カーラ・ザヴァレタビデオ

一般演題 口演抄録
─111─
O1-1
O1-2
18
F-AV45(Flobetapir)を用いた脳アミロ
イドイメージングの検討
異なるアミロイド測定用トレーサーによる脳内
アミロイド蓄積の評価
1
1
岩手医科大学 医学部 内科学講座 神経内科・
2
独立行政法人 放射線医学総合研究所 分子イメージ
ング研究センター 先端生体計測研究プログラム、2 独
老年科分野、 岩手医大サイクロトロンセンター
○米澤久司 1、高橋 智 1、高橋純子 1、工藤雅子 1、
柴田俊秀 1、小原智子 1、寺山靖夫 1、佐々木敏秋 2、
寺崎一典 2、世良耕一郎 2
立行政法人 放射線医学総合研究所 分子イメージング
研究センター 分子神経イメージング研究プログラム
○伊藤 浩 1、島田 斉 2、篠遠 仁 2、高野晴成 2、
関 千江 1、生駒洋子 1、川口拓之 1、田桑弘之 1、
須原哲也 2
【 背 景 と 目 的 】Positron Emission Tomography
【目的】アルツハイマー病における主要な病理変化
(PET)を用いた脳アミロイドイメージングが近年
はアミロイド蓄積および神経原線維変化であるが、
可能になり、11C-PIB が多くの施設で用いられている。
アミロイドに特異的に結合する PET 用トレーサー
しかし 11C は半減期が短く特定の施設でしか検討が
は多数開発されている。本研究では、東北大学で開
18
できない。 半減期の長い F 核種であれば多施設で
発されたアミロイド測定用トレーサー [F-18]FACT
検討することも可能である。18F-AV45 も脳アミロイ
を用いて脳内アミロイド蓄積を定量的に測定し、広
ドイメージングのトレーサーで、海外では報告が散
く用いられている [C-11]PIB による測定結果と比較
見され、日本国内でも使用が開始されつつあるが、
し た。【 方 法 】 健 常 者 6 名、 ア ル ツ ハ イ マ ー 病
報告は少なく十分にはその特性は示されていない。
(AD)患者 6 名、軽度認知機能障害(MCI)患者
我々は 18F-AV45(Flobetapir)をトレーサーとした
2 名を対象に [F-18]FACT および [C-11]PIB による
アミロイドイメージングの検討を開始したので報告
PET 検 査 を 同 日 に 施 行 し、[F-18]FACT お よ び
する。【対象と方法】対象はアルツハイマー病(AD)
[C-11]PIB によるダイナミック PET スキャンデー
4 例( 平 均 76 歳、HDS-R18 点 )、 軽 度 認 知 障 害
タより、それぞれ 40 ~ 60 分および 50 ~ 70 分の加
(MCI)3 例(平均 65 歳 HDS-R25 点)、アミロイ
算画像を作成した。MRI を用いた部分容積効果補
ドアンギオパチー 1 例、非アルツハイマー型認知症
正により単位灰白質量当たりの SUV を求め、小脳
(NAD) 例 2 例( 平 均 74 歳 )、 正 常 例(NC)1 例
を参照領域として大脳皮質領域における SUVR を
18
(82 歳)につき検討した。PET 検査は F-AV45 を
計算した。【結果】両トレーサー共に健常者に比べ
370MBq を静脈内投与し、直後から経時的に 90 分連
アルツハイマー病において大脳皮質域の SUVR は
続撮像した。標準化した集積値画像の検討、および
有意に高値であった。また、両トレーサーによる
小脳の集積カウントに対する大脳の各部位に設定し
SUVR の間には有意な相関がみられたが、AD 患者
たROIの集積カウントに対する比(SUVR s)を
における両トレーサーの脳内分布には違いがみられ、
計算し指標として検討した。また PET 検査終了時に
後頭葉、海馬傍回では [C-11]PIB の集積が相対的に
頭部 CT を撮像し、CT 画像とPET画像を重ね合わ
低値、前頭葉、頭頂葉では [C-11]PIB の集積が相対
せ関心領域(ROI)を設定した。【結果】AD では
的に高値であった。【考察】[F-18]FACT は neuritic
皮質に強い集積があり、前頭葉、頭頂葉、側頭葉皮
plaque に 主 に 結 合 す る と 考 え ら れ て お り、
質の SURVs は 1.5 ~ 2.4 前後であった。後頭葉はや
[C-11]PIB は neuritic plaque と diffuse plaque の 両
や低い傾向があった。一例は集積に左右差があった。
方に結合するとされているが、前頭葉に比べ後頭葉
正常者での SURVs は 1.1 前後で皮質の集積は目立
では diffuse plaque が相対的に少ないことも病理学
たなかった。MCI は2例ではADと同等に集積が皮
的に示されており、両トレーサーの脳内分布の差異
