日消外会誌 25(11):2743∼ 2749,1992年 遠位all小腸大量切除 の ビタ ミン Dお よび骨代謝 に及 ぼす 影響 に関す る実験的検討 国立仙台病院外科 今 村 幹 雄 山 内 英 生 ビー グル成犬 を用 いて消化 吸収障害 モ デル として7 5 % の ( 遠位側) J ヽ腸大量切除 を施行 し, 6 か 月 後 まで栄養状 態 と血 中 ビタ ミン D 分 画 の変動 を観察 し, 6 か 月後 には腰 椎 を摘 出 し組織学 的検討 と骨 形態計測 を行 った 。また , 術 後, ウ ル ツデオキシ ヨール酸 ( U D C A ) と 活性型 ビタ ミン D 3 製 剤 ( 1 2 ( O H ) D 3 ) の 併用投与や後者 の単 独投与 を行 い, そ の効果 を検討 した 。 遠位側小腸大量切除 に よ り体重減 少, 水 様便, 消 化管通過 時間 の短縮 な ど消化 吸収障害 が発生 した 25(OH)2Dの 減少 1 2 ( O H ) D 3 の 併用投与 は栄養状態 を改善 した 。また, 2 5 ( O H ) D や 2 4 ・ ビタ の量 の減少, 骨 形成率 ミン では類 と幅 D 代 謝 に も明 らかな変化 を もた らした。術後 6 か 月 など 骨 が, U D C A と の低下 な どが生 じ骨基質形成不全 が示唆 され, 長 期経過後 には骨量減 少 が生 ず ることが予想 された。 UDCAお よび1 2 ( O H ) D 3 の 併用投与 は骨基質形成障害 を軽減 した , Key words : massivebowel resection, beagledogs, ursodeoxycholicacid, vitamin D metabolites, bone histomorohometrv は じめに 臨床的 に絞掘性 イ レウス, 腸間膜動脈 塞栓症, ク ロー ン病 な どの炎症性腸疾患 の手術 に際 し小腸大量切除が 施行 され ることがあ り, 術 後, 消 化 吸収障害, 胆 汁酸 化謝障害, 消 化管 ホル モ ン分泌異常 な どさまざまな病 l l D . この よ うな病態下 で 態 の発生 が報告 され て い る は脂 溶性 ビタ ミンで あ る ビタ ミン D の 吸収 も障 害 さ れ, 結 果 として骨代謝異常 の発 生 が 予預」され る。 そ こ で, ビー グル成犬 を用 いて遠位側 小腸 を大量切 除 し, 術後 の消化 吸収 障害 状態 の ビタ ミン D お よび骨 代 謝 へ の影響, さ らに, 活 性型 ビタ ミン D ま たは胆 汁酸製 剤投与 の効果 を検討 した。 I . 対 象 お よび方法 対象 は体重 7 ∼1 l k g , 生 後 1 5 か月 の ビー グル成犬 で, 雌雄 の別 な く用 いた。 ネ ンブタ ール ( 2 5 m g / k g ) 麻 酔 下 に遠位側小腸 を7 5 % 切 除 し, 残 存空腸 を吻合 のため に約2 c m 残 した回腸末端 と端 々吻合 した 。術後, イ ヌ を 3 頭 ず つ 3 群 に分 け, A 群 : ウ ル ソデオキシ コール 300mgを ,12(OH) D3は 0・ 375μgを い ず れ も術後 1週 目よ り隔 日経 口投 与 した 。術後 6か 月間 の観察 を行 い,血 液生化学検査, 非投与群 (対照)と した 。UDCAは 体重 お よび便 の性状 の変化,全 消化管通過 時間,お よ び血 中 ビタ ミン Dメ タボ ライ トにつ いて検討 した。全 消化管通過時間 は,術 後 3か 月 お よび 6か 月経過 時 に 行 い,バ リウム食 (VITA‐ONE ① 30g/kg十硫 酸 バ リウ ム100ml)を 経 口投与 し,排 便 までの時間 を測定 した。 血 中 ビタ ミン Dメ タボ ライ ト濃 度 は,血 清 を抽 出後, で, 25(OH) 12・25(OH)2Dヤよradioreceptor assay法 Dお よ び24・25(OH)2Dヤ よcompetitive protein, binding assayで 法 測定 した。。 また, 6 か 月後 にはテ ン トラサ イク リ ( 2 0 m g / k g , 静 注) を 用 い1 0 日間 の間 隔 で 2 回 骨標識 を行 い, 2 回 目の注射 か ら1 0 日後 に屠 殺 して腰 椎 を摘 出 し, 組 織学的検討 お よび骨形態計測 を行 った。 <1992年 6月 17日受理>別 刷請求先 !今 村 幹 雄 〒983 仙 台市官城 野 区官城 野 2-8-8 国 立仙 台 骨形 態計測 は, 第 3 腰 権 の正 中矢状断 の非脱灰標 本 を作成 し, C o l e の ヘ マ トキ シ リンーエ オジン染色D を 施 し, ニ コンの コスモ ブー ンl S 半 自動画像解析装置 を用 い, 拡 大 率2 5 0 倍で行 った 。対照 は他 の実験系 で使用 し た 月齢 2 3 ∼2 4 か月, 体重 7 ∼ 1 l k g の ビー グル成犬 3 頭 の成績 で あ る。