2016年度問題 - ハートランドしぎさん看護専門学校 / 関西・奈良の看護学校

平成 28 年度
入
学
試
験
過去問題の紹介
入学希望者の皆様へ
入学試験科目は、国語総合・一般教養・小論文です。
本校の学科試験は、決して難易度の高いものではなく、入学後の学習に支障をきたさない程度
の基礎的な知識を持ち合わせておられるか否かを判断させていただくものです。
各科目のポイントと、過去に出題した問題の一部をまとめましたので、学習の参考にしてくだ
さい。
[一
般
教
養]
試験時間 60 分
ポイント
英語・数学・理科・社会の教科で、高校入試レベルの基礎的な内容が少量ずつ出題されます。
(英語)簡単な英文の訳や代名詞の問題等、基礎的な問題が出題されます。
過去問題1
次の英文を読んで、あとの問いに答えなさい。
Dear Alex
How are you? Thank you for your letter. In Nara, it’s becoming cool.
Yesterday I read a story about the history of coffee in English class. I learned that now Brazil produces and
sells the most coffee in the world, but originally coffee trees grew in another place, Ethiopia. I didn’t know
( ① ) was born. In its long history, it was grown in your country and in other countries, too. Now people
around the world drink coffee. ②I’d like to learn ( went / different countries / how / to / coffee ). I think it’
s interesting. Don’t you think so?
I want to tell you another thing. Next Friday, we’ll have a sports festival at school. It’ exciting for us. All the
students are divided into four groups: Blue, Green, Red and Yellow. We’ll compete with one another and
enjoy sports and dancing. I’m a member of the Red group and I will dance. And I’m practicing dancing a lot
with my friends after school. I’m now having a good time. How about you?
Bye.
Your friend,
Keiko
(1)( ① )内に適するものを選び、記号を選びなさい。
ア why food
イ when English
ウ where coffee
エ which country
(2)下線部②が「私はコーヒーがどのようにして別の国へ行ったのか学びたいと思います。
」という意味になる
ように、(
)内の語句を並べ替えなさい。
I’d like to learn
(3)次の質問に英語で答えなさい。
Which group does Keiko belong to in the school sports festival?
過去問題2
次の英文に適するものを(
)内から選び、記号で答えなさい。
(1)I enjoyed ( ア mine , イ myself , ウ my ) today.
(2)私は兄弟が一人もいません。
I have ( ア few , イ little , ウ no ) brothers.
(3)私たちの村には少し雪が降ります。
Our village has a ( ア few , イ little , ウ no ) snow.
