東北厚生局 平成 26 年 2 月

平成 24 年度に実施した個別指導において
保険医療機関(医科)に改善を求めた主な
指摘事項
東北厚生局
平成 26 年 2 月
目 次
Ⅰ 診療に係る事項
1 診療録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 1~
2 傷病名等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 1~
3 基本診療料等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 2~
4 医学管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 4~
5 在宅医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 6~
6 検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 7~
7 画像診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 8~
8
9
10
11
12
13
1
2
4
6
7
8
8
投薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 8~10
注射・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P11~11
リハビリテーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P11~11
精神科専門療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P12~12
処置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P12~12
手術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P12~13
Ⅱ 看護・食事に係る事項
14 看護・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P13~14
15 食事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P14~14
Ⅲ 事務的取扱いに係る事項等
16 事務的取扱いに係る事項等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P14~16
Ⅰ診療に係る事項
1 診療録
◎ 診療録は患者の症状経過等を記録しておく重要なものであり、診療報酬請求の根拠となる
ことを十分に認識し、保険診療に関する事項は、遅滞なく正確に記載するとともに内容の
充実に努めること。
(1)診療録の記載内容
①必要事項の記載のない、又は乏しい例が認められたので改めること。
・入院患者の診療録に、保険医の診療の記載がない例が認められた。
・「変化なし」の記載のみの例が多数認められた。
・コンタクトレンズ装着時の診療録の記録が乏しい例が認められた。
・リハビリテーションを施行した担当者の署名又は記名・押印のない例が認められた。
②主病が複数ある例が認められたが、原則主病は一つとすること。
③診療録とレセプトの傷病名に不一致が認められたので、十分確認すること。
(2)診療録の記載方法
①診療録の記載が鉛筆で行われている例が認められたので改めること。
②診療録の訂正は、修正前の記載内容が判別できるよう二本線での抹消による訂正に改め
ること。
③診療録の判読不能な記載が認められたので、第三者にも判読できるように記載すること。
④複数の医師が診療にあたる場合は、それぞれの責任の所在を明確にするため、記載の都
度、署名又は記名・押印を行うこと。
(3)電子カルテ
○電子カルテの実施にあたっては、院内の運用マニュアル「電子カルテの3原則(真正性、見
読性、保存性)を遵守」を整備するとともに、「診療録等の電子媒体による保存について」に
より、適切に運用するよう留意すること。
○職員個々のID、パスワードの管理が適切になされていない。医療情報システムを使用する
全職員について、個々のアクセス権限を考慮しIDを付与すること。
2 傷病名等
◎ 不適切な傷病名の記載が認められたので、医学的な根拠に基づき傷病名を記載すること。
(1)傷病名等
①不適切な記載例が認められたので改めること。
・部位、左右、慢性、急性の記載がない。
・重複する病名及び類似病名の併記。
・症状の記載。
・主訴と傷病名が一致せず、診断根拠が不明確。
・ICD10等に記載のない傷病名。
