管理システム規格適合性評価専門委員会報告書

日本工業標準調査会 適合性評価部会
管理システム規格適合性評価専門委員会
報 告 書
平成15年7月
目 次
はじめに .............................................................................. 1
専門委員会設立の背景 ................................................................ 1
第1章 マネジメントシステム規格を巡る現状及び動向 ...................................... 4
1.1 マネジメントシステム規格と第三者認証制度 ...................................... 4
1.1.1 品質マネジメントシステム規格に係る第三者認証制度創設の経緯 .............. 4
1.1.2 環境マネジメントシステム規格に係る第三者認証制度創設の経緯 .............. 4
1.2 各種マネジメントシステム規格 .................................................. 5
1.2.1 QMS規格 ............................................................. 5
1.2.2 EMS規格 ............................................................ 13
1.3 セクター別QMS規格......................................................... 18
1.3.1 自動車品質システム .................................................... 18
1.3.2医療用具品質システム ................................................... 19
1.3.3 電気通信分野製品品質システム........................................... 19
1.3.4 航空宇宙品質システム .................................................. 20
1.3.5 食品衛生マネジメントシステム........................................... 21
1.4 その他マネジメントシステム ................................................... 22
1.4.1 QMS分野:ISO/TC176 ................................................ 22
1.4.2 個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラム ....................... 23
1.4.3 情報セキュリティマネジメント:ISO/IEC JTC1/SC27 ...................... 23
1.4.4 労働安全衛生マネジメントシステム....................................... 24
1.4.5 リスクマネジメントシステム ............................................ 24
1.5 マネジメントシステム審査登録制度における組織の現状 ........................... 25
1.5.1 審査員の基礎的資質 .................................................... 25
1.5.2 審査員の能力開発 ...................................................... 27
1.5.3 審査員に係る情報公開 .................................................. 29
1.5.4審査員の評価 ........................................................... 29
1.5.5 審査登録機関の審査能力 ................................................ 30
1.5.6 審査登録機関の情報公開 ................................................ 33
1.5.7 認定機関による認定審査 ................................................ 35
1.5.8 登録審査とコンサルテーションの分離 ..................................... 36
1.5.9 マネジメントシステム審査登録制度に係るコンサルタントの役割及び力量...... 36
1.6 マネジメントシステム規格と認証制度の課題と今後の環境 ......................... 38
1.6.1 QMS規格と認証制度の今後の環境 ....................................... 38
-i-
1.6.2 EMS規格と認証制度の今後の環境 ....................................... 41
第2章 マネジメントシステム規格の普及戦略 ............................................. 42
2.1 第三者認証制度の理解増進..................................................... 42
2.2 登録審査の質の向上 .......................................................... 43
2.2.1 審査員、審査登録機関、認定機関の審査能力について ....................... 43
2.2.2 審査の質の維持・向上の意義 ............................................ 43
2.2.3 審査の質の維持・向上の責任の所在....................................... 44
2.3 登録審査とコンサルテーションの分離 ........................................... 44
2.4 コンサルテーションの質的向上 ................................................. 45
2.4.1 コンサルタントの役割(規格の現場への適用) ............................. 45
2.4.2 組織から見たコンサルテーション......................................... 45
2.4.3 組織とコンサルタントの表彰制度......................................... 46
2.5 各種マネジメントシステム規格の共存 ........................................... 46
2.5.1 セクター別QMS規格の位置づけ......................................... 47
2.5.2 セクター別QMS規格の審議形態......................................... 47
2.5.3 セクター別QMS規格間の整合性......................................... 47
2.5.4 セクター別QMS規格に係る審査......................................... 48
2.6 マネジメントシステム規格の提案 ............................................... 48
第3章 マネジメントシステム規格及びこの認証制度の今後のあり方(各論).................. 49
3.1 登録審査の質の向上 .......................................................... 49
3.1.1 審査員の研修の提供と基礎的資質......................................... 49
3.1.2 審査員自身による自主的、継続的な能力開発努力 ........................... 50
3.1.3 審査員に係る情報公表・公開と選択....................................... 50
3.1.4 審査員の評価 .......................................................... 51
3.1.5 審査の準備 ............................................................ 52
3.1.6 審査登録機関の審査能力 ................................................ 52
3.1.7 審査登録機関の情報公開 ................................................ 53
3.1.8 認定機関による認定審査 ................................................ 54
3.1.9 組織側の意識改革 ...................................................... 55
3.1.10 調達側への情報提供 .................................................. 55
3.1.11 その他 .............................................................. 56
3.2 登録審査とコンサルテーションの分離 ........................................... 57
3.2.1 審査登録機関の経営倫理の醸成........................................... 57
3.2.2 登録審査とコンサルテーションの分離徹底 ................................. 58
3.3 コンサルテーションの質的向上 ................................................. 59
3.3.1 ISO10019 の制定に合わせた、コンサルタント評価・公表制度の創設 .......... 59
3.3.2 コンサルタント評価グレードの設定....................................... 60
- ii -
3.3.3 評価制度の普及 ........................................................ 60
3.4 セクター別品質マネジメントシステムの共存 ..................................... 60
3.4.1 セクター別QMS規格間に係る合理的審査 ................................. 60
3.4.2 セクター別QMS規格に係る認証制度 ..................................... 61
3.4.3 セクター別QMS規格に係る重複審査 ..................................... 61
3.4.4 審査の質 .............................................................. 62
3.4.5 各種マネジメントシステム規格策定の情報収集 ............................. 63
3.5 マネジメントシステムの我が国からの提案 ....................................... 64
3.6 本報告書のフォローアップ..................................................... 64
3.6.1 マネジメントシステム規格の普及の定点観測 ............................... 65
3.6.2 本報告書による提案の実施 .............................................. 65
3.6.3 本報告書による提案の実施状況の把握 ..................................... 66
参考 用語の意味 ..................................................................... 67
管理システム規格適合性評価専門委員会委員名簿 .......................................... 69
- iii -
はじめに
専門委員会設立の背景
経済のグローバル化に伴う「世界最適調達」への流れ、規制緩和の受け皿(必要条件)と
しての企業の自己責任に裏打ちされた「自己確認・自主保安」への流れ、また、地球レベル
での環境問題の深刻化に伴う企業の環境対応への期待の深化などを背景に、ISO 9000 ファ
ミリーで34,534件、ISO 14001 で12,208件(平成15年2月1日現在)と認証
取得件数は増加している。これに伴い、従来にも増して、社会活動における第三者認証制度
の占める重要性が増しており、制度の信頼性、透明性、公平性など認証の質、制度そのもの
のあり方などが問われてきている。
これまでを振り返ってみると、平成12年11月に取りまとめられた日本工業標準調査会
の認定認証部会(当時)報告では、ISO9000 ファミリー/14001 の審査登録制度について、
審査・審査員の質の向上策の検討の必要性を指摘している。
また ISO では、2001年11月の CASCO 総会の場で、アイカー事務局長(当時)が、
マネジメントシステム認定・認証制度の Integrity 向上策の検討を、同総会参加者(各国の
標準化機関、認定・認証機関、IAF 等)に対して求める旨の発言を行うとともに、その発言
要旨を、11月30日付けで Press release している。
他方、ISO9000 ファミリー/14001 以外に、自動車・同部品、航空・宇宙、電気通信、情
報セキュリティー等の分野で、いわゆるセクター別品質マネジメントシステム規格が制定さ
れるとともに、ISO9000 ファミリー/14001 とは異なる認定・認証スキームが導入されてい
るが、これらの規格制定プロセスや、認定・認証スキームの構築に際しては、我が国(標準
化機関、認定・認証機関)が、必ずしも主体的に参画しているとは言えず、結果的に、我が
国の産業界や認証機関が不利な状況に置かれている懸念がある。
今後、企業の社会的責任(CSR)、企業の行動規範等の分野にまで、マネジメントシス
テム規格を開発する動きがあることから、我が国としても、産業界等との連携を図りつつ、
こうした動きに対し主体的、戦略的に取り組む必要がある。
また、ISO9004:2000 の次期改訂作業に向けて、我が国としての取組み方針についても検
討を行う必要がある。
このような認識のもとに、平成14年4月24日開催の第4回適合性評価部会で、日本工
業標準調査会運営規程第20条に基づく専門委員会(適合性評価部会傘下)として、管理シス
テム規格適合性評価専門委員会の設置を決め、市場ニーズを反映した適切な管理システム規
格を用いた認定・認証制度の健全な普及、発展を図るために必要な施策の検討を行ってきた
ところである。具体的な委任事項は以下のとおりである。
・認定機関による審査登録機関の認定審査の内容・審査員の質の向上策についての
検討。
・審査登録機関による審査の内容・審査員の質の向上策についての検討。
・管理システム規格の認定・認証制度に関する普及啓発の方策の検討。
-1-
・セクター別品質管理システム規格審査登録制度における重複審査の回避策につい
ての検討。
・新たな管理システム規格の開発及び同規格を用いた審査登録制度に関する我が国
としての方針の検討。
・その他関連事項。
(参考)
○「認定認証部会」報告(平成12年11月28日、我が国における適合性評価制度に関す
る今後の基本的方向報告書)
1. 審査の内容・審査員の質の向上
・ 審査員に対する研修の強化及び研修素材の開発。
・ ユーザー/クライアントの評価を質の向上に活用する方策の検討。
・ 審査登録機関に対するパフォーマンス評価の実施方策等の検討。
2. 供給者等におけるマネジメントシステムに対する理解の促進
・ 認定機関、審査登録機関等によるシンポジウム・研修の継続的実施。
3. セクター別品質マネジメントシステム審査登録制度における重複審査回避
○「21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会」報告(平成12年5月29日)
1. ISO9000/14000 適合性審査及び審査員の質等の維持・向上のため、民間における人材育
成プログラムの開発等の対応を期待。
2. 審査基準や審査能力については、国際的な整合性確保の観点から、アジア太平洋協力の
推進を検討すべき。
3. セクター別品質マネジメントシステムの認証に当たっては、認証面での過度な負担が供
給者に課されることのないよう、重複審査の回避に配慮。
4. ソフトウェア分野におけるプロセス審査、環境報告書、CO2 排出権取引等に係る「新た
な形態」の認証事業については、関係者の十分な理解が得られるよう配慮。
審議の経緯
平成14年4月25日の適合性評価部会で本委員会の設置及び委員が承認され、以下のと
おり調査、審議が行われた。委員は別紙参照。
第1回 平成14年6月7日
主要議題
1. 専門委員会委員長の互選
2. 今後の検討スケジュール
3. 管理システム規格の現状
4. セクター規格の概要
5. 管理システム規格・適合性評価の現状と論点整理
-2-
6. アンケート調査について
アンケート調査及びヒアリング調査の実施 平成14年7月―9月
対象:認証取得企業1000社、43審査登録機関、8研修機関、2審査員評価登
録機関
第2回 平成14年10月3日
主要議題
1. セクター規格の概要
2. 第三者適合性評価制度の活用と課題
3. アンケート調査結果について
4. 現状と論点整理のポイント
第3回 平成14年12月11日
主要議題
1. セクター規格の扱いについて
2. 国際認定機関フォーラムにおける相互承認と課題
3. マネジメントシステムに係る審査の向上について
第4回 平成15年2月8日
主要議題
1. セクター規格の扱いについて
2. マネジメントシステムに係る審査の質の向上について
3. マネジメントシステム審査登録ビジネスにおけるコンサルタントについて
4. 報告書骨子(案)について
第5回 平成15年3月25日
主要議題
1. マネジメントシステム審査登録ビジネスにおけるコンサルタントについて
2. 報告書(案)について
第6回 平成15年4月25日
主要議題
1.報告書(案)について
-3-
第1章 マネジメントシステム規格を巡る現状及び動向
1.1 マネジメントシステム規格と第三者認証制度
1.1.1 品質マネジメントシステム規格に係る第三者認証制度創設の経緯
企業間取引においては、通常、購入者が供給者に対して要求した品質が確保されてい
ることを確認するために、購入者が供給者の製造現場あるいは管理部門に直接赴くこと
などによる品質監査(実物の試験・検査、製造・検査設備の確認、管理体制の確認など
を通じた第二者監査)を行う。
このような品質監査では、確実に購入者側の意向に沿った確認ができる一方で、供給
者、購入者双方にとって時間・費用の両面で一定の負担を伴う。対象となる製品の種類、
数量、取引先が多い場合、あるいは、監査場所が離れていたりする場合はさらに大きな
負担となり、品質監査のコストを、品質確保に伴う効果に見合ったものとすることが必
要となってきた。これを解決するために、一定水準以上の品質管理の体制を確保してい
る 場 合 に は 、 品 質 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ( Quality Management System 、 以 下
「QMS」という。
)については二者監査の対象から除き供給者側の自主性に任せること
で、双方の負担を軽減する方法が採用された。ここで供給者が一定水準以上のQMSを
確保していることを確認するための基準として、供給者、購入者及び学識経験者等の中
立者によってQMS規格が作成され、さらにQMS規格に適合していることを公平、中
立的に確認するための制度として第三者認証制度が導入された。この第三者認証制度は
取引関係の一部という位置付けから、外部に取り出されるようになり、新たな取引を行
う場合のツール(対事業所サービス)の一つとして利用されるようになってきた。
また、QMS規格は様々な国・地域でそれぞれの慣行、実態、ニーズに合わせて策定
された結果、いくつかのローカルな規格が共存することになった。このため、公正・公
平な貿易の促進の観点から品質管理システムの国際規格の必要性が認識され、ISO を舞
台にして国際規格が作成された。
このような制度創設時の経緯を反映して、QMSの第三者認証制度には様々な特徴が
あるが、そのうちの特徴をいくつかを挙げると次のようなものがある。
① 二者監査の合理化を目的として発展したもの。