(4)It rains a lot ( ア in , イ on , ウ at ) June.
(5)Roy practices tennis ( ア in , イ on , ウ at ) Saturdays.
1
(数学)正数・分数・小数の簡単(基本的)な計算、割合・比率、単位の換算など、
看護師にとって必要な知識を問う、基本問題が出題されます。
過去問題3 次の文章問題について、各問いに答えなさい。
(1) 定価 2000 円の本が売れなかったので定価の 15%引きで売った。このときの売値はいくらになるか。
(2)
男子が 3 人と女子が 2 人の 5 人中から 2 人を選びます。このとき、少なくとも 1 人は女子が選ばれる確率
を求めなさい。
(3)
水 400gに砂糖を加えて、20%の砂糖水を作成した。このとき、加えた砂糖は何gか。
(4)
4%の食塩水 200gと 10%の食塩水 100gを混ぜた。このとき、できた食塩水の濃度は何%か。
(5)
いつも一定の割合で水が流れ込んでいる水槽があります。この水槽が満水になった状態からすべての水を
くみ出すのに、ポンプを 5 台使うと 15 分かかり、ポンプを 7 台使うと 5 分かかります。水槽を空にしてか
らすべてのポンプを止めたとき、水槽が再び満水になるのは何分何秒後ですか。
過去問題4
次の(1)∼(8)を解きなさい。
(1) 12.8÷2.5
(2)
3 1 5
+ −
4 2 3
(3) 15ab−9ab2÷3b
(4) 4 x 2+20 x−96 を因数分解しなさい。
(5) ( x+3) ( x−9)−( x+2)2
(6)
x: y = 2:3
4x − 3y = 2
(7)
2 x − 1 3x − 2
=
3
4
(8)
72 − 4 2 +
過去問題5
54
3
次の単位に換算した場合、(
(1)
1.3g=(
(2)
0.08L=(
)mg
)mL
(3) 0.015mg=(
)μg
(4)
)mL
2700μL=(
)に当てはまる数字を答えなさい。
2
(理科)解剖生理学(人体の構造と機能)を学習する前段階として、生物学とくに人体のしくみについて学
習してください。人体の一部について出題されます。
過去問題6 右の図は母親の体の中の胎児と、胎児をとりまくつくりを表しています。次の各問いに答えなさい。
(1)アの名前を答えなさい。
(2)アはどのような働きをしていますか。
簡単に答えなさい。
(3)イは、胎児をとりまいている液体です。
この液体の名前を答えなさい。
(4)ウは、子宮の壁に入り込んで、壁の血管とからみ合って
いるつくりです。ウのつくりを何というか、答えなさい。
(5)人の胎児が、次の①∼③のようになるのは、受精してからおよそ何か月ぐらいですか。それぞれ後のア
∼カから記号で答えなさい。
①人の胎児として、形がほとんど整う。
②母の体の外に出ても生きていける。
③誕生する。
(ア 1 か月
イ 3 か月
ウ 4 か月
エ 6 か月
オ 8 か月
カ 10 か月)
過去問題7 右の図は、人の消化器を表したものです。次の各問いに答えなさい。
(1)消化されたでんぷんを吸収する部分を、図から記号で答えなさい。
(2)(1)の部分の名前を答えなさい。
(3)吸収されたでんぷんが別のものに変えられて蓄えられる部分を、
図から記号で選びなさい。
(4)(3)の部分の名前を答えなさい。
(5)(1)から(3)へでんぷんを運ぶ働きをするものは何か。答えなさい。
過去問題8 神経系に関する以下の(1)∼(3)に答えなさい。
(1)以下の図の中の( ① )∼( ③ )に適切な語句を入れなさい。
脳
( ① )
脊髄
神経系
感覚神経
体性神経系
( ③ )
末梢神経系
交感神経
( ② )
(2)言語中枢があるのはどれか。記号で答えなさい。
ア 大脳
イ 小脳
ウ 橋
エ 延髄
(3)副交感神経の作用はどれか。記号で答えなさい。
ア 瞳孔の収縮
イ 発汗の促進
ウ 気管支の拡張
3
副交感神経
エ
延髄
(社会)高校入試レベルの、地理・歴史・公民の基礎的な問題が出題されます。
看護の対象である、あらゆる年齢層の患者様の生活過程をイメージし、
コミュニケーションを図るうえで、日本各地の地理や歴史を知っておくことが望まれます。
また、時事問題にも興味を持って学習してください。
