 … 調達をする際には、さまざまな留意点がありま
ミュニティ開発支援無償
すが、どうしても避けて通れない重要なポイントが「仕
と防災・災害復興支援無
様」だと思います。JICS はさまざまな分野の多種多様な
償の調達代理業務の受託
分野の機材を調達する必要があるため、この仕様設定
など、特にここ 10 年の変
に関する苦労も多いのではないでしょうか。
化は非常に大きなものでした。いわゆる従来型の資機
久保 … そうですね。調達業務の一環として、入札にか
材の調達に加えて、施設建設案件の総合マネジメント、
ける資機材の仕様書を作成するわけですが、仕様の記
すなわちコンサルタントや施工業者の選定と案件の進
載についてはとても気を使います。
「or more(∼以上)
」
捗監理へと役割が変化しました。また一方で、件数は
という幅を持たせる言葉を書かないだけで、大きなト
まだ多くありませんが、JICS は国際機関や他ドナーか
ラブルにつながることもあります。1 つ 1 つの仕様をき
らも調達代理業務を受託しています。このような環境
ちんと把握し、それにどういう意味があるのかを理解
の変化などをふまえ、みなさんは今後 JICS をどのよう
しておかないといけないわけです。
な組織にしていきたいと考えていますか。
白瀬 … 機材を調達する際には、もちろん仕様も重要で
久 保 … こ の 20 年 を み る と、JICS を 取 り 巻 く 環 境 も、
白瀬 和広
Kazuhiro Shirase
JICS そのものも本当に大きく変わりました。1998 年の
にはミスがない」と思われ
アジア通貨危機の際に、インドネシアに米を緊急輸送す
るような仕事をすることが
る案件の話が出たときは、内部でも、
「リスクが高すぎ
やはり大切だと考えていま
る」という反対意見もありました。また、アフガニスタン
す。そういった小さな積み
やイラクの復興支援の際も、新しい分野であるだけでな
重ねが信頼につながり、結
く治安の問題がありましたから、かなり議論がありまし
果として次の仕事につな
た。でも最後は、
「やってみよう」と判断したわけです。
がっていくのではないで
このように、それまでの経験から一歩も二歩も踏み
し ょ う か。
「JICS に な ら 安
出した内容の案件に常にチャレンジし続けてきたこと
心して任せることができ
が、結果として幅広いノウハウの蓄積につながり、そ
る」とみなさんに思ってもらえるようになりたいです。
してさらには自分たちの自信につながっていると感じ
牧 … 日本の人口や ODA 予算が今後も減少していくこ
風通しのいい
組織へ
大島 義也
Yoshinari Ohshima
ます。
とが予測されているなかで、国際機関や他ドナーから
時には痛みを感じながらもチャレンジし続け、現在
の案件をいかに受託していくかが、これからの JICS に
のような JICS になった。10 年前には、10 年後の JICS が
とって重要だと考えています。
今のように多くの施設案件を担当することになるとは
だれも予測していなかったのではないでしょうか。と
いうことは、今後も同様に何が起こるかわからない。
JICS の頭文字は「JAPAN」の「J」ですが、いつかこれが
とれるような、真の国際調達機関になるのが夢です。
それならば JICS は将来のために、何をすればいいのか。
大島 … 長期的には国際機関や他ドナー、さらには直接
JICS にとって大事なものはなにか。私は JICS の財産は
相手国政府からの業務の受注を目指すことは確かに経
「人」だと思っています。その「人」を育て、色々なこと
営戦略として重要だし、組織として目指す方向として
に柔軟かつ適切に対応できるような、素地を作ってい
はそのとおりだと思います。一方で、やはり JICS は日
く必要があると考えています。
本の ODA のなかできちんと与えられた役割を果たし
今後も真剣に案件に取り組み、さらにノウハウを積
ていく、目の前にある業務の 1 つ 1 つに誠実に対応し
み上げるとともに、より多くの方に信頼していただけ
ていくということが、地味ですが一番大切なことだと
る組織になりたいです。
思います。
白瀬 … JICS は新しい援助の手法・枠組みに挑戦してき
たし、調達の専門家といえるスタッフも育ってきまし
た。もちろん職員 1 人 1 人の能力を伸ばすことが大事
なのは確かです。けれども、個人が強くても、まとまり
がなければチームは強くはならないと思います。まず
は、本音で突き詰めて話し合えるようにしないといけ
ない。JICS の根幹にかかわること、例えば、透明性、公
平性などに関する仕事のやり方について喧嘩するくら
いでもいいと思うんです。
理想ですが、入団して1年後には各職員が幹部と同
じ視点を持ち、JICS が果たすべき透明性の確保につい
て一緒に議論ができるようなレベルになれればと考え
ています。
また、JICS は「縁の下の力持ち」から卒業して案件の
トータルマネジメントを任せてもらえるまでに成長し
てきているといっても過言ではないと考えています。
内外から一層信頼を得て
JICS の立場をより強固なも
のにしていくうえでも、人
材を育てていくことが大切
だという意見は論を俟たな
いと思います。JICS は他の
組織ができないことをやれ
る、そういった組織になれ
るよう、人材を育んでいき
たい。JICS はいわば成人式
を迎えたばかりの、170 名
吉岡 … 私も白瀬さんの意見に賛成です。個人の能力を
ほどの組織です。活発に意
高めるのと同じくらい、チーム内での問題意識の共有
見交換をしながら、風通し
や、議論しやすい組織風土づくりも重要だと思います。
をよくしたいですね。
また、細かいことかもしれませんが、
「JICS が作る書類
2009 年 2 月
プロジェクトを
「形」に
牧 秀崇
Hotaka Maki
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JICS の仕事❶
技術協力
機材供与を支える
外事務所のスタッフやプロジェクト関係者を対象とした
調達関連のセミナーに講師として参加するなど、国
内外におけるサポート体制を整備してきました。
【 提供サービス 】
機材調達ヘルプデスク
設立当初からの柱
技術協力は、開発途上国の国づくりを推進するため
に、日本の持つ技術や経験を伝え、将来を担う「人づ
報を JICA 関係者にメール、電話またはファックスで提
供しています。
くり」を目的としたもので、JICA が中核となって、
「研
現地調達支援
修員受入」
「専門家・ボランティアの派遣」
「技術協力プ
JICA 在外事務所を対象とした「現地調達手続き支
ロジェクト」
「開発調査」などの業務を実施しています。
援」と「在外調達支援調査(出張型)」を行っています。
これらの業務で技術移転の仲立ちとなる機材の供与
現地調達手続き支援は、現地・第三国の機材調達の
も、技術協力に不可欠な支援の 1 つとなっています。
手続きを日本から支援するものです。在外調達支援調
JICS は、この機材供与事業について、JICS が設立
査は、在外事務所の調達手続きや調達体制整備のた
された 1989 年度から、JICA の委託に基づき、機材の
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調達段階で生じた疑問や問題を解決するための情
調達過程で必要となる仕様書の作成、入札会補助な
どの供給者選定にかかわる調達手続き業務、機材情
報や代理店情報などの各種情報提供業務、国内外の
各種調査などさまざまなサービスを提供しています。
情報化と現地化
めに要員を派遣するものです。
カタログ送付
機材選定や仕様確定にかかわる情報提供の一環と
して、1996 年から、カタログ送付サービスも行ってい
ます。
本邦調達支援
技術協力関連業務は、無償資金協力関連業務と並
供与機材:技術協力プロジェクトに必要な機材を日本
ぶ JICS の大きな柱の1つであり、設立初年度から20
国内で調達するために、技術仕様書の作成、入札公
年間に亘り技術仕様書の作成を行っています。
示・入札説明書の作成、入札会の執行補助、納品機
この 20 年、JICSをとりまく環境は大きく変わってき
材の検査、輸送の手配などの業務を実施しています。
ました。その変化に合わせ、技術協力関連業務にも
少額機材:JICA 専門家の活動に必要な機材で、1 件
変遷がみられます。仕様書作成や資機材の購送業務
あたりの契約予定額が 160 万円以下のものの見積書取
などの直接支援からスタートし、1999 年からは機材情
付けから発注、納品機材の検査、輸送まで書類作成
報支援を開始し、現場サイドで不足しがちな機材情
や業者との連絡を一貫して行っています。
報を提供してきました。
JICA 国内機関の調達支援
そして、近年の最も大きな変化は調達の現地化で
JICS の国内研修施設など
す。2003 年、技術協力の実施機関である JICA の独立
で研修用機材や備品などを
行政法人化に伴い打ち出された「効果・効率性と迅
調達する際に仕様書作成や
速性」
「現場主義」の方針に基づき、機材の調達先が日
予定価格設定の情報提供な
本国内から現地へと大きく変わってきています。
どを実施しています。
2004 年 10 月には JICA が在外事務所への調達権限
の委譲を試行的に開始したのに合わせる形で、JICS
は「機材調達ヘルプデスク」を新設し、現地調達に関す
る日本からの遠隔支援を開始するとともに、JICA 在
機材計画調査
供与された救急車
プロジェクト計画段階で機
材供与計画を策定するために、機材の仕様や価格の
技術協力支援サービス全体図
調達過程
提供先 事前調査
機材申請
仕様書作成
入札準備
入札
契約
輸送
納品
現地調達手続支援サービス(ヘルプデスク)
現地調達支援サービス(出張支援)
JICA在外事務所向け
ナショナルスタッフ向け調達研修・セミナーサービス
個別情報支援サービス(ヘルプデスク)
少額機材調達支援サービス
JICA在外事務所、
JICA本部向け共通
機材計画調査サービス
供与機材本邦調達支援サービス
専門家/プロジェクト/
シニア海外ボランティア・
青年海外協力隊向け
個別情報支援サービス(ヘルプデスク)
JICA派遣専門家派遣前研修支援サービス
積算、要請機材の確認、現地調達の実施可能性などを
「世界の笑顔のために」プログラムの
輸送手続き支援
確認する調査です。機材計画調査団の団員として機材