質であり、一例は集積が軽度であった。アミロイド
はそれぞれのトレーサーが反映する脳病理変化の違
アンギオパチー例、NAD 例では皮質の集積は認めな
いを反映している可能性がある。
かった。【結論】18F-AV45 を用いることでアルツハ
イマー病を見いだすことが可能と考えられる。症例
によりアミロイドの蓄積パターンが異なる可能性が
あり今後詳細に検討を重ねる必要がある。
─113─
O1-3
O1-4
線条体、線条体外におけるドーパミン D1、
D2 レセプターの分布比の健常者データベー
ス
被殻アデノシン A1 受容体分布の加齢変化
ー [11C]MPDX PET を用いた検討ー
放射線医学総合研究所 分子イメージング研究セン
ウマチ部門、2 東京都健康長寿医療センター 研究
ター
所 神経画像研究チーム、3 放射線医学総合研究所 ○木村泰之、伊藤 浩、藤原広臨、小高文聰、高野
1
日本医科大学内科学講座 神経・腎臓・膠原病リ
分子イメージング研究センター
○三品雅洋 1、石渡喜一 2、木村裕一 3、坂田宗之 2、
晴成、須原哲也
織田圭一 2、石井賢二 2、片山泰朗 1
統合失調症患者の死後脳研究において D1 と D2 受
【目的】[11C]TMSX PET を用いた被殻アデノシン
容体のバランスの変化が報告されている。従って、
A2A 受容体の検討では、加齢変化が認められなかっ
健常者脳において、D1 と D2 受容体濃度を測定し、
たことを本学会で報告した。東京都健康長寿医療セ
その比の分布をデータベース化する事は、神経精神
ンターでは、[11C]MPDX と PET を用いて、世界に
疾患の病態理解に役立つものと考える。本研究の目
先駆けアデノシン A1 受容体分布の画像化に成功し
的は、同一健常被験者において PET を用いて線条
た。本研究では、被殻におけるアデノシン A1 受容
体内外の D1 と D2 受容体濃度を測定し、D1/D2 比の
体分布の加齢変化について検討した。【方法】対象
分布を評価する事である。<方法>9名の健常男性
は若年健常者 8 例(平均年齢 22.0 ± 1.7 歳)と老年
11
11
11
に C-SCH23390、 C-raclopride、 C-FLB457 を
健 常 者 10 例(65.4 ± 7.6 歳 )。[11C]MPDX PET は
用いた計3回の PET スキャンを施行した。小脳を
無採血 60 分のダイナミックスキャンで行い、小脳
参 照 領 域 と し た Simplified reference tissue model
を参照領域とした Logan 法を用いて被殻のアデノ
を用いて各受容体結合能を算出し、線条体および線
シン A1 受容体結合能(BP ND)を計算した。【成績】
条体外について D1/D2 比の画像を作成した。<結
果 > 線 条 体 で は、sensorimotor striatum の D1/D2
比は associative striatum や limbic striatum に比べ
て有意に低かった(One-way ANOVA, p < 0.005)。
線条体外では、D1/D2 比は線条体に比し約3-8倍
高値であった。線条体外の D1/D2 比は領域により
有意に異なり、側頭葉において他の皮質領域に比べ
BP ND は、 若 年 群(0.478 ± 0.149) と 比 べ 老 年 群
(0.385 ± 0.094) で 有 意 に 低 下 し た(p < 0.05;
unpaired t-test)。回帰分析では、年齢と BP ND は負
の相関を認めた(R2=0.178、p < 0.05)。【結論】過
去のドパミン D1 および D2 受容体の加齢変化の報
告と同様、アデノシン A1 受容体は加齢により減少
し、アデノシン A2A 受容体の加齢変化とは異なる。
て低く、内側側頭葉において最も低かった(Oneway ANOVA, p < 0.0001)。<考察>線条体におい
ては D2 受容体が豊富な extrastrisomal matrix が感
覚運動系に関連するという知見と一致した。線条体
外では側頭葉で D2 受容体が多いという死後脳研究
と一致した。
─114─
O1-5
O2-1
頸 動 脈 プ ラ ー ク 診 断 に お け る MRI と
18
F-FDG PET の比較検討
迅速 PET の急性期脳梗塞例への臨床応用:
PET パラメータの最終梗塞体積予測能
1
1
北海道大学 大学院医学研究科 脳神経外科学分
2
国立循環器病研究センター 脳血管内科、2 国立循
野、 北海道大学 大学院医学研究科 放射線医学
環器病研究センター 研究所画像診断医学部、3 国
分野、3 北海道大学 大学院医学研究科 核医学分野
立循環器病研究センター 脳神経内科
○齋藤久泰 1、黒田 敏 1、中山若樹 1、吉田大介 2、
○永沼雅基 1、横田千晶 1、堀 祐樹 2、上原敏志 1、
