326号 - 結核予防会

財団法人結核予防会創立70周年記念
第60回結核予防全国大会 開催要領
期 日 平成21年3月17日(火)∼18日(水)
場 所 ホテルニューオータニ
〒102-8578 東京都千代田区紀尾井町4−1
TEL 03−3265−1111
主 催 東京都,財団法人結核予防会
後 援 厚生労働省,外務省,社団法人日本医師会,社団法人日本歯科医師会,社団法人日本薬剤師会,社団法人全
国結核予防婦人団体連絡協議会,財団法人健康・体力づくり事業財団,独立行政法人国際協力機構,日本結
核病学会,財団法人日本対がん協会,財団法人予防医学事業中央会,財団法人エイズ予防財団,特定非営利
活動法人ストップ結核パートナーシップ日本,ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟
【第1日】3月17日(火)
結核予防会全国支部長会議
……………………… 10:00∼11:30
セッション蠡「パネルディスカッション」
翠鳳の間
…………… 15:15∼16:45
第1回全国結核予防婦人団体連絡協議会理事会 … 10:00∼10:30
主題:パートナーシップ!!
椿の間
全国結核予防婦人団体連絡協議会総会 …………… 10:40∼11:40
司会:尾身 茂
永田容子(アシスタント)
舞の間
第2回全国結核予防婦人団体連絡協議会理事会 … 11:45∼12:10
全国結核予防婦人団体連絡協議会懇談会 ………… 17:00∼17:45
舞の間
椿の間
…… 12:10∼13:00
大会決議・宣言起草委員会 ………………………… 17:00∼18:00
……………………………………… 12:15∼13:00
大会歓迎レセプション ……………………………… 18:30∼20:00
全国結核予防婦人団体連絡協議会昼食会
椿の間
悠の間
支部長午餐会
鶴の間
芙蓉の間
edo ROOM
研鑽集会……………………………………………… 13:30∼15:00
セッション蠢「人形劇」
鶴の間
主題:結核のない世界へ―罹患率100万対1をめざして―
司会:小林典子
【第2日】3月18日(水)
特別講演 「結核と文学の世界」
鶴の間
10:00∼10:50
演者:辻井 喬
大会式典 ……………………………………………… 11:10∼12:30
鶴の間
(6)来賓祝辞
厚生労働大臣
外務省(調整中)
社団法人日本医師会会長
式次第
社団法人全国結核予防婦人団体連絡協議会会長
(1)開会のことば 財団法人結核予防会理事長
〈休憩〉
仲村 英一
(2)東京都副知事あいさつ
東京都副知事
①議長および副議長選出
山口 一久
(3)結核予防会会長あいさつ
財団法人結核予防会会長
総合司会 秋尾 沙戸子
②全国支部長会議および研鑚集会報告
③決議および宣言
青木 正和
(4)秩父宮妃記念結核予防功労賞第12回受賞者表彰
(5)天皇陛下おことば
(7)議事
④次期開催地決定・あいさつ
(8)閉会のことば
財団法人結核予防会常任理事
長田 功
Message 第六十回結核予防全国大会を迎えて
東京都知事
第六十回の記念すべき結核予防全国大会が,天皇
皇后両陛下をはじめ結核予防会総裁秋篠宮妃殿下の
御臨席を仰ぎ,ここ首都東京において盛大に開催さ
れることは誠に光栄であり,喜ばしいことと存じま
す。都民を代表して各地からお集まりの皆様を心か
ら歓迎いたします。
さて,かつて人類は有史以来,コレラやペスト,
天然痘など未知の感染症の脅威にさらされてきまし
たが,弛まぬ努力と英知で乗り越えてきました。
とりわけ結核は,日本では国民病とまで言われた
こともある感染症の代表例ですが,医学・医療の進
歩や公衆衛生対策の向上により,現在では適切な治
療を受ければ完治できる病気となりました。
しかしながら,結核は,過去の病気ではありませ
ん。
世界的にも日本は「中蔓延国」と評価をされてお
り,多剤耐性結核やHIV感染症との二重感染など
新たな課題も出現してきています。
こうした課題に対応していくためには,今回ご参
加された皆様一人ひとりが「結核のない世界」を目
指して,行政と民間との枠を超えて取り組んでいく
必要があります。
東京都としては,現代型・都市型の結核に焦点を
あて,保健所や区市町村とともに医療関係者の皆様
と連携しながら,今後とも予防対策を進めてまいり
ます。
本大会を契機として関係者間相互の交流が進み,
全国的な結核予防対策を一層促進することができれ
ば,主催者の一人として幸いに存じます。
結びに,第六十回結核予防全国大会の開催にあた
りご支援いただいた厚生労働省はじめ関係機関の皆
様に厚く御礼申し上げるとともに,本大会の成功と
ご参加の皆様のご健勝ご活躍をお祈りいたします。
Contents
■メッセージ 第六十回結核予防全国大会を迎えて
石原 慎太郎……1
創立70周年記念第60回結核予防全国大会に向けて
青木 正和……2
■結核予防全国大会
●第60回結核予防全国大会支部長会議
……2
●研鑽集会セッションⅠ
テーマ:結核のない世界−罹患率100万対1をめざして
小林 典子……4
研鑽集会セッションⅡ
テーマ:パートナーシップ !!
永田 容子……4
●秩父宮妃記念結核予防功労賞第12回受賞者
……5
■ストップ結核パートナーシップ日本だより№5
ストップ結核パートナーシップ日本と結核予防会の役割 金子 洋……9
■シリーズDOTS 荒川区保健所における服薬支援(DOTS)事
業の取り組み
堀 裕美子……10
■世界結核デーのテーマ解説 I am Stopping TB
……12
■平成21年度マンモグラフィ講習会の開催案内 星野 豊……13
■平成20年度フィルム評価会に参加して
秋山 洋一……14
■第30回(平成20年度)事務職員セミナー報告
結核予防会職員としての誇りを胸に
中村 友紀……15
■女性が結核対策にどう貢献できる?
タイ国チェンライ地方ワークショップに参加して
堀井 直子……16
■Stop TB partnership調整理事会
加藤 誠也……17
■世界基金理事会オブザーバー参加報告
杉山 達朗……・17
■ザンビアJAZ‐ACTIVEプロジェクトの紹介 カエベタ 亜矢……18
ミャンマーにおけるサイクロン被害と義援金
岡田 耕輔……19
■エイズ 抗HIV療法の進歩と課題
木村 哲……20
■ずいひつ グローバル・ヘルスと外交政策 武見 敬三……22
■呼吸リハビリテーションの軌跡と課題
工藤 翔二……23
■たばこ 禁煙外来は何をするのか?
内山 隆司……26
■健康ネットワーク通信№22
菊地 健司……28
■竹久夢二伊香保記念館 大正ロマンの森 優待券 ……28
■結核予防会支部紹介の頁 広島県支部
伊藤 隆雄……29
■平成21年度厚生労働省予算案(結核感染症課・生活習慣病対策室
・がん対策推進室)
……30
■ストップ結核パートナーシップ関連行事
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟の総会が開催された
……35
▽予防会だより
……35
●切手に見る結核 9.結核に悩んだ音楽家(ショパン)
……36
〔表紙〕第60回結核予防全国大会ポスターより
竹久夢二伊香保記念館所蔵のポスターです。28pには
この記念館のご優待券がついております。皆様お誘い合
わせの上,お出かけください。
〔カット〕佐藤奈津江
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1
巻頭メッセージ
創立70周年記念
第60回結核予防全国大会に向けて
結核予防会
青木 正和
会長 天皇,
皇后両陛下の行幸啓を仰ぎ,
総裁秋篠宮妃殿下
メタボリック症候群も大きな問題です。創立以来,関
の御台臨をいただいて結核予防会70周年記念第60回結
係機関と共に質の高い疾病対策を進め,広く国民の支
核予防全国大会が開かれますことを皆様とともに心か
持を受けてきた本会は,これらの問題への対応も期待
ら喜ばしく思います。香淳皇后のご令旨を戴いて昭和
されています。
14年に創立されて以来,関係諸機関と力を合わせ,結
さらに眼を世界に転ずれば,結核蔓延がなお著しい
核予防を進め,この70年間にあれだけ蔓延していた結
アジア,アフリカなど多くの途上国から結核対策に経
核をここまで減らしてきたことは大いに誇りとすると
験深いわが国への大きな期待が寄せられています。
ころです。
創立70周年を迎える結核予防会は視野を広くし,学
しかし,結核という病気は,空気感染することと,
問の基礎の上に建てた疾病対策,健康増進策を,明る
感染後発病を免れても結核菌は持続生残菌となって20
い希望を持って力強く進めていきたいと決心しており
年でも30年でも生き残り,条件が満たされていればい
ます。
つでも再増殖を始めて発病することの2つを特徴とし
終わりになりましたが,
ています。このためネットカフェでの感染や集団感染
関係機関,結核予防婦人会
が起こり,ホームレスや超高齢者の発病が後を絶たな
を始め,多くの関係団体の
いなど,感染も発病も社会経済状況の影響を受け,減
ご協力に感謝し,今後一層
り方に遅速が起こり,あるいは逆転増加するのです。
のご理解,ご支援をお願い
以前とは見違えるほど改善したわが国の結核ですが,
しご挨拶とさせていただき
先進国では最下位におり,高齢化社会を迎え,様々な
ます。
経済的困難に直面する現状では,結核はまだまだ油断
を許せない感染症なのです。
また,最近は非結核性抗酸菌症,肺がん,COPD(慢
性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患の増加も著しく,
第60回結核予防全国大会支部長会議
平成21年3月17日(火曜日)10:00∼11:30,ホテルニューオータニ(翠鳳の間)において,標記会議が開催さ
れます。全国の支部長の皆様にお集まりいただき,全国大会で検討される様々な議題(結核やその他の事業)につ
いて話し合われます。プログラムは次の通りです。また,講演者からのメッセージをご紹介します。
○あいさつ
○議長選出
2
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財団法人結核予防会理事長
仲村 英一
財団法人結核予防会東京都支部副支部長
石館 敬三
厚生労働省健康局結核感染症課課長
梅田 珠実
財団法人結核予防会東京都支部副支部長
石館 敬三
○協 議
結核問題と本会事業
(1)講演「我が国の結核対策の現状と課題」について
厚生労働省健康局結核感染症課課長
梅田 珠実
(2)講演「結核予防会の使命と国際協力」
財団法人結核予防会結核研究所所長
石川 信克
(3)講演「呼吸器疾患、特にCOPD対策と結核予防会の使命」
財団法人結核予防会複十字病院院長
工藤 翔二
(4)講演 「特定健診・特定保健指導の展望と結核予防会の使命」
財団法人結核予防会第一健康相談所所長
岡山 明
結核予防会の使命と国際協力
死亡は4万5千人から6万3千人に,肺炎死亡は8万人か
地球上では,総人口の3分の1が結核に感染し,
ら10万人超へと増加しており,その大部分は高齢者で
900万人を超える新発生患者,150万人以上の結核死が
ある。今日,わが国は「超高齢・多死亡・人口減少」
推定されている。国連ミレニアム開発目標の達成を目
時代に突入しており,疾病構造の急速な変化に対応し
指し,WHOやストップ結核パートナーシップは新10
た医療の展開が求められている。複十字病院では,肺
カ年戦略を打ち出し,世界的な対応強化が叫ばれてい
がん(年間手術数100例超)をはじめ消化器がん・乳
る。日本政府も,世界基金への拠出金やJICA等によ
がん診療とPETセンターを軸にしたがん診療とともに,
る対応がなされている。その中で結核予防会の役割は
新たに理学療法科の拡充と地域医療部,療養病床を軸
増大している。最大の貢献は,過去45年間世界の国々
に“呼吸器総合リハビリテーションセンター”を立ち
から2,000名を超える研修生を迎えて行ってきた人材
上げ,COPD・慢性呼吸不全診療の前進と地域呼吸ケ
育成であり,このネットワークはわが国が誇る宝であ
アネットワーク形成に努力を開始したところである。
る。また様々な国で行ってきた技術協力も,この人材
(複十字病院院長 工藤翔二)
を生かして友好的に機能している。最近は,シール募
金の益金を軸にしたプロジェクトがザンビアやフィリ
ピン,ネパール,カンボジア,ミャンマーなどでも行
特定健診・特定保健指導の展望と結核予防会の使命
われており,特に前二者では,日本の草の根無償(外
特定健診・特定保健指導での市町村保険者,健診機
務省のNGO連携無償資金協力)の支援も受けて,現
関のもっとも大きな関心事は受診率の低迷です。従来
地の貧しい地域住民の結核対策に貢献している。今後
国民の健康診断受診率は60%前後,国保加入者では30
も,予防会がシール募金を軸に,様々な資金も動員し
%程度にとどまっていた受診率向上が制度の柱となっ
て世界の底辺で,結核やエイズを病む人々や子供達の
ています。多くの保険者で計画を作成したものの受診
救援や予防活動に貢献する意義は,顔の見える平和活
率が伸びず,健診を受託する側も実績が大きく落ち込
動として有効である。
んでいます。
(結核研究所所長 石川信克)
現状を見ると保険者,健診実施機関ともに考え方を
大きく変える必要があることが分かります。保険者は
受診率向上のために,様々な手を打つ必要があります。
被保険者一人一人の意識を変えないと受診率が伸びる
呼吸器疾患,特にCOPD対策と結核予防会の使命
ことは考えられず,それは容易なことではありません。
潜在患者530万人と推定されるCOPDは,“予防・
健診機関としても「質の高い健診をおこなう」ことは
治療が可能な疾患”(GOLD)であり,喫煙習慣から
重要ですが,それだけでは十分ではありません。保険
の離脱と早期の治療介入が重要であるが,ほとんどが
者の保健事業全体を支援していくための企画力を発揮
潜在化している。「肺年齢」の普及など国民の呼吸器
して,受診率の向上,保健指導への参加率の向上さら
の健康に対する啓発によって,潜在患者を治療の場に
に有病率の減少に向けた提案を実施できるよう体制を
つなげる必要がある。在宅酸素療法(HOT)が健康
強化していく必要があります。私たちに,保健指導の
保険適用となった1985年には,70歳以上のHOT患者
手法を磨き,対象者への適切な支援を行える人材を育
はHOT患者全体の35%であったが,現在では70%に上っ
成して行くことが求められています。
ている。1995年から2006年の10年間をみると,肺がん
(結核予防会第一健康相談所所長 岡山明)
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3
研鑽集会(セッションⅠ)
テーマ:結核のない世界−罹患率100万対1をめざして
司会 結核研究所対策支援部長
小林 典子
これからの日本の結核のまん延状況を考えたとき,
した時代に日本の子どもたちを結核発病から守ったBCG。
全国一律に低まん延になるのではなく,都市部を中心
今回この家族の子どもがBCG接種を受けるにあたり,
とした高まん延地域が残る一方,ほとんど結核の発生
BCGを取り巻く世界の状況や今後のあり方を考えるこ
がない地方が並存することが予想されます。このよう
とになりました。また,この家族が患者家族になって,
な状況において,地域における施策をより効率的に,
結核患者の抱く疑問や恐怖に直面し,DOTSによる治
そして新しい問題に対しても効率的に行う必要があり
療を体験します。同時に,発生するさまざまな問題(差
ます。「結核のない世界−罹患率100万対1」をめざ
別・偏見)にも触れ,これからの治療上の対策を考え
して,これから画一的でない対策が求められることに
ます。「患者発見」では外国人結核を取り上げました。
なります。
現在,外国人患者の占める割合は3%と多くはありま
では,どのような対策が必要なのでしょうか! そ
せんが,将来的な問題としてこれからの対策を考える
こで,この研鑽集会において,「発病予防」,「患者
必要があります。患者本人や保健師等,かかわる人た
発見」,「医療」の三点から10年後を見据えた結核対
ちへのインタビューを通して,外国人患者の抱える問
策について考えることとしました。現在起こっている
題を明らかにし,これからの対策についての必要性に
問題,そして,これからの課題を会場の皆様にお伝え
ついて考えます。
し,今までの延長線のやり方では済まない対策の必要
途中,クイズを挟みながら,知識の確認も予定して
性をご理解いただくために,人形劇と映像による構成
います。何より,楽しく学び,考えていただく時間と
を取り入れました。
することで,会場の皆様方と結核予防会とのパートナー
人形劇には,ある家族が登場します。結核がまん延
シップが育まれることを願っております。
研鑽集会(セッションⅡ)
テーマ:パートナーシップ !!