② 第三者認証制度の関係者は、供給者、購入者、認証機関にほぼ限定されていた。
③ 購入者側には技術的評価能力があり、第三者認証制度の限界についても認知してい
た。
1.1.2 環境マネジメントシステム規格に係る第三者認証制度創設の経緯
1972年にローマクラブが「成長の限界」を公表して以来、局地的な公害問題を超
えて、経済問題と資源問題や地球レベルでの環境汚染の問題が密接に関連していること
が認識されるようになった。その後、国際連合に設置された「環境と開発に関する世界
委員会」の報告書などによって、環境と経済は不可分であり、対立するものではなく協
調すべきものであることとする考え方が示された。このようなプロセスを経て、環境マ
-4-
ネジメントの基本概念が確立され、具体的な行動を求める段階へと進展した。
オゾン層保護、地球温暖化問題などにみられる地球環境問題は環境・資源制約と人類
活動の全体規模が拮抗してきたことによって発生したものであり、一部の企業による特
定の行為によって局地的に発生していた公害問題とは本質的に異なるものとなっている。
したがって、このための対策は、いわゆる公害規制では不十分であり、社会すべての構
成員がそれぞれの活動の中で環境への負荷を低減するといった、社会全体としての行動、
システムの環境負荷を低減させて行くことが求められた。このような、地球環境問題へ
の取組みとしては、従来の規制手法に加えて、市場メカニズムを活用した経済的手法や
自主的取組みも奨励されてきた。このための具体的な手法として、組織が環境に対する
取組みを進めて行くためのマネジメントシステムの必要性が認識されるようになり、
ISO を舞台として規格の作成が行われた。この規格は、組織の責任を明確にし、説明責
任を果たすという視点からは、第三者認証と自己宣言のいずれの手法も受け入れている
が、これまでは第三者認証による規格への適合性確認が主流となっている。
このような制度創設時の経緯を反映して、環境マネジメントシステム(Environment
Management System、以下「EMS」という。)の第三者認証制度には様々な特徴が
あるが、そのうちのいくつかを挙げると次のようなものがある。
① 利害関係者を広く捉えており、一般消費者、株主なども含まれている。
② 第三者認証を必ずしも前提とはしておらず、自己宣言も受け入れている。
③ 環境管理システム運用の範囲については、組織の自主性に任されている。
④ 継続的な改善を期待していて、ダイナミックなモデルを取り込んでいる。
1.2 各種マネジメントシステム規格
1.2.1 QMS規格
ISO 9000:2000(品質マネジメントシステム−基本及び用語)では、QMSは「品質
に関して組織を指揮し、管理するためのマネジメントシステム」と定義されており、現
在 ISO/TC176(品質マネジメントシステム及び品質保証 専門委員会)からQMS関連
の19の規格及びTRが発行されている。
(平成15年3月末現在、表1参照)
-5-
表1 ISO/TC176(品 質管理及び品質保証)規格化状況
SC
IS等番号
SC1
ISO 9000
SC2
ISO 9000-3
IS等発行日
規格名称
2000.12.15 品質マネジメントシステム―基本及び用語
2003/3/31
JIS JIS制定
番号
日
Q 9000 2000.12.20
1997.12.15 品質マネジメント及び品質保証規格―第3部:
―
―
ISO 9001:1994適用のための指針
ISO 9000-4 1993.04 品質マネジメント及び品質保証の規格―第4
―
―
IEC 300-1
部:ディペンダビリティプログラムの管理のた
めの指針
ISO 9001
2000.12.15 品質マネジメントシステム―要求事項
Q 9001 2000.12.20
ISO 9001
1994.07.01 品質システム―設計、開発、製造、据付け及び Z 9901 1994.12.01
付帯サービスにおける品質保証モデル
ISO 9002
ISO 9003
ISO 9004
ISO 9004-4
ISO 10005
1994.07.01 品質システム―製造、据付け及び付帯サービス Z 9902 1998.09.20
における品質保証モデル
1994.07.01 品質システム―最終検査・試験における品質保 Z 9903 1998.09.20
証モデル
2000.12.15 品質マネジメントシステム―パフォーマンス改 Q 9004 2000.12.20
善の指針
1993.06.15 品質マネジメント及び品質システムの要素―第
―
―
4部:品質改善のための指針
1995.09.15 品質マネジメント―品質計画書についての指針
―
―
ISO 10006
SC3
1997.12.15 品質マネジメント―プロジェクトマネジメント Q 10006 1998.11.20
における品質の指針
ISO 10007
1995.04.15 品質マネジメント―構成管理の指針
―
―
ISO 10011-1 02.10.01廃止 品質システムの監査の指針―第1部:監査
Z 9911-1 1996.03.01
ISO 10011-2 02.10.01廃止 品質システムの監査の指針―第2部:品質シス Z 9911-2 1996.03.01
テム監査員の資格基準
ISO 10011-3 02.10.01廃止 品質システムの監査の指針―第3部:監査プロ Z 9911-3 1996.03.01
グラムの管理
ISO 10012-1 1992.01.15 計測機器の品質保証要求―第1部:計測機器の
―
―
計測確認システム
ISO 10012-2 1997.09.15 計測機器の品質保証―第2部:計測プロセス管
―
―
理のための指針
TR 10013
2001.07.15 品質マネジメントシステム文書様式の指針
―
―
TR 10014
1998.08.01 品質の経済性の管理指針
―
―
ISO 10015
1999.12.15 品質マネジメント―教育・訓練の指針
―
―
TR 10017
1999.09.01 ISO 9001:1994のための統計的手法の指針
―
―
ISO 19011
2002.10.01 品質及び/又は環境マネジメントシステム監査の Q 19011 2003.02.20
ための指針
TS16949
2002.03.01
TF
品 質 シ ス テ ム ― 自 動 車 部 品 供 給 者 ― ISO
―
―
9001:2000適用のための特別要求事項
一方、国内においては、ISO/TC176 で開発された規格及びTRのうち11を JIS 又
はTRとして制定・公表している外(表1参照)、JIS Q 9023(マネジメントシステム
のパフォーマンス改善−方針によるマネジメントの指針), 9024(マネジメントシステ
ムのパフォーマンス改善−継続的改善の手順及び技法の指針), 9025(マネジメントシ
ステムのパフォーマンス改善−品質機能展開の指針)を平成15年2月に制定するとと
もに、TR Q 0005(クォリティマネジメントシステム−持続可能な成長の指針),
-6-
0006(クォリティマネジメントシステム−自己評価の指針)を平成15年1月に公表し
ている。
(1) QMS規格の審査登録状況(国内、海外)
JIS Z 9901:1998, JIS Z 9902:1998, JIS Z 9903:1998 及び JIS Q 9901:2000 に係る
適合性評価は、ISO/IECGuide62(JIS Z9362:1996:品質システム審査登録機関に対
する一般要求事項)に基づいて(財)日本適合性認定協会(以下、「JAB」とい
う。)が認定した審査登録機関又は IAF(International Accreditation Forum)にお
ける MLA (Multilateral Recognition Arrangement)メンバー注1が認定した審査登録
機関の登録審査の結果として実施されており、平成14年9月末現在の登録数は、3
2,964件となっている。
(表2参照)
ISO 9001:2000 での登録数は全体の内数として表されており、2003年12月1
5日に廃止が予定されている ISO 9001:1994, ISO 9002:1994, ISO 9003:1994 の件数
は、20,432件となっている。
注1 QMSの適合性評価に関し、ISO/IEC Guide61 及び関連の IAF 文書への適合を維持し、すべての
認定した機関が ISO/IEC Guide62 及び関連の IAF 指針文書に適合することを確実にし、No more,
no less であり、MLA メンバーから認定された審査登録機関が発行する登録証は、自らが認定した
機関が発行する登録証と同等であるとして、それらを受入れることを勧告及び推奨し、かつ、MLA
メンバーから認定された審査登録機関が発行した登録証に起因する苦情はこれを調査することを義
務とするメンバー。2002 年 11 月 1 日現在で30機関がある。
表2 業種別 ISO9000s 審査登録状況
経済産業省
産業技術環境局 認証課
45000
40000
(財)日本適合性認定協会資料により作成。
業種別件数は、同一事業者が複数登録している
場合があり、カッコ内がのべ件数を示す。
29626
27634(34554)
24971 (32945)
23424(29627)
35000
35344
32964(42522)
31329 (38994)
(36704)
21626 (27935)
19699 (25704)
17377 (23459)
15873 (20644)
25000
14671 (18915)
12854 (16886)
20000
11199 (14888)
10421
9482 (11821)(12747)
15000
7769 (10272)
6420 (8315)
5128 (6507)
10000
4329
(5206)
(4356)
30000
5000
0
平成 平成
9年 9 10年
月
3月
平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成
10年 11年 11年 11年 11年 12年3 12年6 12年9 12年 13年3 13年6 13年9 13年 14年3 14年6 14年9 14年
9月 3月 6月
9月 12月 月
月
月 12月 月
月
月 12月
月
月
月
12月
9001:2000(内数)
798 1035 1064 1363 1547
その他
400 519 683
ゴム・プラスティック
676 734
704 802 919
化 学
215 463
669 1097 1264
建 設
456 603
759 1011 1320
金 属
792
888
1057
1228 1373
機 械
156
371
953 1280 1499
サービス
2113 2413 2709 2972 3216
電気・電子
1677
753
950
1528
1449
1443
1692
3255
1906
844
1023
1975
1698
1614
2175
3653
2223
936
1029
2413
1943
1803
2592
3947
2672
1109
1129
2876
2209
1886
3050
3984
2962
1210
1164
3347
2463
1990
3382
4126
3340
1331
1290
4244
2706
2210
3980
4358
128
3682
1401
1313
5062
2959
2297
4490
4500
402
3992
1504
1341
5813
3158
2371
5070
4686
1085
4122
1573
1350
6570
3325
2470
5465
4752
3207
4833
1688
1423
7617
3563
2638
6220
4963
5526
4772
1733
1452
8768
3538
2683
6625
4983
9253
4969
1862
1498
9691
3879
2746
7026
5033
12522
5418
1868
1514
10711
4038
2764
7590
5091
18093
5850
2040
1555
12026
4414
2964
8473
5200
一方、海外での登録数は ISO/CS(ISO 中央事務局)が毎年末に調査を実施してお
-7-
り、2001年12月末現在で、510,616件となっている。国別審査登録状況
を次図に示す。
これは、対前年比122%となっており、1999年からの1年間の伸び119%
以上の伸びとなっている。
地域別では、ヨーロッパ7か国(イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、スペイ
ン、オランダ、スイス)で216,217件(対前年比121,9%)、全体の4
2%を占めており、北米(アメリカ、カナダ)が48,661件(10%、対前年比
105%)、アジア5か国(日本、韓国、中国、オーストラリア、インド)が135,
148件(26%、対前年比144%)となっている。
各国別では、中国が対前年比225%と倍以上の登録数(57,783件)となっ
ている外、イタリアが対前年比158.4%(48,109件)、ブラジル141.
2%(9,489件)、スペイン141.1%(17,749件)と高い伸びとなっ
ている反面、インド、スイスでは対前年比がそれぞれ97.8%、99.3%と減少
傾向を示している。
(2) 審査登録機関数、審査員数
QMS審査登録機関数については、JABによって認定されている機関が43機関、
JABと MLA を結んだ機関から認定されているものが9機関となっている。
(月刊
アイソス平成15年1月号、システム規格社調べ)
また、ISO 10011-1 及び ISO10011-2 に基づいてJABに認定されている審査員評
-8-
価登録機関に登録されている審査員補、審査員及び主任審査員の数は、それぞれ、8,
066人、1,221人、2,472人となっている。(平成15年3月現在、
(財)
日本規格協会 品質システム審査員評価登録センター調べ)
(3) 認証取得組織の概要
平成14年7月に(財)産業研究所が㈱UFJ 総合研究所に委託したアンケート結
果を基に日本工業標準調査会管理システム規格適合性評価専門委員会でまとめたとこ
ろ、QMS認証取得組織の概要は以下のようになっている。
アンケート対象及び回答総数
QMS認証取得組織1,000社をランダムサンプリング
回答総数:381(うち、EMS認証取得組織90)
(3−1)業種別回答数
① 製 造 業:158(うち、化学、ゴム・プラスチック、金属、機械、電気の3分
野で105)
② 建 設:144
③ 卸、小売、サービス: 76
(3−2)規模別回答数
① 従 業 員 数 4 9 人 以 下:128(うち、建設が53%)
② 従 業 員 数 5 0 ∼ 9 9 人: 74
③ 従業員数100∼299人: 98
-9-
④ 従業員数300人以上
: 76(うち、化学、ゴム・プラスチック、金属、機械、
電気が46%)
業種・企業規模別に見た認証取得組織の概要
回答のあった企業の業種は、製造業40%、建設業40%、卸・小売及びサービ
ス業が20%となっており、建設業の比率が高くなっている。
企業の規模別集計については、49人以下の企業が34%と一番多く、中小企業
(299人以下)全体で約80%を占めている。また、建設業では50人以下の企
業が47%、299人以下では92%となっており、299人以下の企業に占める
割合は、製造業70%、小売・サービス業75%と比べても建設業の占める比率が
高くなっている。
(3−3)QMS認証取得の目的
次図に示す12の項目から3つを選択することによって、QMS認証取得の目的
を調査した。
- 10 -
QMS認証取得の目的上位2件を比較すると、いずれも“顧客の評価の向上”が
含まれるものの、業種によって以下のとおりに違いがある。
製 造 業:“顧客の評価の向上(61%)”
、
“自社品質管理システムの基盤
構築(51.9%)”
建
設
業:“顧客の評価の向上(61.8%)”、“公共調達の参入条件を満
たすため(47.2%)”
小売・サービス業:“製品又はサービスの質の向上(68.4%)
”、
“顧客の評価の
向上(51.3%)”
(3−4)認証取得の目的の達成度
“当初の目的以上の効果”
、“大体達成された”、
“達成されていない”
、
“評価の結
果どちらとも”
“その他”の中から認証取得の目的に対する達成度を調査した。
“当初の目的以上の効果”又は“目的は大体達成された”と回答した組織は55.
- 11 -
4%であり、製造業での割合が多い。“評価の結果どちらとも言えない”と回答し
た組織は22.6%であるが、建設、卸・小売・サービス業での割合が高くなって
いる。
(3−5)認証取得で得られた便益
認証取得の目的と同様に、認証取得で得られた便益について、“コスト以上の便
益が得られた”
、“ほぼコストと同程度の便益が得られた”
、
“便益はコストを下回っ
ている”の3択で調査を行った。
59.3%が便益とコストの関係において、肯定的(“コスト以上の便益が得ら
れた”及び”ほぼコストと同程度の便益が得られた”)な評価ではなく、コスト以
上の便益が得られたとしているのは、8.9%にすぎない。
規模別に便益とコストの関係を見ると、特に49人以下の企業で“便益がコスト
を下回っている”とする企業が55.5%となっている。
製造業では、“コストと同程度以上の便益”が51.9%、“便益がコストを下
回っている”が36.1%であるのに比べ、建設業では56.9%が“便益がコス
トを下回っている”と回答している。
認証取得目的と便益・コストの関係では、“企業イメージの向上”を目的として
いる組織、あるいは、“公共調達の参入条件を満たすため”を目的としている組織
では、便益はコストを下まわっているとする回答が高い。
- 12 -
(3−6)ISO 9001:2000 取得で強化される項目1
2000年12月の ISO 9001:2000 の制定に伴い、94年版の ISO 9001、
ISO9002、ISO9003 が2003年12月20日で廃止予定となっているため、ISO
9001:2000 での審査登録によって強化された項目を調査した。
調査は、“QMSに関する項目”、“経営者の責任に関する項目”、“資源の運用管
理に関する項目”、
“製品実現に関する項目”、
“QMSの改善”
、
“顧客及びその他の
利害関係者の認識”、“QMSの革新”及び“その他”の8項目を更に41項目に細
分して、5択とした。
その結果、ISO 9001:2000 取得によって、強化される又は強化されたと考えられ
る項目は、“顧客及びその他の利害関係者の認識”の細分項である“顧客満足”が
48%、“経営者の責任に関する項目”の細分項である“顧客重視”が46.5%
と高く、“資源の運用管理に関する項目”の細分項である“天然資源”及び“投資
者・株主の信頼”については、回答数がゼロであった。業種別で見ると、卸・小
売・サービスで、“人々の力量の開発、改善、顧客満足”が強化されたと回答した
割合が高い。
・ Q M S に 関 す る 項 目:41.2%(うち、QMSの確立:21.5%)
・ 経 営 者 の 責 任 に 関 す る 項 目:90.1%(うち、顧客重視:46.5%)
・ 資 源 の 運 用 管 理 に 関 す る 項 目:52.7%(うち、人々の力量の開発:27.8%)
・ 製 品 実 現 に 関 す る 項 目:62.8%(うち、製品実現の監視・測定:21.3%)
・ 顧客及びその他の利害関係者の認識:53.3%(うち、顧客満足:48.0%)
・Q
M
S
の
革
新: 9.5%(うち、戦略的 MR:7.1%)
・学
習
及
び
革
新: 2.8%(うち、学習:1.8%)
回答の多い小項目は以下のとおりとなっている。
・顧客満足>顧客重視>改善>人々の力量の開発>経営者のコミットメント
1.2.2 EMS規格
要求事項規格である ISO 14001(JIS Q 14001 環境マネジメントシステム−仕様及び
利用の手引)を始め、EMS関連の19の規格及びTRが ISO/TC207(環境マネジメ
ント)から発行されている。
(平成15年3月末現在 表3参照)
1
強化される項目については、QMSパフォーマンスの関係から、平成15年1月に公表さ
れた「TR0005:クォリティマネジメントシステム−持続可能な成長の指針」及び「T
R0006:クォリティマネジメントシステム−自己評価の指針」の項目を採用した。
- 13 -
2003.3.31
表3 ISO/TC207(環境マネジメント)規格進捗状況
SC
SC1
SC2
規格番号
規格名称
ISO発行
JIS制定
ISO14001
環境マネジメントシステム-仕様及び利用の手引 96.09.01*
96.10.20
ISO14004
環境マネジメントシステム-原則、システム及び 96.09.01*
支援技法の一般指針
96.10.01
環境監査の指針-一般原則
96.10.20
環境監査の指針-監査手順-環境マネジメントシス 96.10.01
テムの監査
96.10.01
環境監査の指針-環境監査員のための資格基準
96.10.20
ISO14010
ISO14011
ISO14012
ISO14015
JWG
ISO19011
SC3
ISO14020
ISO14021
96.10.20
96.10.20
02.08.20
環境マネジメント‐用地及び組織の環境アセス 01.11.15 メント(EASO)
03.02.20
品質及び/又は環境マネジメントシステム監査の 02.10.01
指針
98.08.01
99.07.20
環境ラベル及び宣言-一般原則
環境ラベル及び宣言-自己宣言による環境主張(タイプⅡ環 99.09.15
00.08.20
境ラベル表示)
ISO14024
環境ラベル及び宣言-タイプⅠ環境ラベル表示-原 99.04.01