過去問題9 奈良の行事について書かれた文章を読んで、あとの各問いに答えなさい。
1300 年前に都として栄えた奈良では、1999 年より『なら燈花会』という行事が行われ、奈良における夏の
風物詩として定着しています。奈良公園では、広大な奈良の緑と歴史の中にろうそくの花が咲き、その灯りが
周囲にとけ込み、人々の心にさまざまな感動を与えています。同じく奈良で行われる春日大社の『万灯籠』は、
約 800 年前から行われて来た行事で、境内にある約 3000 基の灯籠に灯りがともされます。昔は毎晩ともされ
たようですが、近年は年 2 回、2 月の節分と 8 月のお盆の 14 日、15 日に行われるようになりました。
(1)約 1300 年前に平城京に移される前の都を何といいますか。記号を選びなさい。
ア 平安京
イ 藤原京
ウ 長岡京
エ 難波京
(2)春日大社は,藤原氏の氏神をまつることから保護されてきました。藤原氏の祖である中臣鎌足とともに
大化の改新で活躍し,のちに天皇として国内の制度改革をすすめた天皇とは誰ですか。記号を選びなさ
い。
ア 神武天皇
イ 推古天皇
ウ 天智天皇
エ 後醍醐天皇
(3)奈良公園内の東大寺もまた,8 月 15 日の夜には『万灯供養会』として,大仏に多くの灯籠をお供えしま
す。この東大寺にゆかりの深い聖武天皇の身のまわりの品などがおさめられていた倉庫を何といいます
か。記号を選びなさい。
ア 宝蔵院
イ 玉蔵院
ウ 聖倉院
エ 正倉院
(4)平城京の手本とされた「長安」は、当時の何という国の都でしたか。漢字一字で答えなさい。
(5)藤原氏の氏神・氏寺の関係から,春日大社とともに栄えた寺に興福寺があります。この寺は,院政期に
は多くの僧兵を抱えて大きな勢力をほこりました。この興福寺とともに「南都北嶺」と称された比叡山
にある寺を何といいますか。記号を選びなさい。
ア 延暦寺
イ 仁和寺
ウ 帯解寺
エ 法隆寺
(6)平安時代末には,平氏と源氏の争いの中で,東大寺大仏殿を含む寺院が消失しました。その後の復興の
際に,運慶や快慶たちによる金剛力士像がおかれた東大寺の建築物を何といいますか。
漢字 6 文字で答えなさい。
過去問題 10 最近の出来事について、次の各文の(
)にあてはまる言葉を記号で選びなさい。
(1)2016 年の主要国首脳会議が開催されるのは、日本の(
)です。
ア 北海道
イ 新潟県
ウ 三重県
エ 福岡県
(2)今年のノーベル賞で日本人2人が受賞しました。アフリカを中心とした寄生虫の感染症の特効薬を開発
し( ① )学賞を受賞した大村智さん。もう1人は、素粒子の( ② )を研究し( ③ )学賞を受
賞した梶田隆章さんです。
ア 医学生理
イ 物理
ウ 化学
エ iPS 細胞
オ ニュートリノ
カ ヒッグス粒子
(3)中国が人口抑止などの目的で行ってきた政策である(
)を撤廃しました。
ア 減反政策
イ 一人っ子政策
ウ ニューディール政策
エ 緊縮政策
4
解答例
一般教養
過去問題1 (1) ウ
(2) how coffee went to different countries
過去問題2 (1) イ
(2)ウ
(3)イ
7
(2)
10
5
(2) −
12
(8)5 2
過去問題3 (1)1700 円
過去問題4 (1)5.12
(7)x=2
過去問題5 (1)1300
(2)80
(3)100g
(3)12ab
(4)胎盤
(5)イ
(4)6%
(4)4(x−3)(x+8)
(3)15
過去問題6 (1) へそのお(臍帯)
過去問題7 (1)H
(4)ア
(3) She belongs to the Red group.
(5)3 分 45 秒
(5)−10x−31
(6)x=−4,y=−6
(4) 2.7
(2)母から養分や酸素を受け取り、不要物を捨てる。
(3)羊水
(5)①イ ②オ ③カ
(2)小腸
過去問題8 (1)①中枢神経系
過去問題9 (1)イ
(3)C
②自律神経系
(2)ウ
過去問題 10 (1)ウ
(4)肝臓
②オ
(2)ア
③運動神経
(3)エ
(2)①ア
(5)血液
(4)唐
(5)ア
(3)ア
(6)東大寺南大門
(3)イ
③イ
国語総合
過去問題1
問一
問二
問三
問四
問五
問六
問七
問八
過去問題2
問一 ①ウ
過去問題3