アシスタント 結核研究所対策支援部
永田 容子
保健看護学科長 4
セッションⅡは,「パートナーシップ !! 」をテーマ
公衆衛生学部門教授として活躍されています。個と個,
としてパネルディスカッション形式で行われます。
組織と組織の枠にとらわれずグローバル視点からパー
“ストップ結核パートナーシップ日本(STBJ)”
トナーシップが導き出されることと思います。
は平成19年11月19日に設立総会が開催されてから満1
スピーカーの方々は,芸術家の立場でアーティスト
歳4ヵ月を迎え,このパートナーシップの意外な拡が
の中村政人様(東京芸術大学),マスコミの立場で医
りのある実像を,驚きや楽しさとともに紹介していく
療ジャーナリストの田辺功様,保健医療団体の立場で
流れとなっています。将来に向けてパートナーシップ
特定非営利活動法人AMDA社会開発機構理事長の鈴
の拡がりに期待感もふくらみ,ますます参加意欲をか
木俊介様,患者代表として成瀬匡則様,国際保健分野
きたてられることでしょう。“STBJ”の誕生により,
から西山正徳様,政界(ストップ結核パートナーシッ
従来の枠を超えて幅広い関係者と共に活動を進め,
プ推進議員連盟)と,幅広い分野からお呼びしており,
2050年までに「結核のない世界」の実現をめざすこと
またコメンテーターとして,外務省,厚生労働省から
を念願し,国内の隅々まで,そして広く世界へますま
ご発言いただきます。
す拡がりあるパートナーシップを進めてまいりたいと
70周年という大きな大会で司会のタイムキーピング
考えています。
アシスタントという立場からパネラーの先生方や皆様
本セッションでは司会を尾身茂先生が務められます。
多くの方々とのご縁を大切にし,私自身もそのパート
尾身先生は,今年1月までWHO西太平洋地域事務局長
ナーシップの一員としてこのセッションが有意義な時
を務められ,現在は自治医科大学地域医療学センター
間となりますよう応援したいと思います。
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秩父宮妃記念結核予防功労賞第12回受賞者
秩父宮妃記念結核予防功労賞は,平成7年8月25日薨去されました秩父宮妃殿下のご遺言に基づき,財団法
人結核予防会に賜りましたご遺贈金を原資として,結核予防に大きな功績のあった方々,あるいは団体を顕
彰し,もって結核予防の一層の推進を図るとともに,半世紀以上にわたり結核予防会総裁をつとめられた妃
殿下のご遺志にお応えし,その御名を永く留めようとするものです。
本会では昭和24年の第1回から第48回まで,結核予防全国大会式典の際に165人,24団体を「結核予防功労者」
として表彰してまいりました。この秩父宮妃記念結核予防功労賞は,この結核予防功労者の制度をさらに発
展させ,スケールを大きくしたもので,賞の種類も増やし,授賞対象も世界にまで広げております。
本賞は,毎年,結核予防全国大会式典の席上で,総裁秋篠宮妃殿下から表彰していただく予定です。ただ
し結核予防世界賞については,国際結核肺疾患予防連合(IUATLD:世界各国の結核予防会の連合組織)の
年次総会で,また世界会議が開催される年には,本賞を世界にアピールする意味をこめて,その席上,総裁
の名代として本会会長から表彰することとしております。
今年度の受賞者は世界賞1名,国際協力功労賞1団体,保健看護功労賞3名,事業功労賞2団体9名の計13名3
団体で,大会式典の中で総裁秋篠宮妃殿下より表彰が行われます。また,世界賞受賞者については,平成21
年12月3日から12月7日までメキシコ合衆国,カンクンにおいて開催される「第40回国際結核肺疾患予防連合
世界会議」にて,結核予防会会長より表彰の予定となっております。
*紹介文は表彰順
世界賞
フィリップ・ホープウェル
Philip Christy Hopewell
医師
国籍 アメリカ合衆国
カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校
サンフランシスコ総合病院教授
米国だけでなく,世界の結核病学の第一人者。1965
年にウエスト・ヴァージニア大学医学部を卒業した博
士は,サンフランシスコ総合病院でインターン,その
後ずっと同病院で結核を含む呼吸器疾患診療を担当し,
73年には助教授,80年には客員教授,86年には教授に
就任し,現在に至っており,現在はFJ Curry 国立結核
センターの所長も兼ねている。
博士の医学部卒業当時,米国はベトナム戦争を戦っ
ており,新卒医師は軍医か,公衆衛生業務を選ばねば
ならず,博士は2年間CDCの結核対策部の職員として
ペンシルバニア州衛生部に勤務し,これが呼吸器疾患
を専門とする契機となったと思われる。この間81∼82
年には有給休暇制度を利用して,WHO職員としてペルー
の結核対策を指導し,91∼98年には日米医学協力計画
の米国側結核専門部会員,99∼2004年には部会長を担
当し,91年の第66回日本結核病学会では,「免疫不全
者に診られる結核の臨床像」と題する特別講演も行っ
ており,日本との縁も深い。
国際協力功労賞
特定非営利活動法人シェア
(国際保健協力市民の会)
シェア(国際保健協力市民の会)代表理事
ほんだ
とおる
本田 徹
シェア=国際保健協力市民の会は,1983年の設立以
来,国内外の底辺の人達への保健医療活動を行ってき
たわが国で数少ない保健NGOである。1995年から
2007年まで,カンボジアのコンポンチャム県で,住民
主体の地域保健プロジェクトを実施,保健センタース
タッフと保健ボランティアに対して各種の研修を行い,
DOTSの体制づくりや人材育成に努め,結核の有病率
の低下に貢献した。さらにタイと南アフリカで
HIV/AIDSの予防および陽性者ケアの活動を,東ティ
モールでは保健教育を実施している。また日本国内で
は,在日外国人を対象とした健康相談会の開催や,東
京都に協力して外国人結核患者に対する通訳派遣,日
本の若者を対象にしたエイズ教育,ホームレスへの支
援などを行っている。以上のようにシェアは国内外問
わず,結核医療を含め,草の根の人々や社会的弱者に
対する医療支援・保健向上活動を地道かつ着実に行っ
ている。
保健看護功労賞
きくち
菊池
こ
まち子
保健師
北海道札幌市
北海道国民健康保険団体連合会
氏は,最初に市町村保健師として赴任した美唄市で,
旧産炭地のため結核患者が多いことに着目し,市内の
町内会館を巡回しながら結核健診を行い早期発見に努
めた。また,生活習慣病の早期発見を目的とした健診
も行って,成人対象の中心的な保健事業として確立さ
せ,さらに地域住民とともに健診の受診率向上に取り
組む体制を構築した。その後赴任した稚内保健所では,
保健師未設置,あるいは一人配置などの保健所管内で,
地域の実情を勘案し保健所が健診受託機関となって健
診チームを作り,健診を行うとともに,市町村の保健
活動体制の整備等に努めた。平成9年に美唄市の保健
師となってからは,保健活動の体制整備や保健師の質
の向上を急務と考え,母子保健計画の見直しや健康日
本21地方計画策定を他市町村に先がけて取り組み,ま
た平成15年には厚生労働省の地域・職域連携推進モデ
ル事業の指定を受け,地域保健部門の活動と国保部門,
さらに商工会等産業関係者と連携した保健活動を推進
し,保健師の定着率の向上に努めた。
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5
たなか
のりこ
田中 賀子
保健師
兵庫県神戸市
神戸市保健所予防衛生課主査
神戸市全域を統括する神戸市保健所結核対策係長と
して,患者の治療中断予防・治療完遂を目的とした包
括的支援事業を推進してきた。平成17年度には,
DOTS(直接服薬確認療法)を徹底し,結核患者に大
変負担である服薬を支援した。一人の患者に対し,①
入院した病院でのDOTS実施,②退院に向けては,医
療従事者と保健所職員によるDOTSカンファレンスの
開催,③退院後,DOTSパートナー(委託看護師・委
託ヘルパー・ケースワーカー・ケアマネジャー等)と
保健師を中心とした地域DOTSの実施,④治療終了時に,
各区において医療従事者や福祉関係者が参加しての患
者の治療状況・服薬支援状況を検討するコホート検討
会の開催等,神戸市版となる一連のDOTS事業体系を
確立した。DOTS事業では,区保健師と委託看護師が
入院中の病院訪問,服薬確認,観察記録,家庭訪問指
導を役割分担するなどの協働・連携により,保健師の
継続的訪問指導が可能となった。これらにより,関係
する機関が相互に役割認識を深め,目的を共有するこ
とができ,結核患者罹患率の低減並びに治療成功率の
向上に貢献した。
つちや
あつこ
土屋 厚子
保健師
静岡県浜松市
静岡県厚生部医療健康局健康増進室健康増
進スタッフ
西部健康福祉センター(西部保健所)結核担当保健
師として,入院患者の支援を通して,積極的に結核病
床を有する複数の医療機関と保健所の連携を深め,カ
ンファレンス及び結核チームケア検討会を立ち上げた。
結核患者に対する真摯な態度は,職種や組織を超えた
人々の信望を集め,県内で初めてのDOTS事業の取り
組みに発展した。
平成17年度より静岡県健康福祉部疾病対策室の配属
となり,静岡県結核対策実施計画の策定に従事するな
ど県下の結核対策に尽力した。この間まとめた静岡県
服薬支援実施要領は,県内保健所の服薬支援事業に従
事する看護師予算の確保に結びついた。また,服薬支
援システムを活用した治療成績評価に関する調査を全
保健所で実施し,その結果の還元と改善を目的に結核
診査協議会委員や指定医療機関の医師の研修会を行っ
た。現在はコホート検討会として各保健所で定例開催
されている。これらの取り組みを通して,保健師の意
識や保健指導の質が改善されるなど,服薬支援者の資
質の向上に大きく貢献した。
事業功労賞(団体)
とやまけんけっかくよぼうふじんかい
富山県結核予防婦人会
富山県結核予防婦人会会長
岩田繁子
団体役員
富山県富山市
6
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富山県結核予防婦人会は,昭和47年に結核制圧を目
指し富山県婦人会を母体として結成された。平成4年,
結核予防に関する知識の向上と地域活動の推進等を目
的として,第1回東海北陸地区結核予防婦人会推進大
会を開催した。平成12年度から毎年,結核予防推進事
業の一環としてショッピングセンターや地域イベント
会場等で,支部とともにパンフレットの配布等による
啓発普及と複十字シ−ル募金活動を展開している。ま
た,毎年開催される県主催の行事にも参加し,結核制
圧のための寸劇披露や,結核に関する啓発パネル展示
を行っている。その他,会員の知識向上のため,婦人
団体中央研修会等の各研修会に積極的に参加し自己啓
発に努めている。平成19年度,新たに「結核予防推進
委員会」を設置した。これまで県婦人会の厚生委員会
と生活委員会等を核に啓発普及活動を行ってきたが,
この委員会を軸として,より専心的に活動を推進して
いる。
さばえしあいいくかい
阯江市愛育会
阯江市愛育会会長
酒井艶子
団体役員
福井県阯江市
結核が全国的に蔓延し国民病と言われていた昭和40
年代,早期発見・早期治療を促す推進役として,昭和
43年に,「阯江市愛育会」の前身である「阯江市結核
予防婦人会」を設立,県,市と協力し,モデル地区を
設定,地区役員が一丸となり検診受診の呼びかけを行
い,日中だけではなく夜間の検診も実施した結果,受
診率はめざましく向上した。
その後,環境の変化に伴い会の活動内容も見直し,
地域住民の健康づくりを支援する組織として,昭和62
年に,現在の「阯江市愛育会」を結成,事業目標に結
核予防を掲げ,各世帯に検診受診票等の配布および未
受診者への積極的な声かけ,研修会および会報紙によ
る検診受診啓発の実施など,検診受診率の向上等,結
核予防に大きく寄与している。
結核予防普及啓発の柱である「複十字シール運動」
については,「阯江市結核予防婦人会」時代から会の
主要活動として引き継がれており,地区愛育会が各町
内で各戸に声かけするなど精力的に活動を展開し,結
核予防の普及啓発に多大な貢献を果たしている。
事業功労賞(個人)
はしもと
ともこ
橋本
智子
団体職員
北海道札幌市
北海道健康をまもる地域団体連合会顧問
北海道警察に於いて保健婦として奉職するかたわら,
昭和41年「札幌市家族を結核からまもる婦人のつどい」
の結成に参加した。そこでの最初の仕事は組織づくり
であったが,そのために有給休暇を使い,年間40ヵ所
の地区をまわり,町内会の役員に協力依頼するなど努
力した結果,3年後には全市の8割に組織の形態がつ
くられ,結核検診受診率は1.5倍に向上した。一方,
複十字シール運動にも尽力し,結成時17万円だった募
金額は昭和56年には7百万円を超えるほどになった。
また,健康をまもる全道組織である「北海道健康をま
もる婦人団体連合会」設立にあたっては,結成準備委
員会に参画,“連合会”の基盤づくりに大きな役割を
果たし,以来30年にわたり副会長,参与,会長として
組織の強化に尽くし,結核予防思想の普及,複十字シー
ル運動発展のために粉骨砕身努力した。以上,40年を
越える活動の功績は誠に顕著であり,後輩の良き手本
となっている。
せがわ
ともこ
瀬川 智子
団体職員
岩手県紫波郡紫波町
岩手県紫波郡紫波町婦人連合婦人会会長
平成元年紫波町役場を退職後,婦人活動に携わり,
同年岩手県紫波郡紫波町連合婦人会長に就任。以来20
年の永きにわたり,福祉,環境,子育て支援,平和問
題,青少年健全育成と地域の基盤団体として活動を展
開している。平成11年には,岩手県地域婦人団体協議
会長(平成20年5月まで)に就任。平成16年には,全
国地域婦人団体連絡協議会常任理事(平成20年5月ま
で),同年全国結核予防婦人団体連絡協議会副会長に
就任,現在に至る。婦人活動に心血を注ぐと共に,多
年にわたり,結核予防事業の普及啓発に心をくだき,
特に複十字シール募金運動の取り組み等行政力の及ば
ない分野できめ細かく率先し活動を続けてきた。平成
19年には,東北地区結核予防婦人団体研修会が岩手県
で開催され担当県会長として重責を果し,大会を成功
に導いた。現在は,岩手県紫波郡紫波町連合婦人会長
を務めると共に全国結核予防婦人団体連絡協議会副会
長として,会長を補佐し全国組織の活力を高め活躍し
ている。
なかじま
き よ
中嶋
喜代
団体職員
秋田県北秋田市
結核予防婦人会秋田県連合会会長
昭和39年,秋田県の結核予防婦人会発足当初から,
会員として結核の正しい知識や予防の啓発活動に取り
組み,昭和48年に鷹巣町結核予防婦人会会長となって
からも,活動現場に率先して参加するなど精力的な活
動を続け,昭和60年結核予防功労として秋田県知事表
彰を受賞する。
また,卓越した指導力・行動力と温厚な人柄で人望
が厚く,昭和61年結核予防婦人会秋田県連合会理事,
更に,平成12年からは結核予防婦人会秋田県連合会長
として組織をまとめ,長年にわたり秋田県の結核予防
婦人会活動の運営・指導に携わっている。
各種研修会をはじめ啓発活動,更に毎年活発に行わ
れている複十字シール募金活動は,全国でも類のない
婦人会主体の活動として認知されており,全国の結核
予防婦人会活動の模範となる充実した婦人会活動を確
立した功績は大なるものがある。
むらた
てつお
村田 哲夫
医師
群馬県富岡市
村田内科医院元院長
昭和20年12月に富岡市の富岡厚生病院(現公立富岡
総合病院)に内科医として奉職され,昭和31年まで同
病院に勤務された。この間の地域の状況は,戦中から
続いた物資の不足が終戦後も続き,食料事情も厳しい
状態が続くなかで,老若男女を問わず肺結核におかさ
れる方が多くおられた。
このような状況のなか,村田医師は内科医として昼
夜を問わずご活躍された。
その後,内科医院を開院されたが,昭和50年から富
岡保健所結核診査協議会の委員を,平成14年までの26
年4ヵ月歴任された。診査会においては,内科医とし
て中心的役割を果たされるとともに,結核行政への示
唆等により,富岡地域の結核状況の改善に大きな役割
を果たされた。現在は後進に道を譲られているが,医
師がこの地域へ果たされた貢献は多大なものがある。
いとう
ゆきひこ
伊藤 幸彦
医師
埼玉県所沢市
医療法人埼玉病院
昭和34年日本大学医学部を卒業し,日本大学板橋病
院第一内科勤務を経て昭和37年5月より医療法人埼玉
病院に勤務,平成15年5月まで結核専門病床を有する
埼玉病院において結核患者の治療に専念され地域医療
に貢献された。
平成11年9月から15年3月まで,埼玉県川越保健所
結核診査協議会委員,平成15年4月から平成19年3月
まで,川越市保健所結核診査協議会委員として結核の
適切な治療及び蔓延防止のために貢献された。
また,平成15年4月より現在まで,川越市学校結核
健康診断検討委員会委員として,検診後の精密検査及
び診察を担当し,児童生徒の結核対策の推進に努めて
いる。
川越市保健所主催の結核予防週間(毎年9月)には
街頭キャンペーンによる市民への普及・啓発,医療・
福祉・教育関係者対象の結核及び感染症研修会に協力
し結核専門医として活躍している。
にしわき
ゆたか
西脇 裕
医師
千葉県柏市
国立がんセンター東病院臨床検査部長
昭和46年10月から京都大学医学部附属病院内科研究
室に入職,結核をはじめ幅広い呼吸器疾患に関する研
究と臨床に取り組まれた。
昭和52年6月からは,当時,千葉県の東葛飾北部地
域における中核病院であった国立療養所松戸病院に15
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年間勤務,結核診療をはじめとして肺がんなど他の呼
吸器疾患の治療にも尽力された。
平成4年7月より国立療養所が統廃合され,国のが
ん対策の中核的機関として,国立がんセンター東病院
が設立され,外来部長,内科医長として就任,以後,
悪性新生物についての診断・治療・調査研究及び後進
育成に,現在は同院臨床検査部長としてご活躍されて
いる。
また,その専門的識見をもって柏市の結核・肺がん
検診の読影委員として,保健所や市の主催する一般住
民を対象とした講演の講師として,地域の結核予防や
普及啓発活動に寄与された。平成9年より千葉県柏保
健所の結核診査協議会の委員として,治療や鑑別診断
等について的確な助言や指導等をいただき,地域の結
核医療の向上に大きく貢献されており,なお現在も柏
市の感染症診査協議会の委員長として,ご活躍されて
いる。
成9年からは中央検査部長兼務,平成13年からは副院
長として医療従事者の育成に精力的に取り組んだ。
一方,諏訪地域の結核対策にも尽力し,平成9年4月
より現在に至る永きにわたり,諏訪地域結核診査協議
会(現諏訪保健所感染症診査協議会)委員として,結
核の適正医療の診査・普及に努め,特に諏訪地域の
DOTS立ち上げに多大な貢献をした。このことにより,
諏訪地域の結核罹患率は,全国一罹患率の低い長野県
の中でも,県平均を下回っている。
また,自らも,その研鑽の集大成として,平成元年
に「びまん性肺疾患:症例を中心として」(東京:春
恒社)を出版するなど,結核医療を広めた。
平成16年岡谷病院退職後も引き続き,感染症診査協
議会委員を務めるとともに,岡谷市医師会胸部読影委
員会副委員長として地域の結核対策に尽力している。
かわで
やすひこ
川出 靖彦
つちや
としあき
土屋 俊晶
医師
新潟県新潟市
国立病院機構西新潟中央病院名誉院長
昭和43年11月医師免許取得後ただちに新潟大学医学
部附属病院(現新潟大学医歯学総合病院)の内科医と
して勤務されたのをはじめ,53年5月には当県の結核
医療の中核病院である国立療養所西新潟病院(現国立
病院機構西新潟中央病院)へ転任され,30年間結核患
者の診療に携わった。平成10年4月から退職される20
年3月までの10年の長きにわたり院長として病院の運
営にも精力的に従事し,20年3月名誉院長の称号が授
与された。
結核研究所が行う国際結核研修の現地研修において
は,平成10年以来研修受け入れ先病院の責任者として
積極的に研修に協力した。また,地元大学医学部学生
の教育・研修にも積極的に取り組み,結核医療水準の
確保に尽力した。
平成20年4月からは新潟県支部常任理事として,年
間60,000件を超える間接,直接フィルムの読影を行い,
当県の胸部検診フィルム読影レベルの向上に努力し,
結核対策への貢献は多大である。
きたはら
まさき
北原 多喜
医師
長野県岡谷市
長野県医師会肺がん検診小委員会委員
(元同委員会委員長 平成10年4月∼平成
14年3月)
昭和39年に信州大学医学部を卒業。昭和41年まで同
学部文部教官として後進の指導にあたった後,国立長
野病院,国立小諸療養所,関東逓信病院呼吸器科等に
て胸部,特に肺結核に対して研鑽を積むとともに,多
くの結核患者の治療に尽力した。
昭和52年から市立岡谷病院に勤務し,呼吸器科医長
として多くの結核患者に福音をもたらすとともに,平
8
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医師
岐阜県岐阜市
医療法人清仁会理事長
川出医院院長
岐阜大学医学部を卒業し,昭和46年から内科医とし
て高山赤十字病院,岐阜大学医学部附属病院,岐阜市
民病院勤務を経て,昭和59年7月から現住所に内科・
小児科医院を開業し,現在まで36年余にわたり地域住
民の診療,疾病予防等に,特に健診事業にも積極的に
取り組み,住民の健康の保持増進,保健衛生の向上に
貢献してきた。
平成2年からは岐阜市医師会理事となり,医師会の
運営,特にコンピュータによる情報システム化の推進
に,平成14年から岐阜県医師会常務理事,平成18年か
ら副会長として,特にIT関連の推進,医療保険,結核
診査に貢献している。
平成3年6月から15年余,岐阜市結核診査協議会委員,
平成19年より岐阜市感染症診査協議会会長として現在
も保健衛生に尽力し,この間,臨床医のための結核菌
検査の手順書を作成,岐阜市,岐阜県下の医師,国保
審査委員会審査委員等の利用を促進するためインター
ネットに掲載するなど結核菌検査の正しい検査の普及
に努めた。
平成15年からは教育委員会岐阜市結核対策検討委員
会委員(名称変更・平成20年より岐阜市結核対策委員
会委員)として,平成5年から岐阜県保健医療推進協
議会情報システム専門委員会委員,平成18年から岐阜
県医療審議会委員及び法人部会委員,岐阜県特定疾患
対策協議会委員長,岐阜県薬事審議会委員,岐阜県国
民保険審査会委員として,更に平成19年から岐阜県保
健医療推進協議会委員,同医療計画部委員,岐阜県後
期高齢者医療広域連合運営懇話会委員として地域医療
の発展,推進に大いに貢献している。
ストップ結核パートナーシップ日本
と結核予防会の役割
タイトル:俳人尾崎放哉の「咳をしても一人(Coughing even; alone)」から。咳をしても1人じゃないぞ!