2
3
3
3
森脇 博 3、飯田秀博 2、豊田一則 1、峰松一夫 1
寺江 聡 、平田健司 、志賀 哲 、玉木長良 、
寶金清博 1
【背景・目的】頸動脈狭窄症の診断において、従来
【目的】当施設は、rapid dual autoradiography を
からの脳血管撮影などによる形態学的評価に加え、
用い O2 ラベルされたガス吸入により、脳血流・酸
エコーや MRI などによるプラークの質的評価が、
素代謝測定を 25 分間で行える迅速 PET を開発し
病態把握や治療法選択の上で、重要である。最近で
た。今回我々は脳梗塞急性期例に対し、本法を用い
はプラークの炎症反応が不安定性に関与しているこ
て 測 定 し た 脳 血 流 量(CBF)、 脳 酸 素 代 謝 量
とがわかっており、炎症程度の評価ツールとして
(CMRO2)の最終梗塞体積予測能を検討した。【方
18
F-FDG PET が有用であるという報告が散見され
法】対象は、脳梗塞発症 24 時間以内に PET 実施
る。頸動脈プラーク診断における MRI と 18F-FDG
可能例のうち、頭部 MRA、頸部血管エコー検査に
PET の有用性について比較検討を行ったので報告
て、主幹脳動脈に高度狭窄 / 閉塞を認めた 6 例(女
する。
2 例、平均 78 歳)。除外基準は、1)rtPA 療法適応、
【対象・方法】2009 年 1 月から 2011 年 5 月に、当
2) 入 院 前 mRS ≧ 3、3) 登 録 時 NIHSS ≦ 4, ≧ 23、
院で頸動脈内膜剥離術を施行した頸動脈狭窄症患者、
4)JCS ≧ III-100。PET 検査直前に頭部 MRI を行
連 続 23 例 の う ち、 術 前 に MRI Black-Blood 法
い、発症 24 時間以内に迅速 PET を施行、2 週間後
(BB 法 )、TOF-MRA と 18F-FDG PET を 施 行 し
の MRI FLAIR 画像にて健側の 125%以上の信号強
た 19 例(年齢;49 ~ 82 歳、男:女= 16:3)を対
度領域を最終梗塞領域と定義した。PET 画像上の
象とした。それぞれの術前画像所見と術中のプラー
両側大脳皮質・皮質下領域に、直径 15mm の円形
ク所見を比較検討した。
関 心 領 域(ROI) を 247 ± 27 個 設 定 し、CBF、
【結果】18F-FDG PET では、19 例中 12 例でプラ
CMRO2 が健側の 50%以上低下領域を PET 上の梗
ークへの FDG の集積が確認された。FDG 陽性プラ
塞領域と判定した。体積計測を random sampling
ー ク 12 例 のうち、10 例が MRI BB 法の脂 肪 抑 制
software を用いて行い、PET パラメータによる最
T1 強調像(FS-T1WI)で高信号、2 例が等信号を
終梗塞予測能を算出した。【結果】 発症から PET
呈 し た。FDG 陰 性 プ ラ ー ク 7 例 の う ち、4 例 が
施行まで 2.3 ~ 20.5(中央値 14)時間、責任血管は
FS-T1WI で高信号、2 例が低信号、1 例が等信号
内頸動脈 5 例、中大脳動脈 1 例であった。PET 上
を 呈 し た。 ま た、FDG 陽 性、 あ る い は FS-T1WI
梗塞と判定された ROI 数は、CBF/CMRO2 で 19 ±
高信号のプラークは、全例で豊富な脂質か被膜下血
28/14 ± 25(中央値 8/4)個、CBF/CMRO2 による
腫を含んだ不安定プラークであった。
梗塞予測能は、感度 62.9/71.6%、特異度 85.9/86.0%
18
【結論】 F-FDG PET と MRI はいずれも不安定
であった。【結論】迅速 PET を用いて急性期脳梗
プラークの検出に有用だったが、FDG 陽性プラー
塞例の脳循環代謝評価を行った。最終梗塞巣予測能
クと FS-T1WI 高信号プラークは一致しないものが
は、CBF に比べて CMRO2 の感度が高く、偽陰性
多くみられた。これは、観察している対象が異なる
率が低かった。迅速 PET で計測される CMRO2 は、
ためと思われる。プラークの性状診断には複数のモ
救済可能な脳組織存在の指標となる可能性がある。
ダリティを用いた多角的な検討が必要と考える。
─115─
O2-2
O2-3
PET を用いた脳循環動態評価に基づいた治
療方針決定下での症候性脳主幹動脈閉塞性疾
患患者の予後の変遷
定常負荷運動時の H215O PET による脳血流
量変化と呼吸及び循環応答の検討
滋賀県立成人病センター研究所
神経外科、3 東京都健康長寿医療センター神経画像
○山内 浩、東 達也、加川信也、高橋昌章、岸辺
1
法政大学スポーツ健康学部、2 東京医科歯科大学脳
チーム
○日浦幹夫 1、成相 直 2、石井賢二 3、豊原 潤 3、
