2016年8月∼2017年2月 ダイジェスト・リーフ 新発売 〔警 告〕 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分 な知識と経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される患者についてのみ投 与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明 し、同意を得てから投与を開始すること。 〔禁忌 (次の患者には投与しないこと) 〕 (1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 (2)妊婦又は妊娠している可能性のある女性 ( 「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」 の項参照) 製造販売 「警告・禁忌を含む使用上の注意」 等はDrug Informationをご参照ください。 臨床成績 臨床成績 一部承認外の成績を含みますが、承認時の評価資料のためご紹介します。 1、2) 海外第Ⅲ相試験 (PX-171-009、海外データ) 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、 カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用 (KRd) 療法と、 レナリドミド+デキサメタゾン併用 (Rd) 療法の有効性及び安全性を評価しました。 目 的 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対する、KRd療法とRd療法を比較検討する。 方 法 多施設共同非盲検無作為化第Ⅲ相試験(優越性試験) 試験デザイン KRd群 カイプロリス27mg/m2 KRd群 (n=396) 1、2、8、9、15、16日目 ・1サイクル目の1、2日目のみ20mg/m2投与 ・13サイクル目以降は1、2、15、16日目に投与 ・19サイクル目以降は投与せず + レナリドミド25mg 1∼21日目 + ・前治療歴1∼3回の 再発又は難治性の 多発性骨髄腫※1 ・少なくとも1回は奏効 (M蛋白量又は総蛋 白量の25%以上の 減少) ・ECOG PS 0∼2 1サイクル目 カイプロリス20mg/m2 カイプロリス27mg/m2 レナリドミド25mg デキサメタゾン40mg 2∼12 サイクル目 カイプロリス20mg/m2 カイプロリス27mg/m2 レナリドミド25mg デキサメタゾン40mg 13∼18 サイクル目 カイプロリス20mg/m カイプロリス27mg/m2 レナリドミド25mg デキサメタゾン40mg デキサメタゾン40mg 無作為化 n=792 (1:1) レナリドミド25mg Rd群 (n=396) 連日投与 連日投与 2 1、8、15、22日目の週1回投与 ※2 1サイクル:28日間 1週 2週 3週 4週 Day 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 ・・・ 28 19 サイクル目∼ 1∼21日目 + デキサメタゾン40mg Rd群 1、8、15、22日目の週1回投与 両群ともPD又は許容できない事象まで28日間サイクル投与を継続 全サイクル レナリドミド25mg デキサメタゾン40mg 連日投与 連日投与 1サイクル:28日間 1週 2週 3週 4週 Day 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 ・・・ 28 レナリドミド25mg デキサメタゾン40mg 連日投与 ※1:ただし、①ボルテゾミブによる治療中に疾患進行が認められた患者、②レナリドミド及びデキサメタゾンの併用投与による治療開始後3ヵ月以内に疾患進行が認めら れた患者並びに③レナリドミド及びデキサメタゾンの併用投与による直近の治療中に疾患進行が認められた患者は除く (2.5mg/L未満、2.5mg/L以上) 、 ボルテゾミブ治療歴の有無、 レナリドミド治療歴の有無とした ※2:無作為化層別因子は、 β2ミクログロブリン 患者背景 性別 年齢、歳 ※1 PS (ECOG) 病期分類 (ISS※2) 前治療回数 男性 