Ⅹ章 健康増進をめざした油脂食品の新しい選び方 食品の新しい選び方

Ⅹ章 健康増進
健康増進をめざした油脂
増進をめざした油脂食品の新しい選び方
をめざした油脂食品の新しい選び方 ⑩
(本章は総括的なものなので、他章との重複があります)
1. はじめにーコレステロール仮説が生れた背景とその崩壊
動物性脂肪とコレステロールは血清コレステロール値を上げ、高リノール酸植物油はそれを下げる、という観察は約半世紀前に報
告された(Keys 式、Hegsted 式など)
。そして、動物性脂肪(飽和脂肪酸)とコレステロールの摂取を抑え、高リノール酸油の摂取
を増やすと血清コレステロール値が下がり、動脈硬化性疾患が予防できる、という“コレステロール仮説”が生れた。現在でも国連
の WHO/FAO や米国 NIH の委員会(ATPⅢ)から発信される情報にはこの考えが含まれ、わが国もほぼこの考えに追随している。
ところがこのコレステロール仮説はもろくも崩れてしまった1)。その背景は次のように要約される。
①
Keys 式などは約 1 ヶ月の臨床試験の結果であるが、コレステロール仮説に基づく数年の栄養指導の結果では、血清コレステロ
ール値は下がらなかった。食事変化の結果が短期と長期で異なることは、身体に備わっている複雑な制御機構によると考えら
れる。
②
、むし
コレステロール仮説に基づく食事指導を長期に続けても、心疾患死亡率は減らなかったばかりか(米国 MRFIT 研究 2))
ろ心疾患死亡率と総死亡率が増えた(ヘルシンキ ビジネスマン研究 3))
。わが国でも、コレステロール値が 220~299 mg/dL
の人を 6 年間追跡して心疾患の危険因子を調べた結果、
“食事指導”が最も大きな危険因子であったという報告もある(J-LIT
。いうまでもなく、コレステロール値が高いと判定された人への食事指導は、
“動物性脂肪とコレステロー
地域対照追跡調査4))
ルの摂取を減らし、植物油を増やす”というコレステロール仮説に基づく栄養指導が含まれている。
コレステロール仮説に基づく食事指導の中で、減らしたほう(動物性脂肪とコレステロール)は体内で合成されるので、増やした
方(植物油)がより重要な原因となっている。このことは、
“魚油が心臓病予防に有効である”
、という観察と合っている。すなわち、
魚油の EPA が心疾患予防効果を発揮するとき、リノール酸→アラキドン酸カスケードを競合的に抑えることが、作用機構の一つと
なっている。
1.1 血清コレステロール値と心疾患死亡率との関係
“血清コレステロール値が高いと酸化 LDL が増え、動脈硬化が進展する”という理解は、長い間、医療分野の常識とされていた。
ところがここにも落とし穴があった。
コレステロール高値の心疾患に対する相対危険度(血清コレステロールの高値群と低値群の死亡率の比)は、調査集団により大き
く変わる(図1)。
高コレステロール値の心疾患に対するみかけの相対危険度に影響を及ぼす因子
★
はじめに高コレステロール血症の人を集めた集団では、一般集団より相対危険度が高い
★
若年層の相対危険度は高く、加齢とともに低くなる。高齢者では、コレステロール値が高くても心疾患死亡率は上がらない。
★
一般集団でも、40 歳未満が含まれると相対危険度は高くなり、また 60 歳以上など高齢者層を除外すると高くなる。
⇒ 先天性遺伝因子をもつ人の割合が鍵
1
図 1 血清コレステロール値と心疾患の関係―模
式図
日本厚生省研究班 (原発性高脂血症調査)
心 臓 病 の発 症 率
5
4
フラミンガム35歳男性
米国MRFIT研究 (<
<40歳)
3
(相 対 値 )
高齢者を除く一般集団
2
40~50歳以上の一般集団
1
八尾市、福井市、茨城県など多数 ( ≥40歳)、
歳)、
オーストリア ( ≥ 50歳)、
歳)、 欧米 ( ≥ 70歳)
歳)
フラミンガム ( ≥ 50歳)
歳)
180
200
220
240
血清コレステロール値,
260
mg/dL
以前は、比較的少人数の調査でも統計処理するのに十分な心疾患死亡数が認められる条件として、心疾患の危険因子をもつ人を対
、その後、地域住民(一般集団)を対象とす
象者とするのが一般的であったが(原発性高脂血症調査報告5)や MRFIT 研究2)など)
る追跡調査が増えた。その結果一般集団では、
“血清コレステロール値と心疾患の間に正の相関が認められない”という結果が多く