則及び手続
環境ラベルタイプⅢ−定量的環境情報表示のラ 00.03.15
ベル
00.08.20
ISO14031
環境マネジメント-環境パフォーマンス評価-指針 99.11.15
00.10.20発行
TR14032
環境パフォーマンス評価事例集
99.11.15
ISO14040
環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-原則及び枠組み
97.06.15
97.11.20
ISO14041
99.11.20
ISO14042
環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-目的及び調査範囲の 98.10.01
設定並びにインベントリ分析
環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-目的及び調査範囲の 00.03.15
設定並びにインベントリ分析のJISQ14041に関する適
用事例
00.03.01
ライフサイクルアセスメント-影響評価
ISO14043
ライフサイクルアセスメント-解釈
TR14025
SC4
SC5
TR14049
00.03.01
00.08.01
TR Q0003 と し て
公表
00.12.20
TR Q0004 と し て
公表
02.3.20
02.3.20
WG2,3 PDTS14048 ライフサイクルアセスメント-データフォーマット
PDTS投票予定
WG4
(TR)14047 ライフサイクルアセスメント-影響評価事例集
DTR投票予定
SC6
ISO14050
環境マネジメント-用語
98.05.01*
98.10.20
WG1
ISO Guide64
製品規格に環境側面を導入するための指針
97.03.05
98.03.20
WG2
TR14061
森林マネジメント
98.12.15
WG3
DTR14062 環境適合設計(DfE)
DTR投票終了
WG4
(ISO14063) 環境コミュニケーション
2004年制定予定
(WG5) NWIP
N529
グリーンハウスガス排出の測定・報告・検証ガイ 2005年制定予定
ドライン
*印: 現在、ISO において改正作業が進行中の規格。 WG5 は未設置。
- 14 -
一方、国内においては、ISO/TC207 で開発された規格及びTRのうち、19を JIS
又はTRとして制定・公表している。
(1) EMS規格の審査登録状況
JIS Q 14001 に係る適合性評価は、ISO/IEC Guide66(JIS Q0066:2000:環境マ
ネジメントシステム(EMS)の審査登録機関に対する一般要求事項)に基づいてJ
ABが認定した審査登録機関の登録審査の結果、認証されており、平成14年9月現
在の登録数は、10,142件となっている。(表4参照)
表4 業種別 ISO14001審査登録状況
経済産業省
12000
産業技術環境局 認証課
(財)日本規格協会(環境管理規格審議委員会事務局)調べ
10952
10142
8893
10000
11893
946
7991
715
8000
6648
6092
6000
4471
3548
4000
2531
1960
2000
11
0
44
89
249 435
859 1237
平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成
7年 8年 8年 9年 9年 10年 10年 11年 11年 12年 12年 13年 13年 13年 13年 14年 14年 14年 14年 15年
9月 3月 9月 3月 9月 3月 9月 3月 9月 3月 9月 3月 6月 9月 12月 3月 6月 9月 12月 3月
その他
0
5
11
35
67
地方自治体
0
0
0
0
0
159 264 435 653 988 1353 1954 2172 2414 2784 3121 3371 3630 3975 4345
3
3
14
23
81
107 212 223 237 269
352 366 389 416 461
廃棄物処理業
0
0
0
1
2
8
19
36
52
89
134 218 239 269 316
361 401 435 484 547
金属製品製造業
0
0
1
1
1
7
15
28
38
69
94
443 499 566 669 745
輸送用機械
0
1
1
6
12
37
61
150 198 271 319 373 404 413 459
523 570 613 650 680
一般機械
4
9
11
36
57
102 127 182 226 273 329 418 445 466 492
532 534 558 576 611
総合工事業
0
0
0
0
2
7
20
79
117 204 250 399 433 487 561
サービス業
0
0
2
6
10
16
33
69
110 195 296 481 539 578 669
755 819 903 1004 1174
化学工業
1
2
11
23
33
63
106 178 241 334 423 566 618 650 697
758 773 809 850 874
電気機械
6
27
52
141 251
194 253 306 368
628 694 761 809 877
457 589 789 882 1044 1166 1277 1322 1335 1376 1420 1440 1478 1519 1579
一方、海外での登録数は ISO 9000 ファミリーと同様に ISO/CS が毎年末に調査を
実施しており、2001年12月末現在で、36,765件となっている。国別審査
登録状況を次図に示す。
これは、対前年比161%となっており、1999年末の2.6倍となっている。
地域別では、ヨーロッパ7か国(イギリス、イタリア、ドイツ、フランス、スペイ
ン、オランダ、スイス)が12,257件(対前年比172.7%)で全体の33%
を占めており、北米(アメリカ、カナダ)が2,446件(全体の7%、対前年比1
61%)、アジア5か国(日本、韓国、中国、オーストラリア、インド)が11,8
- 15 -
58件(全体の32%、対前年比150%)となっている。
各国別では、日本が全体の5%(8,123件)で登録件数がトップとなっている
ほか、対前年に比較して伸びが高い国として、スペイン(対前年比344%、2,0
64件)
、ドイツ(対前年比268%、3,380件)、イタリア(対前年比249%、
1,295件)といった国が挙げられる。
世界の ISO 14001審査登録状況
世界計36,765件
(2001年12月末現在 ISO調査)
(2) 審査登録機関数、審査員数
EMS審査登録機関数については、JABによって認定されている機関が35件と
なっている。(平成15年2月10日現在、JAB調べ)
また、ISO 14010, 14011 及び 14012 に基づいてJABに認定されている審査員評
価登録機関に登録されている審査員補、審査員及び主任審査員の数は、それぞれ、6,
756人、680人、948人となっている。(平成15年2月15日現在、
(社)産
業環境管理協会 環境マネジメントシステム審査員評価登録センター調べ。)
(3) 認証取得組織の概要
認証取得組織の概要に関する調査及びまとめ方については、1.2.1(3) 認
証取得組織の概要(9ページ参照)に記述しているため、業種別回答数、規模別回答
数については省略し、EMS審査登録組織に特有の概要を記述する。
回答総数:90(ISO 9000s も取得)
- 16 -
(3−1)EMS 認証取得の目的
12の項目から3つを選択することによって、EMS 認証取得の目的を調査した
結果、製造業では、“企業の社会的責任の遂行”、
“地球環境への配慮”
、建設業では、
“企業の社会的責任の遂行”
、
“企業イメージの向上”
、小売・サービス業では、
“企
業の社会的責任の遂行”、“企業イメージの向上”を認証取得の目的に挙げる組織が
多かった。
(3−2)認証取得の目的の達成度
“当初の目的以上の効果”
、
“大体達成された”、
“達成されていない”
、
“評価の結
果どちらともいえない”、
“その他”の中から認証取得の目的に対する達成度を調査
した結果、ISO 14001 と ISO 9000 ファミリーの両方で認証取得している組織では、
“当初の目的以上の効果”又は“目的は大体達成された”と回答した組織が58%、
“評価の結果どちらとも言えない”と回答した組織は21%、“達成されていな
い”と回答した組織は9%であり、目的に対する達成度感は ISO 9000 ファミリー
だけで認証取得している組織に比べ高いと言える。
- 17 -
(3−3)認証取得で得られた便益
“コスト以上の便益が得られた”
、
“ほぼコストと同程度の便益が得られた”と回
答した組織は54.4%となっており、ISO 9000 ファミリーだけで認証取得して
いる組織に比べると ISO 14001 と ISO 9000 ファミリーの両方で認証取得している
組織では、得られた便益が高いと言える。
1.3 セクター別QMS規格
QMSに関するセクター規格の現状と動向は、以下のとおりとなっている
1.3.1 自動車品質システム
自動車分野:ISO/TC176(品質マネジメントシステム及び品質保証)
TGA
ISO 発行
規格番号
規格名称
TS 16949
品 質 シ ス テ ム ― 自 動 車 部 品 供 給 者 ― 99.03.01
ISO9001:1994 適用のための特別要求事項
品質マネジメントシステム−自動車生産及び 02.03.01
関連サービス部品組織
IATF
JIS 制定
―
【背景・経緯】
・1994年8月、米国自動車メーカ会社のビッグスリーが中心となり、自動車部品製造
メーカへの品質保証要求事項の規格を QS9000 として制定(2000年までで、世界
40 か国以上、8000 件以上の審査登録がされている)。
・1997年11月、TC176 リオ総会で QS9000 をベースとした技術文書の開発を目的
に、IATF(国際自動車作業グループ)との協調パイロットプロジェクト実施のための
タスクグループ(TG)を TC176 内に設置することを決定。
・1998年1月、同パイロットプロジェクトを開始(日本は参加できず)。
・1999年3月、ISO 9001 の自動車セクター文書を発行(ISO/TS16949)。
・1999年9月、2000年版 ISO 9001 に適合させる見直しを開始(日本参加)
。
・2002年3月、ISO/TS16949 改正版(ISO 9001:2000 を取り入れ、TS として)発行。
【規格の構成】
・ISO 9001 をベースに自動車に固有な品質要求事項を追加した品質システム規格。
- 18 -
【利用状況】
・IATF は、2002年から TS16949 の運用を具体的に開始。
・認定された審査登録機関は、2003年3月7日現在で45機関(アメリカ10,ドイ
ツ12,イギリス5、イタリア3、フランス、スペイン、カナダ、スイス各2,日本、
韓国、オーストラリア、ベルギー、オーストリア、シンガポール、マレーシア各1機
関)。
・審査員研修・認定も2001年からアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア
の5か国で開始。
1.3.2 医療用具品質システム
医療用具分野:ISO/TC210(品質管理と医療用具の一般側面)
WG1
規格番号
規格名称
ISO 発行
JIS 制定
ISO 13485
ISO 13488
ISO 14969
品質システム―医療用具―
JIS Z 9901 を適用するための特別要求事項
JIS Z 9902 を適用するための特別要求事項
ISO13485/13488 の適用の指針
96.12.15
96.12.15
99.06.01
98.03.25
98.03.25
−
【背景・経緯】
・世界各国が様々な品質システム(GMP: Good Manufacturing Practice(優良製造規
範))を法令によって要求したことから、非関税障壁を防止するため、各国で異なる品
質システムに係る法令(GMP)を国際規格を基に整合させる機運が生じた。
・1994年、ISO/TC210/WG1 が発足。
・2003年3月、ISO 9001:2000 を取り入れた ISO13485 の改正を予定、同時に
ISO13488 を廃止予定。
【規格の構成】
・規格のベースは、ISO 9001 及び ISO 9002 をそのまま引用。
・追加要求事項は、全ての医療機器に適用されるものと高リスクの医療機器にだけ適用さ
れるものに分けられる(リスクの防止に係る条項が多い)
。
【利用状況】
・カナダ、オーストラリアは、ISO 13485/13488 をそのまま法令化、日本とアメリカはこ
れに追加要求項目あり。
・我が国では、国内の任意の制度として数組織がこれらのセクター規格に基づく認証を受
けている。さらに、一部の国/地域に於いて認証制度が運用されており、我が国の組織
もこれらに基づく認証を受けている。
1.3.3 電気通信分野製品品質システム
規格番号
TL9000
規格名称
TL9000 品質システム要求事項(リリース 3.0)
TL9000 品質システム測定法(リリース 3.0)
ISO 発行
―
―
JIS 制定
―
―
【背景・経緯】
・アメリカの通信事業者が各社それぞれ品質システム要求事項を設定、統一要望。
- 19 -
・1996年4月、QuEST フォーラム結成(北米の通信サービス提供者が中心)。
・1996年6月、TSP 間の品質要求事項の標準化作業を開始。
・1999年5月、QuEST フォーラムは、ISO/TC176 に TL9000 を基にした通信サービ
スの ISO 9001 セクター規格の開発の提案を行ったが、その後まだ開発段階であるとの
理由から自ら提案を取り下げた。
・2001年3月、ISO 9001:2000 を取り入れたリリース 3.0 を QuEST フォーラムが発
行。
【規格の構成】
・ISO 9001 を基礎に通信サービス業界特有の要求事項、ハードウェア・ソフトウェア・
サービスに特有な要求事項、これらの測定基準(Metrics)に関する要求事項からなる4層
構成となっている。
・主な追加要求事項は、顧客満足度、継続的改善、測定法(Metrics)等からなる69項目の
追加事項。
・審査登録、ロゴの使用に関する要求事項を含む。
【利用状況】
・15 企業が参加したパイロットプログラムを実施。
・米国適合性認定協会(RAB)は積極的に関与。LRQA、UL 等を認定。
・ヨーロッパでは、モトローラ、アルカテル社が中心となって展開。
・2000年6月、横浜で QuEST フォーラム会合が開催。
・2002年10月1日現在、認定された審査登録機関は36機関(アメリカ21、カナ
ダ3、中国2、韓国6、イギリス1、シンガポール1、アイルランド1)。
1.3.4 航空宇宙品質システム
航空宇宙分野:ISO/TC20(航空機及び宇宙航行体)
ISO
(WG11)
規格番号
JIS Q 9100
(IAQG9100)
(SJAC9100)
規格名称
ISO 発行
品質マネジメントシステム―航空
―
宇宙―要求事項
JIS 制定
01.11.20
【背景・経緯】
・1997年4月、TC20 東京総会で上記規格の標準化を目的に ISO/TC20/WG11 が発足。
・1997年5月、アメリカ各航空機メーカは外注会社に対し、各社バラバラの品質シス
テム要求を行ったことから、外注会社は業界に標準化を要求し、AAQG(American
Aerospace Quality Group)は、ISO 9001+α(航空宇宙に必要な28項目)の内容から
なる航空宇宙品質保証規格(AS9000)を発行。
・1998年4月、ヨーロッパにおいてもアメリカと同様に ISO 9001+α(航空宇宙に
必要な項目)の内容からなる航空宇宙品質保証規格(EN9000)を発行。
・1998年12月、日米欧の航空宇宙産業界は、世界共通の品質システム規格を作成す
るため、IAQG(国際航空宇宙品質グループ)を結成し、ISO/TC20/WG11 と連携して
- 20 -
WD2(作業文書)を開発。
・1999年6月、IAQG は、ISO/TC20 で開発された WD と同一内容の業界規格を制定。
IAQG メンバーは、この WD を各国語に翻訳して一致規格として発行することとした。
(アメリカ:AS 9100 (99.11)、ヨーロッパ:prEN 9100 (00.01)、日本:JIS Q 9100 (00.08))
・同時に、ISO/TC20/WG11 は WD の完成に伴い作業を中断。
・2001年3月、IAQG において ISO 9001:2000 を取り入れた改正版を発行。
【規格の構成】
・品質システムに形態管理を追加、特殊工程、不適合管理等に対する厳密な管理を追加。
・改正版では、ISO 9001 新旧両規格を併記。
【利用状況】
・IAQG の認証スキームが制定済。
・我が国では2001年11月からJABを認定機関とする審査登録を開始。
・国別認定機関数は、2002年10月1日現在9か国9機関。
・審査登録機関は、2002年9月1日現在37機関。
1.3.5 食品衛生マネジメントシステム
農産食品分野:ISO/TC34(農産食品)
規格番号
SC1
WG8
規格名称
ISO 発行
JIS 制定
IS 15161
―
食品・飲料産業において ISO 9001:2000 01.11.29
を適用するための指針
AWI22000 食品安全マネジメントシステム―要求事項 2003.12 予定 ―
【背景・経緯】
・1997年3月、DIS315161(食品・飲料産業において ISO 9001 及び 9002 を適用す
るための指針)は投票の結果、否決。
・そ の 後 、 ISO 9001:2000 に 併 せ て 再 審 議 が 行 わ れ 、 2 0 0 1 年 1 1 月 2 9 日 に
ISO15161 として制定。
・2001年6月26日、新規業務項目としての ISO22000 の登録及び作業グループとし
て TC34/WG8 の設立が決定。
・2003年3月10日、AWI22000 が CD4として3か月投票のために回付。
【規格の構成】
・HACCP は重要管理点を特定するために重要であり、ISO 9001 はそれを管理、監視す
るのに適したものである。したがって、ISO 9001 と HACCP の両者の適用は効果的な
食品衛生上の品質システムを構築するのに有効。
・CD22000 は、組織にとっての手段として、食品安全マネジメントシステムのための要
2
作業原案。国際規格作成プロセスの一つで審議される文書。CD の前段階の文書で、委員会以外への公表はな
い。
3
国際規格案。国際規格作成プロセスの一つで審議される文書。国際規格の二つ前段階の文書で、委員会以外へ
の公表はない。
4
委員会原案。国際規格作成プロセスの一つで審議される文書。DIS の前段階の文書で、委員会以外への公表は
ない。
- 21 -
求事項を規定したもの。
1.4 その他マネジメントシステム
1.4.1 QMS分野:ISO/TC176
ISO
SC3/
規格番号
規格名称
CD2.10018 苦情処理−組織のための指針
WG10
ISO 発行
JIS 制定
2004 年予定
Q 10018
とし て 制
定予定
【背景・経緯】
・1996年6月、ISO/COPOLCO(消費者政策委員会)では、「苦情処理」を国際規格
として取り上げることを勧告。
・オーストラリアは、国家規格(AS/NZS 4249:Complaints handling)を fast-track(迅速
手続き)で処理する提案を行ったが、投票の結果否決。
・2000年1月、ISO/TMB(技術管理評議会)は ISO/TC176/SC3(支援技術)に対し、
正規の手続きにしたがって本件を取り上げるよう要請。
・2000年6月、ISO/TC176 京都総会において SC3 の下でアドホックミーティングが
開催され、オーストラリア案に対しドラフトガイド72(マネジメントシステム規格の
正当性及び作成に関する指針)に基づく正当性確認作業を実施。
・2000年9月、SC3 は NWIP(新規業務項目提案)の投票を実施し、我が国は「賛
成、専門家を派遣する」旨回答。
・2000年12月、投票締切。
・2001年10月、TC176 バーミンガム総会において、WD(SC3/WG10 作成)に対す
る記述方式(should での記述)を決議。
・2002年5月、TC176 総会決議に基づき SC3/WG10 が東京で開催され、WD を修正。
・2002年6月、CD2.10018 として回付。
・2002年10月、TC176 アカプルコ総会において、SC3 が DIS 投票のための回付を
決議。
・2003年2月、DIS 投票として回付(7月13日投票締切)。
・我が国においては、JIS Z 9920:2000(苦情対応マネジメントシステムの指針)が制定
されているが、ISO10018 の翻訳規格としての JIS Q 10018 を制定予定(JIS Z 9920
は廃止予定)。
【規格(CD2)の構成】
・規格名称は、Complaints handling - Guidelines for organizations(苦情処理−組織の
ための指針)となり、組織における苦情処理プロセスの要素(計画、設計、運用など)
についての指針。
・ISO 9000 の用語を引用し、6つの用語を新たに規定。
・基本原則、苦情処理の枠組み、計画と設計、苦情処理プロセスの運用、維持及び改善に
ついて規定。
・8つの附属書の中で、小規模企業のための指針、苦情者用書式、苦情フォローアップ書
- 22 -
式などが参考として記述されている。
1.4.2 個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラム
規格名称
ISO 発行
