事例●093 福地建設株式会社(鹿児島県霧島市) 平成 20 年度 建設業の新分野進出・経営革新モデル 構築支援事業 地域観光資源を活用した 休養地集客⼒向上と キャンプ場運営事業 天孫降臨神話や霧島屋久国⽴公園で知られる霧島で、地場ゼネコンの福地建設(株) が地域の観光資源を活かした新感覚の観光ビジネスに挑戦している。平成 18 年、 霧島市の施設「霧島⾼原国⺠休養地」の指定管理者に選定された同社は、モデル事 業を使って休養地の集客⼒を向上するとともに自社キャンプ場も運営し、相乗効果 創出を目指している。 霧島⾼原国⺠休養地には3つのコテージがあり、休 憩、宿泊が可能、近くの温泉等も利用できる 1.事業の背景と動機 4.事業の推進体制 指定管理者の経験踏まえ、 いっそうの集客と相乗効果目指す ⾏政、オートキャンプ協会と連携 同社は平成 18 年度から、市の施設「霧 島⾼原国⺠休養地」(キャンプ場、コテー ジ、温泉など)の指定管理者に選定され業 務にあたっている。建設業の季節変動を 調整して仕事が平準化され、施設の維持 管理にも建設業が活かせるため、経営資 源を効率的に利用でき、経営ノウハウも 蓄積されつつある。この成果を活かし、 国⺠保養地の集客⼒向上と、自社キャン プ場の運営に取り組むことで、いっそう 相乗効果を上げようと考えた。 2.進出時の苦労やその対応 国⺠休養地と自社施設の 相乗効果創出のため、米国視察も 霧島⾼原国⺠休養地キャンプ場。約 300 サイトの キャンプを設置でき、電源サイトもレンタルできる PROFILE 福地建設株式会社 最大の課題は、自社キャンプ場と国⺠ 休養地の相乗効果を出して、霧島をキャ ンプ場のメッカに育てることである。そ のために、アメリカも含め先進的なキャ ンプ場の視察や業界団体等への調査、専 門誌等を使ったアンケートに取り組み、 「魅⼒的なキャンプ場像」を作っていく。 代 表 者/福地 茂穂(代表取締役) 所 在 地/⿅児島県霧島市 資 本 ⾦/2,000 万円 従業員数/40 名 U R L/ http://www.fukuchikensetsu.jp/ 事業内容/昭和 17 年設⽴。土⽊⼯事、建築 ⼯事、コンクリート構造物補修・補強⼯事、 舗装⼯事を営む。関連企業でガソリンスタン ドの経営やミネラルウォーターの製造・販売 も⾏っている。 霧島市 3.新事業の概要 国⺠休養地への集客⼒向上と 温泉付きコテージの開設 本事業は、霧島⾼原国⺠休養地で指定 管理業務にあたってきた同社が、休養地 の集客⼒を向上させるとともに、中⾼年 でも利用しやすい温泉付きコテージ等を 含む自社キャンプ場を開設し、両者の相 乗効果を⾼めつつ、「キャンプといえば 霧島」といわれるような地域のブランド 化を図るものである。また、温泉、ミネ ラルウォーター、ブルーベリー等といっ た新規事業の一環として取り組んできた 同社関連事業とのシナジー効果も追求 し、雇用の維持創出を目指す。 同社代表取締役が新事業全般を管理。 建設業経営支援アドバイザー阿部守氏の 支援を受ける。平成 20 年に接客、施設 運営の能⼒に⻑けた 2 名の社員を採用。 指定管理施設を所有する霧島市とは施設 環境整備で連携、オートキャンプ協会と もイベントの実施、広報などで今後関係 を強める予定。 5.差別化戦略・競争戦略 恵まれた⽴地を活かした自由で 雄大なキャンプ、温泉も併設 「霧島⾼原国⺠休養地」は交通の便が 良く恵まれた⽴地である。通常のキャン プ場は区画が指定されているが、当施設 では、霧島の広大な⽴地を背景に区画設 定のない自由で雄大なキャンプを楽しん でもらう。地域で採れた野菜や果物等を キャンプ場(近郊)で販売する。自社のコ テージには温泉を併設し、幅広い年齢層 が楽しめるようにする。 6.成果と課題 赤字事業を独⽴採算化、 冬場の集客含め経営改善を進める モデル事業に選ばれたことで実施事業 の広報効果があった。これまで赤字だっ た施設を独⽴採算で運営してきたが、自 社施設との相乗効果でさらに経営改善を 進める。ただし、永続的な管理が任せら れているわけでないため、思い切った投 資、事業展開がしにくい。冬場の集客も 必要で、冬もキャンプを楽しめる装備・ 備品と広報が課題となっている。ブルー ベリー園など農地を広げ販売も強化する など、地産地消活動を通じ地域にも貢献 していく。
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