計画策定要員を派遣し、機材リスト作成・価格調査、
2003 年度から JICA が実施しているこのプログラム
初年度調達分機材の仕様作成、現地調達の可能性の確
で、JICS は 2006 年度から海上輸送手続き、2008 年度
認を行っています。
からは航空輸送手続きも担当しています。これは日本
で年に 2 回程度、教育、福祉、スポーツなどの物品提
医療特別機材
供を呼びかけて集め、現地で活動中のJICAボランティ
JICA の
「予防接種事業強化」
「人口・家族計画促進」
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アを通じて世界各地に届けるものです。
などの主に国際機関とのマルチ・バイ協力のため、資
機材や消耗品を供与するものです。マルチ・バイ協力は、
援助国と国際機関が協力して行う援助方式です。医療
特別機材では、JICA が機材調達というハード面を担当
し、国際機関が計画策定・人材育成などのソフト面を
担当しています。JICS は 1998 年度から、要請内容な
どの精査・確認、調達方法の選定、調達資機材の仕様
等調査・選定、予算調査業務などを実施しています。
JICS が関わった世界の技術協力
省エネ研修実習設備の納入前検査
リトアニア
ポーランド
チェコ スロバキア
モルドバ ハンガリー
ルーマニア
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ブルガリア グルジア
カザフスタン
モンゴル
ウズベキスタン
キルギス
トルコ
タジキスタン
アルメニア
シリア
チュニジア
レバノン イラク
アフガニスタン
モロッコ
ヨルダン イラン
ネパール
アルジェリア
パキスタン
エジプト
サウジアラビア
インド
オマーン
マリ
ニジェール
スーダン
イエメン
ブルキナファソ
ナイジェリア
エチオピア
モルディブ
中央アフリカ
スリランカ
カメルーン
ウガンダ
ケニア
赤道ギニア
セーシェル
コンゴ民主共和国
タンザニア
セルビア・モンテネグロ
モーリタニア
セネガル
カーボ・ベルデ
ガンビア
ギニアビサウ
ギニア
コートジボワール
ガーナ
ベナン
サントメ・
プリンシペ
ザンビア
マラウイ
ジンバブエ
ナミビア
ボツワナ
モーリシャス
マダガスカル
中国
韓国
ホンジュラス
ブータン
ハイチ
ドミニカ共和国
メキシコ
ミャンマー
キューバ
ラオス
ベトナム
タイ
カンボジア
フィリピン
バングラデシュ ブルネイ
マレーシア
シンガポール
インドネシア
パラオ
ミクロネシア
マーシャル
パプアニューギニア
グアテマラ
ジャマイカドミニカ
ニカラグア
エルサルバドル
コスタリカ
ベネズエラ
パナマ
コロンビア
エクアドル
バルバドス
セントビンセント
グレナダ
トリニダード・トバゴ
ソロモン
サモア
バヌアツ
フィジー
ブラジル
ペルー
ボリビア
クック諸島
トンガ
チリ
パラグアイ
モザンビーク
南アフリカ共和国
スワジランド
ウルグアイ
アルゼンチン
JICS の仕事❷
JICS と食糧援助
食糧援助(KR)
JICS は 2 年間の基礎研究による準備期間を経て、
食糧不足の
国を救う
2002 年度から食糧援助の調達監理業務を実施してき
ました。2001 年 3 月の閣議で決定されたモンゴル、モ
ザンビーク、エリトリアの食糧援助の調達監理を担当
することになりました。これを受け JICS は、食糧援助
に関して初めての調達監理契約をモンゴルと締結し
ました。
JICS は、開発途上国政府との契約に基づき、2002
食糧危機
年度から2006 年度までは、調達の監理機関として、
いまだ多くの開発途上国では多くの人々が貧困に
苦しんでいます。特にアフリカなどにおける食糧問題
は切実です。世界的に食糧危機が叫ばれるなか、深刻
な食糧不足は開発途上国で飢餓に苦しむ人々を生命
の危機にさらしています。
れた食糧の配布状況や見返り資金の積み立て状況な
どをフォローする政府間協議(コミッティ)の事務局業
務を担当してきました。
また 2007 年度からは、それまでの調達監理方式か
なかでも特に大きな影響を受けるのが、乳幼児と子
どもたちです。栄養失調や疾病による乳児死亡率の
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公正で迅速な食糧の調達に貢献するとともに、調達さ
増加は、食糧不足と貧困ゆえに必要な食事を得られ
ないという、人間としての生きる権利が侵害されてい
ることを示しています。
ら調達代理方式に変更となり、JICS が相手国の調達
代理人として、より重い責任を負う立場で調達業務を
行っています。調達代理方式では、より相手国のニーズ
に合ったタイミングで納入する支援が可能になりま
した。
食糧援助
見返り資金
日本は、深刻な食糧不足に直面している開発途上
国が米・小麦・トウモロコシなどの主要穀物を購入す
るための無償資金協力「食糧援助(KR)」を 1968 年か
ら実施しています。この食糧援助は、1967 年にガット
(GATT:関税・貿易に関する一般協定)
のケネディ・
ラウンド交渉で成立した国際穀物協定の食糧援助規
約に基づいて開始されました。そのためケネディ・ラ
ウンドの頭文字をとって「KR」ともよばれています。
食糧援助では、無償資金協力によって調達した物
資の価格の一定額を、開発途上国政府が現地通貨で
積み立てることが義務付けられています。この積み立
てられた資金は「見返り資金」と呼ばれ、相手国政府
は、日本政府と協議のうえで自国の経済開発に資す
る事業などに活用することができます。無償資金協
力で購入した物資を同国内で販売することで生じる
資金を、経済開発に役立てることができるため、単
純な物資供与にとどまらない効果が得られます。
セネガルに送られた米を運ぶ人たち
食糧援助の実際
西アフリカに位置するガンビアでは、労働人口の約
8 割が農業に従事しています。雨水に頼る農業を主と
しているため、雨量が少ない年は農産物の生産量が
減少し、米の自給率が 20%にとどまることもありま
す。このような食糧事情を改善するため日本が食糧
援助を実施し、JICS はガンビア政府の調達監理機関
として、政府米を輸送する業者の選定、納入管理など
食糧援助の流れ
開発途上国
からの要請
外務省の
最終審査
事前審査
閣議決定
政府間
合意
調達監理
業務
コミッティ
事務局業務
完了
JICSの実施業務
の業務を担当しま
した。
食糧援助の今後
食糧危機が叫ばれる昨今、1960 年代後半に始まっ
到着した米は農業
省を通じて国民に市
場価格より安く販売
た食糧援助は、肥料などを供与する貧困農民支援(旧
食糧増産援助)とともに、これまで以上にその重要性
を増していくと考えられます。
され、その代金の一
部を積み立てた見返
り資金は肥料の購入
や社会開発などに
役 立 てられていま
食糧援助の米の船積み
す。
アフリカ大陸東側のマダガスカルは 2003 年にサイ
クロンに襲われましたが、食糧援助の米は被災地に送
59
られるとともに、販売した収益の一部が肥料購入に
使われました。
中米のハイチでは食糧援助の見返り資金で、病院修
復が行われています。
このように、食糧援助は慢性的な食糧不足に対す
る支援であると同時に、その見返り資金が社会開発
などに役立てられています。
エリトリアに送られた小麦。製粉工場に搬入される
JICS が関わった世界の食糧援助
モンゴル
ネパール
モーリタニア
セネガル
カーボ・ベルデ
ガンビア
マリ
エリトリア
ニジェール
ラオス
ブルキナファソ
ジブチ
エチオピア
ギニア
ガーナ
コンゴ民主共和国
ベナン
サントメ・プリンシペ
タンザニア
アンゴラ
マダガスカル
モザンビーク
モルディブ
ハイチ
JICS の仕事❸
貧困農民支援(2KR)
農業を支援する
アルメニアに供与されたコンバインの使用状況調査
途上国の食糧問題
開発途上国に対する食糧に関する日本の支援は、
迅速な食糧の調達を実施するとともに、調達された
米や麦、トウモロコシなどの主要穀物の購入資金を供
食糧の配布状況や見返り資金の積み立て状況等をフ
与する「食糧援助」以外にも、
「貧困農民支援」
(旧食糧
ォローする政府間協議(コミッティ)の事務局業務を行
増産援助)があります。この援助は肥料や農業機械な
ってきました。また、2004 年度からはそれまでの調達
どを供与して、生産性を高め、貧困農民の自立を支
監理方式から調達代理方式に変更となり、JICS は開
援し、その国の農業自給率の向上を目指すものです。
発途上国政府の代理人として、より重い責任を負う
立場で業務を実施しています。
食糧増産援助から
日本は 1977 年から、食糧増産援助として、開発途
60
見返り資金でより高い効果を
上国に肥料や農薬、農業機械などの購入資金を援助
食糧援助と同様に、この支援においても開発途上
してきました。食糧増産援助は、食糧援助がガット
国政府は見返り資金を積み立てることが義務づけら
(GATT:関税・貿易に関する一般協定)のケネディ
れています。見返り資金とは、無償資金協力により購
ラウンドで開始されたため、
「KR」と称することに準
入した肥料や農業機械などを現地で安価で販売し、
じて、
「2KR」とも呼ばれています。
その売上金を積み立て、それを日本政府と協議のう
2005 年にはそれまでの食糧増産援助から貧困農民
え農業開発などに活用するものです。これにより、単
支援に名称が変わりました。この変更は、貧困対策の
に物資の援助にとどまらず、より高い効果を得ること
視点から、裨益対象を貧困農民・小農とすることを
が可能となります。
一層明確化し、食糧生産の向上に向けた自助努力を
支援することを目的としたものです。
具体的な取組み
JICS の役割
援助の調達監理業務を担当しています。2004 年には、
JICS は 1999 年から、アルバニアに対する食糧増産
JICS は、開発途上国政府との契約に基づき、1998
アルバニア政府が、それまでの援助の見返り資金を
年度から 2003 年度まで調達監理機関として、公正で
活用した食品加工プロジェクトを実施することにな
ったため、アルバニア政府の要望に基づきこのプロジ
アルバニアでの引き渡し式
ェクトについても JICS が調達監理業務を行いました。
これが JICS にとって初めての見返り資金を活用する
プロジェクトの調達監理業務となりました。
モルドバは、1991 年の旧ソ連崩壊以降、経済が混乱
し困窮していました。農産物の収穫量も減少し、農業