Coughing even; not alone
ストップ結核パートナーシップ日本(以下STBJと略称する)が2007年11月に設立され
てから,1年余り経過した。なお,ジュネーブに本部を置く世界のストップ結核パートナー
シップは2000年に設立され,現在約830のパートナー達の協力により活発な活動を展開し
ている。STBJは,そのパートナーの一員であるとともに,23の各国版パートナーシップ
の一つとして設立された。
STBJ設立からの1年
最初の1年の間にいくつかの大きな動きが見られた。まずは,昨年7月の国際結核シン
ポジウムの開催とそこでのストップ結核ジャパンアクションプランの発表が挙げられる。
同シンポジウムは第4回アフリカ開発会議と洞爺湖サミットのフォローアップ会合として
開催されたが,外務省,厚生労働省,WHO西太平洋地域事務局,結核予防会,STBJの5
者の共催によるもので,日本の官民と国際機関の協力による画期的な会議となり,海外の
参加者からも高く評価された。また,アクションプランは上記の日本の4者にJICAが加
わり,ストップ結核世界計画に呼応し,日本の官民が協力して進める結核の国際協力の具
体的取組を定めたものである。アクションプランは,世界の年間結核死亡者(約166万人)
の1割を救済することを念頭に置き,既に具体的な事業が動き出している。
洞爺湖サミットとアフリカ開発会議では,保健医療が課題の一つとして取り上げられ,
結核についても対策の強化が合意された。これには,2007年12月に設立されたストップ結
核パートナーシップ推進議員連盟が大きな役割を果たしたが,STBJは,その事務局を担っ
ている。
この1年間,結核がマスコミに取り上げられる機会もかなり目に付くようになった。
AC公共広告機構は,昨年7月から結核のキャンペーンを開始した。11月にはビートたけ
し氏がSTBJのストップ結核大使に任命された。今後の活躍が期待される。
民間企業とSTBJとの連携も進展している。具体的には,民間企業との共同記者会見,
共同出展,民間企業主催のシンポジウムへの協力等である。
アクションプランに掲げられたマニラとザンビアのパイロットプロジェクトも始動して
いる。これらは,外務省のNGO連携無償資金協力に基づく補助金とシール募金により実
施されているが,世界基金につながるプロジェクトとして期待されている。
パートナーとしての役割
このようにざっと見ただけでも,STBJの設立以来,様々なうねりが生じている。これ
らは,STBJが単独でなしえたことでは決してない。STBJの28の団体会員と4,200人の個人
会員(2008年12月末現在),すなわちパートナーの力によってできたことである。STBJ
は,これら個々のパートナーの力を結集して大きな力とすることに役割がある。STBJは,
パートナーの集合体であり,パートナー間の調整を行い,その力をまとめて,日本のそし
て世界の結核対策に貢献することが使命である。
その中でも最も精力的で中心的に活動しているパートナーの一つが結核予防会/結核研
究所である。結核予防会は,STBJに人的財政的に多大の貢献をしているのみならず,事
業の企画から実施にいたるまで中心的な推進役の一つとなっている。アクションプランで
もその民の部分を中心的に担うのは,結核予防会/結核研究所である。もちろん,STBJが
設立されたことにより結核対策に幅広く新たな地平が開かれたわけであり,両者は相乗的
協力関係にあるパートナーと言える。
今年2年目を迎えるSTBJは,国内の結核医療をどう確保していくか,都市の結核問題
への対応,世界基金につなげるプロジェクトの発展,新薬や新検査薬の開発のための環境
整備等いくつもの課題を抱えている。結核予防会をはじめとする多くのパートナーの力を
結集することでこれらの課題に取り組みたいと考えている。皆様のご協力を切にお願いし
ます。
(筆者はSTBJの常任理事であるとともに結核予防会の専務理事でもあるが,今回は
STBJの常任理事の立場で,STBJと結核予防会の関係について述べさせていただいた。)
(ストップ結核パートナーシップ日本常任理事 金子 洋)
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No.
5
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荒川区保健所における
服薬支援(DOTS)事業の取り組み
荒川区保健所
堀 裕美子
保健予防課 荒川区の状況
荒川区は東京23区の東北部に位置し,23区中3
番目に小さく,南部の台東区と隣接する地域の一
部に,日雇い労働者等が多く寝泊りしている簡易
宿泊所等が点在する山谷地域を含んでいる。
荒川区の総人口は199,916人(平成21年1月1日現在)
で,区内の外国人登録者数は15,709人(平成21年1
月1日現在),区内の総人口に占める外国人の割合
は7.9%で,23区中3番目に多い状況にある。また,
高齢化率は22.5%で,全国平均より高く,超高齢社
会となっている。
結核に関する業務は感染症全般も担当しながら,
医師1名,保健師3名,事務4名で対応している。
荒川区の結核について
荒川区の平成19年の新登録結核患者数78人,罹
患率37.9(人口10万対)で,全国518保健所管轄地
域中20番目と高率であった。
結核管理図からみた荒川区の結核の状況は,新
登録結核患者の60歳以上の割合が41.9%(平成19年
全国68.0%)と少なく,年末に登録されている全活
動性結核患者中の生活保護割合が18.5%(平成19年
全国4.9%)と多いという特徴と,超多剤耐性結核
で治療期間が5年を超える患者が2人いる影響から,
平均の全結核治療期間が10.5ヵ月と長くなるという
傾向がある。
また新登録結核患者のうち外国人が5人6.4%(平
成19年全国3.3%)で,5名のうち20代の患者が4
10
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名であった。日本語学校の健診で早期発見される
例も少なくない。高まん延国から留学のため来日
する若い外国人が増え,生活環境の変化から来日
後に発症し,結核患者として登録されるという,
二つの影響があると考えられる。
荒川区保健所の服薬支援事業の経過
平成16年度に60歳未満の住所不定生活保護受給
者と外国人を中心とした対象者を試行的に行い,
平成17年度から本格的に実施している。
服薬支援事業の対象は,登録された結核患者全
員に対し,東京都服薬支援のためのリスクアセス
メント票を用いた評価と保健師の面接の結果をふ
まえ,所内のDOTSカンファレンスにおいて決定
している。そして,このカンファレンスの結果を
基に患者と服薬支援の方法を話し合って決めている。
また,服薬支援の治療結果については,所内で
行うコホート会議にて,菌検査の確認と治療成績
の判定を行っている。
服薬支援の基本は保健師による面接
服薬支援の方法は個人と地域資源の状況に合わ
せて決めるため,多岐にわたっている。
服薬支援の基本は保健所における保健師による
面接であり,確実な内服の支援を目指すとすれば,
住所不定で生活保護受給者の場合は,毎日の
DOTSによる服薬支援が有効である。
時間が拘束される仕事や通学の場合,毎日保健
所へ来所し,服薬を確認するのは難しい。そのた
めリスク評価の結果や本人の生活の状況に合わせ,
訪問,電子メール,電話,内服後の空袋の郵送に
よる確認,学校や薬局でのDOTS,訪問看護によ
るDOTSなどを組合せた方法で平成19年42人,平
成20年42人に実施している。
患者との面接を大切に
治療内容:INH・RFP・EBにて9ヵ月
職 業:警備員
家族構成:一人暮らし
DOTSへの理解があるからこそ戻ってきた封筒
学校や薬局等でのDOTSの課題
調剤薬局で薬を受け取っていても自分が結核で
あることを多くの人に知られたくない,個人情報
を知られたくないなどの理由から,実施数は2人
と少なくなっており,空袋の郵送による確認が増
加する傾向にある(平成21年1月現在7人)。
患者と面接できる時間を大切に
間接的な方法(空袋の郵送による確認,電話に
よる支援,服薬手帳の活用など)では患者本人と
直接会う機会が少なくなるため,患者と面接でき
る時間を大切にしている。実際の確認方法としては,
患者本人に保健所の住所が書かれ,切手が貼って
ある封筒を渡すところから始まる。保健師は,1
∼2週間毎に送られてくる封筒内の薬の空袋数を
確認すると同時に,直ちに本人へ労をねぎらう電
話をしている。電話では,生活の様子や受診の様
子を確認し,不安をできるだけ解消できるよう支
援を続け,もし飲み忘れがあったとしても,あり
のままを話してもらえるような関係を築けるよう
心がけている。特に日本語が不慣れな外国人の場
合においては,面接時には通訳を活用したり,で
きるだけ日本語が分かる人と一緒に保健所に来所
してもらうようお願いしている。
空袋の郵送による確認の事例
年 齢:65歳 性 別:男性
病 名:肺結核
菌検査 :喀痰塗抹陰性,培養陽性,全感受性あり
中断リスク要因:服薬支援者なし
経 過:警備員の仕事のため保健所への来所が難し
い状況から,空袋の郵送による確認を導入
した。2週間に1回,計14回の空袋の郵送
で確認を終了。途中,封筒がなくなる前に
は,ご本人が不在であっても訪問し,郵便
受けに封筒と手紙を入れ,支援を続けた
患者さんの手紙:「初め自分でできると思っていましたが,
なんとか薬を飲みきることができました。ありがと
うございました」
経過観察時の様子:電話をかけると「調子もよく大丈
夫です」と元気な声が聞かれた
今後の課題
荒川区では,人的資源や予算が十分でない中で
試行錯誤し,取り組んだのが緩やかなタイプの
DOTS(月1∼2回の面接,空き袋の郵送や電話
など)であった。
保健所の役割は,個人の生活状況や病状に応じ
た服薬支援の実施により,治療環境を整え,患者
の治療中断を予防し,確実な治療による感染拡大
の防止と,耐性菌の発生防止にあると考えている。
都市部の生活では,生活時間や生活習慣が異な
る人が混在して生活しており,患者本人に合わせ
た服薬支援を模索していく必要がある。全ての患
者に対応するためには,保健所だけのマンパワー
では足りない。現在の支援サービス(訪問看護や
薬剤の一包化など)の中には,患者本人の自己負
担が生じる場合もある。自己負担が生じない形の
支援方法を検討し,地域の資源を開発し,どう活
用していけるかが,今後の課題である。
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世界結核デーのテーマ解説 I am Stopping TB
結核研究所国際協力部
3月24日は,『世界結核デー』として世界の様々
な国や地域で結核をなくすための対策を考え,実
行しよう! とみんなに呼びかけていく日です。
世界保健機関(World Health Organization)によ
り,2009年のスローガンは昨年に引き続き“I am
Stopping TB”に決まりました。
スローガンは,すべての人々がそれぞれの役割
によって結核を止めることができる! という『エ
ンパワーメント』を意味しています。
たとえば・・・
患者は,処方されたすべての抗結核薬を決めら
れた期間中きちんと飲む,といった積極的な治療
への参加によって結核を止めることができます。
医療従事者は,病気の兆候に気を配り続け,迅
速な診断と処置を提供することによって結核を止
めることができます。
科学者は,必要とされている新しい診断法,新
薬と新しいワクチンを開発するための研究に携わ
ることによって結核を止めることができます。
教育者は,学生に対し,この長年にわたる“結核”
という惨事について教えることで結核を止めるこ
とができます。
コミュニティ(地域社会)は,結核を防ぐため
の情報や治療を必要としている人々が治療を得ら
れるための情報を共有することによって結核を止
めることができます。
下記の写真は,結核予防会/結核研究所が行って
いる海外プロジェクト地域の人々による“I am
Stopping TB”宣言です。多くの国では結核をなく
すための取り組みが様々な立場から行われており,
引き続き結核根絶へ向けた活動に取り組む意思を
伝えています。結核をなくすための活動は誰でも,
どんな形でもできるのです。世界ストップ結核パー
トナーシップの事務局長マルコス・エスピナル氏
は訴えています。「あなたは何をしてくださいま
すか? どうか活動に参加してください」と。
解説:それぞれの国の言葉(タイ語・クメール語<カンボジア>・タガログ語<フィリピン>で書いてあります。
(参照)世界結核デーのウェブサイトhttp://www.stoptb.org/events/world_tb_day/2009/ 12
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平成21年度 マンモグラフィ講習会の開催案内
∼デジタルマンモグラフィ普及への対応∼
結核研究所対策支援部放射線学科
星野 豊
科長 (結核予防会マンモグラフィ講習会事務局)
乳がん疾患の特徴
「ピンクリボン」が乳がんの早期発見の大切さ
を伝えるシンボルマークであることをご存じでしょ
うか? 毎年10月になると「ピンクリボン・キャ
ンペーン」が始まり,全国各地でスマイルウォー
クなどのイベントが展開され,昨年開業50周年を
迎えた「東京タワー」もピンク色に染まります。
乳がんは日本女性が最もかかりやすい癌疾患で
あり,生活環境や食生活の欧米化に伴って年間4万
人が乳がんになると言われています。2007年に乳
がんで亡くなった女性は11,323人(厚生労働省)で,
その半数が30代から50代です。はっきりした乳が
んの予防法はありませんが,マンモグラフィ併用
検診ではより早期で見つかる頻度が高く,約90%
の人が治癒します。欧米では検診受診率が高いた
めに乳がん死亡率が減少し始めているのです。
わせた画像への逐次変換を行えるなど,より詳細
な画像観察が可能となります。また,過去画像と
の比較やコンピュータによる自動診断支援(CAD)
が容易になることも大きな利点です。
デジタル装置の中でも,撮影後に瞬時に画像を
表示できるフラットパネル方式が増加してきてい
ることも見逃せません。米国での研究によれば,
特に40代の乳腺密度の高い女性では,フラットパ
ネル方式によるモニター診断の方がフィルム診断
より乳がんの発見率が高くなるとのデータも示さ
れています。しかし,厚生労働省研究班の調査で
はモニター診断のみで読影を行っている施設はわ
ずか24%となっており,デジタルマンモグラフィ
の能力が発揮されているとは言えません。そのため,
デジタル装置の精度管理技術を普及していく必要
があります。
結核予防会マンモグラフィ講習会
マンモグラフィ検診を精度よく行うためには,
管理された撮影装置,読影技術を持った医師,撮
影技術や画像管理技術に長けた診療放射線技師の3
点が揃っていなければなりません。そこで当会で
は平成16年度事業から「マンモグラフィ認定講習会」
を開催し,これまでに20回以上の講習会で1,000名
以上の受講生を輩出してきました。
認定講習会を開催するにあたり,受講生への学
習効率を上げることを主眼として3つの大きな特
徴を備えました。1つ目は全国で活躍している一
流の講師陣に協力を仰いだこと,2つ目は学習効
果をより高める目的で「3日間の講習会」として「合
宿性」で行っていること,3つ目は最新の撮影装
置を3台用意し,ポジショニングの実習が少人数
で効率よく行えるよう配慮したことです。
平成21年度開催予定のご紹介
当会では平成21年度も表に示した3回の認定講
習会を開催する予定です。デジタルマンモグラフィ
の普及に併せて「デジタル画像の基礎」や「医用
画像モニターの精度管理」などの講義を組み入れ
て受講生のニーズに合わせるよう配慮しました。
また,フラットパネル方式のデジタル装置を配備
して,画像作成技術や管理技術の実習が行えるよ
う準備を進めているところです。
多くの技術者がこの講習会を修了することによ
りマンモグラフィ検診の精度向上が進み,欧米の
ように乳がん死の減少が現実となることを願って
います。
デジタルマンモグラフィの普及への対応
本邦ではデジタルマンモグラフィが急速なスピー
ドで普及してきており,すでに日本中に配備され
ている撮影装置の70%がデジタル装置に代わって
います。デジタルではモニター診断が可能となり,
必要な部分の拡大はもとより読影医師の好みに合
名 称
日 程
第21回
平成21年
6 月 5日 ∼ 7日
第22回
平成21年 11月 20日 ∼ 22日
第23回
平成22年
1月 22日 ∼ 24日
* 詳細は結核予防会ホームページに随時掲載(http://www.jatahq.org)
3/2009 複十字 No.326
13
平成20年度フィルム評価会に参加して
複十字病院 放射線科
秋山 洋一
科長 平成20年度・結核予防会フィルム評価会が去る
12月11日と12日の2日間にわたり,結核予防会結核
研究所に於いて開かれ,全国約40支部から医師14名,
診療放射線技師56名,そして外部から3名の技術者
が参加しました。
初日に結核研究所対策支援部放射線学科の星野
科長より「結核予防会フィルム評価法のポイント」
についての報告と胸部直接・デジタルフィルムの
評価,4月から新しく結核予防会複十字病院の院長
に就任された工藤翔二先生の講演「21世紀の生活
習慣病【COPD】への挑戦」,2日目には胸部間接フィ
ルムの評価をし,最後に技術検討会を行って閉会
となりました。
<フィルムの評価方法とその結果>
評価は参加者が6班に分かれ,各々班長である医
師と副班長である放射線技師が進行役となり,班
員全員が合議の上で総合判定をします。まず班ご
とに1つのフィルムを評価し,そのフィルムを交換
し全部で間接フィルムならば6本の評価をし,次に
全員で班ごとの偏りをなくし評価が均一になるよ
うに評価の練習(『目合わせ』という)をしてか
ら全体討議を行います。
全国支部から集まった間接・直接及びデジタル
写真の本当の意味でのフィルム評価がここから始
まります。間接写真は10因子,直接及びデジタル
では9因子について,それぞれの良否を解析して最
終的に読影価値から見た総合判定を下します。
間接フィルムでは A:読影価値のきわめて高
いフィルムが108本中18本(16.7%),B:優れたフィ
ルムでAに近いものが108本中21本(19.4%),C上:
読影可能で,B評価に近いものが108本中66本(61.1
%)。直接フィルムでは Aが98枚中11枚(11.2%),
Bが36枚(36.7%),C上が47枚(48.0%)。デジ
タルフィルムでは A,Bが79枚中34枚(43.0%),
C上が36枚(45.6%)でした。
結核予防会フィルム評価会の合格基準である「A,
B,C上」は,間接で97.2%,直接で95.9%を占め
ており予防会のフィルムは読影価値が高く,精度
管理も行き届いていると思われます。
<今後のフィルム評価の位置づけ>
講演では工藤先生から,「胸部X線検査だけでは,
呼吸器疾患の早期発見は難しい。COPDは生活習慣
病であり,適度な運動をすることと禁煙を支援し
て喫煙者を減らしていくことが大事。推計で530万
人いるとされる患者を今後減らしてゆくためには,
まず自分の“肺年齢”を知り早期に治療を開始す
る必要がある。そのためには“肺年齢”を広める
14
3/2009 複十字 No.326
広報活動を展開しなければならない」といったお
話があり,マラソンの有森裕子さんの肺年齢を実
際に測定した場面をビデオで紹介され,実年齢よ
りもはるかに若い(半分ぐらい?)ことがわかり,
驚かされました。
健診の精度向上は,疾病の早期発見の上で非常
に重要です。結核予防会は結核をはじめ肺がんや
他の胸部疾患の草分け的存在であり,特に胸部写
真に関しては臨床現場におけるスタンダードでな
ければなりません。これらのことから「結核予防
会フィルム評価会」の果たすべき役割は大きく,
その責務も決して小さくはないと考えます。しかし,
先に示したデータにもあるように,デジタルフィ
ルムが急激に増えています。しかもフィルムレス
となりモニター診断になると,もはや「フィルム
評価」ではなくなってしまい,またそれをどうやっ
て評価すればよいのか,スタンダードを決めるこ
とが大変難しくなっていることも事実です。
平成20年4月の診療報酬改定では,胸部単純撮影
に関してモニター診断でデジタル保管をした場合
には電子画像管理加算60点が新設されました。一方,
デジタル映像化処理加算は60点から15点に減額され,
平成22年度には廃止の予定であり,モニター診断
への移行を推進した内容となっています。
今後ますますデジタル化・フィルムレス化が進
む中,モニターの精度管理や疾病別のパラメータ
の検討などが必要になってくるのかも知れません。
これからもいろいろな情報を共有して,また今ま
でのアナログで培ってきた結核予防会独自のノウ
ハウを生かして「新しい評価」を,この評価会を
通じて模索して行かなければなりません。今後も
この評価会を継続しアナログ及びデジタルの質的
向上につなげ,ますます発展していくよう努力し
たいと思います。 目合わせの真っ最中
第30回(平成20年度)事務職員セミナー報告
結核予防会職員としての誇りを胸に
結核予防会兵庫県支部
兵庫県健康財団企画総務課
中村 友紀
3日間にわたる研修は,結核予防会仲村理事長
のご挨拶で幕を開けました。
結核予防会及び本部事業についての講義では,
金子専務理事より平成18年に寄附行為が改正され,
「呼吸器疾患の予防その他呼吸器疾患対策に関す
る事業」「生活習慣病の予防その他生活習慣病対
策に関する事業」という二点が加えられたことを
伺い,改めて結核予防会が「結核のない世界をつ
くる」という大きな使命とともに,人々の健康を
保持し,また促進するためのパートナーとしての
使命をも併せ持っているのだということを再認識し,
結核予防会支部職員として,たいへん身の引き締
まる思いがしました。
また,平成20年4月より始まった特定健診・特
定保健指導の導入をはじめ,健診を取り巻く環境
も時代の流れと共に大きく変容し,人々の健康に
対する意識は高まり,多種多様なサービスが求め
られています。このような時代だからこそ,誇り
を持って働いていただきたいという山下事業部長
のお言葉が強く印象に残っています。
「結核って面白い!」というタイトルで始まっ
た石川結核研究所長の講義では,結核を取り巻く
現状やDOTSによる治療について,また結核をなく
すためにはまず「結核」を誰でも知っている状態
を作ることが必要であることを学びました。「長
引く咳は赤信号!」のキャッチフレーズを胸に,
少しでも結核に関する情報の発信源となれるよう
努めたいと思います。
阿部先生の接遇研修では,「接遇」という「目
に見えないもの」の重要性を再確認するとともに,
「顧客満足」から「顧客感動」が求められる時代
の変化の中で,私たちに求められている「サービス」
のあり方を考えさせられました。立場が変われば
私自身も同様ですが,人はこれまで自分が受けた
ことのある最高のサービス体験を,それ以後のサー
ビスに対する判断基準とします。つまり「顧客感動」
を提供するためには,「サービス」「接遇」を常
に進化させ続けなければなりません。「接遇」の
基本は「心配り」だと思います。研修内での演習
でも体感しましたが,話をする際の目線,立ち位
置がほんのわずかに変わっただけでも相手に与え
る印象は大きく変化します。お客様であれ同じスタッ
フ間であれ,接する相手が何を望んでいるのかを
常に意識し,心配りを忘れず,いつでも周囲の方々
に気持ちよく過ごしていただけるよう努めること
が「顧客感動」への第一歩と考え,この気持ちを
忘れずに過ごしたいと思います。
二日目は「組 織 が 求 め る 事 務 職 員 像 と は 」と
いう今回の研修主題を基に,3人のアドバイザー
から健診,社会貢献,経営状況について講義して
いただき,それを踏まえグループごとに4時間に
わたるワークショップを展開しました。
まずは互いの業務において苦労している点や悩
み事を共有しあいながら討議を重ね,下記のよう
な意見をまとめました。
仕事をただこなしていくだけではなく,「何故」
「なんのために」行うのかを理解すること。「あ
り方」「やり方」を意識することで効率化を図り,
「ゆとり」を持つこと。「経営」とは「人(職員)」
が団結してこそ生まれる。収支の状態を共有し,個々
が経営者としての視点を持って仕事に取り組む姿
勢を作る。「仕事の出来栄え」や「今」に満足せず,
明確な目標を持つ。「苦情」はお客様の生の声が
聞ける貴重な機会と捉える。
これらは全て当たり前のことかもしれませんが,
当たり前のことを当たり前に行うことは意外に困
難であり,また当たり前と言われることを毎日続
けることこそが,大きな結果につながっていくと
考えます。このセミナーで得たことを胸に,また,
3日間寝食を共にしたみなさんとの出会いを心の
糧として,組織が求める事務職員像に一歩でも近
づけるよう日々努力を重ねたいと思います。
最後になりましたが,講師の先生方,そして3
日間朝から晩までお世話下さった斉藤参事をはじ
めスタッフの皆様にこの場を借りて厚くお礼申し
上げます。
研修を終え,一回り大きくなった参加者たち
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女性が結核対策にどう貢献できるか?