喜彦
織田圭一 3、坂田宗之 3、石渡喜一 3
【目的】 アテローム硬化性脳主幹動脈閉塞性疾患
【目的】自転車エルゴメーター運動による中等度強
患者においては、脳循環動態の正確な評価が、予後
度での定常運動負荷時に H215O PET を用いた局所脳
の判定に重要である。その上で、適切に血行再建術
血流量(CBF)計測を行い、運動時の呼吸、循環動
を適用し、内科的管理を厳格に行うことが、予後を
態の変化を併せて検討した。また、安静時二酸化炭
改善していく可能性がある。本研究では、近年の内
素吸入負荷時の CBF 計測を併せて行い、代謝性に
科治療の進歩下での、脳主幹動脈閉塞性疾患患者の
血中二酸化炭素分圧(PaCO2)が増加する運動時と
予後の変遷について検討した。【方法】症候性アテ
の差異を検討した。【方法】健常被験者 4 名を対象
ローム硬化性脳主幹動脈閉塞性疾患(頭蓋外内頸動
とし、1)安静時の呼吸、循環指標の計測と同時に
脈閉塞症、頭蓋内内頸動脈あるいは中大脳動脈狭窄
H215O PET 計測(Autoradiography 法)を実施した。
15
または閉塞症)患者で、慢性期に、 O gas と PET
2)安静時に二酸化炭素吸入を行い、1)と同様な
を用いた脳循環動態評価を行った、2000 年~ 2002
計測を実施した。3)PET 検査台上に据え付けた仰
年 の 76 例( 前 期 群 ) と 2003 年 ~ 2008 年 の 90 例
臥位用自転車エルゴメーターを用いて、各被験者の
(後期群)を対象とし(すべて mRS ≦ 2 の例)、
最大酸素摂取量の 40%に相当する運動強度で定常負
2年間の予後を比較検討した。病変側半球大脳皮質
荷運動を 15 分間行い、この間に1)と同様な計測
の酸素摂取率の値に基づき、それぞれ、酸素摂取率
を行った。【結果】安静時と二酸化炭素負荷時では
増加群(misery perfusion、再発ハイリスク群)と
心拍数(HR)、心拍出量(CO)は変化を認めず、運
正常群を診断した。PET 診断医は、酸素摂取率増
動負荷時には HR、CO は 102 ± 2.1 / min、8.2 ±
加群ではハイリスク群でありバイパス術を考慮して
1.8 l / min と増加し、拡張期血圧は 70 ± 12 mmHg
よいと報告し、主治医が治療方針を決定した。2003
と低下した。PaCO2 は安静時が 41.4 ± 1.4 mmHg、
年からは、可能な範囲で、PET 診断医が独自に電
二酸化炭素吸入時が 47 ± 1.1 mmHg、運動時が 43.2
話で定期的に、経過観察、治療上や日常生活上の注
± 0.8 mmHg であった。相対的血流変動を SPM2 を
意点、PET 再検査の必要性などについて患者にア
用いて解析した結果、運動時では安静時と比較し右
ドバイスした。【成績】2年間における、同側脳梗
島皮質、小脳虫部および両側頭頂葉に有意な相対的
塞再発、すべての脳卒中発症、およびすべての脳卒
血流増加領域を認め、二酸化炭素負荷時は安静時と
中と死亡の発生は、前期群で、それぞれ、9.2%、
比較し両側前頭葉に有意な血流増加領域を認めた。
18.4%、および、23.7%、後期群で、4.4%、7.8%、お
【考察】運動開始および継続の背景となる central
よび 10.0%であった。すべての脳卒中と死亡の発生
command を提示した研究報告によれば島皮質での
頻度は、後期群で、前期群と比べて、有意に少なか
局所脳血流増加が示されているが(Nowak M, 2005)、
った(p < 0.05, Fisher exact test)。この結果は、
本研究の結果はこの所見と一致した。自転車エルゴ
主に、後期群の、酸素摂取率正常群における脳卒中
メーター運動時の下肢の筋活動は、muscle pressor
発症率低下に起因していた。【結論】再発低リスク
reflex を経由し中枢へと情報伝達が行われるため、
群の正確な診断と内科的管理の進歩が、症候性アテ
頭頂葉感覚野領域の血流増加はこの神経活動の賦活
ローム硬化性脳主幹動脈閉塞性疾患患者の脳卒中発
を反映していると推測される。血流分布の変化を認
症に関する予後を改善している可能性がある。
めた領域の CBF 定量解析を進め、PaCO2、循環指標
との関連を検討することが今後の課題である。
─116─
O2-4
O3-1
脳外傷後高次脳機能障害(社会的行動障害)の
PET 所見
高度に脳灌流圧が低下した領域における脳血
液量の意義―OEF と Acetazolamide に対
する CBV 反応性
1
名古屋市立大学大学院 医学研究科 脳神経外科学、
2
名古屋市総合リハビリテーションセンター 高次脳機能
1
渓和会江別病院 脳神経外科、2 北海道大学大学院 障害支援部、3 岐阜医療科学大学 保健科学部 看護学科、
