本書の使い方 1. 本書は日本薬剤師会による『薬局薬剤師のための薬学生実務実習指導の手引き(2009 年度版) 』を基に、指導薬剤 師が実習生に指導する内容をより具体的に記載したものです。2010 年 3 月の初版発行以降、後発医薬品の使用促 進を図る目的で処方箋様式が変更され、一般名処方が開始されました。内服薬処方箋の記載方法も、薬剤の分量とし て 1 回量を 1 日量に併記するとともに、用法を「標準用法マスター」に準拠させるルールが浸透してきています。 そして 2014 年 6 月には改正薬事法が施行され、OTC 薬の販売ルールも大幅に変わります。本改訂版では、2014 年調剤報酬改定の内容に加え、これらの変更を反映しました。 2. 本書では「実務実習モデルコアカリキュラム」の「学習方略(LS)」の時間コマ数(1 コマ 90 分)を、日本薬剤師 会が 2009 年 9 月に示した 11 週間の週単位スケジュールに沿って割り振り、週ごとに各 LS で指導する内容を掲 載しています。各週の LS ごとに「実習前の説明」 「到達目標」 「用意するもの」 「講義・演習」を、各 LS の最後のコ マに「評価の視点」を掲載しました。実際には、同じコマ数同士であれば LS の入れ替えは可能ですので、薬局の実 情や実習の進捗状況に合わせて、スケジュールを調整してください。なお、それぞれの週の日割りスケジュールは、 薬局の事情に合わせて作成してください。 3. 「実習前の説明」には、各週の LS の目標に基づいて実習のポイントを掲げました。 4. 「用意するもの」には、処方箋、薬歴、医薬品などに加え、参考となる書籍やウェブサイトを記載しています。処方 箋や薬歴は実習生の習熟度に合わせて、随時、難易度を調整して選んでください。また本書は、参考書籍がなくても 講義ができるように作成されていますので、実習生が特定の実習テーマに強い興味を示した場合に、より深い理解を 促すために、本書で示した参考書籍やウェブサイトを利用してください。 5. 「講義・演習」 (ロールプレイ)には、講義する内容、 演習問題、 ロールプレイのシナリオなどを掲載しています。講義では、 まず実習生の知識を確認し、足りない部分を補足説明することが指導薬剤師の基本的な姿勢となります。 6. のアイコン表示は、インターネットで情報をダウンロードできることを意味しています。http:// di.nikkeibp.co.jp/jisshu/ にアクセスし、パスワードを入力してください。 ※パスワードの入力方法などは、上記にアクセスすると画面上に表示されます。 7. では、練習問題と回答用紙のワークシート、講義内容のダイジェスト、関連の法規制、月刊誌『日経ドラッ グインフォメーション』の関連記事などの PDF ファイルをダウンロードできます。ダウンロードしたデータを家庭 用プリンターなどで印刷し、実習生への配布教材として使用できます。 ※印刷および配布は、本書の購入者が薬局実務実習指導の目的で実習生に配る教材とする場合に限り許可するものです。 8. 本書には実習生が実際に患者や顧客に対応する前に、その準備段階として行うロールプレイ演習の練習問題を豊富に 盛り込みました。ロールプレイ演習には「シナリオ」が付してあります。これは、指導薬剤師が患者役などを演じる 際に役立ててもらうためのものですので、実習生には見せないようにしてください。対応する には、処 方箋や薬歴、患者の基本的な設定などが収載されていますので、実習生にはこちらをプリントして配布してください。 なお、本書に掲載したロールプレイや練習問題には、それぞれ使い方を示していますので、実習生に渡すものを確認 しながら演習を実施してください。 9 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 9.演習、ロールプレイを実施する際のポイントとして「ここがポイント!」を付けています。実習生に補足説明をする 際の参考としてください。主に知識・技能面でのチェックポイントを示していますが、絶対的な正解ではありません。 従って、演習実施後の評価は、言葉遣いや態度なども考慮して、指導薬剤師の考えで行っていただくとよいでしょう。 10.ロールプレイでは、同じ症例で、初回面接をしたり、服薬指導を繰り返し行ったりするように設定されているものが あります。