タイ国チェンライ地方ワークショップに参加して
結核研究所国際協力部
堀井 直子
研究員 本年1月12日,タイ国チェンライ地方(タイ北部
のミャンマー,ラオス国境に隣接)において(財)
結核予防会/結核研究所,タイの結核エイズ研究財
団,チェンライ県立病院,チェンライ県赤十字委員
会との共催で「女性の結核予防とケアにおける役割」
と題したワークショップを実施した(資金元は複十
字シール募金)。タイはWHO(世界保健機構)が
定める世界の結核まん延国のひとつに指定され,
2008年度WHO世界の結核報告書によると,結核患
者数は6万3,000人を越えるとされ,世界でもランキ
ング第18位に上る。チェンライ県は,タイ北部8県
の中でも結核報告率が2番目に高いことで知られて
いる(結核エイズ研究財団,結核研究所,2008年)。
ワークショップ参加者代表と共に(左から3人目より野内ジンタ
ナ研究員,石川信克所長,筆者,山田紀男国際協力部長)
今回実施したワークショップには,チェンライ
県で活動する女性グループの代表(赤十字婦人会
代表,チェンライ市庁女性支援の会代表,山間部
族の女性リーダー,民間ビジネスセクター代表,他)
計33名が参加した。結核をテーマにチェンライ地
域で活動する各種グループの女性代表者が集った
のは初めての試みであり,大きな反響を呼んだ。
女性が結核患者へ支援の手を差し伸べ,結核拡大
の予防,ひいては地域保健の改善の担い手に,と
のメッセージを参加者の一人ひとりが真剣に受け
止める積極的な姿勢が印象的であった。
ワークショップは講義,プレゼンテーション,
グループディスカッションから構成され,結核に
関する基礎知識や結核対策の重要性について認識
と理解を深め,今後各グループが,具体的にどの
ような貢献ができるかについて協議し意見交換す
る場となった。特別講演として結核研究所石川所
長より,日本における結核予防婦人会の結核対策
への貢献について発表があり,タイ国で活躍する
女性団体の参加者は深い感銘を受け,今後地域で
16
3/2009 複十字 No.326
参加者全員で記念撮影
女性団体がイニシアチブを取り結核根絶を目指す
可能性を示唆する内容となった。また日本の結核
予防婦人会によるチェンライ県への訪問と日本と
タイで活動する婦人会の交流会を行うのはどうか,
との提案に対し,会場からは賛同の拍手喝采によ
る反応があった。
グループディスカッションでは,①結核患者を
ケアした経験があるか,②無償による患者への支
援活動,③家庭訪問によるDOTS支援,④結核患者
への経済的支援の可能性について参加者が協議した。
地域で結核早期発見のための普及活動をすること,
結核への偏見をなくし知識の普及に貢献すること,
結核患者に対して精神的な支えとなる支援を行う
こと等に参加者の大多数が賛同した。また地域各
種団体(赤十字,母親優等生支援の会など)への
資金要請の可能性を示唆し,各グループ代表者ら
が活動の資金調達のための計画策定を提案した。
今回参加した各団体女性代表者の多くが,今後チェ
ンライ地域における結核対策へ積極的に貢献して
いきたい等との意見交換が活発に行われ,有意義
なワークショップとなった。
グループディスカッションで山間部族女性グループリーダーが
熱心に意見を述べ,それに耳を傾ける参加者たち
Stop TB partnership 調整理事会
結核研究所
加藤 誠也
副所長 調整理事会はStop TB partnershipの指導性と方
向性を決定し,政策,計画,活動を監視し,構成
団体の調整を行うために年2回開催されることになっ
ており,今回は2008年10月28∼29日の2日間,開
催地はタンザニアの首都ダルエスサラームから車
で1時間半程度の海岸沿いのリゾート地バガモヨ
であった。メンバーは高まん延国,WHO,世界銀行,
世界基金(Global Fund,以下GF),WHO地域事
務局代表,ワーキンググループの議長,ドナー代表,
Union, CDCなど34団体から構成されており,私は
WHO西太平洋事務局管内の代表となっている石川
所長の代理として出席した。また,日本から厚生
労働省国際課の清水課長補佐とオブザーバーとし
てストップ結核パートナーシップ日本の鈴木さん
が出席した。WHOのDr. Blancからは「参加者のほ
とんどが欧米からであり,日本から参加すること
が重要」とのコメントをもらった。
開会式ではタンザニア保健大臣,バガモヨがあ
るザンジバール州知事の挨拶があった。主な議題
はワーキンググループの改組(検査室強化サブグルー
プは正式なワーキンググループに昇格,Advocacy ワー
キンググループの国別サブグループはDOTS
Expansionのサブグループに移行),GFと
TBTEAM*の協力(GFの有効活用のために技術支
援チーム結成),二次抗結核薬の確保(UNITAID:
国際医療品購入ファシリティ, GF, Global Drug Facility:
世界抗結核薬基金が品質保証,薬剤購入予算の増加,
各国のWHO品質基準遵守について発表及び議論),
診断(MDR及びHIV対策のための検査室強化),
TB/HIVの円卓会議,サーベイランスの強化・有病
率調査の実施等であった。
世界の結核対策は古典的なDOTSの重要性を認め
ながら,MDR/XDR, HIV/TB対策強化,それに伴
う二次抗結核薬の供給,検査室での培養,薬剤感
受性検査の実施等に向けて大きな歩みを踏み出し
ている。技術支援の強化の必要性が議論されてい
る中で,結核研究所として具体的にどのような貢
献をしていくかを検討していく必要があると思わ
れた。
*TB Technical Assistance Mechanism: Stop TB Partnership
による世界的な技術支援ネットワーク,結核予防会結核研究所
も参加している。
ストップ結核のTシャツを着て
歓迎の踊りを披露するヘルスワーカー
世界基金理事会オブザーバー参加報告
結核研究所
国際協力部副部長 2008年11月7∼8日にインド・ニューデリーで開
催された世界基金理事会に国際協力機構カンボジ
ア結核対策プロジェクトのチーフアドバイザーと
してオブザーバー参加し,世界基金理事会で討議
される事項・内容と世界基金と裨益国間の仕組み,
パートナー機関としての役割について勉強する機
会を得た。本会議は世界基金ラウンド8の承認を主
な議題として開催された理事会であるが,ドナー
国だけではなく裨益国(ひえきこく)やNGOまで
参加して討議が行われる点はこの理事会の特徴で
あろう。特に,本会議前の事前会議やロビー活動
杉山 達朗
で論議が活発に行われ,その内容がすぐ本会議案
に反映される点も注目に値するものであった。
ラウンド8で審査された174案件のうち94案件(54
%)が承認された。しかし,下位カテゴリーで承
認された国は資金調達が出来次第,順次承認して
いくというものとなった。それぞれの疾患の採択
率を見ると結核51%(29/57),HIV49%(37/76),
マラリア68%(28/41),資金率はそれぞれ11%,
38%,51%と疾病間でかなりの開きがあり,結核
案件の資金率が低いのに加え,上位承認案件も少
ない点は憂慮に堪えなかった。また,2009年1月が
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17
締切り予定のラウンド9は6月に延期され,それ
以降のラウンド10の日時まで言及はされなかった。
世界的な不況の嵐が吹く中で今後の資金確保が不
透明であり,更にラウンド10に申請をしようとし
ていた国は延期されたラウンド9に申請すべきな
のかを早急に決定する必要がある。世界基金が各
国の感染症対策プログラム運営にとって欠く事が
できなくなっており,不安材料が明確にされた理
事会であったとも言えるだろう。
世界基金において技術支援といった場合,申請
書作成に焦点が置かれがちである。しかし,結核
分野討議であえて現在まで支援してきた国際研修
による人材開発,プロジェクトを通した技術供与,
ラボネットワークの実績を紹介し,現在世界基金
を受けて動いている結核プログラムを円滑に進め
るための技術支援の必要性を日本として訴えた。
ザンビアJAZ-ACTIVEプロジェクトの紹介
結核予防会国際部
カエベタ 亜矢
ザンビア共和国(以下ザンビア)における予防
会活動拠点である現地事務所(RIT/JATA-ZAMBIA)
は,昨年の9月の現地でのNGO登録を完了したば
かりの新しい事務所です。皆様ご存じのように,
結核研究所は,海外での活動経験は豊富で,ザン
ビアでも,これまで,JICAプロジェクトを通じた
日本人専門家の派遣,ザンビア人専門家の招聘・
研修を通じて活動がされてきました。昨年の12月
には,第一回結核研究所主催のセミナーが,首都
のルサカ市にて実施されました。結核研究所で実
施している国際研修の歴代の卒業生と,現地の結
核対策の中心的な役割をしている人々70名が全国
から集まり,現地ネットワークの強化が図られま
した。保健大臣も参加され,結核予防会への期待
が大きいことが実感されました。
第一回RITセミナー(2008年12月2日実施)
現在,RIT/JATA-ZAMBIA事務所では,大きく
分けて2つのプロジェクトが進行しています。1
つは,TBCAP(The Tuberculosis Control
Assistance Program),もう1つは,JAZ-ACTIVE
(JATA-ZATULET-Active Case finding of
Tuberculosis Involving Volunteers Empowerment)
project です。TBCAPは,国際組織が提携して,
世界各国で実施している結核対策プロジェクトで,
ザンビアでも,WHO,
FHI(Family
Health
International)とともに,結核予防会が関わってい
ます。JAZ-ACTIVE projectは,ザンビアの住民を
18
3/2009 複十字 No.326
巻き込んだコミュニティー結核対策プロジェクトで,
外務省の日本NGO連携無償資金協力と複十字シー
ル募金による資金の協力を得て実施しています。
今回は,このJAZ-ACTIVE projectについて,簡
単にご紹介します。ザンビアは,アフリカ中南部
に位置しますが,成人のHIV感染率は16%,世界で
最も感染率が高い地域として知られます。HIV感染
者は免疫力が下がるため,様々な感染症にかかり
やすく,エイズ患者のほぼ半数は結核で亡くなる
といわれています。一方,結核罹患率は,10万人
当たり553人(2006年WHO推定値)で,その7割近
くがHIV感染をしているといわれています(ザンビ
ア保健省の2006年推定値ですが,近年抗エイズウ
イルス治療の効果もあり減少傾向にはあると推定
されます)。ザンビアの結核患者は,①診断をす
るまでの過程,②治療を完了するまでの過程で,様々
な理由によって挫折せざるを得ない状況に陥ります。
その背景には,貧困・医療サービスが整備されて
いない等の問題があります。我々のプロジェクト
では,地域の中に,診断センターを置き,痰の検
査とレントゲン検査を無料で提供します。これに
より,患者が容易に診断機関に通うことができる
ようになり,費用などの心配もいりません。ザン
ビアの一般的な結核治療では,8ヵ月間という長期
に渡り,毎日欠かさず服薬をする必要がありますが,
その間も,結核ボランティアによる患者への服薬
結核ボランティアによる患者教育のための寸劇
支援がなされ,治療が終了できるように支援します。
結核ボランティアは,患者と同じコミュニティー
の人達ですが,研修,実習などを経て,知識・技
術を身につけます。
患者の数は多いのに,医療スタッフは不足して
いるという状況では,結核ボランティアは欠かせ
ない存在です。プロジェクトでは,資金・技術面
の協力をしますが,主役は住民,ということにな
ります。JAZ-ACTIVE projectも,現地事務所と同
様に,昨年8月に始まったばかりの新しいプロジェ
クトで,軌道に乗せるまでにはまだ時間がかかり
そうですが,今後,住民と協力し合いながら,現
地に根差した息の長い活動となることを目指して
います。
ミャンマーにおけるサイクロン被害と義援金
結核予防会国際部
岡田 耕輔
ミャンマーのJICA主要感染症対策プロジェクト(結
核・HIVエイズ・マラリア)で仕事を始めて,丁度
一年となります。その間,ここでサイクロンを経
験し災害復興支援に関わった一人として,結核予
防会および支部の皆様方から多大な義援金をいた
だきましたことに深く感謝いたします。
ご承知のように,昨年5月2日夕刻から3日早
朝にかけてミャンマー南部はサイクロン・ナルギ
スの襲来を受け,甚大な被害を受けました。南国
土佐の出身で台風には慣れっこの私も,さすがに
この時ばかりは一人で不安な一夜を過ごしたこと
を覚えています。最終的な死者,行方不明者数は
14万人近くに達し,未曽有の大災害となりました。
死傷者の多くはエヤワディー(旧称イラワジ)デ
ルタが広がるエヤワディー管区とその東に位置す
るヤンゴン管区に集中しました。3∼4メートル
の高潮が真っ暗闇の村落を襲うなか,村民はヤシ
の木につかまったり,辛うじて残ったコンクリー
トの壁にしがみついたりして,サイクロンの過ぎ
去るのをじっと待ったそうです。その間,体力の
ない小さな子どもや女性がやがて力尽き,濁水に
消えていったと聞いています。ヤンゴン市内も数
時間にわたり猛烈な暴風雨に襲われ,多くの建物
の屋根が吹き飛び窓ガラスが割れるなどの被害が
生じました。倒れた大木は電線を引きちぎり,道
路を塞ぎ,家屋全体を押しつぶしました。
そんな中,サイクロン襲来からわずか数日後,
複十字シール募金より緊急支援が支出され,各支
部から義援金を募るとの知らせが予防会本部より
寄せられました。ちょうどカウンターパートから
壊れた屋根や窓の修繕,水で濡れて使えなくなっ
た機器の相談などが入っていた時期でしたので,
大変ありがたく思いました。プロジェクトを通し
たJICAによる支援も検討され始めていましたが,
緊急医療援助隊派遣など特殊な例を除けば小回り
のきくタイムリーな支援はJICAとしても得意では
ないといった事情もありました。早速,本部から
33万円,そしてその後,支部および予防会職員の
皆様から義援金118万余円が贈られてきました。こ
れらは主にヤンゴン管区にある結核関連施設の修復,
機器の購入などに使わせていただくことにしました。
被害額自体はエヤワディー管区が大きかったので
すが,既に国際支援の多くがエヤワディーに向け
られていたこと,義援金を効果的に使うには綿密
なコミュニケーションが可能なヤンゴン管区が適
していること,そして,予防会支援による結核モ
デル事業がヤンゴンの2地区で実施されているこ
となどを考慮しました。また,できるだけ形とし
て残ることを重視し,消耗品購入や活動経費では
なく,修復や機器の購入に充てる形態としました。
現在のところ,2月末には会計報告ができるよう
準備を進めているところです。この政府の特殊事
情もあって国際支援の多くは被災住民の生活支援,
および破壊された学校やヘルスセンターなどの復
興支援などに向けられる一方,相対的に被害の程
度が軽かった結核分野にはほとんど目が向けられ
ていないので,皆様からの支援は大変感謝されて
います。主要な結核スタッフの何人かは清瀬市に
ある結核研究所で国際研修を受けてきていること
もあって,皆様方のご支援が日本とミャンマーの
友好関係を一層強くすることが期待されます。最
後になりましたが,この紙面をお借りして重ねて
感謝を申し上げます。
サイクロン一過ヤンゴン市内の惨状
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抗HIV療法の進歩と課題
エイズ予防財団 理事長
東京逓信病院 病院長
木村 哲
現在,世界中に広まっているのはHIV-1で,HIV2の流行は西アフリカなどの一部の地域に限られて
いる。これまでに全世界で約7,000万人がHIV-1(以
下HIV)に感染し,その内,約3,000万人程度が既
に亡くなられている。感染者の3分の2はサハラ以
南のアフリカ諸国に集中しているが,最近は中国
南部,インド,ミャンマーなどで著しく増加して
おり,結核の多い国では両者の合併が深刻な問題
である。日本でも新規のHIV感染者数,エイズ発症
者数ともいまだに歯止めがかからず毎年増加の一
途を辿っている。
1981年に初めてエイズ事例が報告されて以来,「死
に至る病」として恐れられていたHIV感染症も
1990年代半ばに多剤併用療法 Highly Active Antiretroviral Therapy(HAART)が可能となり,「長
期にわたりコントロール可能な病」へと変貌を遂
げた。しかし,HAARTには短期,長期の副作用の
問題,薬剤耐性ウイルス出現の問題,開始時期が
遅れるとHAART開始後,結核を初めとする種々の
免疫再構築症候群が生じること,終生飲み続けな
くてはならないことなど課題も残っている。
HAARTまでの道のり
1987年にAZTが初めての抗HIV薬としてFDAで
承認された時,その標準的投与量は1日1,200mg,
分6(4時間毎,1日6回)であった。待望の新
薬の出現で,現在も広く使われているが,この量
のAZTは副作用の消化器症状が強く,日本の患者
さんにはとても飲めない状況であった。細胞内
AZT三リン酸濃度のカイネティックスなど基礎的
検討と臨床試験を組み合わせ検討した結果,日本
人には400mg分4が適していることを見出した1)。
以来,日本では400mg分4で使われるようになった。
その後,アメリカでも用量設定試験が行われ,
500mg∼600mg分3∼分6と変わった。製剤の関係
で日本でも最近は600mgが処方されるようになって
いる。
ddIやddCが開発されAZT単剤よりddIまたは
ddCとの併用の方が有効期間が長いことが報告さ
20
3/2009 複十字 No.326
れた2)3)4)が,それでも効果は2年∼3年が限度
であった。何より画期的であったのは,プロテアー
ゼ阻害薬(PI)の開発で,特にAZTと3TCにIDV
を併用した3剤併用の効果 5)はまさに目を見張る
ものであり,HAARTの原型となった。
HAARTの組み合わせ
現在,日本で処方可能な抗HIV薬は表1に示す通
りであるが,HAARTの標準型には大別して核酸系
逆転写酵素阻害薬(NRTI)2種類にPI 1剤を加え
3剤にするものと,NRTI 2種類に非核酸系逆転写
酵素阻害薬(NNRTI)1剤を加え3剤にするもの
の2種類がある。前者の場合,しばしばPIのリト
ナビル(RTV)少量がブースト用として使われて
いる。
最も新しいアメリカの治療ガイドライン6)では,
それまで治療を受けたことのない患者への初回治
療レジメのbackbone drug としては,a)TDF +
FTC(または3TC)のみが第一選択となっている。
しかし,日本ではアバカビル(ABC)に対する過
敏症の指標であるHLA B*5701保有者が少ないこと,
国際エイズ学会米国部会(IAS-US Panel),英国
エイズ学会(BHIVA),EUエイズ学会などのガイ
ドラインで第一選択とされていることなどから,b)
ABC + 3TC(またはFTC)も第一選択としている
(表2)7)。Key drugとしてはNNRTIのエファビ
レンツ(EFV)またはRTVブーストのアタザナビ
ル(ATV),フォスアンプレナビル(FPV),ロ
ピナビル(LPV),もしくはダルナビル(DRV)
が第一選択とされている6)7)。
すぐ開始しても開始を500未満まで遅らせても3年
後には同じ結果になる8)ことなどが判明し,500未
新HAART時代
耐性ウイルスの出現を抑えるために服薬へのア
ドヒアランスが重要視されるなか,NRTIのABC,