検 討 した パ ラメ ー タ ーは単位骨組織 当 病院外科 りの骨量 ( b o n e v o l u m e / t i s s u e v o l u m e t B V / T V , % ) , 酸 ( 以下, U D C A ) 十 活性型 ビタ ミン D 3 ( 以下 , 1 2 ( O H ) D 3 ) 併用投与群 , B 群 : l α( O H ) D 3 単 独投与群, C 群 : 遠位側小腸大量切除の ビタ ミンD お よび骨代謝 に及ぼす影響 74(2744) 骨実質 に 占め る類骨量 ( o s t e o i d v o l u m e / b O n e v o l ‐ ume:OV/BV,%),類 骨層幅 ( μm ) , 類 骨層 の 占め る 日 消外会誌 2 5 巻 1 1 号 いず 術前 と術後 6 か 月時 の成績 を示す ( T a b l e l ) 。 れ の群 で も低蛋 白血症 はな く, 肝 お よび腎機能障害 も 表面積 ( o s t e o i d s u r f a c e / b o n e s u r f a c e : O S / B S , % ) , み られず, C a と P 値 に も変動 はなか った。血 清脂質 は 骨 吸収面 ( e r O d e d s u r f a c e / b o n e s u r f a c e i E S / B S , % )総 , コレステ P ― ル, ト リグ リセ ライ ド, リ ン脂質 のい ン テ トラサ イク リ 2 重 標識 か ら石灰化表 面積 ( m i n e r ‐ ずれ も各群 で低 下 した。 a l i z i n g s u r f a c e / b o n e s u r f a c e i M S / B S , %石灰化 )と 速度 ( m i n e r a l a p p o s i t i o n r a t e t M A R m, /μd a y ) , 2 . 体 重 お よび便 の性状 体重 は各群 で減少 したが, A 群 では 4 か 月頃 か ら回 お よび単位骨量 に対 す る骨形成 率 ( b o n e f o r m a t i O n 復 し, 6 か 月後 には術前 よ り若 干増加 した ( F i g 。1 ) . r a t e / b o n e v o l u m e : B F R / B V , % / y e a r ) で あ る。石灰 しか し, B , C 群 では 6 か 月後 で も依然 として術前 よ り 化 表 面 積 は テ トラサ ク リ ン の 1 重 標 識 面 ( s i n g l y labeled surface i sLS) と 2重 オ 票識 面 (doubly labeled 低値 に あ った . 各 群 とも術後 は水様便 を呈 した が, A surface:dLS)か ら, sLS× 1/2+dLS/BS(%)と 月後 で も無形軟便 で, 水 様便 もみ られた. し 群 では 5 か 月時 には有形使 とな った。B , C 群 で は 6 か て計 算 し,骨 表面 が石灰化 された割合 を示す 。 また, 3 . 全 消化管通過 時間 石灰化速度 は テ トラサ イク リンの 2種 標識 の間隔 を波J 術後 3 か 月 の 時点 で は, A 群 定 し, こ れ を投与 間隔 (日数)で 害」り, 1日 に石灰化 S.EM.),B群 i184±5分 ,C群 す る速 度 を示す。なお,類 骨層幅 と石灰化速 度 は ″/4で 月時で は A 群 i 3 0 4 ±7 分 , B 群 割 って 補 正 し,perimeter/areaに area/volumeに 転換 した。. は4/π を か け て 測定値 は平均値 土標準誤差 (また は標準偏差)で 表 現 し,統 計学的処理 は Student'st検 定 に よ り,危 険率 5%以 下 を有意差 あ りとした。 H.成 ! 3 6 4 ±2 6 分 ( m e a n ± : 2 3 9 ±1 3 分で, 6 か ! 2 0 4 ±2 2 分, C 群 : 2 4 9 ±1 1 分とな り, い ずれ の時期 において も B , C 群 で は A 群 に比 べ 有意 に短縮 した。しか し, B 群 と C 群 の 間 には有意差 は認 め られ なか った。 4 . ビタ ミン D メ タボ ライ ト 1 2 ・2 5 ( O H ) 2 D 値 は若 干減 少 す る群 もあ ったが, 各 群 において術前値 に比 べ , 右 意 の低 下 まで には至 らな か った ( F i g 。2 ) 。2 5 ( O H ) D と 2 4 。 2 5 ( O H ) 2 D は 術後 1 績 1.血 液生化学校査 Table 1 Blood biochemical analvsis 6 Months after surgery Bettfめ g tty 猪呉や 鷲 ≧名ギ 密 ≧名ギ Plasma prOtein (g/dl) Albulnin (g/dl) COT (IU/1) GPT (IU/1) ALP (IU/1) BUN (mg/dl) Creatinine (mg/dl) Ca (mg/dl) P (mg/dl) Total ch01esterol(mg/dl) Triglyceride (mg/dl) Phospholipid (mg/dl) 54± 01 54± 01 5 . 5 ±0 1 55± 0.2 3 1 ±0 1 2 9 ±0 1 2 . 8 ±0 1 2 . 