女性 中央値 最小値~最大値 0 1 2 1 2 3 不明 中央値 最小値~最大値 KRd群(396例) 215 (54.3%) 181 (45.7%) 64.0 38.0~87.0 165 (41.7%) 191 (48.2%) 40 (10.1%) 167 (42.2%) 148 (37.4%) 73 (18.4%) 8 (2.0%) 2.0 1~4 Rd群(396例) 232 (58.6%) 164 (41.4%) 65.0 31.0~91.0 175 (44.2%) 186 (47.0%) 35 (8.8%) 154 (38.9%) 153 (38.6%) 82 (20.7%) 7 (1.8%) 2.0 1~4 前治療歴 β2ミクログロ ブリン 予後不良の 染色体異常※3 ボルテゾミブ レナリドミド サリドマイド 免疫調節薬 ボルテゾミブ及び免疫調節薬 コルチコステロイド アントラサイクリン系製剤 アルキル化剤 移植 2.5mg/L未満 2.5mg/L以上 不明 あり なし又は不明 KRd群(396例) 261(65.9%) 79(19.9%) 176(44.4%) 233(58.8%) 146(36.9%) 389(98.2%) 149(37.6%) 340(85.9%) 217(54.8%) 68(17.2%) 324(81.8%) 4(1.0%) 195(49.2%) 201(50.8%) Rd群(396例) 260(65.7%) 78(19.7%) 171(43.2%) 229(57.8%) 139(35.1%) 387(97.7%) 136(34.3%) 349(88.1%) 229(57.8%) 71(17.9%) 319(80.6%) 6(1.5%) 222(56.1%) 174(43.9%) ※1:ECOG (Eastern Cooperative Oncology Group) の設定したPerformance Status (全身症状の指標) ※2:International Staging System (国際病期分類基準) ※3:FISH (蛍光in situハイブリダイゼーション) 法で、 (4 t ;14) 転座、 (14 t ;16) 転座、若しくはdel (17) 短腕欠失が陽性の場合とした 試験概要 ●対象:再発又は難治性の多発性骨髄腫患者 792例 (KRd群 396例、Rd群 396例) ●主要評価項目:無増悪生存期間 (PFS) ●副次評価項目:全生存期間 (OS) 、全奏効率 (ORR) 、奏効期間 (DoR) 、安全性、EORTC QLQ-C30 Global Health Status/QoL scaleの推移 ●解析計画:すべての抗腫瘍評価はIMWG-URCに従い (MRはEBMT基準に従い) 評価する。試験全体の第Ⅰ種の過誤確率は片側0.025以下になるよう、PFSの解析は有 意水準片側0.025で行い、PFS解析で帰無仮説が棄却された場合は、副次評価項目を有意水準片側0.025で、OS、ORR、QLQ-C30 Global Health Status/QoL scaleの順番で順次解析する階層的閉手順を用いる。PFSを用いた中間解析の実施は、目標PFSイベントの約80%のイベント (420件) が確認された時点で実施するこ ととする。PFSについて、第Ⅰ種の過誤確率が片側0.025以下になるよう、Lan-DeMetsのα消費関数 (O’ Brien-Fleming法) を用いる。PFS解析で帰無仮説が棄却され た時点において、OSの中間解析を実施することとする。OSについて、第Ⅰ種の過誤確率が片側0.025以下になるよう、Lan-DeMetsのα消費関数 (O’ Brien-Fleming 法) を用いる。PFS及びOSは、Kaplan-Meier曲線を表示し、Kaplan-Meier法を用いて記述的に要約する。投与群間の比較には無作為割付時の層別因子による層別 log-rank検定を用いる。ハザード比及びその95%信頼区間は同様の層別因子を用いた層別Cox比例ハザードモデルにより推定する。ORRは、sCR、CR、VGPR及びPR と判定された患者を奏効とした全奏効率及びClopper-Pearson法に基づくその95%信頼区間を算出する。DoRは、Kaplan-Meier法を用いて記述的に要約する。最 良抗腫瘍効果は、頻度分布を算出する。