Ⅰ①
Ⅱ⑤
②
④
③
俗悪な社会と人生
①
⑤
③
問二
イ
問三
①ご予定
①いただき
⑥構築
②イ
②伺う
②すんか
⑦奮
③念仏
③いただき
③あらわ
⑧留守
5
④上られる
⑤くださる
④ちゅうぞう
⑨認識
⑥参ります
⑤すた
⑩姿勢
③
問二
エ
B
落ち着いていて、物事に少しも動じない様子。
に入る言葉を、漢字二字で書きなさい。
次の会話の空欄にあてはまる最も適切な敬語の表現を、あとのア
∼エの中から一つ選びその記号を書きなさい。
イ、ご覧になって
︶くだ
先生﹁ここは美術部の部室ですね。個性的な作品がたくさんあります
ね。皆さんの作品を見せてもらえますか。﹂
ア、お見せになって
エ、お目にかけて
次の各文では、敬語を使うべき部分で敬語が一箇所使われていま
ウ、拝見なさって
さい。﹂
生徒﹁ありがとうございます。どうぞ、ゆっくりと︵
問三
せん。それを一文節で抜き出し、適切な敬語表現に書き換えなさ
い。
①夏休みの予定はお決まりですか。
②心温まるお話を聞く。
③こちらで待たせてもらいます。
④校長先生が壇上に上る。
⑤先生が通知表を渡してくれる。
⑥もうすぐ係の者が来ます。
過去問題4
次の①∼⑩の傍線部について、漢字の部分はその読みをひ
らがなで書き、カタカナの部分は漢字に直しなさい。なお、漢字に直す
場合、送りがなが必要なものは、ひらがなで正しく送ること。
①一月一日の早朝、山の頂に立つ。
②寸暇を惜しんで勉強する。
③人々に感動を与える書物を著した。
④奈良の大仏の鋳造を調べる。
⑤古い慣習が廃れる。
⑥新しい理論をコウチクした。
⑦試合前に気持ちをフルイ立たせた。
⑧二日間、旅行で家をルスにした。
⑨相手のニンシキを読む。
⑩書写では書くときのシセイも大切だ。
6
問七
印象だけは、通常は夢の中で色を伴わない﹁私﹂にとって極め
問八
③静かに
二重傍線部﹁不思議な﹂と同じ品詞のものを、文中の①∼⑤から
②小さな
一つ選んで答えなさい。
①そんな
⑤ちがった
て例外的なものであることを明確に訴えたいから。
この文章の表現や内容の特徴について述べたものとして最も適切
④どのような
身体の部分名の入った慣用句を学習したので、私は﹁耳﹂のついたもの
過去問題2 慣用句・敬語について、次の各問いに答えなさい。
問一 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
なものを、次の①∼⑤の中から一つ選んで答えなさい。
① 過去の表現を基本にしてはいるが、赤蛙が行動しながら考え
ていることは現在の表現で記述しており、その結果として赤蛙
の心情を活き活きと描き出している。
② 事実の客観的な記録を中心に記述していくことを通して、
を図書館で調べてみた。すると、次のようなものがあった。
エ、耳が早い
﹁私﹂の観察眼の鋭さを表現しており、動物学者以上の正確さ
ウ、小耳に挟む
ア、耳が痛い
②
①
A
﹂が
ことのたとえ
B
ア
人の意見を全く気にかけないで、聞き流すこと。
その場の変化に応じて物事を適切に処理すること。
に入る言葉を、次のア∼エから選び、答えなさい。
イ
心を奪われ、無意識的にひたすら物事に打ち込むこと。
A
意味での慣用句はどれですか。記号を書きなさい。
右の文章中のア∼エの中で、﹁聞くともなくちらりと聞く﹂という
あった。
として使われ、これに似た言葉に、
﹁馬の耳に
に感じる気配がない様子から、﹁馬耳東風﹂とは、
けた。﹁東風﹂とは、春風のことで、馬の耳に春風が吹いてもいっこう
さらに、いろいろ調べているうちに﹁馬耳東風﹂という四字熟語を見つ
イ、耳をそろえる
で赤蛙の行動の描写に力を注いでいる。
③﹁私﹂の興味と赤蛙の行動とを、比較的長い文を多用しながら
詳細に述べることで、﹁私﹂の心情とともに伊豆の自然の豊か
さをも読者に伝えようとしている。
④ 長く病床についている﹁私﹂にとって赤蛙の思い出は重要で
あり、それがいま目前で展開されているかのように描くこと
で、文体を迫力のあるものにしている。
⑤﹁私﹂が目撃した赤蛙の行動を簡潔な文体で丁寧に描写してい
く中で、その時に起きた出来事自体よりも、﹁私﹂の心情の変
化を描くことに重点を置いている。
ウ
7
問五
問六
たものとして最も適切なものを、次の①∼⑤の中から一つ選んで
