産地・地域企業の新潮流 ~中小企業の新たな活路を求めて~ 2014.6.11 Ⅰ 吉田 博 産地・地域企業の課題(消費財メーカー) ・市場・顧客ニーズの変化 ・競争激化(価格、輸入品、新規参入) ・高齢化、後継者難(職人、経営者) ・人材難(異分野・職種、販売) ・経営不振(収益の悪化) ・倒産・廃業・撤退(事業所・従業者の減少) Ⅱ 産地・地域企業の新潮流 1 産地 ~ケーススタディー~ ~新潟県燕市~ ① 燕市 ・江戸時代和釘の製造が燕鍛冶の始まり。職人の町燕。商人の町三条 ・洋食器産地、アップルの「iPod」 (2001 年発売)の研磨 ② 新たな産地の活動主体 ・磨き職人・金属器・金属研磨関連企業(磨き屋シンジゲート) ・燕商工会議所(企画、営業、調整 担当者 高野雅哉) ③ 新商品開発・販売・プロモーションの展開 ・高級品、普及品の開発 ・他との提携による販売・市場開拓 ・「磨き屋シンジケートが最初にリリースしたビアマグは普通のステンレスのカップの 100 倍の値段だった。発売当初、業界からはバカ扱いされたが、ほんの数日で 1 年待ちの大人 気になった。洞爺湖サミットに採用された。燕の商品はインドネシアやベトナムの商品に 比べると高い。高くても売れるようにするのが、うちのオペレーション。ビールが美味し くなるなどのいろんな付加価値を加えて海外のものと差別化をして値段が高くても買って もらえるようにしている。」 (Facebook 独 高級品 普及品 高野氏談) 自(企業、産地内) ① 高級ビアマグ開発・生産・販売 他との提携・共創 ① 著名デザイナーによるデザイン ② チタン製カップ ・ワイングラス ③ インターナショナル贈答品 ・ヨーロッパの見本市 ① ECOカップの開発・生産 ・クリーミーな味わい ・見本市・イベントでのPR ② ラーメン用メタル丼の開発 ・燕ラーメン(背脂) ③ ゴールドガード ① ビール会社との提携 ・地ビール ② スポーツ企業との提携 ・サッカー(アルビレックス新潟) ・野球(ヤクルトスワローズ) ③ ファッションブランドとの提携 1 2 地域全体 ① ~岩手県盛岡市~ 盛岡市 ・南部家・南部藩、宮沢賢治、石川啄木 ・岩手県県庁所在地、30 万人 ② 盛岡特産品ブランドの認証・展開 ・盛岡市・市産業のアピール、他の地域・類似品との差別化 ・特産品認証制度(市・産業界) 商品の例:南部鉄器、南部せんべい、盛岡冷麺、盛岡りんご、日本酒 ・もりおか暮らし物語(市民参加、まちづくり) ③ 販売 ・インターネット販売、催事 ・ギフト・中元・お歳暮 ④ 最近の動き ・南部鉄器 :海外・外国人向け(中国人の鉄瓶爆買、カラー急須) ・日本酒 :インターネット販売(楽天で日本酒部門トップ) ・盛岡冷麺:銀座直営店、焼き肉店・ファミレスのメニュー ・pecco(ひとくちサイズ、プチ商品化) 盛岡特産品ブランド認証制度の狙い 地域内 盛岡特産品ブランド 地域内の事業 選別 者・商品を選別 ブランド 差 悪い 不 識別 適 別 品質・評価 化 良い・高い 当 他の地域・国のマ 他の地域の商品・事業 ネ・偽ものと識別 者 との 違 い ・ 優 位 性 の 確保 地域外 出典 「地域ブランドと地域活性化~盛岡ブランドの展開~」 2 3 地域企業 ~独自展開・共創~ ① 中川政七商店 ・1726年(享保11年)創業、奈良、手織りの麻織物(奈良晒) ・13代社長 中川淳(1974年生)新規事業にチャレンジ ・ 「日本の工芸を元気に」をコンセプトに地域企業に対する経営・商品開発 のコンサル、全国の産地に一番星を ・暮らしの道具をテーマに自社品に加え、陶器、包丁、土鍋などを扱う直営店を 全国に展開(KITTE,コレド室町) ② 八海山 ・新潟県南魚沼市 ・日本酒(本醸造、吟醸酒、原酒、にごり酒)、雪室(低温貯蔵) ・焼酎、梅酒、甘酒、ビール ・酒粕と原酒を使った「饅頭」・「バームクーヘン」 、喫茶、レストラン ・八海山千年こうじや(日本酒バー、コレド室町) ③ 古町麹製造所 ・2009年新潟市中心部上古町で店舗開業 ・糀(甘酒)ドリンク、甘糀(天然の甘味料) ・2012年ロート製薬(製剤技術)と共同でスキンケア「糀肌クリーム」を発売 ・県外店舗:自由が丘、銀座松屋 ・新潟ニュービジネス大賞受賞 ④ 茅乃舎 ・久原本家、明治26年創業、福岡県久山町 ・醤油、だし、タレ、ドレッシング、自然食レストラン ・直営店(コレド室町、東京ミッドタウン) 3 Ⅲ 中小企業(消費財メーカー)の活路 ~マーケティングの視点~ 1 方向性 ・独自性、高付加価値の商品開発 ・生産・販売の連携・一体化 ・新たな市場・顧客の開拓(国内外、インターネット活用) ・優れた技術・ブランドの活用 ・効果的なプロモーション(マスメディア、インターネットの活用、*弊害も) ・適正規模 ・不易流行 *補助金・制度の活用 2 取り組み・展開 キーワード 「競争から共創へ」 異なった(今までにない)ものと組み合わせ、新商品・事業・システムや市場を創造していく。 ① 社内 ・企画・開発・生産・販売などの部門・職種横断 ② 社外の相手 ・他の企業、職人、デザイナー ・専門家、研究機関、IT関連 ・販売、ネットワーク,EC ・消費者、キャリア主婦 ・インフォーマルな仲間 ③ 自社の強みと共創のパートナー 自社の 共創・提携のパートナー 強み 求めるもの 企画・アイデア 商 開発・研究 品 生産・技術 デザイン 共 ブランド に 販売チャネル 販 販売力 プロモーション 売 顧客組織力 4 パートナー Ⅳ 「共創」力の強化と実践 ~研修、相談、コンサル、環境~ 1 共創力をつける研修 ① 企業内研修 ・トップ・幹部研修 ・部署の異なるメンバーによる研修 ・世代(経験)の異なるメンバーによる研修 ・新人研修 ② オープン研修・セミナー ・参加者(異業種、異部署)同志によるグループ討議・ワークショップ ③ 会員向け研修・塾 ・共創塾、ワークショップ (*楽天大学) 2 共創の実践に対する相談 ① グループアドバイス(いろいろな角度から) ② メール相談、情報提供 ③ 補助金・制度の活用アドバイス・紹介 3 共創を実践するコンサル ① 新規事業・商品開発・市場開拓などの指導・アドバイス・調査研究 ② 企業・専門家のマッチング ・ふさわしい企業、経営者、専門家との出会い・仲介の場の提供 (大企業・海外の企業と。大都市の企業と) ・コーディネートサービス(*山梨中銀経営支援コーディネートサービス) ・データベースでのマッチング (自社の強みの紹介・求むパートナー) 4 共創の環境づくり ① 共に考える・創造するスペースの提供 ・スペースの貸与、IT関連機器の提供、アドバイザー ② 共に考える、創造する情報環境 ・メンバーのSNS ・データベース、情報提供 5 参 考 新潟県燕市 ECOカップ(クリーミーな味) ワイングラス(KEN OKUYAMA) ラーメン用メタル丼 ゴールドガード(カードを保護) チタン製カップ直営店(コレド室町) APEC での贈答品 6 岩手県盛岡市(盛岡ブランド) ロ ゴ 南部鉄器 盛岡冷麺 カラー急須 銀座の直営店 楽天 日本酒売上ナンバー1(あさびらき、担当 佐々木伸一) pecco(少ない)商品 7 個別企業 中川政七 直営店 布バッグ 八海山日本酒バー(コレド室町) 古町麹とロート製薬共同「糀肌クリーム」 茅乃舎直営店(コレド室町) だ し 8
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