JIS Q 15001 個人情報保護に関するコンプライアン
ス・プログラムの要求事項
−
規格番号
JIS 制定
99.03.20
【背景・経緯】
・1980年、OECD(経済協力開発機構)が“プライバシー保護と個人データの国際流通
についてのガイドラインに関する勧告”を採択。
・1995年10月、EUにおいて、“個人データ処理に係る個人情報の保護及び当該デー
タの自由な移動に関する欧州議会及び理事会の指令”を採択。
・1997年3月、通商産業省(当時)が“民間部門における電子計算機処理に係る個人情
報の保護に関するガイドライン”を告示。
・1999年3月、JIS Q 15001 を制定。
【規格の構成】
・個人情報の全部若しくは一部を電子計算機などの自動処理システムによって処理している、
又は自動処理システムによる処理を行うことを目的として書面などによって処理している、
あらゆる種類、規模の事業者に適用できる。
【利用状況】
・(財)日本情報処理開発協会プライバシーマーク事務局が実施するプライバシーマーク申
請時に利用されている。
・2003年3月末時点でのプライバシーマーク使用許諾事業者は、情報サービス・調査業、
印刷業、学習塾を中心に517事業者となっている。
((財)日本情報処理開発協会プライ
バシーマーク事務局調べ。延べ認定数)
1.4.3 情報セキュリティマネジメント:ISO/IEC JTC1/SC27
ISO /IEC/JTC1
規格番号
SC27
ISO/IEC
17799
ISO/IEC
TR133351
規格名称
ISO/IEC 発行
情報技術−情報セキュリティマネジメ 00.12.01
ントの実践のための規範
IT セキュリティマネジメントのガイド 96.12.15
ライン−第1部:IT セキュリティの概
念及びモデル
JIS 制定
02.02.20
01.03.01
【背景・経緯】
・ISO/IEC 17799は、BS 7799-1をベースに2000年12月に国際規格として制定。
・ISO/IEC TR 13335については、第1部から第5部まで発行されており、第1部から第
4部までは国内の標準情報(TR)化(TR 0036-1∼TR 0036-4。いずれも2001年
公表。)を行った。第5部については、2003年3月に国内でTR化のための審議を
予定。
【規格の構成】
・ISO/IEC 17799は、組織のセキュリティ標準の開発及び効果的なセキュリティマネジメ
- 23 -
ントの実施のための共通基盤の提供、並びに組織間の取引を信頼できるものにすること
を目的に開発された。
・ISO/IEC TR13335は、5部からなる規格群で、13335-1はITセキュリティマネジメン
トを最初に説明する上で欠くことのできない、基本的な管理の概念及びモデルを説明し
ている。
【利用状況】
・2001年4月、(財)日本情報処理開発協会ISMS事務局を中心に、ISO/IEC17799
をベースにしたISMS基準による適合性評価制度(ISMS)のパイロットプロジェクトを
開始。
・2002年4月、パイロットプロジェクトの本格運用。
・2003年3月26日現在で、審査登録機関7件、審査員研修機関9件、事業者登録数
92件。
1.4.4 労働安全衛生マネジメントシステム
規格番号
規格名称
BS 8800
OHSマネジメントのガイド
OHSAS 18001 労働安全衛生マネジメントシステム―仕様
ISO 発行
JIS 制定
―
―
―
―
【背景・経緯】
・ 1996年、BSI は非認証用の規格 BS 8800(OHS マネジメントのガイド)を制定。
・ 1999年4月、BSI が中心となり各国の審査登録機関・研修機関等が集まり、認証
目的の OHSAS 18001 を発行。
・ 2000年4月、BSI が ISO に新規 TC 設立提案を行うが否決。
・ 2000年6月、ILO からの共同文書開発提案も ISO/TMB で否決。
【規格の構成】
・ 組織が労働安全衛生マネジメントシステムを構築して、その結果を内部監査し、場合
によっては第三者登録されることを目的に開発された。
1.4.5 リスクマネジメントシステム
リスクマネジメント用語:ISO/TMB Ad-Hoc Group
規格番号
規格名称
ISO 発行
JIS/TR
制定・公表
JIS Q 2001
TMBadhoc
ISO/IEC ガイド 73
(TR Q 0008)
リスクマネジメントシステム構
築のための指針
リスクマネジメント−用語−規
格において利用するための指針
―
01.03.20
02.06
決議 49/2001
03.02.01
【背景・経緯】
・1995年7月、阪神淡路大震災を契機として、企業等の組織が、自然災害や爆発事故
等の危機への対応を経営管理の中に位置づけて組織全体として取り組むための「危機管
理システム」の標準化調査研究を開始。
・1996年8月、これまでの成果をまとめ、標準情報 TR Z 0001(危機管理システム)
- 24 -
を公表。
・1998年9月、TR Z 0001 を改正した TR Q 0001(危機管理システム)を公表し、同
時に TR Z 0001 を廃止。
・1999年末、リスクマネジメントシステム構築に関する指針の JIS 原案を作成。
・2001年3月、JIS Q 2001(リスクマネジメントシステム構築のための指針)を制定。
【規格の構成】
・リスクマネジメントシステム構築のための一般的な原則及び要素を提供。
・リスクマネジメントシステムの認証規格としての使用を意図していない。
1.5 マネジメントシステム審査登録制度における組織の現状
平成14年7月に(財)産業研究所が㈱UFJ 総合研究所に委託したアンケート結果をも
とに、現状を以下の9項目にまとめた。
1.5.1 審査員の基礎的資質
マネジメントシステム審査に関し、受審組織が直近に受審した審査の審査員の力量に
ついて五者択一の調査をしたところ、以下の結果となった。
また、審査員が組織を審査する際の質的向上に関し、力量の改善が必要と思われる知
識を以下の5つから複数回答で調査をした結果、“組織特有の知識と適応能力”に関す
る知識の改善要望が54.9%と最も高かった。2番目に高い回答は、業種によって異
なり、製造業では、
“必要なプロセスを把握理解する知識”
、建設業及び卸・小売・サー
ビス業では、“組織の事業分野に関する知識”となった。
更に、審査員の採用又は契約時に審査登録機関が評価の対象としている項目を以下の
5つから複数回答で調査をした結果、“個人的な特質”が87.9%、
“審査に必要な知
識”が60.6%となった。
- 25 -
改善が必要な点(審査員力量)
- 26 -
1.5.2 審査員の能力開発
審査員の能力開発に関し、組織に対して、審査員の力量向上に役立つことを以下の6
つから複数回答で調査したところ、“審査員資格・実績などの情報を審査登録機関や審
査員評価登録機関から公表する”が52.5%と最も高くなった。
また、審査員の質向上に役立つ方法として、以下の8つから複数回答で調査をした結
果、“研修機関の研修内容の向上”27.3%、
“審査員評価登録機関の運用の厳格化”
21.2%が高いが、その他63.6%と非常に多く意見が分散している。
更に、審査登録機関に雇用されている審査員補については、審査実績取得のために、
「審査員補のための実績確保」の図に示す義務づけをしている。
- 27 -
- 28 -
1.5.3 審査に係る情報公開
審査実績、審査員の質に関する情報公開の内容について、既に実施しているものを含
めて重要と思われる項目を以下の7つから複数回答で調査をした結果、“審査登録機関
自身の企業情報”が78.8%、“登録、取消しなどの実績件数”が54.5%と高
かった。一方、審査員の格付け情報についても、6.1%の審査登録機関は重要と回答
している。
1.5.4 審査員の評価
審査員の評価に関し、審査登録機関が審査員の採用又は契約時に評価の対象としてい
る項目を以下の5つから2つの回答で調査をした結果、“個人的な特質”が87.9%、
“審査に必要な知識”が60.6%となった。
また、同様に審査員のレベル維持・向上のための評価方法として重点を置いている項
目を以下の5つから2つの回答で調査をした結果、“受審組織の評価”及び“チーム
リーダの評価報告”がともに60.6%となった。
- 29 -
1.5.5 審査登録機関の審査能力
審査登録機関の審査能力に関し、審査内容の満足度については、全体として、大変役
に立った5.2%、大体満足79.8%となっている。不満足は4.5%であった。規
模別では、300人以上で大変役に立った1.3%、大体満足88.2%となっている。
また、同様に登録審査の準備プロセスについて ISO 19011 で推奨されている事項を
- 30 -
調査した結果、以下の回答となった。
①監査プログラムを含む監査のレベル維持・向上策として実施している事項を以下の5
つから複数回答で調査をしたところ、50%以上の機関が、“監査の原則の理解”、
“監査プログラムに関する権限”、“監査プログラムの作成”、“監査プログラムの実
施”及び“監査プログラムの監視及び見直し”に関して実施していた。
②監査プログラムの実施に際し、パフォーマンス指標として用いている項目について、
以下の5つから複数回答で調査をしたところ、“審査依頼者、審査員からのフィード
バック”が87.9%、
“審査チームの能力”が75.8%と高く、“判定委員会など
の結果活用”、“監査プログラムとスケジュールの適合度合い”を指標としている機関
が50%を超えた。
③監査プログラムのレビューで考慮している項目を、以下の8つから複数回答で調査を
したところ、“市場・消費者のニーズ”、“利害関係者のニーズと期待”についてはそ
れぞれ、24.2%、30.3%と低い回答となった。
更に、審査員のレベル維持・向上のための実施項目を5つから複数回答で調査したと
ころ、“監査に必要な知識の再教育”が81.8%、“監査現場での個別指導”が66.
7%となった。
- 31 -
- 32 -
1.5.6 審査登録機関の情報公開
審査登録機関の情報公開に関し、次の①、②の質問を行った。
① 審査登録機関の選定理由について、以下の11から複数回答で調査をしたとしたと
ころ、“採用したコンサルタントからの推薦”が47.0%と最も高かった。
② 審査登録機関を選定する際の判断材料の入手方法について以下の5つから、判断材
料について以下の8つから複数回答で調査したところ以下のようになった。
- 33 -
選定材料の入手方法
70
60
50
40
30
20
10
0
コンサルタント
同業他社情報
インターネット
- 34 -
直接聞く
雑誌等媒体
1.5.7 認定機関による認定審査
認定機関による認定審査に関し、審査登録機関に対して以下の調査を行った。③は記
述式とした結果、判断材料は“国内の認定機関であること”
、“顧客のニーズ”が高く、
判断材料の入手方法は“他登録機関との情報交換”
、
“顧客から”が高かった。
① 同一認定機関におけるマネジメントシステム規格毎の審査の満足度。
② 認定機関として改善が必要な点について5つから複数回答。
③ 認定機関選定の判断材料及び判断材料の入手方法。
- 35 -
1.5.8 登録審査とコンサルテーション5の分離
登録審査とコンサルテーションに関し、受審前コンサルタントのアドバイスと審査登
録受審時の審査の指摘内容について、異なったことがあるかどうかを調査した結果、異
なったと回答した組織が39.6%、異なったことはないと回答した組織が38.3%
であった。
1.5.9 マネジメントシステム審査登録制度に係るコンサルタントの役割及び力量
マネジメントシステム審査登録制度に係るコンサルタントの役割に関し、システムの
構築、実施、維持、改善にあたりコンサルタントを活用したかどうかを調査した結果、
65.1%がコンサルタントを活用しており、特に49人以下の組織では78.1%が
活用していた。
また、コンサルタント活用組織に対し、マネジメントシステム構築と運用の双方につ
いて、コンサルタントの有益度を調査した。
更に、コンサルタントの選定基準となる指針の必要性については、必要性があると回
答した組織が56.2%と高く、特に99人以下の組織では、60%とより高くなって
いる。
5
コンサルタント業務と同義。コンサルタント業務については、IAF ガイダンスで、
「コンサルタント業務とは、審査する
QMS(EMS)の構築に関して積極的、独創的な手法で参画することと考えられている。
」と規定されている。詳細は、IAF
ガイダンス参照のこと。
- 36 -
- 37 -
1.6 マネジメントシステム規格と認証制度の課題と今後の環境
1.6.1 QMS規格と認証制度の今後の環境
QMS規格を利用した第三者認証制度は、民間の任意の制度として1993年に創設
されて以来、10年が経過し、認証件数も大幅に増加する等普及が進んできている。こ
の間、マネジメントシステム規格に係る認証制度を巡る環境には大きな変化が見られる。
(1)認証制度のステークホルダーの範囲拡大
創設当初は、前述のとおり主に企業間取引が想定されており、ステークホルダーは
限定されていたが、その後徐々に、認証を取得した組織は、認証結果を企業間取引で
利用するだけではなく、一般消費財等市場型商品を供給する企業を中心として、一般
消費者、株主など不特定多数を対象にして企業の信頼性向上、イメージ向上の手段と
しても利用するようになった。その結果、認証件数の増加とも相まって、一般消費者、
株主なども認証取得に注目するようになった。さらに、最近では、一定の品質を確保
するための手段として、第三者認証取得を公共調達の参加資格の評価で有利に扱うと
ころも出てきている。これによって、製品の技術的側面などを熟知している購入者に
加えて、製品の技術的側面には必ずしも精通していない、主に製品(サービスを含
む。)品質の優劣に関心を持つ一般消費者、公共調達主体もステークホルダーとして
重要な位置を占めるようになってきている。
さらに、認証を取得する組織、審査する審査登録機関の増加に伴い、組織の考え方
も多様化した結果、制度創設時に前提としていた環境が必ずしも成立しない状況が生
じている。(例:1.6.1(6)参照)
(2)QMS規格と認証制度への期待の変化
QMSの認証制度の経緯を考慮すると、二者監査の一部の代替という性格が強く、
マネジメントシステム規格への適合性が認証審査の主眼である。しかし、QMS規格
への適合性を評価・登録する認証制度を「一定の品質を持つ製品」を認証する製品認
証制度と同じ様な制度と考える“誤解”もあって、QMSの認証には大きな期待が抱
かれるようになってきている。これは、QMS規格に適合するマネジメントシステム
を有する組織が、品質の高い製品を供給することへの期待であり、また、そのことを
第三者として保証すると考える認証制度への期待でもある。
(3)社会的位置づけの変化
創設当初、第三者認証制度は企業間取引を中心とした限定的な役割を持つに過ぎな
かったが、ステークホルダーとして一般消費者、株主などが参画するにつれて、認証
取得に対して客観的品質向上の推進役としての期待が高まってきている。さらには、
WTO/TBT 協定の発効に伴い、国際標準である ISO 9000 シリーズ規格及びそれに基
づく認証制度の重要性が認知されるようになった。このようなことを背景として、Q
MS規格に基づく認証制度は、企業の説明責任を果たすための道具の一つとして、一
般消費者、株主などを含め広範なステークホルダーに認知されるようになった。
- 38 -
(4)対象取引の変化
品質管理そのものが工業製品を対象として発達してきたこと及び、ISO 規格作成に
あたって基礎となった各国・地域のQMS規格が工業製品を想定したものであったと
いう経緯から、当初の ISO9000 シリーズ規格は専ら製造業を対象としたものであっ
た。その後2回にわたる規格の改訂を経て、現在の規格は、製造業以外の業種でも適
用しやすくなるように変更され、その結果、サービス業などにもその適用が進んでい
る。
(5)セクター別QMS規格の登場
最新のQMS規格はあらゆる業種に適用可能となるよう一般化されたものとなって
いるため、逆に、特定の業種にこれを適用する場合の要求事項としては不十分な場合
がある。このため、特定の業種にふさわしいセクター別QMS規格を作成し、それら
を基にした固有の第三者認証制度を構築するケースがでてきている。
(6)第三者認証制度にまつわる「負のスパイラル」
社会的信頼の低下
コンサルタントへの依存
QMSに係る負のスパイラル
コンサルタントと審査の迎合
審査登録機関の役割の認識不足
認証費用の下げ圧力
中小企業への普及
認証さえとれれ
ばよいという考え
方
認証取得の本来意義
の認識が不足
安く簡単に認証すれば
儲かるという考え方
低品質審査
への疑問と妥協
信頼感の喪失
調達条件の要件化
形式的審査
収益水準の低下
審査員/審査プログラム
の質維持が困難
審査登録機関の
運営負担増加
審査員の水準低下
ISO9000‘sの普及
研修内容の限界
社会的信頼の低下
審査員評価登録
の限界
組織側
認証制度のしくみ側
(注)図中の は、制度運営者、一般消費者等の利害関係者に公開・公表することに
よって、直接・間接に知り得ると思われる箇所(第3章を参照)
- 39 -
これまで示してきた環境変化、即ち、第三者認証制度のステークホルダーの範囲拡
大、期待の変化、社会的位置づけの変化などと併せて、制度の健全な発展を図る上で
重要な論点として、マネジメントシステムの認証取得を形式的なパスポートとして捉
える考え方が出てくることで、第三者認証制度そのものの質の低下を招き、結果的に、
制度そのものがいわば「負のスパイラル」に陥る恐れがあるのではないか、との見方
がある(上図参照)。
ISO9000 ファミリーが普及するにつれて、調達側から認証取得が要件の一つとし
て捉えられるようになってきている。最近では、大企業での認証取得は一段落してお
り、中堅・中小企業での認証取得が新規取得の主流となりつつある。このような普及
とは裏腹に、限られた経営資源の下では、コンサルタントへの依存が強まるほか、認
証取得の目的意識が希薄で認証取得そのものが自己目的化することによる、「審査の
質の善し悪しよりも費用、時間の負担が少なければ少ないほど良い。」という安易な
考え方に陥いる懸念が指摘されており、併せて、このような考え方を排除しにくい制
度設計となっていることも指摘されている。
このような考え方をする組織が現れると、営利追求の観点から、安価な審査費用で
短い審査時間の「簡単な認証」という行動に走る審査登録機関が現れ、結果的に、審
査が形式的な審査となってしまうのではないかという懸念がある。さらに、画一的、
表面的、機械的といった低品質の審査は、組織からすれば審査への疑問と妥協、認証
への信頼感の喪失につながり、第三者認証制度の社会的信頼の低下に波及しかねない
おそれを含んでいる。このような認証への信頼感の喪失は、認証そのものの評価の低
下に繋がり、安価に認証さえとれればいいという組織側の考え方を助長することにな
り、一層の価格下げ圧力を強め、審査登録機関間の価格競争に拍車をかける、という
「負のスパイラル」に陥るおそれが高くなる。
また、低収入による収益水準の低下が審査登録機関の審査員及び審査プログラムの
質を維持することを困難にし、審査登録機関の技術的能力が不十分となる懸念が生じ
る。さらに、形式的審査に陥った審査登録機関では、その要求に見合った審査員を採
用することになるとともに、低品質審査への疑問は、審査員の技術的能力の過小評価
を招き、新たな審査員候補の水準低下につながりかねず、審査員の質の維持が困難と
なるおそれがある。
また、コンサルタントを利用するにあたっても、その低価格化の圧力とともにコン
サルタントと審査の独立性に疑義を招くようなケースが起こると、第三者認証制度の
根幹に係る信頼低下につながりかねない。
このような「負のスパイラル」が発生する原因はいくつかの要素が組み合わさって
おり、その代表的なものを挙げると、次のようなものがある。
① 組織側の認証さえとれれば良いという考え方。
② 審査側の安く簡単に認証すれば儲かるという考え方。
③ 審査側としては、審査の質の低下。
④ 質の良い審査員の採用・維持・確保が困難になる。
- 40 -
⑤ 組織側からは審査コストに見合う利益が必ずしも得られていないという評価。
1.6.2 EMS規格と認証制度の今後の環境
EMS規格に係る認証は1996年に国内の体制が整備されて以来、QMS規格に係
る認証と同様にその認証件数は大きく増加している。この間、EMS規格に係る認証制
度の環境は当初の様相と変化が現れてきている。
(1)認証取得組織の業種の拡大
地球環境問題は、公害対策だけでは不十分とすることから発展してきたという経緯
もあって、EMSの認証制度は、製造業を中心として普及してきた。これは、組織の
イメージアップ向上とともに環境対策のコスト低減というメリットがあったためと思
われる。
このようなメリットは、製造業のみならず、サービス業でも享受できることから、
行政サービス、教育、研究開発なども含めたサービス業にまで普及してきている。
さらに、公共調達も含めた調達においても、グリーン調達の観点から、認証の取得
が有利に評価され業種の拡大が見られるようになってきている。
(2)EMSの認証制度への期待の変化
EMSはそのパフォーマンスに様々なレベルがあることを許容していることから、
認証されたことが組織それぞれのパフォーマンスの水準が高いことを示しているわけ
ではない。しかし、EMS規格に係る第三者認証を「環境に優しい企業、環境に優し
い製品を提供する企業」であることを第三者的に保証しているものと考える“誤解”
もあって、EMSの認証制度への期待が大きく広がってきている。この“誤解”から
派生して、環境負荷の面で期待に応えられない組織、製品に巡り会った場合には、E
MSの認証に対する不満、疑問につながる。このような“誤解”の原因として、EM
S規格では組織の自主性を尊重するという立場から、環境側面の選択も組織の自主性