機械が老朽化しても新しいものを購入できず農地を放
棄する農民が続出していました。このような状況を
受け日本は 2000 年からモルドバに対する食糧増産援
助(貧困農民支援)を実施しており、JICS はこれらの
貧困農民支援
(2KR)
の流れ
開発途上国
からの要請
事前審査
閣議
決定
外務省の
最終審査
調査
政府間
合意
調達監理
業務
コミッティ
事務局業務
* JICSは団員として
参加
完了
JICSの実施業務
案件の調達監理(2004 年からは調達代理)業務を行っ
てきました。このモルドバでは、見返り資金の活用に
よって、特に大きな成功を収めることができました。
モルドバ政府は、最初に調達されたトラクター 296
台を販売し、得た代金の一部を見返り資金として新
現地の声 F r o m t h e s i t e
独立以来最も効果的な
プロジェクト
たな農機を調達し販売。これを繰り返すことで、2005
ブマコフ・ヴァジレ
年までに当初の約 6 倍、1700 台のトラクター、さらに
2KR プロジェクト技術局長
(モルドバ共和国農業食品産業省)
コンバインなどを含めると 2135 台の農機を調達する
ことができました。日本からの援助がいわば起爆剤と
モルドバの小規模農民には担保がなく、銀行から融資を受けら
なり、調達と販売
れません。しかし、2KR プロジェクトでは担保も利子もなく、最初
のサイクルにより
の 1 回分を支払うとトラクターを受け取ることができます。2KR の
資金がうまく回
支援が始ってから 7 年間で、1)1000 以上の農民や農民組織が農業
転する仕組みを
形成することがで
機械を入手でき、2)農機具 3250 点以上が配布され、3)12000 件以
上の仕事の創出につながり、4)その機材により 30 万ヘクタール以
上を開墾、などの成果がありました。それは 20 万人以上の小作農
きたとして、日本
民のための土地です。この成功は、他の援助国や国際機関などから
の支援に対する
も注目されています。
感謝の声が届い
JICS チームは各地を訪問し、多くの農民と直接話し合って仕事
を進めました。入札によって価格を抑えることで資金の節約が可
ています。
能となりました。JICS が正確に監理を行い、透明性の高い効率的な
調達を行ったことは、モルドバに大きな変化を与えました。私たち
モルドバへ調達されたトラクター
は JICS の案件監理や調達方法を学んで実行しています。JICS チー
ムと一緒に働くと、多くの学ぶべきことがあります。特に若いス
タッフにとっては、日本人がどれだけ組織的で、専門化されていて
知識に富み、とても忍耐強く、礼儀正しく、社交的であるかがお手
JICS が関わった世界の貧困農民支援
本になります。
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
アゼルバイジャン
モルドバ モンゴル
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ウズベキスタン
グルジア
キルギス
アルバニア
アルメニア
シリア
パレスチナ
アフガニスタン
ヨルダン パキスタン
エジプト
モロッコ
モーリタニア
セネガル
アラブ首長国連邦
エリトリア
カーボ・ベルデ
ガンビア
ギニアビサウ
ギニア
シエラレオネ
リベリア
コートジボワール
ガーナ
インド
ニジェール
イエメン
スーダン
ブルキナファソ
ジブチ
ナイジェリア
エチオピア
中央アフリカ
カメルーン
ソマリア
ウガンダ
ケニア
ルワンダ
コンゴ民主共和国
アンゴラ
ザンビア
コモロ
マラウイ
ジンバブエ
ナミビア
ブータン
ホンジュラス
ミャンマー
ラオス
タイ
カンボジア
マリ
トーゴ
ベナン
中国
ネパール
ハイチ
ドミニカ共和国
グアテマラ
フィリピン
エルサルバドル
ニカラグア
バングラデシュ
スリランカ
ブルンジ
タンザニア
エクアドル
インドネシア
パプアニューギニア
サモア
ペルー
ボリビア
マダガスカル
パラグアイ
モザンビーク
レソト
スワジランド
61
JICS の仕事❹
ノン・プロジェクト無償
自由度の高い
支援を
東ティモールに供与された軽油
ノンプロ無償の特徴
この無償資金協力で調達できる物品は、経済構造改
善に役立つものに限られます。軍事品・軍事転用が可
ノンプロ無償とは
アフリカの国々をはじめとする開発途上国では、債
務の返済ができず累積債務が増大し、深刻な経済難
に陥っています。このような状況を克服するための支
援策の 1つとして、ノン・プロジェクト無償資金協力が
生まれました。
開発途上国支援は通常、実施する内容を事前調査
などに基づいて策定し、プロジェクトとして実施され
62
ます。一方、このノン・プロジェクト無償資金協力
(ノ
ンプロ無償)は、文字通りプロジェクトによらない無
償資金協力です。累積債務の増大や国際収支赤字の
拡大など、経済困難が深刻化している開発途上国が、
世界銀行・IMF などと連携・協調しつつ行う貧困削
減などの経済構造の改善努力を推進するために、必
要な物資の輸入資金を支援するのが、ノンプロ無償
です。この援助は国際収支の改善を支援するものと
して、即効性が期待できます。
日本は 1987 年からノンプロ無償を開始し、JICS は
能なもの、奢侈品、ハイテク製品などは除外されます。
ノンプロ無償では、資金を適正に使用するため、ま
た、開発途上国政府の調達の実施を円滑に行うため、
調達業務や資金の監理は調達代理機関を介して行わ
れることになっています。調達代理機関は、相手国政
府の代理人として、資金管理を含めた調達代理業務
を行います。JICS 以外にも、UNOPS(国連プロジェク
ト・サービス機関、UNDP〔国連開発計画〕の 1 部門が
1995 年に独立したもの)や英国のクラウンエイジェン
ツが、日本のノンプロ無償において、相手国の代理機
関として調達を実施しています。
援助資金は、交換公文(E/N)の署名と銀行取極を
締結した後に、一括して相手国政府の銀行口座に振
り込まれ、原則として1 年以内に利用されます。また、
調達実施後、相手国は、調達物資の販売代金を「見返
り資金」として現地通貨で積み立てる必要がありま
す。途上国政府は日本政府と協議のうえ、この見返り
資金を自国の経済・社会開発などに活用することに
なっています。
1993 年のモンゴルに対する支援を皮切りに案件実施
に関わっています。対象国はアジア、アフリカ、中南米、
中東、大洋州、欧州など全世界に広がっています。
JICS の業務
JICS はノンプロ無償において、そのつど相手国の
実施機関と合意しながら、次のような業務を実施し
ています。
1)交換公文が署名されると、ノンプロ無償について説
明、相手国実施機関と
「調達代理人契約」を締結し、
相手国政府が調達品の受領者(エンドユーザー)、調
達品、予算などを決定する過程でアドバイスを行う。
2)調達品の決定後、新聞と JICS ホームページに「一
般調達公告」を掲載し、登録した企業の「入札参加
資格審査」を行う。入札条件と調達品の仕様など
パキスタン地震復興支援で、ノンプロ無償により建てられた病院の手術棟
の情報を収集のうえエンドユーザーの承認を得て
ノン・プロジェクト無償の流れ
開発途上国
からの要請
閣議
決定
外務省の
審査
政府間
合意
調達代理
業務
見返り資金
積み立ての
確認
完了
JICSの実施業務
「入札図書」を作成し、国際競争入札をはじめとし
エチオピアに対しては 2000 年度に電力・電話通信
た効率的な「入札」を実施し、入札評価の後にエン
網のための支援を、イエメンにはリン鉱石を採掘する
ドユーザーの承認を得て落札企業を決定、JICS と
ための重機やゴミ収集車、ラオスには石油と鉄製品、
落札企業との間で
「売買契約」を締結。
インドネシアにはアスファルト、ベトナムには紙など、
3)代金支払までJICS が資金を管理し、請求内容を精
開発途上国のニーズにより調達品目もさまざまです。
査して合格したものに対して代金を支払う。トラブ
ルが生じた場合は迅速に問題の解決に取り組む。援
新たな展開
助資金の残余額が総額の 3%以下になったら、
「残余
2004 年 12 月に発生したスマトラ沖大地震・インド
金」の活用について相手国機関にアドバイスを行う。
洋津波被害に対する支援として、日本は、インドネシ
4)外務省、日本大使館、相手国大使館と実施機関に対
ア、スリランカ、モルディブに対して総額 246 億円の
して、調達進捗状況に関する月例報告書、資金管
ノンプロ無償を行いました。この支援は、ノンプロ無
理報告書、完了報告書を提出。その後も、相手国実
償を柔軟に運用する形で行われたのが大きな特徴で
施機関に見返り資金の積み立て状況の報告を求め、
す。調達品目を現地ニーズに合わせて選択し、それま
定期的に関係機関に報告するなどの業務を行う。
でのノンプロ無償ではみられなかった学校や道路な
どの工事型案件も行いました。この方式は 2005 年 10
ノンプロ無償の実際
月にパキスタン北部で発生した地震の被害に対する
JICS によるノンプロ無償第 1 号は 1993 年度のモン
支援においても、採用されました。
ゴルに対する医薬品の調達でした。2001 年度にはモ
このような、ノンプロ無償の柔軟な活用が、2006 年
ンゴル独自の移動住宅ゲルで利用できる太陽光発電
のコミュニティ開発支援、防災・災害復興支援という
システムを調達しました。
新たな無償資金協力の誕生につながりました。
JICS が関わった世界のノン・プロジェクト無償
セルビア・モンテネグロ
モンゴル
ルーマニア
アルバニア
パレスチナ
モロッコ
中国
アフガニスタン
ヨルダン エジプト
パキスタン
ネパール
キューバ
イエメン
ジブチ
エチオピア
カメルーン
ラオス
ベトナム
タイ
カンボジア
グアテマラ
ホンジュラス
モルディブ
スリランカ
ナウル
インドネシア
コンゴ民主共和国
パプアニューギニア
キリバス
バヌアツ
マダガスカル
レソト
エクアドル
ツバル
東ティモール
ニカラグア
サモア
トンガ
63
JICS の仕事❺
文化無償
途上国の文化を
守る
トルコのエルジェス大学で活用されている供与された LL・視聴覚機材
度からは案件の形成に関する調査も行っています。
なお、これらのうち調査業務については、2002 年度
以降は企画競争により案件を受託しています。
主な対象機材は、劇場用の音響・照明機材、スポー
文化無償とは
ツ器材、遺跡発掘・保存関連機材、楽器、文化・教育