が﹁妖しいばかりに鮮明だった﹂のはなぜか。その理由を説明し
秘などではなく、赤蛙が現実の生活的必要からこのように行動
答えなさい。
① 動物の生態を研究している学者が説明するように、自然の神
したこと。
① 死を受け入れるときの赤蛙の色は生の最後の瞬間のつややか
さを感じさせ、これによって世間の憂さを忘れられたがために
② 自分の運命に素直に従う者だけが持つ静けさを、馬でも犬で
も猫でもなく、蛙が持ち合わせていたがために、自然の神秘に
赤蛙の印象が今に至るまで強く残り、病床であるがゆえにこれ
間に没する瞬間の腹や斑紋の色を常に再現しており、この時の
⑤ 長く寝つくようになってからもしばしば見る赤蛙の夢は、波
ほどの感銘を受けたことを表したいから。
中に沈んでいった姿との落差が大きかったので、夢にまで見る
中への飛び込みを繰り返したあげく黄色い腹を上に向けて川の
④ 赤蛙の、歩いたりうずくまったりしていた姿と、急な流れの
私を昼夜を問わず悩ませているから。
分に衝撃的であり、それ以降は、病床で死に向かい合っている
は、これを見た当時すでに病気療養中だった﹁私﹂にとって多
③ 渦巻きの中に呑み込まれていった赤蛙の黄色い腹と紅の斑紋
が回復への希望を喚起しているから。
と戦っている﹁私﹂に勇気を与える強さを伴っており、その夢
没し去った赤蛙は、結果的には死に呑み込まれたものの、病気
② 表情や心理を伴って﹁私﹂の前で不可解な格闘を演じ波間に
をいっそう鋭敏に感じているから。
気付けたこと。
③ 赤蛙にさえも表情や心理、そして運命に従順なものの持つ静
けさがあり、そこから自然の神秘を考える時にもたらされる感
じを受けること。
④ 波間に没し去った瞬間に、赤蛙の目的意志も尽きたように思
え、本能的な生の衝動以上のものが赤蛙の行動の原動力だった
と理解できたこと。
⑤ 赤蛙の姿は力の限り戦い最後は刀折れ矢尽きてしまったもの
の象徴であり、人間生活の中にいる動物とは異なるものにも人
間らしさがあること。
傍線部D﹁一種の逃避かも知れない。﹂とあるが、何からの逃避
か。本文中から十字以内で抜き出して答えなさい。
傍線部E﹁波間に没する瞬間の赤蛙の黄色い腹と紅の斑紋とは妖
しいばかりに鮮明だった。﹂とあるが、病床の夢で見た赤蛙の色
8
問二
問三
傍線部A﹁私は不思議な思いにとらわれはじめていた。﹂とある
の合戦に敗れた武将の運命に接したときと同じような悲しみを
とはどのようなことか。その説明として最も適切なものを次の①
傍線部C﹁この事実が私を強く打った。﹂とあるが﹁この事実﹂
ら。
惨な運命に呑み込まれていくという結果に終わってしまったか
も関わらず、赤蛙のその努力は実を結ぶことがなく、結局は悲
⑤ 自らの生に対する執着心から、最後まで死と戦おうとしたに
から。
がら、かなうことなく命を落とした人間と同様のものを感じた
困難に挑んで力尽きた赤蛙の姿を見て、自ら何事かに挑戦しな
④ 本能的な生の衝動以上のものに促されたかのように、あえて
たから。
はいわばどんでん返しであり、最終的には悲劇になってしまっ
劇であるとすれば、それが逆転して死に至ってしまった筋書き
③﹁私﹂が当初﹁馬鹿な奴だな!﹂と笑っていた赤蛙の行動を喜
感じたから。
る、という行動をひたすら繰り返すことに、小動物の愚かさを
端に取りついては這い上がり、またもとの所へ来てうずくま
② 流れに飛び込み、一生懸命に泳いでも押し流され、中州の突
感じたから。
問四
が、どのようなことに﹁不思議な思い﹂を抱いたのか。次の①∼
⑤から最も適切なものを一つ選んで答えなさい。
①﹁私﹂は冷えが来ないうちに宿に帰らねばならないのに、そこ
を立ち去りかねていたこと。
② 小動物である赤蛙が、明確な目的や意志をもって苦闘してい
るようにしか見えなかったこと。
③ 同じ行動を繰り返す赤蛙の様子を凝視する﹁私﹂の前で、赤
蛙がまたも同じ行動に向かったこと。
④ 赤蛙を一呑みにするような蛇の類などがいるかもしれないの
に、そのようには考えにくかったこと。
⑤ あの淵のような、容易に渡れるはずの場所を、赤蛙が知らな
いはずはないのに渡ろうとしなかったこと。
傍線部B﹁悲劇的なものに思えた。﹂とあるが、その理由として
最も適切なものを次の①∼⑤から一つ選んで答えなさい。