一度調べた医薬品情報、作成した初回質問票や薬歴は、実習が終わるまで実習した週と LS が分かるよう に整理して保管するよう実習生に伝えてください。 11.それぞれの LS の最後のコマに付している 「評価の視点」 は、 『薬局薬剤師のための薬学生実務実習指導の手引き(2009 年度版)』から引用(一部改変)したものです。実習生に不足している点を把握して実習内容を柔軟に調整するためには、 LS の区切りで評価をすることはとても大切です。ただし、11 週間の実習の中で最終的に目標が達成されればよい わけですから、LS 終了時点の評価が最終評価とはならないことに注意してください。 12.同じ LS でも、カリキュラムの内容が複数の週にわたっていることがあります。翌週ではなく間が空いている場合には、 後の週に「復習」の項目を加えました。実習生に前回の実習内容を振り返って整理してもらった上で、該当週の実習 に取り組むとよいでしょう。 13.11 週間の実習の前半は、基本的な薬局業務を、主にロールプレイ演習を取り入れながら学習していきます。後半は 来局される実際の患者への対応が実習の主体を占めるようになっていきます。従って、本書内の練習問題やロールプ レイシナリオは、前半に多めに、後半は少なめに用意しました。 14.実務実習は、1 つの薬局で全ての到達目標に関する実習を行うことを本来の姿としていますが、調剤専門薬局では実 習しにくいと考えられるものもあります。参考までに、特に OTC 薬などの販売が少ないために連携薬局で OTC 薬 の販売、カウンター実習などを行う場合の実習スケジュール例を参考資料として掲載しています。 15.医薬品の情報は 2013 年 12 月現在、入手できたものを基本にしています。実習の実施時点では掲載情報が実情に 合わなくなっている場合もありますので、最新の情報を確認した上で指導に当たってください。なお処方箋の記載様 式も 2013 年 12 月時点での一般的な様式を採用しました。 16.調剤報酬の算定の練習問題を掲載していますが、 答えは付していません。これは、加算の要件によって答えが異なる 上、調剤報酬改定によって答えが変化するためです。最新の情報を基に、回答を得てから指導に当たってください。 17.2014 年の薬事法改正により、一般用医薬品(第 1・2・3 類医薬品)に加えて要指導医薬品のカテゴリー区分が新 設されました。本書では、要指導医薬品および一般用医薬品(第 1・2・3 類医薬品)を「OTC 薬」としています。 ただし、LS P404 や P407 の到達目標内に書かれている「一般用医薬品」や過去の法令、通知などは原文のまま 「一般用医薬品」と記載しています。 18.各週の扉には、その週の学習内容に関連した薬剤師国家試験問題を掲載しました。各問題は、薬学教育 6 年制課程に 移行した第 1 期が受験した第 97 回から第 99 回までの 3 回分の薬剤師国家試験から選びました。実習の内容がど のような試験問題と関連するのか、実習生に興味を持ってもらうと同時に、指導薬剤師も教育のポイントを確認する ために役立ててください。 10 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 計数・計量調剤 P310〜P314 5 コマ(450 分) 全 18 コマ中 4 〜 8 コマ目 実習前の説明 錠剤、カプセル剤、外用剤の調剤が できるようになりましょう 到達目標 ・処方箋の記載に従って正しく医薬品の取りそろえができる。 (技能) ・錠剤、カプセル剤などの計数調剤ができる。 (技能) ・代表的な医薬品の剤形を列挙できる。 ・医薬品の識別に色、形などの外観が重要であることを、具体例を挙げて説明できる。 ・代表的な医薬品の商品名と一般名を対比できる。 ・同一商品名の医薬品に異なった規格があるものについて具体例を列挙できる。 ・異なる商品名で、同一有効成分を含む代表的な医薬品を列挙できる。 ・代表的な同種・同効薬を列挙できる。 ・代表的な医薬品を色・形、識別コードから識別できる。 (技能) 用意するもの ①処方箋40枚以上 (麻薬処方箋含む) ②薬袋 ③医薬品 (上記処方箋内に書かれている医薬品) ④添付文書 ⑤インタビューフォーム ⑥ 『錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック』 (佐川賢一ほか監、じほう) ⑦ 『薬剤識別コード事典』 (医薬ジャーナル社) ⑧麻薬関係書類 (譲受証、譲渡証、帳簿、小売業免許証など) ⑨覚せい剤原料譲渡証、管理記録簿 ⑩ 『保険薬局業務指針』 (日本薬剤師会編、薬事日報社)など ⑪インターネットに接続されたパソコン ・厚生労働省 (http://www.mhlw.go.jp/) ・医薬品医療機器総合機構 (PMDA、http://www.pmda.go.jp/) ・厚生労働省地方厚生局麻薬取締部 「麻薬取締官」 ( http://www.nco.go.jp/) 講義・演習 1. 計数調剤の手順・方法を説明する (外用薬の調剤) 1)坐剤、点眼剤、外用液剤 (点鼻剤・点耳剤・含そう剤・消毒剤・塗布剤など) 、貼付剤、軟膏 (単剤処方 120 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 第2週目 計数・計量調剤 P 310〜P 314 の場合)の場合 ①全量処方されているので、製品の規格に注意して、取りそろえる。 ②各製品に使用説明書が添付されていることが多いので、忘れず添付する。 ③使用部位、1日使用回数、1回量を薬袋に表書きする。 P309 参照 → P309 2)経皮吸収製剤、吸入剤の場合 ①吸入剤は専用器具が必要であるため、患者の手持ちを確認する。 ②全量処方される場合と、内服錠剤と同様に1日量と投与日数で処方される場合があるので、間違え ずに取りそろえる。 ③各製品に添付されている使用説明書を添付する。 2.特徴的な色・形の医薬品について説明する (それぞれの薬局にあるものの中から選択して説明する) 特徴的な色、形の医薬品 例 ①ペルサンチン錠 25 mg ②アモバン錠 7 . 5 ③フルイトラン錠 2 mg ④クエチアピン錠 100 mg「DSEP」 ⑤ビタノイリンカプセル 50 ⑥インテバン SP 25 ⑦エパデール S 300 ⑧アダラート CR 錠 20 mg ⑨ベンザリン錠 5 ⑩ハルシオン 0 . 25 mg 錠 ⑪ゾルピデム酒 石酸塩ODフィルム5mg「モチダ」 ❶ ❷ ❺ ❽ ❸ ❻ ❹ ❼ ❾ 3.主な一般名・販売名を列挙する 例 メトトレキサート:メソトレキセート、プレドニゾロン:プレドニン、プラバスタチンナトリ ウム:メバロチン、プラバスタチンNa「メーカー名」 (後発医薬品) ※各薬局の備蓄から選択 ・ 先発医薬品と後発医薬品で効能・効果が異なるものもあることに注意。 (例:プランルカスト水和物 [オノン] 、ドネペジル塩酸塩 [アリセプト] ) 4.同一販売名・規格違いの薬剤を列挙する 例 ペルサンチン錠 12.5mg・25mg・100mg(効能・効果が異なるため注意) 121 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 3)セルフメディケーションに関連する薬局アイテムについて ①OTC薬 ②健康食品 (サプリメント) ③医療機器 ・体温計、ネブライザー、ピークフローメーター、血圧計、血糖自己測定器 など 2.改正薬事法について説明する 1)2009年薬事法改正 改正薬事法について まれに重大な健康被害を生じる恐れのあるOTC薬も、比較的リスクの低いOTC薬も、2009年ま では、情報提供については一律の扱いだった。実際には、リスクが高い医薬品であっても、薬剤師 による説明が十分になされていないことが多かった。 そのため 09 年の薬事法改正では、リスク に基づきOTC薬を第1類、第2類、第3類の3区分に分類し、第1類は薬剤師による対面販売を必 須とし、書面による情報提供が義務付けられるなど、情報提供や販売の方法がリスク分類により明 確化された。 併せて、OTC 薬の販売を担う専門家として、薬剤師とは別に登録販売者制度が設けられた。登録 販売者は、都道府県が実施する試験に合格すれば資格を取得できる。 OTC薬を販売する店舗では、薬剤師または登録販売者を配置することが必要になった。ただし、薬 剤師は全てのOTC薬を販売することができるが、登録販売者は第1類医薬品の販売はできない。 