なお、PFSについては、あらかじめ設定した層別化因子別のサブグループ解析を実施する。 2 1) 小野薬品工業社内資料:海外第Ⅲ相試験 (PX-171-009) 試験成績 (承認時評価資料) 2) Stewart A.K., et al.: N. Engl. J. Med., 372: 142, 2015. (承認時評価資料) [利益相反:本試験はOnyx Pharmaceuticalsのサポートを受けて実施された] 臨床成績 本試験は、あらかじめ規定していたPFS中間解析 (データカットオフ時点:2014年6月16日) を行い、その有効性及び安全 性データの結果から、試験を早期中止し有効性を評価しました。 無増悪生存期間 (PFS) 〔主要評価項目〕 KRd群においてRd群と比較して有意なPFSの延長が示されました(p<0.0001、層別log※1 rank検定) ※2 ※2 PFSの中央値はKRd群で26.3ヵ月 (95%信頼区間 [23.3, 30.5] ) 、Rd群で17.6ヵ月 (95%信頼区間 [15.0, 20.6] ) であ り、KRd群で8.7ヵ月 (95%信頼区間 [4.4, 13.1] ) の延長が示されました。 ※1:層別Cox比例ハザードモデルによるハザード比=0.690、95%信頼区間 [0.570, 0.834] ※2:Klein and Moeschbergerの方法による PFSのKaplan-Meier曲線 (ITT*) (%) 100 KRd群 (396例) Rd群 (396例) 病勢進行/死亡 207(52.3%) 224(56.6%) PFS中央値 80 ハザード比 [95%信頼区間] 片側p値 26.3ヵ月 17.6ヵ月 0.690 [0.570, 0.834] <0.0001 (層別log-rank検定) 無増悪生存率 60 40 20 KRd群 Rd群 0 0 6 :打ち切り 12 18 24 30 36 42 112 72 24 18 1 1 (月) 48 期間 At risk数 KRd群 396 Rd群 396 332 287 279 206 222 151 179 117 * :intention-to-treat (治療意図の原理による解析) 無増悪生存期間 (PFS) 〔サブグル—プ解析〕 全例を対象としたPFS解析結果で示されたKRd群の治療効果が、あらかじめ設定した層別化因子の多くで一貫して認められ ました。 層別化因子 全例 性別 女性 男性 年齢 18∼64歳 65歳以上 予後不良の染色体異常 高リスク 標準リスク β2ミクログロブリン 2.5mg/L未満 2.5mg/L以上 地域 ヨーロッパ 北アメリカ 末梢神経障害 なし あり 前治療薬ボルテゾミブ いいえ はい 前治療薬レナリドミド いいえ はい ボルテゾミブ 難治性 なし あり 免疫調節薬 難治性 なし あり ボルテゾミブと免疫調節薬 難治性 なし あり KRd群 396 例数 Rd群 ハザード比 (95%信頼区間) 396 0.69 (0.57-0.83) 181 215 164 232 0.68 (0.51-0.92) 0.74 (0.58-0.95) 211 185 188 208 0.60 (0.46-0.79) 0.85 (0.65-1.11) 48 147 52 170 0.70 (0.43-1.16) 0.66 (0.48-0.90) 68 324 71 319 0.60 (0.36-1.02) 0.71 (0.58-0.87) 302 84 288 87 0.70 (0.56-0.86) 0.88 (0.57-1.37) 252 144 259 137 0.61 (0.48-0.77) 0.95 (0.69-1.30) 135 261 136 260 0.73 (0.52-1.02) 0.70 (0.56-0.88) 317 79 318 78 0.69 (0.55-0.85) 0.80 (0.52-1.22) 336 60 338 58 0.70 (0.57-0.86) 0.80 (0.49-1.30) 311 85 308 88 0.72 (0.58-0.90) 0.64 (0.44-0.91) 372 24 369 27 0.70 (0.57-0.85) 0.89 (0.45-1.77) 0.25 0.50 KRd群 優位 1.00 2.00 Rd群 優位 3 海外第Ⅲ相試験 (PX-171-009、海外データ) 臨床成績 全奏効率 (ORR) 〔副次評価項目〕 KRd群の87.1%に奏効※1が認められました ※2 ORRはKRd群で87.1% (345/396例、95%信頼区間 [83.4, 90.3] ) であり、Rd群で66.7% (264/396例、95%信頼区間 ※2 でした。 [61.8, 71.3] ) ※1:IMWG-URCに基づく奏効 ※2:Clopper-Pearson法に基づく信頼区間 最良抗腫瘍効果 (%) 100 p<0.001* KRd群(n=396) Rd群(n=396) 90 87.1 80 p<0.001* sCR 14.1% vs 4.3% 70 69.9 66.7 患者の割合 60 50 40.4 p<0.001* 40 31.8 30 20 9.3 10 0 ≧CR ≧VGPR ORR(≧PR) *Cochran-Mantel Haenszelのχ 検定 2 奏効期間 (DoR) 〔副次評価項目〕 DoRの中央値は、KRd群で28.6ヵ月 (最小値〜最大値:1〜42+) 、Rd群で21.2ヵ月 (最小値〜最大値:0+〜39+) でした。 +:打ち切りデータ 全生存期間 (OS) 〔副次評価項目〕 OSの中央値は両群ともに未達、24ヵ月生存率はKRd群で73.3%でした KRd群とRd群を比較した層別Cox比例ハザードモデルによるハザード比は0.787、95%信頼区間 [0.628, 0.985] ( p= 0.0182 、層別log-rank検定) であり、あらかじめ規定した早期中止基準 (p=0.005) を満たしませんでした。 ※ ※ ) 、Rd群で65.0% (95%信頼区間 [59.9, 69.5] ) でした。 24ヵ月生存率は、KRd群で73.3% (95%信頼区間 [68.6, 77.5] ※:Kalbfleisch and Prenticeの方法による OSのKaplan-Meier曲線 (ITT) (%) 100 KRd群 Rd群 80 全生存率 60 40 KRd群 (396例) Rd群 (396例) 死亡 143(36.1%) 162(40.9%) OS中央値 20 ハザード比 [95%信頼区間] 片側p値 0 NE 0.0182 (層別log-rank検定) 0 NE 0.787[0.628, 0.985] :打ち切り NE:評価不能 6 12 18 24 30 36 42 191 144 52 39 2 3 期間 At risk数 KRd群 396 Rd群 396 4 369 356 343 313 315 281 280 237 48 (月) 臨床検査値異常変動を含む副作用はKRd群で84.7% (332/392例) 、Rd群で84.6% (329/389例) に認められました。 KRd群の主な副作用は好中球減少症34.2% (134/392例) 、 貧血25.5% (100例) 、 血小板減少症22.4% (88例) 、 疲労22.4% (88例) 、下痢18.6% (73例) でした。一方Rd群では、好中球減少症29.3% (114/389例) 、貧血23.7% (92例) 、疲労21.3% (83例) 、血小板減少症18.0% (70例) 、下痢16.2% (63例) でした。 重篤な副作用はKRd群29.8% (117例) 、Rd群26.7% (104例) に認められ、主なものはKRd群では肺炎5.6% (22例) 、肺塞栓 症2.6% (10例) 、深部静脈血栓症2.3% (9例) 、発熱性好中球減少症2.0% (8例) 、Rd群では肺炎4.4% (17例) 、肺塞栓症1.8% (7例) 、深部静脈血栓症1.5% (6例) 、貧血1.3% (5例) でした。 副作用のためカイプロリスの投与中止に至ったのはKRd群で12% (47例) に認められ、主なものは肺炎1.0% (4例) 、心筋梗塞 0.8% (3例) 、上気道感染0.8% (3例) でした。 死亡に至った副作用はKRd群では1.0% (4例) 、Rd群では2.1% (8例) に認められ、KRd群では心停止、頭蓋内出血、敗血症、肺 炎が各1例、Rd群では急性冠動脈症候群、敗血症性ショック、敗血症、肝感染、急性腎不全、肺塞栓症、骨髄異形成症候群、呼吸 不全が各1例でした。 