発表されるようになった(文献 1 に収録)。
米国フラミンガム住民の追跡調査はよく知られている。35 歳男性に限定すると相対危険度は 5 を越えている。しかし、住民の 30
年間の追跡調査では相対危険度は 1.5 以下であり、50 歳以上の群ではコレステロール値と心疾患の間に有意な相関は認められていな
い(相対危険度は~1)6)。わが国でも、40 歳代と 50 歳代に限定したときは、相対危険度は4と高くなっている7)。
このように、コレステロール値が高いと何倍くらい心疾患死亡率が上がるか、という目安(相対危険度)は、1から 5 以上に変動
する。この変動性は、家族性高コレステロール血症やアポリポタンパク質の遺伝子型(E2/ E2)などの割合で説明できる。
家族性高コレステロール血症やアポ E2/ E2遺伝子型の特徴
★ 末梢細胞への LDL の取込みに先天的な障害がある
★
若齢時より血清 LDL 値が高い
★
心疾患の発症率は 10~50 倍(家族性高コレステロール血症の場合)
★
短命
★
発生頻度は 0.2~1%前後
血清コレステロール値の高い群を、上述のような遺伝因子をもつ人(FH)ともたない人(非 FH)に分けて考えることができる(図
2)。はじめに高コレステロール血症の人を集めた集団では一般集団に比べて、FH の割合が多くなる。そして FH の割合は若齢の高
コレステロール値群に多く、加齢とともに減少する。しかし、非 FH では、高コレステロール値の人は加齢とともに増える。多くの
疫学調査を調べると、高コレステロール値の心疾患に対する相対危険度は、集団の FH の割合を反映しており、次のように解釈でき
る。
(ア)
高コレステロール値の心疾患に対する相対危険度は、主に家族性高コレステロール血症などの割合を反映している、
(イ)
家族性高コレステロール血症の割合が少ない高齢(40~50 歳以上)の一般集団では、コレステロール値が高くても心疾患死
亡率は上がらない、すなわち高コレステロール値は動脈硬化の原因になっていない。
2
図2 高コレステロール値群のなかのFHと非FH
の割合―模式図
家族性高コレステロール血症やアポ E の E2/ E2遺
一般集団
非-FH
伝子型をもつ人など(FH)とそうでない人(非 FH)
の割合。説明は本文参照。
FH
30’
FH
FH
40’
50’
FH
≧60’ 歳代
高脂血症集団(病院中心)
非-FH
FH
FH
30’
40’
FH
50’
FH
≧60’ 歳代
リポタンパク質 LDL は脂質(エネルギー源、細胞膜構成分や必須脂肪酸源など)を末梢細胞へ供給する役割を果たしている。若
齢時よりその供給が制限されている家族性高コレステロール血症などの場合、心疾患の発症率が高い原因が、(a)脂質などの供給制限
によるのか、あるいは(b)高 LDL 値そのものによるのか、は再考慮する必要がある。40~50 歳以上の一般集団ではコレステロール値
が高くても心疾患が増えないことから、前者(a)による可能性が高い1)。
1.2 コレステロール値の高い群のほうが、癌死亡率は低く、総死亡率も低い(長生き)
わが国で老人保健法による無料検診が始まって 20 年以上になる。このときの測定値を元に数年間の追跡調査が各地で行われた。
それらの結果、コレステロール値の高い群のほうが癌死亡率も総死亡率も低かった。このような結果は欧米でも見られる。とくに 60
歳を越える高齢者では、この傾向は顕著である。
わが国では米英に比べて心疾患死亡率が数分の一と低い点から考えても、大部分の人にとってコレステロール値の高い群の方が長
生きである(総死亡率が低い)、という結果を最重要視する必要がある(図 2)。
図3 コレステロール値と死因別死亡率の関係―
福井市の場合8)
福井市、健診の受診者 ( 26,249 人、40
男性 ( n=8,102 )
女性
14
14
死死死死 亡亡亡亡 率率率率 (% )
総死亡
12
癌死亡
茨城県、戸田市、新潟県、静岡県・・・・
でも類似の結果。
8
6
6
4
4
2
歳以上が 95 %)を 5 年間追跡。八尾市、
10
10
8
総死亡
悪性腫瘍死亡
その他死亡
心疾患死亡
脳血管死亡
16
16
12
(n=18,147 )
心疾患
2
0
0
~120 ~130 ~220 ~250 251~
従来のガイドライン
~120 ~130 ~220 ~250 251~
血清コレステロール値 , mg/dL
3