9 ±0 5 2 1 ±1 1 6 ±0 3 1 8 ±1 1 8 ±1 4 0 ±4 3 1 ±2 29=L5 3 1 ±2 6 1 ■5 3 6 ±4 ■ 4 5 ±1 3 4 3 ±1 2 1 0 ±1 5 1 1 ±1 9 1 0 ±1 2 8 ±0 . 6 0 5ELO.02 06± 01 0 7 ■0 . 0 3 06 96± 0.2 98± 0 1 92± 0.2 96± 02 39± 012 37± 01 34± 02 33± 0.4 139=上 8 1 0 1 ±1 1 1 1 4 ±1 3 1 0 7 ±8 1 6 ±1 1 1 ±3 3 2 2 ±1 4 242=L18Ⅲ 6 ±0 3 Ⅲ 2 8 3 ±2 9 8 262=生 12 Legend : GOT, glutamic-oxaloacetic transaminase; GPT, glutamic-pyruvic transaminase; ALP, alkaline phosphatase; BUN, blood urea N, Ca, calcium; P, phosphorus. Group A was given both ursodeoxycholic acid and la-hydroxyvitamin D. ; Group B was given la-hydroxyvitamin D.; and Group C received no drugs. Values are mean+SEM. rp(0.05 (compared to preoperative level) 75(2745) 1992+[n や 1 2 ( O H ) D 3 投 与 に よ る 明 らか な 相 違 は 観 察 され な Fig. 1 Changes in body weight following 75% resection of the distal small intestine. Group A (o-o : n - 3 ) w a s g i v e nb o t h l a ( O H ) D , a n d UDCA every other day; Group B (A---n : n= 3) was given 1a (OH)Dr alone; and Group C ( o --o : n=3) received no drugs. Results か っ た 。 6 . 骨 形態計測 骨量 はいずれ の群 で も減 少 はみ られず, 対 照 と差 を 認 め なか った ( F i g 。4 ) . 類骨量 は B , C 群 で低下 し, B 群 と対照群 の間 で は有 are expressedas mean+S.E.M. 意差 を認 めた ( F i g 。5 ) . 類骨層幅 は各群 で対照群 に比 べ有意 に低下 した 。し か し群 間 での差 はみ られ なか った ( F i g . 6 ) . 類骨層 の 占め る表 面積 の害J 合は各群 で低下 し, と く に B 群 は C 群 お よび対照群 に比 べ 有 意 に低値 を示 し た (Fig. 7). 骨 吸収面 は各群 とも対照群 と差 は な く,骨 吸収元進 はみ られ な か った (Fig.8). 合 は対 照 群 に比 べ 各 群 と も減 少 石 灰 化表 面 積 の 害」 o, 1 2 3 4 5 し, と くに C群 で は有意 に低値 に あ った (Fig.9). 石灰化速度 は C,B,A群 の順 で対照群 よ り低 い傾 向 6 Months after surgery に あ ったが,有 意差 はみ られ なか った (Fig.10). 骨形 成率 はいず れ の群 で も対照群 よ り低下 し, と く に C群 で 著 明 で あ った (Fig.11). か 月 よ り減 少 し, そ の後 もわず か なが ら減少傾 向を示 III.考 した, 察 今回, ビ ー グル成犬 を用 いて75%遠 位狽1小腸大量切 除を施行 した ところ,低 蛋 白血 症 は生 じなか った が, 5 . 骨 の組織学的所見 F i g . 3 a は A 群 の骨組織 で あ る。類骨層 が非薄化 し てい るが メタク ロマ ジ ーを示す石灰化前線がみ られ, そ の表面 に骨芽細胞 の配列 を認め る。 F i g , 3 b は B 群 血 清脂質 は低 下 し,水 様便 お よび体重 減少 が生 じ,全 投与 で 消化管通過時間 が短縮 した 。 12(OH)D3の r7xの の もので あ る。破骨細胞 の活動性骨 吸収寓 がやや 多 く は これ らの消化 吸収障害状態 は改善 され なか ったが, 観察 され, 骨 リモ デ リングの元進 が うかが える。なお, UDCAを いず れで も骨軟化症 の所見 はみ られず , ま た, U D C A 状 は回復 し,消 化管通過 時間 は廷長 した 。した が って, 併用す る ことに よ り,体 重減少 お よび便 の性 Fig. 2 Changesin plasma concentrations of active vitamin D metabolites fol1a'25l o w i n g 7 5 % d i s t a l s m a l l b o w e l r e s e c t i o n1. a . 