いずれかの群で5%以上に発現した副作用一覧 血液およびリンパ系障害 好中球減少症 貧血 血小板減少症 白血球減少症 胃腸障害 下痢 悪心 便秘 一般・全身障害および投与部位の状態 疲労 無力症 末梢性浮腫 発熱 感染症および寄生虫症 上気道感染 肺炎 代謝および栄養障害 低カリウム血症 高血糖 低リン酸血症 食欲減退 筋骨格系および結合組織障害 筋痙縮 筋力低下 神経系障害 浮動性めまい 末梢性ニューロパチー 振戦 精神障害 不眠症 呼吸器、胸郭および縦隔障害 呼吸困難 皮膚および皮下組織障害 発疹 血管障害 高血圧 深部静脈血栓症 発現例数 (%) KRd群 (n=392) Rd群 (n=389) 全Grade Grade 3以上 全Grade Grade 3以上 134 (34.2) 100 (25.5) 88 (22.4) 20 (5.1) 106 (27.0) 33 (8.4) 56 (14.3) 10 (2.6) 114 (29.3) 92 (23.7) 70 (18.0) 19 (4.9) 91 (23.4) 36 (9.3) 39 (10.0) 14 (3.6) 73 (18.6) 37 (9.4) 36 (9.2) 6 (1.5) 1 (0.3) 1 (0.3) 63 (16.2) 25 (6.4) 38 (9.8) 8 (2.1) 3 (0.8) 1 (0.3) 88 (22.4) 41 (10.5) 36 (9.2) 30 (7.7) 23 (5.9) 10 (2.6) 2 (0.5) 1 (0.3) 83 (21.3) 32 (8.2) 35 (9.0) 20 (5.1) 18 (4.6) 8 (2.1) 2 (0.5) 1 (0.3) 38 (9.7) 30 (7.7) 6 (1.5) 23 (5.9) 21 (5.4) 21 (5.4) 2 (0.5) 15 (3.9) 43 (11.0) 40 (10.2) 28 (7.1) 21 (5.4) 14 (3.6) 19 (4.8) 20 (5.1) 0 17 (4.4) 33 (8.5) 8 (2.1) 18 (4.6) 7 (1.8) 17 (4.4) 5 (1.3) 2 (0.5) 72 (18.4) 22 (5.6) 3 (0.8) 5 (1.3) 54 (13.9) 15 (3.9) 2 (0.5) 4 (1.0) 24 (6.1) 20 (5.1) 20 (5.1) 0 6 (1.5) 2 (0.5) 21 (5.4) 20 (5.1) 27 (6.9) 2 (0.5) 6 (1.5) 2 (0.5) 56 (14.3) 11 (2.8) 46 (11.8) 10 (2.6) 28 (7.1) 6 (1.5) 17 (4.4) 1 (0.3) 25 (6.4) 2 (0.5) 34 (8.7) 5 (1.3) 24 (6.1) 22 (5.6) 3 (0.8) 7 (1.8) 10 (2.6) 14 (3.6) 3 (0.8) 4 (1.0) 医師から報告された有害事象名は、MedDRA Version 15.1を用いて読み替え、GradeはCTCAE v4.0を用いて評価しました。カイプロリス、 レナリドミド又 はデキサメタゾンとの関連が否定できないと医師が判断した場合、若しくは関連性が判断されていない場合に、副作用として集計しました。 5 臨床成績 安全性 国内第Ⅰ相試験 (ONO-7057-05) 臨床成績 3) 国内第Ⅰ相試験 (ONO-7057-05) 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン 併用 (KRd) 療法の有効性及び安全性を評価しました。 目 的 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対するKRd療法の安全性、忍容性、有効性及び薬物動態を検討する。 