に任されており、必ずしも組織全体の環境側面を網羅しているものではないことに対
する理解不足が挙げられる。
以上のように、マネジメントシステムの認証制度は認証件数の増加と合わせて、社会
的な認知が進み、制度創設当時と状況がかなり異なってきている。マネジメントシステ
ム規格に係る第三者認証制度が、この様な新たな状況に適切に応えられなければ、即ち、
認証制度そのものの「継続的な改善」が行われなければ、マネジメントシステムの第三
者認証制度のさらなる発展は望めない。
- 41 -
第2章 マネジメントシステム規格の普及戦略
通常、規格はその利用者を含めた全ての利害関係者のコンセンサスを基に策定される。ま
た、規格の利用は組織の選択の自由であって、国などがその利用を強制するものではない。
このような考え方の下で、マネジメントシステム規格に係る認証制度は民間の任意の制度と
して運営され、民間の努力もあって広く普及しており、順調な発展を遂げてきている。しか
しながら、前章で示したようにマネジメントシステムの第三者認証制度を巡る環境が変化し
てきている。このため、このような環境変化を踏まえたマネジメントシステム規格に係る第
三者認証制度の新たな方向性を示すことによって、マネジメントシステム規格の正しい理解、
適切な普及に資するとともに、本制度が社会的責任を果たすこと及び利害関係者が制度の目
的について共通の認識を持つことに資することを期待する。
本章では、アンケート調査などをもとに本専門委員会での議論を踏まえ、これからのマネ
ジメントシステム規格に係る第三者認証制度普及戦略を、また、第3章ではさらに具体的な
方向性をを示した。
2.1 第三者認証制度の理解増進
マネジメントシステム規格に係る認証件数が増加し、調達側、一般消費者、株主などの
関心が高まっているが、製品の品質の認証、あるいは、「環境に優しい企業」、「環境配慮
製品」の認証と“誤解”されている面がある。これは、マネジメントシステムの認証制度
が、組織のマネジメントシステムの規格適合性を主眼に審査が行われているにもかかわら
ず、実際に高い品質の製品を供給する能力、環境負荷の低い製品を供給する能力を、QM
S規格や EMS 規格に係る第三者認証制度が間接的にせよ認証するものであって欲しい、
という期待のあらわれでもある。
一方、認証の取得者に目を転じると、マネジメントシステムの認証を取得すれば、ビジ
ネスチャンスが拡大するのではないかという考え方がある。また、公共調達など購入側に
おいては、認証を得ている組織であれば良質な製品を提供する、あるいは、環境に優しい
企業活動・製品を提供するとの認識の下に、認証の結果だけを重視する傾向もある。
これらは、マネジメントシステムの第三者認証制度では認証取得をもってその効果が出
ると短絡的に期待しているものであり、制度の目的が十分に理解されていないことが伺わ
れる。
このような“誤解”を解消するためには、まず、マネジメントシステムの認証制度を正
しく理解してもらうことが重要であり、このために認証制度にかかわっている関係者すべ
てがその努力を払わなければならない。特に、認定機関、審査登録機関にあっては直接認
証制度に係わっている当事者として、積極的な普及啓発活動が求められる外、日本工業調
査会においても継続的な現状把握を踏まえた、普及啓発活動が求められる。
他方で、制度への理解不足という状況があるにしても、認証制度の各当事者が、このよ
うな「期待」にどこまで応えることができるかについて前向きに検討する必要があるので
はないか。そのことによって、本制度の意義、役割がより深いものに発展していく可能性
- 42 -
があるのではないか。
2.2 登録審査の質の向上
マネジメントシステムの認証制度がこれからも社会的に受け入れられるためには、審査
の質を絶えず向上し、高い水準に維持してくことが不可欠である。審査の質には、審査技
術の水準と公平性の両面がある。このいずれが欠けても、社会的信頼を損いかねない。そ
の意味で、認証制度に係る者はすべて、絶えず審査の質向上のための努力を継続しなけれ
ばならない。
2.2.1 審査員、審査登録機関、認定機関の審査能力について
審査に関連して、審査員の持つべき能力については、ISO19011 に、審査登録機関が
持つべき能力については、ISO/IEC ガイド 62、ISO/IEC ガイド 66、ISO19011 に、認
定機関が持つべき能力については、ISO/IEC ガイド 61、ISO19011 に、それぞれ規定
されている。さらに、IAF(International Accreditation Forum)では上記ガイドに関す
るガイダンス文書を作成している。
研修機関、審査員評価登録機関にあっては、これら規格、ガイド、ガイダンスを基本
にして IATCA- PL-01-013、IATCA- PL-02-001 といった基準が作成されている。これら
ガイド、ガイダンスでは、能力として求められる事項、範囲を中心として記述しており、
それぞれの国・地域の認定機関が方向性を定め、具体的な能力の水準については審査登
録機関、研修機関などが独自に設定できることとなっている。これら規定、ガイド、ガ
イダンスは、審査の質を確保・維持するために最低限遵守すべきものであり、それぞれ
の機関の自助努力によって、より質の高い審査が行われる必要があることは当然のこと
である。
2.2.2 審査の質の維持・向上の意義
マネジメントシステムの認証を取得していることに組織側が感じるメリットは、主に、
①組織自身の活動の品質向上、あるいは、環境対策コストの低減などに資することと、
②受注活動や組織イメージの面で、顧客及びその他の利害関係者に対し、他組織との差
別化ができること、③質の高い製品やサービスの顧客への提供を通じて、社会の発展に
貢献すること、にある。
マネジメントシステムの認証によって品質向上、あるいは、環境コストの低減などに
資するためには、審査が企業側及び消費者側から信頼され、適切なマネジメントシステ
ムの構築及び運営に反映できるものでなければならない。また、ISO9001/14001 に係
る認証の普及に伴い、認証を受けていることだけでは、差別化が困難になりつつある。
他方で、審査の過程では、規格の解釈を拡大した審査や審査員間の判断の混乱など審査
技術や質の違いについての指摘もしばしばなされている。その意味で、審査の質の向上
を通じて、より的確な審査が行われるようになれば、認証を取得した組織の、取得して
いない組織との差別化の期待に応えることができることになる。
- 43 -
現在、マネジメントシステムの認証制度は、法令で強制されている場合を除き任意の
制度として設立、運用されているが、評価登録機関に登録された審査員が優先的に活動
している現状、さらに、現在の認証の普及状況、認証の経済活動に与える影響を考慮す
れば、審査の質の維持・向上は認証制度としての社会的責任を全うするためにも重要な
課題である。また、一般消費者に製品やサービスを提供する組織を対象にしたマネジメ
ントシステム規格に係る第三者認証が増加することが予想されること、組織活動そのも
のの信頼、信用確保のためのマネジメントシステムへの第三者認証制度適用の可能性が
あることを考慮すれば、認証制度の社会的責任はますます増大するものと思われる。
2.2.3 審査の質の維持・向上の責任の所在
審査の質は、第一義的には審査員の質であり、審査員自身による不断の努力によって
維持・向上できるものである。このような認識から、審査員の審査員評価登録機関、研
修機関を設け、各種のガイドによって審査員の質を維持・向上できる制度が作られてい
る。とりわけ、認証制度に係るプロセスの中で認証に対する責任を負うのが審査登録機
関であることを考えれば、審査登録機関が審査員の質の維持・向上に最も重い責任を負
うことになるのは自明である。
また、マネジメントシステム審査登録制度上の我が国で唯一の認定機関である JAB
も、審査員の質、審査の質の維持・向上について重要な責任を持っていることは言うま
でもない。
2.3 登録審査とコンサルテーションの分離
マネジメントシステム規格に係る認証制度が社会的な認証制度の一つとして受け入れら
れるようになってきたのは、これまでの関係者の努力の賜物である。民間による任意の制
度として運営されていることから、民間企業の自由な参入と競争が前提ではあるが、その
社会的な重要性の高まりに鑑みれば、営利追求のみを目的とした企業活動ではなく、社会
的な信用確保あるいは、その維持・向上も同時に基本になければならない。
このためには、審査の透明性・公平性がますます厳格に運用されることが求められてい
る。特に、コンサルテーションと審査の分離独立は、本制度の信頼性確保の根幹をなすも
のの一つである。
登録審査とコンサルテーションの分離については、IAF や ISO/CASCO でもあらためて
徹底すべきだという認識が広がってきており、IAF では認定機関における Code of
Conduct(Best Auditing Practice)のあり方について議論が進められており、将来的には審
査登録機関に同様な対応が求められることも考えられる。
同様に、ISO/CASCO では認定機関の要求事項を定める ISO/IEC ガイド 61 の改正
(ISO/IEC DIS 17011)が進められており、公平性の観点から組織構造、運営方針、手続
きについて規定されるとともに、認定機関の活動とコンサルタント業務が関連をもたない
ように明確に規定されている。また、審査登録機関の要求事項に関しては、ISO/IEC ガイ
ド 62 及び 66 の統合(ISO/IEC CD 17021)が進められており、トップマネジメントの方
- 44 -
針の導入、法的措置、組織構造などの観点から審査登録機関に対する透明性・公平性に関
する要求事項が検討されている。
このような基本原則を遵守し、かつ、遵守していることが社会的に広く認知されること
によってはじめて、認証制度のこれからの発展の基盤が確保されることになる。
2.4 コンサルテーションの質的向上
2.4.1 コンサルタントの役割
マネジメントシステム審査登録制度に係るコンサルタントは、マネジメントシステム
の構築・運用などの支援に当たって、規格及び対応業種に関する知識・経験、マネジメ
ントに関する知識・経験などといった審査員に要求される特質に加え、組織とのコミュ
ニケーション能力並びに組織を評価、リード、支援、動機づけするなどの役割も期待さ
れており、現場に即した適応能力を有する専門家であることが必要である。
更に、組織によってはマネジメントシステム規格の要求事項を超えて、組織の社会性、
公益性などを重視する利害関係者からのニーズに応えるために、経営品質の向上のため
のコンサルテーションを求める場合もある。
このために、業種に対する専門性を含めて、コンサルタントには多種多様な資質・力
量が求められることから、コンサルタントの能力を評価するための一種の基準が必要と
考えられる。
2.4.2 組織から見たコンサルテーション
第三者の審査登録を通して、組織が、マネジメントシステム規格への継続的な適合を
目指し、あるいはこれを踏まえた持続的な成長を目的としている場合には、組織パ
フォーマンスの向上に向けたシステムの構築拡充、展開など、多様な観点からのコンサ
ルテーションが可能なコンサルタントへのニーズがある。
また、中小企業の場合には、組織自身のリソース上の制約、顧客又はその他の利害関
係者からの認証取得の要請などを背景に、外部からの支援、即ちコンサルタントの支援
を必要とする場合も生じる。
コンサルタントを採用する組織は、マネジメントシステムの導入によって、組織の全
体的な目的やニーズにレベルの高い状態で対応できるかどうか等を組織自らが評価する
ことが重要であり、また、コンサルタントは組織のこのような対応の面に影響を及ぼす
ものであるという認識が、組織側に必要である。
特に、中小企業では、マネジメントシステムの構築、拡充、展開においてコンサルタ
ントに依存する範囲が広く、コンサルタントの良否が直接組織のマネジメントシステム
の良否に跳ね返ることになる。
このため、コンサルタントの支援を期待する組織は、コンサルタントの選考及び起用
が、マネジメントシステム導入のための重要なプロセスであることを認識する必要があ
る。したがって、認定機関や標準化団体の協力の下に、コンサルタントの選考及び起用
に当たっての基本的な考え方、選考に当たっての留意点、あるいは選考したコンサルタ
- 45 -
ントの起用に当たっての注意点などについて、普及啓発、広報活動が必要となる。
2.4.3 組織とコンサルタントの表彰制度
マネジメントシステムの導入などにかかわるコンサルタントにモチベーションを与え、
また広く一般に公表することによって優良なコンサルタントを識別化させる手段として、
コンサルタントの表彰制度が考えられる。
コンサルタントの評価の重要な側面として、組織の自助努力とコンサルテーションの
相乗効果によって、組織のビジネスパフォーマンスが継続的に成長していることが挙げ
られる。そのことから、組織とコンサルタントの双方を表彰の対象とすることが考えら
れ、そのための仕組みを検討することも重要である。
その表彰にあたっては、例えば、TR Q 0005(クォリティマネジメントシステム−
持続可能な成長の指針)、TR Q 0006(クォリティマネジメントシステム−自己評価
の指針)
、JIS Q 9004:2000(品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針)、
JIS Q 14004:1996(環境マネジメントシステム−原則、システム及び支援技法の一般指
針)などを活用することが考えられる。
2.5 各種マネジメントシステム規格の共存
マネジメントシステム規格には、第1章で述べたとおり多種多様のものが制定され、そ
の一部では認証制度が運用されている。
品質、環境、労働安全、情報セキュリティ、リスクなどは、実際にこれらのマネジメン
トシステム認証を取得するかどうかにかかわらず、すべての企業がなんらかの形で取り組
んでいる。他方、組織がそもそも持っているマネジメントシステムを、品質、環境、労働
安全などの観点から要求事項としてまとめたのが、それぞれのマネジメントシステム規格
であり、これら規格との共存は本質的に可能である。現に、ISO9001 と ISO14001 の統
合審査が可能となっていることは、その一つの表れである。
マネジメントシステム規格を類型化すると、その作成時期や規格の性格に応じて大きく
三つに分類できる。第1は、ISO9000 ファミリーによるQMS規格で、これは認証件数
が一番多くなっているが、多くの企業に普及するに伴って、業種によっては、ISO9000
ファミリーによる品質システム要求では調達側の意向を十分に満たせないとのことから、
業種毎の特質を加味したセクター別QMS規格が作成されている。第2は、ISO14001 の
EMSや労働安全マネジメントシステムなどで、業種によるマネジメントシステムの違い
が明確でないので、現在セクター規格というものは存在していない。第3は、情報セキュ
リティマネジメントシステムなどで、現在セクター規格は存在しないが、業種によるセ
キュリティレベルは異なることも考えられるので、将来の姿は今のところ不明である。
こうしたことから、セクター別QMS規格の共存のあり方について、特に取り出して整
理した。
- 46 -
2.5.1 セクター別QMS規格の位置づけ
マネジメントシステム規格のうち、QMS規格については、ISO9000 ファミリーが、
当初の調達側による品質要求から、産業の幅広い利害関係者の品質に関する共通認識を
明確にするための一般的な基準に変化する中で、いくつかの業種において、ISO9001 の
要求事項に業種の特定要求事項を加味したセクター別QMS規格ができている。これら
は、特定業種のニーズを反映するものであり、調達側の意向が反映されるとともに、供
給者側にとってもニーズが明確となるという点では、双方にメリットがあると言える。
したがって、このようなセクター別QMS規格のあり方については、双方の業界の判断
に委ねることが適当と考えられる。
一方で、ある業種のセクター別QMS規格が、他業種のセクター別QMS規格と両立
性が確保されることなく制定される可能性があること、また、規格制定における透明性、
公正性、公平性が確保されない場合には非関税障壁になりかねないこと、更にはグロー
バル市場においてある特定の企業群による一方的な影響力の行使につながるおそれがあ
ることなどに注意する必要がある。
2.5.2 セクター別QMS規格の審議形態
これまでのセクター別QMS規格の制定過程をみると、ISO の枠内で作成されている
ものと、電気通信分野のように、そうでないものとがある。規格開発が ISO の枠内で行
われている場合は、ISO9000 ファミリーとセクター別QMS規格間、及びセクター別Q
MS規格間の矛盾を避けるために、ISO/IEC Directives Part2
6.8.26 や ISO ガイド
727などによる、ISO9001 との調整などが図られることとなっているが、ISO の枠外で開
発される場合には、必ずしもこのような調整が行われるとは限らず、調達側の主導の下
に行われることで、コンセンサス形成の過程が充分でないケースもあるとの指摘もある。
したがって、セクター別QMS規格の制定にあたっては、関係者に対してオープンな
議論が確保されることが重要であり、そのためにも、標準化団体等関係団体及び関係工
業会が傘下の企業の協力も得ながら、早めの情報収集を行うとともに、審議の透明性を
図るために ISO の枠内で利害関係者のコンセンサスをより重視して作業が進められるよ
うに働きかけるべきである。その際には、ISO での規格審議でしばしば指摘される長期
間の審議を避けるため、既に ISO の枠外で国際的に合意が得られているものについては、
Fast-track 制度8が活用できるようにすることも必要であろう。
2.5.3 セクター別QMS規格間の整合性
セクター別QMS規格間で要求事項に違いがあると、汎用的な部品を製造するメー
カーでは、複数のセクター別QMS規格が適用されることによって、マネジメントシス
テムの運用に混乱が生じるおそれがあることが指摘されている。こうした事態を避ける
6
7
8
ISO/IEC 専門業務指針 第2部 部門別の方針を参照
マネジメントシステム規格の正当性及び作成に関する指針。仮訳が(財)日本規格協会から出版されている。
ISO/IEC 専門業務指針 第 1 部 附属書 F F.2 “迅速法による手順”参照
- 47 -
ためには、関係団体・工業会間で、情報を共有するよう努めるとともに、ISO ガイド 72
などを参考に、規格相互の整合性を図り、必要に応じセクター別QMS規格の修正の働
きかけなどを共同して取り組む必要があろう。
2.5.4 セクター別QMS規格に係る審査
セクター別QMS規格の要求事項を満たすかどうかの第三者による審査については、
セクター別QMS規格及び認証がもつ内外の経済活動における影響力に鑑み、制度とし
ての透明性、信頼性が確保されることが必要である。そのためには、ISO/IEC ガイド
619、ISO/IEC ガイド 6210 などの国際ガイドに準拠した制度となっていることが必要であ
る。また、この制度においては、セクター別QMS規格が ISO9000 ファミリーに対する
付加的要求事項を規定しているという性格に鑑みて、その認証取得の負担軽減のため、
ISO9000 ファミリーの審査登録との重複審査は最小にするべきである。
2.6 マネジメントシステム規格の提案
我が国においては、特に業種業態に係らずに構築可能なマネジメントシステムとして、
ものづくりから発展してきた「品質管理」がある。
我が国の品質管理は、戦後まもなくから取り組まれたいわゆるSQC(品質管理)から
発展し、TQC(全社的品質管理)、TQM(全社的品質マネジメント)へとマネジメン
トシステム要素を組み込みながら発展を遂げている。
しかしながら、これまでは、学界を中心とした個人の能力によって、各組織に対する指
導を実施することが多かった。
一方、1993年のマネジメントシステム規格に基づく審査登録制度として、製品品質
に係る組織運用面を重点に、第三者が認証することによって、組織の運営のばらつきを低
減する効果をもつ ISO 9000 ファミリー及び同規格に基づく第三者認証制度の導入が契機
となって、我が国では製品品質を核としたTQMを基礎とするマネジメントシステム規格
開発の機運が高まり、2003年1月には二つのTRが2月には三つの JIS が公表・制定
されるに至っている。
ISO のマネジメントシステム規格作成の中でも先進的なこのような分野では、ヨーロッ
パ、北米、アセアン諸国等の標準化団体と連携して規格開発を提案をすると共に、ISO に
おける規格作成の早い段階からこれらの国々での普及を視野に入れた合意の形成が必要で
ある。
9
JIS Z 9361 として制定されている。
JIS Z 9362 として制定されている。
10
- 48 -
第3章 マネジメントシステム規格及びこの認証制度の今後のあり方(各論)
本章では、第2章の普及戦略を踏まえ、個別の視点、課題について各論を整理し解決の方
策を示した。これらの方策には、すぐに実施が可能なものから、国際的な場での議論を経て
コンセンサスを得る必要があるものまで、実施時期、実現可能性などの面でかなり幅がある。
また、それぞれの方策に具体性を持たせるために、いくつか例を挙げているものがあるが、
これらはあくまでも例示であって、全ての対策を網羅したものではない。
3.1 登録審査の質の向上
3.1.1 審査員の研修の提供と基礎的資質
審査員の能力は個々人の経験に応じて高められていくが、同時に研修機関による集中
的な能力開発が大きな役割を果たす。このような研修機関による研修、審査登録機関に
よる研修に関して、次のような問題点が指摘されている。
1) 研修機関による審査員候補者への研修、審査登録機関による研修は、ISO/IEC ガイ