-1-
・略された英文の傷病名。
・診断根拠の記載がない傷病名。
・傷病名の終了年月日欄の記載がない。
・転帰漏れ、転帰欄が未整備。
②検査・投薬の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠がない傷病名(いわゆるレセ
プト病名)が認められたので改めること。
③診療報酬の請求にあたり傷病名のみでは不足と思われる場合は、症状詳記を行うこと。
④疑い病名について、適切に整理すること。
・長期にわたる疑い病名、未整理の疑い病名。
・疑った根拠の記載が乏しい。
(2)診療録と診療報酬明細書の不一致
◎ 診療録は保険請求の根拠となるものなので、診療報酬明細書と一致すること。
①傷病名の転記が、診療報酬明細書の転記欄に記載されていない例が認められた。
②診療報酬明細書の傷病名について、同一の傷病名が重複して記載されている例が認めら
れた。
3 基本診療料等
◎ 算定要件を満たしていない又は不適切に算定された例が認められたので改めること。
(1)基本診療料
①初・再診料
・慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷、健康診断で疾患が発見された患者であると
推定される場合の診療は、初診として取り扱わないので留意すること。
・初診料の時間外加算の算定について、診療録に受診時刻を記載すること。
・同日再診の場合や夜間・早朝等加算を算定する場合は、診療録に受診時刻を記載する
こと。
・往診等の最初の診療に不随する一連の行為とみなされる場合は、改めて再診料等を算
定できないので留意すること。
②外来管理加算
・患者からの聴取事項や診察所見の要点の診療録への記載がない又は乏しいものが認め
られたので改めること。
・算定要件を満たす診療が行われた場合には算定根拠を明確にし、医師の指示により算
定すること。なお、事務部門への指示を明確にすること。
-2-
(2)入院基本料
◎ 入院診療計画・院内感染防止対策・医療安全管理体制・褥瘡対策及び栄養管理体制につ
いて、別に厚生労働大臣が定める基準に適合している場合に限り、入院基本料等の算定
を行うものであり、基準に適合していることを示す資料等を整理しておく必要があること。
①入院診療計画書
・医師、看護師、その他必要に応じ関係職種が共同して、患者の情報を活用した総合的な
計画を策定のうえ、患者・患者の家族が理解できる内容により情報提供すること。また、
高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付を提供する場合の療養病
棟においては、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いにつ
いて(通知)」の別添6の別紙2の2を参考として、その様式を改めること。
・入院診療計画の作成にあたって、参考様式として示された項目がない説明文書が認めら
れたので改めること。
例:患者の署名欄がない様式の利用。
:特別な栄養管理の必要性の有無欄がない。
・入院診療計画の記載不備が認められたので改めること。
例:患者・家族等の署名がない。
・説明文書の写しが診療録に貼付されていないので改めること。
・入院診療計画書の「総合的な機能評価」欄に当該総合的な機能評価を行った患者につ
いて、評価結果が記載されていないので記載すること。
・看護職により立案されている看護計画については、入院診療計画書の枠外ではなく「その
他」欄に記載すること。また、入院時看護初期計画との整合性を図り個別性に留意するこ
と。
②院内感染防止対策
・院内感染防止対策が適正に実施されていないので改めること。
例:院内感染防止対策委員会には、病院長も出席すること。
:院内感染防止対策委員会は設置されているが、月1回程度、定期的に開催されてい
ない。
・感染情報レポートは、保険医療機関の検査部において週1回程度作成すること。なお、当
該レポートは、入院中の患者からの各種細菌の検出状況や薬剤感受性成績のパターン
等が病院の疫学情報として、月1回程度定期的に開催する院内感染対策委員会におい
て活用し、院内感染対策推進方策等に係る改善策を検討すること。
・職員や家族面会者に対して、手洗いの更なる周知を図ること。
③医療安全管理体制
・医療安全管理体制が適正に実施されていないので改めること。
例:安全管理の責任者等で構成される委員会が月1回程度開催されていない。
:職員研修が年2回程度実施されていない。
-3-
:安全管理のための指針が整備されていない。
・年2回程度職員研修を実施し、その実施内容や参加職員の状況を資料にする際は、適切
に管理すること。
・医療事故の報告に関して、どのような内容を報告するのか、委員会等で検討して運用する
こと。