医学研究科 脳神経外科、3 北海道大学大学院 医
4
学研究科 核医学分野
名古屋市総合リハビリテーションセンター 放射線科
○間瀬光人 1、深川和利 2、日比野新 2、長野友里 2、
○伊東雅基 1、黒田 敏 2、穂刈正昭 2、中山若樹 2、
阿部順子 3、小川鉄男 2、飯田昭彦 4、蒲澤秀洋 2、
山田和雄
志賀 哲 3、玉木長良 3、宝金清博 2
1
【背景と目的】脳外傷後高次脳機能障害患者では易
【目的】慢性的に脳灌流圧が低下した状態における代
怒性や衝動性による対人関係構築困難、人格機能障
償機構は複雑である。一般には高度に脳灌流圧が低下
害による退行、意欲・自発性の低下などの症状がし
したために安静時脳血流量(CBF)および脳血管反応
ばしばみられる。これら社会的行動障害は患者の社
性(CVR)が低下した(Type3 虚血)領域では、代償
会参加の大きな妨げとなっているにもかかわらず、
機構として既に脳血液量(CBV)が最大限に上昇して
その客観的評価は難しく病態生理も明らかではない。
いると言われているが、その acetazolamide(ACZ)に
本研究の目的は PET を用いて社会的行動障害の重
対する反応性は明らかにされていない。今回、われわ
症度と局所脳酸素代謝の関係について検討すること
れは脳灌流圧が高度に低下した状態における病態生理
である。【対象と方法】対象は脳外傷後高次脳機能
をより明らかとする目的で、Type3 虚血を有する例に
障害患者で社会的行動障害が見られた 18 症例(M:
おける安静時 CBV および ACZ に対する CBV 反応性に
F=14:4、平均 27.7 才、受傷後平均 32.8 ヶ月)であ
ついて検討したので報告する。【対象および方法】2004
る。社会的行動障害の診断は受傷を契機として出現
年から 2010 年に北海道大学病院脳神経外科に入院し内
した日常・社会生活に支障を来す問題行動があるも
頚動脈あるいは中大脳動脈の閉塞または高度狭窄と診
のとした。症状の重症度は The Global Assessment
断された患者のうち、15O-gas PET で安静時 CBF およ
of Functioning(GAF)Scale を用いて評価した。全
び CVR 両者が低下した Type3 虚血の 21 例 25 側を対象
症例に PET を施行し、局所脳血流(CBF)と局所
とした。内訳は男性 9 例・女性 12 例、年齢は 33 歳から
脳酸素代謝(CMRO2)および GAF scale との相関
72 歳(平均 58.3 歳)であった。中大脳動脈領域皮質の
について検討した。【結果】GAF scale のばらつき
CBF・CBV・CMRO2・OEF の ほ か、ACZ 負 荷 時 の
は 40 点(社会参加はしているが継続が危ぶまれる
CBF および CBV を測定し各々の反応性を算出した。
状態)から 80 点(わずかな症状があるが、有意義
【 結 果 】15O-gas PET 上、25 側 全 て で CBF お よ び
な社会生活を送れる状態)で平均 62.3 点であった。
CVR が低下していた(Type 3)。しかし、OEF が上昇
61 点以上(軽症群 11 例)と 60 点以下(重症群 7
し て い た の は 25 側 中 8 側(32 %) で あ っ た。 安 静 時
例)の 2 群に分けると、CBF については両群間に
CBV は OEF 上昇群、OEF 正常群ともに上昇していた
差はなかったが、CMRO2 については両側後頭葉、
が、ACZ 負 荷 に て OEF 上 昇 群 で は 8 側 中 5 側 で、
両側上側頭回、左中 / 下側頭回、左尾状核、左島、
OEF 正常群では 17 側中 17 側で CBV がさらに上昇した。
左海馬周囲、右視床 / 視床下部、右橋、両側小脳に
いわゆる盗血現象が認められた 2 例では OEF と安静時
おいて重症群で有意に低下していた(p < 0.05)。
CBV が上昇しており、CBV は ACZ 負荷後も増加しな
【結論】社会的行動障害を有する患者の重症例では、
かったが、それ以外の症例では CBV の ACZ 反応性に
従来報告されている高次脳機能障害患者の脳血流低
大きなばらつきがみられ一定の傾向を見出すのは難し
下部位としてはあまり指摘されていない両側上側頭
かった。【結語】高度に脳灌流圧が低下した症例では安
回の酸素代謝が低下することが明らかとなった。そ
静時 CBF および CVR 両者が低下しているにも拘らず、
の症状発現機序との関係については不明でさらに検
必ずしも CBV は最大限に増加しておらず、多くの症例
討を要する。
で ACZ に対する CBV 反応性が残存している。Type 3
虚血における ACZ に対する CBF 反応性の低下には、
より複雑な機構が関与していると考えられた。
─117─