TDF,FTC,NNRTIのEFV,PIのATV,FPVな
ど 長期服用に便利な1日1回処方QDで良い薬が続々
登場し,簡便なQD同士の組み合わせによる
HAARTが近年急速に増えている。従来からのddI
や3TCも分2処方に加えQD処方が可能であること
が明らかとなっている。
1回に服用する剤数についても改善が見られ,
例えば1日3カプセル(1カプセル200mg)必要で
あったEFVは2008年に600mg錠が使用できるよう
になり1錠で済むこととなった。backboneに
TDF/FTC合剤またはABC/3TC合剤も作られ,こ
ちらも1日1錠で良いので,長期服用を続けなけ
ればならない患者さんにとっては,大きな福音と
言える。
日本では数種類のPIが承認されているが,交差
耐性のため一度耐性ウイルスが出現すると次の選
択肢は余り多くないのが実情であった。しかし,
2007年暮れに承認されたDRVは,これまでのPIと
異なりプロテアーゼの活性化に必要な2量体形成
を阻害する作用も併せ持つことから,従来のPIに
耐性となったHIVにも効果が期待できる。
また,2008年6月に全く新しいクラスの薬剤と
してインテグラーゼ阻害薬であるラルテグラビル
(RAL)が承認され,更に,HIVの細胞内への侵
入を阻止するマラビロク(MVC;CCR5阻害薬)も
2008年末に承認された。これら新しい作用機序を
持つ薬の登場は,今後の治療の幅を広げるもので
あり,新しいHAART時代が始まったと言える。
HAART開始時期に対する考え方の変化
HIV感染症の治療のガイドラインには既述のよう
に多数あるが,それらを総合してHAARTの開始時
期に関するコンセンサスを辿ってみると,HAART
開発前は感染が判ったらすぐ治療を開始するのが
常であった。その頃のAZT単剤による治療はCD4
が500未満でも有効であるが効果が持続しないため,
満まで待つことも考慮されるようになった。
一方,HAARTが始まった頃は場合によっては
HIVを体内から除去できるかも知れないと言う期待
もあり,“Hit HIV early and hard”(Dr David
Ho)が合い言葉となった。しかし,60年以上にわ
たりHIVの増殖を抑え続けないとHIVを除去できな
い 9)ことが示され,1990年代末のガイドラインで
は治療薬を温存するためCD4が500未満となるまで
待つ方針が確定した。その後,2001年頃からは治
療開始時期が350未満となり10),最近は200程度ま
で待つ傾向が強くなっていたが,余り待つと不利
な面もあるため2008年のDHHSのガイドラインでは
200まで待たず350未満となったら開始する方向に
少し揺り戻されている6)。服用しやすくなったこと,
副作用が少なくなったことに加え,HIVが多いと腎
や血管系,免疫系に悪影響があることなどが明ら
かになってきたことがその背景にある。
HIVとその遺伝子を体内から除去できる治療法の
開発が待ち望まれる。
文 献
1. Kimura S, et al. A randomized trial of reduced doses of
azidothymidine in Japanese patients with human
immunodeficiency virus type 1 infection. Intern Med 1992;
31: 871-6.
2. Hammer SM, et al. A trial comparing nucleoside monotherapy
with combination therapy in HIV-infected adults with CD4 cell
counts from 200 to 500 per cubic millimeter. N Engl J Med
1996;335:1181-90.
3. Katzenstein DA, et al. The relation of virologic and
immunologic markers to clinical outcomes after nucleoside
therapy in HIV-infected adults with 200 to 500 CD4 cells per
cubic millimeter. N Engl J Med 1996;335:1091-8.
4. Delta Coordinating Committee. Delta:a randomized
double-blind controlled trial comparing combinations of
zidovudine plus didanosine or zalcitabine with zidovudine alone
in HIV-infected individuals. Lancet 1996;348: 283-91.
5. Gulick RM, et al. Treatment with indinavir, zidovudine, and
lamivudine in adults with human immunodeficiency virus
infection and prior antiretroviral therapy. N Engl J Med
1997;337: 734-9.
6. DHHS Guidelines for the use of antiretroviral agents in HIV1-infected adults and adolescents. Nov 3, 2008.
(http://www.aidsinfo.nih.gov/)
7. HIV治療研究会(代表幹事 木村哲,満屋裕明):HIV感染症
「治療の手引き」第12版,2008. (http://www.hivjp.org/)
8. Concorde Coordinating Committee. Concorde:MRC/ANRS
randomized double-blind controlled trial of immediate and
deferred zidovudine in symptom-free HIV infection. Lancet
1994;343: 871-81.
9. Finzi D, et al. Latent infection of CD4+ T cells provides a
mechanism for lifelong persistence of HIV-1, even in
patients on effective combination therapy. Nat Med 1999;
5:512-7.
10.DHHS Guidelines for the use of antiretroviral agents in HIVinfected adults and adolescents. Feb 5, 2001.
(http://www.aidsinfo.nih.gov/)
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21
ずいひつ
グローバル
ローバル・ヘルスと外交政策
客員研究員
22
武見 敬三
「国際保健」から「グローバル・ヘルス」へと名
おける問題としての深刻度が高まり,「国際保健」
称が変わりつつあることの意義は相当に大きく,
の問題から外交政策の課題として認識されるように
その意味は相当に深いものがある。感染症との闘
なったのである。興味深いことに英王立国際問題研
いは,国境を越えた人の移動の量的拡大と時間的
究所(チャタムハウス)までもが今年3月に「グロー
短縮化により,誰もが瞬時にしてグローバルな課
バル・ヘルスと外交政策」をテーマにした研究プロ
題であることを認識するようになった。自国民の
グラムを立ち上げることになった。既に,ワシント
生命を守るという主権国家にとり最高の責務は,
ンDCにある戦略問題研究所やジュネーブにある国
もはや軍事力だけに依存できなくなりつつある。
際問題高等研究所でも同様のプログラムを開始して
そして,生命に対する脅威ということであれば感
いる。
染症のみならず非感染症の脅威も確実に拡大し,
我が国は,小渕内閣の時以来「人間の安全保障」
途上国における非感染症に対する医療費の支出も
の視点から人々にとりより有意義な人生を歩むこと
5割をゆうに超えるようになっている。また,健
を可能とする大前提として健康の問題を重視してき
康の問題は,多くの生産労働人口を提供する人々
た。2000年の沖縄サミットにおける「感染症イニシ
の家計を直撃し,貧困層の増大を招き,経済活動
アティブ」,昨年洞爺湖サミットにおけるヘルス・
にも支障を生じさせることから開発問題と表裏一
システム強化を掲げた「健康に関する洞爺湖行動指
体と見なされるようになった。健康を阻害する要
針」は,その政策としての具体的な成果である。従っ
因も,単に保健医療の諸要因のみならず様々な社
て,我が国こそが「グローバル・ヘルスと外交政策」
会的要因を包含して認識するようになりつつある。
という概念を使ってはいなかったが,健康問題を現
最近は,WTOにおいて議論されてきた医薬品等の
実の外交政策の課題としてもっとも積極果敢に取り
知的所有権の問題が,途上国における保健問題と
組んできたといっても過言ではないであろう。
直結しWHOにおいても議論されることにより,深
グローバル・ヘルスを外交政策の課題として考え
刻な外交課題として認識されるようになっている。
る時に必要とされる概念は,グローバルな視点,ナ
このような健康に関する国際社会の認識が様々な
ショナルな視点とコミュニティーの視点を統合する
視点から変わり始めている過程で,「国際保健」
概念であり,コミュニティーを政策立案の基本単位
は「グローバル・ヘルス」と呼ばれるようになっ
と考える「人間の安全保障」の考え方はまさに21世
てきていることを理解しなければならない。
紀に必要とされる政策概念であろう。そして,コミュ
その結果,グローバル・ヘルスは,保健医療の
ニティーに着目することにより市民社会のNGOsと
世界にて孤立し議論しても解決することはできず,
の連携が今まで以上に外交政策上必要となる。従来
国境を越えた視点で議論するとともに健康に関連
の2国間外交,国際機関等を通じた多国間外交に加
する様々な領域との連携を必要とするクロス・セ
え,市民社会のNGOsを巻き込むネットワーク外交
クトラルなアプローチを求めるようになった。か
という3次元外交が21世紀型の外交政策の原型とな
くして健康の問題は,人の移動を媒介とする地理
るであろう。我が国も,「グローバル・ヘルスと外
的拡大(Scope)に加えて健康の社会的要因(Social
交政策」という視点でこの3次元外交を展開し,健
Determinants of Health)に着目することによる関
康問題という国境を越えた人類社会共通の課題を解
連する領域の拡大(Domain)により,国際社会に
決することに益々貢献したいものである。
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呼吸リハビリテーションの
軌跡と課題
複十字病院
工藤 翔二
院長 結核医療に始まる呼吸リハビリテーション
わが国の呼吸リハビリテーションは結核治療に
始まる。大気・安静・栄養療法しかなかった1920
∼30年代に始められた結核作業療法は,結核患者
の社会復帰の道程であった。そのころの研究に,
肺結核患者の入浴について(1923,佐々),肺結
核患者の段階的運動療法(1929,小田部),微量
血液ガス分析による結核患者のPaO2(動脈血酸素
分圧)低下(1939,吉村・山内),VC(肺活量),
・ ・
MBC(最大換気量),VE(1分間換気量),VO2(酸
素消費量)の成績(1953,古賀)等がある。やがて,
1956年“リハビリテーション”という言葉が初め
て日本結核病学会に登場した。1957年には島尾忠
男(現・結核予防会顧問)によってスウェーデン
の理学療法の教科書“Physio Therapy in Chest
Disease”(Bruce T.著)が翻訳され,「肺機能訓
練療法」として結核予防会から出版された(写真1)
。
こうして肺理学療法が北欧や米国から紹介され,
米軍の理学療法士による講習会開催や結核予防会
による映画“再起への道”(写真2)の制作(1959
年)など,青壮年の肺結核手術後の機能改善を中
心に肺理学療法の普及に力が注がれた。このよう
な時代を背景に,1963年には日本リハビリテーショ
ン医学会が発足したのである。
写真1 呼吸理学療法の嚆矢となった「肺機能訓練療法」
著者 トルステン・ブルーシェ,カロリーヌ・レウチルスヴェード,ヒルギット・ウェスティン
翻訳 島尾忠男 1957年 財団法人結核予防会発行
写真2 結核予防会による肺理学療法の映画製作 1959年
完成試写会は総裁(秩父宮妃殿下)
ご臨席のもと結核予防会
講堂で開催された
COPDを軸とした包括的呼吸リハビリテーション
とチーム医療
近年のCOPDをはじめとする慢性呼吸不全のリハ
ビリテーションは,単なる酸素療法でも理学療法
でもなく,“包括的呼吸リハビリテーション”(木
田厚瑞)とされたことに特徴がある(図1)。精
神的,特に“うつ”を対象としたサポート,患者
の自己管理能力を高める患者教育(特に禁煙指導),
息切れの緩和のみならず生命予後へのEBM(evidence
based medicine)が確立された薬物療法,呼吸筋
力を低下させる“やせ”を対象とした栄養指導,
慢性呼吸不全に対する在宅酸素療法,“息切れ”
を改善させ呼吸筋力を強化する肺理学療法,下肢
筋力を強化しQOLを改善させる運動療法,患者の
社会活動の支援など,総合的かつ包括的な内容を
含めたものである。これは,とりわけCOPDのもつ
疾患と病態の特徴に由来する。すでに日本呼吸ケア・
リハビリテーション学会(旧呼吸管理学会),日
本呼吸器学会などの関連学会によって,2冊の呼
吸リハビリテーションマニュアル(運動療法2003年,
患者教育の考え方と実践2007年)が出版され,実
践に用いられている。
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図1 包括的呼吸リハビリテーションプログラムの構成
“超高齢化・多死亡・人口減少”時代への突入と
新たな課題
わが国が“高齢・少子化”社会といわれて長い。
しかし,今日のわが国はすでにこのように表現さ
れる時代を超えて,“超高齢化・多死亡・人口減少”
社会というべき新たな時代に入っている。2008年,
国内で死亡した日本人は戦後最多の114万人と推定
され,2007年に引き続いて出生数を死亡数が上回っ
た。第二次大戦の一時期を除くと,江戸・明治以
来わが国が初めて経験する人口減少時代に確実に
突入した(図2)。今から約30年後の2037年には
こうした呼吸リハビリテーションは,生まれ落
死亡者数は170万人に達すると推定されている。こ
ちたときからチーム医療によって支えられてきた。
の多死亡現象は,すでに地域医療においては現実
古くは結核理学療法時代に,いまだ存在しなかっ
のものとなっている。東京都内の主要基幹病院に
た理学療法士に代わって看護師が“指導員”を務
おける死亡退院率は3∼4%と大きな変化はないが,
めた。わが国に在宅酸素療法が導入されると,呼
いわゆる患者の“washout”が難しい地域立脚型の
吸器科医,看護師,保健師,理学療法士,作業療
病院における死亡退院率は年々増加し,7∼9%(複
法士,精神科医,栄養士,薬剤師,医療ソーシャ
十字病院資料)と著しく高くなっている(図3)。
ルワーカーなど,多種の医療者による呼吸ケアの
専門的チーム医療が形成された。とりわけ,在宅
図3 複十字病院の年度別総退院数と死亡退院数
酸素療法の実践に当たっては,酸素供給事業者が
在宅における機器の保守・点検のみならず,在宅
患者の様々な相談の窓口となって医療者に情報を
伝える重要な役割を担ってきたことも,わが国の
特徴であろう。このように,呼吸ケア・リハビリテー
ションは過去も現在もチーム医療によって支えら
れてきたのである。
図2 日本の総人口の推移
多死亡を伴う超高齢化社会は,これからの国民
医療と呼吸ケアにどのような意味を持っているの
だろうか。図4に示すように,在宅酸素療法(HOT)
が健康保険適用となった1985年には,70歳以上の
HOT患者はHOT患者全体の35%に過ぎなかった。
しかし,1995年には約55%に増加し(両年とも厚生
労働省研究班調査),現在では70%に上っている(2005
年在宅呼吸ケア白書)。これからの呼吸ケアは,
24
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図4 在宅酸素療法患者年齢分布の推移
図5 複十字病院における呼吸器リハビリテーションセ
ンターの設立と包括的地域呼吸ケアネットワークの構築
単なる呼吸ケアに留まらず加齢に伴う様々な身体
いる(図5)。
状況を抱える患者と向き合うことになるだろう。
さらに,これからの地域における呼吸ケアに求
在宅酸素療法一つをみても,かつては軽く感じ
められている喫緊の課題は,専門施設内ないし専
た携帯用ボンベのコック切り替えも重く感じられる。
門施設が手の届く範囲を超えた,地域を包括する
物忘れや認知症も安全面から問題となろう。こう
地域呼吸ケアネットワーク形成であろう。COPDに
した技術的な課題を利便性と安全性の両面から解
関する世界的な指針である「GOLD」(global
決することが求められる。かつては,リハビリテー
initiative of chronic obstructive lung disease) の
ションの適応を超えていると避けられてきた患者も,
改訂版(2006年)では,“Translating Guideline
その割合が飛躍的に拡大するなかでは,避けるこ
Recommendations to the Context of (Primary)
となく向き合うことが求められる。COPDもその重
Care”という一章が加えられた。わが国の実情に
症度のいかんにかかわらず,加齢に伴う筋萎縮に
即して言えば,専門施設内でのチーム医療を超えた,
どのように対処するのか。第二次大戦前の肺炎死
地域医療を担う“かかりつけ医”,訪問看護ステー
亡者は年間10万人であったが,抗生物質の登場によっ
ション,そして酸素事業者も含む地域を包括する
て激減した。しかし,1975年前後を転機として再
新しいチーム医療―地域呼吸ケアネットワーク形
び増加に転じ,2005年以降再び10万人を超え,そ
成の必要性である。
の95%は高齢者である。とりわけ,高齢者におけ
今計画されている「呼吸器総合リハビリテーショ
る嚥下反射と咳反射の低下がもたらす誤嚥性肺炎
ンセンター」は,地域呼吸ケアネットワーク形成
にどのように対処するのか。超高齢化社会におけ
の推進役となることが期待されている。
る新たな呼吸ケアの課題は大きい。
今日,病院医療を中心とした“医療崩壊”の進
行のなかで,医療の供給体制は未曾有の困難に見
「呼吸器総合リハビリテーションセンター」と新し
舞われている。そのなかで,明日の呼吸ケアの新
いチーム医療−地域呼吸ケアネットワークの形成
たな方向性を定め,その実現に力を注ぎたい。
通院すら困難になる超高齢者の呼吸ケアに対して,
私たちの複十字病院では療養病床(40床)が重要
な役割を果たしてきた。そして今,呼吸リハビリテー
ションを主体とした理学療法科と訪問看護・訪問
診療を担う地域医療部を統括した「呼吸器総合リ
ハビリテーションセンター」の発足が計画されて
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禁煙外来は何をするのか?