2 5 ( O H ) , D : dihydroxyvitamin D, 25(OH ) D : 2S-hydroxy'vitaminD, 24. 25(OH )zD : 24' 2 S - d i h y d r o x y v i t a mDi n. O ; b e f o r e s u r g e r y( n = 9 ) , o - o ; G r o u p A ( n = 3 ) , n ; G r o u p C ( n = 3 ) . V a l u e sa r e m e a n A---A; GroupB(n=3), and a *-+S.E.M. The asterisks represent a siginificant difference compared to the preoperative value. 60 合E ヽ口c︶ O 1 3 6 Months after su.gery N ・ ︵I O ︶0中 やヽ 倉E ヽゅ・︶ 0 ︵IO ︶ON 範 如 0 N 合 E ヽ口。 ︶ O ︵I O ︶い中 ・も い preOP Pr6P. I 3 Months after surgery 6 prep. I 3 Months after surgery 6 遠位側小腸大量切除 の ビタ ミンDお よび骨代謝 に及ぼす影響 76(2746) Fig.5 0steoid volume/Bone v01ume (OV/ ,V)i%,meanttSEM. ︵ま ︶> 口 ヽ> O Fig. 3 Histological findings of the third lumbar spine with H.E stain. Although it shows a thin osteoid layer, matachromatic calcification front with osteoblasts is clearly demonstrated (a). Eroded lacunae accompanied by osteoclasts are often observed, indicating an accelerated bone remodeling (b). 日 消外会誌 25巻 11号 Fig.6 0steoid thickness(0.Th):μ m ︵E 、 ︶〓卜 O 十 uDCA Fig.7 Osteoid surface/Bone %, mean+SEM. BS) surface (OS/ 26 │ TV) Bone volume/Tissue volume(BV/ %, mean+SEM ︵ぷ ︶の い ヽの O Fig. 4 ︵ざ ︶> 卜ヽ> 口 十 D3 +UDCA htestn』 Re5eCjOn COntrd 十 D3 +D3 +UDCA UDCAと 1 2 ( O H ) D 3 の 併 用投 与 は遠 位 側 小 腸 大 量 切 2 5 ( O H ) 2 D の 血 中 レベル は1 2 ( O H ) D 3 ま た 験 で はl α・ は UDCAの 投与 の有 無 にか かわ らず, 小 腸 大 量切 除 後 も術 前 値 を維 持 した。 一 方, 2 5 ( O H ) D お よび2 4 ・ 2 5 ( O H ) 2 D 値 は各群 で減少 した。ビタ ミン D メ タボ ラ 除後 の 消化 吸収 障 害 の 改善 に有 効 で あ る と考 え られ イ トとして 主 た る血 中 での存在 型 で あ る2 5 ( O H ) D 3 1 ° た。 は腎 で代謝 され1 2 ・2 5 ( O H ) 2 D 3 また は2 4 ・ 25(OH)2D3 とな るが1 1 ) , 低カル シ ウ ム血 症 の よ うな状 況 下 で は1 胆汁 お よび活 性 型 ビタ ミン D に つ いて は腸 肝 循 環 が報告 され てお り> り , 遠 位 側 小腸 を大量切 除 した場 合, この腸肝循 環 が破綻 し, 胆 汁 のみ な らず活性型 ビ タ ミン D の プ ール も減 少す る こ とが予源J され る。本実 2 ・2 5 ( O H ) 2 D 3 へ の 転 換 が2 4 。 25(OH)2D3へ の そ れ よ り優 位 で あ る1 2 1 . また , 今 回 の 成 績 で示 した よ うに ・ 2 5 ( O H ) Dよ おび2 4 2・5 ( O H ) 2 D血の中 濃 度 はl α 77(2747) 11月 1992年 Fig.8 Eroded surface/Bone surface (ES/ BS):%,meanttSEM. Fig.1l Bone formation rate/Bone v01ume(BFR/ BV)t%/year,meanttSEM (%) 20 ︵ぷ ︶の 口 ヽの 凹 十 A C 3D DU 十 十 Fig. 9 Mineralizing surface/Bone surface (MS/ BS) : %, mean+SEM. 低下 して も,必 ず しも12・25(OH)2D3が 低下 しないの は低 カル シ ウム血 症 に よる腎で の12位 の 水酸 化 の 元 進 が あ るため として い る。本実験 での A,Bの 2群 で は経 日投与 されたlα(OH)D3は 肝 で代謝 され 10,小 腸 ︵求 ︶の m ヽの こ か らの カル シ ウ ム吸収 の上 で ホル モ ン作用 を有す る活 19.