1.3 コレステロールの善玉・悪玉説とコレステロールの基準値
前項で、先天性遺伝因子をもつFHなどともたない人を区別して考える必要があることを強調した。FHなどは、若齢時にコレス
テロール値を測定することによりスクリーニングできる。その場合のコレステロールの基準値は 260~280 mg/dL あたりにあると思
われる。
一方、コレステロールの悪玉・善玉説がメディア分野ではよく使われている。
“LDL は肝臓から末梢細胞へコレステロールを運び、
LDL 値が高いことは動脈硬化の原因になるので悪玉、HDL は末梢から余分なコレステロールを肝臓に運び、胆汁酸に変えるので善
玉”という図式である。
しかし HDL の中には酵素(LCAT)があり、コレステロールをエステル型に変換する。血中にはこのエステル方コレステロール
を LDL に運ぶ輸送タンパク(CETP)がある。一方、HDL が肝臓に持ち運んだコレステロールがすべて胆汁酸に変換されるわけで
はなく、一部は LDL となって血中にでる。
“CETP の作用を抑えると HDL コレステロール値が上がり、動脈硬化が抑えられるであ
ろう”
、という考えから開発された CETP 阻害剤は臨床的に効果が無く、毒性のみ顕著であった。
以上のような背景からだと思われるが、メタボリック シンドロームのガイドラインには、総コレステロールも LDL コレステロ
ールも含まれていない。なお、HDL コレステロールは高い方がよいという考えは残っているが、必ずしもそれを支持するデータが
そろっているわけではない。
健康長寿の最も重要な評価項目(エンドポイント)は総死亡率である。郡山ー伊勢崎市民の追跡調査結果によると、LDL 値と総
死亡率は逆の関係にあり、LDL 値が高い群ほど総死亡率が低く長生きしている。LDL は悪玉ではなく長寿の指標となっていた。一
方、HDL 値については単純ではなかい。女性では HDL が低い群(40 mg/dL 未満)の総死亡率が高くなっているが、男性ではゆる
い U 字型を示し、HDL 最高値群は有意に総死亡率が上がっている 9)。
このように HDL や LDL については、それらの生理的役割や指標としての意義が単純明快ではない。現在、HDL 値を高く保つ安
全な方法として、運動が知られている。
1.4 コレステロール低下をめざした新食品の問題点
最近、食品の“低コレステロール含量”が強調され、コレステロールの腸管吸収を抑える植物ステロール添加食品が、トクホ食品
となっている。しかし上述のように、摂取コレステロールは長期的には血清コレステロール値に反映されない。コレステロールの摂
取量が減れば、体内での合成が増えるからである。植物ステロールがコレステロールの腸管吸収を抑えても、長期的にはコレステロ
ール値は下がらないことは薬の分野でよく知られている。一方、胆汁酸の糞便排泄を促進する物質についても同じであり、胆汁酸の
再吸収が減れば合成量が上がるだけである。かつてシイタケ類に見出されるエリタデニンという物質の強力な血清コレステロール低
下作用が注目された。しかしこの物質は肝臓から LDL などが血中にだされる過程を抑えるので、肝臓毒となる。
薬の分野でも似た話がある。コレステロールの合成を抑えるスタチン類と、コレステロールの腸管吸収を抑える薬を併用すれば、
心疾患は抑えられると考えたグループがある。この腸管吸収を抑える薬(エゼチミブ)は臨床的にまったく効かなかった。
体内でコレステロール合成が上がると中間体(イソプレニル中間体)のレベルも上がると考えられる。この中間体は発癌遺伝子産
物を活性化するので、その体内合成を促進するような物質を長期に摂取することは、勧められない。
コレステロールの体内合成を促進し、発癌遺伝子を活性化する可能性のある避けたい食事
★
コレステロールの摂取量を低く保つ
★
コレステロールの腸管吸収を抑える植物ステロールなどを増やす
★
胆汁酸の糞便排泄を促進するサプリなどを常用する
★
脂肪エネルギー比率の高い食事を続ける
4
2.脂肪酸のω
脂肪酸のω6/ω
6/ω3 バランスが関わる病気
高度不飽和脂肪酸は n-6(ω6)系(リノール酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸など)と n-3(ω3)系(α
-リノレン酸、EPA、DHA など)に大別される。リノール酸は成長、生殖生理などを保つ上で必須であり、α-リノレン酸は脳・網