方 法 多施設共同非盲検非対照第Ⅰ相試験 試験デザイン カイプロリス27mg/m2 1、2、8、9、15、16日目 ・1サイクル目の1、2日目のみ20mg/m2投与 ・13サイクル目以降は1、2、15、16日目に投与 n=26 ・前治療歴1回以上の 再発又は難治性の 多発性骨髄腫※ ・ECOG PS 0∼2 KRd療法 (n=26) + レナリドミド25mg 1∼21日目 + デキサメタゾン40mg 1、8、15、22日目の週1回投与 最大18サイクルまで28日間サイクルを投与 ※:同種幹細胞移植を受けた患者は除く 患者背景 性別 年齢、歳 ※1 PS (ECOG) 病期分類 (ISS※2) 前治療回数 前治療歴 β2ミクログロブリン、mg/L 予後不良の染色体異常※3 男性 女性 中央値 最小値~最大値 0 1 2 1 2 3 中央値 最小値~最大値 ボルテゾミブ レナリドミド 移植 中央値 最小値~最大値 あり なし KRd療法 (26例) 13 (50.0%) 13 (50.0%) 64.0 38~81 16 (61.5%) 9 (34.6%) 1 (3.8%) 11 (42.3%) 10 (38.5%) 5 (19.2%) 4.0 1~10 23 (88.5%) 16 (61.5%) 14 (53.8%) 3.00 1.4~5.6 16 (61.5%) 10 (38.5%) ※1:ECOG (Eastern Cooperative Oncology Group) の設定したPerformance Status (全身症状の指標) ※2:International Staging System (国際病期分類基準) ※3: (4 t ;14) 転座、 (14 t ;16) 転座、若しくはdel (17) 短腕欠失が陽性、若しくはGバンド法で異常所見がある場合とした 試験概要 ●対象:再発又は難治性の多発性骨髄腫患者 26例 ●評価項目:全奏効率 (ORR) 、奏効期間 (DoR) 、無増悪生存期間 (PFS) 、全生存期間 (OS) 、安全性等 ●解析計画:ORRは、最良抗腫瘍効果がsCR、CR、VGPR及びPRと判定された患者を奏効とした全奏効率及びその90%信頼区間 (Clopper-Pearson法) を算出し、閾値奏効率は66.7%と設定した。最良抗腫瘍効果は、頻度分布を算出する。DoR、PFS及びOS は、各評価項目に対してKaplan-Meier曲線を表示し、 また、Kaplan-Meier法を用いて各評価項目の中央値及びその90%信頼 区間を推定する。 6 3) 小野薬品工業社内資料:国内第Ⅰ相試験 (ONO-7057-05) 試験成績 (承認時評価資料) ※1 ORRは88.5% (23/26例) 、90%信頼区間は [72.8, 96.8] であり、90%信頼区間の下限は閾値奏効率66.7%を上回りま した。 ※1:Clopper-Pearson法による ●最良抗腫瘍効果 項目 KRd療法 (26例) 厳密な完全奏効 (sCR) 0 (0.0%) 完全奏効 (CR) 1 (3.8%) 非常に良い部分奏効 (VGPR) 5 (19.2%) 部分奏効 (PR) 17 (65.4%) 最少奏効 (MR) 1 (3.8%) 安定 (SD) 2 (7.7%) ※2 進行 (PD) 全奏効率 (ORR) (≧PR) 0 (0.0%) 23 (88.5%) 解析対象:FAS ※2:IMWG-URCによりSDと判定された患者のうち、EBMT基準によりMRと判定された患者を除く 奏効期間 (DoR) 、無増悪生存期間 (PFS) 、全生存期間 (OS) DoR、PFS、OSの中央値は未達でした。 安全性 臨床検査値異常変動を含む副作用は100.0% (26/26例) に認められました。 主な副作用 (10%以上) は、血小板減少12例 (46.2%) 、 リンパ球減少11例 (42.3%) 、高血糖10例 (38.5%) 、ALT (GPT) 増加 7例 (26.9%) 、発疹7例 (26.9%) 、便秘6例 (23.1%) 、筋痙縮6例 (23.1%) 、低リン酸血症5例 (19.2%) 、白血球増加5例 (19.2%) 、AST (GOT) 増加4例 (15.4%) 、好中球減少4例 (15.4%) 、好中球増加4例 (15.4%) 、発熱4例 (15.4%) 、末梢性 ニューロパチー4例 (15.4%) 、血中ビリルビン増加4例 (15.4%) 、白血球減少4例 (15.4%) 、高カリウム血症3例 (11.5%) 、低 カリウム血症3例 (11.5%) 、悪心3例 (11.5%) 、高血圧3例 (11.5%) 、 下痢3例 (11.5%) 、 肺炎3例 (11.5%) 、 上気道の炎症3例 (11.5%)、味覚異常3例(11.5%)、紅斑3例(11.5%)、血中コレステロール増加3例(11.5%)、ヘモグロビン減少3例 (11.5%) 、低ナトリウム血症3例 (11.5%) でした。 