翻訳に Google 検索を活用する

翻訳に Google 検索を活用する
Gmail、Google Calendar、Google Maps、Google Earth、Google Video など、様々なサービスを次々に公
開している Google ですが、ご存じのとおり、同社のサービスは検索エンジンからスタートしています。日頃この検
索エンジンを使われる方も多いのではないでしょうか。翻訳では、不明な用語があったり、原文の意味が分から
なかったりすると、この Google 検索を利用することがあります。今回は、翻訳で使用される Google 検索の方法を
ご紹介します。
検索方法 1:フレーズ検索する
この検索方法はご存じの方も多いと思います。半角の二重引用符(”)で語句全体を囲むことにより、ひとまとまり
のフレーズとして検索します。例えば、「air interface」という英語が出てきたとして、Web 上で使用されているこ
の用語の日本語訳を探す場合、Google 検索で次のように入力します。
”air interface”
検索結果では、辞典らしきサイトのページが表示され、すぐに次のような参考情報が得られます。
■エア・インタフェース
【意味】移動通信システムの移動局と基地局の間の無線区間のインタフェースのこと。無線インタフェース
ともいう。
この検索結果から、「air interface」の意味が分かり、「エアインタフェース」と「無線インタフェース」という 2 つの
訳語の候補が見つかりました。
検索方法 2:「define:」コマンドで英英辞典を検索する
前述の「air interface」の例では、すぐに日本語での説明と訳語を示した検索結果が得られました。しかし、検
索する語句によっては、日本語での検索結果がうまく得られない場合もあります。このような場合、英語で意味を
説明した文章も、意味を知る上では十分参考になります。Google 検索には、コマンドを使用して Web 上の英英
辞典による定義を検索する機能があり、「define:」の後にキーワードを続けることでこの機能が利用できます。先
ほどの「air interface」という用語をこの方法で検索する例は、次のようになります。
define: "air interface"
検索結果では、英語で「air interface」を定義する文章が表示されます。
•
The standard operating system of a wireless network; technologies include AMPS,
ReFLEX, FLEX, POCSAG, TDMA, CDMA and GSM.
•
In a mobile phone network, the radio transmission path between the base station and
the mobile terminal.
•
In mobile communication, the air interface is the radio-frequency portion of the circuit
between the mobile station and the active base station. Basically, Air Interface is sound
waves that travel through the air which are sent from 1 location to another in order to
hear and talk.
検索方法 3:OR と丸かっこでまとめる
英語の動詞の活用形を含めたフレーズなどを検索したい場合は、「OR」と丸カッコを組み合わせて使用します。
例えば、「地下鉄に乗る」という日本語を英訳したいとします。「地下鉄」は「the subway」だとして、「乗る」には
「take」「get on」「ride」などが思いついたとすると、活用形を使用した用例が考えられます。例えば、「take」の
場合であれば、「take the subway」「takes the subway」「took the subway」「taking the subway」などです。
これら take の活用形を含めたフレーズを一括で検索したい場合、次のように入力します。
"(take OR takes OR took OR taken OR taking) the subway"
検索結果:507,000 件
このように、複数の語句を「OR」でつないで並べた語句を半角の丸カッコで囲むと、「つないだ語句のいずれか
が該当部分にくる」という意味になります。さらに、同様にして「get on」「ride」の場合も検索してヒット数を比較す
れば、どの表現が実際に一番よく使われているのかが分かります。
"(ride OR rides OR rode OR ridden OR riding) the subway"
検索結果:285,000 件
"(get OR gets OR got OR gotten OR getting) on the subway"
検索結果:61,100 件
検索結果によれば、この場合、「take」を使用した例が一番多いようです。
検索方法 4:サイト指定コマンドを使用する
サイト指定コマンドを使用すると、指定した文字列を URL に含むサイトを対象とした検索結果が得られます。こ
の検索方法は、特定のサイトでの用語の使われ方を調べる場合や、サイトを限定することによって信頼性のある
検索結果を得たい場合に利用できます。具体的な検索方法としては、「define」コマンドと同様の形式で、
「site:」の後ろに指定したいサイトの URL に含まれる文字列を続けます。例えば、最近では電子メ―ルの英語表
記を「email」とする場合が多くなってきていますが、「e-mail」と「email」という 2 つの用語表記を日経新聞のサ
イト内で検索するには次のように入力します。
e-mail site:nikkei.co.jp
検索結果:5,410 件
email site:nikkei.co.jp
検索結果:833 件
「e-mail」の表記の方が多いことが分かりました。一方、アメリカの教育機関のサイトを指定して同じように検索す
ると、全く傾向の異なる結果が得られます。これには、先ほどの「nikkei.co.jp」の部分を変更して、アメリカの教
育機関のドメインを示す「edu」と入力します。
e-mail site:edu
検索結果:4 億 3,800 万件
email site:edu
検索結果:71 億 9,000 万件
アメリカの教育機関のサイトを指定して検索した場合では、「email」の表記が圧倒的に多いことが分かります。
検索方法 5:先頭に「+」を付加して検索する
先ほどのサイト指定検索を使用して、日本語の表記を検索する場合には多少注意が必要です。例えば、同様の
方法で日本経済新聞社のサイトを指定し、「ブレークスルー」と「ブレイクスルー」という 2 つの用語のヒット件数を
比較すると、次のような結果になります。
ブレークスルー site:nikkei.co.jp
検索結果:1,210 件
ブレイクスルー site:nikkei.co.jp
検索結果:1,210 件
いずれも検索結果は、1,210 件という同じ件数になります。これは表記の揺らぎを吸収する、あいまい検索の機
能が働いているためです。入力したままの厳密な表記で検索するには、検索文字列の先頭に半角のプラス記号
(+)を付加します。
+ブレークスルー site:nikkei.co.jp
検索結果:1,600 件
+ブレイクスルー site:nikkei.co.jp
検索結果:97 件
あいまい検索の機能を外すと、「ブレークスルー」の表記の方が圧倒的に多いことが分かります。なお、「ブレー
クスルー」の表記が多いのは、新聞などでは原語の二重母音の表記は長音として扱う、という表記の規定がある
からのようです。
最後に
翻訳で利用する 5 つの Google 検索の方法をご紹介しましたが、これらの方法は目的に応じて、ご利用されるこ
とをお勧めします。便利な Google 検索ですが、例えばそもそも用語に規定がある場合、検索で表記を確認する
必要はありませんし、検索ばかりしていては実際の作業自体が進まなくなり、効率が悪くなる場合もあります。し
かし、どの検索方法も、さまざまな目的に応用できると思いますので、ぜひ活用いただければと思います。
以上