O3-2
O3-3
脳機能抑制による局所脳有効酸素拡散能の変
化
15
O- ガス迅速 PET 法のシステム構築と正当
性評価
1
1
独立行政法人 放射線医学総合研究所 分子イメ
ージング研究センター 先端生体計測研究プログラ
ム、2 秋田県立脳血管研究センター 放射線医学研
究部
国立循環器病研究センター研究所、2 香川大学医学
部、3 国立循環器病研究センター放射線部
○飯田秀博 1、堀 祐樹 1、三宅義徳 1、林 拓也 1、
越野一博 1、山内美穂 1、圓見純一郎 1、銭谷 勉 1、
1
2
1
1
久冨信之 2、福島和人 3、森田奈緒美 3
○伊藤 浩 、茨木正信 、正本和人 、川口拓之 、
田桑弘之 1、谷口順子 1、菅野 巖 1
【目的】毛細血管から脳組織への酸素供給を説明す
一連の 15O- 標識ガスを使った PET では局所酸素代
る Hyder らのモデルでは、有効酸素拡散能(D)、
謝量(CMRO2)、局所脳血流量(rCBF)、酸素摂取
脳血流量(CBF)、および脳酸素摂取率(OEF)の
率(CBV)を定量計測することが可能であり、脳
関係は OEF=1-exp(-D/CBF)と定義されており、
虚血性疾患の病態理解に重要な役割を担う。近年当
脳 酸 素 消 費 量(CMRO2) は CMRO2=Ca・CBF・
学研究グループでは、およそ 6 分間の一回撮像中に
OEF(Ca: 動 脈 血 中 酸 素 濃 度 ) で あ る。Crossed
複数の放射性ガスを合成し供給するのみで上記定量
cerebellar diaschisis(CCD)は神経繊維連絡を介
画像を撮像する迅速 PET 検査法が開発され、動物
し た 脳 神 経 機 能 抑 制 で あ る が、CCD の 領 域 で は
実験などでその妥当性が確認された。本研究ではそ
CBF の低下の程度は CMRO2 の低下よりも大きく、
の妥当性を健常成人を対象に確認することを目的と
OEF は上昇することが報告されている。本研究で
した。
は、CCD に お け る D の 変 化 に つ い て 検 討 し た。
方法
【方法】CBF 画像上 CCD を呈する閉塞性脳血管障
健常者 7 名を対象に、15O- 標識水 =15O 標識酸素ガ
害患者 11 名を対象に PET および O-15 標識トレー
ス、15O 標識酸素ガス =15O 標識二酸化炭素ガスの
サーによる CBF、OEF、CMRO2、および脳血液量
組み合わせでそれぞれ短時間間隔で投与しながら、
(CBV) の 測定を施行し、CBF および OEF よ り
さらに Diamox 静注の後に 15O 標識酸素ガス =15O-
D 値を計算した。両側小脳半球に関心領域を設定
標識水を投与しながらダイナミック PET 撮像を合
し、これらの測定値の非 CCD 側に対する CCD 側
計2回施行した。安静時に行ったそれぞれのデータ
の比(CCD 側 / 非 CCD 側 -1)を脳機能抑制によ
か ら DARG 法 で CMRO2,CBF, OEF を、 か つ 1 お
る変化率として検討した。【結果】脳機能抑制によ
よび2回目スキャンの初期データから ARG 法にて
る CBF、OEF、CMRO2、CBV の変化率はそれぞ
同様の画像を計算し、それぞれの一致を確認し、
れ、-27 ± 8 %、10 ± 6 %、-20 ± 9 %、-25 ± 32 %
Diamox 投与後の上昇を確認した。
で あ り、CBF、CMRO2、CBV の 有 意 な 低 下、
結果
OEF の有意な上昇がみられた。また、D の変化率
2回に対する DARG 法および ARG 法により得ら
は -17 ± 10%であり、有意な低下がみられた。Ω
れた安静時の CMRO2, CBF, OEF 値は概ねよく一
(=D の変化率 /CBF の変化率)は 0.60 ± 0.30、Ψ
致し、かつ Diamox 投与後の CBF 値は有意に上昇
(=CMRO2 の 変 化 率 /CBF の 変 化 率 ) は 0.73 ±
した。
0.19 であった。【考察】以前に報告した脳賦活時で
考察と結論
の検討では D 値の有意な上昇はみられなかったが、
迅速診断法の妥当性は確認されたが、放射性ガスの
脳機能抑制では CMRO2 低下に対応して CBF およ
連続合成は煩雑であり、投与毎の純度検定を含む標
び D 値が低下することが示された。D は毛細血管
識合成環境の自動化が望まれた。またガス供給マス
血液量に比例するパラメーターであるが、脳機能抑
クに基づく生理的変化を最小化する工夫や、さらに
制による CBF 低下時には CBV も低下しており、
高感度化された PET 装置を利用した定量撮像法の
脳機能抑制による D の低下との関連が示唆される。
最適化が必要である。
─118─
O3-4
O4-1
15
O 標識ガス定常吸入法によるラット脳血
