アリのコロニーのモデルにおける 活動的なアリの数の周期性 龍谷大学理工学部数理情報学科 t020078 指導教員 出原 慎也 飯田 晋司 概要 何か身近にある現象を、コンピューターを使ってシミュレーションを行い、その現象を 調べてみたいと思い、参考書などを探しているうちに、参考文献[1](「Mathematica 自然 現象の計算モデル化 著 西舘数芽 セルラーオートマタ・シミュレーション」R.J.ゲイロード 西川清 西舘数芽 訳)を見つけた。その本の中には、「アリのコロニーの活動性」と いう章があり、非常に興味を持ったので、それをとりあげることにした。 そこで、この特別研究では、java 言語を使ってアリのコロニーの活動性のプログラムを つくり、アリのコロニーの活動性レベルの時間変化や、活動的なアリの数の周期性につい て調べた。 2 章では、アリのからだの構造はどのようになっているかや、社会性昆虫とはどのような ものかなどを簡単にまとめた。また、アリとシロアリは親戚でもなく、まったくの別もの であるということもまとめた。 3 章では、アリの行動に関する背景として必要な、確率セルオートマトンやランダムウォ ーク理論といったものをまとめた。ここでは、ランダムウォークを考えるうえでわかりや すい、単純なギャンブルの具体例をあげることにした。 4 章では、あるルールを決め、アリがコロニーでどのような動きをするかを、アリのコロ ニーのモデルをつくって調べることにする。このモデルでは、格子内の各サイトが空であ るか、活動性または非活動性の1匹のアリによって、占有されている正方格子を用いる。 そして、このルールに従って java のプログラムをつくった。また、プログラムで用いた配 列とメソッドについても簡単にまとめた。 5 章では、活動性のアリの数に周期性があるかを調べるために必要な、フーリエ係数の計 算手順について説明し、結果のまとめを少しかいている。 6 章では、つくりあげたプログラムを作動させ、いろいろな数値を代入し、シミュレーシ ョンを繰り返した。また、それに伴い、フーリエ係数のピークがどうなるかを調べた。そ してその中で、ピークの変化がわかりやすい図を何個かとりあげた。次に、その図と、実 際にアリのコロニーを観察して求めた参考文献[7]の図と対応させてまとめた。 しかし、このシミュレーションでは最低限の簡単な環境設定しかできておらず、まだま だ改良の余地はある。たとえば、繰り返し行ったシミュレーションの平均をとったり、コ ロニーの出入り口などを付けたときのアリの動きや、どの付近にアリがよく集まるかなど も時間があれば調べてみたかった。また、実際にアリのコロニーを観察してデータをとっ てみるのもおもしろいだろう。 目次 1 はじめに 1 2 アリについて 2 3 確率セルオートマトン 4 3−1 セルオートマトン 3−1−1 3−2−2 3−2 ランダムウォーク理論 3−2−1 3−2−2 4 1次元セルオートマトン 2次元セルオートマトン 1 次元ランダムウォーク ランダムウォークを ギャンブルの例で考える アリのコロニーのモデル 4−1 ルール 4−2 配列とメソッドについて 12 5 フーリエ係数の計算法 14 6 計算結果と考察 18 7 参考文献 24
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