・報告制度は定着しているので、今後はその内容を分析し改善策を立て、全職員で取り組
むことにより事故防止に努めること。
④褥瘡対策
・褥瘡対策について体制を整備すること。
・日常生活の自立度の判定を行うこと。日常生活の自立度が低い入院患者については、定
められた書式に準じた危険因子の評価を実施すること。
・必要時にマットレス等を選択し、運用できる体制を整備すること。
⑤栄養管理体制
・栄養管理手順について、文書化し明確にしておくこと。
・特別な栄養管理が必要な患者に係る栄養管理計画書について、必要な項目が漏れてい
るので、様式の見直しを図ること。
4 医学管理
◎ 医学管理料の算定において、必要事項の記載がない又は乏しい診療録への記載が認めら
れた。算定に当たっては、指導内容・治療計画等の診療録に記載すべき事項が、算定要
件としてそれぞれの医学管理料ごとに定められていることに留意すること。
◎ 医学管理料について、算定要件を満たしていない例が認められたので改めること。
①特定疾患療養管理料
・管理内容、療養上の指導の要点の診療録への記載がない又は乏しい。また、管理内容の
要点がゴム印のみで記載されている例が認められたので改めること。
・特定疾患が主病とされないにもかかわらず算定している例が認められたので、どの傷病が
主病なのかを確認し、適切な算定となるよう改めること。
②特定薬剤治療管理料
・治療計画の要点、薬剤の血中濃度測定の結果の診療録への記載がない又は乏しいもの
が認められたので記載すること。
・電子カルテ使用の場合には、電子カルテ入力の記録は確認できるものの、当該管理料を
算定する旨が記録されていない例が認められたので留意すること。
・薬剤の血中濃度測定時に算定している例が認められたので留意すること。
③悪性腫瘍特異物質治療管理料
・確定診断がされていない患者に対し算定した例が認められたので改めること。
-4-
・腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点の記載がない又は乏しいものが認められ
たので改めること。
・腫瘍マーカーの採血時に自動的に算定されている例が認められたので改めること。
④小児科療養指導料
・小児科のみを専任とする医師でないにもかかわらず算定している例が認められたので改
めること。
⑤てんかん指導料
・専任の医師以外の医師が診察して算定している例が認められたので改めること。
⑥難病外来指導管理料
・診療計画及び、診療内容の要点の診療録への記載がない又は乏しい例が認められたの
で改めること。
⑦皮膚科特定疾患指導管理料
・診療計画及び指導内容の要点の診療録への記載がない又は乏しい例が認められたので
改めること。
⑧慢性疼痛疾患管理料
・変形性膝関節症、筋筋膜性腰痛症等の疼痛を主病とし疼痛による運動制限を改善する
等の目的でマッサージ又は器具等による療法を行った場合に算定すること。
・消炎鎮痛処置等が行われていない、又は行った旨の記載が診療録にない例が認められ
たので改めること。
⑨がん性疼痛緩和指導管理料
・麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、症状、頻度等)、麻薬処方後の効果判
定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点の診療録への記載がない又は乏し
い例が認められたので改めること。
⑩生活習慣病管理料
・患者に対して診療計画書に基づき丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、患者
の署名を受けた場合に算定できるものである。また、交付した療養計画書の写しは診療
録に貼付しておくこと。
・生活習慣病管理料を算定した翌月に出来高で算定し、その翌月に再度管理料を算定し
た際に療養計画書を作成していないので改めること。
・療養計画書の所定の項目を記入すること。なお、計画の内容に変更がない場合でも、4か
月に 1 回当該計画書を患者に交付し、その写しを診療録に貼付すること。
・療養計画書が作成されていない又は患者に交付されていない例が認められたので改める
こと。
⑪薬剤管理指導料
・指示書への指導内容の記載が不十分である例が認められたので改めること。
⑫診療情報提供料
-5-
・交付した文書の写しが診療録に添付されていない例が認められたので改めること。
・算定日が誤っている例が認められたので改めること。
・診療を担う医師以外の医師による助言(セカンドオピニオン)を求める患者でないものに対
して診療情報提供料(Ⅱ)を算定している例が認められたので改めること。
・認知症専門医紹介加算において、紹介先が算定要件を満たしていない例が認められた
ので改めること。
⑬薬剤情報提供料