流・酸素代謝評価
プラーク性状と頭蓋内血行動態評価に基づい
た CAS 手技の選択
1
岡山大学大学院 脳神経外科
大阪大学大学院 医学系研究科 核医学講座、2 大
阪大学大学院 医学系研究科 医薬分子イメージン
グ学、3 大阪大学 免疫学フロンティア研究センタ
○菱川朋人、大熊 佑、伊丹尚多、徳永浩司、杉生
憲志、伊達 勲
ー、4 大阪大学医学部付属病院
○渡部直史 1、下瀬川恵久 1、渡部浩司 2、金井泰和 2、
加藤弘樹 1、今泉昌男 3、巽 光朗 1、礒橋佳也子 1、
花岡宏平 1、上口貴志 4、畑澤 順 1
【目的】15O 標識ガスの定常吸入法による正常ラッ
【目的】CAS における合併症対策として、遠位塞
トの脳血流および酸素代謝の定量評価を行う。【方
栓に対して protection device(PD)の選択、過灌
法】麻酔下の正常ラット 3 匹(8 週齢、256 ± 4.9g)
流高危険群に対しては控えめな経皮的血管形成術を
に尾動脈あるいは大腿動脈よりカニューレを挿入し、
行い、後日 CAS を行う staged angioplasty(SAP)
動脈ラインを確保した。気管切開を行った後に気管
の選択が挙げられる。遠位塞栓並びに過灌流高危険
内にカニューレを挿入し、人工呼吸器に接続した
群を MRI プラーク診断と SPECT による血行動態
15
(換気量 : 180ml/min)。 O ガス供給装置からのル
評価で術前にトリアージを行い、その結果に応じた
ートを人工呼吸器に接続し、15O-CO2(約 50MBq/
CAS 手技の選択の有用性について検討した。【方
15
min)と O-O2(約 100MBq/min)の安定した換気
法】MRI プラーク診断は MPRAGE 法を用い、プ
を行い、定常吸入法(Frackowiak 法)による脳血
ラークと胸鎖乳突筋の信号比が 200%以上を高信号
流・酸素代謝の PET 定量計測を行った。定常状態
と 定 義 し た。MPRAGE 高 信 号 は 病 理 学 的
の確認後、入力関数として動脈カニューレより採血
vulnerability が 高 い こ と が 報 告 さ れ て お り、
を行い、全血・血漿の RI カウント(cps/g)およ
MPRAGE による PD の選択基準(高信号は balloon
び動脈血液ガスを測定した。検査中は体温のモニタ
protection(BP)、低信号は filter protection(FP))
リングを行い、直腸温が 37 度前後に維持されるよ
を設けた。保険収載以降 FP のみを使用した 49 例
うにヒートパッドを用いて保温を行った。麻酔は
と MPRAGE に よ る PD の 選 択 を 行 っ た 26 例
midazolam、xylazine、butorphanol の 筋 肉 内 注 射
(FP:17 例、BP:9 例)を対象とし、治療成績を比較
にて行った。【結果】15O-CO2 ガス、15O-O2 ガスは
した。過灌流高危険群は SPECT により重度脳血流
いずれも吸入開始 10 分後には脳のカウントは定常
不全(Stage2 相当)と判断した症例(13 例)とし、
状態に達していた。PET 画像および動脈血カウン
これらに SAP を選択し治療成績を検討した。【結
トから計算された全脳平均の定量値は以下の通りで
果】FP のみを使用した症例の周術期虚血合併症は
あった(脳血流量 : 33.1 ± 4.4ml/100g/min、脳酸素
10 %、30 日 後 morbidity は 4 % で あ っ た が、
15
消費量 : 4.42 ± 0.56ml/100g/min)。【結論】 O-CO2
MPRAGE による選択的 PD 導入以降、周術期虚血
および 15O-O2 の定常吸入法による脳血流・酸素代
合併症、30 日後 morbidity 共に 0%であった。SAP
謝の定量評価を行った。今後、虚血モデルなどへの
を選択した症例の平均狭窄率(NASCET)の経時
応用が可能と考えられる。
的変化は術前 92%、血管形成術後 67%、CAS 後 23
%であった。術後過灌流を来たした例は 0%であり、
塞栓性合併症も 0%であった。【結論】MRI プラー
ク診断や SPECT による CAS 合併症の高危険群の
術前のトリアージにより、それに応じた CAS 手技
の選択を行うことで成績向上につながると考えられ
る。
─119─
O4-2
O4-3
脳梗塞急性期頸動脈ステント留置術の周術期
脳循環動態の検討
頸動脈ステント留置術後脳内局所酸素飽和度
に変化:側副血行路の重要性
1
1
広南病院 血管内脳神経外科、2 広南病院脳神経外
3
埼玉医科大学国際医療センター 脳卒中センター 脳血管内治療科、2 埼玉医科大学 国際医療センタ
科、 東北大学脳神経外科
○遠藤英徳 1、松本康史 1、近藤竜史 1、清水宏明 2、