文化無償は、開発途上国の文化・教育などの発展
番組制作機材、日本語教育関連機材などです。2008
支援を通じて、日本と相手国との相互理解や友好親
年度は 47 件の現地調査と 16 件の入札補助業務を実
善を深めることを目的に、文化・教育活動に必要な機
施しました
材の購入・輸送、施設の建設・修復などのために必
要な資金を供与する無償資金協力です。
開発途上国に対し柔道などの武道を含めた日本の
伝統文化の発信や日本語教育の支援などのほか、開
64
発途上国の伝統文化や文化遺産の保護、芸術分野な
どへの支援も実施しています。
文化無償の実際
文化無償の実例をいくつかご紹介します。
黒海とカスピ海の間にあるアルメニアは、5 世紀初
頭には独自のアルファベットを考案し聖書のアルメニ
ア語訳を完成させました。アルメニアの古文書館で
は、当時の羊皮紙古文書をはじめ貴重な古文書を収
JICS と文化無償
蔵していますが、14 世紀以降の紙の古文書には著し
1993 年度 JICS は外務省の委託を受け、要請された
い損傷があります。そのため日本は、傷んだ古文書を
機材にかかわる事前調査を開始しました。そして、
1 枚 1 枚洗浄・中性化し、和紙を利用して補強し蘇ら
1995 年度からは、相手国機関との契約に基づき、機材
せるリーフキャスティング装置一式を文化無償で調達
調達の入札の公告・開催・評価などの入札補助業務
を行っています。また、2004 年からは要請書の解析、
アルメニアの古文書館。
手作業で修復中の古文書
2005 年からは NGO や地方公共団体を対象とした草
の根文化無償の要請書解析、さらに2006 年度からは、
過去に調達された機材を持続的・効果的に利用する
ためのフォローアップ調査を行っているほか、2008 年
建設中のエチオピアの博物館
手動リーフキャスター。
紙漉きの原理を利用し、
破損部分に和紙の繊維を
漉き込む
文化無償の流れ
案件形成
調査
要請書解析
開発途上国
からの要請
(草の根を含む)
調査実施
の決定
事前調査
外務省の
最終審査
閣議決定
政府間
合意
入札補助
業務
フォローアップ
調査
完了
JICSの実施業務
しました。
ブルガリアの国営ラジオ交響楽団の
スタジオ収録
楽、教育、文化遺産保護など、さまざまです。地域も
東アフリカのエチ
欧州、アフリカ、アジア、中南米など、全世界にわた
オピアは世界有数の
ります。人々の生活があれば、それぞれの文化があり
古生物化石の宝庫
ます。そしてそれぞれの文化の保護と継承・振興はと
で す。しかし、化 石
ても重要です。
を保存・研究する建
JICS は文化無償の事前調査、入札補助やフォロー
物や設備は、耐震・
アップなどを実施することにより、日本と開発途上国
耐火構造を持たな
の相互理解、文化交流、友好関係の促進と ODA の効
いうえに老朽化が
率的、効果的な実施に、今後も貢献していきます。
著しいため、エチオピアは博物館の建物改修に着手
しました。そして日本は、堅牢な保管庫、顕微鏡やデ
ジタルマイクロスコープ、プレゼンテーション機材な
どを文化無償で支援しました。
65
東欧のブルガリア国営ラジオ交響楽団は、政府から
十分な予算を得られないため、新しい楽器への買い替
えが不可能な状況に陥っていました。そのため日本は、
必要な楽器を購入するため文化無償を実施しました。
文化無償の今後
このように、文化無償といっても、スポーツから音
ブルガリア国立演劇・映画芸術アカデミーのスタジオでは、供与された
ビデオカメラ、マイクなどが活用されている
JICS が関わった世界の文化無償
エストニア
ラトビア
リトアニア
ポーランド
チェコ スロバキアウクライナ
カザフスタン
モルドバ
ハンガリー
モンゴル
クロアチア ルーマニア グルジアアゼルバイジャン
ボスニア・ヘルツェゴビナブルガリア アルバニア
アルメニアウズベキスタン
セルビア
タジキスタン
トルコ トルクメニスタン
モンテネグロ
キルギス
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国レバノン シリア
中国
チュニジア パレスチナ
イラン アフガニスタン
モロッコ
ヨルダン
パキスタン
アルジェリア
ネパール ブータン
モーリタニア
エジプト
バングラデシュ
セネガル
インド
ラオス
マリ ニジェール
ミャンマー
カーボ・ベルデ
タイ
イエメン
ベトナム
ブルキナファソ
ジブチ
カンボジア
フィリピン
ナイジェリア
ギニア
マーシャル
エチオピア
モルディブ スリランカ
中央アフリカ
パラオ
マレーシア
ウガンダ
ガボン
ケニア
ナウル
インドネシア
パプアニューギニア
コートジボワール
タンザニア
ソロモン
ガーナ
サモア
ザンビア
マラウイ
バヌアツ
トーゴ
マダガスカル
ジンバブエ
ナミビア
フィジー トンガ
モーリシャス
ボツワナ
ベナン
レソト
モザンビーク
南アフリカ共和国
スワジランド
メキシコ
キューバ
ハイチ
ドミニカ
ジャマイカ
ベリーズ
セントルシア
ホンジュラスドミニカ共和国
グレナダ
グアテマラ ニカラグア
トリニダード・トバゴ
エルサルバドル コスタリカ
ベネズエラ
パナマ
コロンビア
エクアドル
ペルー
ブラジル
ボリビア
チリ
パラグライ
ウルグアイ
アルゼンチン
JICS の仕事❻
感染症対策無償の実際
感染症対策無償
感染症対策無償の実例をご紹介します。
人々を感染症から
守る
タンザニアのエイズ対策
国連エイズ計画(UNAID)は、タンザニアの 1999年末
時点の HIV 感染者数は 130 万人、年間死亡者数は 14
万人を越えたと推定されると発表しています。タンザニ
ア保健省は 15 歳以上の人口の 10∼20% が HIV 感染者
と推計しており、生産人口の感染率の高さが深刻で社
感染症の脅威
66
会経済に与える影響も大きい状態でした。このような
科学文明の進歩により、医学は驚くほど発達し、人
状況を改善するため、2002 年より、日本は HIV 簡易検
工血液や内臓など、日々新しい技術が開発・研究され、
査キット、梅毒検査キット、性感染症治療薬の調達に必
ガンやエイズといった病気に対する医薬品も進歩し
要な資金を供与しました。これにより、輸血ドナー検
ています。
査、VCT(自発的カウンセリング・検査)が全国レベル
しかしマラリアや結核など以前からある病気で苦し
で強化され、輸血の安全性が確保されるとともに、適切
んでいる人も、依然として多いのが現状です。また、
な性感染症の治療を受けられる患者が増加しました。
新たなウイルス発生の危険性など、現代も私たちはさ
アンゴラのマラリア対策
まざまな形で感染症の脅威に晒されています。
アンゴラは、長年の内戦の影響で、保健医療がサブ
このような事実は、開発途上国にとっては大きな脅
サハラ・アフリカのなかでも特に劣悪な状況でした。
威です。食糧不足により栄養状態が悪いうえに、衛生
特に乳児死亡率が出生 1000 人に対し154 人、5 歳未満
状態の悪さや医薬品、医療機関などの不足などによ
の幼児の死亡率が、出生 1000 人に対し260 人と、世界
り、感染症の罹患が生命の危機に直結します。
のなかで乳幼児の死亡率が最も高い国の一つでした。
セネガルのマラリア対策で調達された
蚊帳と殺虫剤など
感染症対策無償は、こう
その死亡原因の最上位がマラリアです。この状況に
いった開発途上国の人々の
対応するためアンゴラ保健省は、2005 年からの5 年間
生命を脅かすHIV/ エイズ、
で、マラリア罹患数を年間 300 万例から 90 万例に減少
結核、マラリア、ポリオなど、
させることなどの目標を掲げた、マラリア撲滅 5 カ年
さまざまな感染症の抑制を
戦略を策定するとともに、日本に支援を要請してきま
めざしてワクチン接種や治
した。これを受け日本は蚊帳、マラリア治療薬、検査
療薬の投与など行うための
機材などの機材の調達資金を供与しました。
無償資金協力です。
感染症対策と JICS
JICS と感染症対策分野の援助のかかわりは、1997 年
に JICA から子どもの健康無償の委託を受けたことに
始まります。当初は必要とされる医薬品や医療機材な
さらに調達完了後には、対象地域の病院や保健施
設の担当者などを集めて、新しいタイプのマラリア治
療薬やソーラー電源式顕微鏡の使用方法などの研修
が行われました。
VVM の貼付で表彰
どの資機材についての調査を国内と現地で実施して
2007 年 5 月、JICS は WHO(世界保健機構)から表彰
きました。そして、調査の後には相手国政府との契約
を受けました。これは、JICS がこれまでワクチンを調達
に基づき、調達監理業務を行っています。
する際に VVM(Vaccine Vial Monitor)の貼付を積極
感染症対策無償は緊急性が高く、ワクチンや医薬
品は使用期限も限られているため、プロジェクトの監
理には迅速性と適時性が求められます。
的に入札仕様に明記することで、その普及に貢献した
ことが評価されたものです。
さまざまな感染症への対策として、予防接種の普
感染症対策無償の流れ
開発途上国
からの要請
プロジェクトの
選定
業務実施
指示
調査実施の
決定
基本設計
調査
外務省の
最終審査
政府間
合意
閣議決定
プロジェクトの
実施促進
簡易機材
案件調査
完了
調達監理
業務
JICSの実施業務
及が進められていますが、特
疹抑制計画において、はしかワクチンへのVVM 貼付
に開発途上国では、ワクチン
を義務付ける形で調達を実
の輸送や保存における温度
施、そ の 結 果ワクチンへの
管理が課題となっています。
VVM の貼付が広がるきっか
停電や保管冷蔵庫の不具合、
けになりました。現 在 で は
運搬時の温度管理の不備な
VVM の普及はかなり進んで
ど、ワクチンの保管温度が許容範囲を超えてしまうケ
おり、多くの種類のワクチン
ースも少なくありません。そのため、高温にさらされ効
が VVM 付きで調達できるよ
き目のなくなったワクチンを使用してしまったり、その
うになってきています。
VMM シールの貼られたはしかワクチン
タンザニアの感染症対策で調達された
医薬品を確認する JICS 職員
反対に、まだ使用できるワクチンを一時高温下に置いて
いたという理由で廃棄してしまうケースもあるといわれ
現地の声 F r o m t h e s i t e
ています。このような状況を受け WHO は、ワクチンを
より有効に使用するためVVM の普及を呼びかけ、JICS