・原則として月1回(処方の変更があった場合はその都度)の算定であるので留意すること。
・患者に交付する文書に不足の項目(用法、用量、効能、効果、副作用、相互作用等に係
る情報)が認められたので改めること。
・薬剤情報を提供した旨を診療録に記載していない例が認められたので改めること。
・処方内容の日数の変化のみで算定している例が認められたので改めること。
⑭療養費同意書交付料
・マッサージに係る同意書の場合、診療録に部位内容を記載すること。なお、同意書を交
付する場合は、要件を確認し、みだりに交付しないよう留意すること。
5 在宅医療
◎ 在宅医療について、必要事項の記載がないなど、算定要件を満たしていない例、又は乏し
い例が認められたので改めること。
①往診料
・患家からの求めに応じて往診したことが確認できない例が認められたので、往診の依頼が
あった旨などを診療録に記載するよう改めること。
・定期的ないし計画的に患家に赴いて診療を行った場合は算定できないので留意すること。
なお、往診料と在宅患者訪問診療料の取扱いについて留意すること。
・緊急往診加算について、緊急とは認められない患者に対して算定している例が認められ
たので改めること。
・緊急往診加算について、往診時刻や患者の状態等の算定要件に留意すること。
②在宅患者訪問診療料
・患者の容態の急変等により患家の求めに応じて往診を行った場合は、その旨を診療録に
記載しておくこと。
・訪問回数等、訪問計画の記載が乏しい例が認められたので、要点等の記載を充実させる
こと。
・患者ごとの在宅療養計画が画一的であるので、個々の患者の状態に応じた計画に改める
こと。
③在宅時医学総合管理料
-6-
・算定月に在宅療養計画が診療録に記載されていない及び説明の要点が診療録へ記載
がない例が認められたので改めること。
④在宅患者訪問看護・指導料
・訪問看護指導計画の作成内容が不十分であるので記載内容が充実するよう努めること。
⑤訪問看護指示料
・保健師又は看護師への訪問看護指示書への指示事項の記載が乏しい例が認められた
ので改めること。
・家族との面談のみで指示書の記載が行われているが、診療を行って指示書を作成するこ
と。
・交付した訪問看護指示書の写しを診療録に添付すること。
・訪問看護ステーション等に対して指示書を交付していない例が認められたので改めるこ
と。
・精神科訪問看護指示料で算定するべき患者について、訪問看護指示料で算定している
例が認められたので改めること。
⑥在宅酸素療法指導管理料
・指導内容の要点の診療録への記載がない又は乏しい例が認められたので改めること。
・在宅酸素療法の適応が不明確な例が認められたので改めること。
・レセプトに必要事項の記載がない例が認められたので改めること。
⑦血糖自己測定器加算
・実際に測定する回数により算定すること。なお、月20回未満では算定できないので留意
すること。
・自己測定の記録が確認できない例が認められたので、自己測定の記録を診療録に添付
する等、実測回数を確認し算定すること。
・実際に測定した回数と相違する回数で算定している例が認められたので改めること。
6 検査
◎ 検査について、不適切に実施された例が認められた。検査は、患者の個々の症状・所見に
応じ、必要な項目を選択のうえ段階を踏んで必要最小限の回数で実施すること。
・必要以上に実施回数の多い例が認められたので改めること。
〈連月で実施〉BNP検査、TP検査、眼底検査、眼圧検査、総コレステロール、尿沈渣
・尿中一般物質定性半定量検査の所定点数を算定した場合にあっては、当該検査に係る
判断料は算定できないので改めること。
・細菌培養同定検査(嫌気性培養加算)の算定において、実施する根拠が明確でない例が
認められたので改めること。
・呼吸心拍監視について、観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果
の要点の診療録への記載がない又は乏しい例が認められたので改めること。
-7-
・神経学的検査について、算定要件となっている検査のうち、検査不能な項目があった場
合は、その項目について検査不能であった旨を記載すること。
・同一日に実施した屈折検査(薬剤負荷)と矯正視力検査の算定において、不適切な例が
認められたので改めること。
・患者ごとに必要な項目を吟味せず、画一的に実施している例が認められたので改めるこ
と。
・外来迅速検体検査加算について、当日中に結果が判明しないにもかかわらず算定した
例が認められたので改めること。
・検査を実施している患者の病名について、レセプト病名と疑われる例が認められたので、
検査については診療上の必要性を十分考慮した上で、医学的に妥当適切な病名に対し
て必要の範囲内で行うこと。
7 画像診断
◎ 画像診断について、不適切に実施された例が認められたので改めること。画像診断は、