① 赤蛙が自分にとって力に余るものに挑み、戦ってこれを征服
しようとしているのだとしか思えなかった﹁私﹂は、強い敵と
∼⑤から選んで答えなさい。
9
ない。その説明は種明かしに類するものかも知れない。そして力に余る
病気で長く寝つくようになってからも、私は夢のなかで赤蛙に逢っ
E
明だった。
し ま き けんさく
(
ぐ
・
とうよう
かつぜん
③不愉快にも
③珍しいばかりの
に当てはまる語句を、後の①∼⑤からそれぞ
②喜びを隠せない
⑤感興の湧く︶
②呆れ果てて
⑤未練らしく︶
)
Ⅰ
︵①飽きが来て
④実に美しい
︵①あつらえ向きの
れ一つずつ選んで答えなさい。
空欄
っと開けたような。
問一
Ⅰ
Ⅱ
Ⅱ
乱。︵※6︶迂愚=愚かであること。︵※7︶豁然とした=目の前がぱ
う
帰趨=落ち着くところ。行き着くところ。︵※5︶無二無三=一心不
きす う
︵※2︶五間=約九メートル。︵※3︶蕩揺=揺れ動くこと。︵※4︶
けん
蛙を見て、自分の努力不足を反省し、書道の達人になったという伝承。
︵※1︶道風の雨蛙=小野道風が、柳の枝に飛びつくことに成功した雨
島木健作﹁赤蛙﹂より
波間に没する瞬間の赤蛙の黄色い腹と紅の斑紋とは妖しいばかりに鮮
た。私は夢のなかで色を見るということはめったにない人間だ。しかし
迂愚を嗤うであろう。私はしかし必ずそうだというので
※6
困難に挑むことそれ自体が赤蛙の目的意志ででもあるかに考えているよ
うな、私の
はない。動物学者の説明の通りであってもいい。だが蛙の如き小動物か
らさえああいう深い感じを受けたというその事、あの深い感じそのもの
は、学者の ④どのような説明をもってしてもおそらく尽くすことは出来
ぬのである。
私は自然界の神秘ということを深く感じていた。私としては実に久方
ぶりのことであった。天体の事、宇宙のことを考え、そこを標準として
豁然とした救われたような心の状態を
※7
考えを立ててみる、ということは私などにも時たまある。それは D一種
の逃避かも知れない。しかし
得るのが常である。その時と今とは同じではない。しかし自然の神秘を
考える時にもたらされる、厳粛な敬虔なひきしまった気持ち、それでい
て何か眼に見えぬ大きな意志を感じてそこに信頼を寄せている感じには
両者に共通なものがあった。
私は昼出た時とは全く ⑤ちがった気持ちになって宿へ帰った。臭い暗
い寒い部屋も、不親切な人間たちも、今はもう何も苦にはならなかっ
た。私はしばらくでも俗悪な社会と人生とを忘れることができたのであ
る。
私は翌日その地を去った。たずさえて来た一冊の書物も読まず、ただ
あの赤蛙の印象だけを記憶の底にとどめながら。
④興味本位に
10
石が幾つもならんでいて、激して泡立った流れの余勢が、石と石との間
今度はすぐ眼の下、こっち岸に近いところだった。そこは水も深く大
し彼は今度はもう二度と浮き上がってはこなかった。
走った。赤蛙が再び浮くかも知れぬ川面のあたりに眼をこらした。しか
むきで、渦巻のなかに呑みこまれていった。私は流れに沿うて小走りに
すべてそこには表情があった。心理さえあ
無二無三に突っ込んでいった姿、州の端につかま
※5
︱
い。赤蛙の現実の生活的必要ということから卑近な説明をするかも知れ
動物の生態を研究している学者は案外簡単な説明を下すかも知れな
く打った。
だ。蛙なのだ。蛙からさえこの感じが来る、という Cこの事実が私を強
とか猫とかいうような人間生活のなかにいるああいった動物ではないの
のの姿があった。そういうものだけが持つ静けささえあった。馬とか犬
れ、矢尽きた感じがあった。力の限り戦って来、最後に運命に従順なも
ましてや、あの波間に没し去った最後の瞬間に至っては。そこには刀折
意志にもとづいて行動しているものからでなくてはあの感じは来ない。
った。それらは人間の場合のようにこっちに伝わってきた。明確な目的
ってほっとしていた姿、
ていた姿、急流に
のものがあるとしか思えなかった。活動にはいる前にじっとうずくまっ
依然わからない。わかる筈もない。しかし私には本能的な生の衝動以上
を駆り立てていたあの執念の原動力は一体何であったのだろう。それは
し去った赤蛙の運命は、滑稽というよりは B悲劇的なものに思えた。彼
づけた。秋の夕べ、不可解な格闘を演じたあげく、精魂尽きて波間に没