はこれに応える形でワクチンへの VVM 貼付を入札仕
グエン・ヴァン・クーオン博士
様書に積極的に盛り込み、調達を実施してきました。
この VVMとは、ワクチンの容器に貼付する、温度変化
により変色する性質を持つシールのことで、これが貼付
されていると、容器に入ったワクチンが、それまで適切な
温度下に置かれていたかどうか、すなわちそのワクチン
が有効かどうかを容易に判定することができるものです。
67
VVM は頼みの綱
(ベトナム保健省国家予防接種拡大計画局長)
(当時)
コールドチェーン(低温流通システム)が未発達の僻地において
は、VVM が頼みの綱であり、ワクチンの配布頻度の低減、ひいては
コストの削減につながりました
ヘルスワーカーたちは VVM を信頼しており、すべてのワクチン
に貼り付けるよう要求しています。
JICS は他ドナーに先駆けて 2000 年度のベトナム麻
JICSが関わった世界の感染症対策無償(子どもの健康無償等を含む)
ウズベキスタン
中国
パレスチナ
パキスタン
モーリタニア
セネガル
インド
マリ
ギニア
コートジボワール
イエメン
ニジェール
コンゴ民主共和国
アンゴラ ザンビア
カンボジア
ホンジュラス
フィリピン
エルサルバドル
ニカラグア
バングラデシュ
パプアニューギニア
セーシェル
マラウイ
ジンバブエ
ハイチ
ラオス
ベトナム
ジブチ
ブルキナファソ
ナイジェリア
エチオピア
中央アフリカ
カメルーン
ウガンダ
ケニア
タンザニア
ベナン
ネパール
ペルー
モーリシャス
マダガスカル
モザンビーク
エクアドル
インドネシア
ボリビア
JICS の仕事❼
緊急無償
JICS と緊急無償
緊急無償とは文字どおり急を要する支援であり、
迅速な支援を
何より迅速性が問われます。JICS は 1998 年度より、
緊急無償について、開発途上国政府との契約に基づ
き、食糧、医療機材・医薬品、給水車、救急車、建設
機材などに関る調達代理業務を行っています。また、
人々のために
地震、津波、台風などの自然災害は突然、人々の生
活を襲います。自然の猛威は、日本のように近代文明
が発展した社会でも、例えば阪神淡路大震災による
被害などが示しています。そして、大きな自然災害に
よる被害を受けた後の復旧・復興にはとても長い時
間と努力が必要になります。
68
状況に応じて納入後の機材の活用状況について独自に
モニタリングを行うこともあります。
緊急無償の実際
緊急無償の実例をいくつかご紹介します。
中国 SARS 対策
2002 年 11 月に、中国で SARS(重症急性呼吸器症候
また、現在でも各国・各地で人々の大規模な争い
群)が発生し、その後アジアを中心に感染が拡大、2003
が生じています。そして一番の被害を受けているの
年春に猛威をふるいました。これに対して、2003 年 5 月
は、そこで生活している人々です。
9 日、日本は対中 SARS 対策支援として約 15 億円の緊
失われた生命は取り戻すことができませんが、い
急無償を決定、JICS は中国政府との契約に基づき、調
ま生きる人々のために、国際社会は迅速に手を差し
達代理人として、移動式 X 線装置、ICU(集中治療室)モ
伸べる必要があるのです。
ニターセット、簡易人工呼吸器セット、防護服などの調
達を行いました。世界的に SARS 関連物資の需要が非常
緊急無償
に高く、困難ななかでの業務となりましたが、調達作業
海外における自然災害や内戦・紛争の被災者や難
を完遂することができました。そしてその後 2 度にわた
民・避難民などの救援のために、人道的観点から緊
って医療機材の活用のモニタリング調査も行いました。
急に必要な資金を供与するのが、緊急無償です。緊急
同年 5 月 31 日の日
性を要するこの援助の特殊性から、他の無償資金協力
中首脳会談では当時
とは異なる手続きによって迅速に実施されているの
の小泉首相に対し胡
が、この援助の一つの特色です。具体的には次のよ
錦濤主席から、
「中国
うな支援が行われます。
人 民 と政 府 を 代 表
し、SARS に 関 す る
①災害緊急援助
日本からの支援に心
・地震、津波、台風などの自然災害からの復旧に対する支援
か ら 感 謝 し て い る」
・内戦・紛争などの人為的災害からの復旧に対する支援
②民主化支援
との言葉が述べられ
ました。
SARS 対策支援で中国に送られた医療機器
・非民主的体制が崩壊した後の民主化支援
・長期にわたる内戦が終息した後の民主化支援
パキスタン大地震
③復興開発支援
2005 年 10 月 8 日、パキスタン北部を震源とする大地
・紛争や内戦地帯の和平成立前の難民や被災民救済などの緊
急・人道的支援
・和平成立後、一定期間を経て行われる開発援助との間をつ
なぐ期間に、紛争当事者の国・地域の復興・再建をスムー
ズに実施するための復興支援
震が発生し、死者 7 万 3000 人以上、負傷者 12 万人以
上、家屋喪失 330 万人以上という大規模な被害をも
たらしました。地震被害の特に大きかったパキスタン
北部では、建物倒壊、道路寸断、土砂崩れなどの被害
により、被災者たちは不自由な避難生活を強いられ
緊急無償の流れ
開発途上国
からの要請
外務省の
審査
政府間
合意
閣議決定
調達代理
業務
完了
JICSの実施業務
インドネシアジャワ島中部地震
インドネシアのジャワ島中部で 2006 年 5 月に発生し
た大地震は、死者約 5700 名、倒壊家屋 60 万軒以上と
いう甚大な被害をもたらしました。特にジョグジャカ
ルタ特別州と中部ジャワ州での被害が深刻で、なか
でもバントゥール県周辺での被害が最大でした。
日本は、この地震被害に対して多くの支援を行い
ました。JICS はジョグジャカルタ特別州と中部ジャ
ワ州を対象とした緊急無償と、バントゥール県を対
象とした防災・災害復興支援無償の調達代理機関と
パキスタン地震の緊急無償で供与したテントに住む被災民
して活動しました。緊急無償では、生活に必要な物
ていました。また、まもなくやってくる厳しい冬に備
えて、迅速な支援が急務となっていました。
パキスタンからの要請を受けた日本は直ちに 12 億
8400 万円の緊急無償を決定、JICS はパキスタン政府
と調達代理契約を締結し、必要物資・サービスの調達
資(大型テント3700 張、小型テント3200 張、ビニール
シート 2400 枚、毛布約 19500 枚)を調達しました。そ
の後は、防災・災害復興支援無償による学校や保健
センターの再建が行われ、継ぎ目のない支援が実施
されました。
を行いました。調達した物資は、テント、ビニールシ
イラク、アフガニスタン復興支援
ート、マットレス、毛布、水タンク、ブルドーザ、油圧
紛争や内戦、攻撃による大きな被害を受けたイラク
ショベル、主食、缶詰豆、缶詰肉、缶詰魚、缶詰トウ
とアフガニスタン。これらの国に対しても、それぞれ
モロコシ、医療器具、医薬品など多岐にわたります。
緊急無償などによって、医療、教育、治安の安定、イ
ンフラ復興など、さまざまな支援が行われました。詳
しくは第二章をごらんください。
JICSが関わった世界の緊急無償
モンゴル
ウズベキスタン
イラク
イラン アフガニスタン
中国
パキスタン
メキシコ
フィリピン
インドネシア
キューバ
69
JICS の仕事❽
書類作成指導をする JICS 職員(右)
有償資金協力
大規模なプロジェ
クトを支援
日本の援助
開発途上国では直接人々に届く支援と同時に、社会
インフラに対する支援も必要とされています。道路や
鉄道、電力などのエネルギーに関する支援を必要とす
調達ガイドライン、コンサルタント雇用ガイドラインな
る国は多く存在します。その国のニーズに即して、大
どに基づいた調達手続きに沿って、必要な物資や役務
規模なインフラ整備と人々に直接届く援助を組み合わ
を調達しなければなりません。
せて行う必要があります。
70
日本の二国間援助は、資金を返済する必要がない贈
与と、返済する必要のある貸付の大きく二つに分かれ
JICS と有償資金協力
ます。後者の貸付のことを有償資金協力といい、貸
一次チェック業務と報告書作成
付が円建てで行われることから、円借款とも呼ばれ
JICS は、2004 年度より、借入国が作成する調達関
ています。
連書類の内容が、JICA のガイド
ラインなどに準拠しているか否か
【日本の ODA】
を確認する作業(一次チェック業
無償資金協力
務)を JICA から受託し実施して
二国間贈与
政府開発援助
(ODA)
二国間貸付
多国間援助
います。
技術協力
二国間援助
有償資金協力(円借款)
調達セミナーの講師
国際機関への出資・拠出
また JICA は、借入国の政府や
実施機関が、調達手続きに関す
有償資金協力とは
る理解を促進するために、さま
ざまな国で有償資金協力セミナーと調達セミナーを
有償資金協力
(円借款)は、日本政府と相手国政府と
実施しており、JICS は調達セミナーに講師を派遣し
の合意のもとに、JICA が相手国に対して、低金利で長
ています。調達セミナーでは、借入国の関係者に対し
期の開発資金の貸し付けを行うものです。2008 年 9 月
て、書類を作成するうえで間違いやすい点などをフィ
までは、JBIC(国際協力銀行)の海外経済協力部門が
ードバックしつつ、書類の作成指導を行います。
行っていましたが、同年 10 月に JICAとこの部門が統
2005 年度にモロッコとチュニジアで講師を務め、
合したため、現在では JICA がこの支援を行っていま
2006 年度にはインド、エジプト、ルーマニア、ペルー、
す。借入国(開発途上国)は、この資金を使って、電
パキスタン、2007 年度にはインド、コスタリカ、パナマ、
力、ガス、運輸、通信などの経済・社会基盤を整備し
グアテマラ、モルディブで行われたセミナーに参加し
ます。借入国がこれらの事業を行うには、定められた
ました。
有償資金協力
(円借款)
の流れ
開発途上国
からの要請
政府間
合意
E/N
閣議
決定
検討/審査
実施機関
借款契約
L/N
事業の実施
完成
事業実施におけるコンサルタント雇用とコントラクター選定に
かかわる調達関連書類の一次チェックフロー
書類受領
書類不備
の確認
チェック
内容
検討会
修正・校閲
成果品
の提出
貸与書類
の返却
JICSの実施業務
案件監理専門家に関する委託調査
有償資金協力事業については迅速化が大きな課題
とされており、なかでも先方実施機関が行うコンサル
タント選定手続きなどの調達実施の初期プロセスの