複十字病院診療情報管理室長
医師 内山
1)はじめに
平成11年10月に当院の禁煙外来が開始されてか
ら今年で10年になります。その間に当院はもちろ
んのこと全国の禁煙外来にとって大きな節目が二
つありました。
ひとつは平成18年度の診療報酬改定でニコチン
依存症管理料が認められ,禁煙外来(開設には敷
地内禁煙などの施設基準あり)での診療が保険適
用になったことです。それまでは全額自費負担で,
当院では月に数名が新規受診する程度でしたが,
金銭的負担が軽減され,新規受診者数が6∼8倍
に増加しました。半面,保険適用前は「自費でも
禁煙したい」と考えるモチベーションの高い方が
多かったためか,50%を超えていた禁煙導入成功
率が平成18,19年度は30%台で推移しています。
2)チャンピックス獏の登場
もうひとつの節目は,平成20年5月の経口禁煙補
助剤チャンピックス獏(一般名 バレニクリン酒石
酸塩)の登場です。それ以前はニコチンパッチ(ニ
コチンを含んだ貼り薬)を中心とする,ニコチン
置換療法が禁煙外来での薬物治療の基本でした。
ニコチン置換療法とは,タバコに係る二つの依存
のうちニコチン依存に対して,喫煙以外の方法で
ニコチンを摂取し,摂取量を徐々に減らし,ニコ
チン依存から離脱する治療法です。チャンピック
ス獏もニコチン依存から離脱するための薬物ですが,
ニコチンは含んでいません。
脳内神経細胞にはα4β2アセチルコリン受容体(α
4β2AchR)と呼ばれる部位があります。α4β
2AchRにニコチンが結合すると,神経細胞から快
感物質であるドパミンが放出され,喫煙による快
感や満足感が出現すると考えられています。チャ
ンピックス 獏はα4β2AchRに結合し,ニコチンの
結合を妨害し,喫煙による快感や満足感の出現を
抑制すると同時に,チャンピックス獏自身が神経細
胞にドパミン放出(ニコチンの40%程度)させる
二重作用薬です。日本での治験時のチャンピック
ス獏による禁煙成功導入率は65.4%で,これはニコ
26
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隆司
チンパッチの成績を上回る数字です。
副作用に吐き気がありますが,コップ1杯の水(約
200ml)で内服すれば,問題になることは稀です。
先に市販された各国からの総計では約400万人の処
方に対して39人の自殺既遂が報告されていますが,
もともと禁煙そのものに自殺念慮の危険性があり,
チャンピックス獏がリスクを高めたとは考えられて
おりません。
しかし,禁煙外来にはうつ病や統合失調症を合
併した方の受診が,私の専門である呼吸器科外来
に比し多いと体感しています。今のところ,精神
科受診歴や薬剤内服歴を確認の上,精神状態が不
安定な方へのチャンピックス獏処方は当院では控え
ています。
なお,今でもニコチンパッチの禁煙補助剤とし
ての重要性に変わりはありませんが,OTC(Over
The Counter)薬となり,3社から販売され,ニコ
チネルTTS30獏を除いて医師の処方がなくても薬局
で購入が可能となりました。
3)処方だけの禁煙外来はナンセンス
誤解しないで欲しいのですが,ニコチンパッチ
もチャンピックス獏も楽に禁煙できる薬ではありま
せん。喫煙にはニコチン依存のみならず習慣依存
も関与しています。習慣依存とは何でしょうか?
「家族が嫌がるので換気扇の下で喫煙していた。
そのうちに換気扇を見ると喫煙したくなった」と
いう受診者がいました。まさしく「パブロフの犬」
です。習慣依存とは条件反射(より高次の脳レベ
ルでは「条件結合」)のことです。食事の後に一服,
コーヒーの後に一服,何とかの後に一服,と一連
の行動パターンを繰り返していると,前行動と喫
煙が連動し,前行動が引き金となり無意識に喫煙
してしまうようになるのです。日常生活を顧みて,
何が自分を喫煙に誘う引き金であるのかを知り,
そのような引き金に極力近づかないようにする,
もし食事のような避けられぬことが引き金であれば,
食事の後に自分は無意識に喫煙してしまう癖があ
ると「意識すること」が大切です。
また,喫煙者には「禁煙すると体調が悪くなる」
「喫煙しないと頭の回転が悪くなる」「禁煙する
なら死んだほうがマシ」など喫煙に対する独特の
捉え方や考え方(=認知)があります。そのような
認知の歪みを修正するのも禁煙外来の重要な役割
ですが,受診者と喫煙の是非について議論しては
いけません。受診者は禁煙したくて来るのです。
受診者が上記のような発言をしたら,それは喫煙
への未練です。どうすれば喫煙への未練を断ち切
れるのでしょうか? 確実な方法はありませんが,
私は以下のように指導しています。
喫煙者とってタバコとは,魅力的だけどタチの
悪い恋人と同じです。恋人と別れようと思うのは,
悪い思い出や先行きの不安があるためです。それ
らを聞き出し共感します。恋人と別れたくないの
は未練があるためです。その未練を聞き出し,喋
るだけ喋らせて否定せずに聞きます。未練は理論
でなく感情です。そして相手がタバコの場合はほ
とんどが幻想です。幻想であることに気づいても
らうには,「未練の実体は何か」自身の頭で考え
てもらい,自身の言葉で説明してもらいます。ほ
とんどの人は初回受診のみでは出来ませんが,そ
の後の「気づき」の切っ掛けになります。
このように自分の意志ではどうにもならないニ
コチン依存と,自分の意志でしかどうにもならな
い習慣依存に,未練や幻想などの認知の歪みが複
雑に結びついているからこそ禁煙は難しく,そこ
に禁煙外来および禁煙指導者の存在意義もあると
思います。
4)追跡調査の重要性
初回に12週間で5回の通院が前提であることを
説明し,通院を約束してもらいますが,それでも
途中で来なくなる方が結構います。そんな時は,
すかさず「本日外来予約日でしたが,お見えにな
らず心配していました」と電話します。禁煙断念
の方,予約を忘れていた方,「吸ってしまってバ
ツが悪くて・・。これから行っていいですか?」
なんて方もいました。電話1本が禁煙に結びつけ
ば安いものです。
禁煙外来には「喫煙を止めたものの割合」を社
会保険事務所へ報告する義務があります。当初は
12週間で5回の受診が前提でしたが,昨年から途
中で受診中止してもその時点で禁煙していれば「喫
煙を止めたもの」と算定されるようになりました。
たとえ喫煙を止められたとしても途中で受診中止
した場合の再喫煙率は高いのが現実です。手間は
掛かりますが,より正確な禁煙導入成功率を明ら
かにするには追跡調査が必須です。
当院では平成19年10月の受診者から全員を対象に,
初診1年後の状況(喫煙継続/禁煙継続/喫煙再開)
の追跡調査を開始しました。自分達がしてきた禁
煙指導の成果を知るためにも重要ですし,禁煙継
続している方々の喜びや感謝の声を聞けるのは禁
煙指導者冥利に尽きます。何より,「禁煙導入で
きなかった」あるいは「喫煙再開していた」とし
ても,一時は禁煙する気になった方々に,再チャ
レンジを促す機会にもなるのです。電話1本が禁
煙に結びつけば安いものです。
初診時に追跡調査の可否(希望通信手段,電話
の都合の良い曜日,悪い時間帯)を確認します。メー
ルより電話での調査が効率的です。今のところト
ラブルはなく,好意的な反応が大部分です。
5)おわりに
国内禁煙外来数は7,680施設(平成21年1月現在)
に拡大し,ニコチン依存には薬物療法,習慣依存
には行動療法,認知の歪みには認知療法と方法論
も確立されてきました。今後は担当者の更なるス
キルアップによる禁煙導入成功率の上昇と,タバ
コの不利益や禁煙外来の存在を広く社会に知って
もらい受診者を増やすことが重要です。そのため
には行政やマスコミと連携した禁煙キャンペーン
が必要ですが,マスコミ関係者にはその不規則な
勤務時間のためか喫煙者が多く「ペンは剣より強し,
されどタバコには弱し」との傾向があるように感
じます。
昨年,私も尊敬するジャーナリストが肺小細胞
がんで亡くなりました。彼が重喫煙者であったこ
とは広く知られており,番組の中で若いアナウンサー
にたしなめられるシーンを見たこともあります。
問題は,喫煙に関する彼自身の生前の言動や,大
手マスコミ各社の彼への追悼文に,彼の病気や死
と喫煙の関係を指摘し社会に警鐘をならす内容が
一つも見当らなかったことです。私も彼の死は残
念でなりませんが,社会の矛盾と不条理を指摘し
広く知らしめるのがジャーナリストの本分である
と思います。
マスコミ関係者のみならず自力禁煙が困難な皆
さん,是非一度(肺がんやCOPD等になる前に)禁
煙外来を受診されてみては如何でしょうか?
3/2009 複十字 No.326
27
健康ネットワーク通信
健康ネットワーク事業部企画課長 No.
菊地 健司
JATA健康ネットワーク事業第3回推進委員会
の開催
平成20年12月17日(木)14:00∼17:00,本部5階
会議室において,丸瀬委員長(鳥取県支部事務局長)
をはじめ各県支部・本部委員の出席のもと,第3
回推進委員会が開催されました。今回は,ネットワー
ク事業が円滑に推進するために各部会で協議され
たことを各部会長からそれぞれ報告されました。
それに先立ち,第一健康相談所岡山所長より,ネッ
トワーク事業のロードマップについて,21年度は
労働安全衛生法の項目,22年度は人間ドックの項
目を網羅したネットワーク事業体制を確立したい旨,
報告がありました。
部会報告では,まず亀ヶ谷保健指導サービス部
会長(健康ネットワーク事業部特定保健指導課長)
より,1)保健指導にかかわる課題を洗い出し優
先的に解決しなければならないものを決め,年度
内に商品開発,集団プログラムを完成する,2)
特定保健指導ツールやプログラムについては部会
で作成したアンケートを各支部に依頼し取りまと
めて精査を行う,3)メンタル企画案は渉外部会
からも依頼があり,パンフレットの原案を作成し
年度内には完成したい等の報告がありました。
大正の彩
大正ロマンの館
黒船館
続いて,中林システム・健診部会長(群馬県支
部業務部副部長)より,1)協力医療機関との連
携も視野に入れた統一データベースを作成し,各
県支部の基幹システムで統一結果が出力できる仕
組みを検討している,2)受診票は第一健康相談
所の改良版を使用する,3)各県支部で受託して
いた全国展開の事業所の健診を“ネットワーク健診”
として受託するための提案を図っていく等の報告
がありました。
最後に,原渉外部会長(熊本県支部保健指導部長)
より,1)標準健診コースと料金表を作成した,2)
各県支部への粗利益は30%以上およびネットワー
ク事務手数料は15%が限度である,3)協力医療
機関は受託状況により段階的に拡大していく,4)
新規案件等について報告がありました。
事務局からは,1)HDBの利用状況,2)活彩
の利用状況・バージョンアップ,3)健保連21年
度集合契約等について報告されました。
意見交換会では,各委員の皆様の色々なご意見
や貴重なご指摘をいただきました。ネットワーク
健診・保健指導がより充実するよう推進して参り
たいと存じますので,支部の皆様には今後ともよ
ろしくお願いいたします。
大正の音
大正の光
音のテーマ館
義山楼
本館
別館
新館
夢二の世界
オルゴールと蓄音器
和ガラス
共通券
1.三館共通券・本館
(黒船館・大正ロマンの館)
・別館
2.四館共通券・本館
(黒船館・大正ロマンの館)
・別館・新館1階のみ
大人
小人
1,680円
2,100円
1,365円
1,785円
〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町544-119 Tel.0279-72-4788 http://www.yumeji.or.jp
こちらの冊子をフロントにご提示下さい。1冊につき2名様まで上記の入館料を半額とさせて頂きます。
【平成22年3月31日まで有効】
28
3/2009 複十字 No.326
22
結核予防会支部紹介のページ
広 島 県 支 部
総合的な健康づくりと
明るい長寿社会づくり
を目指して
結核予防会広島県支部
(財)広島県健康福祉センター
常務理事兼事務局長
伊藤 隆雄
はじめに(沿革)
広島県支部は,昭和15年4月に設立され,平成2
年3月に(財)広島県成人病予防協会と統合し,こ
れに新しく明るい長寿社会づくり推進事業を加えて,
県民の総合的な健康づくりと明るい長寿社会づくり
を一体的に推進する団体として,(財)広島県健康
福祉センターが設立されました。全国的にも先駆的
な統合組織として,各種の健康診断業務や高齢者の
生きがいと健康づくり事業など広範な業務を展開し
てまいりました。
全国一斉複十字シール運動キャンペーンで
広島県地域女性団体連絡協議会の役員と当センター職員
支部外観
事業概要
当支部では,結核予防や生活習慣病予防を中心に,
子供から高齢者まで幅広く県民の健康づくりのお
手伝いを行っております。中でも主要事業の検診
事業は,22台の検診車により市町,学校,事業所
などを巡回検診し,その活動エリアは,都市部か
ら中山間地域まで県内全域にわたっています。
さらに,当センターの施設においても集団検診
や日帰り人間ドックなどを行っており,併設の予
防接種センターでは,市町で予防接種が受けられ
なかった人や海外への旅行者のための各種予防接
種事業を行っています。
また,健康づくり啓発事業としては,9月のが
ん征圧月間や結核予防週間,2月の生活習慣病予
防月間などを通じて,集客施設等での結核,肺がん,
乳がん等の無料検診をはじめ,PR活動を展開する
など検診の必要性や,健康づくりの意識啓発に努
めております。
毎年11月には,結核予防会結核研究所が実施さ
れる「DOTS拡大のための結核菌検査コースに係る
視察研修」で,国際研修生の視察研修の受け入れ
も行っています。
また,今年度は,「広島県がん対策推進計画」
の一環として広島県から委託を受け,乳がん検診
の受診率向上や読影・撮影技術の精度向上等を目
的とした事業を展開しています。
当支部の事業で2つ目の柱の「明るい長寿社会
づくり」については,高齢者が健康で生きがいを
持ちながら社会参画ができるよう,地域活動の人
づくりや啓発,普及活動をはじめとした様々な取
り組みを行っております。具体的には,地域の指
導者を養成する高齢者大学校の開校や,文化の祭
典である広島県健康福祉祭,シルバー作品展,スポー
ツ大会等を開催しています。
さらに,福祉用具の展示や,介護福祉機器や高
齢者や障害者用の居住設備のモデルルームを設置
して普及啓発を行っているほか,介護サービス従
事者の専門研修や,認知症高齢者に対する相談事
業も行っており,これら健康づくりと長寿社会づ
くりの両部門を一層連携させながら事業展開を図
ることとしております。
おわりに
内外ともに景気が大きく落ち込む中で,健康,
医療,福祉など私どもを取り巻く環境は一段と厳
しく,かつ,大きく変動しており,昨年4月にスター
トした「特定健診・特定保健指導」,12月施行の
新公益法人制度への対応,更には他機関との価格
競争等,様々な課題が山積しております。しかし
ながら,当センターの公益法人としての使命のもと,
県をはじめ市や町,医師会,大学医学部等の関係
団体のご協力をいただき,連携を図りながら,職
員一丸となり,県民の健康と福祉に関する事業の
推進に積極的に取り組んでまいります。
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平成21年度厚生労働省予算(案)
平成21年度結核感染症課予算案の概要
平成20年度 平成21年度 差
引
予 算 額 予 算 (案) 増 △ 減 額
事 項
感染症対策
千円
千円
千円
[16,358,153][22,528,896] [6,170,743]
(10,824,097) (8,984,368)
(△1,839,729)
10,777,414
8,937,649 △1,839,765
平成20年12月
(単位:千円)
主 な 内 容
<対前年度伸率
+37.7%>
<対前年度伸率
△17.0%>
<対前年度伸率
△17.1%>
[ 2,965,995 ] [ 10,804,881 ]
1 感染症の発生・拡大に備えた事前対応型行政の構築 1,922,063 → 2,008,929
・感染症対策特別促進事業費【補助金】
458,152
うち、
結核対策特別促進事業(DOTS等)
403,000
うち、
新型インフルエンザ対策事業
39,206
(協議会設置、診療従事者訓練・研修、説明会)
・新型インフルエンザ対策事業費(正しい情報の共有)
・新型インフルエンザ対策費(抗インフルエンザウイルス薬等の保管)
・病原体等管理体制整備事業
・感染症発生動向調査事業費
・麻しん排除対策推進費
2 良質かつ適切な医療の提供体制の整備
・感染症指定医療機関運営費【補助金】
・結核医療費【負担金・補助金】
[ 6,458,702 ]
[ 4,514,756 ]
( 6,458,702 ) ( 4,514,756 )
6,458,702 → 4,514,756
668,717
3,804,239
3 感染症の発生予防・防止措置の充実
・感染症予防事業費【負担金】
[ 1,086,419 ]
[ 1,108,467 ]
743,524 →
708,980
600,000
[ 3,399,822 ]
[ 3,543,283 ]
492,788 →
484,510
461,555
4 調査研究体制の強化
・結核研究所補助【補助金】
〈厚生労働科学研究費〉
・新興・再興感染症研究【補助金】
2,616,676
[ 1,254,105 ]
[ 1,308,697 ]
(
84,892 ) (
88,914 )
38,209 →
42,195
10,549
19,923
5 人材育成の充実及び国際協力の強化
・新型インフルエンザ対策事業費(診療従事者研修)
・政府開発援助結核研究所補助【補助金】
[
6 動物由来感染症対策
・動物由来感染症対策費(輸入動物届出システム更改)
7 その他
・予防接種事故救済給付費【負担金】
新型インフル
千円
千円
千円
エ ン ザ 対 策 [ 6.306,571][ 14,445,277] [ 8,138,706]
( 2,786,573)( 2,968,808) (
2,739,890
2,922,089
感染症対策の内数
182,235)
182,199
28,192
160,034
82,031
806,289
3,484
<対前年度伸率
<対前年度伸率
<対前年度伸率
88,237 ]
[
69,457 →
171,167 ]
152,836
149,116
[ 1,104,873 ]
[ 1,077,645 ]
1,052,671 → 1,025,443
1,015,682
+129.1%>
+6.5%>
+6.6%>
[ 2,591,879 ] [ 10,334,087 ]
1 医薬品の備蓄と研究開発の推進等
82,965 →
311,306
・新型インフルエンザ対策費(抗インフルエンザウイルス薬等の保管)
160,034
〈厚生労働科学研究費〉
・新興・再興感染症研究【補助金】
2,616,676
〈重要医薬品供給確保費〉
・プレパンデミックワクチン備蓄経費(1,000万人分)
6,639,000
※平成20年度1次補正予算において,抗インフルエンザウイルス薬の追加備蓄(現在の
国民の23%分から45%分を目指す)経費を計上【386億円】
[
2 地域の医療体制等の確立
・感染症指定医療機関運営費【補助金】
うち、新型インフルエンザ対策事業
(協議会設置,診療従事者訓練・研修,説明会)
・感染症指定医療機関運営費【補助金】
・新型インフルエンザ対策事業費(診療従事者研修)
852,160 ]
[
815,583 →
816,766 ]
781,287
55,152
39,206
668,717
10,549
※平成20年度1次補正予算において,新型インフルエンザ患者の入院医療を担当する医療機
関に対して,人工呼吸器,個人防護具(PPE)の整備に対する補助経費を計上
【保健衛生施設等設備整備費補助金:30億円】
30
3/2009 複十字 No.326
平成20年度 平成21年度 差
引
予 算 額 予 算 (案) 増 △ 減 額
事 項
主 な 内 容
3 国民各界各層に対する取組の要請
・新型インフルエンザ対策事業費(正しい情報の共有)
[ 8,993 ]
[
8,993 →
50,648 ]
28,978
28,192
[ 2,022,644 ]
[ 2,287,390 ]
( 1,813,534 ) ( 1,698,121 )
4 国・地方公共団体等の体制整備
・感染症予防事業費【負担金】
・感染症発生動向調査事業費【負担金】
・感染症発生動向調査システム費
・インフルエンザ薬耐性株サーベイランス事業費
5 水際対策の強化等
・動物由来感染症対策費(輸入動物届出システム更改)
6 国際協力
〈世界保健機関等拠出金〉
・感染症対策事業【拠出金】
予 防 接 種
対
策
千円
1,225,562
千円
千円
1,165,485 △ 60,077
感染症対策の内数
<対前年度伸率
1,766,851 →
1,651,402
600,000
806,289
122,468
40,986
[ 457,627 ]
[
65,498 →
588,943 ]
149,116
149,116
[ 373,268 ]
367,443 ]
[
358,803
△4.9%>
1 健康被害救済給付費【負担金】
1,042,910 → 1,015,682
(1) 一類疾病に係る救済給付費
1,007,446
(単価改正)
・医療手当
入院8日・通院3日以上
35,800円/月
入院8日・通院3日未満
33,800円/月
・障害児養育年金
1級
1,531,200円/年
2級
1,225,200円/年
・障害年金
1級
4,897,200円/年
2級
3,915,600円/年
3級
2,937,600円/年
・死亡一時金
42,800,000円 ・葬祭料
199,000円 ・介護加算
1級
839,500円/年
2級
559,700円/年
(2) 二類疾病に係る救済給付費
8,236
(単価改正)
・医療手当
入院8日・通院3日以上
35,800円/月
入院8日・通院3日未満
33,800円/月
・障害年金
1級
2,720,400円/年
2級
2,175,600円/年
・遺族年金
2,378,400円/年
・遺族一時金
7,135,200円 ・葬祭料
199,000円 2 保健福祉相談事業【補助金】
85,907 →
74,559
(1) 保健福祉相談事業
55,734
(2) 研修事業費
6,402
(3) 啓発普及事業
12,423
3 予防接種後副反応等調査事業
26,307 →
24,161
(1) 予防接種後副反応・健康状況調査
22,955
(2) 予防接種副反応検討費
1,206
4 予防接種従事者研修事業
7,017 →
6,654
5 予防接種センター機能推進事業【補助金】
39,100 →
18,340
※予防接種センター事業実施ヵ所数
・予防接種要注意者への予防接種等の実施
20ヵ所
・休日・時間外の予防接種実施
5ヵ所
6 ポリオ生ワクチン2次感染者対策費【補助金】
9,761 →
9,761
・予防接種事故救済給付費の二類疾病と同等の救済給付の実施
7 麻しん排除対策推進費
0 →
3,484
8 その他
14,560 →
12,844
(1) 予防接種調査等事業費
10,085
(2) 予防接種事故発生調査費【補助金】
2,759
※1.[ ]内の数字は厚生労働省計上分 ※2.( )内の数字は健康局計上分 ※3.
