オーディオ・プリアンプの製作・設計ガイド

オーディオ・プリ
オーディオ・プリアンプの
・プリアンプの製作
アンプの製作・
製作・設計ガイド
設計ガイド
(第 1.1 版)
2010 11 1
目次
1 はじめに
2 プリアンプの全体構成デザイン
3 定電圧安定化電源
4 ブースターアンプの電子回路設計
4.1 単一電圧電源によるブースターアンプの回路設計
4.2 複数電圧(+-)電源による直流アンプ回路構成
5 バッファアンプの電子回路設計
5.1 トーテムポール回路の設計
5.2 プッシュプルエミッタホロワの設計
6 トーンコントロールアンプの電子回路設計
6.1 負帰還調整(NF)型トーンコントロール
(1)負帰還増幅器での利得(ゲイン)調整の仕組み
(2)負帰還回路の設計
6.2 トーンコントロール用ブースターアンプの設計
7 製作・テストに向けて
付録 設計用回路図
1 はじめに
オーディオ用のプリアンプは、CDや DVD プレーヤー、iPod 等の複数の音楽信号出力機器からの
信号を切り替え選択し、入力信号レベルを適切なレベルに調整して、パワーアンプに向けて出力する
装置といえます。昔は、レコード再生装置が音源の主流であり、他の機器に比べて入力信号レベルが
低く、このレベル調整機能が主要な役割でした。
レコードは、狭い溝に音量域(ダイナミックレンジ)を確保して効果的に記録するため、低域ほど
圧縮して記録しています。このレコードを再生するためのピックアップが、ムービングコイル型、マ
グネット型などと多様で、最適負荷インピーダンスや出力レベルが多様だったため、これをRIAA
カーブに沿って増幅するイコライザアンプの設計、製作が、プリアンプ実現の最大の課題でした。ま
た、再生に伴うワウフラッタやスクラッチノイズ等の除去のために、フィルタ回路とスイッチを設け
ていました。
現在のオーディオ装置は、CD、MD、DVD、ビデオ、iPod、FMラジオ、TV、カセット
テープなど、高レベルのノンエンコード出力の機器が主流なので、レコード再生用イコライザ回路を
専用アンプとして分離してしまうことで、ノイズフィルタと関係スイッチも不要となり、プリアンプ
の設計・製作が容易になります。また、スイッチ類は、経年変化による接触不良など、音質低下の要
因ですので、シンプルな構成にすること、質の良いスイッチを入手することが重要になります。
音楽レコード用イコライザアンプを分離すると、ほとんどの機器の出力レベルは、100mV~1V
程度になります。iPod などの携帯型MP3再生機器は、低めの 100mV タイプになりますので、5
~10倍のブースターアンプを設け、この入力に接続するのが良いでしょう。接続コードは、使用し
ないイヤホンを RCA プラグに交換してしまうことで、簡単に作成できます。
シアターシステムの5.1チャネルに対応する場合なども、入出力端子、スイッチ回りの配線が混
雑しますが、コネクタ類をうまく活用することで、使い方に合わせたハイグレードアンプを実現でき
ます。また、MP3 再生レベルを他の機器レベルに合わせたい場合など、携帯電話充電用電源や USB
電源で動作するブースターアンプなどを自作できるようになります。
本資料では、オーディオ用プリアンプの自作に向けて、入力端子、切り替えスイッチ等の配備、概
観デザイン、プリアンプ回路のブロックチャートの作成など、実装設計に向けた留意点を解説します。
次いで、ハイファイ再生を実現する回路の考え方、定電圧安定化電源、信号レベル整合用のブースタ
ーアンプ、バッファアンプ、負帰還型トーンコントロールアンプなど、
「目からうろこ」の具体的な回
路構成の考案、設計技術を具体例に沿って解説します。また、発振やノイズ増幅の原因となるアース
ラインの引き回しや電源配線等の実装設計での留意点も示します。ここまで学習することにより、ト
ランジスタアンプの設計、製作が自在にできるようになると思います。
なお、パワーアンプの設計で基本的なことを学んでいることを前提にしていますので、次のような
パワーアンプとの違いを考慮して解説します。
・出力信号レベルは、最大2Vで十分
・信号レベルの異なる複数のアンプユニットで、電源を共用
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