に薄暗くなってもきていた。私は歩きながらさっきからのことを考えつ
私はあたりが急に死んだように静かになったのを感じた。事実にわか
で蕩揺したり渦を作ったりしていた。そしてそういう石陰の深みの一つ
に赤蛙は落ち込んでいるのだった。こうなった順序は明らかだった。押
し流される毎に中州の突端にすがりついていた彼は、もうその力もなく
なって流されるがままになったのだ。州をはさんで一つに合した水の流
れは大きく強くなって、煽るような勢いで、こっち岸へ叩きつけてよこ
※3
蕩揺する波に全く翻弄されつつある。辛うじて浮いているに過ぎ
したのだ。事態は赤蛙にとって、悲惨なことになってしまっていた。彼
は
ぬようだが、それが彼の必死の姿であることは、彼の浮いている石陰の
すぐ近くには渦巻があって、絶えずそこへ彼を引きずり込もうとしてい
ることからもわかるのだった。彼に残された活路はたった一つきりだっ
た。石に這い上がることである。だが、その石の面たるや殆ど直立して
いて、その上に水垢でてらてらに滑っこくなっているのだ。長い後肢も
水中では跳躍力もきかず、無力に伸ばしたりかがめたりするのみだっ
た。時々彼の前肢は石の小さな窪みに取りついたが、すぐにくるっと引
っ繰り返って紅い斑点のある黄色な腹を空しくもがいた。私は何か長い
※4
帰趨を見守っているばかり
棒のようなものを差し伸べてやりたかったが、そんなものはあたりには
見あたらなかった。今はただじっとその
である。
やがて赤蛙は最後の飛びつきらしいものを石の窪みに向かって試み
た。そうしてくるっとひっくりかえると黄色い腹を上にしたまま、何の
抵抗らしいものも示さずに、むしろ ③静かに、すーと消えるようなおも
11
めなかった。飛び込んで泳ぐこともやめなかった。
り、ちょっと立ち止まったりしたが、しかし結局予定通り動くことをや
よとでもいうかのようだった。赤蛙はびくっとしたように頭を上げた
た。速い流れにも落ちた。淵にも落ちて、どぶんという音はこっちを見
動は何か必死な様相をさえも帯びてきた。再び取りかかる前の小休止の
こともやめてしまった。川の面の日射しがかげり出す頃からは赤蛙の行
六回、これで七回﹂などと面白がって数えていた私は、そのうち数える
赤蛙は依然として同じこと繰り返している。はじめのうちは﹁これで
時間も段々短くなっていくようだった。一度はもうちょっとの所で向こ
した最後だったかも知れない。それからは目に見えて力もなく脆く押し
う岸に取りつくかと見えたが、やはり流された。それが精魂を傾け尽く
秋の日はいつか日がかげりつつあった。山や森の陰の所は薄蒼くさえ
流されてしまうように見えた。坂を下る車の調子で力が尽きていくよう
私は石を投げることをやめて、また石の上に腰を下ろした。
なってきていた。私は冷えが来ぬうちに帰らねばならなかった。しかし
に見えた。
吹く風もにわかに冷たくなってきたし、私は諦めて立ち上がった。
私は立ち去りかねていた。
次第に A私は不思議な思いにとらわれはじめていた。赤蛙は何もかに
道風の雨蛙は飛びつくことに成功したがこの赤蛙はだめだろう⋮⋮
※1
私は立って裾のあたりを払った。もう一度、最後に、川の面に眼をやっ
も知ってやっているのだとしか思えない。そこには執念深くさえもある
意志が働いているのだとしか思えない。微妙な生活本能をそなえたこの
た。
しまった。
※2
ぬところで再び彼と逢ったのである。
しかし川に沿うて下って、まだ
Ⅱ
五間と行かぬうちに、思いもかけ
川のあちらこちらを何度も眺め廻したあとでとうとうそこを立ち去って
向こう岸にたどりついたのだとはどうしても思えなかった。私は
を待っていたが、今度はいつまでたっても現れなかった。遂に成功して
てしまっていた。私はまた中州の突端に取りついて浮かび上がる彼の姿
私は思わず眼を見張った。ほんのその数瞬の間に赤蛙は見えなくなっ
小動物が、どこを渡れば容易であるか、あの小さな淵がそれであること
などを知らぬわけはない。赤蛙はある目的をもって、意志をもって、敢
えて困難に突入しているのだとしか思えない。彼にとって力に余るもの
に挑み、戦ってこれを征服しようとしているのだとしか思えない。私は
あの ②小さな淵の底には、その上を泳ぎ渡る赤蛙を一呑みにするような
何かが住んでいるのかも知れない、あるいはまたあの柳の大木の陰に