2)OTC薬のネット販売訴訟 「日経ドラッグインフォメー ション」 2014 年 2 月号 「ネット販売解禁で業界に 激震?どうなる OTC 薬販 売」 厚生労働省は09年、改正薬事法の施行に伴って発出した省令で、第1・2類医薬品の対面によらな い販売を禁止した。これを巡って訴訟が起こり、13年1月、最高裁は、 「店舗販売業者に対し、第 1・2 類医薬品の郵便等販売を一律に禁止する厚生労働省の規定は、新薬事法の委任の範囲を逸脱 した違法なものとして無効」として国の上告を棄却する判決を言い渡した。最高裁判決を受けて厚 生労働省は検討会を設置し、薬事法改正を視野に入れた議論が行われた。 3)2014年薬事法改正 13年12月、OTC薬のインターネット販売のルールを盛り込んだ改正薬事法が成立、公布された。 改正薬事法を運用するための詳細なルールを定めた施行令と施行規則も公布され、14年6月12日 に施行されることになった。施行に先立って、14年3月に厚生労働省医薬食品局長通知 「薬事法及 び薬剤師法の一部を改正する法律等の施行等について」 (薬食発0310第1号)が発出された。 ○ 「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律等の施行等について」 (薬食発0310第1号) (http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T140310I0030.pdf) ○ 「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律 (概要) 」 (http://www.pmda.go.jp/guide/hyougikai/25/h251226shinsaanzen2/file/sanko5.pdf) 4)特定販売 改正薬事法では、インターネットなどの通信手段を利用して、薬局・店舗以外の場所にいる者に対 して一般用医薬品を販売することを 「特定販売」と定義。都道府県から特定販売の許可を受ければ、 ネット販売を含む通信販売が可能となる。 190 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 第3週目 一般用医薬品・医療機器・健康食品 P 404 販売サイトなどで受注し一般用医薬品を販売することになるが、販売時の情報提供に関する義務 などは店頭での販売時と同じである。そのためネット販売を行う店舗は、あらかじめ薬事監視に必 要な設備 (テレビ電話など) を設置し、サイト上でも薬局の外観や医薬品の陳列、対応する薬剤師や 登録販売者の氏名などを表示する必要がある。 5)新たなOTC薬のリスク区分 改正薬事法では、OTC薬はリスクに基づき、以下の4区分に分類された。 → P101( 15ページ)参照 ①要指導医薬品 劇薬指定品目と安全性調査の終了していないスイッチ直後 OTC 薬もしくはダイレクト OTC 薬 が含まれる。店頭のみの販売で、書面もしくは電磁的記録による情報提供が義務付けられた。 2014年3月現在、発毛剤の 「リアップX5」 、抗アレルギー薬の 「アレグラFX」 、 「アレジオン10」 、 解熱鎮痛薬の 「ロキソニンS」などが分類されている。 ②第1類医薬品 特にリスクが高い一般用医薬品で、使用経験が少ないなどの理由から、安全性について特に注意 を要する成分を含む。特定販売は可能であるが、書面もしくは電磁的記録による情報提供が義務 付けられた。H 2 ブロッカー、禁煙補助薬などが分類されている。 ③第2類医薬品 リスクが比較的高い一般用医薬品で、まれに入院相当以上の健康被害が生じる可能性があるもの。 特定販売は可能で、情報提供は努力義務とされた。かぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸鎮痛系薬、外用消炎・ 鎮痛薬などが分類される。第 2 類の中でも相互作用や患者背景などに注意を要するOTC薬は、指 定第2類医薬品に分類される。ジフェンヒドラミン含有の催眠導入薬などが分類されている。 ④第3類医薬品 リスクが比較的低い一般用医薬品で、日常生活に支障を来すほどではないが、身体の変調・不調が 起こる恐れがある成分を含むもの。