迅速化が重点課題の 1 つとされています。2007 年度
より、コンサルタント選定を円滑に進めるための支援
の外部委託が開始されたことを受け、JICS は一次チ
71
ェック業務で蓄積した知識・ノウハウを活かし、これ
までに 2 件受託しました。そのうちの 1 件である
「イン
ドネシア:案件監理専門家に関する委託調査」では、
インドネシアの 3 件の有償資金協力プロジェクトに関
して、事業実施に必要な手続き、主にコンサルタント
選定の手続きを円滑に進めるために、先方実施機関
に対する支援を行いました。
ルーマニアの調達セミナーで講師をつとめる JICS 職員(右)
JICS が有償資金協力に関連して活動を行った国
(調達セミナーへの講師派遣、案件監理専門家に関する委託調査実施国)
ルーマニア
パキスタン
イラク
モロッコ
チュニジア
エジプト
インド
グアテマラ
モルディブ
コスタリカ
パナマ
スリランカ
ケニア
インドネシア
ペルー
パラグアイ
JICS の仕事❾
紛争予防・平和構築無償
紛争予防・平和構築無償とは
2003 年 8 月に閣議決定された政府開発援助大綱に
おいても、4 つの重点課題のうちの 1 つとして、
「平和
の構築」が掲げられています。平和の構築に向けた日
シェラレオネの職業訓練校の生徒から製作した机の説明を受ける
JICS 職員と英国援助関係者
本の取組みの一環として行われているのが、ノン・
プロジェクト無償の枠内の援助形態として 2002 年度
から実施されている、紛争予防・平和構築無償です。
JICS はこの支援の実施監理機関として、日本から
JICS はこの支援に関してこれまで 3 カ国、4 件の案件
供与された資金の管理を行うと同時に、資金の使用
の実施監理を行ってきました。
目的やプログラムの効果を確認するモニタリングを
シエラレオネへの支援
内戦が続いていたシエラレオネ政府は、国連シエラ
レオネミッション(UNAMSIL)の協力を得て、1999 年
72
を行うものです。
より「元兵士の武装・動員解除・社会復帰計画」を行
行いました。モニタリングは、2003 年と 2004 年の 2 回
行い、シエラレオネ北部で広範囲にわたってプロジェ
クトの実施状況などを視察した結果、事業が適正か
つ有効に運営されていることを確認しました。
い、2002 年 1 月に大統領が武装解除の完了を宣言し
イラクへの支援
ました。しかし、10 年に及ぶ内戦で、国内の主要施設
イラク復興における最優先課題である治安の回復
や水道、電気などの設備が破壊され、産業も大きな
を目指し、英国は 2004 年 4 月以降、英国の民間の警
打撃を受けたために、経済は低迷していました。
備会社を通じて、イラクの警察組織や行政組織と緊
このような状況を受けて日本は、シエラレオネの復
密な連携のもと、イラク南東部の 3 県(バスラ、マイサ
興のため、英国がシエラレオネで実施していた「コミ
ン、ムサンナ)においてイラク人警察官への訓練プロ
ュニティ再統合計画フェーズ 2」への資金協力を行い
グラムを実施していました。この 3 県のうち、日本の
ました。
陸上自衛隊が駐屯していたムサンナ県での警察訓練
これは、元兵士や戦争被害者のニーズ確認、元兵
プログラムに関して、英国政府から日本政府に対し
士と住民の和解、農業と水産業の持続的な開発と利
て協力要請がなされ、それに応じる形で日本政府は
用、小規模起業支援、住環境や社会インフラの改善
2005 年 9 月に総額約 3.8 億円の平和構築無償資金協力
を決定しました。
シェラレオネ支援によって設置された井戸で水を汲む少女
プログラムでは、2006 年 1 月から 6 月までの約 6 カ
月にわたり、ムサンナ県全体の警察官の 3 分の 1 以上
の人数にあたる 2,563 人に対して、警察官としての心
構えや民主国家における警察官の役割といった基本
的な事項や、鑑識、捜査、取り調べ、法務、本部体制
整備などの高度な捜査知識・技術に関する訓練を実
施しました。
カンボジアへの支援
2002 年度の 2004 年度「カンボジアにおける平和構
築と包括的小型武器対策プログラム」については、40
頁に記載しています。
JICS の仕事
フォローアップ事業
フォローアップ事業とは
技術協力や無償資金協力により供与された施設や
機材などは原則として開発途上国政府が維持管理す
ることになっています。しかし、施設や機材が破損・
セネガルの水産市場のフォローアップ調査
故障した場合、予算的な問題や技術的な理由で迅速
な対応が困難な場合があることも事実です。そのた
されているかどうかの審査を行いました。
(2003 年度
め、日本は、援助効果を持続させるため必要に応じ
で終了)
てフォローアップ支援を行ってきました。
データベース構築の支援
具体的な業務は、対策を検討するための調査、破
JICS は JICA の委託を受け、過去に実施された無
損した機材の修理部品やスペアパーツなどの調達、そ
れらが現地に到着する時期にあわせた日本から技術
者の派遣、機材修理(据え付けを含む)の実施です。
償資金協力や技術協力における機材供与などの実績
に関するデータベース構築の支援を行っています。
JICS は JICA からの委託を受け、無償資金協力によ
って建設された施設や調達された資機材などが持続
73
的・効果的に利用されるように、施設や機材の現状
や必要となる修理用部品などのフォローアップ調査
を行っています。技術協力による調達機材について
も、フォローアップ調査や機材維持管理調査を実施し
ました。
また JICS は、調査団に参加した一般登録コンサル
タントが現地調査後に作成する技術仕様と積算など
に関する書類が、JICA の規定などに従い適正に作成
インドのオスマニア病院でのフォローアップ調査
JICS が関わった世界のフォローアップ事業
ロシア
チェコ
ウクライナ
ハンガリー
ルーマニア
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ウズベキスタン
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
アルメニア
トルコ
モロッコ
モーリタニア
パレスチナ
アルジェリア
キルギス
シリア
イラク
パキスタン
エジプト
セネガル
マリ
ニジェール
スーダン
ガンビア
ブルキナファソ
ギニア
ナイジェリア
中央アフリカ
イエメン
ジブチ
エチオピア
ガーナ
ウガンダ
ケニア
ベナン
タンザニア
サントメ・プリンシペ
ザンビア
中国
ネパール ブータン
バングラデシュ
インド
ラオス
ミャンマー
タイ
ベトナム
カンボジア
フィリピン
メキシコ
モルディブ スリランカ
キリバス
インドネシア
東ティモール
マラウイ
マダガスカル
ジンバブエ
ナミビア
モンゴル
モーリシャス
パプアニューギニア
ソロモン
サモア
バヌアツ
フィジー トンガ
ジャマイカ
ホンジュラス ドミニカ共和国 ドミニカ
グアテマラ ニカラグア
セントビンセント
エルサルバドル コスタリカ
ガイアナ
パナマ
コロンビア
ペルー
ブラジル
ボリビア
チリ
パラグライ
モザンビーク
南アフリカ共和国
アルゼンチン
JICS の仕事
調査を行い、計画との整合性や実施状況の確認を行
日本NGO 連携無償
いました。
初年度の国内調査は 60 件あまり、現地調査は3カ国
日本 NGO連携無償とは
でしたが、本無償の予算の拡大に伴いその翌年度に
は国内調査は 100 件を超え、現地調査も 7 カ国に増
日本 NGO 連携無償は、日本のNGOが開発途上国な
加、その後も増加傾向が続きました。この時期は、ス
どで実施する経済・社会開発支援、緊急人道支援の
マトラ沖地震やパキスタン大地震など、大規模な自
プロジェクトに対して行う無償資金協力として、
「日
然災害が発生したこともあり NGO の活動が以前に
本 NGO 支援無償」という名称で始まりました。これ
も増して活発化した時期でもありました。
は、1989 年度に始まった「草の根無償資金協力」によ
緊急人道支援を官民連携で行うために設立された
る日本の NGO に対する支援と、2000 年度に自然災
ジャパン・プラットフォームの案件についても、外務省
害・内戦の被害に対する支援を行う日本の NGO を
の要請に応じ申請内容の調査や現地モニタリング調
対象として開始された「NGO 緊急活動支援無償」を統
査を行うなど、プロジェクトの側面支援を行いました。
合して、2002 年度に創設されたもので、2007 年度に
「日本 NGO 連携無償」と名称が変わりました。
具体的には ①草の根レベルの「開発協力事業支援」
、
②日本の NGO が日本国内外の NGO と連携・協同す
74
日本 NGO 連携無償効果検証
プログラム
る
「NGO パートナーシップ事業支援」、③NGO 緊急人道
外務省の「NGO との戦略的連携に向けた 5 カ年計
支援、④リサイクル物資輸送費支援、⑤マイクロクレジ
画」の一環として 2007 年度から始まった「効果検証プ
ット原資支援、⑥対人地雷関係支援があります。
ログラム」は、NGO と外務省や学識者が連携して、日
本 NGO 連携無償資金協力による個々のプロジェクト
の事業効果を検証する実用的なツールを開発するも
JICS の役割
JICS は 2003 年度から 2006 年度、外務省の委託を
受けて、各 NGO が作成した案件申請書について計画
の目標、内容、規模などの適正性と価格の妥当性な
どを確認する調査を行ってきました。この調査は、各
NGO が申請した案件内容の妥当性を客観的、中立的
な視点で確認するものです。この調査では、機材、施
設(資材や労務費)の価格の妥当性、目的や規模の妥
当性、実施体制、費用の妥当性、費用対効果などに加
え、NGO の財務状況、財務管理体制などを確認しま
した。また、いくつかのプロジェクトについては現地
効果検証プログラムのための会議
のです。この効果検証プログラムによって、NGO の
効果検証能力と事業実施能力の向上をはかるととも
に、国民に対する外務省と NGO の説明責任の向上を
目指しています。JICS は、それまで日本 NGO 連携無
償資金協力の調査業務に従事してきた経験を活かし
て、2007 年度、この効果検証プログラムの事務局を務
め、効果検証結果や報告書の取りまとめを行いました。
国内で効果検証標準シート案を作成した後、その
実効性を確認するために、ミャンマーで実施された
ブリッジエーシア・ジャパン(BAJ)の井戸建設事業、