重篤な副作用は肺炎3.8% (1例) 、気道感染3.8% (1例) 、投与中止に至った副作用はせん妄3.8% (1例) でした。死亡に至った 副作用は認められませんでした。 7 臨床成績 全奏効率 (ORR) 薬物動態 血漿中濃度3〜5) 薬物動態 日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に、 カイプロリスを単剤投与※1又はレナリドミド及びデキサメタゾンと併用投 与※2したときの血漿中カルフィルゾミブ濃度は、単剤投与、併用投与のいずれにおいても投与後速やかに低下し、消失半減期 は単剤投与では0.424〜0.706時間、併用投与では0.580〜0.740時間でした。 (T1/2) また、単剤投与の結果より、1、16日目の薬物動態パラメータは同様の値であり、反復投与による蓄積は認められませんでし た。 日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした、 カイプロリスの単剤投与試験 (ONO-7057-01) と、 カイプロリ ス+レナリドミド+デキサメタゾンの併用投与試験 (ONO-7057-05) から得られたAUClast、Cmax及びT1/2に大きな差異は認 められなかったことから、 レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用はカルフィルゾミブの薬物動態に影響を与えないと考えら れました。 ※1:1、2、8、9、15、16日目に各用量のカイプロリス (15mg/m2、20mg/m2、20/27mg/m2) を1日1回、10分かけて点滴静注 ※2:1、2、8、9、15、16日目にカイプロリス20/27mg/m2を1日1回、10分かけて点滴静注、 レナリドミド25mgを1〜21日目に1日1回経口投与、 デキサメタゾ ン40mgを1、8、15、22日目に1日1回経口又は静脈内投与 単独投与における 血漿中カルフィルゾミブ濃度の推移4、5) 用投与における 併 血漿中カルフィルゾミブ濃度の推移3) (ng/mL) 10000 (ng/mL) 10000 1000 100 血漿中カルフィルゾミブ濃度 血漿中カルフィルゾミブ濃度 :15mg/m2投与 1日目 (n=4) :15mg/m2投与 16日目 (n=4) :20mg/m2投与 1日目 (n=13) :20mg/m2投与 16日目 (n=4) :27mg/m2投与 16日目 (n=6) (平均値+標準偏差) 10 1 :20mg/m2投与 1日目 (n=11) :27mg/m2投与 16日目 (n=9) (平均値+標準偏差) 1000 100 10 1 0.1 0.1 0.01 0 1 2 3 4 5 (時間) 時間 0.01 0 1 2 3 4 5 (時間) 時間 単独投与における薬物動態パラメータ4) 併用投与における薬物動態パラメータ3) 1日目 16日目 15mg/m2投与 20mg/m2投与 15mg/m2投与 20mg/m2投与 27mg/m2投与 (n=4) (n=13)※ (n=4) (n=4) (n=6) Cmax 1010±99.0 1530±407 1030±453 (ng/mL) Tmax 0.159 0.150 0.159 (hr) (0.0833,0.167)(0.0833,0.250) (0.117,0.167) AUClast 212±40.4 306±69.9 211±81.8 (ng・hr/mL) T1/2 0.571±0.139 0.706±0.248 0.484±0.0794 (hr) CL 119±33.4 110±24.4 132±59.2 (L/hr) Vss 13.3±4.64 11.9±4.56 15.2±7.55 (L) 1570±125 2300±974 0.150 0.150 (0.133,0.183) (0.0833,0.167) 330±64.7 436±133 0.424±0.169 0.659±0.172 平均値±標準偏差、Tmaxは中央値 (最小値, 最大値) ※:20mg/m2投与群及び20/27mg/m2投与群 107±28.2 105±26.7 