住吉市民病院だより 2014 年 10 月号(No,91) 大阪市住之江区東加賀屋1-2-16 TEL(06)6681-1000 URL(http://www.osakacity-hp.or.jp/sumiyoshi/) 編集・発行 住吉市民病院広報委員会 内科 福本 まりこ 妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常です。 2010 年 7 月に診断基準が改訂され、より軽症の方も診断されるようになり、今や妊婦さんのお よそ 10 人に 1 人が診断されるようになってきています。 妊娠中、胎児は成長するためにお母さんと胎盤、へその緒でつながって、そこからブドウ糖な どの栄養を受け取っています。お母さんの体は胎児に十分な栄養を届けようとするホルモンバラ ンスになり、血糖値を上げる働きのあるホルモンが増え、血糖値を下げる働きのあるホルモン= インスリンを壊すような酵素を出すようになります。このように妊娠中はお母さんの血糖値が上 がりやすい状態になるのですが、糖尿病の体質がない妊婦さんの場合は、普段よりも多くのイン スリンを出して、血糖値が上がらないように調整されます。でも、もともとインスリンを出す力 が弱かったり、インスリンの効き目が悪かったりする=糖尿病体質がある妊婦さんの場合には、 血糖値が上がってしまい、妊娠糖尿病になってしまいます。 妊娠糖尿病になると、お母さんは血圧が上がりやすくなったり、赤ちゃんは生まれた時の体重 が 4000gを超えるような巨大児になったり、生まれてすぐに低血糖をおこしたり、新生児黄疸 が強くなったりする危険があります。当院では妊娠中の定期的な血液検査の結果などから妊娠糖 尿病が疑われる妊婦さんには積極的に 75g糖負荷検査を行い、合併症が出てしまう前に早期に 診断するように心がけています。 妊娠糖尿病と診断された方には院内内科を受診していただき、栄養士 の先生から食事療法を習ってもらい、妊娠中の望ましい体重増加になる ように診察していきます。より注意が必要な妊婦さんには自己血糖測定 器を貸出し、自宅でも血糖測定を行っていただきます。必要な場合には インスリン注射も使いながら、妊娠糖尿病であっても、お母さんも赤ち ゃんも合併症をおこさないように治療していきます。 産後のお母さんの健診も行って、妊娠糖尿病が改善したかどうかもご 説明させていただきます。殆どの方は産後には正常にもどります。ただ し、妊娠糖尿病と診断された方は、糖尿病体質が潜んでいるということなので、診断されなかっ た方に比べて約 7 倍、将来糖尿病になりやすいことが分かっています。毎年健診を受けること、 そして妊娠中に受けた食事療法を守り、産後も子供たちと遊びながら、こまめに体を動かして糖 尿病を予防することが大切です。 毎年 11 月 14 日は世界糖尿病デーです。シンボルマークのブルーサークルにちなみ、大阪では 通天閣と大阪城がブルーにライトアップされますので、注目してみてください。 大阪市立住吉市民病院の理念 患者さん中心の、おもいやりのある質の高い医療を提供し、市民の皆さまに信頼 される病院をめざします。 基本方針 1. 安全な医療を提供します。 2. 地域医療機関との連携を強化します。 3. 小児医療・周産期医療の充実を図ります。 4. 高い技術と豊かな人間性を持つ医療人の育成に努めます。 5. 効率的な病院経営に努めます。 栄養部 巽 浩司 “旬”とは果実、野菜、魚介類が最もおいしく、最も豊富に出回る時期をいいます。 果実野菜は熟度が増す時期、魚介類は産卵期直前等脂がのり、うま味が増す時期です。値 段も安く、おいしく、栄養価も高い旬の食材を食べたいものです。 今回は食欲の秋ということでおなじみの秋の味覚を御紹介します。 【さんま】 8月中旬までのさんまはやせたものが多いのですが、9月下旬になると脂がのって、栄養 価もおいしさも一段と増します。 脂肪分にはコレステロール値を下げ、脳血栓症などを予防する EPA(エイコサペンタエ ン酸)が含まれています。この EPA は変質しやすいので、新鮮なものを選ぶようにしまし ょう。 【柿】 体の抵抗力を高め、粘膜を強くするビタミン C、カロテンが豊富で、カリウムも多く含み ます。渋み成分のタンニンの量によって甘柿と渋柿に大別されます。 【くり】 炭水化物の他、ビタミン B1、ビタミン C が以外に多く、昔から足腰によいと言われてい ますが根拠は不明です。 【きのこ】 ノンカロリーとよく言われますが、日本人におけるエネルギー利用率の個人差が大きいこ と等から、日本食品標準成分表ではエネルギーが算出されていないだけで、目安として暫定 値が出されています。まつたけ100gで23キロカロリー、しいたけ100グラムで18 キロカロリー等です。全体に脂質が少なく、種類によって特定のミネラルが多くなっていま す。また、きのこからはいくつかの制ガン薬がつくられています。 食品はそれぞれいい面を持っていますが、それだけ食べていればいいというものでなく、 偏らずバランス良く食べることが一番です。ただし、食欲にまかせて食べすぎ、肥満にはく れぐれもご注意を。
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