膜などの機能を保つ上で必須である。どちらも必須量は 1 エネルギー%以下であり、通常の食生活では欠乏することはまれである。
アラキドン酸(ω6)からエイコサノイドと呼ばれる各種のホルモン様物質がつくられ、臓器・細胞機能の調節に働いている。こ
れらが少量つくられることは必要であるが、過剰に、アンバランスにつくられると癌をはじめ多くの疾患が促進される(図4)
。一
方、ω3 系の EPA からもエイコサノイドはつくられるが、アラキドン酸に比べて変換率は低いか(シクロオキシゲナーゼ経路)
、あ
るいはつくられたエイコサノイドの活性が弱い(リポキシゲナーゼ経路)
。そして、ω6 系列とω3 系列は多くの酵素、受容体の段階
で競合的である 10)。したがって、それぞれの摂取量とともにω6/ω3 バランスが重要な意味を持ってくる。これらω6 系とω3 系の
脂肪酸は体内で新しく(de novo)合成されることはなく、食事由来である。各種食品の含むω6/ω3 バランスは食品によって異なる
ので、食品の選択によってすべての細胞のω6/ω3 バランスが変わる。そして、組織脂質のアラキドン酸/EPA 比が、炎症性や血栓性
のよい指標となる。
図4 リノール酸→アラキドン酸→エイコサノイ
ドというリノール酸カスケードの亢進と関
連する疾患
抗アレルギー・炎症薬
シクロオキシゲナーゼ
⇒ トロンボキサン A2
⇒ ロイコトリエン B4
リポキシゲナー ゼ
ホスホ リパー ゼ
α- リノレン酸 ⇒ EPA ⇒ DHA
⇒
アラキドン酸酸酸酸
⇒
リリリリ ンンンン 脂脂脂脂 質質質質
⇒
アラキドン酸酸酸酸
γ ❘ リノレン酸
リノー ル酸酸酸酸
⇒
⇒ プロスタグランジン E2
増えている癌
受
動脈硬化性疾患
容
アレルギー過敏症
体
他の炎症性疾患
行動変化
阻害物質
拮抗薬
:薬による抑制
:遺伝子工学手法による抑制
うつ病、ADHDもリノール酸がらみ!
:栄養学的手法による抑制
2.1 癌とω6/ω3 バランス
大腸腺癌や乳腺癌、肺腺癌など米国を追って発症率が増えてきた癌に対して、リノール酸カスケードの亢進が原因になっているこ
とは、次のような研究により明らかにされてきた。
①
ω6/ω3 比の低い魚油、シソ油・エゴマ油、アマニ油・フラックス油などが発癌と転移を抑える(栄養学的手法)
②
エイコサノイド作用に関わる酵素(ホスホリパーゼ、シクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ)やエイコサノイド受容体に
関わる遺伝子をノックアウト(働かなく)すると、発癌が抑えられる
③
リノール酸カスケードを阻害する薬物(ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、リポキシゲナーゼ阻害薬など)が
発癌を抑える。
ウィルス、ピロリ菌などの日和見感染、変異原物質への暴露、アスベストなどの異物の侵入にともなう炎症の持続が発癌の危険因
子であり、リノール酸カスケードの亢進が炎症を持続的にし、増殖因子の産生を上げ、発癌促進に至ると理解できる 11)。
2.2 アレルギー・炎症性疾患とω6/ω3 バランス
一方、抗アレルギー薬(広義)の 9 割は、リノール酸→アラキドン酸カスケードを抑えて効果を発揮している。また、不整脈や心
筋梗塞に対してω3 系脂肪酸(EPA や DHA)のエステルが、医薬品として効果を発揮している。低用量アスピリン(抗炎症薬)は
5
今でも心疾患予防に広く使われているが、この薬はアラキドン酸カスケードを抑えて作用を発揮している。ω6/ω3 比を下げる食事
療法が、アトピーや喘息、潰瘍性大腸炎などに有効であることが、示されつつある。
2.3 異常行動・神経症とω6/ω3 バランスあるいは食用油の微量因子
近年、わが国でも異常行動やうつ病、統合失調症、自殺などが問題になっているが、これらと魚油摂取量とが深く関わっているこ
とを示す基礎・臨床データが増えている。そして、古くから使われていたうつ病の薬であるリチウムや抗けいれん薬(カルバマゼピ
ン、バルプロ酸)などが、間接的と思われるもののリノール酸カスケードを抑えていることが明らかにされてきた。過去半世紀の間
に増えた植物油の摂取増が、異常行動や神経症を増やしていることを示すデータが増えている。
2.4 メタボリック症候群ー糖尿病予防の脂質栄養
肥満はエネルギーバランスの問題であるが、胎児期、授乳期の脂質栄養が脂肪細胞の数を決める上で重要な役割を果たしている。