し た 性型 ビタ ミン D3で あ る12・25(OH)2D3に な る が って,こ の 2群 での血 中25(OH)Dレ ベ ルは12(OH) D3を 投与 しない C群 よ り高 い こ とが予想 された。しか し,実 際 には 3群 とも同様 な25(OH)D値 を示 した。こ +UDCA Fig. 10 Mineral apposition rate (MAR) i″m/ day, mean+SEM. の こ とよ り,今 回 の消化 吸収障害 モ デル では小腸 か ら の12(OH)D3の 吸収 が低下 していた こ と,あ るいはlα (OH)D3の 投与量 が少 なか った こ とも推 測 され る。本 実験 で 6か 月後 まで血 中 Caお よび P値 が正常 に保 た れ ていた こ とは,血 中 12・25(OH)2Dレ ベ ルが術前値 に維 持 された こ とと一 致す るが,25(OH)Dお よび24・ 25(OH)2D値 が低下 した ことか ら, よ り長期 に経 過観 察 を行 えば,カ ル シ ウムお よび骨 代謝障害 の発 生 が予 測 され る。 骨 の組織学的所見 としては,本 実験 では UDCAや 十D 3 + D 3 +UDCA 25(OH)2Dの 約300倍で あ る.し たが って,本 実験 で は 活 性型 ビタ ミン Dの 腸 肝循 環 の 破綻 お よび脂 溶 性 ビ タ ミンで あ る ビタ ミン Dの 小腸 か らの 吸収低 下 に よ り,血 中 に存 在 す る25(OH)D3は 12・25(OH)2D3の 不 足 を補 い,12・ 25(OH)2Dレ ベ ル は辛 うじて術前後 を 25(OH)2D 維 持 してい るが,25(OH)D自 身 お よび24・ の血 中 レベルは低 下 した と考 え られた。Rickersら1め の報告 で も小腸 の パ イパ ス手術後,25(OH)D3の み な 1 2(OH)D3の 投与 に関係 な く,類 骨層 が非薄化 したが, 石灰化前線 がみ られ,類 骨 の表 面 には骨芽細胞 の配列 を認 め,骨 軟化症 の所見 はなか った。し か し,バ イパ ス手術 や小腸切除 を受 けた臨床例 のなかには軽度 なが ∼1り 1● ,Mosekil‐ ら,骨 軟化症 の発現 が報告 されてお り deら 10は骨 軟化 症 の 発 現機 序 と して高 度 の ビタ ミン D代 謝異常や カル シ ウム吸収障害 をあげて い る。また , は パ ィパ ス手術後 に くる骨 軟化 症 は一 Compstonら 1の 般 のそれ と異 な り,石 灰化前線 が 多 く, 2次 性 副 甲状 腺機能克進症 の様相 を加味 して い る と報告 してい る。 第 3腰 椎 を用 いて骨形 態計測 では,75%の 遠位側 小 25(OH)2D3が 減少 したが,24・25(OH)2D3の 減 らず24。 腸大量切除 の半年後 には骨量減 少 は認 め られな か った ものの,類 骨 の量 と幅が減 少 し,骨 形 成率 の低下 がみ 少 は25(OH)D3の 喪失 に よる とし,ま た ,25(OH)D3が られ,骨 基質形 成不全 を示唆 した 。す なわ ち,本 実験 78(2748) 遠位側小腸大量切除の ビタ ミンDお よび骨代謝 に及 ぼす影響 モ デル で は低 蛋 白血 症 はみ られ なか った こ とよ り,高 日 消外会議 25巻 11号 7)Dietschy JM i Mechanisllls for the intestinal 度 の 栄 養 障 害 は 生 じなか った が ,消 化 吸収 障 害 が 骨 基 absorption of bile acids. J Lipid Res 9: 質 形 成 を低 下 させ ,類 骨 層 の 非 薄 化 に 関 与 した と考 え 297--309, 1968 られ る。し た が って ,前 述 した よ うに ,よ り長 期 にわ た り経 過 を追 えば ,活 性 型 ビタ ミン D3の 低 下 と相 ま っ て 骨 減 少 が お こ る こ とが予 想 され る。 骨 量 減 少 の 機 序 10,消 に つ い て は カル シ ウ ム の 負 の パ ラ ンス 1的 化 吸収 障 害 に よ る低 蛋 白血 症 と骨 茅細 胞 の機 能 不 全 な どか ら い.uDCA くる骨 基 質形 成 不 全 が 考 え られ て い る1918レ また は12(OH)D3投 与 の 骨 代 謝 へ の 影 響 をみ る と,類 骨 量 と類骨 面 積 の 害」 合 は と くに B群 で低 く,ま た石 灰 化表 面 積 の 害」 合 は C群 で と くに低 く,さ らに石 灰 化 速 度 (MAR)も C群 で 低 い 傾 向 を示 した 。 す なわ ち ,1 2(OH)D3の 投 与 の み で は骨 基 質 形 成 障 害 を 軽 減 す る こ とは で きな いが ,UCDAと の 併 用 に よ り骨 形 態 計 ull に 関 す る パ ラ メ ー タ ー の低 下 を軽 度 に 抑 え る こ とが で 8)Kurnar R,Nagubandi S,Londowski JM: The enterohepatic physiology of 24,25, dihydroxyvita■ lin D3・J Lab Clin Med 96: 278--284, 1980 9)Cascon.Barrё M: Biliary excretion of[3H]. 