ドを基に行われているが、最低限の知識の収得、模擬審査の実習が中心となっていて、
必ずしも十分な内容になってはいないのではないか。
2) 審査員の技術的能力に加えて、コミュニケーション能力といった審査員としての基
本的な能力や、公平性、公正性などといった基本的な審査姿勢に関する教育が不十分
ではないか。特に、QMSに関しては、品質管理やその実践方法についての教育が足
りないのではないか。
3) 審査登録機関自身による研修は、リソース上の制約もあり、その質・量両面で十分
なものとはなっていないところもあるのではないか。
以上の問題点を解決するために、研修機関においては次のような方策を講じることが
必要ではないか。
1) 研修機関の研修は研修時間数の割には内容が盛りだくさんなため、研修機関は研修
内容の重点化を図るか、もしくは、研修時間数の増加を考えるべきである。
2) 研修機関での研修の質のばらつきを少なくするために、例えば、統一試験の実施な
ど、審査員評価登録機関での評価手法の適正化が必要である。また、認定機関による
評価登録機関に対する審査(更新も含む)において、例えば、登録審査員への面接の
実施、書面の確認など評価登録プロセスに対する評価を適切に行うべきである。
3) 審査登録機関自身による研修を補完するために、研修機関が審査登録機関から審査
員への研修ニーズを把握し、適切な研修プログラムを開発することが考えられる。研
修内容が高度・専門的な場合などで、受講者の数の確保が困難な場合には、研修の効
率的な実施の観点から、例えば審査員研修機関連絡協議会(JATA)の共同事業とし
- 49 -
て実施することなども考えられる。
3.1.2 審査員自身による自主的、継続的な能力開発努力
審査員には、ISO19011 の発行に伴い、これまで以上に、自主的、継続的な能力開発
努力が求められる。これに対応するためには、次のような課題に応える必要がある。
1) ISO19011 には、審査員の能力開発の場として研修機関による研修の提供の他、継
続的な能力開発(Continual Professional Development)の必要性が強調されている。
このため、審査員の能力開発の多様なニーズに応えられる「場」の提供が必要ではな
いか。
2) 審査登録機関の審査員の質は、それぞれの機関自体が提供する各種研修などによっ
て維持されることが基本だが、他方で、このような方法だけでは、審査員の質の機関
間でのばらつきの問題は解消しないのではないか。
以上のような問題点を解決するためには、審査員個人が対応することに限界があるこ
とから、機関の枠に囚われない、審査員主体の研修の場、情報交換の場(例えば、審査
員評価登録機関による業種毎のセミナーの開催、審査事例の情報交換)を設けることが
必要である。このことによって、審査登録機関を超えた審査員間でのばらつきを少なく
することが期待できる。
3.1.3 審査員に係る情報公表・公開と選択
審査員の質の向上を図るためには、審査や審査員に係る情報の公表・公開を通じて、
組織側の適切な開示情報に基づく選択の自由が確保されることが肝要である。認証制度
の審査員に関しては、次のような課題が指摘されている。
1) 審査員の経歴、実績、資格などの情報は、組織が審査登録機関を選択する場合に必
要となる基本的な情報ではないか。
2) 審査員の技術的能力(分野毎の実務、専門的知識、経験の有無)などについては、
審査チームが編成されて初めて組織側に情報提供される。その段階で、組織側は、正
当な理由があれば、特定の審査員を拒否できることとなっているが、実効性に乏しい。
本来は、これらの情報が、審査登録機関の選定時に提供されることが必要ではないか。
以上のような問題点を解決するために、審査登録機関においては、次のような方策を
講じることが考えられる。
1) 審査業務を行っている審査員について、審査履歴(分野、組織名など)、専門分野、
研修実績、苦情の履歴などについて、審査員としての守秘義務及び審査員自身のプラ
イバシーを侵さない範囲内で、審査登録機関は公表・公開する仕組みを構築すること。
- 50 -
そのために、審査登録機関の情報公開基準を作成し、機関側に、同基準に基づく情報
公開を義務づけることが考えられる。
2) 上記の開示情報を踏まえて、組織側が、審査員の全員あるいは一部を選択できるよ
うな仕組みを審査登録機関が構築することが望まれる。なお、この場合、審査の客観
性、公平性の確保、質の維持などに留意する必要がある。
3.1.4 審査員の評価
審査員の評価は、研修機関による修了試験、審査員評価登録機関による評価、審査登
録機関による採用、評価などの各段階で行われているが、研修機関では再試験も含める
と90%近い受講生が修了試験に合格していること、審査員評価登録機関では登録申請
者のほとんど99%が登録されていることなどから、これらの評価プロセスが必ずしも
有効に機能していないのではないか、という指摘もある。
審査員に求められる各種能力の評価、評価手法の実効性を一層高めるためには、次の
ような方策が考えられる。
1) 研修機関による研修では、審査員としての最低限の知識収得と模擬審査実習を提供
しているが、併せて審査員としての基本的な能力(コミュニケーション能力、倫理観
(公平性・公正性など))についての研修の充実、及び修了試験などを通じた評価の
厳格化を図ること。
2) 現在の審査員評価登録機関の評価は、将来審査員として活動するための基本的要件
を満たしているか否かの評価であるが、基本的要件の確認法をより実質的なものに改
善する(例えば、審査員評価登録機関による統一試験の実施(登録時及び更新時))。
さらに、認定機関にあっては、審査員評価登録機関のパフォーマンスを的確に把握す
るために、より厳格な審査(更新を含む)、サーベイランスを実施(例えば、登録者
に対する面接の実施、登録申請書類の確認など)すること。
3) 審査登録機関での評価においては、チームリーダーによるメンバーの評価、メン
バーからのリーダーの評価、組織側からのアンケートによる評価などを中心に行われ
ているが、同じ機関に勤める審査員、あるいは、受審側からの評価ということで、評
価手法としては限界があると考えられる。したがって、審査員の基本的な特質を適性
検査によって把握することなどによって、より多面的な評価を目指す必要がある。
4) 審査員、審査員補登録の年齢分布を見ると、54才と60才にピークがあり、年齢
構成上、若干、高齢側への偏りが認められる。審査員の能力は経験と知識の積重ねに
よって維持・向上できることから、年齢に基づく評価はなじまないが、審査員につい
ては、適性検査能力の継続的教育・評価、審査現場での受審側からの評価などを行う
ことなどによって、適切な能力維持を図るべきである。さらに、認定機関にあっては、
審査登録機関の審査員の評価プロセスが適切に機能しているか、より厳格な審査(更
新を含む)、サーベイランスを実施すること。
- 51 -
3.1.5 審査の準備
質の高い審査のためには、審査の準備段階から、審査登録機関側、受審組織側で対応
すべき事項がある。これらに関連して次のような問題点が指摘されている。
1) 認証取得後に、認証を取得した組織においてマネジメントシステムが有益に機能す
るかどうかは経営者の問題意識に大きく依存するが、経営者の意向の把握が不十分な
まま審査が開始されているのではないか。
2) 受審組織の規模、形態、業種は様々であり、マネジメントシステムの当該組織内で
の成熟度もさまざまである。しかしながら、審査員の選定が、このような実態を十分
に吟味し、反映した上で行われてはいないために、組織側の実態、ニーズに合わない
審査が行われているのではないか。
以上のような問題点を解決するために、審査登録機関においては、次のような方策を
講じることが考えられる。
1) 審査の準備には、審査に必要な書面、受審側の体制が整っているかなどの形式的な
事項を中心に行われているが、経営者の経営理念、問題意識、認証取得の動機などを
含めたより多面的、実質的な情報収集を充実させること。なお、このような情報収集
は、事前審査、コンサルテーションではないことを明らかにし、かつ、審査チームの
編成の判断材料にするため、審査チームの編成前に行うことが必要である。
2) 継続的に審査・サーベイランスが行われていくことから、審査登録機関は受審組織
毎に、組織の概要、所属業種概要、審査・サーベイランス実績、指摘・不適合実績、
その改善状況、経営者マインドなどのデータを含む「カルテ」を作成、更新し、企業
秘密やプライバシー保護の観点から問題のない部分については、それを公表・公開す
ることが有効である。そのために、審査登録機関の情報公開基準を作成した上で、組
織に、同基準に基づく情報公開を義務づけることが考えられる。
3.1.6 審査登録機関の審査能力
審査登録機関の審査能力は本制度の要となるが、次のような問題点が指摘されている。
1) 審査に係る技術能力を維持・向上するために、審査プログラムの機能を一層活用す
べきではないか。
2) 申請組織に属する分野の専門家である審査員であっても、組織が提供する製品
(サービスを含む。)に適した技術的能力を維持するために、技術専門家を審査員の
補佐として追加することによって対応することになっている。この技術専門家を追加
することを前提に審査するなど、過度に技術専門家に依存することが見られるのでは
ないか。
3) これまでは、製造業での認証が大勢であったが、これからは二者が個人となるサー
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ビス業(例えば、病院、行政サービス)での認証が増加することが予想される。個人
を対象とするサービスは多種多様なものがあり、これらに対する審査登録機関側の技
術的能力が十分ではないのではないか。
以上のような問題点を解決するために、認定機関、審査登録機関においては、次のよ
うな方策を講じることが考えられる。
1) 基本認識(2.2.3参照)にあるように、審査員の質の維持・向上には審査登録
機関が第一義的な責任を有することから、審査員の質の維持・向上には常に審査登録
機関の主体的な努力が求められる。さらに、認定機関にあっては、審査登録機関にお
ける審査員の評価、教育が適切に機能しているか、より厳格な認定審査(更新を含
む)、サーベイランスを実施すること。
2) 審査の質を維持するために審査プログラムによる活動(例えば、審査チームの編成、
判定委員会での審議前の審査報告書(案)の内容の確認、審査内容の整合性の確認)
を確実に行うこと。このような審査プログラムが機能していることを認定機関がより
厳格な認定審査(更新を含む)、サーベイランスを実施すること。
3) 審査登録機関の活動はそれぞれの方針に従って行われるものであるが、審査登録機
関に共通する課題(審査員の能力の維持・向上策、審査チーム間の審査内容の整合な
ど)について、審査登録機関間の情報交換を行うことによって審査登録機関全体の審
査能力の向上、信頼性の確保・維持などに資するのではないか。場の設定、テーマの
設定については、認定機関の協力を得つつ、審査事例の情報交換等から開始するのが
適当である。
4) 技術的能力を確保するために、審査のニーズに応じて、常用雇用あるいは臨時雇用
などによって様々な分野の技術的能力を有する審査員を確保するのが一般的だが、技
術的能力を外部の専門家に依存する場合の基本的考え方を認定機関が整理し、これを
踏まえて審査登録機関がガイドラインを作成すること。
5) 審査登録機関、審査員には、審査対象組織の顧客、場合によっては一般消費者の立
場にたった審査登録がますます求められるのではないか。そのための、公正性、中立
性などの審査員及び審査登録機関としての基本的な特質の向上がますます求められる。
3.1.7 審査登録機関の情報公開
自由な認証ビジネスを展開しつつ、社会的責任を全うするためには、適切な情報の公
表・公開と、そのような情報に基づく顧客側からの選択の自由が確保されることが肝要
である。認証制度の審査登録機関に関しては、次のような問題点が指摘されている。
1) 審査登録機関が自主的に公表している情報は、自らにとって差し障りのない内容が
主で、組織による機関の選択の際に必要又は有益な情報提供は、必ずしも十分に行わ
れているとは言えないのではないか。また、組織が受けた認証や、認証した機関の質、
- 53 -
信頼性を一般消費者等が評価する上でも、十分な情報提供とは言えないのではないか。
以上のような問題点を解決するために、認定機関、審査登録機関においては、次のよ
うな方策を講じることが考えられる。
1) 審査登録機関自らが、機関の財務状況、審査登録機関としての活動実績、審査に係
る苦情への対応状況などの情報公表・公開を行うべきである。そのために、審査登録
機関の情報公開基準を作成し公開を義務づけることが適当である。また、審査登録機
関に関する情報の発信は、認定機関からも行うことが必要である。例えば、①認定機
関による審査、サーベイランスの実績、不適合及びそれに対する是正措置などの概要
②認定の一時停止とその理由、③審査登録機関に係る苦情及び苦情への対応状況など
が考えられる。
2) さらに、認定機関では、通常の企業情報に加え、審査登録機関ごとの「カルテ」を
作成し、企業秘密やプライバシー保護の観点から問題のない部分については、それを
公表・公開することも検討すべきである。
3) 苦情処理システムは各審査登録機関、認定機関で整備されているが、申立者がアク
セスを容易にできるように、制度の概要、その窓口の所在などの自己PRを一層強化
すべきである。
3.1.8 認定機関による認定審査
認定機関は、認証制度の中核組織であり、その認定審査のあり方は、審査登録機関の
審査の手本となるものであるが、次のような問題点が指摘されている。
1) 認定機関による審査登録機関に対する初回審査、更新審査、サーベイランスといっ
た審査が、審査登録機関の審査に、良きにつけ、悪しきにつけ影響を与えているので
はないか。
2) 認定機関とはいえ、審査の視点からすれば審査登録機関と同種の業務であり、認定
審査の質に対する課題も審査登録機関と同様ではないか。
3) 審査登録機関の審査状況については、認定機関の苦情処理システムによって、ある
程度は把握可能であるが、きめ細かな状況の把握ができないのではないか。
4) 認定機関が認証制度の中核組織であることを考慮すれば、その情報の適切な公表・
公開は重要ではないか。
以上のような問題点を解決するために、認定機関においては、次のような方策を講じ
ることが考えられる。
1) 審査員の評価登録制度、審査員の資格基準の公開、研修制度など、審査員に係る制
度と同様なものを認定審査員用としても整備、運用するべきである。また、認定機関
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による認定審査員への能力、適性の評価も行うべきである。認定審査員の能力、実績
などの情報についても、審査員と同様に公表・公開するべきである。
2) 審査登録機関は、組織を対象に審査、サーベイランスの際に自らの審査業務を評価
してもらうためのアンケート調査を実施しているが、この内の全部又は一部を、認定
機関にも提出できるような内容、形式に改めることが考えられる。さらに、認定機関
は必要に応じ認証を取得した組織に対して審査登録機関とは別途、審査登録の適否に
つき調査できるような仕組みが必要である。
3.1.9 組織側の意識改革
組織側の意識は、前述の理解促進と密接に関連しているが、次のような問題点が指摘
されている。
○ マネジメントシステムの認証取得に対して、組織自身が求める付加価値を自ら整理
できずに審査に臨んでいるケースがあるのではないか。特に、規格が本来目指して
いる目標(例えば、ISO14001 にあっては環境負荷の低減)よりも、企業イメージ
の向上、あるいは入札条件を満たすための「パスポート」
(的な捉え方)に重点が置
かれている場合、審査に通りさえすればいいという意識から、結果的に認証の質の
低下を招き、ひいては認証制度そのものの存立基盤を損なうことにもなりかねない
のではないか。
以上のような問題点を解決するために、審査登録機関など関係機関においては、次の
ような方策を講じることが考えられる。
1) 審査登録に対する考え方を審査を通じて適切に指摘することが審査登録機関、審査
員に望まれるが、マネジメントシステム規格に係る認証制度に関する、組織及び組織
の顧客であるユーザに対する適切な理解促進が引き続き必要である。
2) 審査の申請時に十分に組織側の意識を把握すること(審査登録機関によるカルテの
作成)によって、経営者も含めて組織としての認証制度に対する目的意識を一層明確
化させるべきである。
3) マネジメントシステム規格の意図、認証制度の正しい理解を深めるために、JISC、
認定機関、標準化団体などは普及啓発活動を積極的に行うべきである。
3.1.10 調達側への情報提供
調達側への情報提供に関しては、次のような問題点が指摘されている。
○ マネジメントシステムの認証取得が調達における参加資格の評価で有利になる
- 55 -
ケースが地方自治体を中心に増えてきているが、認証の質に対する調達側の意識が
希薄ではないか。このことが、認証を形式的なパスポートのように組織側が捉える
意識の背景となっているのではないか。
以上のような問題点を解決するために、審査登録機関、認定機関などにおいては、次
のような方策を講じることが考えられる。
1) マネジメントシステムの認証制度に関する適切な理解促進が自治体などを含めて引
き続き必要である。
2) 審査登録機関は、自らの顧客である組織はもとより、組織の顧客であるユーザーに
なり替わって、厳格な審査を心掛けるべきである。厳格なサーベイランス、更新審査
などを行った上で、組織に対する認証の一時停止、取消しなどの処分を適切に行い、
さらに、それを公表するべきである。
3) 一部の発注者では審査の質に問題意識を保有しているが、調達側が、審査登録を一
律に捉えるのではなく、審査登録機関、認定機関などからの提供情報を基に、自らの
責任で、適切な認証機関を選別することが必要である。逆に、審査登録機関側では、
調達側の問題意識に応えるために情報提供あるいは情報公開を積極的に行うべきであ
る。
3.1.11 その他
これまでの切り口では必ずしも整理できない事項について、次のような問題点が指摘
されている。
1) 審査登録機関間での適切な競争が必要と考えられるが、その場合、組織及び組織の
顧客などによる審査登録機関の質と料金の総合的な評価が行われるような環境が整備
されることが必要ではないか。
2) 審査の質を一定以上の水準にするために「標準工程」が存在するが、逆に、これが
制約条件となって、必要以上の工程をかけた審査、あるいは時間不足による不十分な
審査の原因になっていないか。
3) 審査基準であるマネジメントシステム規格が、あらゆる組織を対象にしているため
要求事項が一般化されている。このことが解釈の幅を広げ、審査のばらつきの原因と
なっているのではないか。
4) 審査登録機関には公平性が求められているが、審査員も含めて、組織あるいはコン
サルタントからの独立性、公平性は確保されているのか。
5) 企業活動のグローバル化と審査機関の国を超えた活動が進んでおり、審査の質の向
上策に向けた国際的な取組みを強めるべきではないか。
以上のような問題点を解決するために、審査登録機関など関係機関においては、次の
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ような方策を講じることが考えられる。
1) 審査費用はそれぞれの審査登録機関が個別の契約によって決定する事項であるが、
審査登録機関の質と料金に関する情報公開が進展すれば、市場メカニズムによる優良
審査登録機関の選別及び審査登録機関間の適正な競争が期待できる。
2) 「標準工程」の当てはめについて、組織の実態に応じて、ある程度柔軟な対応がで
きるようにするべきではないか。特に、中小組織を対象とする場合、工程の長短が企
業そのものの事業活動に直接影響することが多いので、審査登録機関は適切な考慮が
必要である。
3) 複数のマネジメントシステムを同時に審査する場合、異なるマネジメントシステム
であっても共通部分が存在する場合などを考慮した「標準工程」の弾力的運用が審査
登録機関には必要である。
4) 品質と環境の分野では、ISO の担当 TC において、それぞれの規格の解釈に対する
質問に答える仕組みがあるが、必ずしも十分な情報発信が行われていない。このため、
ISO 及び国内での解釈例の検討結果について公表・公開することが必要である。さら
に、規格の意図、解釈例の検討の際に整理された考え方などを公表・公開することに
よって、適切な審査、規格の普及に貢献することが期待できる。
5) 審査登録機関は、自らの責任で倫理規程を制定し、経営者、審査員などに改めて徹
底を図ることが必要である。この際、審査登録機関連絡協議会(JACB)が中心と
なって標準的な倫理規程を策定し、各メンバ−の審査登録機関が自らの責任で同規程
への自己適合宣言を行うことも検討すべきである。
6) 認定・認証制度は各種国際ガイド・ガイダンスによる運営が求められており、審査
の質の向上策を国際的な取組みとするため、認定機関は必要に応じて ISO/CASCO、
IAF などに働きかけるべきである。
3.2 登録審査とコンサルテーションの分離
3.2.1 審査登録機関の経営倫理の醸成
現在、マネジメントシステム審査登録制度に関する ISO/IEC GUIDE61, 62 及び 66
で要求されている事項は、機関における組織の運用形態が中心となっているが、次のよ
うな問題点が指摘されている。
1) 社会的側面を考えた、トップマネジメントによる方針の策定及びこれによるマネジ
メントができていないのではないか。
2) 同様に社会的側面を考えた、トップマネジメントによるコンプライアンスに関する
