平成 25 年度に実施した個別指導において 保険医療機関(医科)に改善を求めた主な 指摘事項 東北厚生局 平成 26 年 12 月 目 次 Ⅰ 診療に関する事項 1 診療録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 1~ 2 2 傷病名等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 2~ 2 3 基本診療料等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 2~ 5 4 医学管理等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 5~ 7 5 在宅医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 7~ 8 6 検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 8~10 7 画像診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P10~10 8 9 10 11 12 13 投薬等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P10~12 注射・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P12~12 リハビリテーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P12~13 精神科専門療法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13~13 処置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13~14 手術・特定保険医療材料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P14~14 Ⅱ 看護・食事に関する事項 14 看護・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P14~16 15 食事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P16~17 Ⅲ 請求事務等に関する事項 16 診療報酬請求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P17~17 17 事務的取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P17~18 Ⅰ 診療に関する事項 1 診療録 ◎ 診療録は患者の症状経過等を記録しておく重要なものであり、診療報酬請求の根拠となる ことを十分に認識し、保険診療に関する必要事項を、遅滞なく正確に記載するとともに内容の 充実に努めること。 (1) 診療録の記載内容 ① 必要事項を記載していない又は乏しい例が認められたので改めること。 (医師法で禁止されている無診察診療とも誤解されかねないので直ちに改めること。) 例:入院患者の診療録について、診療内容を記載していない。 :外来患者の診療録について、診療内容を記載していない。 :外来患者の診療録について、「薬のみ」という記載や「do」等の記載で、投薬等の治療 が行われている。 :多日数通院での注射、処置について、その必要性の記載が乏しい。 :処置、リハビリテーションを実施した場合の記載が画一的となっている。 ② 主病が複数ある例が認められたので、原則主病は一つとすること。 ③ 主病及び主訴について不明な例が認められたので改めること。 ④ 診療録と診療報酬明細書との傷病名に不一致が認められたので、十分確認すること。 (2) 診療録の記載方法 ① 診療録の記載方法に不適切な例が認められたので改めること。 例:独自の略称の使用、欄外記載、付箋の貼付、修正液・上書きによる訂正。 ② 複数の医師が同一の患者を担当する場合は、診療日ごとに担当した医師が、署名又は 記名・押印を行い、責任の所在を明確にすること。 ③ 看護師等(医師以外)が記載した場合も、担当医が署名又は記名・押印を行い、責任の 所在を明確にすること。 (3) 電子カルテ ① 電子的に保存している記録について、不適切な例が認められたので改めること。 例:記録の更新履歴が確認できない。 :パスワードの更新期限を設定していない。 :職員個々のID、パスワードの管理が適切になされていない。 :管理体制において、「外部に保存する際の基準」を遵守していない。 :入力補助者等が代行入力した場合、診察した医師が確認を行っていない。 :医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第 4.2 版に準拠していない。 ② 診療情報提供書等の紙媒体が生じる場合は、スキャナ等により電子化して保存を行うこと。 また、スキャナによる読み取りに係る運用管理規程を定めること。 -1- ③ 医療情報システムの運用に関し、安全性の確保、責任の所在の明確化などの観点から、 院内における「システムの運用基準」等を作成し徹底を図ること。 2 傷病名等 ◎ 不適切な傷病名の記載が認められたので、医学的な根拠に基づき傷病名を記載すること。 (1) 傷病名等 ① 不適切な記載例が認められたので改めること。 例:入院と外来で傷病名が異なっている。 :症状を傷病名として慢性的に使用している。 :ICD10等に記載のない傷病名を使用している。 :治療・管理を行っていない傷病名を記載している。 :部位、左右、慢性、急性、転帰欄、終了年月日欄の記載をしていない。 :長期に渡る急性病名、重複する病名及び類似病名の併記。(傷病名が非常に多数) ② 複数の傷病を主病としているが、主病は基本的に治療や医学管理の中心となっているも の一つとすること。 ③ 「○○の予防」など、保険診療の対象外である予防のための治療と受け取られかねない 例が認められたので改めること。 ④ 検査・投薬の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠がない傷病名(いわゆるレ セプト病名)が認められたので改めること。 ⑤ 診療報酬の請求に当たり傷病名のみでは不足と思われる場合は、症状詳記を行うこと。 ⑥ 疑い病名について、適切に整理すること。 例:長期に渡る疑い病名、未整理の疑い病名、疑った根拠の記載が乏しい。 (2) 診療録と診療報酬明細書の不一致 ◎ 診療録は保険請求の根拠となるものなので、診療報酬明細書と一致すること。 ① 傷病名の転帰が診療報酬明細書の転帰欄に記載されていない例が認められたので改め ること。 ② 診療報酬明細書の傷病名について、同一の傷病名が重複して記載されている例が認め られたので改めること。 3 基本診療料等 ◎ 算定要件を満たしていない又は不適切に算定している例が認められたので改めること。 【1】 基本診療料 (1) 初・再診料 ① 患者本人が受診せず、患者の家族が来院したものに初診料を算定している例が認め られたので改めること。 ② 初診又は再診に付随する一連の行為とみなされる場合は、再来院した際の再診料は -2- 算定できないので改めること。 ③ 電話による再診料の算定において、医師の治療上必要な指示内容を診療録に記載 していない例が認められたので改めること。 ④ 再診料の算定において、再診の際に検査の必要性を認め、後日検査のみで受診した 日に算定している例が認められたので改めること。 ⑤ 慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷、健康診断で疾患が発見された患者の診 療は、初診として取り扱わないので改めること。 (2) 時間外加算等 ○ 夜間早朝等加算で算定すべきところを時間外加算で算定している例が認められたの で改めること。 (3) 外来管理加算 ① 患者からの聴取事項や診察所見の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が 認められたので改めること。 ② 算定要件を満たす診療が行われた場合には算定根拠を明確にし、医師の指示により 算定すること。なお、事務部門への指示を明確にすること。 ③ 外来患者が2以上の傷病で複数科を受診し、一方の科で処置又は手術等を実施した 場合、他科においては当該加算を算定できないので改めること。 ④ 処置、リハビリテーション等を実施時に算定している例が認められたので改めること。 【2】 入院基本料 ◎ 入院診療計画・院内感染防止対策・医療安全管理体制・褥瘡対策及び栄養管理体制に ついて、別に厚生労働大臣が定める基準に適合している場合に限り、入院基本料等の算定 を行うものであり、基準に適合していることを示す資料等を整理しておく必要があること。 (1) 入院診療計画書 ① 入院診療計画の作成に当たって、参考様式として示された項目のない説明文書が認 められたので改めること。 例:症状、手術内容及び日程、特別な栄養管理の必要性の有無、患者・家族等の署名 ② 総合的な機能評価を行った患者について、評価結果を記載していない例が認められ たので改めること。 ③ 説明文書の写しが診療録に貼付されていないので改めること。また、診療録に原本と 思われるものが貼付されているので改めること。 ④ 精神療養病棟において療養病棟用の様式を使用しているので、一般病棟用(別添6 の別紙2の1の様式)を使用すること。 ⑤ 看護計画は、入院診療計画書の枠外ではなく「その他」欄に記載すること。また、入院 時看護初期計画との整合性を図り個別性に留意すること。 -3- ⑥ 医師、看護師、その他必要に応じ関係職種が共同して、患者の情報を活用した総合 的な計画を策定のうえ、患者又は患者の家族が理解できる内容により情報提供を行うこ と。 ⑦ 入院後7日以内(又は入院前7日以内)に説明を行っていない例が認められたので改 めること。 ⑧ 再入院の患者で再作成が必要な患者に作成していない例が認められたので改めるこ と。 (2) 院内感染防止対策 ○ 院内感染防止対策が適正に実施されていないので改めること。 例:院内感染防止対策委員会に、病院長が出席していない。 :院内感染防止対策委員会の一部の委員の出席が少ない。 (出席しやすい曜日や時間などを検討すること。) :院内感染防止対策委員会は設置しているが、月1回程度定期的に開催していな い。 :検査部において作成する感染情報レポートが週1回程度作成されていない。 :職員や家族面会者に対して、手洗いの周知が図られていない。 :廃棄物保管容器の設置場所の変更を検討すること。 :廃棄物保管容器が他の医療機材の近くに設置されて、血液等が飛散しないような 対策が図られていない。 (3) 医療安全管理体制 ○ 医療安全管理体制が適正に実施されていないので改めること。 例:職員研修の出席率が低い。 :職員研修が年2回程度実施されていない。 :医療安全管理委員会の一部の委員の出席が少ない。 (出席しやすい曜日や時間を検討すること。) :安全管理の責任者等で構成される委員会が月1回程度開催されていない。 :医療安全管理委員会の委員及び開催等を定めた規程が作成されていない。 :インシデントの報告がされていない部署がある。 :医療事故発生時の対応方法のマニュアル記載が不十分。 (4) 褥瘡対策 ○ 診療対策が適正に実施されていないので改めること。 例:診療計画の様式について、参考様式で示している項目を網羅していない。 :日常生活の自立度が低い入院患者について、定められた書式に準じた危険因子 の評価が行われていない。 :届出された専任の医師、看護職員以外の者が褥瘡対策に関する診療計画を作成 し、評価を行っている。 -4- (5) 栄養管理体制 ○ 栄養管理体制が適正に実施されていないので改めること。 例:栄養管理計画書が作成されていない。 :栄養管理手順書が作成されていない。 :必要な項目欄がない。(担当医師名の欄など) :栄養状態の記録について、血液検査結果、体重の増減を記載していない。 :栄養管理計画を作成した患者について、栄養状態を定期的に評価し記録していな い。 4 医学管理等 ◎ 医学管理料の算定において、診療録に必要事項を記載していない又は乏しい例が認めら れた。算定に当たっては、指導内容・治療計画等の診療録に記載すべき事項が、それぞれ の医学管理料ごとに算定要件として定められていることに留意すること。 ◎ 医学管理料について、算定要件を満たしていない例が認められたので改めること。 (1) 特定疾患療養管理料 ① 管理内容及び療養上の指導の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認めら れたので改めること。 ② 管理内容の要点がゴム印のみで記載されている例が認められたので改めること。 ③ 退院の日から1ヶ月を経過していない日に算定している例が認められたので改めるこ と。 ④ 特定疾患が主病でないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。 (2) 特定薬剤治療管理料 ① 薬剤の血中濃度及び治療計画の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認め られたので改めること。 ② 薬剤の血中濃度及び治療計画の要点を診療録に記載していない日に算定している例 が認められたので改めること。 (3) 悪性腫瘍特異物質治療管理料 ① 腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点を診療録に記載していない又は乏しい 例が認められたので改めること。 ② 悪性腫瘍であると確定診断がされていない患者に対し算定した例が認められたので改 めること。 ③ 初回月加算について、1回目の当該管理料を算定すべき月以外の月に算定している 例が認められたので改めること。 (4) てんかん指導料 ① 診療録への診療計画の要点記載について、画一的な例が認められたので、患者個々 の状況に応じて記載すること。 -5- ② 指導を行う専任の医師の標榜診療科を明確にすること。 ③ 退院の日から1ヶ月を経過していない日に算定している例が認められたので改めるこ と。 (5) 難病外来指導管理料 ○ 診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認められた ので改めること。 (6) 皮膚科特定疾患指導管理料 ○ 診療計画及び指導内容の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認められた ので改めること。 (7) 外来栄養食事指導料 ① 診療録に医師が管理栄養士に対して指示した事項の記載がない又は乏しい例が認め られたので改めること。 ② 管理栄養士が指導を実施した時間を記録していない例が認められたので改めること。 (8) 高度難聴指導管理料 ○ 指導内容の要点を診療録に記載していない例が認められたので改めること。 (9) 慢性疼痛疾患管理料 ① 診療録にマッサージ又は器具等による療法を行った旨を記載していない例が認められ たので改めること。 ② 療養上必要な指導を行ってないにもかかわらず、月初めに機械的に算定している例が 認められたので改めること。 (10) がん性疼痛緩和指導管理料 ○ 麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、症状、頻度等)、麻薬処方後の効果 判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載していない又は乏 しい例が認められたので改めること。 (11) 生活習慣病管理料 ① 療養計画書を患者へ交付していない又は患者の署名を受けていない例が認められた ので改めること。なお、交付した療養計画書の写しは診療録に貼付すること。 ② 患者の症状の悪化等がないにもかかわらず、出来高で算定している例が認められたの で改めること。 (12) 診療情報提供料(Ⅰ) ① 交付した文書の写しを診療録に添付していない例が認められたので改めること。 ② 紹介先の機関名を特定していない文書で算定している例が認められたので改めるこ と。 ③ 紹介元機関への再受診を伴わない患者紹介の返事について算定している例が認めら れたので改めること。 -6- ④ 診療情報提供書の様式について、別に定める様式で示している項目が全て網羅され ていない様式を使用している例が認められたので改めること。 (13) 薬剤情報提供料 ○ 患者に提供する文書に用法、用量、副作用、相互作用に関する情報を記載していない 例が認められたので改めること。 (14) 療養費同意書交付料 ○ 同意書を交付する場合は、同意する施術の範囲及び往療について、みだりに同意を 行わないようにすること。 (15) 退院時薬剤情報管理指導料 ○ 交付する文書に担当医師の氏名を記載していない例が認められたので改めること。 5 在宅医療 ◎ 在宅医療について、必要事項を記載していない又は乏しく算定要件を満たしていない例が 認められたので改めること。 (1) 往診料 ① 定期的ないし計画的に患家に赴いて診療を行った場合に算定している例が認められ たので改めること。 ② 同一患家内の二人目以降の患者に算定している例が認められたので改めること。 ③ 往診の依頼があった旨を診療録等に記載するなど明確にするよう改めること。 (2) 在宅患者訪問診療料 ○ 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載していない又は乏しい例が認 められたので改めること。 (3) 在宅時医学総合管理料 ○ 在宅療養計画及び説明の要点等を診療録に記載していない例が認められたので改 めること。 (4) 在宅患者訪問看護・指導料 ① 医師が行った指示内容の要点を診療録に記載していない例が認められたので改める こと。 ② 看護師等が行った指導及び看護の内容の要点を看護記録に記載していない例が認 められたので改めること。 (5) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料 ○ 医師が理学療法士等に対して行った指示内容の要点の診療録記載について、乏し い例が認められたので改めること。 (6) 訪問看護指示料 ① 訪問看護指示書への指示事項の記載について、乏しい例が認められたので改めるこ と。 -7- ② 訪問看護指示書の写しを診療録に添付していない例が認められたので改めること。 ③ 特別訪問看護指示書については、「別紙様式18」又はこれに準じた様式を使用する こと。 (7) 在宅患者連携指導料 ○ 他職種から受けた診療情報の内容及びその情報提供日並びにその診療情報を基に 行った診療の内容又は指導等の内容の要点及び診療日が診療録に明確に記載され ていない例が認められたので改めること。 (8) 在宅自己注射指導管理料 ○ 管理内容の要点の診療録記載について、乏しい例が認められたので改めること。 (9) 血糖自己測定器加算 ① 自己測定した回数と異なる回数で算定している例が認められたので改めること。 ② 自己測定が月20回未満にもかかわらず算定している例が認められたので改めること。 ③ 診療録に測定回数を示す記録の添付がなく、記録結果の評価に基づく指導を実施し ていない患者に対して算定している例が認められたので改めること。 (10) 酸素ボンベ加算 ○ 携帯用酸素ボンベについて、医療機関への通院等に携帯用小型ボンベを使用して いないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。 (11) 在宅人工呼吸指導管理料 ○ 長期に渡り持続的に人工呼吸に依存せざるを得ない患者以外の患者について算定 している例が認められた。睡眠時無呼吸症候群の患者は対象とならないので改めるこ と。 (12) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料 ○ 指導内容の要点を診療録に記載していない例が認められたので改めること。 (13) 在宅寝たきり患者処置指導管理料 ① 指示事項、指導内容の要点を診療録に記載していない例が認められたので改めるこ と。 ② 当該処置に関する指導管理を実施した以外の日に算定している例が認められたので 改めること。 6 検査 ◎ 検査について、不適切に実施された例が認められた。検査は、患者の個々の症状・所見に 応じ、必要な項目を選択のうえ段階を踏んで必要最小限の回数で実施すること。 (1) 必要以上に実施回数の多い例が認められたので改めること。 例:眼圧検査、尿沈渣、HCV 抗体定性・定量、トレッドミルによる負荷心肺機能検査。 :骨粗鬆症の確定診断がないにもかかわらず実施した NTX、BAP、骨塩定量検査。 (2) 尿中一般物質定性半定量検査 -8- ○ 当該検査に係る判断料を算定している例が認められたので改めること。 (3) 尿中特殊物質定性定量検査 ○ アルブミン定性を実施せずアルブミン定量を実施している例が認められたので改める こと。 (4) 血液形態・機能検査 ① 末梢血液像(自動機械法)で算定するべき例を末梢血液像(鏡検法)で算定している 例が認められたので改めること。 ② 末梢血液一般検査において貧血の所見がないにもかかわらず実施した葉酸、ビタミ ン B12 が認められたので改めること。 (5) 免疫血液学的検査 ○ 人工腎臓開始後3ヶ月以上経過した患者に対し、当該検査(ABO 血液型、Rh(D)血液 型)を実施し算定している例が認められたので改めること。 (6) その他の微生物学的検査 ○ 尿素呼気試験について、ピロリ菌の必要な検査が行われていない例が認められたの で改めること。 (7) 検体検査判断料 ○ 手術後医学管理料を算定する同一月内に算定できない検体検査判断料を算定して いる例が認められたので改めること。 (8) 呼吸心拍監視 ○ 観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点を診療録に記 載していない又は乏しい例が認められたので改めること。 (9) 経皮的動脈血酸素飽和度測定 ① 対象患者以外の患者に算定している例が認められたので改めること。 ② 医師の指示内容を診療録に記載していない例が認められたので改めること。 (10) 神経学的検査 ① 検査不能な項目があった場合は、その項目について検査不能な旨を記載するよう改 めること。 ② 専ら神経系疾患の診療を担当する医師として、地方厚生局長に届け出ている医師が 当該検査を行った上で、その結果を患者及びその家族等に説明した場合に限り算定で きることに留意すること。 (11) 矯正視力検査 ○ コンタクトレンズの装用を中止せず、眼鏡を処方した患者に対し当該検査を算定して いる例が認められたので改めること。 (12) コンタクトレンズ検査料 ○ コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った結果、 コンタクトレンズの装用を不可とした場合に、コンタクトレンズ検査料を算定している例が -9- 認められたので改めること。なお、この場合は、実際に行った眼科学的検査の所定点数 を算定すること。 (13) 認知機能検査その他の心理検査 ○ 「操作が容易なもの」については、検査及び結果処理が概ね40分以上要する場合に 算定すること。 7 画像診断 ◎ 画像診断について、不適切に実施された例が認められたので改めること。画像診断は、 個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、段階を踏んで実施し、必要最小限の回数 で実施すること。 (1) コンピューター断層撮影(CT撮影) ① エックス線写真撮影を実施せず、CT撮影を実施した例が認められたので改めること。 ② 経管栄養カテーテル交換後の画像診断について、CT撮影を一律に実施している例が 認められたので改めること。 ③ 造影剤使用加算において、経口造影剤を使用した場合に算定している例が認められ たので改めること。 8 投薬等 ◎ 投薬に当たっては、療養担当規則第20条(特に第2号)を遵守すること。特に後発医薬品 の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択しやすくするように努めること。薬剤を 使用するに当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、薬事法承認事項(効能・効果、 用法・用量)を遵守すること。また、適宜、治療効果判定を行い、漫然と投与することのないよ う注意すること。 (1) 禁忌投与 ① 重度の肝障害の患者に対するエクア錠の投与。 ② 重篤な腎障害のある患者に対するビーフリード輸液の投与。 ③ 高窒素血症のある患者に対するソルデム3A輸液、ヒシナルク3号輸液の投与。 (2) 適応外投与 ① 胃炎の患者以外に対するナウゼリンOD錠の投与。 ② 胃潰瘍、逆流性食道炎等以外の患者に対するタケプロンOD錠30・タケプロンカプセ ル30の投与。 ③ 腹膜透析患者で Hb11g 以上の患者に対するミルセラ注シリンジの投与。 ④ 人工心肺のプライミング目的に使用した注射用ソル・メルコート 500 の投与。 ⑤ 眼科手術における硝子体可視化目的のケナコルトーA筋注用関節腔内水懸注 40mg の投与。 (3) 用法外投与 - 10 - ○ ナウゼリンOD錠の頓用での投与。 (4) 長期漫然投与(適宜効果判定が行われずに漫然と行われている投薬) ① ファモスタジンD錠の投与。 ② ネキシウムカプセルの投与。 ③ ラベプラゾールNa 錠の投与。 ④ メチクール錠の月余に渡る投与。 ⑤ コバマミド錠の月余に渡る漫然投与。 ⑥ 統合失調症に係るマイスリー錠の投与。 ⑦ 胃潰瘍に係るファモチジンD錠の投与。 ⑧ 逆流性食道炎に係るネキシウム、パリエット錠、タケプロンOD錠の投与。 (5) 過剰投与 ○ アムロジピン錠は1日1回の投与となっているので留意すること。 (6) 処方料 ○ 生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病としない患者に対し、特定疾 患処方管理加算を算定している例が認められたので改めること。 (7) 処方せん料 ① 薬剤の一般的名称を記載した処方せんを交付した場合は、診療録に一般的名称で 処方が行われた旨を記載すること。 ② 長期投薬加算について、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病としない患者に対し 算定している例が認められたので改めること。 (8) その他 ① 「do」という記載のみで、用量・処方内容が不明であるので改めること。 ② 非ステロイド性抗炎症薬の併用投与に当たって副作用に留意すること。 ③ ボグリボース OD 錠の投与に当たって食前に服用と指示しているが、食直前服用と指 示すること。 ④ アリセプト D 錠の投与に当たって通常、3㎎から開始し、1~2週間後に5㎎に増量し、 経口投与することになっているので留意すること。 ⑤ AZ 点眼液の投与に当たって1日1~数滴点眼と指示しているが、1日の投与回数を指 示するとともに、点眼数も具体的に(1回○~○滴)指示すること。 ⑥ アクトス錠15㎎2錠を処方した例が認められたが、当該薬剤には30㎎ 1 錠の処方が 適正であるので改めること。 ⑦ コリン作動薬と拮抗薬を同時に使用している例が認められたので、薬効に留意して投 与するよう改めること。 ⑧ 経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している例が認められた ので経口剤を優先して投与を行うよう改めること。 - 11 - ⑨ 投薬を実施するに当たり、診療内容及び診断根拠等を診療録に記載していない例が 認められたので改めること。 ⑩ 薬価基準に収載されている医薬品は、薬事法承認事項(効能・効果、用法・用量、禁 忌等)の範囲内で使用した場合に保険適応となるものであり、承認事項は、医師の裁量 で変えられるものではないことに留意すること。 9 注射 ◎ 注射に当たっては、療養担当規則第20条(特に第4号)を遵守すること。 (1) 適応外使用 ○ 強力ネオミノファーゲンシー静注を適応外の患者へ投与している例が認められたので 改めること。 (2) 治療上の必要性がない又は乏しい注射 ○ トリガーポイント注射については、診療上の必要性を十分に考慮した上で、段階を踏 んで回数等は必要の範囲内で行うこと。 (3) その他 ① ノイロトロピン注射液の投与については、用法に留意して行うこと。 ② ネスプ注射液の使用に当たっては、ガイドラインに沿って実施されているか確認するこ と。 ③ 点滴注射について、補液のみで必要なビタミン剤が投与されていないので留意するこ と。 ④ 精密持続点滴注射加算について、薬剤を注入する速度の指示が不明瞭な例が認め られたので改めること。 ⑤ 麻薬注射加算について、麻薬注射を行っていないにもかかわらず算定している例が 認められたので改めること。 ⑥ カシロン静注は、鎮痛剤の経口投与が不可能な場合又は急速に症状を改善する必 要がある場合のみ使用することになっているので留意すること。 10 リハビリテーション ◎ 疾患別リハビリテーションの算定要件を満たしていない例又は記録が不十分な例が認めら れた。医師は定期的な機能検査等を基に、その効果判定を行い、定められた様式に準じたリ ハビリテーション実施計画を作成する必要がある。 また、リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者に対して実施計画の 内容を説明し、診療録に説明の要点を記載すること。 ① 摂食機能療法の実施に当たっては、実施計画を作成し、医師は定期的に摂食機能検査 をもとに効果判定を行うこと。 - 12 - ② 各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては、実施時刻(開始時刻と終了時刻) の記録を診療録等に記載すること。 ③ リハビリテーション実施計画書の様式について、項目が不足しているため、定められた様 式を参考に様式を改めること。 11 精神科専門療法 ◎ 精神科専門療法料の算定において、必要事項を記載していない又は不十分な例が認めら れたので改めること。 (1) 通院・在宅精神療法 ① 治療方針、患者への指示事項の診療録記載について、乏しい例が認められたので改 めること。 ② 診療に要した時間を診療録に記載していない又は画一的となっている例が認められ たので改めること。 ③ 特定薬剤副作用評価加算について、評価結果と決定した治療方針が診療録に記載 していない又は画一的に算定されている例が認められたので改めること。 (2) 標準型精神分析療法 ○ 診療録への診療時間の記載が画一的に記載している例が認められたので、患者 個々の実態に応じて記載するよう改めること。 (3) 精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア ○ 診療録への要点記載について、乏しい例が認められたので改めること。 (4) 精神科退院指導料 ○ 精神科退院療養計画書(別紙様式24)の記載に不十分な例が認められたので、患者 個々の実態に応じて記載すること。 (5) 精神科訪問看護・指導料 ① 医師が保健師等へ行った指示内容の要点を診療録に記載していない例が認められ たので改めること。 ② 保健師・看護師訪問指導加算について、複数の保健師等又は看護補助者に指示し た旨を記載していない例が認められたので改めること。 