で囲んだ事項は他課計上分
3/2009 複十字 No.326
31
平成21年度厚生労働省予算(案)
平成20年12月
平成21年度予算(案)の概要〈生活習慣病対策室〉
事 項
(項)健康増進対策費
(単位:千円)
備 考
3,537,793
3,606,219
68,426
(大)健康増進対策に必要な経費
3,044,546
2,756,085
▲ 288,461
生活習慣病等予防対策事業費
2,692,530
2,406,061
▲ 286,469
(目)疾病予防対策事業費等補助金
2,692,530
2,406,061
▲ 286,469
疾病予防事業費等補助金
2,692,530
2,406,061
▲ 286,469
健康増進事業費補助金
2,430,726
2,257,331
▲ 173,395
補助先:都道府県等 146,439
148,730
2,291
補助先:都道府県等 45,540
53,510
7,970
100,899
95,220
▲ 5,679
15,465
0
▲ 15,465
健康的な生活習慣づくり重点化事業
たばこ対策促進事業費
メタボリックシンドローム予防戦略事業
骨粗鬆症啓発普及等事業費
女性のがん検診に関する普及啓発推進事業費
99,900
0
▲ 99,900
地域健康づくり推進対策費
226,735
224,399
▲ 2,336
(目)国民健康づくり運動推進事業費補助金
226,735
224,399
▲ 2,336
地域健康づくり推進対策費補助金
46,731
35,142
▲ 11,589
健康日本21推進事業費
46,731
35,142
▲ 11,589
婦人の健康づくり推進等事業費
180,004
189,257
9,253
食生活改善地区組織活動強化費
180,004
189,257
9,253
国民健康・栄養調査委託費
125,281
125,625
344
(目)国民健康・栄養調査委託費
125,281
125,625
344
(大)健康増進に必要な経費
493,247
850,134
356,887
健康増進行政経費
3,161
3,165
4
健康栄養対策費
3,161
3,165
4
442,203
800,734
358,531
5,012
5,012
0
321,641
686,699
365,058
60,415
457,868
397,453
6,281
6,779
498
健康日本21推進費
14,486
14,270
▲ 216
健やか生活習慣国民運動推進事業費
39,454
90,000
50,546
生活習慣病予防対策海外実態調査費
194
499
305
0
346,320
346,320
栄養対策総合推進費
73,838
64,632
▲ 9,206
食事摂取基準策定費
21,918
19,335
▲ 2,583
5,989
5,044
▲ 945
国民健康・栄養調査経費
13,126
13,127
1
保健指導・食育活動拠点整備事業費
32,805
27,126
▲ 5,679
たばこ・アルコール対策推進費
11,199
9,680
▲ 1,519
3,623
6,593
2,970
糖尿病等の生活習慣病対策推進費
172,566
147,926
▲ 24,640
健康増進総合支援システム事業費
115,550
109,023
▲ 6,527
47,883
46,235
▲ 1,648
健康増進情報化経費
循環器病診療施設情報ネットワーク事業費
生活習慣病対策推進費
生活習慣病予防対策推進費
生活習慣病予防対策費
女性の健康支援対策事業委託費
栄養・食生活改善支援対策費
脳卒中等対策推進費
医師等国家試験費
管理栄養士国家試験費
(項)国際機関活動推進費
32
平成20年度 平成21年度 差
引
予 算 額 予 算 (案) 増 △ 減 額
(A)
(B)
( B )−( A)
47,883
46,235
▲ 1,648
99,565
90,754
▲ 8,811
(大)国際分担金等の支払に必要な経費
99,565
90,754
▲ 8,811
国際会議等経費
99,565
90,754
▲ 8,811
国際分担金
99,565
90,754
▲ 8,811
(目)国際がん研究機関等分担金
99,565
90,754
▲ 8,811
たばこ規制枠組条約締約国会議事務局分担金
99,565
90,754
▲ 8,811
3/2009 複十字 No.326
補助先:
(財)健康・体力づくり事業財団
補助先:
(財)日本食生活協会
委託先:地方公共団体
委託先:地方公共団体
委託先:
(社)日本栄養士会
(単位:千円)
平成20年度 平成21年度 差
引
予
算
額 予 算 (案) 増 △ 減 額
(A)
(B)
( B )−( A )
事 項
備 考
(項)保健衛生施設等施設整備費
(大)保健衛生施設等施設整備に必要な経費
保健衛生施設等施設整備費補助
(メニュー)
(目)保健衛生施設等施設整備費補助金
計
−
−
−
3,637,358
3,696,973
59,615
農村検診センターの整備
(単位:千円)
平成20年度 平成21年度 差
引
予
算
額 予 算 (案) 増 △ 減 額
(A)
(B)
( B )−( A )
事 項
備 考
<厚生科学課計上分>
(項)厚生労働科学研究費
(目)厚生労働科学研究費補助金
循環器疾患等生活習慣病対策総合研究経費
2,310,276
2,020,800
循環器疾患等生活習慣病対策総合研究経費
1,396,824
1,221,530
▲ 175,294
913,452
799,270
▲ 114,182
2,310,276
2,020,800
▲ 289,476
糖尿病戦略等研究経費
計
▲ 289,476
平成21年度がん対策関係予算案の概要
項
目
・
事
業
名
がん対策の総合的かつ計画的な推進
1.放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成
国立がんセンター研修経費
(単位:千円)
平成20年度 平成21年度 対 前 年 度
予 算 額 予 算 案 増 △ 減 額
23,571,748
23,679,896
108,148
5,413,786
6,143,971
730,185
△ 1,815
61,326
59,511
がん専門医等育成促進検討会
589
437
△ 152
がん医療指導者養成研修事業
60,737
59,074
△ 1,663
がん診療連携拠点病院機能強化事業
3,055,000
5,406,000
2,351,000
がんに係る放射線治療機器緊急整備事業
1,960,000
0
△ 1,960,000
新がん専門医臨床研修モデル事業
0
383,520
383,520
日米欧三極治験相談推進事業費
11,431
12,018
587
日中韓治験調査対策事業費
32,588
0
△ 32,588
コンパッショネート・ユース検討費
治験実施状況調査事業費
9,627
9,617
△ 10
21,562
11,399
△ 10,163
ファーマコゲノミクス等利用医薬品臨床評価推進費
6,819
6,900
81
医薬品等審査情報収集調査費(国内未承認薬海外承認情報収集調査費)
2,495
2,485
△ 10
がん医療水準均てん化の推進に向けた看護職員資質向上対策
138,113
137,686
△ 427
専門薬剤師研修事業
114,825
114,835
10
2.治療の初期段階からの緩和ケアの実施
651,651
695,961
44,310
(1)治療の初期段階からの緩和ケア及び専門的な緩和ケアの推進
454,614
561,457
106,843
インターネットを活用した専門医の育成等事業
101,346
101,330
△ 16
がん対策推進特別事業(緩和ケア部分)
141,235
0
△ 141,235
249,077
新 都道府県がん対策重点推進事業(緩和ケア部分)
0
249,077
141,250
147,700
6,450
がん医療に携わる医師に対するコミュニケーション技術研修事業
32,048
31,192
△ 856
がん患者に対するリハビリテーションに関する研修事業
15,123
14,670
△ 453
医療用麻薬適正使用推進事業
23,612
17,488
△ 6,124
197,037
134,504
△ 62,533
84,651
55,810
△ 28,841
112,386
78,694
△ 33,692
がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業
(2)在宅療養・緩和ケアの充実
在宅ターミナルケア研修等経費
在宅緩和ケア対策推進事業
3.がん登録の推進
国立がんセンター経費
31,564
30,654
△ 910
31,564
30,654
△ 910
院内がん登録促進事業
14,791
14,806
15
がん登録調査・精度管理指導事業
16,773
15,848
△ 925
3/2009 複十字 No.326
33
平成21年度厚生労働省予算(案)
項
目
・
事
業
名
4.がん予防・早期発見の推進
4,357,655
5,234,603
876,948
(1)がんの予防
2,523,615
2,823,960
300,345
169,261
168,288
△ 973
5,989
5,044
△ 945
△ 1,519
がん総合推進事業
生活習慣病対策推進費(栄養・食生活改善支援対策費)
生活習慣病対策推進費(たばこ・アルコール対策推進費)
11,199
9,680
健康的な生活習慣づくり重点化事業(たばこ対策促進事業)
45,540
53,510
7,970
115,550
109,023
△ 6,527
健康増進総合支援システム事業費
国立がんセンターがん予防・検診研究センター経費
肝炎等克服緊急対策研究費
肝炎対策費・肝炎ウイルスに関する相談事業等委託費
(2)がんの早期発見
がん検診精度管理評価事業
549,661
618,003
68,342
1,602,314
1,839,375
237,061
24,101
21,037
△ 3,064
1,834,040
2,410,643
576,603
12,722
7,173
△ 5,549
新 がん検診受診促進企業連携委託事業
0
278,660
278,660
新 がん検診受診率向上企業連携推進事業
0
90,825
90,825
57,603
0
△ 57,603
0
346,320
346,320
がん検診実施体制強化モデル事業
新 女性の健康支援対策事業委託費
女性のがん検診に関する普及啓発推進事業
99,900
0
△ 99,900
マンモグラフィ検診従事者研修事業
156,540
156,540
0
乳がん用マンモコイル緊急整備事業
866,250
866,250
0
マンモグラフィ遠隔診断支援モデル事業
286,650
0
△ 286,650
マンモグラフィ検診精度向上事業(メニュー)
354,375
354,375
0
0
310,500
310,500
1,750,733
1,872,606
121,873
がん相談支援推進事業
15,396
15,138
△ 258
第3次対がん10か年総合戦略経費(がん相談事業)
36,351
36,351
0
がん対策情報センター経費
1,698,986
1,821,117
122,131
一般会計分
1,376,366
1,486,322
109,956
特別会計分
322,620
334,795
12,175
労働災害防止対策費補助金(デジタル機能搭載レントゲン検診車の整備補助)
5.がん医療に関する相談支援及び情報提供
6.がん医療水準均てん化の促進
2,224,158
1,067,063
△ 1,157,095
がん診療施設情報ネットワーク事業(委託費・メニュー含む)
312,392
312,392
0
がん診療連携拠点病院遠隔画像診断支援事業
504,000
0
△ 504,000
62,603
62,595
△8
国立がんセンター経費
1,398
1,153
△ 245
全国がん診療連携拠点病院連絡協議会等経費(診療指導含む)
1,398
1,153
△ 245
1,343,765
0
△ 1,343,765
0
690,923
690,923
9,137,093
8,623,331
△ 513,762
6,486,679
5,834,769
△ 651,910
843
0
△ 843
0
46,034
46,034
国立がんセンター東病院通院治療部経費
がん対策推進特別事業(緩和ケア研修を除く)
新 都道府県がん対策重点推進事業(緩和ケア研修を除く)
7.がんに関する研究の推進
第3次対がん総合戦略研究経費
第3次対がん総合戦略企画運営会議経費
新 肝炎研究基盤整備事業
新 地球規模保健課題推進研究経費
がん研究助成金
国立がんセンター腫瘍ゲノム解析・情報研究部経費
国立がんセンター臨床開発センター経費
研究費配分機能移管関係事務費
0
229,786
229,786
1,803,750
1,903,750
100,000
57,653
57,614
△ 39
729,067
492,845
△ 236,222
3,421
3,421
0
55,680
55,112
△ 568
5,108
11,707
6,599
がん対策推進費
2,421
8,778
6,357
がん対策推進協議会経費
2,687
2,929
242
培養生物資源保存管理基盤整備費・疾患遺伝子解析用DNAバンク事業費
8.がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な経費
34
平成20年度 平成21年度 対 前 年 度
予 算 額 予 算 案 増 △ 減 額
3/2009 複十字 No.326
ストップ結核パートナーシップ関連行事
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟の総会が開催された
2009年1月20日,衆議院第1議員会館第3会議室において,
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟の総会(津島
雄二会長)が,開催された。
本総会には,国会議員,外務省,厚生労働省,結核予防会,
日本医師会,日本リザルツ,ストップ結核パートナーシッ
プ日本らが参加した。その中で,ストップ結核ジャパンア
クションプラン,結核の予算について,結核医療費,病棟・
病室のあり方について報告・討議され,さらに,年越し派
遣村で結核患者が発見されたニュースなどを取り上げ,早
急な対策を求められる結核の課題について話し合われた。
あいさつする浜四津副会長(右),
2月6日にも衆議院議員会館特別会議室で総会が開催され,
浜田事務局長(中央)と橋本事務局次長(左)
津島ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟会長の挨
拶の後,世界基金と,ザンビアとフィリピン結核対策プロジェクトについて発表が行われた。進行は,浜田
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟事務局長が務め,活発な意見交換が行われた。
予防会だより
●平成20年度結核予防会全国支部事務局長
研修会並びに全国支部事務連絡会議
2月27日(金),学士会館(東京都千代田区)に
おいて80名の参加を得て標記会議が開催された。
プログラム
13:00∼13:05 挨拶
財団法人結核予防会理事長 仲村 英一
13:05∼16:05 事務局長研修会
(1)講演1 公益認定と新制度への移行手続
き等について
公益認定等事務局大臣官房新公益法人行
政準備室企画調査官 小八木 大成
(2)講演2 新たな公益法人関係税制について
国税庁課税部法人課税課課長補佐
森 文人
(3)特定健診・特定保健指導の課題と展望
(事例報告と総括)
司会 結核予防会第一健康相談所所長
岡山 明
1)特定健診の事例報告
ア.兵庫県支部健診事業部次長
足立 博文
イ.熊本県支部保健指導部長
原 耕介
多額のご寄付をくださった方々
<指定寄付等>(敬称略)
峯島鋭司,瓜生いみ子(複十字病院),島尾忠男,世界
文化社(本部),奥原喜三郎(新山手病院)
<複十字シール募金>(敬称略)
新潟県−新潟県栄養士会,小出耳鼻咽喉科,森平医院,
小川税理士事務所,小飯塚医院,準和会富樫孝一,川崎
16:20∼17:15 事務連絡会議
(1) 報告 ア.国内の結核状況について
(2)協議
ア.平成21年度 普及事業計画(案)
イ.平成21年度 国際協力事業計画(案)
ウ.平成21年度 複十字シール運動実施計
画(案)
エ.平成21年度 出版事業計画(案)
オ.「COPD事業」について
カ.平成21年度 JATA健康ネットワー
ク事業計画(案)
(3)連絡事項
ア.「第60回(70周年)結核予防全国大会」
について
イ.「結核研究所研修実施計画」につい
て
ウ.「病院賠償責任保険」,「個人情報漏
えい保険」について
(4)そ の 他
17:30∼ 意見交換会
製作所,T−ICE,新潟県民共済,堀井欣一
愛知県−アケボノ葬儀社,ツカサ工業,ニューギン,横
井機械工作所,ワイクリード,矢田工業所,スミヤ,大
西鉄工所,光岡朗公認会計士事務所,昭和電子,全国書
籍出版,増田三郎税理士事務所,田中道義税理士事務所,
睦産業,伊藤雅夫,東海サンユーテクノス,健幸会佐野
胃腸科外科,秋田病院理事長加藤知里,国府病院,福井
内科,加藤医院,セントラル内科,伊藤内科,ごきそ皮
フ科クリニック,わたなべ内科クリニック,水谷医院,
ゆとりす,中野循環器内科,朝宮加藤医院,梅田アンド
アソシエイツ・小牧スマイルクリニック,山本医院,柳