コミットメントがなされていないのではないか。
3) 認定機関によるサーベイランスが、審査登録機関の運用面に対するものが中心と
なっているが、これだけでは不十分ではないか。
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以上のような問題点を解決するために、関連機関においては、次のような方策を講じ
ることが考えられる。
1) 審査とコンサルテーションの実効的な分離独立は公平性、公正性といった点で本制
度の信頼性の根幹をなすものであって、これが混同されれば制度自身の崩壊に直結し
かねないものであるという認識のもとに、審査登録機関のトップマネジメントによる
方針の策定及びこれによるマネジメントを行うことが必要である。(トップマネジメ
ントによる方針の策定及びこれによるマネジメントについては、“JIS Q9023:マネ
ジメントシステムのパフォーマンス改善−方針によるマネジメントの指針”が参考に
なる。)
2) 審査登録機関のトップマネジメントは、1)を実施する際に、社会的責任の観点から
倫理規程を文書化することが、組織の顧客を含めた利害関係者に対する情報公開の際
に、組織の公平性、公正性を示す手段として期待できる。
3) 認定機関は、審査登録機関のトップマネジメントに対し、1)∼2)の内容に関して
サーベイランスを実施することによって、審査登録機関の質的向上が期待できる。
4) 研修機関においては、審査員候補生(研修生)に対し、1)及び 2)に関する講義を行
うことによって、マネジメントシステム審査登録に係る、審査及び審査員の質の向上
が期待できる。
5) 審査とコンサルテーションの実効性のある分離策、特に両者を区別するための実務
的なガイダンスを IAF 等において検討、策定することを、我が国の認定機関は提案
すべきである。
3.2.2 登録審査とコンサルテーションの分離徹底
現在、ISO/IEC GUIDE61, 62 及び 66 では、認定機関及び審査登録機関に対するコ
ンサルテーションの禁止が規定されているが、国内外いずれも未だこれが徹底されてい
るとは言えない状況が見受けられるという点に関し、次のような問題点が指摘されてい
る。
1) 認定機関、審査登録機関(認証機関)のトップマネジメントが、組織運営に関して
コンサルテーションとの分離に関する明確なコミットメントを明示していないのでは
ないか。
2) 登録審査における書類審査(予備審査)とコンサルテーションが明確になっていな
いのではないか。
以上のような問題点を解決するために、関連機関においては、次のような方策を講じ
ることが考えられる。
1) 認定機関が、率先して組織運営に関するコンサルテーションとの分離を認定審査員
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に対して明示することによって、審査登録機関もこれに習うことが期待できる。
2) IAF あるいは ISO/CASCO などの場で、審査とコンサルタント業務との分離のため
の実務的なガイダンス及び Code of Conduct の作成を関係者が提案して積極的に推進
するべきである。
3) コンサルテーションについては、現在 ISO で審議されている CD4.1001911等を参
考にして、認定機関を中心に、登録審査とコンサルテーションの区分のための実務的
指針を作成する必要がある。
3.3 コンサルテーションの質的向上
3.3.1 ISO10019 の制定に合わせた、コンサルタント評価・公表制度の創設
コンサルタントの、組織及びマネジメントシステム審査登録制度への影響の大きさを
考慮すると、組織に対するコンサルタントの活用と選定にあたっての基準が必要と考え
られる。組織がコンサルタントを活用し選定するに当たって、次のような仕組み上の問
題点が指摘されている。
1) コンサルタントは、ISO 9001、ISO 14001、ISO19011 といったマネジメントシス
テム規格の意図を十分に理解しないままコンサルテーションを実施している場合があ
るのではないか。
2) 組織の要望に対応してマネジメントシステム規格を実際に適用・運用するために必
要な力量にコンサルタントが達していない場合があるのではないか。
3) 現場への適用の支援を含め、利害関係者及び組織からの様々な要求に対し、コンサ
ルタントが支援できる力量を組織に提示できる仕組みがないのではないか。
以上のような問題点を解決するために、関連機関においては、次のような方策を講じ
ることが考えられる。
1) コンサルタントの活用と選定のための基準として、現在ISOで開発されているCD4.
10019のISO化に伴い速やかにJIS化することによって、組織がコンサルタントの活用
と選定に利用することが期待されるとともに、コンサルタントの活用と選定の際の参
考となることも期待できる。
2) マネジメントシステム審査員評価登録の仕組みを参考に、コンサルタントが最低限
保有すべき能力を評価し、登録する仕組みの可能性を検討する。
3) 評価・登録されたコンサルタントに関する情報公開についての可能性を検討する。
また、公開情報に、コンサルタントの継続的能力開発プログラムや統一能力試験の結
果を含めることによって、組織がコンサルタントの選定の際に活用できる情報の充実
が期待できる。
11
タイトルは、
“Guidelines for the selection of quality management system consultants and use of their
services”
。DIS として審議されることとが、2003 年 3 月ブカレストの会議で決定された。
- 59 -
4) コンサルタントの活用と選定に当たっては、特に中小企業に対し、関係する工業会
あるいは関係団体がコンサルタントの評価情報などの情報発信主体になることによっ
て、コンサルタントのばらつきを減らすことが期待できる。
3.3.2 コンサルタント評価グレードの設定
コンサルテーションには、組織の業種業態、支援すべきマネジメントシステムのプロ
セス又はシステム要素といった多様な観点を踏まえることが必要だが、この点に関し、
次のような問題点が指摘されている。
○ マネジメントシステム規格に適合した組織のシステム構築に関するコンサルテー
ションに限っても、現場への適用の支援を含め、利害関係者及び組織からの様々な
要求に応えられる多様な能力が必要なのではないか。
このような問題点を解決するために、関連機関においては、次のような方策を講じる
ことが考えられる。
○ ISO 9001 取得以降も、組織のマネジメントシステムの運用についてコンサルタン
トと組織の共同作業によって、継続的な改善、持続可能な成長をしている組織及びコ
ンサルタントを公表又は顕彰できるしくみを検討すべきである。
3.3.3 評価制度の普及
コンサルタントの評価・登録制度が創設された場合には、評価・登録されたコンサル
タント情報については、一括してコンサルタント評価登録機関のホームページに載せる
などによって公表・公開し、これによって普及を図ることが必要である。各審査登録機
関は、コンサルテーションに関する組織からの質問に対しては、コンサルタント評価登
録機関のホームページの参照を促すなど、質問者をコンサルタント評価登録機関に導く
ことによって、コンサルタントに関する情報発信及び組織からの情報受信の効率化を図
るべきである。
3.4 セクター別品質マネジメントシステムの共存
3.4.1 セクター別QMS規格間に係る合理的審査
セクター別QMS規格に係る審査については、ISO9000 ファミリーに係る審査との
整合性及び ISO 9001 以外のマネジメントシステム規格に係る審査との整合性を確保す
ることが、認証制度全体としての効率性の観点から必要である。この点に関して、認証
制度のあり方、セクター別QMS規格間に係る重複審査、審査の質の3つの視点から考
察する。
- 60 -
3.4.2 セクター別QMS規格に係る認証制度
セクター別QMS規格に係る認証制度では、調達側の意向が強く働いてできた制度で
あるという経緯から、問題点としては次のような点が指摘されている。
1) セクター別QMS規格に係る認定機関、審査登録機関、研修機関、審査員評価登録
機関は、国際ガイドと整合のとれた制度になっているのか。
2) 我が国に認定機関がない分野(例えば、自動車部品 TS16949 のオーバーサイトボ
ディ)、審査登録機関の少ない分野についての、我が国としての対応はどうあるべき
か。
以上のような問題点を解決するために、関係機関の協力の下に、次のような方策を講
じることが考えられる。
1) セクター別QMS規格に係る認証の適切な普及を図るためには、セクター別QMS
規格に係る認定機関、審査登録機関、研修機関、審査員評価登録機関などで構成され
る制度を、QMS審査登録制度や EMS 審査登録制度で採用されている国際的規格や
ISO/IEC ガイドなどと整合性のある制度とすることによって、認証制度の信頼性を確
保することが重要である。特に、研修機関の認定権限がセクター別QMS規格の開発
組織と同じ組織にある場合など、ISO9000 ファミリーとは異なる制度を採用してい
る認証もあり、そのことでシステムそのものに問題があるということではないが、関
係団体は制度の一層の透明性と信頼性確保に努めるべきである。
2) 我が国に認定機関がない分野については、現在は海外で認定された認証機関の在日
オフィスが活動することは認められており、これが継続する限り直ちに「問題がある」
という状況ではない。しかしながら、我が国に認定機関が存在しない場合で、産業界
にニーズがある場合には、関係工業会は、制度の実効性確保の観点から、既存の認
定・認証制度の活用を基本に検討すべきである。
3) セクター別QMS規格に係る第三者認証制度に関する情報を、関連業界、審査登録
機関、認定機関などが共有するとともに、広く情報を公表・公開することによって、
制度の効率的な運用が可能になる。
3.4.3 セクター別QMS規格に係る重複審査
セクター別QMS規格に係る認証に当たっては、重複審査に関して、次のような問題
点が指摘されている。
1) セクター別QMS規格が ISO9000 ファミリーを取り入れているのであれば、
ISO9000 ファミリーに該当する部分については、重複審査を行わないようにするべ
きでないか。
2) ISO9000 ファミリーに係る認証を与えている審査登録機関とセクター別QMS規
- 61 -
格に係る審査登録機関が異なる場合には、重複審査が行われているのではないか。
3) ISO9000 ファミリー/14001 に関する国際的な相互認証のスキームを活用すること
によって重複審査の排除に努めるべきではないか。
以上のような問題点を解決するために、認定機関、審査登録機関においては、次のよ
うな方策を講じることが考えられる。
1) 現存のセクター別QMS規格は、ISO9000 ファミリーをもとに、それに要求事項
を付加する形態となっていることから、ISO9000 ファミリーに係る認証を既に取得
している企業が、セクター別QMS規格に係る認証を新たに取得する際には、
ISO9000 ファミリーに該当する部分については、重複審査を最小にするべく制度が
運用されるべきである。
また、ISO9000 ファミリーの審査登録機関と異なる審査登録機関がセクター別Q
MS規格に係る審査を行う場合であっても、同様の考えから重複審査を最小にすべき
である。
このため、セクター別QMS規格に係る審査は ISO 9000 ファミリーとの差異部分
に限定すること、セクター別QMS規格が ISO 9001 の全ての要求事項を包含してい
る場合、ISO 9001 の審査登録済の組織にあっては、9001 に係る審査を省略すること
などを内容とするガイドを作成すべきである。
2) 重複審査を最小化するためには、審査登録機関同士の審査の同等性が求められる。
審査登録機関の審査の同等性を確保するためには、ISO9000 ファミリー/14001 に
関する国際的な相互認証のスキームを利用することが望ましい。このため、セクター
別QMS規格に係る認定当局(Oversight Body)に IAF 等が働きかけることによっ
て、セクター別QMS規格に係る認定・認証スキームへの IAF の相互承認取決め
(MLA)傘下の認定機関の関与を求めるべきである。
3.4.4 審査の質
セクター別QMS規格に基づく第三者認証制度が信頼性を得るためには、そこで行わ
れる審査の質がどのように維持されているかが重要である。審査の質に関しては、次の
ような問題点が指摘されている。
1) セクター別QMS規格に固有の事情を踏まえた審査員の育成が行われていないので
はないか。
2) セクター別QMS規格に係る認定機関、審査登録機関、研修機関、審査員評価登録
機関は、国際ガイドと整合のとれた制度になっているのか。
以上のような問題点を解決するために、研修機関、審査登録機関においては、次のよ
うな方策を講じることが考えられる。なお、2)の問題点については、既に述べたのでこ
- 62 -
こでは省略する。
1) セクター別QMS規格は ISO9000 ファミリーに業種固有の事情を付加したものと
なっており、審査員には、それぞれの業種固有の事情に対応した実務経験や審査経験
が求められる。
また、セクター別QMS規格に係る認証制度が求める審査員研修の質と量が十分確
保できる場合には、審査の公平性、信頼性を確保する観点からも、既存の研修機関の
活用を図るべきである。
2) 審査員は、審査登録機関に所属して審査経験を積んでいくことを考慮すれば、セク
ター別QMS規格に係る審査の質を向上するためには、審査登録機関の役割も非常に
重要である。
3.4.5 各種マネジメントシステム規格策定の情報収集
マネジメントシステム規格は、品質、環境などの既に社会で受け入れられたものから、
CSR(企業の社会的責任)などの新たな試みまで広がりを見せようとしており、そう
した動きに的確に対応することが求められている。情報収集に関しては、次のような問
題点が指摘されている。
1) ISO の枠外でマネジメントシステム規格の作成が行われる場合には、当該業界以外
にはそのような動向を把握できないのではないか。
2) マネジメントシステム規格、認証制度の適正な運用のために、関係者がどのような
役割及び責任を持つべきか。どのような国内体制が効果的か。
以上のような問題点を解決するために、関係機関においては、次のような方策を講じ
ることが考えられる。
1) ISO 枠外で規格作成が行われる場合、特に、これまでのセクター別QMS規格開発
は主に欧米において行われていることから、これらの地域における情報収集を強化す
るべきである。このため、各企業・業界の海外情報収集部門は、標準、特に、セク
ター別QMS規格に対する問題意識をより強くもつとともに、国内の標準化部門、供
給団体との連携強化を図るべきである。また、標準化団体は、海外の標準化団体との
連携を図るべきである。
なお、具体的にセクター別QMS規格に係る認証を取得するか否かの判断は、当該
業界団体及び個々の企業の判断に委ねることが基本と考える。
2) 情報を早期に収集するとともに、国内の意見集約を迅速に行い、規格制定、認定・
認証スキーム(第三者認証、自己宣言)の構築に際して、我が国として、より主体
的・戦略的に取り組む必要がある。そのために、JISC が中心となって標準化団体・
関係工業会と連携しつつ、マネジメントシステム規格について恒常的な情報収集・分
- 63 -
析体制、情報提供・公開体制を整備する必要がある。
3) この際、国内のコンセンサスを重視しすぎることによって、国際的な動きに十分な
対応ができず、結果として我が国の意見が反映されないおそれもあり、初期段階では、
複数の組織が有益と判断する場合は、我が国としての対応体制を作り、意見を反映す
る活動を積極的に行うことが重要である。ただし、この対応体制は期限付きとし、期
限内に産業界としての合意、又は期限の延長の合意が得られない場合は、当該体制を
停止することによって、国内のコンセンサスを担保する仕組みを取ることが適切と考
える。
3.5 マネジメントシステムの我が国からの提案
マネジメントシステムは、社会のいろいろな活動における透明性、実効性を確保すると
共に、継続的改善を図るための有力なツールとなり得ると考えられており、我が国におい
ても幅広い分野で多様なマネジメントシステムの検討・導入が行われようとしている。
経済のグローバル化を考えれば、これらマネジメントシステム規格及びその認証制度に
ついては、国際的な場で検討・制定されることによって、制度の透明性、公平性、公開性
などが確保されることが重要である。
CSR(企業の社会的責任)
、企業の行動規範などの分野でも ISO の場で国際規格作成の
議論が始まっていることにも見られるとおり、今後もマネジメントシステムが広がりを見
せるであろうことを勘案すれば、ある特定の国や組織に都合のいいシステムとしないため
に、透明性のある国際標準化が求められ、その意味においては、ISO の枠組みの中での国
際標準化が望ましいのではないか。このような活動において、我が国がイニシアティブを
発揮することによって、マネジメントシステムの導入による企業の国際競争力の強化と、
環境保護、消費者保護、労働安全などの社会的ニーズへの対応の両立を図る道筋を示すこ
とが重要となるであろう。そのためにも、標準化団体・関係工業会が中心となって、人材
確保、審議基盤、財政などサポート体制の確立が求められる。
3.6 本報告書のフォローアップ
これまでに、マネジメントシステム規格に係る第三者認証制度の普及戦略と今後のあり
方を提案した。具体的な今後のあり方を提案するに当たってその当事者も併せて示してお
り、おおよその実施時期の目安を巻末の図表(第3章(各論)の当事者と実施時期の目
安)に整理した。マネジメントシステムの第三者認証制度が民間の制度として運営されて
いることから、自主的な取組みが大いに期待されるところであるが、特に、審査登録機関
及び研修機関は、それぞれ審査登録機関協議会(JACB)及び審査員研修機関連絡協議会
(JATA)に検討委員会の設置などの適切な実施体制を構築し、関係者のコンセンサスを
図りつつ、具体化方策の検討、行動プログラムの作成・実行などの組織的な対応が求めら
れる。認定機関及び審査員評価登録機関もそれぞれ同様な対応を取ることが望まれる。同
時に、JISCとして、各種の取組みの実施状況やその効果などを検証していくことが肝
要である。
- 64 -
3.6.1 マネジメントシステム規格の普及の定点観測
マネジメントシステムの第三者認証制度の社会的責任がこれからますます重大となる
ことが予想されることから、マネジメントシステム規格及びその認証制度の普及状況、
問題点などについては、これからも継続して把握すべきである。そのため、本委員会の
検討のために行ったアンケート調査を基礎に、定点観測として継続的に把握すべき事項
と、その時々の情勢に合わせて新規、追加的に把握すべき事項を組み合わせて調査を行
うことが適当ではないか。さらに、認定機関などで行われている各種調査も有益な現状
把握の情報源として活用することも考えられる。こういった情報を整理した上で現状を
把握し、公表していく場として JISC を活用することが適当であると考えられる。
3.6.2 本報告書による提案の実施
本報告書による提案の実施では、関係者の日常的な活動の中で取り組まれるべきもの
の他に、新たにガイドラインなどの作成などによって関係者のコンセンサスを経て実施
に移していく必要があるものもある。
(1) JISC の場の活用
品質マネジメントのセクター規格や新たな切り口をもつマネジメントシステム規格
がこれからも提案されることが予想される。これら新たな提案を JIS 規格として審議
するに当たっては、これまでに述べたように、マネジメントシステム規格間の整合性
の確保、拡大するステークホルダーの積極的な参加、マネジメントシステム規格に係
る第三者認証制度運用の整合性の確保などが必要である。このため、このような観点
を含めて専門的に審議する場として、JISC 内に専門的な審議を行う専門委員会を設
けることが必要である。この専門委員会では、規格の審議だけではなく、ISO で整理
された解釈事例の公開、規格の考え方についても整理し、公開していくことも考えら
れる。本報告書で提案した今後のあり方の中で、例えば、認証取得組織、審査登録機
関、認定機関などの情報公開基準を作成することや、審査員の統一試験を提案してい
るが、これらは、マネジメントシステム規格の第三者認証制度全体に係る基準である
こと、ガイド、ガイダンスの実施を支援する基準となること、かつ、学識経験者、業
界団体、消費者代表などの利害関係者の参加も必要と考えられることから、国際的な
整合性を維持しつつ、JISC を活用してガイドラインとして規格化していくこと、更
には、これらを ISO/CASCO、IAF へ提案していくべきである。この場合、国が基準
原案作成の場を提供することも考えられる。
(2)マネジメントシステム規格の第三者認証制度に係る関係機関によるコンセンサス
の形成
本報告書で提案した今後のあり方の中で、関係者が自主的に取り組み、コンセンサ
スを形成することが望ましいものもある。例えば、研修内容・時間数の改善、審査登
録機関間の情報交換、審査員間の情報交換、外部専門家の活用基準の作成、倫理規程
のひな形の作成、複数のセクター規格に係る審査の進め方、セクター規格間の情報交
- 65 -
換などが挙げられる。このようなコンセンサスが得られたもののうち、規格としてな
じむものであり、関係者の合意があれば、JISC での審議を経て、ガイドラインなど
として規格化していくこと、さらには、ISO/CASCO あるいは IAF に提案することも
考えられる。
3.6.3 本報告書による提案の実施状況の把握
本報告書の提案の実施状況については、引き続き、関係者の協力を得て、上記3.6.