12 処置 ◎ 処置の算定において、必要事項を記載していない又は乏しい例が認められたので改めるこ と。 (1) 熱傷処置 ○ 度数及び処置面積を算定根拠として診療録に記載すること。 (2) 人工腎臓(障害者等加算) ① 腹水・胸水が貯留している外来患者に算定している例が認められたので改めること。 - 13 - ② 透析中に頻回の検査、処置を必要としないインスリン注射を行っている糖尿病の患者 に算定している例が認められたので改めること。 (3) 瀉血療法 ○ 実施後の血球数の検査が行われていない例が認められたので改めること。 (4) 皮膚科軟膏処置 ○ 処置した範囲を診療録に記載していない例が認められたので改めること。 (5) いぼ冷凍凝固法 ○ 個数・範囲等を算定根拠として診療録に記載すること。 (6) 睫毛抜去(多数) ○ 算定根拠(抜去した本数等)を明確にすること。 (7) 消炎鎮痛等処置 ○ 医師の指示、実施した療法の診療録記載について不十分な例が認められたので、医 師の指示を明確にして記載の充実を図ること。 (8) 酸素加算 ○ 酸素の購入価格の届出において、購入金額の計上に誤りが認められたので改めて届 出を行うこと。 13 手術・特定保険医療材料 ◎ 手術の算定において、必要事項を記載していない又は不十分な例が認められたので改め ること。 ① 創傷処理の算定に当たり、処理した範囲を診療録に明確にすること。 ② 患者又は家族に手術の内容を文書で説明し交付していない例が認められたので改める こと。なお、交付した文書の写しは診療録に添付すること。 ③ レーザーを用いて、いぼ焼灼法で算定するべきところを皮膚・皮下腫瘍摘出術(露出部) で算定している例が認められたので改めること。 ④ 内視鏡下手術において、算定できない内視鏡検査用フィルム代を請求している例が認め られたので改めること。 ⑤ 膀胱留置用ディスポーザブルカテーテルの算定において、24時間以上体内留置してい ないのに算定している例が認められたので改めること。 Ⅱ 看護・食事に関する事項 14 看護 (1) 看護管理・病棟管理・勤務計画等 ① 看護管理者について、看護管理業務に専念できるように環境整備を図ること。 - 14 - ② 看護基準及び看護手順を定期的に見直し、看護要員がいつでも活用できるよう整備して おくこと。 ③ 病棟勤務の看護要員の勤務実態の把握が正確に行われていないので、管理体制・チェ ック体制の改善を図ること。 ④ 非常勤職員は、常勤換算した人数で計算すること。 ⑤ 月平均夜勤時間数について、夜勤専従者は除いて計算すること。 ⑥ 看護職員1人当たりの月平均夜勤時間数が 72 時間を超えている月が認められたので改 めること。 ⑦ 病棟と外来等を兼務する看護要員は、外来等に勤務した時間が病棟勤務時間から除外 されるほか、夜勤従事者としての人数も案分して計上されることから、勤務時間を適切に把 握し、看護配置数及び夜勤時間を管理すること。 ⑧ 勤務実績表は入院基本料等に係る診療報酬の請求の根拠となる記録であることに留意し、 看護部の一担当者だけではなく、複数の担当者及び複数の部局において確認し、管理者 の決裁を受けるなど適正に管理すること。 (2) 看護記録・看護計画 ① 注射・点滴等の指示について、不適切な取扱が認められたので改めること。 例:医師の指示を看護職員が転記している。 :指示を受けた者が誰であるのか管理されていない。 ② 看護記録のサイン漏れが散見されたので、指示受領・実践記録等について漏れのないよ う改めること。 ③ 患者個人の経過記録は、情報開示を念頭に、誰が見ても看護実践過程(看護行為の実 施後評価を行うことで、看護内容が継続するような記録方法)が見える記録となるよう監査の 視点、監査項目、実施回数の見直しを図ること。 ④ 立案した看護計画の実施結果について評価内容を診療録に記載していないため必ず記 載すること。 ⑤ 入院診療計画書の看護計画は画一的な内容ではなく、個別性のあるものとし、かつ入院 時立案する看護計画と連動させること。 ⑥ 看護計画の評価期間について、入院後から一律 3~6 ヶ月毎の評価になっている例が散 見されたので評価の充実を図ること。 ⑦ 身体抑制マニュアルについて、早急に作成し職員に周知すること。 ⑧ 不穏のある患者に対して身体抑制を実施する場合は、身体抑制の開始及び解除の時期 をその理由も含めて医師の指示を受けること。 ⑨ 身体抑制を実施した場合には、看護計画を立案し、医療事故防止のために観察が行き 届く体制を構築すること。 (3) 外出・外泊・付き添い - 15 - ① 外出・外泊許可書について、許可書の様式に医療機関の住所、電話番号等の連絡先を 記載すること。 ② 外出・外泊許可書について、理由欄を記載していない例又は具体的な理由を記載してい ない例が認められたので改めること。 ③ 外出・外泊許可及び家族付添許可について、それぞれ「許可申請」と「許可書」とを区別 して作成し、「許可書」を患者・家族に交付すること。 ④ 家族等の付添の管理が不適切であるので改めること。 例:付添の家族に看護業務を行わせている。 :届出された者とは別の者が付き添っている。 :付添が終了しているにもかかわらず、付き添っていることとして管理されている。 ⑤ 家族付添許可について、許可基準を作成し関係職員に周知すること。 ⑥ 家族付添許可について、付添許可期間を記入していない例が散見されたので適切に記 入すること。 (4) その他 ① シーツ類を交換した実績を記録として残すこと。 ② 救急用品及び薬品は、常時使用できる状態に整備しておくこと。 ③ リネン室に清潔なリネン以外の物が保管されているので改めること。 ④ 療養環境について、医療機械や看護必要物品が清潔・不潔の区別なく保管されている例 が認められたので、清潔物品保管棚等にカーテンや覆布などを利用するなど清潔・不潔の 区別を明確にすること。 ⑤ 年度毎の看護教育計画に看護補助者独自の教育計画を盛り込むこと。 ⑥ 看護部の理念及び目標を設定し、これを職員に浸透させ活動の評価を行うこと。 ⑦ 看護補助者の院内研修について、基礎知識を習得できる内容の項目が不足している例 が認めたられたので、毎年計画的に実施すること。 15 食事 (1) 入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ) ◎ 食事も治療の一環であることに留意すること。 ◎ 食事療養の内容については、医師を含む会議(栄養管理委員会)を定期的に実施し、検 討を加えること。 ① 食事箋の記載事項について、乏しい例が認められたので、記載内容の充実に努め ること。 ② 検査値が要件となる貧血食等の特別食の食事箋には、検査値を記入すること。 ③ 特別食である減塩食は、一日当たりの食塩相当量を6g未満とすること。 ④ 特別食加算の算定について、流動食は治療食に該当しないので改めること。 - 16 - ⑤ 特別食加算の対象となる検査数値について、初回算定時及びその後定期的に確認 していない例が認められたので改めること。 ⑥ 栄養管理委員会の議事録について、管理者(院長)の決済を受け、適切に保存す ること。 ⑦ 日々の検食の所見、喫食調査等を踏まえ、栄養管理委員会において食事内容の検 討を行う体制とすること。 ⑧ 検食は毎食、医師、栄養士(管理栄養士)により行い、その所見を検食簿に記載 すること。 ⑨ 検食簿の医師の所見欄について、記載が乏しいので、積極的に記載し食事の質の 向上に努めること。 ⑩ 予定献立表について、常食のみならず特別食についても管理者(院長)の承認(決 裁)を受けてから実施すること。なお、食事の提供が完了した後は、実施報告書(実 施献立表)として保管すること。 Ⅲ 請求事務等に関する事項 16 診療報酬請求 ① 診療報酬の請求に当たっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録 等と照合し、記載事項に誤りや不備がないか確認すること。 ② 審査支払機関からの返戻・増減点連絡書は、内容を十分に検討し、以後の診療や保険 請求に反映させるとともに、診療部門と事務部門との連携を図り適正な保険請求に努める こと。 ③ 診療録の転帰の内容が診療報酬明細書に反映されていないので改めること。 ④ 診療報酬請求事務について、算定要件の理解が不十分なため、請求時には診療録と 診療報酬明細書を適切に照合し、記載事項に誤りや不備等がないか十分に確認すること。 17 事務的取扱い (1) 届出事項 ○ 届出事項に変更があった場合は、その都度速やかに東北厚生局長へ変更(異動)届を 提出すること。 例:診療日、診療時間、診療科目、保険医の異動届(常勤・非常勤) :施設基準に係る届出内容の変更 :保険外併用療養費に係る報告内容の変更 (2) 掲示事項 ① 保険医療機関の掲示事項に関して、不適切な例が認められたので改めること。 - 17 - 例:届出している施設基準に係る事項を掲示していない ② 保険外負担について、費用徴収に係るサービス等の内容及び料金を院内の見やすい 場所に、患者にとって分かりやすく掲示すること。 ③ 保険外併用療養費に関する事項(差額ベッドの場所及び料金等)について、院内の見 やすい場所に掲示すること。 ④ 屋内禁煙が要件となっている施設基準について、屋内禁煙を行っている旨を保険医療 機関の見やすい場所に掲示すること。 (3) 一部負担金に係る事項 ○ 一部負担金の取扱いにおいて、不適切な例が認められたので改めること。 例:自家診療に係る患者について一部負担金未収のまま納入督促も行われていない :計算方法の誤り、診療録3号紙の記載誤り、記載漏れ :管理簿等の作成がなく未収の一部負担金の管理が不十分である :過不足があるにもかかわらず返金及び追加徴収が行われていない (4) 領収証・明細書に係る事項 ① 領収証の様式について、標準例で定められている内容を満たしていないので、各項目 について改めること。 ② 電子請求を行っている保険医療機関は、正当な理由がない限り、項目ごとに記載した明 細書についても無償で交付すること。 ③ 領収証、明細書を発行していない例が認められたので原則全ての患者に発行すること。 (5) 保険外負担に係る事項 ① 療養の給付とは直接関係のないサービス又は物に関する費用の徴収に不適切な例が 認められたので改めること。 例:手技料等に包括されている材料等 :寝具のクリーニング代、シーツ代、冷暖房費等 :入院患者以外の患者が利用した差額ベッドの費用 ② 療養の給付とは直接関係のないサービス等は、サービスの内容や料金を明示した文書 に患者の署名を受けることにより同意を確認のうえで徴収を行うこと。 (6) その他 ① 被保険者証等のコピーを保有することは個人情報保護の観点から好ましくないので行わ ないよう改めること。 ② 診療録について、その完結の日から5年間保存を行うこと。 ③ 診療録に労務不能に関する記載欄がないので、第一号(一)の1様式又はこれに準ずる 様式(療養担当規則第22条)に改めること。 ④ 保険診療と保険外診療(自由診療)の診療録が区別されていないので、別冊又は別葉と すること。 - 18 - 平成 25 年度に実施した個別指導において 保険医療機関(歯科)に改善を求めた主な 指摘事項 東北厚生局 平成 26 年 12 月 目 次 Ⅰ 診療に関する事項 1 診療録等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 1~ 2 2 基本診療料等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 2~ 2 3 医学管理等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 2~ 4 4 在宅医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 4~ 5 5 検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 5~ 6 6 画像診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 6~ 6 7 投薬等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 6~ 7 8 歯周治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 7~ 8 9 処置等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 8~10 10 手術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P10~11 11 麻酔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P11~11 12 歯冠修復及び欠損補綴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P11~13 13 歯科矯正・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13~13 14 保険外診療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13~14 Ⅱ 請求事務等に関する事項 15 診療報酬請求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P14~14 16 事務的取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P14~15 Ⅰ 診療に関する事項 1 診療録等 ◎ 診療録は患者の症状経過等を記録しておく重要なものであり、診療報酬請求の根拠となる ことを十分に認識し、保険診療に関する必要事項を、遅滞なく正確に記載するとともに内容の 充実に努めること。 (1) 診療録の記載内容 ① 診療録第1面の記載事項に不備が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。 例:患者氏名、主訴、傷病名、歯式(口腔内所見)、開始、終了、転帰。 ② 診療録第1面の傷病名欄に「う蝕」や「慢性歯周炎」を記載する際は、進行度数を省略す ることなく記載すること。 ③ 診療録第1面の歯式(口腔内所見)の記載は、初診ごとに記載すること。 ④ 診療録第2面の記載内容に不備が認められたので、必要な内容を適切に記載すること。 例:診療日、症状、所見、処置内容、手術内容、指導内容、検査結果、治療方針、 印象材料名、補綴物名、使用金属名、使用薬剤名。 :診療録第2面の部位の記載について、診療録と診療報酬明細書との間に相違が認め られた。 ⑤ 全身疾患に対する服薬状況、コントロール状況について、確認を行いその内容を診療録 に記載すること。 (2) 診療録の記載方法 ① 診療録の記載方法に不適切な例が認められたので改めること。 例:独自の略称の使用、不適切な略称病名の使用、欄外への記載、行間を空けた記載、1 行複数段の記載、鉛筆による記載、判読困難な記載、診療行為の手順と異なる記載、加 筆、二本線で抹消したのではなく、塗りつぶし・修正液・上書きによる訂正(修正前の記 載内容が判読不能)。 :前回と診療内容が同じ場合に「do」の記載をしていた。 ② 複数の保険医が同一の患者を担当する場合は、責任の所在を明確にするため、診療日 ごとに担当した保険医が署名又は記名・押印を行うこと。 ③ パソコン等、OA 機器により作成した診療録の場合は、診療を行った保険医は、必ず診療 録を紙媒体に打ち出した後に記載内容を確認し、署名又は記名・押印を行うこと。 (3) 歯科技工指示書 ① 記載内容・記載方法に不適切な例が認められたので改めること。 