特定販売は可能で、情報提供に関する規定もない。ビタミン B、ビタミンC配合の保健薬、主な整腸薬、消化薬などが相当する。 6)薬局での掲示 商品の陳列・外箱表示について ・薬局・店舗においては、取り扱う医薬品の種類、店舗にいる専門家の種類、リスク程度に応じた販 売方法、相談対応が可能な時間帯などの説明を掲示する。 ・それぞれのOTC薬には、医薬品のリスク区分ごとに、リスクの程度に応じた外箱表示をする。ま たOTC薬はリスク区分ごとに分けて陳列する。特に要指導医薬品、第1類医薬品は、販売側から 購入者へカウンター越しに医薬品を手渡すような陳列方法 (オーバーザカウンター)とする。 191 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 安全対策 P328~P333 1 コマ(90 分) 全 7 コマ中 6 コマ目 実習前の説明 調剤過誤やヒヤリ・ハット事例の防止策を検討し、 説明できるようになりましょう 到達目標 ・代表的な医療事故訴訟あるいは調剤過誤事例について調査し、その原因について指導 薬剤師と話し合う。 (知識・態度) ・名称あるいは外観が類似した代表的な医薬品を列挙できる。 ・特にリスクの高い代表的な医薬品 (抗悪性腫瘍薬、抗糖尿病薬など)を列挙できる。 ・調剤過誤を防止するために、実際に工夫されている事項を列挙できる。 ・調剤中に過誤が起こりやすいポイントについて討議する。 (態度) ・過誤が生じたときの対応策を討議する。 (態度) ・インシデント、アクシデント報告の記載方法を説明できる。 用意するもの ① 『薬局・薬剤師のための調剤事故防止マニュアル』 (日本薬剤師会編、薬事日報社) ②PHARM-2E分析法関連資料 ③各薬局の医療安全管理指針 ④各薬局の医薬品等の安全使用のための業務手順書 ⑤各薬局の調剤内規 ⑥各薬局の調剤過誤対策マニュアル ⑦各薬局の調剤過誤対応マニュアル ⑧各薬局のインシデントレポート、アクシデントレポート見本 ⑨各薬局のインシデントレポート、アクシデントレポート用紙 ⑩インターネットに接続されたパソコン ・日本薬剤師会 (http://www.nichiyaku.or.jp/) 「新任薬剤師のための調剤事故防止テキスト (第二版) 」 (日本薬剤師会編) 「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン (第2版) ( 」日本薬剤師会編) 講義・演習 1. 医療機関の医療安全の管理体制について、医療安全管理指針および医薬品等の 安全使用のための業務手順書を用いて説明する 1)基本理念 2)用語の定義 282 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 第5週目 安全対策 P 328~P 333 3)医薬品安全管理責任者の設置 4)医薬品の安全使用のための業務手順書の作成と周知 5)従業者から薬局開設者までへの事故報告の体制の整備 6)従業者に対し、医薬品情報など安全に使用するための教育研修の実施 2. 薬局で行っている調剤過誤防止対策を見学させる 1)散剤・液剤の鑑査システム 2)錠剤の過誤防止方法 ・ダブルチェック ・規格が複数ある場合の棚表示 ・過去に過誤の発生した医薬品の棚表示 3)液剤の過誤防止方法 4)一包化薬の取り間違い防止 5)医薬品の充填間違い防止 3 . 薬局内での調剤過誤、ヒヤリ・ハット事例を示し、ど のような時に過誤が起こりやすいか話し合う。さらに ヒヤリ・ハット事例の防止策を検討する 1)過去のヒヤリ・ハット事例を分析する ①過誤発生曜日、調剤時間、処方箋枚数、薬剤師経験年数など ②内容の分類 ・数:計算間違い、シートの錠数の勘違い、処方日数の読み間違いなど 調剤過誤防止対策の例 インシデント、アクシデントの原 因になりやすい複数規格がある薬 剤の棚に注意喚起のための表示を している薬局も多い。 ・規格:薬局採用品、薬局不採用品の知識不足など ・他の薬剤:商品名の類似、同一薬効の商品名違い、商品名と一般名の読み間違い、外観の類似など ・散剤・液剤:計算間違い、賦形間違いなど ・薬袋・ラベル:指示間違い、入れ間違い・貼り間違い、患者氏名間違いなど ・薬剤情報提供書:記載ミスなど ・調剤もれ、渡し忘れなど 2)薬局内全体の傾向と個人別の傾向を分析する 3)分析結果を元に、防止対策を検討する ①2.