15.1±9.65 8.50±2.95 Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUClast (ng・hr/mL) T1/2 (hr) CL (L/hr) Vss (L) 1日目 20mg/m2投与 (n=11) 16日目 27mg/m2投与 (n=9) 1540±391 2030±282 0.150 (0.0833, 0.167) 0.150 (0.133, 0.183) 326±73.5 444±56.0 0.580±0.260 0.740±0.272 102±27.3 98.8±16.1 10.9±4.39 11.7±5.40 平均値±標準偏差、Tmaxは中央値 (最小値, 最大値) [用法・用量] レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人には1日1回、本剤を1、2、8、9、15及び16日目に点滴静注し、12日 間休薬する。この28日間を1サイクルとし、12サイクルまで投与を繰り返す。13サイクル以降は、1日1回、1、2、15及び16日目に 2 本剤を点滴静注し、12日間休薬する。本剤の投与量はカルフィルゾミブとして、1サイクル目の1及び2日目のみ20mg/m(体表 2 面積) 、それ以降は27mg/m(体表面積) とし、10分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。 8 3) 小野薬品工業社内資料:国内第Ⅰ相試験 (ONO-7057-05) 試験成績 (承認時評価資料) 4) 小野薬品工業社内資料:国内第Ⅰ/Ⅱ相試験 (ONO-7057-01) 試験成績 (承認時評価資料) 5) Watanabe T., et al.: Br J Haematol., 172: 745, 2016 薬効薬理 カイプロリスの作用機序 カイプロリスの作用機序イメージ ユビキチン化タンパク質 分解されないユビキチン化 タンパク質が蓄積し、細胞 のアポトーシスを誘導する ことで 腫 瘍 の 増 殖を抑 制 する カイプロリスは 20 S プロテアソームの β5 サブユニットに 26S プロテアソーム 不 可 逆 的 6∼8)に 結 合 薬効薬理 19 S α β 20 S α キモトリプシン様活性 19S カイプロリスは、20Sプロテアソームのキモトリプシン 様活性を有するβ5サブユニットに不可逆的に結合し、 ユビキチン化タンパク質は 分解される ユビキチン化タンパク質の分解を担うプロテアソーム の活性を阻害する。9) 薬理試験 精製ヒト構成プロテアソームのキモトリプシン様、カスパーゼ様及びトリプシン様活性に対する各種プロテアソー 6) ム阻害剤の作用 (in vitro) 精製ヒト構成プロテアソームのキモトリプシン様活性に対するカルフィルゾミブの阻害作用をin vitroにて検討しました。な お、 プロテアソームのキモトリプシン様活性の基質としてSuc-LLVY-AMCを、 カスパーゼ様活性の基質としてZ-LLE-AMCを、 トリプシン様活性の基質としてBoc-LRR-AMCをそれぞれ用いました。 カルフィルゾミブは精製ヒト20Sプロテアソームの細胞溶解液のキモトリプシン様活性を選択的に阻害し、そのIC 50値は 6nmol/Lでした。 各種プロテアソーム阻害剤の20Sプロテアソーム阻害作用 カルフィルゾミブ ボルテゾミブ キモトリプシン様活性 6±2 7±2 カスパーゼ様活性 2,400±500 74±36 トリプシン様活性 3,600±850 4,200±1,900 各値は4例以上のIC50値 (nmol/L) の平均値±標準偏差 6) Demo S.D., et al.: Cancer Res., 67: 6383, 7) Bennett M.K., et al.: Curr. Opin. Drug Discov. Devel., 11: 616, 8) Groll M., et al.: Structure., 14: 451, 9) Kortuem K.M., et al.: Blood., 121: 893, 2007 2008 2006 2013 9 2016年8月作成 KYP-Z003
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