瀬医院,はら医院,はしもと耳鼻咽喉科,白鳥整形外科,
秋田病院副理事長宇塚恵子,岡田内科,深見胃腸科,中
尾美由紀,近田研,洪淳道,垣内法律事務所,杉浦皓,
加藤壽太郎
岡山県−石井英徳,岡協商事,加原雅教,川崎医学振興
財団,木村内科医院,三栄鉄工,長田医院,進藤内科医
院,水中開発,高谷,田中商会,千々木染料工業,中山
3/2009 複十字 No.326
35
切手解説
今回は,結核で亡くなったポーランドの作曲家,ショパンを取り上げます。
フレデリック・フランソワ・ショパン (Frederic Francois Chopin, ポーランド名フリデリク・フランツィシェ
ク・ショペン Fryderyk Franciszek Szopen, 1810年−1849年)はポーランドの音楽家です。ヨーロッパにおいて作曲
家として,またピアニストとして有名です。彼は1938年に肺結核と診断され,愛人のジョルジュ・サンドの献身的
な看護で,数多くの作品を発表することができました。
①ポーランドで作られた切手ですが,肖像の横にグランドピアノのイラストが掲載されています。
②フランスの切手ですが,写真で見るショパンは,髪型が左分けですが,このイラストでは右分けに見えます。
③こちらの切手には,肖像の後ろに,ショパンの手書きの譜面が入っています。上に№12という文字が確認でき
ます。練習曲ハ短調作品10-12(Etude Op.10, No.12)と思われます。『革命のエチュード』として知られている
曲です。
④最後の切手は,右側にショパンのサインがデザインされています。ポーランドで開かれたショパンピアノコン
クールを記念して作られました。
ポーランドには,至るところで,ショパンをモチーフにした銅像が建っているようです。今も,多くの人に愛さ
れている偉大な音楽家です。
医院,備前発条,丸五,医療法人平允会,山成医院,山
本医院
本部−助川唯一,市村俊夫,住吉恵枝子,吉田元亮,佐々
木千晶,中村教子,グランドスラム,桑野茂,佐々木萬
晋,櫻井通夫,谷信洋,成沢茂,飯塚十四正,永井洋子,
永野通代,田澤幸子,坂田稔,荒木健,藪木多加志,上
野ネ喜男,矢代順一郎,黒井朝久,佐藤道江,木下徳明,
有村竹造,来住文男,福井基悦,天野繁白,乙黒敬明,
福田信子,須藤八重子,岩井化学薬品,日本メガケア,
古谷伸太郎,天野進,卯西昭信,上廣榮治,大坪嘉,佐
瀬くらら,篠崎貞雄,菅谷有槻子,田邉國夫,タカハシ
マサタカ,立澤寧,永野志朗,永山喜緑,近喰ふじ子,
山元春三,フランシスコ・ヴィラ,須知雅史,澁谷功,
アルトシステム,日本システムクリエイト,いすゞシス
テムサービス,ヤヒロヨリオ,クノキアキタカ,オグラ
ツネオ,スガサワラミチオ,福田敏朗,ナルモミチコ,
センゴクカツ,セキグチケイコ,コバヤシマサオ,スナ
ヤマタダシ,ササキミキオ,カワグチハルオ,タケシタ
トオル,オダマサル,鈴木眞,オカダヒロキチ,バンバ
タカシ,センガツネヒロ,スズキスギコ,ミノグチヨシ
エ,ヒライワユキコ,河津秋敏,高柳次江,オオタヨシ
コ,杉原健,アイザワヤスコ,アロエベラエンタープラ
イズ,ヨシムラシゲハナ,タケイシゲオ,芹沢実,甲田
正孝,セキグチシズオ,コウダエツコ,ヤマザキミネコ,
マルヤマテツオ,サトウクニオ,大澤敬,村上常太郎,
稲葉定雄,金子敏子,石尾知佐子,堀川春男,イシイケ
ンジ,アサダタケオ,牛尾正孝,イマイヒトシ,シラク
ラテツヤ,表良吉,タムラユウコ,辰巳共立診療所,遠
藤元繁,齋藤みどり,山口洋子,伴良雄,新美容出版,
トーオン,昭和理化,日冠,松島直美,丸善百泉商店,
日本サービスセンター,武蔵野葬儀社,ガモウ,成美堂
出版,サンワ,都政新報社,三共社,エスディーヴィー
ジャパン,全互連冠婚葬祭中央協同組合,浅井商事,上
今コーポレーション,西谷印刷,防衛通信社,信山社出
版,国際貿易,レビオナ化粧品,ベルセレージュ,三谷
省造,北斗通商,シグマ,稲田産商,ウエルズ,桜電社,
佐藤型枠工業,長南工務店,吉田工業,大栄製版,KY
T,品川合同葬祭,関口商事,エル・エッチ陽光出版,
西都興業,セゾン・アート,日本エス・エス・エム,岩
崎硝子,ダイニ,レッスンの友社,広進,世界心道教東
京教務庁落合朋子,静勝寺,常泉院,尚徳寺,金蔵院,
金地院,簑島秀道,円明寺,松林院華厳院,長専院,水
天宮,富岡八幡宮,御岳大教大滝協会,延命寺,正行寺,
曹源寺,長安寺,本門佛立宗立正寺,万福寺,聞明寺,
東京航空クリーニング,宮城島歯科,あかし歯科医院,
北村歯科クリニック,小野歯科医院,小澤歯科,原歯科
クリニック,真如苑,安養寺,總持寺,桐田真能,梅井
秀明,東禅寺,蓮花寺,桂福寺,梅洞寺,鎌倉順子,梅
村典裕,植松和夫,永田容子,田森芳子,鶴田宏,佐々
木日出子,小山泉,愛恵会乳児院,御手洗聡,闍木タカ
子,松岡秀枝,毛利ゆき子,金森有美,桜井美国,高木
平成21年3月15日 発行
複十字 2009年326号
編集兼発行人 山下 武子
発行所 財団法人結核予防会
〒101- 0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 日本印刷株式会社
東京都千代田区外神田6-3-3
電話 03
(3833)6971
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
勇,タカタショウイチ,フクダキヨコ,イシガキヒサシ,
オーヤラックス,宮本一郎,寺岡静治,ナカヤマカツタ
ロウ,丸山輝久,栗林秀造,古屋文男,笠井俊彦,クリ
ニカル南台,黒須医院,篠原医院,田村直彦,はんだこ
どもクリニック,大田区保健所健康推進課,三田守久,
森田健史,田川美登子,複十字病院委託売店,阿部知子,
林あき子,荒武典子,国分智英美,丸山紀久子,オリエ
ンタルバザー,アートライフクリエイト,アーネスト,
アイテック計画,アクシス,厚木玄林堂,アド・エンジ
ニアーズ・オブ・トーキョー,アムハード小西,石井電
工,岩佐機械工業,岩崎倉庫,エキープ・エスパス,エ
ス・ケイインターナショナル,エルタ,大久保,奥野設
計,小倉工芸,お世話や,小野金物,オフィス・に・ま
る・いち,カネモク工業,亀戸ゴム工業,學風会,共進
エキスプレス,共伸毛織,宏栄社,興隆,栄香料,三栄
建設,サンエス建設,サン・デン,三電舎,サントレィ
ド,三友エステート,サンレモン,社会保険統計調査会,
昭和商事,しんきん情報サービス,新宿西口会館,新和
設備,ジェイティービーモチベーションズ,鈴居製作所,
スバック,創通,台東サービス,太洋化学工業,太陽油
化,高蔵建設,タカムラ,竹下商会竹下勇,立石フィル
ター,大信梱包システム,ダイヤモンド・ピーアール・
センター,千葉金属工業,中央工設,ツナシマ商事,テ
レコム通信工業,電子機械サービス,電子制御国際,トー
メンホットライン,トコヨダ,特金工業,トヨフク,ト
ライターム,土井興業,中川船舶,納谷テキスタイル,
日香プロモーション,日清化工,日新化熱工業,野沢園,
ビーエム,ファイン,フェニックスインターナショナル,
深田キディ,富士キメラ総研,中島達晃,ぷらかい,ヘ
キサード,保健教育センター,槙コンサルタントオフィ
ス,牧野電設工業,益田商事,マルマサ,マルミ光機,
三元建設,ミヤコ化学,妙義工商,森村設計,八千代ハ
ウジング,山金属,山電,ユーキャン,ユーリーム,ユ
ナイテッドシステム,ユニバーサルウィング,ワッツ,
高瀬淳,近藤直子,小野崎郁史,小林賢治,中山照子,
蓑田祐三,高橋真千子,伊藤公子,田近秀敏,杉本利恵
子,田中慶司,龍野晋次,千疋屋ギャラリー,堀井至孝,
菅原道哉,日鼻医院,藤田医院藤田禮造,松本英男,宮
村正廣,田中英樹,アイザス,アイ・シー・シー,飯塚
製作所,岩崎緑化,エム・イー,遠藤建設,オークエン
ジニアリング,大宮紙器印刷,金井猛,金子運送,カン
百
ゲン,神田製作所,銀座 月堂,三生電子,CPリンク
ス,シテイーホーム,千徳,竹屋塗料,谷沢製作所,チ
ネン電機工業,角田商店,テクノコミュニケーションズ,
東京砧花き園芸市場,東京鋼材商事,東京電器研究所,
東京ベイレストラン,徳力建設工業,童夢,ニットーリ
サーチ,日本ソルトサービス,日本トジックス,日本リー
ズン,野村事務所,ハウセット,ビーエスエム,ビーン
ズ・ワークス,ビルウェア二十一,ふうらい,福井精機,
富士見興業,ペエックス,細谷車体工業,ポパイ食品工
業,牧丘興業,マムハウスマーケティング,源産業,メ
ディカル・ジヤーナル社,メディック投資顧問,せたが
屋,両国玩具,レグラス,ロマーノ,アール・アイ・エー,
エー・アオキアンドアソシエーツ,岡部バルブ工業,開
真産業,川昌エスエス献材林業オフィスビルディング,
広友リース,三幸エステート,シノダ,昭和女子大学中
高部保健部山中,ゼッタテクノロジー,総合会,太陽企
画,千代田・清瀬営業所,東京圏駅ビル開発,東京通建,
東京文化学園,日正海運,日本調剤,濱屋ガラス,福陽
会,富士精密,藤村学園,ホープス,武蔵エンジニアリ
ング,ユタカ,和親交通,田平至,山本美佐子,金子洋,
島尾忠男,渡辺治夫,闍雄伊左,速見民子,佐藤久五,
あいおい損害保険,鈴木都美,あいおい損害保険・ゆに
ぞん募金,平岡眼科医院,熊谷弘美,大西幸造,川手円
教,林智子,橋本達一郎,永田奈美,日本紙通商,明文
図書,エコ企画,マイクロボード・テクノロジー,ギャ
ルドユウ・エス・ピイ,山内キヨ子,BUILD,和田工業,
村井金属,恵楽,ドウノ機工,プライムマリッジ,ニッ
ポンインダストリーズ,アン・ギャラリー,フォレスト
出版,ゼベックスインターナショナル,森川金属,A‘Z
UMA,アストロ,スチールエンジ,西川,神和産業,
北澤商事,JMA・アソシエイツ,オーモリ,ハーベス
ト・フューチャーズ,日本美容機,エスイーランド,メ
ディックス,橋本佳奈,日本ウオーキング協会,笠原三
枝子,佐野美南子,西向敦,萩谷淑子,桜井節子,伊戸
明博,下佛健亮,保木本正樹,小林宏美,日本公文教育
研究会,北里リヨ子,信陽堂,山本秩永美,小田正明,
アサヒ書店,吉田三千代,近藤恵子,堀川繁雄,木村正
勝,佐藤吉信,堺市北区健康のつどい実行委員会,村田
利栄,岡山県愛育委員連合会会長藤本貴子,日本べーリ
ンガーインゲルハイム,富山第一高等学校,河手玲子,
井澤愛,群桐産業代表取締役山口茂,神鳥満子,岡田耕
輔,角幸男,江津匡士,聖翔会山口康弘,白石幸生,杉
田稔,島崎佐智代,北島弘美,闍橋守,深川市保健推進
員会会長今城政江,高橋雅江,石油連盟総務・青山,北
村佶正商店,神尾記念病院,日本CMO,ワールド・アー
ト,川口豊,グランド・キヤニオン,第一弘報社,バベ
ル,ヒューマンライフサービス,サクマコーポレーショ
ン,愛和,アプト会計事務所,荒井商店,クリナップテ
クノサービス,ナプラ,サノフィパスツール第一ワクチ
ン,小島運送,中彦運送,南雲商事,ウエスト,ウエス
トジップ,ニドインダストリアルデザイン事務所,エイ・
エフ・ピー,中村診療所,冨士計測器製作所,山手エン
ジニヤリング,日進電子工業,帝京中学・高等学校,登
豊商事,七和精機製作所,三和精機工業所,大里興業,
佑樹会,武美会,日本ユニバーサル薬品,協和エンジニ
アリング,ティーピーアイ,加藤商運,高岡工事,ウカ
イ商事,木村産業,デンキョウ,ネイチャーラボ,デー・
ピー・ヒライ,山田八興堂,パブリシティ・アドベンチャー
ズ,アクティトライファミリー,小野寺事務所,深代会
計事務所,日香リソーセス,叡宥会,ユニロック,柿木
会
本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会
平成20年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病
気をなくすため100年近く続いている世界共通の
募金活動です。複十字シールを通じて集められた
益金は,研究,健診,普及活動,国際協力事業な
どの推進に大きく役立っています。皆様のあたた
かいご協力を,心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
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3/2009 複十字 No.326
平成21年度複十字シール図案
第六十回結核予防全国大会を迎えて
切手にみる結核 M●essage
安野光雅氏の楽しい世界 第8回
9.結核に悩んだ音楽家(ショパン)
岡西雅子様から貴重な切手のご紹介は9回目と
なり,ショパンをご紹介します。
第六十回の記念すべき結核予防全国大会が,天皇
皇后両陛下をはじめ結核予防会総裁秋篠宮妃殿下の
御臨席を仰ぎ,ここ首都東京において盛大に開催さ
れることは誠に光栄であり,喜ばしいことと存じま
す。都民を代表して各地からお集まりの皆様を心か
ら歓迎いたします。
さて,かつて人類は有史以来,コレラやペスト,
天然痘など未知の感染症の脅威にさらされてきまし
たが,弛まぬ努力と英知で乗り越えてきました。
とりわけ結核は,日本では国民病とまで言われた
①ポーランド・1955年
②フランス・1956年
こともある感染症の代表例ですが,医学・医療の進
歩や公衆衛生対策の向上により,現在では適切な治
療を受ければ完治できる病気となりました。
しかしながら,結核は,過去の病気ではありませ
ん。
世界的にも日本は「中蔓延国」と評価をされてお
り,多剤耐性結核やHIV感染症との二重感染など
新たな課題も出現してきています。
こうした課題に対応していくためには,今回ご参
③ポーランド・1962年
④ポーランド・1975年
加された皆様一人ひとりが「結核のない世界」を目
*切手の下には,発行地域と発行年を記載しています
東京都知事
手品のじかん
平成21年度複十字シールも昨年に引き続き,
画家の安野光雅氏に図案製作を依頼いたしまし
た。作品は,ピエロや動物たちが寄り添い,一
緒にマジックをする姿が色鮮やかに,優しいタッ
指して,行政と民間との枠を超えて取り組んでいく
チで描かれております。今にもシールの世界か
必要があります。
ら飛び出し,私たちを驚きと興奮で包み込んで
東京都としては,現代型・都市型の結核に焦点を
くれるような楽しさに満ち溢れています。
あて,保健所や区市町村とともに医療関係者の皆様
サイズは,大型シール(24面)・小型シール
と連携しながら,今後とも予防対策を進めてまいり
(6面)ともにのり付きのタックシールになり
ます。
ます。今年もこの図案が複十字シールとなり,
本大会を契機として関係者間相互の交流が進み,
多くの方々のお手元に届きますように。皆様方
全国的な結核予防対策を一層促進することができれ
の健康と幸せを祈って。
ば,主催者の一人として幸いに存じます。
事業部資金課
結びに,第六十回結核予防全国大会の開催にあた
りご支援いただいた厚生労働省はじめ関係機関の皆
様に厚く御礼申し上げるとともに,本大会の成功と
ご参加の皆様のご健勝ご活躍をお祈りいたします。
(原画)
Contents
■メッセージ 第六十回結核予防全国大会を迎えて
石原 慎太郎……1
創立70周年記念第60回結核予防全国大会に向けて
青木 正和……2
■結核予防全国大会
●第60回結核予防全国大会支部長会議
……2
●研鑽集会セッションⅠ
テーマ:結核のない世界−罹患率100万対1をめざして
小林 典子……4
研鑽集会セッションⅡ
テーマ:パートナーシップ !!
永田 容子……4
●秩父宮妃記念結核予防功労賞第12回受賞者
……5
■ストップ結核パートナーシップ日本だより№5
ストップ結核パートナーシップ日本と結核予防会の役割 金子 洋……9
■シリーズDOTS 荒川区保健所における服薬支援(DOTS)事
業の取り組み
堀 裕美子……10
■世界結核デーのテーマ解説 I am Stopping TB
……12
■平成21年度マンモグラフィ講習会の開催案内 星野 豊……13
■平成20年度フィルム評価会に参加して
秋山 洋一……14
■第30回(平成20年度)事務職員セミナー報告
結核予防会職員としての誇りを胸に
中村 友紀……15
■女性が結核対策にどう貢献できる?
タイ国チェンライ地方ワークショップに参加して
堀井 直子……16
■Stop TB partnership調整理事会
加藤 誠也……17
■世界基金理事会オブザーバー参加報告
杉山 達朗……・17
■ザンビアJAZ‐ACTIVEプロジェクトの紹介 カエベタ 亜矢……18
ミャンマーにおけるサイクロン被害と義援金
岡田 耕輔……19
■エイズ 抗HIV療法の進歩と課題
木村 哲……20
■ずいひつ グローバル・ヘルスと外交政策 武見 敬三……22
■呼吸リハビリテーションの軌跡と課題
工藤 翔二……23
■たばこ 禁煙外来は何をするのか?
内山 隆司……26
■健康ネットワーク通信№22
菊地 健司……28
■竹久夢二伊香保記念館 大正ロマンの森 優待券 ……28
■結核予防会支部紹介の頁 広島県支部
伊藤 隆雄……29
■平成21年度厚生労働省予算案(結核感染症課・生活習慣病対策室
・がん対策推進室)
……30
■ストップ結核パートナーシップ関連行事
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟の総会が開催された
……35
▽予防会だより
……35
●切手に見る結核 9.結核に悩んだ音楽家(ショパン)
……36
〔表紙〕第60回結核予防全国大会ポスターより
竹久夢二伊香保記念館所蔵のポスターです。28pには
この記念館のご優待券がついております。皆様お誘い合
わせの上,お出かけください。
〔カット〕佐藤奈津江
3/2009 複十字 No.326
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