母親のリノール酸摂取量が多いとプロスタグランジン I2の受容体を介して脂肪細胞の分裂を促進し、肥満になりやすい体質ができる。
α-リノレン酸はこれを競合的に抑えて、子が肥満にならないようにする。脂肪細胞の数が多くなっているときに過栄養になると肥満
となる。
糖尿病になりやすい先天性遺伝因子は、多く見つかっている。しかし、半世紀という短期間での患者・予備軍の著増は環境因子の
変化による。糖質、タンパク質は過剰摂取によりで飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸へ変換され、貯蔵脂肪となるので、動物性脂肪の
摂取過剰と似ている。
Ⅱ型糖尿病のインスリン抵抗性は、筋肉などの貯蔵脂肪プールのサイズに限界があると考えると、理解しやすい。このプールに脂
肪が満杯になると、いくらインスリンがでても糖→脂肪への変換がすすまない、すなわちインスリン抵抗性が現れる。運動量の増加
や脂肪細胞数を増やす薬はインスリン感受性を上げるが、薬の場合は副作用に注意しなければならない。
脂肪酸の中で、貯蔵されやすいものとそうでないものとがある。飽和と一価不飽和は貯蔵されやすく、リノール酸はそれに次ぐ。
皮下脂肪の 15%はリノール酸である。これに対しω3 系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)は貯蔵されにくい。これらを多量摂
取するとペルオキシソームが増殖し、熱産生タンパク(UCP)などが増えるので、ω3 系脂肪酸は優先的に酸化され、熱に変えられ
る。これら融点の低い脂肪酸は体内で安定な油滴を作ることができず貯蔵脂肪としては不適当なため、このような適応機構が発達し
たと理解できる。
動物実験では魚油、シソ油・エゴマ油などが耐糖能を上げるので、これらω3 系油脂は糖尿病予防によいと考えられる。そして、糖
尿病の合併症を抑えるためにも、ω6/ω3 比を下げるほうがよい。ただし、この方向での糖尿病予防の長期の臨床試験は、あまり進
んでいない。糖質、タンパク質、脂質を含め、エネルギー摂取量を制限すること、運動によりエネルギー消費を増やすこと、ω6/ω
3 比の低い食生活を心がけること、などが勧められる。
1965 年以降、わが国では、コレステロール仮説に基づき食用油の摂取を増やしてきた。それが多くの疾患を増やしていることが、
現在、明らかにされつつあるといえる。
これらの項目についての詳細は別稿にゆずり 12)、この項では概略のみにとどめた。
3.米国の疫学調査でリノール酸摂りすぎの害が明らかにされていない背景
米国の疫学調査でリノール酸摂りすぎの害が明らかにされていない背景
前項で、リノール酸(ω6)の摂取が多くα-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸などω3 系脂
肪酸の摂取が少ないと組織のアラキドン酸/EPA 比が上がり、炎症性、血栓性疾患が上がることを説明した。すなわち、組織のアラ
キドン酸/EPA 比が、生活習慣病のよい指標となる。
ところが、主として米国で行われた疫学調査の結果、リノール酸摂取量と癌や心疾患の死亡率の間に、有意な相関が認められてい
ない。米国では、リノール酸摂取量の多い群も少ない群も、癌死亡率の差がなかったのである。このような結果に基づき、米国 NIH
(ATPⅢ委員会)や国連の WHO/FAO から発信される脂質栄養指針には、
“リノール酸摂取を減らす”
、という指針が含まれておら
ず、わが国もこの指針に追随している。そして、リノール酸の摂取上限(目標量)を 10 エネルギー%とし、現在の日本人のリノール酸
摂取量(5~6 エネルギー%)や米国人の摂取量(~7 エネルギー%)からさらに増やすことを容認している。
最近、多量のアラキドン酸を人に摂取させても、血栓性は上がらなかったという臨床試験の結果が報告された 13)(図5)。これを根
6
拠に、アラキドン酸を含むサプリを売り出した企業もある(Ⅷ章参照)
。しかし、ここには重大な解釈の誤りがある。
図5 血清脂質のアラキドン酸(AA)/エイコ
サペンタエン酸(EPA)の比と血栓性
血
栓
性
あ
る
い
は
心
疾
患
発
症
率
日本人平均
アラキドン酸
/EPA 比
13-21
1.3-2.2
米国人平均
米国人+ 1.5g/日の
アラキドン酸補給