例:設計、使用材料(独自の略称)、歯科医師の氏名。 :診療録と歯科技工指示書とにおいて、部位が不一致である。 :日常的に従業員が歯科技工指示書の記載を行っている。 :歯科技工指示書の記載において、設計(歯式・部位等)の記載がなく、歯科技工士に対 し適確な指示が行われていない。 ② 歯科技工指示書の様式について、発行した歯科医師の氏名及び当該歯科医師の勤務 する医療機関の所在地が記載されていない例が認められたので、歯科技工士法施行規則 第 12 条(指示書)に則した様式への改善を図ること。 -1- ③ 歯科技工指示書及び納品書について、保存期限内であるにもかかわらず、確認できない 例が認められたので、適切に整理・保管すること。 (4) その他 ① 診療録の管理・保管については、患者ごとに過去の初診内容等の履歴を速やかに、かつ、 確実に確認できるよう適切な対策を講ずること。 ② 必要に応じて全身所見(状態)を記載する等、安全な歯科医療提供の向上に努めること。 2 基本診療料等 (1) 歯科初診料・歯科再診料 ○ 算定要件を満たしていない歯科初診料を算定していたので改めること。 例:再診相当であるにもかかわらず歯科初診料を算定している。 (歯周病のメンテナンスを行っている患者) (健康診断の結果に基づく診療を行っている患者) (3ヵ月後、6ヵ月後等、定期的な予約の診療が認められる患者) (2) 歯科診療特別対応加算 ○ 歯科診療特別対応加算において、不適切な例が認められたので改めること。 例:患者の状態や治療の中断が必要な状態を診療録に記載していない。 :抑制の有無や体幹保持の必要等、診療日ごとの患者の状態を診療録に記載していな い。 3 医学管理等 ◎ 医学管理について、保険請求の根拠となるべき具体的記述や、必要事項(管理内容等)の 記載が充実していない例が認められたので改めること。また、患者への文書提供が算定要件 となっているものについては、患者への文書提供を行うとともに診療録にその写しを添付する こと。 (1) 歯科疾患管理料 ① 管理計画書の記載方法・記載内容に、不適切な例が認められたので改めること。 例:提供年月日、口腔内の状態、患者又はその家族が記載する歯科疾患と関連性のある 生活習慣等の状況、患者の基本状況(服薬状況)に関する事項の記載がない。 :管理計画書の様式が所定の様式に準じていない。 (患者の同意が適切に得られている旨が不明確) :初回の管理計画書の患者氏名が代筆である。 :患者記入欄の口述筆記を行った場合において、代筆者の氏名の記載がない。また、患 者が記載した内容について、記載誤りがないかの確認がない。 ② 歯科疾患管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:1回目の管理計画書を作成していない。 :2回目以降の継続管理計画書を適切な時期に提供していない。 :管理計画書を患者に提供しない月において、管理内容の要点を診療録に記載してい ない。 :管理計画の内容に変更があった際に管理計画書を提供するなど、個々の症例ごとに 適正に判断していない。 -2- ③ 歯周病に罹患している患者に対しては、歯周病検査を踏まえて歯科疾患管理を実施する ように努めること。 ④ 歯周疾患治療の患者に対する継続的歯科疾患管理について、診療録への要点記載が 極めて乏しく、歯周疾患の改善評価がされていない例が認められたので改めること。 ⑤ 口腔内写真、歯周病検査等の結果を用いた患者への口腔内状況、診療計画等の説明 が、歯科医師により行われていないので改めること。 (2) 歯科衛生実地指導料 ○ 歯科衛生実地指導料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:提供文書の写しを診療録に添付していない。 :指導内容に係る情報を文書により提供していない。 :提供文書の日付と診療録の日付との間に相違がある。 :歯科衛生士による実地指導が15分以上実施されていない。 :提供文書に記載されている指導内容が、個々の患者の状態にあっていない。 (患者の年齢、症状等に応じ、わかりやすい内容で提供すること。) :提供文書にプラークの付着状況結果、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、歯科衛 生士の署名の記載がない。 :歯科医師が歯科衛生士に対して行った指示内容等の要点の診療録への記載がない 又は乏しい。 (3) 診療情報提供料 ① 診療情報提供料(Ⅰ)において、不適切な例が認められたので改めること。 例:単なる紹介を行ったものに対して算定している。 :提供した文書の写しを診療録に添付していない。 :診療録と情報提供文書との写しにおいて、実施日が一致していない。 :診療情報提供料(Ⅰ)について、紹介先の医療機関を特定していない。 :治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報等の記載がない提供文書で算定して いる。 ② 診療報酬明細書において、診療情報提供料(Ⅰ)の紹介先医療機関名を誤って紹介元 医療機関名として摘要欄に記載していたので改めること。 (4) 歯科治療総合医療管理料 ① 診療録に管理内容に関する記載が乏しい例が認められたので改めること。 ② 別の医科の保険医療機関からの診療情報提供料に定める様式に基づく紹介ではないに もかかわらず、算定している例が認められたので改めること。 ③ 別の医科の保険医療機関と連携が図られていないにもかかわらず、算定している例が認 められたので改めること。 (5) 薬剤情報提供料 ○ 薬剤情報提供料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:薬剤情報を文書により提供していない。 :薬剤情報提供文書に用量、効能、効果、相互作用の記載がない。 :処方の内容に変更がないにもかかわらず月2回以上算定している。 (6) 義歯管理料等 ① 新製有床義歯管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 -3- 例:患者への提供文書の写しを診療録に添付していない。 :患者に対し文書により情報提供が行われていない。 :患者への提供文書に欠損の状態・指導内容・保存・清掃方法等の要点に係る記載をし ていない。 ② 有床義歯管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:義歯に係る指導内容の要点、調整方法、調整部位を診療録に記載していない。 :有床義歯を新製した月に、新製有床義歯管理料と有床義歯管理料を算定している。 ③ 有床義歯調整管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:調整方法及び調整部位を診療録に記載していない。 :同一月において、有床義歯管理料の算定がないにもかかわらず算定している。 ④ 有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製、床裏装を予定している患者に対 して有床義歯管理料・咬合機能回復困難加算を算定している例が認められたので改める こと。 4 在宅医療 ◎ 歯科訪問診療を行うに当たっては、「歯科訪問診療における基本的考え方(平成16年日本 歯科医学会)」を参考に適切に行うこと。 (1) 歯科訪問診療料 ① 診療録の記載について、不適切な例が認められたので改めること。 例:実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訪問先名、患者の状態等を診療録に記載していな い。 :患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定めていない。 :診療内容にかかわらず実施時間が画一的である。 :診療録記載の実施時刻(開始時刻と終了時刻)と、診療報酬明細書の摘要欄の実施時 刻(開始時刻と終了時刻)との記載において相違が認められた。 ② 同一建物で複数の患者に対して訪問診療を行った場合に、歯科訪問診療料1を算定して いる例が認められたので改めること。 ③ 単なる日常的口腔清掃のケアを行った例について、歯科訪問診療料を算定することは相 応しくないので改めること。 ④ 歯科診療特別対応加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載していない例 が認められたので、個々の患者の状態について適切な記載を行うこと。 ⑤ 算定要件を満たしていない歯科訪問診療に係る地域医療連携体制加算を算定していた ので改めること。 ⑥ 在宅患者等急性歯科疾患対応加算を算定する際は、同一建物居住者数を確認し、的確 に請求すること。 (2) 訪問歯科衛生指導料 ○ 訪問歯科衛生指導料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯科医師が歯科衛生士に指示した内容の診療録への記載が不十分である。 :指導内容等について、その都度患者に対し文書提供していない。 :実施時刻について、開始時刻と終了時刻が画一的である。 :指導内容が単なる日常的口腔清掃等のケアである。 -4- (例:きれいに清掃しました・歯石除去しました) (3) 歯科疾患在宅療養管理料 ○ 歯科疾患在宅療養管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:管理計画書を患者に提供した日と算定日とが異なっている。 :2回目以降の文書提供を行っていない月に係る、個々の患者の管理内容の要点の診 療録記載が不十分である。 :口腔機能管理加算を算定しているにもかかわらず、患者の状態を適切に評価した結果 を踏まえての管理計画書を作成していない。 5 検査 ◎ 検査の実施に当たっては、その検査結果を診療録へ記載又は検査結果が分かる記録を診 療録に添付すること。また、個々の患者の状態に応じて必要な項目を選択し、段階を踏んで 必要最小限の回数で実施し、結果は適宜評価し治療に反映させ、治癒の判断及び治療計 画の修正等を的確に行うこと。 (1) 歯周病検査 ① 歯周病検査の実施については、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成 19 年 11 月日 本歯科医学会)を参考とし、適切に実施するよう改めること。 ② 歯周病検査において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯周病検査結果の記載内容の修正が二線抹消により行われていない。 :1 回目の歯周病検査後の診療録記載の内容が画一的である。 :2回目以降の歯周病検査を行った場合において、その結果を分析し、その時点での歯 周病に対する治療計画の立案又は修正を行っていない。 :歯の動揺度検査、歯周ポケット測定が未実施である。 :歯の動揺度検査、プロービング時の出血の有無の記載がない。 :臨床所見、画像診断所見等から判断して、検査結果の妥当性を欠いている。 :歯周精密検査について、プラークチャートを用いていない。 ③ 混合歯列期患者の歯周病検査種別の選択にあっては、状態・歯牙年齢等を勘案し、十分 に必要性を考慮した上で実施すること。 (2) 口腔内写真検査 ① 口腔内写真検査の撮影方法について、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成 19 年 11 月日本歯科医学会)の「口腔内カラー写真」を参考とすること。 ② 口腔内写真検査について、不適切な例が認められたので改めること。 例:口腔内カラー写真が画一的(全額三枚)に撮影されている。 :歯科医師による診査・診断が行われる前に、従業員が撮影している。 :2回目以降の口腔内写真が、前回の検査結果と比較検討されていない。 :口腔内写真の目的、意義等が考慮されず、定期的に口腔内写真を撮影している。 :初診時等に画一的に実施され、歯周病の状態、プラークコントロールの状態等による検 査の必要性が十分考慮されていない。 (3) 平行測定 ○ 平行測定において、不適切な例が認められたので改めること。 -5- 例:支台歯とポンティックの数の合計が6歯以上の場合について、模型の製作がない又は サベイヤー等の使用がない。 :模型を保存していない、又は破損している。 (4) 顎運動関連検査 ○ 顎運動関連検査において、不適切な例が認められたので改めること。 例:チェックバイト検査について、検査結果が診療録に適切に記載されていない。 :少数歯欠損症例のチェックバイト検査の実施に当たって、咬合不安定な状態等を記載 していない。 :ゴシックアーチ描記検査の測定結果について、転写する等の手段により診療録に記載 されていない。 (5) その他 ○ 抜髄後に実施された細菌簡易培養検査の請求が認められたので改めること。 6 画像診断 ◎ 画像診断において、診療録への所見の記載を充実させること。また、歯科エックス線写真は 適切に整理・保管すること。 ① 画像診断の取扱いにおいて、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯科エックス線写真において、現像処理が不適切である。 :治療開始に当たり、必要と思われる歯科エックス線写真が撮影されていない。 :歯科用エックス線フィルムの保存において、撮影年月日や部位等の記載がない。 ② 画像診断において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯科エックス線撮影について、治療に必要な部位が撮影されていない。 (治療に必要な部位が撮影されていない場合は、再度撮影を行うこと。) :歯科エックス線撮影について、診療録への所見の記載がない又は不十分である。 :1歯の根管充填後の確認の画像診断に歯科パノラマ断層撮影が行われている。 :歯科パノラマ断層撮影において、傷病名部位から判断して撮影目的が不明確である。 :一連の症状を確認するため、同一部位に対して行った歯科パノラマ断層撮影と歯科エ ックス線撮影に係る写真診断をそれぞれの所定点数で算定している。 :歯科用 3 次元エックス線断層撮影を行った際に、その所見を診療録に具体的に記載し ていない。 7 投薬等 ◎ 投薬に当たっては、療養担当規則第21条(特に第2号)を遵守すること。薬剤を使用するに 当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、薬事法承認事項(効能・効果、用法・用量) を遵守すること。また、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認してから投薬すること。 ① 鎮痛剤を1日3回投与する場合の必要性について、診療録への記載が不十分な例が認 められたので改めること。また、頓用で鎮痛剤を投与する場合には、その投与回数について 留意すること。 ② 患者の症状によらず画一的な処方が認められたので改めること。 ③ 傷病名もなく、患者の希望でうがい液を投与している例が認められたので改めること。 ④ 病名から判断し必要性のない薬剤の投与が認められたので改めること。 -6- (急性歯髄炎に対する抗菌剤の投与) ⑤ 歯科適応外で必要性の乏しい薬剤の投与が認められたので改めること。 (胃腸薬の投与) ⑥ 高齢者に対する消炎鎮痛剤(坐薬)の投与は、特に慎重に行うこと。また、他の鎮痛剤との 併用にも細心の注意を払うこと。 ⑦ 高齢者に広範囲経口抗菌製剤を投与する場合は、投与量及び投与間隔に留意し、慎重 に投与すること。 ⑧ 佐薬、含嗽剤、ステロイドの投与については、個々の症例ごとに適正にその必要性を判断 すること。 (症状や経過記載等にも合わせて努めること。) ⑨ 抗生剤については、添付文書で用量、用法を確認すること。 ⑩ 薬価の計算誤りが認められたので改めること。 ⑪ 一般的名称での処方せん交付に際しては、一般的名称で処方が行われたことが分かるよ う何らかの記録を残すこと。 