25‐ hydroxyvitamin D3 in the vitamin D‐depleted rat.Am J Physlo1 242:G522-532,1982 10)Imawari M,Kozawa K,Akanulna Y et a■ Serllm 25,hydroxyvitailin D and vitallin D‐ binding protein levels and■lineral metabOlisrn after partial and total gastrectomy Ga母 troenterology 79: 255--258, 1980 11)Haussier MR,McCain TA: Basic and clinical concepts related to vitamin D metabolism and action.N EnglJ Med 3:974-983,1977 12)Holick MF,Schnoes HK,DeLuca HF et ali き,骨 基 質 の 形 成 障 害 を軽 減 で きる と推 測 され る。 し lsolatiOn か し,こ れ が UDCAの dihydroxycholecalciferol, a metabolite of vita・ み に よ る効 果 か に つ い て は さ らに検 討 を要 す る と こ ろで あ る, 本論文の要 旨は第37回 日本消化器外科学会総会 にて発表 した。 稿 を終 えるにあた り,骨 の組織学的検討 お よび形態計測 において多大 な御援助 を賜あ った秋 田大学整形 外科学教 室 佐藤光三教授 に深甚 なる謝意を表 します。 また,UDCAを 提供 して くれた東京 田辺製薬株式会社, 12(OH)D3を 提供 して くれた中外製薬 株式会社 に深謝致 し ます 。 文 献 1)今 村幹雄,木村光宏,山内英生 :胃 全摘後 の小揚大 量切 除 に よる栄 養 障害 の 1治 験 例 一UrsOdeoxy‐ c h o l i c a c有 i d用の性 ― , 日 消 外 会 誌 2 4 1 2827--2831, 1991 2)HOfmann AF, Blle acid malabsorption caused by ileal resection Arch lntern Med 130: 597--605, 1972 3)Straus E,Gerson CD,Yallow RS, Hypersecre, tion of gastrin associated with the shOrt bOwel syndrome.Gastroenterology 66! 175-180, 1974 4)久 保 田徹 :1,25(OH)2ビタ ミン D,25(OH)ビ タ ミ ン Dお よ び 24,25(OH)2ビタ ミン Dの ull定法, SRL宝 函 14i31-36, 1990 5)日 下部明,佐藤光三 ,若松英吉 :骨 の非脱灰組織標 本作成法.整 形外科 25:405-413,1974 6)ParFltt AM,Dreznev MK,Glorieux FH et al: Bone histOmorphomet呼 : Standardization of nomenclature,sylnbols,and units.J BOne Miner Res 2 i 595--610, 1987 and identiflcation of 24,25‐ min D3 made in the kidney. 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Proc Nati Acad Sci 68: 2131--2134, 1971 16)Mosekilde L,Melsen F,Hessov l et al: Low serum levels of l,25‐ d ihydroxyvitamin D and histomorphometric evidence of osteomalacia after jeiunOileal bypass fOr obesity,Gut 21: 624--631, 1980 17)COmpston JE,Horton LWL,Laker MF et ali Bone disease after joun。 ‐ ileal bypass for obe‐ sity.Lancet l:1--4, 1978 18)Hessov I, Mosekilde L, Meisen F et al: Osteopenia with nomai vita■ lin D metabolites after slnall‐ bowei resection for Crohn's disease. Scand J Gastroenterol 19:691-696, 1984 19)Rickers H,Balsiev I,Foltved H et al: Bone ■lineral content before and after intestinal bypass operation i■ Obese patients Acta Med 79(2749) t992+tn Scand209: 203-207,1981 20) Parfitt AM, Podenphant J, VillanuevaAR et al : Metabolic bone disease with and without osteomalacia after intestinal bypass surgery : A bone histomorphometric study. Bone 5 i 2Lr-220, L985 Effects of Massive Resection of the Distal Small Intestine on the Metabolism of Vitamin D and Bone in Dogs Mikio ImamuraandHidemiYamauchi Departmentof Surgery,SendaiNationalHospital of malnutrition after massiveresection Experimentswere performedon dogsto investigatethe consequences of the smallintestineon the metabolismof vitamin D andbone.We further investigatedthe therapeuticeffectsof acid(UDCA).Nineadultbeagle the administrationof activevitamin Dg(1a(OH)D)with or without ursodeoxycholic dogsunderwent 75%resectionof the distal small intestine, and were divided into three gtoups: Group A (n:3) receivedboth 1o (OH)D'and UDCA,GroupB (n=3) received1a (OH)Dgalone,and GroupC (n=3) did not receive watery diarrhea either. During the observationperiod of six months after surgery,body weight decreased, occurrd, and transit time of the whole alimentary tract shortened.The administration of both lc (OH)Dgand suchas25(OII)Dand24'25 (Ol{hD state.Plasmalevelsof vitaminD metabolites UDCAimprovedthe maldigestive after surgery,whereas1a.25 (OH)zDlevelswere barelykept within the preoperativerange.Plasma decreased levelsof calcium,phosphorus,and protein remainedunchangedfor six monthspostoperatively.Histologicalstudy Bonehistomorphometryusing a digitizing of the third lumbar spinedid not show any findingsof osteoporosis. in osteoidvolume(OV)t in bonevolume,but revealeda significantdecrease systemshowedno definitedecrease thickness(O.Th) and surface(OS),and boneformation rate @FR).Mineralizedsurface(MS) and BFR were markedly reducedin Group C. These results suggestthat insufficient matrix formation causedby nutritional after a longerperiod. in OV,O.Th,OSandBFR,andwill leadto osteopenia is relatedwith decreases malabsorption It is probablethat administrationof 1o(OH)D3togetherwith UDCAaftermassivesmallbowelresectionis effective to lighten the disturbanceof matrix formation,althoughfurther studiesare nded. Reprint requests: Mikio Imamura Departmentof Surgery,SendaiNationalHospital 2-8-8Miyagino,Miyaginoku, Sendai,983JAPAN
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