炎症性や血栓性を上げるエイコサノイドを生成させる酵素は、アラキドン酸など基質の量に比例して直線的にエイコサノイドな
どを増やすのではない。ある一定の基質量から上では、反応が頭打ちになる(図5)。平均的米国人のように、食用油は高リノール酸
系が多く、魚介類の摂取量が極めて少ない国民では、組織のアラキドン酸/EPA 比が 13~21 くらいであり、日本人の場合より一桁大
きい 14)。米国人の心疾患死亡率はきわめて高く、各種癌の増加もわが国に先行しており、米国人のアラキドン酸/EPA 比は飽和点以
上にあると考えられる。このような米国人にアラキドン酸を増やして組織のアラキドン酸/EPA 比が上がっても、見かけ上、血栓性
はそれ以上上がらない、という結果が得られることになる。
このように、ω3 系の摂取量がきわめて少なく、アラキドン酸/EPA 比がきわめて高い米国人集団での疫学調査の結果は、日本人
などには当てはまらない。
米国 NIH(ATPⅢ)や国連の WHO/FAO から発信される情報に惑わされることなく、ω6/ω3 比を下げる方向を目指すよう勧める。
4.動物で有害作用を示す植物油
脳卒中易発症性高血圧自然発症(SHRSP)ラットに各種の油脂を 10 重量%で与え、生存率を測定したとき、数種の植物油(カノ
ーラ菜種油、オリーブ油、高オレイン酸紅花油、月見草油、コーン油など)が、その生存率を異常に短縮させることがわかった(大
豆油、シソ油、魚油などに比べ)
。植物油を加水分解して遊離脂肪酸画分(植物ステロールを含む)にしたところ、作用は消失あるい
は減弱したので、脂肪酸や植物ステロール以外の微量成分の存在を推定した。炭酸ガス超臨界法で有害作用を示さない画分が得られ
たが 15)、本体の同定にはいたっていない(図 6)。この因子は腎蔵、脾臓、脳、血管などに病変を起こし、血小板数を減らす。また、
多くの遺伝子発現に影響を及ぼし、精巣テストステロンレベルを低下させる。これらの作用の一部は、ブタでも認められている。
これらの因子が人の健康に影響を及ぼすかどうかは分っていないが、人に安全であるとする証明はなされていない。動物実験に使
われた量と現在の日本人の摂取量を比較すると、大差がないといえる。したがって、これら動物で有害作用を示す植物油の摂取は勧
めない(Ⅱ章Ⅲ章)
。
7
図6 油脂の栄養評価―脂肪酸組成と微量有害因
バター
○ 有害因子なし
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸
ラード
牛脂
オレイン酸
○
オレイン酸
○
子
有害因子については本文参照。
x 有害因子あり
パーム油
オリーブ油
x
高オレイン酸紅花油
x
x
カノーラ(
カノーラ(菜種)油
コメ油
? 有害因子不明
調合油
x
ゴマ油
○
○
大豆油
コーン油
x
ひまわり油
?
グレープシード油
?
リノール酸
紅花油
○
シソ(
シソ(エゴマ)
エゴマ)油
○
α- リノレン酸
0
20
40
60
80
100 %
5.トランス型脂肪酸は心臓病を増やすのか?代替油(
トランス型脂肪酸は心臓病を増やすのか?代替油(パーム油、遺伝子組み換え大豆油)が問題
パーム油、遺伝子組み換え大豆油)が問題
植物油の部分水素添加により精製するトランス脂肪酸の安全性の問題は、半世紀も前から議論されてきた。最近になって急ににぎ
やかな話題になってきたが、産業界で代替油の供給体制が確立したことが背景にあると推測できる。ハーバード大学 Willet グループ
を中心に、トランス脂肪酸が心疾患の危険因子になっているとしているが、その根拠は明確なものではない(図 7)。相対危険度は 2
以下と小さく、統計処理によって有意となったり有意でなくなったりする程度である 16)。最近、赤血球のトランス脂肪酸量と心疾患
に相関があり、相対危険度は 3 前後であると報告されたが、欧州では貯蔵脂肪のトランス脂肪酸と心疾患の間に相関が認められてい
ない。
図 7 トランス脂肪酸摂取量と心疾患死亡率の相関 16)
統計手法や集団により、有意差があったりなかったりする程度の相関である。
米国看護師研究
米国看護師研究
米国医療従事者
米国
医療従事者
米国医療従事者
医療従事者研究
研究
米国医療従事者研究
医療従事者研究
22
1.8
1.8
1.6
1.6
トランス
トランス
相対
対危
危険
険度
度
相
トランス
トランス
(p=0.01)
(p=0.01)
1.4
1.4
(p=0.