2で述べた専門委員会で継続的に調査、把握し、公表していくことが必要である。
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参考 用語の意味
用語
意味
マネジメントシステムの質 方針、目標、監査結果、データの分析、是正処置、予防処置
(有効性、効率)
及びマネジメントレビューを通じて、継続的に改善できるも
のの要求事項に対する程度(JIS Q 9001:2000 8.5.1 参照)
公表
世間に発表すること(広辞苑 第五版参照)
公開
利用できる状態にすること(広辞苑 第五版参照)
管理システム規格
方針及び目的を確立し、確立した目的を達成するシステムに
ついての規格(ISO/GUIDE 72 3.1 参照)
認証
製品、方法又はサービスが所定の要求事項に適合しているこ
とを、第三者が文書で保証する手続(ISO/IEC GUDIE 2
15.1.2 参照)
。
特に第三者を強調する場合、本報告書では“第三者認証制
度”という。
認定機関
認定制度を運営・管理し、認定を授与する機関(ISO/IEC
GUIDE 2 17.2 参照)
認証機関(審査登録機関) 認証を運営する機関(ISO/IEC GUDIE 2 15.2 参照)
【(参考)審査登録機関:公表されている品質システム規格
及び対象の品質システムのもとで要求される補足文書を用い
て組織の品質システムを審査し登録する第三者(JIS Z 9362
1.3.2 参照)
。公表されているEMS規格又はその他の基準文
書及び対象のEMSのもとで要求される補足文書を用いて組
織のEMSを審査し登録する第三者( JIS Q 0066 3.2 参
照) 】
組織
責任、権限及び相互関係が取り決められている人々及び施設
の集まり(JIS Q 9000:2000 3.3.1 参照)
登録
ある機関が、製品、方法若しくはサービスの当該特性、又は
組織体若しくは個人の細目を、一般の人々が入手できる適切
な一覧表にして公表する手続(ISO/IEC GUIDE 2 12.10 参
照)
審査
直 接 又 は 間 接 に 判 定 す る こ と に 関 す る 活 動 ( ISO/IEC
GUIDE 2 12.2 参照)
【(参考)監査:監査基準が満たされている程度を判定する
ために、監査証拠を収集し、それを客観的に評価するための
体系的で、独立し、文書化されたプロセス(JIS Q 19011
3.1 参照)
】
(QMS 審査登録制度にお ISO 9001 の要求事項を適切に理解しており、組織の実態を
ける)審査技術
的確に把握する能力があり、実態に合わせて要求事項を適用
でき、その組織の QMS の ISO 9001 との適合性と QMS の
有効性を判断できる能力(ISO 19011 参照)
審査登録制度
審査登録システムと同義。(JIS Z 9362 1.3.4, JIS Q 0066
3.4 参照)
IAF
マネジメントシステム審査登録機関や製品認証機関、要員認
証機関を認定する機関の国際的組織((財)日本適合性認定
協会ホームページ参照)
ISO
国際標準化機構。各国の代表的標準化機関から成る国際標準
- 67 -
IEC
WD
(ISO/IEC) CD
ISO/DIS
ガイド
化機関で、電気及び電子技術分野を除く全産業分野(鉱工
業、農業、医薬品等)に関する国際規格を作成(JISC ホー
ムページ、国際標準化参照)
国際電気標準会議。各国の代表的標準化機関から成る国際標
準化機関であり、電気及び電子技術分野の国際規格を作成
(JISC ホームページ、国際標準化参照)
作業原案。国際規格作成プロセスの一つで審議される文書。
CD の前段階の文書(ISO/IEC Directives, Part1 参照)
委員会原案。国際規格作成プロセスの一つで審議される文
書。DIS の前段階の文書(ISO/IEC Directives, Part1 参
照)
国際規格案。国際規格作成プロセスの一つで審議される文
書 。 国 際 規 格 の 二 段 階 前 の 文 書 ( ISO/IEC Directives,
Part1 参照)
国際標準化に関する、規定ではない事項についての方向付
け、アドバイス又は推奨事項を示した ISO 又はIECが発
行する文書(ISO/IEC Directives, Part2 3.4 参照)
- 68 -
管理システム規格適合性評価専門委員会委員名簿
(委員長)飯塚 悦功 東京大学 大学院 工学系研究科教授
(委 員)阿久津 進 (財)日本規格協会 品質マネジメントシステム審査員
評価登録センター 所長
( 〃 )井口 新一 (財)日本適合性認定協会 常務理事
( 〃 )市川 英雄 (財)建材試験センター 理事
( 〃 )岩本 威生 三菱化学㈱ 技術部部長
( 〃 )梶屋 俊幸 松下電器産業㈱ R&D 企画室国際法規チームチームリー
ダー
( 〃 )小林 憲和 石川島播磨重工業㈱ 品質保証部部長
( 〃 )佐野 真理子 主婦連合会 事務局次長
( 〃 )高取 敏夫 (財)日本情報処理開発協会 ISMS 制度推進室長
( 〃 )田和 淳一 (社)日本損害保険協会 業務企画部 安全技術グルー
プリーダー
( 〃 )平林 良人 ㈱テクノファ 代表取締役社長
( 〃 )広瀬 隆 (社)産業環境管理協会 環境マネジメントシステム審査
員評価登録センター室長
( 〃 )三浦 重孝 GHTF 事務局長
( 〃 )森住 光男 日産自動車㈱ お客様サービス本部 品質保証部主管
( 〃 )山本 正 ソニー・エリクソン㈱ SMQ 推進室 統括課長
( 〃 )吉澤 正 帝京大学 経済学部環境ビジネス学科 教授
( 〃 )吉村 秀勇 (財)日本規格協会 標準部認証規格課長
(事務局)経済産業省基準認証ユニット認証課管理システム標準化推進室
- 69 -
図
組織
3.1
審査の質の向上
3.1.1
審査員の研修の提供と基礎的
資質
3.1.2
審査員自身による自主的、継
続的な能力開発努力
3.1.3
審査員に係る情報公表・公開と
選択
審査員
表
第
3
章
審査登録機関
(
各
論
)
の
研修機関
当
事
者
と
実
施
審査員評価登録機関
時
期
の
目
安
認定機関
JISC
業界団体など
研修内容、研修時間の充実
(統一試験の実施)
(統一試験の実施)
(研修プログラムの開発)
研修プログラムの開発
(JATAの共同事業)
JATAの共同事業
自助努力
15年度着手又は実施
統一試験の実施
(統一試験の実施)
(統一試験の実施)
(統一試験の実施)
審査員評価登録機関のプロセス
の評価
16年度着手又は実施
セミナーの開催、審査事例の情
報交換
17年度以降着手又は実施
審査員の情報公開
(情報公開基準の作成)
(情報公開基準の作成)
情報公開基準の作成
審査員の選択制度
3.1.4
審査員の評価
適性検査の実施
研修内容の充実、評価の厳格化
(統一試験の実施(新規、更新))
(統一試験の実施(新規、更新))
審査員評価登録機関のパフォー
マンスの把握
統一試験の実施(新規、更新)
適切な審査能力維持努力
3.1.5
審査の準備
(統一試験の実施(新規、更新))
(統一試験の実施(新規、更新))
(統一試験の実施(新規、更新))
審査登録機関における審査員評
価プロセスの評価
申請組織の情報収集の充実
組織のカルテ(診断書)の作成
カルテ(診断書)の公表・公開
3.1.6
審査登録機関の審査能力
(組織の情報公開基準の作成)
(組織の情報公開基準の作成)
適切な審査能力維持努力
審査登録機関における審査員評
価、教育プログラムのパフォーマ
ンス評価
審査プログラムの確実な稼働
審査登録機関における審査プロ
グラムのパフォーマンス評価
組織の情報公開基準の作成
審査登録機関間の情報交換
外部専門家の活用基準の作成
公正性、中立性の確保
3.1.7
審査機関の情報公開
外部専門家の活用基準の作成
公正性、中立性の確保
活動の情報公開
(審査登録機関の情報公開基準
の作成)
(審査登録機関の情報公開基準
の作成)
審査登録機関の情報公開基準
の作成
審査登録機関のカルテ(診断書)
の作成
苦情処理システムのPR
3.1.8
(苦情処理システムのPR)
(苦情処理システムのPR)
認定機関による認定審査
組織側の意識改革
経営者も含めた目的意識の明確
化
3.1.10 調達側への情報提供
苦情処理システムのPR
苦情処理システムのPR
認定審査員に係る評価、教育制
度と情報公開制度
(組織からの情報収集)
3.1.9
MSS認証制度の適切な理解の
促進
MSS認証制度の適切な理解の
促進
(経営者も含めた目的意識の明
確化)
(経営者も含めた目的意識の明
確化)
組織からの情報収集
普及啓発活動
普及啓発活動
普及啓発活動
普及啓発活動
普及啓発活動
普及啓発活動
認証制度への理解促進
認証制度への理解促進
認証制度への理解促進
認証制度への理解促進
認証制度への理解促進
認証制度への理解促進
ユーザーになり替わった審査、
適切な処分と公表
3.1.11 その他
審査登録機関の選別と競争
柔軟な審査工程の設定
複数のMSS審査における弾力
的運用
実施時期の目安
解釈例の検討結果と考え方の公
表・公開
図
組織
3.2
登録審査とコンサルテーション
の分離
3.2.1
審査登録機関の経営倫理の醸
成
審査員
表
第
3
章
審査登録機関
トップマネジメントによる方針の
策定及びこれによるマネジメント
(
各
論
)
の
研修機関
当
事
者
と
実
施
審査員評価登録機関
方針の策定及びこれによるマネ
ジメントの講義化
コンサルテーションの質的向上
ISO10019の制定に合わせた、
コンサルタント評価・公表制度
の創設
目
安
認定機関
JISC
業界団体など
分離徹底に関する認定審査員へ
の明示
認定機関を中心に登録審査とコ
ンサルテーションの区分の明確
化
3.3.1
の
IAFガイダンスの開発
登録審査とコンサルテーション
の分離徹底
3.3
期
左記のサーベイランス
倫理規定の文書化
3.2.2
時
認定機関を中心に登録審査とコ
ンサルテーションの区分の明確
化
(CD4.10019のJIS化)
審査員評価登録実績にある機関
を中心とした評価・登録システム
の作成
審査員評価登録実績にある機関
を中心とした評価・登録システム
の作成
認定機関を中心に登録審査とコ
ンサルテーションの区分の明確
化
登録審査とコンサルテーションの
区分の明確化
(CD4.10019のJIS化)
(CD4.10019のJIS化)
CD4.10019のJIS化
審査員評価登録実績にある機関
を中心とした評価・登録システム
の作成
審査員評価登録実績にある機関
を中心とした評価・登録システム
の作成
(評価・登録システムの作成)
審査員評価登録実績にある機関
を中心とした評価・登録システム
の作成
コンサルタント評価情報の発信
3.3.2
コンサルタント評価のグレード
設定
3.3.3
評価制度の普及
3.4
セクター別品質マネジメントシス
テムの共存
セクター別QMS規格間に係る
合理的審査
3.4.1
3.4.2
組織及びコンサルタントの公表又
は検証の仕組みの検討
組織及びコンサルタントの公表又
は検証の仕組みの検討
組織及びコンサルタントの公表又
は検証の仕組みの検討
組織及びコンサルタントの公表
又は検証の仕組みの検討
組織及びコンサルタントの公表又
は検証の仕組みの検討
審査員評価登録実績のある機
関からの情報提供(例:HP)
セクター別QMS規格に係る認
証制度
国際的規格・ISO/IECガイドなど
との整合性確保
国際的規格・ISO/IECガイドなどと
の整合性確保
国際的規格・ISO/IECガイドなどと
の整合性確保
国際的規格・ISO/IECガイドなどと
の整合性確保
国際的規格・ISO/IECガイドなど
との整合性確保
既存認定機関への働きかけ又は
新組織の設立
情報の共有、公表・公開
3.4.3
セクター別QMS規格に係る重
複審査
情報の共有、公表・公開
重複審査を最小にする制度運用
重複審査を最小にする制度運用
(参加可能な場合)
重複審査を最小にする制度運用
(参加可能な場合)
重複審査を最小にする制度運用
(参加可能な場合)
(重複審査を最小にする制度運
用のためのガイドの作成)
(重複審査を最小にする制度運
用のためのガイドの作成)
(重複審査を最小にする制度運
用のためのガイドの作成)
重複審査を最小にする制度運用
のためのガイドの作成
(情報の共有、公表・公開)
情報の共有、公表・公開
(重複審査を最小にする制度運
用のためのガイドの作成)
IAFを通じたMLA傘下機関の関
係強化
3.4.4
審査の質
業種固有の付加事情に対応する
研修
質の向上のための経験が重要
3.4.5
各種マネジメントシステム規格
策定の情報収集
役割が非常に重要
海外情報収集部門の問題意識強
化
海外情報収集部門の問題意識強
化
海外情報収集部門と標準化部門
及び供給団体との連携強化
海外標準化団体との連携
海外標準化団体との連携
マネジメントシステム規格につい
ての恒常的な情報収集・分析体
制、情報提供・公開体制の整備
(JISCを中心とした、マネジメント
システム規格についての恒常的
な情報収集・分析体制、情報提
供・公開体制の整備)
セクター規格への対応判断
3.5
マネジメントシステムの我が国
からの提案
セクター規格への対応判断
JISCを中心とした、マネジメント
システム規格についての恒常的
な情報収集・分析体制、情報提
供・公開体制の整備
(JISCを中心とした、マネジメント
システム規格についての恒常的
な情報収集・分析体制、情報提
供・公開体制の整備)
(JISCを中心とした、マネジメント
システム規格についての恒常的
な情報収集・分析体制、情報提
供・公開体制の整備)
(JISCを中心とした、マネジメント
システム規格についての恒常的
な情報収集・分析体制、情報提
供・公開体制の整備)
(JISCを中心とした、マネジメント
システム規格についての恒常的
な情報収集・分析体制、情報提
供・公開体制の整備)
セクター規格への初期段階での
対応体制の構築
(セクター規格への初期段階での
対応体制の構築(要請された場
合))
(セクター規格への初期段階での
対応体制の構築(要請された場
合))
(セクター規格への初期段階での
対応体制の構築(要請された場
合))
(セクター規格への初期段階での
対応体制の構築(要請された場
合))
セクター規格への初期段階での
対応体制の構築
人材確保、審議基盤、財政など
サポート体制の確立
人材確保、審議基盤、財政など
サポート体制の確立