個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、段階を踏んで実施し、必要最小限の回
数で実施すること。
・必要性が乏しいCT撮影、MRI撮影が認められたので改めること。
・同一の部位につき、同時に2以上のエックス線撮影を行った場合における第2の診断以後
の診断については、各所定点数の100分の50に相当する点数により算定することとなる
ので留意すること。
・単純撮影とMRI撮影がセットで行われている例が認められた。単純撮影の診断結果を受
けて必要性を判断のうえMRI撮影を行うよう努めること。
・胸部CT等については段階を踏んで行うこと。
8 投薬
◎ 投薬に当たっては、療養担当規則第20条(特に第2号を厳守)を遵守すること。薬剤を使用
するに当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、薬事法承認事項(効能・効果、用
法・用量)を遵守すること。また、適宜、治療効果判定を行い、漫然と投与することのないよ
う注意すること。
①禁忌投薬
・消化性潰瘍の傷病名のある患者に対するロキソマリン、ボルタレンサポの投与。
・胃潰瘍に対するカロナール錠、セレスタミン配合錠の投与。
・うっ血性心不全の傷病名のある患者に対してのプレタールOD錠の投与。
②適応外投与
・逆流性食道炎の傷病名に対して適応外となっているガナトン錠の投与。
・単独投与の適応がないガバペン錠の投与。
-8-
・鬱病の傷病名に対してのマイスリー錠の投与。
・リリカカプセルは線維筋痛症と確定診断された場合が適応症であるので、症候群では適
応外であるので改めること。
・適応する傷病名がないにもかかわらず、処方しているものが認められたので改めること。
例:ミオナール錠、ロキソニンテープ、ツムラ五苓散エキス顆粒。
③類似薬効の薬剤の重複投与
・ジルチアゼム塩酸塩錠(Ca 拮抗剤)とラミタレート L 錠(Ca 拮抗剤)の重複投与。
・抗アレルギー剤とH1ブロッカーの重複投与。
④長期漫然投与(適宜効果判定が行われずに漫然と行われている投薬)
・ガスモチン錠を慢性胃炎に伴う消化器症状に投与する場合は、一定期間(通常2週間)投
与後、効果について確認するとともに、投与継続の必要性について検討し漫然と投与し
ないこと。
・逆流性食道炎に対しタケプロン錠、オメプラール錠を投与する場合は8週間までの投与と
なっているので留意すること。
・ポンタール錠の長期投与が行われている例が認められた。長期投与する場合は、用法を
確認のうえ、適宜、種々の検査を行い使用すること。
・マイスリー錠、ソラナックス錠等の向精神薬が長期間投与されているが、診療記録がほと
んどない状態で投与されている例が認められた。所見等の診療記録を記載し投与するこ
と。
⑤過剰投与
・同一月にセルタッチパップ、ロキソニンテープを大量に処方している例が認められたので
必要最小限の処方とすること。
・アダラートCR錠は1日1回の投与となっているので留意すること。
・β刺激剤の過量投与
・作用機序が同じ薬剤の併用
・じんましんに対する強力ネオミノファーゲンシーの投与
・睡眠剤の残薬量を確認しないで投与
⑥その他
・薬価基準に収載されている医薬品は、薬事法承認事項(効能・効果、用法・用量、禁忌等)
の範囲内で使用した場合に保険適応となるものであり、これ等の承認事項は、医師の裁
量で変えられるものではないことに注意すること。
・投薬を実施するにあたり、診療録に診療内容及び診断根拠等が記載されていない例が認
められたので改めること。
・一般名処方加算の算定において、算定回数を誤って算定している例が認められたので改
めること。
・「do」という記載のみで、用量・処方内容が不明であるので改めること。
-9-
・処方欄の用法が「医師の指示通り」と記載されている例が認められたので、明確に記載す
ること。
・眼科用(点眼)剤の処方にあたっては、用法・用量に加えて点眼滴数も指示すること。
・パップ剤の処方にあたっては、部位(左右)も指示すること。
・大腸ファイバースコピー実施時にガスモチン錠を投与している例が見られるが、ガスモチ
ン錠は、経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助として投与する
ものであるので留意すること。
・ロキソニンテープの処方にあたり、患者に対し一律に「3時間以上貼らないように」という指
示をしているが、患者の症状に合わせ適切な指示を行うこと。
・モーラステープは、1日1回患部に貼付することになっているが、1日1~2回貼付するとい
う指示をしている例が認められたので、用法にあった適切な指示を行うこと。
・ボルタレンサポは、直腸内に挿入することになっているが、単に挿入と指示している例が