家族計画国際協力財団(ジョイセフ)の保健施設改修
事業について現地調査を行い、効果検証標準シート案
を用いて検証し、報告書の作成と報告会を行いました。
現在このプログラムの報告書や効果検証標準シー
トと実際の使用例は、外務省のホームページで公開
されおり、さまざまな団体で活用されることが期待
されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/od
a_ngo/renkei/pdfs/19_kenshou.pdf
JICS の仕事
社会貢献活動
JICS は、ODA や国際機関からの委託を受け実施し
JICS を訪れて業務の説明を聞く高校生たち
ている事業のほかにも、国際協力に関するさまざま
な社会貢献活動を独自に行ってきました。
2 月 1 日に外務省、独立行政法人国際協力機構(JICA)
の賛同を得て開設されたもので、海外医療機器技術
少額機材供与事業
協力会(OMETA)をはじめ関係団体の協力を得つつ
JICS は、1991 年度から2001 年度までの11 年間にわ
活動を続けています。
たって少額機材供与事業を行ってきました。これは 1
無償資金協力で供与された各国の医療機材が可能
件あたり 50 万円程度をめどに、主として医療・教育・
なかぎり長く有効に活用されるよう、JICS は今後も関
環境・社会開発関連の案件を対象として資機材を供
係団体との連携のもと、この活動を続けていきます。
与するものです。ODA 事業の資機材に関する要望の
なかには、機材品目の規模が小さすぎるなどの理由で
要請ルートには乗りにくいものの、それらを供与する
ことで、大きな効果が期待されるものも少なくありま
せん。この事業は、日本の ODA 事業の隙間を埋める
活動として活用されました。
総合学習・インターンシップ受入れ
JICS では中高校生の総合学習と大学生のインター
ンシップの受入れを行っています。
近年活発になっている総合学習では、中学生や高校
生が JICS を訪れ、国際協力全般や具体的な案件など
について職員にインタビューなどを行ったり、実際に作
JICS NGO支援事業
業を体験します。そして国際協力とそれにかかわる仕
設立 10 周年を記念し、1999 年度には国際協力分野
事への理解を深めていただければと考えています。
で活動する NGO の発展を支援することを目的として
また、2004 年度から受入れを開始したインターンシ
「JICS NGO 支援事業」を開始しました。これは、比較
ップに関しては、JICS でのインターンシップを希望す
的小規模の団体に対して、活動に必要な資機材の購入
る大学生数名に 2 週間程度の間、JICS 本部における
費や輸送費、団体運営費や団体基盤強化のための費
業務を体験してもらっています。業務体験を通じて、
用を、1 件あたり100 万円を上限に支援するものです。
国際協力について改めて考える機会になればと考え
また、この事業に関連して、JICS では支援した団
ています。2007 年度のインターンシップ参加者からは、
体から活動成果の報告を直接受けると同時に、NGO
「国際協力には見えない部分で多くの人が関わってい
と審査委員、JICS 職員との相互理解を深めるための
る。誰もが平和の一部として貢献しうるとの認識を新
意見交換を行うための、活動報告・意見交換会を開
たにした」
という感想をいただきました。
催しています。JICS NGO 支援事業の詳細は 49 頁を
ご覧ください。
無償資金協力医療機材等維持管理情報センター
これまで日本が無償資金協力によって供与した、日
本製の医療関連分野の設備や機材に関して、JICS は
「無償資金協力医療機材等維持管理情報センター」を
設置しています。これは、フォローアップの一環として
実施しているもので、現地医療機関の関係者からの問
い合わせに応じる形で機材の操作方法やメンテナン
スに関する技術情報、スペアパーツの購入に関する
情報などを提供するものです。このセンターは 1999 年
インターンの大学生と JICS 職員の座談会
75
プロジェクト事務所から
JICS は、2009 年 5 月現在、2 カ所の在外事務所以外
にも、個別のプロジェクト の案件監理を円滑に進める
ために、各国に 18 のプロジェクト事務所を設置してい
ます。
設置されている国や地域はもちろん規模もさまざ
まですが、いずれの事務所においても、スタッフは
セネガル
ダカール
コミュニティ開発支援無償
「小中学校建設プロジェクト」
コミュニティ開発支援の第 1 号と
して、日々、業務に取り組んでいま
す。現在ラストスパートで、無事の
案件終了を目指しています。
日々奮闘しています。ここでは主なプロジェクト事務
所からのメッセージをご紹介します。
ベナン
コトヌ
コミュニティ開発支援無償
「第 4 次小学校教室建設計画」
76
レソト
マセル
コミュニティ開発支援無償
「中等学校建設計画」
湿度の高い環境にも負けず、ベナ
ン人スタッフとともに、プロジェ
クトに取り組んでいます。
運転手と 2 人だけの最小規模の在
外拠点です。南部アフリカで最も
高い場所にあり、四季を感じるこ
とができる国で、日々孤軍奮闘し
ています。写真は運転手と事務所です。
ニジェール
パキスタン
ニアメ
(アドミ事務所)
ザンデール、マラディ(現場事務所)
イスラマバード、バタグラム
コミュニティ開発支援無償
「マラディ州・ザンデール州小学校
教室建設計画」
灼 熱、厳 し い 生 活 環 境、業 務 環 境
で、コミュニティ開発支援の第 2 号
としてさまざまな困難に直面するなか、関係者と知恵を出し合い
ながら何とか乗り越えてきました。かぎられたリソースを生かし
てできるだけ早く完工できるよう、一丸となってがんばります。
ノン・プロジェクト無償「震災復興
支援(病院や学校の再建)」など
爆竹をピストルと勘違いし眠れな
い夜を送り、雷をテロリストの襲
撃だと思って伏せたり、時には本
物 の テ ロ に 遭 遇 し な が ら も、カ
レーと加齢の匂いの汗を現地職員と一緒にかき、建設業者を叱咤
激励して一日も早いプロジェクトの完成を目指してがんばってい
ます。
エチオピア
アジスアベバ
JICS の在外事務所、プロジェクト事務所
コミュニティ開発支援無償
「オロミア州小学校建設計画」
最近エチオピア案件が増えており
ますが、当地出張の際はぜひ立ち
寄ってください。
パレスチナ
ラマッラ
紛争予防・平和構築無償
「ジェリコ市内生活道路整備計画」
ラマッラは小さな都市ですが、自
治政府の本部があるので世界の要
人が訪れます。新しいビルが建設
されるなか、あちこちにモスクが
見られ、中心部には大商店街がにぎわい、至るところにアラブの
雰囲気が漂います。10km ほどのエルサレム側とはイスラエルが
建設した長いコンクリート壁で仕切られており、反対側に行くに
はイスラエル軍の検問所を通らなければならなりません。でも、
事務所の窓からは、向かいの丘の上にイスラエル人入植地の家々
が見え、とても近くて驚かされます。
アフガニスタン
ブータン
パレスチナ
セネガル
パキスタン
マリ
ニジェール
ブルキナファソ
カーボ・ベルデ
ベナン
エチオピア
ガーナ
マダガスカル
レソト
バングラデシュ
ラオス
ベトナム
ラオス
ベトナム
ビエンチャン特別市
カマウ
コミュニティ開発支援無償
「南部三県学校環境改善計画」
コミュニティ開発支援無償「カマウ
省森林火災跡地コミュニティ開発
支援計画」
伝統と文化を大切にする穏やかな
国ラオスで、子供たちの明るい未
来を目指して、現地スタッフとと
もに日々業務にあたっています。
ベトナム最南端の地カマウではベ
トナム語しか通じず、しかも最初
のマルチプロジェクトとなれば、
業務量とスケジュールを考えるうえで、翻訳・通訳がとても重要
な要素になります。
バングラデシュ
ボリシャル
ニカラグア
防災・災害復興支援無償
「サイクロン「シドル」被災地域多目
的サイクロンシェルター建設計画」
マナグア
環境のいいボリシャル事務所は、6
階までの階段はきついですが、窓
からの緑多い街の景色はとてもき
れいです。36 校のサイクロンシェルターができるころまでには、
1 つでも多くの友好の種を蒔いておきたいと思っています。
ダッカ
環境プログラム無償「ダッカ市廃棄
物管理低炭素化転換計画」
コミュニティ開発支援無償
「北部地域教育施設改修および機材
整備計画」
ニカラグア事務所は仲のよさだけ
がとりえです。今後も頑張って参
りたいと思いますので、ご支援、ご
指導よろしくお願いいたします。
ペルー
ダッカ市役所に「ゴミ回収車」
「車両
修理ワークショップ」
「車両や環境
に関する技術支援」の 3 つを供与す
るのが主な内容です。市役所の一
部を、JICS のプロジェクト事務所としてお借りしています。環境
プログラムの 1 号案件、頑張ります!
リマ
防災・災害復興支援無償「ペルー・
イカ州地震被災地復興計画」
観光大国ペルーは地震大国でもあ
ります。冷静沈着なコーディネー
ターと機転が利いて明るさが持ち
味のアシスタント。
「ハート・トゥ・
ハート」をスローガンに、ユーモアを決して忘れず、地道に学校と
給水塔の竣工に向かって全力疾走を続けています。
ボリビア
スクレ
コミュニティ開発支援無償「ポトシ市
およびスクレ市教育施設建設計画」
ボリビア事務所のあるスクレ市は、
今年 5 月 25 日で生誕 200 周年を迎
えます。標高 2900mの高地にも負
けず、力を合わせて頑張っています!
ブータン
ティンプー
コミュニティ開発支援無償「教育
施設整備計画」
グアテマラ
ニカラグア
ペルー
ボリビア
事務所
プロジェクト事務所
日本では夏の代名詞ともいえるセ
ミの鳴き声と、秋の味覚の代表格
であるリンゴが同時に最盛期を迎
える不思議な光景が、ここで初め
て秋を迎える私たちを驚かせました。2008 年 6 月、首都ティン
プーに拠点を構えて以来、自然の力を感じない日はありません。
標高 2400m、朝晩の冷え込みと日差しの強烈さは東京とは決定的
に異なります。10 月はストーブに薪をくべるくらい冷え込んでい
たのですが、一歩外に出れば、じりじりと日光が肌を刺します。
春以外のすべての季節が共存しているようです。
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在外事務所から❶
アフガニスタン事務所
困難な状況で
6 年間
事務所スタッフ
部を紹介します。
いよいよ業務開始!