(p=0. 20
20) )
1.2
1.2
11
飽和
(p=0.93)
飽和 (p=0.93)
0.8
0.8
飽和
飽和
(p=0.69)
(p=0.69)
0.6
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
00
Ⅰ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅳ
(最少)
(最少)
Ⅴ
Ⅴ
(最多)
(最多)
摂取量の5分位
摂取量の5分位
Ⅰ
Ⅰ
(最少)
(最少)
Ⅱ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅳ
摂取量の5分位
摂取量の5分位
Ⅴ
Ⅴ
(最多)
(最多)
8
疫学調査の結果が決定的でないとき、そのメカニズムが問題となる。トランス脂肪酸の摂取で LDL/HDL 比が上がったことを根拠
に上げているが、一ヶ月程度の介入試験は、心疾患発症率との関係でまったく意味をもたない短期効果をみていることになる 1)。Keys
式や Hegsted 式も約 1 ヶ月の介入試験の結果であるが、数年後の結果とは合わない。このように、トランス脂肪酸が心疾患を増や
しているとする科学的根拠は薄弱である。
一方、大豆油やカノーラ菜種油の部分水素添加でビタミン K1も水素添加され、ジヒドロ型となる。このジヒドロ型はビタミン K
はビタミン K2の作用をもたず、ビタミン K の再生を抑える結果、むしろ心疾患を予防する(血栓性を抑える)方向に働く可能性さえ
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ある。ただし、部分水素添加植物油は出血促進的にはたらく結果、脳卒中(SHRSP)ラットの寿命を異常に短縮する。詳細は別に
報告したが、部分水素添加植物油は食用には向かない 17)。
水素添加植物油の代替油としては、エステル交換法により、適度な融点をもつ油脂を供給する体制が確立したようである。また、
遺伝子組み換え大豆が高オレイン酸型であることから、代替油として提案されているようであるが、この油の安全性は確認されてい
ない。わが国では安価なパーム油が代替油として使われており、すでに供給植物油の第 3 位を占めている(カノーラ菜種油、大豆油
についで第 3 位、約 20%)。
ところがパーム油の安全性は確立しておらず、異常な大腸発癌促進効果(ラット)や寿命短縮作用(マウス)
、高インスリン血症(ラ
ット)などが報告されている。また、トコトリエノールの安全性にも、問題提起がなされている
18)
。パーム油の安全性評価が早急に
なされることが求められている。
マーガリンよりバターがお勧め
バターはコレステロールを少量含み、血清コレステロール値を上げることから悪玉視されるようになった。しかしこの作用は一過
性であり、長期的には植物油にくらべて血清コレステロール値を上げるわけではない。そして何よりも、大部分の人にとってコレス
テロール値が高いことは、長寿の指標となっていた(上述)
。これまで、動物性脂肪が悪いと考えてきた根拠が崩れたわけである。
さらに、バターやラードには動物実験で見られた脳卒中促進・寿命短縮作用が認められない 19)
(前項参照)
。このようなことから、
多くの食用油に比べて、動物性脂肪のほうが安全であるといえる。
昨今、菓子類やパン類に植物油脂が多く使われるようになった。味の面で、加工食品に含まれる動物性脂肪と植物油脂の差を区別
できる人は極めて限られている。価格の面では、植物油脂のほうがはるかに安価である。このような背景から、安価な植物油脂の使
用が益々増えると思われる。このことが、次世代を担う人の“心の健康”にまで影響を及ぼしている可能性が極めて高い。産業界が
価格競争より安全性の競争に力を注いでくれることを心から念願している。
6.エコナは、はてな?