認められたので、用法にあった適切な指示を行うこと。
・ミカルディス錠、ノルバスク錠の処方にあたり、薬剤の粉砕の指示をしているが、当該薬剤
の粉砕の根拠が確認できない例が認められたので、患者が当該薬剤の剤形では対応で
きない場合に粉砕の指示を行うこと。
・厚生労働大臣が定める疾患に適合する薬剤の処方がない患者に対して、特定疾患処方
管理加算(長期投薬加算)を算定している例が認められたので改めること。
・生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病としない患者に対し、特定疾患
処方管理加算を算定している例が認められたので改めること。
・同一月内に数種の薬剤をそれぞれ診療日を変えて処方している例が認められた。医学的
理由で予見できる範囲内において少ない回数で処方するよう努めること。
・ビタミン製剤の投与について、投与する根拠を明確にし、その理由を診療録に記載するこ
と。
・カルフィーナ錠の投与にあたっては、本剤投与中に血清カルシウム値の定期的測定を行
い患者の血清カルシウム濃度の十分な管理のもとに投与量を調整するよう努めること。
・アクトス錠は糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が
不十分な場合に投与するよう努めること。
・処方において、次の例が認められたので使用量に見合った適切な規格の処方投薬を行う
こと。
例:プロブレス8㎎1.5錠を処方した例が認められたが、12㎎1錠の処方が適正である。
:ディオバン錠80㎎2錠を処方した例が認められたが、160㎎1錠の処方が適正である。
:エチセダン錠 0.5 ㎎6錠を処方した例が認められたが、当該薬剤には1㎎がある。
:タケプロン15㎎2錠を処方した例が認められたが、30㎎1錠の処方が適正である。
・投与量を段階的に増量する用法であるのに初回投与量のまま継続して投与している例が
認められたので改めること。
- 10 -
9 注射
◎ 注射に当たっては、療養担当規則第20条(特に第4号を厳守)を遵守すること。
①適応外使用
・アリナミンF50注は、主にビタミンB1欠乏症に適応するものであり、単なる食欲不振に対
する処方は適応外となっているので改めること。
・コンドナール注を静脈内注射として使用する場合は、急性症状にのみとされているが、急
性症状の所見がない患者に対して使用している例が認められたので改めること。
②治療上の必要性がない又は、乏しい注射
・ネオファーゲン静注の実施にあたっては、診療上の必要性を見極めたうえで行うように努
めること。
・ラクテック注は、循環血液量及び組織間液の減少時における細胞外液の補給・補正に効
能・効果を持つものであるが、適応となる傷病名を明確にすること。
・外来の点滴注射については、診療上の必要性を十分考慮した上で、段階を踏んで必要
最小限の範囲内で行うこと。
③その他
・関節腔内注射と腱鞘内注射を同時に行っている例があるが近接部位の注射については
その必要性を十分に検討すること。
・入院患者への注射指示書の指示欄に医師の署名がないので、指示した医師の署名を行
うこと。
・不適切に算定された静脈内注射が認められたので改めること。
10 リハビリテーション
◎ 疾患別リハビリテーションの算定要件を満たしていない例、又は記録が不十分な例が認め
られた。医師は定期的な機能検査等を基に、その効果判定を行い、定められた様式に準
じたリハビリテーション実施計画を作成する必要がある。
また、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して実施計画の
内容を説明し、診療録に説明の要点を記載すること。
・開始時に患者に対して実施計画を説明していないので改めること。
・実施計画書には、患者への説明日を記載すること。
・開始時間及び終了時間が画一的に記載され、実際に実施された時間を反映していない
ので改めること。
・効果判定及びその評価を診療録に明確に記載すること。
・一日の実施単位は従事者の実施単位数が定められているので施行者毎の日々の実施単
位数の記録を残しておくこと。
・摂食機能療法の算定において、診療録に訓練内容及び治療開始日の記載がない例が
認められたので改めること。
- 11 -
11 精神科専門療法
◎ 精神科専門療法料の算定において、必要事項の記載がない又は不十分な例が認められた
ので改めること。
・デイ・ケア日誌に担当した従事者名が記載されていないので改めること。
・通院・在宅精神療法について、診療録に当該診療に要した時間(5分以上行った旨)を明
記すること。
・通院・在宅精神療法の特定薬剤副作用評価加算について、評価結果と決定した治療方
針が診療録に記載されていない例、又は画一的に算定されている例が認められたので