事務所移転の変遷
スタン。その首都カブールは周囲を数千 m 級の山々
2001 年のタリバン政権崩壊後、治安をはじめさまざ
に囲まれる盆地に位置しています。この西方の小高
まな問題に直面しているアフガニスタンに対して、国
い丘のカブール市街と、それを取り囲む山々を一望
際社会は積極的に支援を行っています。日本も人道
にできる地に、JICS 初の海外事務所である「JICS ア
復興支援とテロ治安対策支援を積極的に実施してお
フガニスタン事務所」が 2003 年の春にオープンしまし
り、JICS はアフガニスタン政府の調達代理機関として
た。
支援に携わってきました。
業務開始当初は、アフガニスタンへの出張者が首都
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かつてはシルクロードの要衝として栄えたアフガニ
カブールのホテルの一室を利用して、業務を行って
事務所員一同は、
「アフガニスタン復興および日本
の ODA の要衝」としての重責を担うべく、
「日々改
善」
を合言葉に業務を開始しました。
いましたが、より円滑な業務実施を目指し、2003 年 4
(2003 年 7 月 深澤公史)
月、JICS はそのホテル内に正式にアフガニスタン事務
所を開設、担当者が駐在するようになりました。
現地ダリ語で「ジックス」の意味は?
ところがこの年の 11 月に、テロ事件が起こり、こ
ここカブールに事務所を開設して早 7 カ月。JICS
のホテルにロケット弾が着弾しました。かろうじて
が実施する各種案件も軌道に乗りつつあり、加えて
JICS スタッフに怪我はなかったものの、安全のため、
「JICS」という名前も知名度を増しつつあります。そ
事務所を移すことになり、翌 12 月にカブール市内の
れもそのはず、現地ダリ語にも「ジックス」と発音す
民家を借り、住宅・宿泊施設を兼ね備えた事務所を
る単語があり、その意味は英語の「fashionable」また
開きました。この地域は、海外の外交団などが多く
は「wonderful」に相当するとのことです。そんなわけ
居住しているため、警察官の詰め所が随所にあるな
で、JICS はアフガニスタン人にとって覚えやすい名前
ど、治安上も比較的安全な地域です。しかし、さらな
のようです。 (2003 年 12 月 深澤公史)
る安全対策として、事務所の外には警備員、番犬を
孤児院への寄付
配備し、有刺鉄線、窓ガラス飛散防止フィルム、夜間
2005 年 1 月 31 日、カブール市内のアラウディン孤
照明などを設置して備えています。
児院に古着を手渡しました。内容はジャンパー 300
着、ズボン 300 着、セーター 300 着、それに新品のソ
職員が見たアフガニスタン
アフガニスタンでの生活は、行動を制限されることが
少なくありませんが、カブール事務所員は、アフガニス
タンの平和と復興を願い、現地で業務を続けています。
ックス372 足。これらは毎秋東京で開催される「国際
協力フェスティバル」で行ったバザーの収入 10 万円
をもとに購入したものです。
アラウディン孤児院には 5 歳から 13 歳までの子ど
もたち約 650 人が生活しています。2004 年の 9 月 7 日
JICS ウェブサイトに掲載中の、アフガニスタンに赴
にも JICS の有志が呼びかけて集めた家庭で眠ってい
任した職員によるエッセイコーナー「アフガニスタン
るおもちゃや文具を出張者が運び、それらをこの孤
カブール事務所便り」から彼らの現地での活動の一
児院の子どもたちに配りました。ばらばらに持ち寄っ
たものなので、種類も大きさもまちまちでしたが、ぬ
後日届いたメールでその
いぐるみやミニカーを手にした子どもたちの喜びよ
男性が桜の植樹活動をし
うは大変なものでした。
ていることを知りました。
院長のグルアライさんは、そのときのことを思い出
私がアフガニスタンで働
し、
「あれは 1 回限りの好意だと思っていました。み
いていることを伝えたと
なさんはこの孤児院のことを忘れずにいてくれたの
ころ、
「桜をアフガニスタ
ですね。今回は大量の衣料品ということで、本当に
ンに送ったら私の代わりに
ありがたいと思います。常に衣服は不足している状
植えてもらえますか?」と
態で、冬季に入ってこれだけの衣料品を寄付してい
いう連絡をいただきました。
「できるかぎりご協力しま
ただき、非常にありがたいです。特にここ数日、最低
す」と返答したところ、ソメイヨシノ2 本、枝垂れ桜 1 本
気温が氷点下 17℃という厳しい寒さのなか、十分な
の合計 3 本の苗木がカブール中央郵便局に届きました。
アフガニスタンの風景
衣服がなく困っ
せっかくの桜の木なので、より多くの人の目に触れ
ていたところで
るところに植えたほうがいいだろうと思い、ふだん
し た」と 語 り、
から公私に渡り親しくさせていただいている JICA 事
何 度 も「タシャ
務所の次長、当地における JICS の活動の大切なカウ
クル」
(現地ダリ
ンターパートであるアフガニスタン公共事業省副大
語 で「ありがと
臣、都市開発省大臣にお話ししたところ、みなさん二
う」
)を 繰 り 返
つ返事で植樹にご賛同いただき、JICA 事務所、アフ
していました。
ガニスタン公共事業省、都市開発省の敷地内に植えて
もらいました。
(2005 年 3 月
川上宣彦)
孤児院におもちゃを寄贈。喜ぶ子どもたち
カブール事務所の冬支度
カブールも10 月の中旬頃より朝晩の気温がぐっと
下がり、秋から冬への季節の移り変わりを感じます。
ストーブを店頭に並べている店やストーブに使う薪を
売る店を見かけるようになりました。事務所の暖房
国境を越えて桜の苗木が遠路はるばるアフガニスタ
ンにたどり着いたこと、その苗木がそれぞれ喜ばれて
受け取ってもらえたことを、とてもうれしく思います。
長年の戦争から立ち直ろうとその第一歩を踏み出
したアフガンの将来に、この桜の苗木が文字通り「ひ
と花咲かせて」
くれることを切に願う次第です。
(2009 年 4 月 堀越大補)
器具はこの薪ストーブのみ。アフガニスタンの電力事
業は不安定なので、当事務所には電気暖房器具はな
いのです。
トラック1 台分の薪を注文して、地下にある倉庫へ
事務所現地スタッフ
ファルーク・シャルファ
搬入しました。冬に使う薪の量はトラック 2 台分だ
そうです。次に、煙突にたまった煤を払ってからス
20 年以上の戦争と混乱を経て、私たちの国は平和、安全、そし
トーブを設置。警備員に火の付け方を習い、点火して
て復興を求めています。この目標を達成するためには、私たちが
みましたが、これがなかなか難しく、結局は警備員
に付けてもらいました。
「ストーブ将軍」さながら、薪
をくべるのも所長の仕事に加わろうとしています。
(2008 年 11 月 永作雅弘)
努力しなければなりません。国際社会はさまざまな分野で協力、
支援をしてくれました。特に日本の人々の支援はきわめて素晴ら
しいもので、アフガニスタンの人々はたいへん感謝しています。
私はカブール市民にこういいます。
この国づくりの機会を最大限に生かすために、手を取り合いま
しょう。平和で安全な故郷であり、子どもたちが教育を受けられ
出会いと桜
る国、花と緑があふれる国、そして涙ではなく微笑みがあふれる
飛行機の中で、ある男性と出会いました。その時は
国をつくりましょう。
お互いのメールアドレスを交換して別れたのですが、
79
在外事務所から❷
マダガスカル事務所
コミュニティ開発
支援へ
事務所スタッフ
を行うコミュニティ開発支援無償の実施が合意されま
した。JICS はこの調達代理機関を務めています。こ
れにより 1 万 2600 人の児童の学習環境が改善される
ノンプロ無償のために
アフリカ南東部のインド洋にあるマダガスカルは、
人口が 1800 万人、1 人あたり GNI(国民総所得)が 290
ドルの低所得国です。JICS のマダガスカル事務所は、
80
ことが期待されています。
サテライト事務所
マダガスカル事務所は、この小学校教室建設プロジ
ノン・プロジェクト
(ノンプロ)無償の実施のために2000
ェクトの施工監理のために、現在、アンツィラナナ州
年 4 月に開設され、2009 年で 9 年目を迎えました。ロ
のサバにサテライト事務所を持っています。ここにも
ーカルスタッフが諸々の業務調整にあたり、事務所が
日本人 1 名と、警備スタッフを含むナショナルスタッ
本部とマダガスカル関係機関の橋渡し役となり、これ
フ6 名の計 7 名が勤務しています。
までノンプロ無償だけでなく、文化無償、食糧増産援
従って現在、マダガスカル事務所全体では、日本人
助(2KR)
、食糧援助(KR)
、予防接種拡大計画(EPI)
2 名、ナショナルスタッフ12 名の総勢 14 名体制で、ノ
も円滑に実施してきました。
ン・プロジェクト無償とコミュニティ開発支援無償の
例えば、2003 年に発生したサイクロンでは、稲作が深
実施監理を行っています。ナショナルスタッフのなか
刻な打撃を受け、米が不足し価格が高騰しました。こ
でも、コーディネーターを務めるマナンテナさんは、
れに対する食糧援助(KR)では、調達された米が被災
2000 年の事務所開設当初からのスタッフです。マナン
地に配られるとともに、安価で販売された収益が肥料
テナさんの JICS に対する貢献には、数字では示せな
購入に使われ、食糧の安定供給に役立てられました。
い多大なものがあります。
コミュニティ開発支援無償の
マダガスカル事務所は、これからもかけがえのない
案 件 も 実 施 す る こ と に な り、
ナショナルスタッフと力を合わせ、プロジェクトの円
2007 年 5 月に、事務所機能を拡
滑な実施に注力していきます。
充しました。開設当初はローカ
ルスタッフが 2 名という体制で
したが、現在は日本人スタッフ1
食糧援助で供与される米の荷揚げ
マダガスカル事務所の実績(2000 年∼)
年度
名を含む計 7 名となっています。
2000
小学校をつくる
コミュニティ開発支援無償の案件は、小学校 64 校、
200 教室の建設・改修を行うものです。マダガスカル
ています。そのため 2007 年 3 月に、日本とマダガスカ
ル両政府間で、北部アンツィラナナ州と南西部トリア
ラ州の教室建設、家具調達と給水・衛生施設の建設
ノン・プロジェクト無償
食糧増産援助(2KR)
「マダガスカル高等師範学校に対する体育器材」
(文化無償)
2002
食糧増産援助(2KR)
2003
予防接種拡大計画
2004
食糧援助(KR)
食糧増産援助(2KR)
2005
ノン・プロジェクト無償
食糧援助(KR)
では、近年、初等教育の普及により児童数が大幅に増
加しましたが、これに対して教室が圧倒的に不足し
プロジェクト
2006
2007
ノン・プロジェクト無償
「アンツィラナナ州およびトリアラ州小学校教室建設計
画」(コミュニティ開発支援無償開始)
ノン・プロジェクト無償