8 歯周治療 ◎ 「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月 日本歯科医学会)を参照し、歯科 医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。 (1) 診断等 ① 歯周病に係る症状、所見、治療計画等の診療記録を充実させ、歯周治療を行った際には 局所所見や臨床経過を明確に記載すること。 ② 歯周病に係る一口腔単位での治療方針や治療・安定状態の判断が不明確であるので明 確にすること。 ③ 歯周病の急性症状での薬剤の投与、また、歯周病の急性症状発症時に症状の緩解を目 的として歯周ポケット内への薬剤の注入と同日に歯周病検査を実施している例が認められ たので、急性症状の緩解を待って行うこと。 ④ 画一的に歯周精密検査が実施されているので、歯周疾患の状態、治療の内容等によっ て、検査の必要性を十分に考慮した上で、歯周基本検査、歯周精密検査の選択を行うこ と。 ⑤ 全身疾患を理由にする場合であって、歯周安定期治療を3月以内の間隔で実施する 場合にあっては、全身状態等の記載及び主治の医師からの文書を添付すること。 (2) 歯周治療 ① 歯周基本治療や歯周病検査実施の間隔については、個々の症例ごとに適切に判断し行 うこと。 ② 歯周疾患患者に対する歯冠修復及び欠損補綴に際しては、歯周基本治療後の必要に 応じて実施した検査において、歯周組織の安定等を適切に判断し実施すること。 ③ 歯周基本治療後に確認の歯周病検査を行わず、歯冠修復、ブリッジ、有床義歯等の補綴 治療に着手した例が認められたので改めること。(2回目以降の歯周病検査により治癒の判 断、治療計画の修正、歯周組織の比較検討を行うこと。) ④ 歯周基本治療と並行して、ブリッジ及び有床義歯に着手した例が認められたので改めるこ と。また、やむを得ず必要があって補綴治療を並行させる場合は、その根拠も診療録に記 載し、歯科医学的に適切に行うこと。 -7- ⑤ 歯周病検査を行わずに歯周基本治療を実施した例が認められたので改めること。 ⑥ 口腔内消炎手術を行い、急性症状の緩解が図られていない時期に歯周精密検査を実施 している例が認められたので改めること。 ⑦ 歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後又は治癒後に行うこと を原則とすること。 ⑧ 歯周疾患処置において、薬事法の承認事項からみて算定できない特定薬剤を算定して いる例が認められたので改めること。 ⑨ 検査結果、臨床所見等から判断して、必要性が認められないスケーリング・ルートプレー ニングを算定しているので改めること。 ⑩ スケーリング・ルートプレーニングを行った際には再評価を行い、その後の治療計画を立 案、修正すること。また、補綴治療直後にスケーリング・ルートプレーニングなどの歯周処置 を行っているので、歯科医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。 ⑪ 継続的に歯周治療を行っている症例において、病状が安定している症例は歯周病安定 期治療(SPT)への移行を考慮すること。 ⑫ 急性症状時の対症療法である歯周ポケット内への薬剤注入を行った後に、歯周病の原因 の除去のために必要な歯周基本治療を行っていない例が認められたので改めること。 ⑬ 再診相当であるにもかかわらず初診とし、同一部位における 2 回目以降の歯周基本治療 (スケーリング)を所定点数の100分の50に減算せずに算定している例が認められたので改 めること。 (3) 歯周外科手術 ① 歯周外科手術における症状・所見、手術内容、予後の診療録記載が不十分であるので記 載の充実を図ること。 ② 歯周外科手術を行うに当たり、口腔清掃状態の管理、局所の予後の管理、骨再生の確認 等、速やかな治癒に導くよう管理も継続的に行うこと。 ③ 歯周外科手術について、2年前の検査に基づいて手術を行っている例及び手術後の再 評価がなく短期間で歯冠形成を行っている例が認められたので改めること。 ④ 歯周外科手術を行う際は、手術所見、予後等の診療録への記載の充実を図るとともに、 補綴治療に移行する場合は、治癒に対する相応の期間を考慮すること。 9 処置等 ◎ 処置に当たっては、その妥当性や必要性を十分に考慮した上で妥当適切な診療を行うこ と。 (1) う蝕処置 ○ う蝕処置において、不適切な例が認められたので改めること。 例:長期に渡り漫然とう蝕処置を繰り返し実施した後に抜髄を実施している。 :同一歯に対して繰り返し実施され、必要性かつ歯科医学的に妥当性が認められない。 (2) 咬合調整 ○ 咬合調整において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯内療法、抜歯手術に伴う安静のための削合について算定している。 :咬合性外傷に係る病状や咬合調整の内容について、診療録への記載が不十分であ る。 -8- :歯冠形態修正における歯冠形態の修正理由、歯冠形態の修正箇所について、診療録 に記載していない。 (3) 歯髄保護処置 ① 間接歯髄保護処置を行った後、短期間で当該歯に直接歯髄保護処置を実施している例 が認められたので、的確な診断に基づき歯科医学的に妥当適切な診療を行うこと。 ② 臨床症状及び歯科エックス線検査の結果から判断して、不適切な歯髄保護処置が認めら れたので改めること。 (4) 歯内療法 ① 感染根管処置において、不適切な例が認められたので改めること。 例:実際の根管数に基づいていない。 :感染根管処置を行った後に放置し、治療が継続されていない。 :必要性に乏しいと思われる抜歯前提の感染根管処置を算定している。 :抜歯を前提とした急性症状の消退のための根管貼薬処置を、単根管以外の根管貼薬 処置の所定点数で複数回算定している。 ② 加圧根管充填加算において、不適切な例が認められたので改めること。 例:実際の根管数に基づいていない。 :気密な根管充填が行われていない。 :歯科エックス線撮影による根管充填の状態の確認が行われていない。 (5) 暫間固定・暫間固定装置修理 ① 暫間固定において、不適切な例が認められたので改めること。 例:テンポラリークラウンを暫間固定として算定している。 :検査結果から判断して、必要性の認められない暫間固定が行われている。 :ブリッジのリテイナーを制作するために印象採得、咬合採得を行っているにもかかわら ず、暫間固定を算定している。 :エナメルボンドシステムまたはワイヤーとエナメルボンドシステムによる暫間固定を行っ た症例において、装着に係る費用を算定している。 ② 暫間固定装置修理において、不適切な例が認められたので改めること。 例:暫間固定装置修理に当たり、暫間固定装置の除去の費用を算定している。 (6) 歯冠修復物又は補綴物の除去 ○ 歯冠修復物又は補綴物の除去において、不適切な例が認められたので改めること。 例:根管内ポストを有する鋳造体の除去について、算定要件を満たしていない。 :支台築造(その他)の除去の算定が誤っている。 :インレーの装着されていない歯の抜随に際し、インレー除去を算定している。 (7) 有床義歯床下粘膜調整処置 ○ 有床義歯床下粘膜調整処置において、不適切な例が認められたので改めること。 例:必要性に乏しい。 :有床義歯製作に着手した後に算定している。 :症状、所見、実施内容等の診療録への記載がない。 :抜歯窩の保護等にティッシュコンディショナーを使用したものについて算定している。 (8) その他 -9- ① 顎関節症の治療にあっては、歯科疾患管理にもその状態や治療方針等を反映させ、症 状やエックス線検査の所見等、診療録の記載の充実に努めること。 ② 顎関節症の治療にマイオモニターを用いた場合に、診療録に顎関節疾患の治療の実施 時刻、治療内容を記載していない例が認められたので、適切な記載を行うこと。 ③ 顎関節症の確定診断が行われていないにもかかわらず、顎関節症に対する咬合挙上副 子製作、床副子調整に係る費用を算定していたので改めること。 ④ 歯ぎしりに対する咬合床を装着した症例について、診療録に症状、所見、治療内容、予後 等の記載がないので適切に記載すること。 ⑤ 歯牙交換期の乳歯治療に当たっては、後継永久歯の萌出時期を的確に判断し治療を進 めること。 ⑥ 機械的歯面清掃処置を歯科衛生士が行った場合には、当該歯科衛生士の氏名を診療録 に記載すること。 10 手術 ◎ 手術における所見、手術内容、予後等の診療録への記載の充実を図ること。 また、手術を 実施する際には、患者に与える侵襲等を考慮し、計画的に行うよう努めること。 (1) 抜歯手術 ○ 抜歯手術において、不適切な例が認められたので改めること。 例:難抜歯の手術内容について、診療録への診断所見の記載が乏しい。 :抜歯手術後に比較的短期間で歯槽骨整形手術を行っている。 (2) 歯根囊胞摘出手術 ○ 歯根囊胞摘出手術において、不適切な例が認められたので改めること。 例:診療録に手術における術式及び所見の記載がない。 :歯根端切除手術と歯根嚢胞摘出手術の併施について、診療録への診断所見の記載 が乏しい。 (3) 口腔内消炎手術 ○ 口腔内消炎手術において、不適切な例が認められたので改めること。 例:同一手術野に対して複数の口腔内消炎手術を算定している。 :手術部位、症状、手術内容の要点について、診療録の記載内容が具体性を欠き不十 分である。 :必要な原因疾患に対する治療を実施せず、漫然と口腔内消炎手術を繰り返し実施して いる。 :辺縁性歯周炎の急性発作に対する消炎手術であるものを「骨膜下膿瘍症、口蓋膿瘍 等」で算定している。 (4) その他 ① 手術内容、術後経過、患者に説明した偶発症、予後等に関する診療録への記載が乏し いので改善を図ること。また、図示等必要に応じ活用を考慮すること。 ② ヘミセクションの手術内容について、診療録への記載をしていない例が認められたので適 切に記載すること。 ③ 同一手術野又は病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合について、複数の手術を 算定している例が認められたので改めること。 - 10 - ④ ⑤ ⑥ ⑦ 新製有床義歯装着後の歯槽骨整形手術が認められたので改めること。 下顎隆起形成術と骨瘤除去手術との峻別を明確にすること。 有床義歯印象後に下顎隆起形成術が行われていたので改めること。 抜歯窩再掻爬手術を行う場合には、抗菌剤の投与など十分な管理を行うこと。 11 麻酔 ◎ 伝達麻酔あるいは浸潤麻酔を行う場合は、効果範囲・臨床症状・年齢等を考慮し、個々の 症例ごとにその必要性を適切に判断し実施すること。 ○ 麻酔において、不適切な例が認められたので改めること。 例:部位、使用量が診療録に記載されていない。 :1歯単位で浸潤麻酔の費用を算定している。 (手術野又は病巣単位として算定すること。) :臼歯部の処置を行う際の伝達麻酔、生活歯の補綴物装着の際の浸潤麻酔に関して、 その必要性を検討すること。 :笑気吸入鎮静法を併用する場合には、その管理の内容を診療録へ記載すること。 12 歯冠修復及び欠損補綴 (1) 補綴時診断料 ○ 補綴時診断料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:概要図等を用いた患者への効果的な情報提供が不十分である。 :歯科初診料を誤って算定したために、同一初診で複数回算定している。 :製作予定部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計の要点を診療録に記載 していない。 (2) クラウン・ブリッジ維持管理料 ○ クラウン・ブリッジ維持管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:提供文書の写しが診療録に添付されていない。 :当該維持管理に係る情報を、患者に対し文書により提供していない。 :患者への提供文書について、保険医療機関名、開設者名、補綴部位を記載していな い。 :維持管理期間中に、同部の歯冠補綴物の再製作を行った場合の歯科用合着・接着材 料の費用を算定している。 :維持管理期間中であって、保険点数が算定できない場合の再製作及び装着等の経 過を診療録へ記載していない。 (3) 歯冠修復 ① 光 CR 充填を実施した場合は、充填歯面の部位について記載すること。 ② 歯冠修復物装着後、短期間で抜歯に至る例が認められたので原因を追及し、歯冠修復 を行った場合には歯冠修復物の維持管理に努めること。 ③ 歯冠修復及び欠損補綴と並行しての副子調整は不適切なので改めること。 ④ 実際とは異なる診療日に装着したとして、診療録に誤って記載し請求している例が認め られたので改めること。 - 11 - ⑤ 前歯に限り認められているレジン前装金属冠を大臼歯に装着し、誤って歯冠修復に係る 費用を算定している例が認められたので改めること。 (4) 欠損補綴 ◎ 「ブリッジについての考え方 2007」(平成 19 年 11 月 日本歯科医学会)に基づきブリッジ の設計を行うこと。 【1】 ブリッジ ① 欠損補綴の実施については、一口腔単位で歯周疾患や隣在歯の状況等を判断し、治 療計画を立案すること。 ② 対合歯の状態等から判断して必要性の乏しい延長ブリッジが認められたので、延長ブリ ッジは原則認められないことに留意すること。 ③ 分割抜歯した際のブリッジの適応については、的確に判断すること。 ④ 第二大臼歯への延長ブリッジにおいて、第二大臼歯のポンティックを大臼歯としている例 が認められたので改めること。 ⑤ 保険給付の対象とならない2歯欠損の接着性ブリッジを誤って作製・装着したにもかかわ らず、接着性ブリッジに係る一連の費用を算定している例が認められたので改めること。 【2】 有床義歯 ① 有床義歯について、不適切な例が認められたので改めること。 例:補強線を屈曲バーとして算定している。 :フックを鋳造鉤として算定している。 :レストのない線鉤をレストつきで算定している。 :1~4歯の有床義歯を5~8歯の有床義歯で算定している。 ② 有床義歯の印象採得後に、歯槽骨の状態を検査するために歯科パノラマ断層撮影を行 っている例が認められたので、的確な診断をもとに保険診療を行うこと。 ③ 1装置に2回の印象採得・咬合採得を算定している例が認められたので改めること。 ④ 有床義歯の咬合採得を誤った点数で算定している例が認められたので改めること。 ⑤ 算定要件を満たさない特殊印象が認められたので改めること。 ⑥ 下顎有床義歯において、全ての残存歯に二腕鉤が設計されている例が見られた。鉤の 数等、臨床的必要性を十分考慮して設計すること。 ⑦ 有床義歯装着直後に鉤歯を抜歯した例が認められたので、的確な診断をもとに診療を 実施すること。 ⑧ 有床義歯について、義歯破折症例が多数認められることから、設計上の要因又は床の 使用材料等、破折の原因を検討し臨床に反映すること。 ⑨ 人工歯について、硬質レジン歯・片側を両側で誤って算定している例が認められたので 改めること。 (5) 修理 ① 有床義歯の修理を行う際には、破折部位、修理内容、状態等の診療録への記載の充実 に努めること。 ② 新たに製作した有床義歯の装着後、極めて短期間に人工歯が脱離したものについて、 有床義歯修理を算定している例が認められたので、適切な補綴時診断、治療を実施する こと。 (6) 歯科技工加算 - 12 - ○ 診療録に預かり日、修理を担当する歯科技工士名及び修理内容の記載がなく、算定要 件を満たしていない例が認められたので適切に記載すること。 (7) その他 ① 残根上の義歯を製作するに当たっては、歯内療法,根面被覆処置等を実施し、治療計 画を立案すること。 ② 単にワーファリン服用のみで、歯内療法及び根面被覆処置等を実施することなく残根上 の義歯を製作している例が認められたので、医科の担当医に照会を行うなど適切な診療を 実施すること。 ③ 抜歯禁忌症以外の場合で、残根歯に対して歯内療法、根面被覆処置が完了したものに ついて、必要があって義歯を製作した場合は、その費用が算定できることに留意すること。 ④ 歯科技工指示書の内容について、使用材料名を的確に記載すること。 ⑤ 歯科技工物が納品された際は、技工指示内容と納品内容との確認を適切に行うこと。 ⑥ 有床義歯床下粘膜調整処置にあっては、有床義歯内面適合法や有床義歯の再製が必 要とされる場合の床下粘膜異常に対して行うものであるので留意すること。 13 歯科矯正 ◎ 歯科矯正診断料、顎口腔機能診断料及び歯科矯正管理料の算定要件は、患者に対し文 書により必要な情報を提供することとなっているので留意すること。 (1) 顎口腔機能診断料 ① 患者又はその家族に提供した文書について、必要事項の一部を記載していない例が認 められたので改めること。 ② 治療計画書に記載するヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等の記載が不十分であるの で適切に記載すること。 (2) 歯科矯正管理料 ○ 患者又はその家族に提供した文書について、一部を記載していない例が認められたので 改めること。 14 保険外診療 ◎ 保険診療から保険外診療に移行した場合には、その旨を診療録に記載すること。 ◎ 保険外診療に係る診療録は、保険診療用とは別に作成すること。 ① 保険給付の対象とならない歯科矯正治療に伴う抜歯手術、歯科初診料、歯科再診料、投 薬に係る費用を保険給付の対象としていたので改めること。 ② 保険外診療で製作された有床義歯の修理期間中に、それ以前に使用していた有床義歯 を修理して暫間義歯として使用するための印象採得、咬合採得、有床義歯修理を保険給 付の対象としていたので改めること。 ③ 保険診療として継続した歯周治療と考えられる症例に対して、保険外診療にて治療を行 っている例が認められたので改めること。 ④ 保険診療としては、コーヌスタイプのオーバーデンチャーに係る一連の費用は算定できな いので留意すること。 ⑤ 保険外診療のみで来院した際の基本診療料を保険請求している例が認められたので改 めること - 13 - Ⅱ 請求事務等に関する事項 15 診療報酬請求 ① 診療録と診療報酬明細書との間で(診療内容・部位・病名・所定点数・合計点数)が一致 していない例が認められたので、照合、確認を十分に行うこと。 ② 診療報酬明細書の傷病名部位欄には、当該月の診療に必要なもののみを記載するこ と。 ③ 所定点数を誤って算定していた例が認められたので、診療録の記載及び診療報酬明細 書の作成時には十分に確認すること。 ④ 診療録と歯科技工納品書とが一致していない例が認められたので、歯科技工物と歯科 技工納品書との照合、確認を十分に行うこと。 ⑤ 当該月に実施している処置又は咬合採得に係る点数を、翌月に保険請求している例が 認められたので改めること。 ⑥ 審査支払機関からの返戻・増減点連絡書は、内容を十分に検討し、以後の診療や保険 請求に反映させるとともに、診療部門と事務部門との連携を図り適正な保険請求に努める こと。 ⑦ 支払基金等で減点された事項について、診療録の訂正が行われていない例が認められ たので適切に処理すること。 16 事務的取扱い (1) 届出事項 ○ 届出事項に変更があった場合は、その都度速やかに東北厚生局長へ変更(異動)届を 提出すること。 例:診療日、診療時間、保険医の異動(常勤・非常勤) :保険外併用療養費に係る報告内容の変更 (2) 掲示事項 ○ 保険医療機関の掲示事項に関して、不適切な例が認められたので改めること。 例:届出されている施設基準等に係る事項が掲示されていない。 :辞退又は廃止されている施設基準に係る事項が掲示されている。 :個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の発行の有無に係る院内掲示が行われ ていない。 (3) 領収証・明細書に係る事項 ① 領収証の様式について、標準例で定められている内容を満たしていないので、各項目 について改めること。 ② 領収証、明細書を発行していない例が認められたので、原則全ての患者に発行するこ と。 (4) 一部負担金に係る事項 ○ 一部負担金の取扱いにおいて、不適切な例が認められたので改めること。 例:徴収すべき者から徴収していない。 :一部負担金の徴収額が誤っている。 :患者への返金が適切に行われていない。 - 14 - :管理簿等の作成がなく未収の一部負担金の管理が不十分である。 :日計表に一部負担金を徴収した患者氏名が記載されていない。 :診療録の算定点数を訂正した場合、それに伴う合計点や一部負担金の訂正がされて いない。 (5) その他 ① 被保険者証等のコピーを保有することは個人情報保護の観点から好ましくないので行わ ないよう改めること。 ② 訪問診療において、要介護被保険者等と思われる患者については、被保険者証の提示 を求めて要介護被保険者等であるか否かの確認を行うこと。 ③ 保険診療においては研究の目的をもって各種検査を行うことは認められないので、療養 担当規則を遵守して妥当適切な保険診療・保険請求を行うこと。 ④ 帳簿、伝票等の関係書類については、所定の期間(3年)保存しておくこと。また、歯科 技工指示書や歯科衛生士業務記録の整理保管に留意すること。 - 15 - 平成 25 年度に実施した個別指導において 保険薬局に改善を求めた主な指摘事項 東北厚生局 平成 26 年 12 月 目 次 Ⅰ 調剤と調剤技術料に関する事項 1 処方内容の薬学的確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P1~4 2 処方内容の変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P4~4 3 後発医薬品への変更調剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P4~5 4 分割調剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P5~5 5 処方せんの取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P5~5 6 調剤済の処方せんの取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P5~6 7 調剤録の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P6~6 8 調剤技術料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P6~8 Ⅱ 薬学管理料に関する事項 9 薬剤服用歴の記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P8~9 10 薬学管理料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P9~12 Ⅲ 請求事務等に関する事項 11 調剤報酬請求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P12~12 12 事務的取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P12~13 Ⅰ 調剤と調剤技術料に関する事項 1 処方内容の薬学的確認 ◎ 薬学的に見て処方内容に疑義があるものについて、処方医への疑義照会が行われてい ない例が認められたので、必ず疑義照会を行うこと。また、疑義照会を行った場合は、照会・ 回答内容の要点等について、処方せんの備考欄及び薬剤服用歴の記録等に記載するこ と。 (※掲載した薬剤は平成25年度において指摘した内容であり、掲載時点の平成26年12月 現在、用法が変更している薬剤もありますのでご留意願います。) (1) 薬事法による承認内容と異なる用法・用量で処方されているもの [1] 1日2回投与 ○ 保険適用の用法は1日1回であるが、1日2回の指示のまま投薬されていた。 ・ジプレキサ錠5mg、パキシル錠20mg、パロキセチン錠 (精神神経用剤) ・メインテート錠 (不整脈用剤) ・ラシックス錠 (利尿剤) ・アテレック錠10mg、アバプロ錠、イミダプリル塩酸塩錠、イルベタン錠50mg、インヒベ ース錠0.5mg、エースコール錠2mg、オルメテック錠20mg、カルデナリン錠2mg、カル ブロック錠8mg、シラザベース錠、シルニジピン錠、タナトリル錠5mg、チバセン錠、ディ オバン錠40mg、ドキサゾシン錠、ドキサゾン錠1mg、ニューロタン錠、フロセミド錠40mg、 ブロプレス錠4mg、ミカムロ配合錠AP、ミカルディス錠40mg、ラジレス錠、ロサルタンカリ ウム錠、レニベース錠 (血圧降下剤) ・アムロジピン錠2.5mg、アムロジン錠、ジルチアゼム塩酸塩Rカプセル100mg、ノルバ スクOD錠、バイロテンシン錠、ヘルベッサーRカプセル100mg (血管拡張剤) ・クレストール錠、リピトール錠10mg、ローコール錠 (高脂血症用剤) ・タケプロンOD錠15mg (消化性潰痬用剤) ・プルゼニド錠12mg (下剤、浣腸剤) ・デトルシトールカプセル2mg、フリバス錠、ベシケアOD錠5mg (その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬) ・モーラステープL40mg、ロキソニンテープ100mg、ロキソニンパップ100mg (鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤) ・ワンアルファ錠 (ビタミンA及びD剤) ・プラビックス錠 (その他の血液・体液用薬) ・グラクディブ錠50mg (糖尿病用剤) ・アレジオン錠20mg (その他のアレルギー用薬) ・クラビット錠250mg (合成抗菌剤) [2] 1日3回投与 ① 保険適用の用法は1日1回であるが、1日3回の指示のまま投薬されていた。 ・アダラートCR錠20mg (血管拡張剤) ・セレニカR錠200mg (抗てんかん剤) ・ブロプレス錠4mg (血圧降下剤) ② 保険適用の用法は1日1~2回であるが、1日3回の指示のまま投薬されていた。 ・デパケンR錠200mg (抗てんかん剤) ③ 保険適用の用法は1日2回であるが、1日3回の指示のまま投薬されていた。 ・アダラートL錠20mg (血管拡張剤) ・ハイペン錠200mg (解熱鎮痛消炎剤) ・アロチノロール塩酸塩錠10mg「DSP」 (不整脈用剤) [3] 1日4回投与 ○ 保険適用の用法は1日2回であるが、1日4回の指示のまま投薬されていた。 -1- ・ペミラストン点眼液0.1% (眼科用剤) [4] 食前投与 ① 保険適用の用法は食直前であるが、食前に投薬されていた。 ・グルコバイ錠50mg、ベイスン錠0.3mg、ボグリボースOD錠0.3mg (糖尿病用剤)、 クラバモックス小児用配合ドライシロップ (主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用 するもの) ② 保険適用の用法は食直後であるが、食前に投薬されていた。 ・エクセラーゼ配合錠 (健胃消化剤) [5] 食後投与 ① 保険適用の用法は空腹時であるが、食後寝前に投薬されていた。 ・アルロイドG内用液5% 40mL (健胃消化剤) ② 保険適用の用法は食前又は食間であるが、食後に投薬されていた。 ・ツムラ茵蔯蒿湯エキス顆粒(医療用)、ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)7.5g、 ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒(医療用)、ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)2.5g、 ツムラ小建中湯エキス顆粒(医療用)7.5g、ツムラ小青竜湯エキス顆粒(医療用)3g、ツ ムラ大建中湯エキス顆粒(医療用)7.5g、ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)7.5g、 ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)2.5g、ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)2.5g (漢方製剤) ③ 保険適用の用法は食前であるが、食後に投薬されていた。 ・ガナトン錠50mg、ドンペリドン錠10mg、ナウゼリン錠10mg、プリンペラン錠5mg (その他の消化器官用薬) ④ 保険適用の用法は食直後であるが、食後に投薬されていた。 ・イコサペント酸エチルカプセル300mg、エパデールS600、エパラ粒状カプセル600m g (その他の血液・体液用薬) ⑤ 保険適用の用法は朝及び就寝前であるが、朝夕食後に投薬されていた。 ・アシノン錠75mg、プロマックD錠75mg (消化性潰瘍用剤)、アレロック錠5mg (その 他のアレルギー用薬) ⑥ 保険適用の用法は就寝前であるが、朝食後に投薬されていた。 ・ザイザル錠5mg、シングレア錠10mg (その他のアレルギー用薬) ⑦ 保険適用の用法は就寝前であるが、夕食後に投薬されていた。 ・ガスターD錠20mg、ファモチジンD錠20mg (消化性潰瘍用剤) ⑧ 保険適用の用法は起床時であるが、朝食後に投薬されていた。 ・ボノテオ錠50mg (他に分類されない代謝性医薬品) ⑨ 保険適用の用法は朝食後であるが、夕食後に投薬されていた。 ・レザルタス配合錠 (血圧降下剤) (2) 薬剤の処方内容により禁忌例への使用が疑われるもの ① 緑内障が疑われる患者に対するマイスリー錠の投与 ② 胃潰瘍が疑われる患者に対するオキミナス錠60mgの投与 ③ クラリスロマイシン錠200mgとジヒデルゴット錠1mgの併用投与 (3) 薬事法による承認内容と異なる効能効果(適応症)での処方が疑われるもの ○ 統合失調症が疑われる不眠症患者に対するマイスリー錠10mgの投与 (4) 投与期間の上限が設けられているが、その上限を超えて投薬されているもの ① ネリプロクト軟膏の1週を超える投与 ② ゾルピデム酒石酸塩錠、デュロテップMTパッチ、マイスリー錠10mg2錠、モルヒネ塩酸 塩錠、レンドルミンD錠、ワイパックス錠の30日を超える投与 ③ オメプラール錠、タケプロンOD錠、パリエット錠、ラベプラゾールNa塩錠、ランソプラゾ ールOD錠の6週又は8週を超える投与(胃・十二指腸・吻合部潰瘍・逆流性食道炎の場 合) -2- ④ 維持療法に伴わないタケプロンカプセル30mgの8週を超える投与 ⑤ キネダック錠、ケタスカプセル、サアミオン錠、セロクラール錠の12週を超える投与 (5) 重複投与・不必要と思われる多剤併用 ① アボビスカプセルとガスモチン錠 ② アレグラ錠とクラリチンレディタブ錠 ③ SG配合顆粒2gとセレコックス錠100mg2錠 (1日2回朝夕食後の投与) ④ オルメテック錠20mgとブロプレス錠12 ⑤ オロパタジン塩酸塩OD錠5mgとケトテンカプセル1mg ⑥ ガスターD錠20mgとタケプロンカプセル30 ⑦ カルデナリン錠1mgとデタントール錠0.5mg ⑧ クラビット錠500mgとミノマイシンカプセル100mg ⑨ コディオ配合錠EXとラシックス錠10mg ⑩ サイトテック錠200μg3錠とガスターD錠20mg2錠及びパリエット錠10mg1錠 ⑪ シングレア錠10mgとセチリジン塩酸塩錠10mg及びアレルオフ錠20 ⑫ セルベックス細粒とセルベックスカプセル ⑬ 同一部位(腰部、頚部、両肩)に対し、ボルタレンゲル1%150g、アドフィードパップ80m g及びヤクバンテープ40mgと3種類の外用薬を処方 ⑭ トラムセット配合錠とロキソプロフェン錠 ⑮ トラムセット配合錠とロルカム錠 ⑯ ナウゼリンOD錠10mg3錠とプリンペラン錠5mg3錠 (1日3回食後の投与) ⑰ ネキシウムカプセル20mg1カプセルとアシノン錠150mg1錠 ⑱ ノルバスク錠5mg1錠とアダラートCR錠20mg1錠のCa拮抗薬の併用投与 ⑲ PL配合顆粒3g、ポンタールカプセル250mg、ブルフェン錠100mg及びロキソニン錠6 0mgを1日3回食後の併用投与 ⑳ フルイトラン錠1mgとラシックス錠20mg ㉑ プロブレス錠とディオバン錠 ㉒ メコバマイド錠とシグマビタン配合カプセルB25 (6) 倍量処方が疑われるもの ① エバミール錠1mg (1日2錠) ② ハルシオン錠0.25mg (1日2錠) ③ マイスリー錠5mg (1日2錠) ④ メイラックス錠2mg (1日2錠) ⑤ ユーロジン2mg錠 (1日2錠) ⑥ レンドルミンD錠0.25mg (1日2錠) (7) 過量投与されているもの、または疑われるもの ① ルナベル配合錠 (63日分) ② ロヒプノール錠2 (1日1回2錠) ③ ベリチーム配合顆粒の1回3g (1日3回) ④ 高齢者にアモバン錠10mg (1日1回2錠) ⑤ プルゼニド錠12mg (1日1回5錠就寝前) ⑥ 高齢者にサイレース錠1mg (1日1回2錠) ⑦ 高齢者にロヒプノール錠1mg (1日1回2錠) ⑧ ヤクバンテープ40mg (21日分で112枚処方) ⑨ トラマゾリン点鼻液0.118%「AFP」100mL《1日2回 点鼻》 (毎月処方) ⑩ ユリノーム錠50mg 1日1回1錠朝食後(3日おきに) (14日分の処方) (他の内服薬が全て28日分) ⑪ ボルタレンサポ25mg 40個、ボルタレンサポ50mg 40個、ボルタレンSRカプセル37. 