№3 ドン・ボスコ:夢に示された人生 (自叙伝より) ≪ちょうどそのころ、私は夢を見ました。頭に焼きついていて、一生涯忘れることのない夢です。 家の近くの、とても広い庭にいるような感じでした。そこには大勢の子供たちが遊んでいました。はしゃいだり、 勝負ごとに打ち興じたりしていたのです。中には冒涜の言葉を口にしていた者もいました。そういう言葉を耳に したとたん、私は子供たちの中に飛び込んでいき、どなりつけて、力づくで黙らせようとしました。 その時です。立派ななりをした、威厳のある男の人が現れたのです。全身を白いマントで覆い、顔は見つめる ことができないくらいまぶしく輝いていました。この方は私を名指しで呼び、子供たちの前に出てくるように命じ て、次のように言われました。 「げんこつはいけない。柔和を愛を持ってこの子供たちの友達になるのだよ。さあ、罪がどんなにみにくいか、 徳がどんなに尊いか、この子供たちにいますぐ教えてあげるがよい」 すっかりとまどい、怖くなっていた私は、自分が何もわからない子供にすぎず、この腕白どもに宗教の話をす るなんてできるはずがないと答えました。その瞬間、子供たちはけんかや騒ぎや冒涜の音場をやめ、話してお られたこの方の周りに集まってきたのです。 何を口走っているのかもわからずに、私はたずねました。 「そんなできそうもないことを僕に命じられるなんて、いったいどなたさまですか」 「できそうもないと思われるからこそ、君は、従順によって、また、知識を身につけることによって、これらのこと ができるようにならなければいけないのだよ」 「どこで、どうやって知識を身につけたらよいのですか」 「君に女の先生をつけてあげよう。この先生の指導を受ければ、君は賢くなれる。でなければ、どんな賢さも愚 かさに変わってしまうのだ」 「そうおっしゃるあなたはいったいどなたさまですか」 「日に三度あの婦人にあいさつするよう君はお母さんから教わっているだろう。私はその婦人の息子なのだ」 この時、この方のかたわらに、気高い姿の女の人がいることに気付きました。身につけているマント全体が輝 いており、ひとつひとつの部分がきらめく星でできているかのようでした。私がどぎまぎしながら質問したり答え たりしているのを見て、この女の人はご自分のほうに近寄るよう合図しやさしく私の手を握って言われました。 「ごらんなさい」 見ると、あの子供たちの姿は消えていました。そして、かわりに、数多くの子ヤギ、犬、猫、熊、その他の動物 がいたのです。 「これが、あなたの持ち場です。あなたの働くべき分野です。謙遜で、強く、たくましい人になりなさい。今、この 動物たちに何が起こるかを見せてあげましょう。その同じことを、私の子供たちのためにしてあげてほしいので す」 そこで私が目を転じると、鳴き声をたてながら、うれしそうに例の男の人と婦人をとりまきました。 ことここに至って、夢の続きですが、私は泣きだしてしまい、出来事の意味がつかめないので、もっとよくわか るように説明してほしいと願いました。すると例の夫人は私の頭に手を置き、 「その時が来れば、すべてがわかります」 と言われました。この言葉を耳にしたあと、物音で目が覚めました。そして、何もかも、夢と消えていたのです。 私は茫然としていました。殴りつけた手の痛さと、殴り返されたほほの痛さがまだ残っている感じでした。あの 男の人と女の人のことや、夢の中で言ったり聞いたりしたことで頭がいっぱいになり、その夜はまんじりともしま せんでした。 夜が明けると、私は待ち構えていたように、夢のことをまず兄たちに話しましたが、二人は吹き出してしまいま した。次の母と祖母に語って聞かせました。各人は各様の夢判断をしました。兄のジュゼッペは、 「お前、きっとヤギや羊や他の動物の番人にでもなるんだろう」 と言い、母は、 「ひょっとすると、司祭になるかも知れないわね」と言い、兄のアントニオは、 「山賊の頭になるってことよ」 と、にべもなく言い捨てました。そして神学などにはおよそ無縁で、読み書きもできなかった祖母は、次のような 決定的一言を発したのです。 「夢など信用しないことだよ」 私も祖母の意見に賛成でした。それにしてもこの夢を忘れ去ることはどうしてもできなかったのです。≫ その後続くすべての出来事はこの夢によってはっきりと示されていました。マンマ・マルゲリータは(やがてヨ ハネも)この夢が一つの道を示していたことが分かっていたのでした。 個人的ふりかえりのために 9 歳のとき、ヨハネは最初の大きな夢を見ました。事実その夢は全生涯に置いて彼の心に刻まれるものとなり ました。その後彼の生き方はこの夢によって方向づけられていきます。 Q:自分の人生を導いているものがありますか?今の自分にとって一番大きな望みとは? ヨハネは小さなときから周りの少年たちに良いことをしようと心がけました。そして彼らの手助けをするために、 勉強して司祭にならなければならないと決意しました。 Q:自分の関心が引き起こされると感じるような呼びかけがありますか? 夢の中で、ヨハネはその男の人が彼に言ったことを実現する能力を持っていないことに気付いて泣いてしまい ます。夢の中の不思議な人物は彼を励まします。必要な助けを与え、ただ信頼して「謙遜で、強く、たくましく」あ るべきと伝え、一緒に偉大なことをしようと告げます。ドン・ボスコは信頼し、困難に直面してその計画が実現す るように見えないようなときでも委ねていきます。 Q:自分の人生に不安を与えるものは何ですか?その特徴、原因は? ドン・ボスコは常に前進します。なぜならいつも神により頼むことを知っていたから、そして自分の力でできな いことは神の助けによって可能になると知っていたから。 Q:自分の人生においてすべてが上手くいかず不可能に思えるとき、神が近くにいると感じることがあります か? 神はドン・ボスコが小さなときから、夢の中で彼に出会っていました。そしてドン・ボスコも毎日神に出会うため に立ち戻っていました。 彼は、祈りの中で、 秘跡の中で、 その言葉を聞く事の中で、神と出会っています。 Q:神が自分に出会っていたということを自分は気付いていますか?それはいつだったでしょう? 自分は毎日神に出会っていますか?それはいつでしょう? from DON BOSCO: una vita segnata da un sogno QUMRAN NET ‒materiale pastorale online - (http://www.qumran2.net)
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