改めること。
・入院精神療法(Ⅰ)の算定にあたり、診療録に要点及び当該療法に要した時間の記載が
ない例が認められたので改めること。
・精神科退院指導料について、診療録への退院療養計画書の貼付がもれている例が認め
られたので改めること。
・精神科継続外来支援・指導料について、精神科を担当する医師の指示及びその指示内
容が不明確な例が認められたので改めること。
12 処置
◎ 処置の算定において、必要事項の記載がない、又は乏しい例が認められたので改めるこ
と。
・消炎鎮痛等処置について、診療録記載が不十分なもの(医師の指示、実施した療法)が
認められたので、医師の指示を明確にし記載の充実を図ること。
・皮膚科軟膏処置を実施した際に、処置した範囲が診療録等に記載されていない例が認
められたので改めること。
・膿腫穿刺を行った場合など、診療録に部位及び範囲を算定根拠として適切に記載するこ
と。
13 手術
◎ 手術の算定において、必要事項の記載がない又は不十分な例が認められたので改めるこ
と。
・手術録に術者の署名がもれている例が認められたので、署名又は記名・押印を行い責任
の所在を明確にすること。
・患者又は家族に手術の内容を文書で説明し交付すること。なお、交付した文書の写しを
診療録に添付すること。
・皮膚切開術(K001-1)として算定すべきものを、創傷処理(K000-1)で算定した例が認め
られたので改めること。
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・皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術の算定にあたり、医学的に妥当適切な傷病名がない例が認め
られたので改めること。
・輸血料の算定にあたり、患者に説明していない又は同意書が作成されていない例が認め
られたので改めること。
・特定保険医療材料(皮膚欠損用創傷被覆材)について、不適切な算定が認められたので
改めること。
Ⅱ看護・食事に係る事項
14 看護
(1)看護管理・病棟管理・勤務計画等
・病棟勤務の看護要員の勤務実態の把握が正確に行われていないので、管理体制・チェック
体制の改善を図ること。
・看護管理者について、看護管理業務に専念できるように環境整備を図ること。
・病棟の医薬品の点検について、現在看護職員が点検しているが、今後薬剤師による定期点
検を実施することを検討すること。
・看護基準及び看護手順を定期的に見直し、看護要員がいつでも活用できるよう整備してお
くこと。
・勤務計画表に計上する勤務時間の計上に当たっては正確に記載すること。
・病棟における看護要員の勤務時間数に、休憩時間以外の病棟で勤務しない時間は除かれ
るが、入院基本料の施設基準を満たすために必要な院内感染防止対策委員会、安全管理
のための委員会及び安全管理の体制確保のための職員研修に参加する時間帯以外の各
種委員会及び研修で病棟を離れた時間帯についても勤務時間数を計上していたので改め
ること。
・夜勤時間帯に勤務した時間は夜勤時間数に計上しなければならないが、日勤であることを
理由に勤務した時間の全てを日勤時間として計上していたので改めること。
・申し送りについては、申し送りを受ける側の勤務時間帯における勤務時間数のみ計上するこ
ととなっているが、計上を誤っている例が認めれたので改めること。
・看護職員の傾斜配置について、休日の看護業務が適切に行えるよう改善を図ること。
(2)看護記録・看護計画
・患者個人の経過記録は、情報開示を念頭に、誰が見ても看護実践過程(看護行為の実施
後評価を行うことで、看護内容が継続するような記録方法)が見える記録となるよう監査の視
点、監査項目、実施回数の見直しを図ること。
・看護記録のサイン漏れが散見されたので、指示受領・実践記録等について漏れのないよう
改めること。
・注射・点滴等の指示について、不適切な取扱が認められたので改めること。
例:医師の指示を看護職員が転記している。
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例:指示を受けた者が誰であるのか管理されていない。
・入院診療計画書の看護計画は画一的な内容ではなく、個別性のあるものとし、かつ入院時
立案する看護計画と連動させること。
(3)外出・外泊・付き添い
・入院患者に対する外出・外泊の許可証において、理由欄が未記入又は具体的な理由が記
載されていない例が認められたので改めること。
・「外出・外泊許可」及び「家族付添許可」について、それぞれ許可申請と許可書とを区別して
作成し、許可書を患者・家族に交付すること。
・「家族付添許可」に関して、病院の家族付添許可基準を作成し関係職員に周知すること。
・家族等の付添の管理が不適切であるので改めること。