は、上から一呑みにするような蛇の類がひそんでいるのかも知れない、
というようなことも考えてみた。しかしその時の私にはそんなことを抜
きにしてさきのように考えることの方が自然だった。その方が自分のそ
の時の気持ちにぴったりとした。
12
分
[
]
入学後、常用漢字の﹁読み書き﹂﹁敬語の正しい使い方は重要ですの
国語総合(古文・漢文除く) 試験時間
ポイント
で、漢字・熟語・敬語等の知識を問う問題は出題されます。また、文章
には長文読解問題が必修で出題されます。
を読み取る力、内容を要約する力、つまり﹁読解力が求められます。よ
って、問題
(
)
つけた。赤蛙は、中州から川に飛び込んで向こう岸へ渡るかに見えた
私が最初に彼を発見したそ
た。前と同じように流れの方へ向かって。そして飛び込んだ、これも前
れは長く思われたが、五分は経たなかっただろう、赤蛙は再び動きだし
何かを期待してじっと一所を見つめているというのは長いものだ。そ
の場所まで来ると、そこにうずくまったのである。
りのたり歩きだした。そして、元の所へ
︱
が、喘いだ呼吸に波打ってでもいるような気がした。やがて赤蛙はのた
赤蛙は岸へ上がった。そこで一休みしていた。私にはその大きな腹
が、押し流されて同じ中州の突端に流れ着いた。
︱
た。ある日﹁私﹂は、道端から見下ろせる川の中州に、一匹の赤蛙を見
自分に対する宿の待遇が悪いため怒りを覚え、外出することが多かっ
病気で衰弱した﹁私﹂は、静養のために伊豆の温泉宿へ行ったが、
過去問題1 次の文章を読み、各問いに答えよ。
ただし、字数指定のある問いはすべて句読点・記号も一字とする。
︱
60
何から
と同じに。一生懸命に泳ぎ、押し流され、水中に姿を没し、中州の突端
︱
に取りつき、這い上がり、またもとの所へ来てうずくまる、
何までが前の時とおなじ繰り返しだった。そして今不思議な見ものを見
るような思いで凝視している私の目の前で赤蛙はまたもや流れへ向かっ
て歩きだしたのである。
私は赤蛙をはじめて見つけた時、その背なかの赤褐色が、濡れたよう
に光っていたことを思いだした。してみると私は初めから見たのではな
い。私が見る前に、赤蛙はもう何度この繰り返しをやっていたものかわ
からない。
﹁馬鹿な奴だな!﹂私は笑いだした。
赤蛙は向こう岸に渡りたがっている。しかし赤蛙はそのために何もわ
ざわざ今渡ろうとしているその流れをえらぶ必要はないのだ。下が一枚
板のような岩になっているために速い流れをなしている所が全部ではな
い。急流のすぐ上に続くところは、澱んだゆっくりとした流れになって
いる。流れは一時そこで足を止め、深く水を湛え、次の浅瀬の急流にそ
I
風景なの
なえてでもいるような所なのである。その小さな淵の上には、柳のかな
りな大木が枝さえ垂らしているという、赤蛙にとっては
だ。なぜあの淵を渡ろうとはせぬのだろう?
私が ①そんなことを考えている間にも、赤蛙はまたも失敗して戻って
きた。私はそろそろ退屈しはじめていた。私は道路から幾つかの石を拾
って来て、中州を目がけて投げはじめた。赤蛙を打とうという気はなか
った。私はただ彼を驚かしてやりたかった。彼に周囲を見まわすきっか
けをつくり、気づかせてやりたかった。石は赤蛙の周囲に幾つも落ち
13
1
[ 小
論
文
]
試験時間 60 分
ポイント
非常に対策の立てにくい科目ですが、文章力は重視されます。
繰り返し小論文対策を行ってから試験に臨んでください。
なお、本校においては入試説明会で小論文の対策講座を実施いたしておりますので採点者が納得する
答案のつくり方を勉強しましょう。
過去問題 「
おもてなしの心 」についてサブテーマをつけ、600 字以内で述べなさい。
※ 小論文を書く際には、出題された大テーマから何をイメージしてサブテーマを設けるのかが、
ひとつのポイントになります。
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本校では、オープンキャンパスにおいて入試対策講座を開催致しております。
入試の傾向や看護学生に必要な知識などを本校教員が紹介致しております。
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