1,3-ジアシルグリセロール(1,3-DG)を含む植物油(エコナ)が、
“からだに脂肪のつきにくい食用油”としてトクホの認定を受け、
不振な食用油産業界で大きくシェアをのばした。1,3-DG は通常の油脂(トリアシルグリセロール、TG)とくらべ、腸管吸収の過程
と腸管での TG 再合成の過程で代謝が異なり、食後の血清 TG の上昇が遅くなる。しかしこのことが長期的に、
“からだに脂肪がつ
きにくい”ことにつながるか否かについては、多くの脂質栄養専門家が疑問をもった。実際、動物実験ではそのような効果は認めら
れないとする専門家の報告が発表された 20)。そして、臨床的にも有効性が確認されなかった 21)。
人で CT 法により内臓脂肪を正確に測定することは、極めて難しいと思われる。そこで動物実験の結果が重要となるが、相反する
実験結果を比較すると実験条件が大きく異なる。会社側の研究では、異常に多量のエコナを摂取させているようである。エコナの原
料がカノーラ(菜種)油と大豆油であることから、前項で説明したカノーラ油中の微量因子の影響を見ている可能性はないであろう
か。会社の研究結果とあわない論文を無視するのではなく、その再現性をチェックし、差の生じた理由を説明する必要がある。
一方、ジアシルグリセロールが C キナーゼを活性化し、発癌性を促進する可能性が論じられている。しかし、摂取 1,3-DG が特異
的に C-キナーゼを活性化することはありえず、また通常の TG も消化の過程で 1,3-DG をつくる。腸内のアルカリ性の条件ではエス
テル転移は起こりやすく、1,2-DG から容易に 1,3-DG がつくられるからである。発癌作用があるとすれば、1,3-DG によるという
よりは、上述の微量因子による可能性が高い。実際、中国の食堂を営む主婦の間では、大豆油を使っている群より菜種油を使ってい
る群のほうが肺腺癌の発症率が高く、この問題は解決していない。会社側から、発癌プロモーション作用に関する安全性データが国
の食品安全委員会に提出されたようであるが、実験条件が不適切であり、結論が先延ばしにされている。
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多くの解明されていない現象があるものの、エコナの主原料がカノーラ油であること、その約 4 割がリノール酸であること、脳卒
中(SHRSP)ラットでの安全性が確立していないことなどから、現時点では、多く摂ることを勧めない。
7.欧米の介入試験に
欧米の介入試験に欠けている視点
米国では心疾患が死因のトップであり、大規模な介入試験がなされた。その一つは多危険因子介入試験(MRFIT)2)である。喫
煙率は有意に下がったが、降圧薬はむしろ心疾患を増やす傾向が見られた(統計的には有意ではなかった)。しかし、血清コレステロ
ール値も心疾患死亡率も下がらず、コレステロール仮説に基づく食事指導は効果が無いことが示された。その後、看護師を対象とす
る大規模な介入試験がなされた。総脂肪摂取量を減らし、穀類、果物、野菜を増やす食事介入であった。しかし、これも心疾患、癌
死亡率を有意に下げることなく、失敗に終わった 22)。これらの介入試験には欠けている視点がある。その一つは、ω6/ω3 バランス
である。
心疾患予防に魚油ω3 系脂肪酸の有効性がほぼ確立し、欧米でもこれを勧める食事指導が加味されるようになった。しかし、競合
するω6 系脂肪酸(主としてリノール酸)の摂取を減らす栄養指導がなされていない。上述のようにω6系とω3 系とは多くの酵素・
受容体の段階で競合的なので、ω3 系脂肪酸の有効性を認めその摂取増を勧めるときには、ω6 系の摂取を減らすことを勧める必要
がある。この視点が、WHO/FAO や米国 NIH(ATPⅢ)などから発信されるガイドラインに欠けている。これらの情報やコレステロー
ル仮説に惑わされることなく、ω6/ω3 比を下げる方向にすすむことが求められている。
8.健康長寿をめざした油脂の新しい選び方
①
摂取コレステロール量を増やしても長期的には血清コレステロール値は上がらない。コレステロールの多い食品を避ける必要
は無くなった。
②
コレステロールの腸管吸収を抑制し、あるいは胆汁酸の糞便排泄を促進する物質の常用を勧めない。コレステロール合成のイ
ソプレニル中間体の上昇を介して、発癌遺伝子の活性化がおこりうる。また、大部分の人(40=50 歳以上の一般集団)にとっ
て、血清コレステロール値が高いと癌死亡率が低く、長寿である。
③
飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸からエイコサノイドは作られず、比較的安全である。肥満にならない程度に安全に摂取できる。
④
リノール酸の必須量は 1 エネルギー%以下であるが、わが国では 1965 年頃から摂取量が増えはじめ、現在、5~6 エネルギー%
も摂取している。摂取量を 3 エネルギー%程度に削減することを勧める。γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン
酸などω6 系脂肪酸の摂取増は危険である。
⑤
ω3 系脂肪酸(α-リノレン酸および EPA+DHA をほぼ同量)をわが国の平均摂取量以上に保つことを勧める(1.5 エネルギー%
前後)
。摂取増による安全性はきわめて高い。
⑥
植物油の部分水素添加によりトランス脂肪酸のほか、ジヒドロ型ビタミン K1のような有害な成分が生成する。ジヒドロ型ビ
タミン K1はビタミン K の代謝を妨げる。その安全量はわかっていないので、水素添加植物油は避ける。
⑦
脂肪酸組成に関わらず、動物に有害作用を示す植物油(図 6)の摂取は勧めない。動物性脂肪のほうが安全である。
3) 引用文献
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