例:届出された者とは別の者が付き添っている。
例:実際に付添が終了しているにもかかわらず、付き添っていることとして管理されている。
(4)その他
・リネン室に清潔なリネンと共にそれ以外の物も保管されているので改めること。
・年度毎の看護教育計画に看護補助者独自の教育計画を盛り込むこと。
15 食事
(1)入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)
◎ 食事療養の内容については、医師を含む会議(栄養管理委員会)を定期的に実施し、検討
を加えること。
・食事せんについて、記載事項が乏しい例が認められたので、記載内容の充実に努めるこ
と。また、入院患者の栄養補給量は、本来、性、年齢、体位、身体活動レベル、症状等に
よって個々に適正量が算定されるべき性質のものであるので注意すること。
・特別食加算の算定について、流動食は治療食に該当しないので改めること。
・特別食加算の対象となる検査数値について、初回算定時及びその後定期的に確認して
いない例が認められたので改めること。
・検食は毎食、医師、栄養士(管理栄養士)により行い、その所見を検食簿に記載すること。
Ⅲ事務的取扱いに係る事項等
16 事務的取扱いに係わる事項等
①診療録の様式、取扱い
・診療録が療養担当規則第22条の様式に準じていないので改めること。
・保険診療の診療録と自由診療の診療録は区別し、別冊又は別葉とすること。
②届出事項等
・届出事項に変更がある場合は、速やかに変更届を提出すること。
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例:診療日、診療時間、診療科目、保険医の異動届等。
・酸素の購入単価の届出において、毎月の購入実績の計上に誤りがあったため、その月に
購入した分はすべて集計のうえ、適切に単価を算出すること。
・入院期間が180日を超える入院に関する事項について、費用の変更が生じた場合は速
やかに報告すること。
③院内掲示
・届出を行っている施設基準について掲示すること。
・旧施設基準に関する事項を掲示しているので改めること。
・コンタクトレンズ検査料1の施設基準において定められている掲示事項について、一部掲
示もれが認められたので改めること。
・保険外負担について、費用徴収に係るサービス等の内容及び料金を、保険医療機関内
の見やすい場所に、患者にとって分かりやすく掲示すること。
④保険外負担
・治療とは直接関係ないサービス又は物に関する費用の徴収が適切でないので改めるこ
と。
例:EF 大腸実施時におけるキシロカインゼリー、ディスポ術衣、電気毛布使用料等の徴
収。
・特別の療養環境の提供室に係る実費徴収において、患者家族に十分な説明を行わず承
諾を得ていないので改めること。
⑤一部負担金に係る事項
・一部負担金の徴収誤り及び診療録会計欄の記載誤りが認められたので改めること。
・自家診療に係る自院職員等からの一部負担金を適切に徴収すること。
・保険点数を訂正した場合、訂正履歴を明確にすること。また、患者の一部負担金の精算
を適切に行うこと。
⑥領収証・明細書
・領収証の様式が療養担当規則で定められた様式を満たしていないので改めること。
例:自費に関する事項の内訳、医学管理項目の記載がない。
例:領収証の内訳が各部単位となっていない。
・領収証、明細書が発行されていない例が認められたので、原則全ての患者に発行するよ
う改善すること。
・個別の診療報酬の算定項目の分る明細書を交付するとともに、明細書の交付について院
内掲示すること。
⑦診療報酬明細書の記載
◎診療報酬の請求に当たっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録
等と照合し、記載事項に誤りや不備がないか確認すること。
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また、審査支払機関からの返戻・増減通知書は、内容を十分に検討し、以後の診療や
保険請求に反映させるとともに、診療部門と事務部門との連携を図り適正な保険請求に
努めること。
・診療録の転帰の内容が診療報酬明細書に反映されていないので改めること。
・診療報酬請求事務について、算定要件の理解が不十分なため、請求時には診療録と診
療報酬明細書を適切に照合し、記載事項に誤りや不備等がないか十分に確認すること。
⑧その他
・被保険者証等のコピーを保有することは、個人情報保護の観点から好ましくないので改め
ること。
・毎月の査定件数が多いので、原因を精査し、今後の保険診療に反映させること。
・審査支払機関からの返戻通知等は、3年間保存すること。
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