で見学した調剤過誤防止対策の点検評価 ②個人ごとの対策を確認する ③既に実施されている対策の中で、改良すべき点はあるのか討議する ④新たな過誤防止対策はあるのか討議する 医療機関で実施しなければならない医療安全管理体制について説明させる 薬局で実施されている調剤過誤防止対策を見学させる 調剤過誤やヒヤリ・ハット事例の防止策を検討し、案を策定させる 283 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 一般用医薬品・医療機器・健康食品 P404 1コマ(90分) 全5コマ中5コマ目 実習前の説明 ロールプレイで、患者の訴えに応じて OTC 薬を選択してみましょう 到達目標 ・セルフメディケーションのための一般用医薬品、医療機器、健康食品などを適切に選 択・供給できる。 (技能) 用意するもの ①OTC薬の添付文書 ② 「一般用医薬品販売の手引き 第1版」 (日本薬剤師会編) ③インターネットに接続されたパソコン ・医薬品医療機器総合機構 (PMDA、http://www.pmda.go.jp/) 復習 国民のセルフメディケーションを支援するために薬局薬剤師が果たす役割を確認する。 セルフメディケーションに関連する薬局アイテムについて確認する。 用意するもの ロールプレイで、顧客に適切なOTC薬を選択させる 1)事前学習 241 ~ 244 ページのチャートに対応する商品を実習生に調べさせる。例えば、総合感冒薬を買い に来た患者が 「眠くならない薬を」と要望した場合には、抗ヒスタミン薬などを含まない薬剤 (漢方 薬を含む)を薦めることになるが、具体的に、実習地の薬局で取り扱っている商品にどのようなも のがあるかを調べさせる。商品名、包装単位、価格、相互作用、禁忌などについても調べさせる。 要指導医薬品および第 1 類医薬品については、顧客への情報提供の際に必要な文書をインターネ ットなどを使って入手させる。 ロールプレイでは、自分の症状や生活環境について訴える顧客 (指導薬剤師) に対して、薬局薬剤師 (実習生)が事前学習での準備に基づいて、適切な商品を選択し、推奨する。 366 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル 第7週目 一般用医薬品・医療機器・健康食品 P 404 2)全般的なチェックポイント ・顧客から症状をうまく聞き出せたか ・症状に合った商品を選択できたか ・病歴、アレルギー歴、副作用歴の確認はできたか ・注意事項 (他の医薬品の服用の有無など)は確認できたか ・商品の説明 (情報提供)はうまく行えたか 3)ロールプレイのシナリオ 練習問題1 OTC 薬の選択のロール プレイ・練習問題 シナリオ タクシー運転手の 50 歳男性の A さんが、「昨日から熱が 37.5℃あって、咳も出ます」とかぜ薬を 求めて来局。 ここが ポイント! 車の運転をする仕事であることに着目する。鼻炎の症状を確認し、眠くなる成分 が入っていないかぜ薬を選択する。 練習問題 2 シナリオ 3 月 25 日に営業マン風の男性 K さんが車で来局。 「数日前からくしゃみ、鼻水がひどい。花粉症 は今までなかった。熱はないが、かぜだと思う。かぜ薬が欲しい」 ここが ポイント! 眠くならないかぜ薬として販売されているOTC薬は解熱や鎮痛を目的としてい るため、くしゃみや鼻水には効果が期待できない。車で来局しているので、眠気 が少なく、鼻かぜに使用する小青竜湯、かぜの引き始めに使用する葛根湯などを 薦める。症状が続くようであれば、季節的には花粉症を発症した可能性も考えら れる。 練習問題 3 シナリオ 「昨日から胃痛がします。痛みは比較的軽いのですが、むかむかする感じです」と 45 歳男性の T さんが胃薬を求めて来局。 ここが ポイント! 昨日の状況をよく聞いて、飲食過多なら消化剤が主剤の総合胃腸薬を選択。そう でなければ、痛み止め成分が主剤の総合胃腸薬を選択する。 367 薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル
© Copyright 2024 Paperzz