5mg 2カプセルの外用・内服薬を3種類同日に処方 -3- ⑫ モーラステープ20mg 7cm×10cm 56枚とモーラステープL40mg 10cm×14cm 280枚 (いずれも1日1回左肩に貼付)を2医療機関より処方 (8) 相互作用(併用注意)があるもの ① クレメジン細粒分包2gと他剤の同時服用 ② ディオバン錠とグルコサンK細粒 (9) 月余に渡る投与 ○ シナール配合顆粒、ハイシー顆粒、パントシン錠、ビタノイリンカプセル、メチコバール錠、 ラコールNF配合経腸用液1000mL (10) 頓服薬について過剰な回数の投与があるため、服薬状況を確認すること (毎日定期的に服用しているようであれば内服薬とするよう処方医と相談すべき) ① マイスリー錠5mgを2月14日に28回分と3月14日に28回分投与 ② リスミー錠1mgを12月5日に35回分と1月9日に42回分投与 ③ レンドルミンD錠0.25mgを2月14日に30回分と3月14日に30回分投与 (11) 2以上の規格単位がある医薬品の場合に、適切な規格品が処方されていないもの ① アダラートCR錠20mg 2錠 1日1回 ② エビリファイ錠6mg 4錠 1日1回 ③ オキシコンチン錠5mg 4錠 1日2回 ④ オルメテック錠20mg 2錠 1日1回 ⑤ カルデナリン錠2mg 4錠 1日2回 ⑥ グラクティブ錠50mg 2錠 1日1回 ⑦ サインバルタカプセル20mg 3カプセル 1日1回 ⑧ ジャヌビア錠50mg 2錠 1日1回 ⑨ セロクエル100mg錠 6錠 1日1回 ⑩ テオフィリン錠100mg「TYK」 4錠 1日2回 ⑪ デパケン錠100mg 8錠 1日2回 ⑫ トレドミン錠25mg 4錠 1日2回 ⑬ ノルバスク錠5mg 2錠 1日1回 ⑭ ピドキサール錠10mg 4錠 1日2回 ⑮ プレタールOD錠50mg 4錠 1日2回 ⑯ ミカルディス錠40mg 2錠 1日1回 ⑰ ムコダイン錠250mg 6錠 1日3回 ⑱ メマリー錠10mg 2錠 1日1回 ⑲ リスパダール錠1mg 9錠 1日3回 ⑳ リリカカプセル75mg 4カプセル 1日2回 (12) 薬学的に問題があると思われる調剤方法により行われている例が認められたので、有効性、 安全性を確認の上、適切な調剤に努めること。 ○ メチコバール錠の粉砕 2 処方内容の変更 ○ 処方内容を変更している場合に、次のような不適切な例が認められたので改めること。 例:処方内容を変更して調剤を行う場合に、処方医の同意を得ていない。 (別剤形、含量規格の異なる後発医薬品への変更を除く) :薬剤の規格単位の変更について、処方医の同意を得て処方内容を変更して調剤した場 合に、その変更内容が処方せんの備考欄等に記載されていない。 3 後発医薬品への変更調剤 ○ 後発医薬品への変更調剤に、次のような不適切な例が認められたので改めること。 例:一般名処方に係る処方せんを受け付けた場合であって、当該処方に係る後発医薬品を -4- 支給可能又は備蓄しているにもかかわらず、先発医薬品を調剤している。 :後発医薬品への変更を認めている処方せんにおいて、患者に対して後発医薬品に関す る説明を適切に行っていない。 4 分割調剤 ○ 分割調剤の取扱いに、次のような不備のある例が認められたので改めること。 例:分割調剤した総量が処方せんの備考欄に記載されていない。 :処方せん及び調剤録が分割調剤のルールに従って処理されていない。 5 処方せんの取扱い ◎ 処方せんの処方欄の記載が不備なまま調剤している例が認められたので改めること。処方 せんの受付に当たっては不備な点がないことを確認し、不備な点がある場合は必要な疑義 照会を行うこと。 (1) 用法、用量の指示等の記載が不完全であるもの 例:内服薬と頓服薬の区別が不明瞭。 :注射薬の具体的な用法・用量の記載がない。 :「医師の指示通り」「医師指示」「用法口授」のみと記載している。 :2以上の規格単位がある医薬品の場合に、規格単位等が示されていない。 (2) 外用薬の適応部位・用法の記載がないもの又は記載が不適切なもの 例:軟膏の塗布部位の記載がない。 (3) 記載事項に不備があるもの 例:以下余白の記載がない。 :処方医の押印が不鮮明。 :医薬品を略称により記載している。(約束処方の疑い) :後発医薬品への変更不可署名欄の記載が不完全。 :使用期間の訂正を、処方医の印と異なる印で訂正している。 :「保険医氏名㊞」欄が姓のみのサインで、保険医の処方であるかの確認が不十分。 (4) 保険薬剤師が、FAXによって電送されたもののみで調剤し原本確認を行っていないもの (5) 同一保険医療機関の複数の処方医からの処方について、長期間に渡り処方数量に少量 の差異が見られる例があるので、残薬状況の確認を含め処方医へ連絡・確認を行うこと。 6 調剤済の処方せんの取扱い (1) 調剤済となった場合(又は調剤済とならなかった場合)に、処方せんに記載すべき事項の 一部の記載が不適切である例が認められたので改めること。 例:調剤済年月日がFAXの受付年月日になっている。 :「調剤済年月日」欄への記載及び「保険薬剤師の署名又は記名・押印」について、所定 欄に記載されていない。 :「調剤済年月日」欄への記載及び「保険薬剤師の署名又は記名・押印」について、保険 薬剤師が適切に行っていない。 :保険薬剤師の署名又は記名・押印について、一部欠落し不鮮明である。 :保険薬剤師の署名又は記名・押印について、調剤した薬剤師以外の分も押印されてい る。 :保険薬剤師の署名又は記名・押印について、同一人が複数の印を使用している。 :保険薬剤師の署名又は記名・押印について、2名の保険薬剤師の記載があり、最終的 責任者の確認ができない。 :処方せんに不必要な記載が行われている。 (入力者の表示、鉛筆書きの記載、「調剤済」のゴム印表示、後発医薬品の名称、一部 負担金額及び備考欄へのメモ書き) -5- (2) 処方医への疑義照会について、回答内容等の記載が不適切である例が認められたので 改めること。 例:記載内容が不明瞭。 :回答内容を鉛筆で記載している。 :誰が誰にいつ照会したか不明瞭。 :照会時間が記載されていない。 :要点を備考欄に記載していない。 :要点を薬剤師本人が記載していない。 :照会した薬剤師名を記載していない。 (3) コピーした処方せんに調剤済みの記載を行い保管している例が認められたので改めるこ と。 (4) 調剤済み処方せんと、裏面に貼付している調剤録の調剤済年月日に異なる例が認められ た。調剤済み処方せんの裏面を調剤録として活用する場合は、十分に確認すること。 (5) 処方せんが複数枚に渡る時は、全ての処方せんについて調剤済みとなった旨の処理を行 うこと。 7 調剤録の取扱い (1) 調剤録に必要な事項を記載していない例があるため、処方せんと一体管理するなどの方 法により作成を行うこと。 例:請求点数の記載漏れ。 :薬剤名・分量を記載していない。 :調剤した薬剤師の氏名を記載していない。 :後発医薬品に変更した場合の内容(薬剤名)を記載していない。 (2) 調剤録の作成を確認できない例があるので適切に管理を行うこと。 (3) 調剤録に不必要な記載・貼付が行われている。(鉛筆等での記載・事務員の押印) (4) 調剤した薬剤師の氏名が複数の薬剤師の姓のみの(連名)で記載されており、最終的な責 任を負う薬剤師が特定できない例が認められたので改めること。 (5) 調剤録の訂正について、不適切な例が認められたので改めること。 例:誤って記載した場合、二本線等で抹消されていない。 :即時に訂正せず時間をおいて訂正していたため、訂正事項が漏れている。 :請求点数が訂正となっているにもかかわらず、訂正前の請求点数が記載されたままとな っている。 (6) 調剤録の保存・管理について、電磁的な保存を行っている場合、不適切な例が認められ たので改めること。 例:運用管理規程の内容が不十分。 :アクセス権限が適切に設定されていない。 :真正性について、故意又は過失による虚偽入力,書換え,消去及び混同を防止するため の措置が不十分。 :保存性について、記録された情報が法令等で定められた期間に渡って真正性を保ち、 適切に保管され取り扱われるような対策を講じていない。 8 調剤技術料 ◎ 調剤技術料の請求については、算定要件を十分に理解し適切に請求すること。 (1) 基準調剤加算 ① 保険薬剤師に在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な研修等を受講させていないので 改めること。 ② 薬学的管理指導計画書の様式を備えていないので改めること。 ③ 調剤従事者等の資質向上を図るための研修実施計画書及び研修実施記録が作成さ -6- (2) (3) (4) (5) れていないので改めること。 ④ 連絡先・電話番号等を記載した文書を、原則として初回の処方せん受付時に、患者又 はその家族等に交付していないので改めること。 ⑤ インターネットを通じて常に最新の医薬品緊急安全性情報等の収集を行い、保険薬剤 師に周知を行っていないので改めること。 ⑥ 自局に直接連絡が取れる連絡先電話番号を保険薬局の外側の見やすい場所に掲示 していないので改めること。 ⑦ 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であることを保険薬局の内側及び外側の見や すい場所に掲示していないので改めること。 後発医薬品調剤体制加算 ① 施設基準に係る届出をしていないにもかかわらず、後発医薬品調剤体制加算1を加算 して保険請求を行っている例が認められたので改めること。 ② 毎月、直近3か月間に調剤した後発医薬品の規格単位数量の割合を確認する必要が あるが、直近 1 か月の割合で確認している例が認められたので改めること。 ③ 後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を保険薬局の内側及び外側の見やすい 場所に掲示していないので改めること。 ④ 施設基準に係る届出について、区分変更があったにもかかわらず、変更による届出を 行っていない例が認められたので改めること。 調剤料 ① 規格が異なる同一薬剤を異なる用法で処方されている場合の調剤料は、1剤として算 定すること。 例:エビリファイ内用液3mL、エビリファイ内用液6mL :デパス錠0.5mg、デパス錠1mg ② 外用薬で算定すべきものを注射薬で算定している例が認められたので改めること。 ③ 外用薬で1剤として算定すべき同一薬剤を2剤として調剤料を算定している例が認めら れたので改めること。 ④ 隔日投与の患者に誤った調剤料が算定されている例が認められたので改めること。 ⑤ 調剤数量に誤りがあり、調剤料が過少に算定されている例が認められたので改めるこ と。 ⑥ 本来、頓服薬として請求すべきところ、内服薬で誤請求している例が認められたので改 めること。 ⑦ 処方せんは内服の指示であり、毎日定時に服用している睡眠導入剤を頓服で算定し ている例が認められたので改めること。 嚥下困難者用製剤加算 ① 粉砕した薬剤の散剤等が薬価収載されている例が認められたので改めること。 例:ガスターD錠20mg、ガスモチン錠5mg、クラビット錠500mg ② 嚥下障害等がない患者に対して調剤を行っている例が認められたので改めること。 ③ 嚥下困難のため全て粉砕の指示があったにもかかわらず、自家製剤加算を算定してい る例が認められたので改めること。 一包化加算 ① 一包化に当たり、配合変化のある散剤に関しては別包とすること。 ② 一包化加算を算定した場合に自家製剤加算を算定している例が認められたので改め ること。 ③ 複数の診療科からの処方について一包化する場合は、処方医全てに確認した上で調 剤すること。 ④ 計量混合調剤加算を算定すべきところ、一包化加算を算定している例が認められたの で改めること。 ⑤ 治療上の必要性が認められない患者に対して、行われている例が認められたので改め -7- ること。 ⑥ 服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用 固形剤が処方されていないものに、算定している例が認められたので改めること。 ⑦ 薬剤師が一包化の必要性を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合に、医 師からの了解及び一包化の理由を調剤録等に記載していない例が認められたので改め ること。 (6) 時間外、休日、深夜加算、夜間・休日等加算 ① 時間外、休日、深夜加算の算定誤りが認められたので改めること。 ② 夜間・休日等加算について、処方せんの受付時間を当該患者の薬剤服用歴の記録又 は調剤録に記載していない例が認められたので改めること。 ③ 夜間・休日等加算について、届出と異なる開局時間の掲示がされているので改めるこ と。 ④ 夜間・休日等加算について、開局時間、加算の対象日及び受付時間帯を保険薬局の 内側及び外側のわかりやすい場所に掲示していないので改めること。 (7) 自家製剤加算 ① 同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されているものに対して算 定している例が認められたので改めること。 例:オルメテック錠20mg 0.5錠→オルメテック錠10mgの規格あり。 :チラーヂンS錠50μg 0.5錠→チラーヂンS錠25μg規格あり。 ② 調剤録等に製剤工程を記載していない又は記載が不十分である。 ③ 計量混合調剤加算を算定すべきものを自家製剤加算で算定している例が認められた ので改めること。 ④ 嚥下困難者用製剤加算を算定すべきものを自家製剤加算で算定している例が認めら れたので改めること。 (8) 計量混合調剤加算 ① 一包化加算を算定しているにもかかわらず、計量混合調剤加算を算定している例が認 められたので改めること。 ② 自家製剤加算を算定すべきものを計量混合調剤加算で算定している例が認められた ので改めること。 ③ 計量混合調剤加算の算定において、薬学的に問題があると認められる場合は、疑義照 会のうえ、適切に対応し請求すること。 ④ 計量混合調剤加算の算定において、医療上の必要性が認められない精製水を混合し て算定している例が認められたので改めること。 Ⅱ 薬学管理料に関する事項 9 薬剤服用歴の記録 (1) 薬剤服用歴の記録の活用 ① 処方内容の十分なチェックや患者への充実した薬剤服用歴管理・指導を行うために、 薬剤服用歴の記録を、処方せん受付から調剤、鑑査、服薬指導、投薬の各時点におい て利用すること。 例:重複投与を見過ごしたまま投薬している例が認められた。 ② 複数枚の保存に当たっては、散逸防止の意味からも上部等を貼付して保存・管理する こと。 ③ 活用できる指導記録を作成するために、患者の全ての記録が必要に応じて直ちに参 照できるよう、その書式及び作成方法を再検討すること。 (2) 電子薬歴関連 -8- ① 見読性の確保の観点から、必要に応じ書面での表示について随時確認を行うこと。 ② 薬剤服用歴の記録を電子媒体による保存を行う場合は、運用管理規程を定めること。 ③ 真正性について、虚偽入力、書き換え、消去、混同を防止するための対策が十分では ない。 ④ ハイリスク薬指導画面の内容で印刷ができないため、必要に応じて書面に表示できるよ う改めること。 (3) 薬剤服用歴の記録への記録方法・記録内容 ① 薬剤服用歴の記録への記録方法が適切に行われていない例が認められたので改める こと。 例:判読不可能である :付箋等を使用している。 :不必要な鉛筆書きを行っている。 :指導した保険薬剤師の氏名の記載漏れ。 :指導の内容が記号化、略語化されている。 :訂正事項に修正液・修正テープを使用している。 :手帳の確認や疑義照会を行った者について、保険薬剤師以外の者の氏名が記載さ れている。 ② 表紙について、作成年月日を記載していない例が認められたので改めること。 ③ 一包化の根拠等について、内容を把握し記載していない例が認められたので改めるこ と。 ④ 複数の表紙があるので、情報を一つにまとめ整理すること。 ⑤ それぞれの確認項目の収集日・確認日の記載が無く、不明瞭な例が認められたので改 めること。 ⑥ メモ等が多数混在した状態で保存・管理されている例が認められたので改めること。 ⑦ 記録簿に最初から複数の薬剤師名が印刷されている例が認められたので改めること。 ⑧ 経時的記録内容について、いつ、誰が聴取し記録したのかが時系列に記録されていな い例が認められたので改めること。 ⑨ 経時的記録内容について、患者情報と指導内容とチェック項目に齟齬があり、入力後 の確認が不十分である例が認められたので改めること。 ⑩ 患者の初回からの記録を保管していない例が認められたので、最終記入の日から3年 間保存すること。 ⑪ 患者情報等の記録が、診療科ごとに区分され記入されており、患者の総合的な状況の チェックとなっていない例が認められたので改めること。 ⑫ 処方内容に関する照会の要点等の記録が適切に行われていない例が認められたので 改めること。 ⑬ 記録記載までに一定期間経過している例が認められたので、遅滞なく、薬剤服用歴に 必要な事項を記載すること。 ⑭ 継続的な管理・指導を行うに当たり、新たな患者情報の収集があった際には特記事項 として指導記録の表紙に追記すること。また、収集した患者情報のうち重要事項につい ては、指導記録の表紙に特記する等、患者情報の整理・集約を行うこと。 10 薬学管理料 (1) 薬剤服用歴管理指導料 ◎ 薬剤服用歴管理指導料の算定に当たっては、算定要件を認識し、処方せん受付の都度、 患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化及び残薬の状況等を確認し、重大な副作用 を中心にモニターを行うなど、指導内容の充実を図るとともに、薬剤服用歴への指導内容 の要点記載をさらに充実させること。 ① 薬剤服用歴に服薬指導の要点を記載していない又は不十分にもかかわらず、薬剤服 -9- 用歴管理指導料を算定している例が認められたので、適切に取り扱うこと。 例:服薬指導前に当該指導料が算定されている。 :単純な内容が記載されているゴム印を一律に使用している。 :記載内容が画一的であるにもかかわらず、機械的に一律算定されている。(「しっかり 飲み続けましょう」「体調を維持するため薬をきちんと飲むこと」「問題なし」「特に変わり なし」「do 処方です。続けて服用してください。」「これまでどおり服用してください」等) :点眼薬に係る使用方法、保管方法等具体的な内容及び指導内容について、記載が 乏しい。 ② 医薬分業の意義を十分認識し、服薬状況等の情報収集及び患者への指導内容の充 実を図ること。 例:投与されている医薬品の安全性もしくは効果の確認の基礎となる患者の基本的情報 の収集が不十分。 :患者情報の収集が不十分なため、適応症病名が複数ある薬剤について、患者の傷 病名に適さない服薬指導を行っている。 :ワーファリンなどを服用している患者について、ワーファリン手帳等を確認するなど、 情報収集が適切に行われていない。(運転、嗜好品、アルコールの摂取等) :飲食物についても相互作用が認められるもの等について、薬学的観点から聴取・確 認した内容を具体的に記載し指導していくこと。 ③ 指導内容に画一的な例が多く認められた。十分な対話から患者の状況に則した指導 を行うとともに、指導内容に持続性を持たせること。 ④ どのような副作用等に着目して聴取を行ったかなど、薬学的な観点から聴取・確認した 内容を記載し、患者への指導に、より活用できる記録となるよう努めること。 例:収集した患者情報をもとに、分析検討を行った内容が薬学的に不十分である例が認 められた。 :単純な生活指導内容にとどまらず、患者が安全に薬を服用するための適切な指導を 行うよう工夫すること。 :複数の薬剤が処方されている場合は、薬剤の効能(副作用等)に関して、患者に対 し十分に説明を行うこと。 :屯服薬については、1日量の上限等投与される薬剤に係る適切な服薬指導を行い、 指導の要点を記載すること。 ⑤ 残薬の状況について、患者又はその家族等から確認すること。また、残薬が相当程度 認められると判断される場合には、処方医に対して連絡、投与日数等の確認を行うよう 努めること。 例:残薬がある患者に、新たに類似薬処方が出されているものについて、服用方法の説 明がされていない。 :残薬の状況等の情報を収集し、その要点を記録していない。 ⑥ 自己調剤・自家調剤について、不適切である例が認められたので改めること 例:自己調剤を行った場合に、当該指導料を算定している。 :自家調剤(保険薬剤師間)を行った場合に、当該指導料を算定している例は不適 切。 ⑦ 薬剤情報提供文書について、不適切である例が認められたので改めること ・効能,効果、副作用、服用及び保管取扱い上の注意事項が記載されていない又は不 十分である。 例:エパデールS600mg 、ガスモチン錠5mg、ゼローダ錠300 ・薬剤情報提供文書に記載すべき事項が記載されていない。(後発医薬品に関する情 報(在庫の有無))、(情報提供を行った保険薬剤師の氏名)、(保険薬局又は保険薬剤 師の連絡先) ・複数の異なる薬効を有する薬剤について、効能,効果に関して個々の患者の病状に - 10 - 応じた内容となっていない例が認められた。 例:アーチスト錠、アルマイラー錠50、ケタスカプセル、タケプロンOD錠、パルギン錠、 ヒュミラ皮下注40mg、ランソプラゾールOD錠、リウマトレックスカプセル、リザベンカプ セル ・重大な副作用の注意事項が記載されていない。(副作用発現時の対応に関する事項 については、患者が理解しやすいように製薬会社作成の注意喚起の説明書等を積極 的に活用すること。) 例:アイデイト錠、アクトス錠、アセトアミノフェン錠、インヴェガ錠、ザイロリック錠、酸化マ グネシウム錠、セルセプトカプセル250、ピオグリタゾン錠、マグミット錠、ラミクタール 錠25mg、リーマス錠、ロキソニン錠 ⑧ 手帳への記載による情報提供について、不適切である例が認められたので改めること ・投薬された薬剤や患者の年齢に応じた内容になっていない。 ・投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用含む)等の記載がない。 ・服用に際して注意すべき事項が、投薬された薬剤や患者の病態に応じた内容になっ ていない。 ・必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を患者に交付していない。 ・手帳を持参しなかった患者へ交付したシールについて、次回の貼付確認が不十分。 (2) 麻薬管理指導加算 ① 指導の要点を薬剤服用歴の記録に記載していない又は不十分な例が認められたので 改めること。 ② 麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況を確認していない例が認められたので改 めること。 ③ 麻薬による疼痛緩和等の効果や副作用の有無の確認が行われていない又は不十分 である例が認められたので改めること。 ④ 残薬の取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関する指導が適切に行われてい ない例が認められたので改めること。 (3) 重複投薬・相互作用防止加算 ① 一枚の処方せん中の重複投薬等に対して算定している例が認められたので改めるこ と。 ② 薬剤服用歴の記録に基づき、併用薬との重複投薬及び併用薬、飲食物等との相互作 用を防止するために、処方医に対して連絡・確認を行った場合に算定するとなっている が、算定要件を満たしていないものに算定している例が認められたので改めること。 (4) 特定薬剤管理指導加算 ① 特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している例が認めら れたので改めること。 例:アムロジピンOD錠、ケナログ口腔用軟膏0.1%、ファモガスト錠、フェブリク錠、フル イトラン錠 ② 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合に、その全てについての必 要な薬学的管理及び指導を行っていない例が認められたので改めること。 ③ 特に安全管理が必要な医薬品について、患者から収集した情報のみが記載されてい る例が認められたので、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬 品である旨を伝え、適切な説明及び指導を行い、その内容を薬剤服用歴の記録に具体 的に記載するよう改めること。 例:アマリール1mg錠、グラクティブ錠、グリメピリド錠、テオフィリン徐放錠、テグレトール 錠、ネシーナ錠、ピオグリタゾン錠、ビカルタミド錠、ボグリボース錠、メトグルコ錠、ユー エフティ配合カプセル、 ④ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指 導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載されていない例が認められたので改める - 11 - こと。 ⑤ 指導内容にかかわらず機械的に一律算定されている傾向が認められたので、算定要 件を十分に理解すること。 (5) 乳幼児服薬指導加算 ① 処方せんの受付の際に確認した、乳幼児に係る体重、適切な剤形その他必要な事項 について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載していない例が認められたので改めるこ と。 ② 患者の家族等に対して行った適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導の要点 について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載していないにもかかわらず、6歳未満の乳 幼児の処方に対し一律に乳幼児服薬指導加算を算定しているので改めること。 (6) 在宅患者訪問薬剤管理指導料 ① 心身の特性及び処方薬剤等を踏まえて薬学的管理指導計画書を策定していない例 が認められたので改めること。 ② 薬学的管理指導計画書に実施すべき指導の内容の記載が不十分な例が認められた ので改めること。 ③ 薬学的管理指導計画書の策定に当たり、処方医から必要な情報提供を受けていない 例が認められたので改めること. ④ 算定する日の間隔が6日以上となっていない例が認められたので改めること。 ⑤ 処方医から指示があった場合に適切な対応ができるよう、在宅患者に対する体制を整 備していない例が認められたので改めること。 Ⅲ 請求事務等に関する事項 11 調剤報酬請求 ① 保険薬剤師は、必ず処方せん、調剤録、調剤報酬明細書との照合チェックを十分に行 うこと。 ② 調剤報酬明細書の記載方法に不適切な例が認められたので、記載要領を十分に理解 すること。 例:1剤として記載すべき同一薬剤を2剤として記載している。 :記載不要の「医師の指示通り」等の文言の記載がされている。 :医薬品名、用法、剤形、用量(外用薬を除く)等を省略している。 :医薬品名が、調剤録等に記載されている医薬品名と相違している。 :内服薬であるにもかかわらず、外用薬として調剤報酬明細書に記載されていた。 :一包化加算の算定対象となる調剤報酬点数欄の加算料欄に「包」と記載すること。 12 事務的取扱い (1) 登録・届出事項 ① 保険調剤に従事する薬剤師が、保険薬剤師としての登録を受けていない。 ② 届出事項に変更があった場合は、その都度速やかに東北厚生局長へ変更(異動)届を 提出すること。 例:開局日、開局時間、保険薬剤師の異動(常勤・非常勤)、管理薬剤師の異動。 (2) 掲示事項 ① 保険薬局の掲示事項に関して、不適切な例が認められたので改めること。 例:届出している施設基準に係る事項を掲示していない。 :調剤報酬点数表の一覧を掲示していない。 :薬剤服用歴管理指導料に関する事項を掲示していない。 :個別の調剤報酬の算定項目が分かる明細書の発行の有無に係る掲示をしていな - 12 - い。 ② 保険外負担について、費用徴収に係るサービス等の内容及び料金を薬局内の見やす い場所に、患者にとって分かりやすく掲示すること。 例:患者の希望に基づく一包化の費用 :容器代を実費徴収する場合の費用 (3) 一部負担金に係る事項 ○ 一部負担金の取扱いにおいて、不適切な例が認められたので改めること。 例:自家調剤に係る患者について、一部負担金未収のまま納入督促も行われていない。 :管理簿等の作成がなく未収の一部負担金の管理が不十分である。 :薬剤交付前に領収証、明細書を作成し、一部負担金の計算を処方せん受付時に行 っている。 (4) 領収証・明細書に係る事項 ① 領収証の様式について、標準例で定められている内容を満たしていないので、各項目 について改めること。 ② 電子請求を行っている保険薬局は、正当な理由がない限り、項目ごとに記載した明細 書についても無償で交付すること。 (5) 薬局の管理 ① 後発医薬品の取扱いについて、備蓄に関する体制その他の後発医薬品の調剤に必 要な体制の確保に努めること。 ② 別の薬局からサポートで来ている薬剤師の勤務状況を当該薬局で管理していない不 適切な例が認められたので改めること。 (6) 保険薬局の独立性 ○ 薬担規則第2条の3における「金品その他の財産上の利益」の供与について、便宜供 与の事実と誤解されかねない例があるので改めること。 (7) 薬剤師数 ○ 処方せん受付け枚数に比べて保険薬剤師数が不足しているので早急に補充するこ と。 (8) その他 ① 被保険者証等のコピーを保有することは個人情報保護の観点から好ましくないので行 わないよう改めること。 ② 健康保険法をはじめとする薬剤師法・薬事法等、関係法令に関する理解が不足してい るので、習得に努めること。 - 13 -
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