冨永悌二 3
ー 核医学科
○山根文孝 1、石原正一郎 1、神山信也 1、金澤隆三
郎 1、嶋口英俊 1、吉原智之 1、落合育雄 1、上宮
奈穂子 1、根木宏明 1、松田博史 2
【目的】脳梗塞急性期の頚動脈ステント留置術
【はじめに】頸動脈ステント留置術(carotid artery
(CAS)の有効性や周術期脳循環動態は明らかで
stenting: CAS)直後において局所脳血流は増加し、過
ない。今回当院で脳梗塞急性期に CAS を施行した
灌 流 状 態 に あ る こ と が 多。 こ れ ま で、SPECT、
症例について、治療成績及び周術期脳循環動態を後
perfusion CT(CTP)、MR perfusion、経頭蓋ドップラ
方視的に検討した。
ー(TCD)、近赤外線モニター(rSO2)などはその発
【方法】2008 年 1 月から 2011 年 6 月までに脳梗塞
見に有用とされている。今回、局所脳酸素飽和度の変
急性期に CAS を施行した 10 例を対象とした(男
化に注目し、術後に留置側とし健側との数値が逆転し
9/ 女 1、67-85 歳、平均 75 歳)。全例内科治療開始
た症例について、局所脳血流(CBF:cerebral blood
後も神経症状が動揺もしくは進行する症例で、最終
flow)、脳血管造影所見とを比較検討したので報告する。
発作から 3-24 時間(平均 6.5 時間)で CAS を施行
【対象および方法】対象は 2007 年 4 月から 2011 年 6
し た。 こ れ ら の 症 例 に 対 し、 術 前 後 の MRI・
月まで CAS 施行した 138 症例中検査を施行した 45 症
SPECT 所見及び転帰を検討した。
例、男 : 女 36:9 例、平均年齢は 69.3 歳。 局所酸素飽和
【結果】脳梗塞の原因として、頚動脈プラークによ
度 rSO2 測定は INVOS を用いた。脳局所酸素飽和度で
る NASCET90%以上の頚部内頚動脈狭窄を全例で
術前低下したものが術後上昇に転じた症例を A 群、不
認めた。血管撮影では、狭窄部位以遠に循環遅延を
変の群を B 群とした。 CAS 前後で CT perfusion を
伴っていた。全例で術前の Perfusion MRI もしく
行 い、CBF、CBV(cerebral blood volume)、 お よ び
は SPECT 所 見 と 拡 散 強 調 画 像(DWI) 所 見 に
TTP(time to peak)を測定した。脳循環予備能の測
mismatch を認めた。CAS 施行後より神経症状の進
定は定量的 SPECT(QSPECT)を用いた。【結果】A
行及び DWI での脳梗塞拡大は停止した。8 例にお
群は 5 症例。A・B 両群ではいずれも脳循環予備能に
いて、術後 IMP-SPECT で CAS 施行側の大脳半球
障害を有していたが、その程度は A・B 群で有意差を
に一過性高灌流領域が出現した。厳重な血圧管理を
認めなかった。A 群では CAS 前後での CTP の測定で
行い、過灌流症候群を呈した症例はなかった。退院
はそれぞれのパラメーターは有意に変動した。特に A
時の NIHSS は平均 5.4 で、治療直前(平均 12)と
群 で は B 群 に 比 し CBF 増 加、CBV 増 加、TTP の 減
比較して改善していた。
少は大きかったが、有意な変動を認めなかった。術前
【結語】脳梗塞急性期 CAS は安全で有効な治療と
後の TTP 変動をΔTTP とすると、A・B 両群の変動
考えられた。周術期脳循環動態の把握により、安全
に有意差は無かった。ΔTTP が著しい変動を示す症例
な周術期管理が可能になると思われた。
では術後過灌流症候群を生じやすい傾向にあった。一
方、A 群の5症例全例で脳血管造影上側副血行は不良
で、B 群での多くは側副血行路の発達は比較的良好で
あった。【結語】術中測定していた局所酸素分圧の変
動が著明な症例では、脳循環予備能が 30%以上の増加
を示した症例を含め、術直後の脳血流の増加は著明で
あった。これは血流が減少しつつも中大脳動脈領域に
固有の血流が残存しかつ側副血行路を有しない症例で
は特に注意する必要があると考えられた。
─120─
O4-4
O5-1
多発性脳血管病変を合併した頸動脈狭窄症に
対する頸動脈ステント留置術
頚動脈アテローム硬化症の分子病態に関する
検討
1
1
日本大学 医学部 脳神経外科、2 相模原協同病院 3
三重大学 神経内科、2 三重大学 脳神経外科、3
鈴鹿回生病院 脳神経外科、4 国立病院機構三重病
脳血管内治療科、 相模原協同病院 脳神経外科
○須磨 健 1、渋谷 肇 2、高田能行 1、中村 真 1、
松崎粛統 1、梅沢武彦 3、石原隆太郎 3、片山容一 1
院 臨床研究部
○新堂晃大 1、種村 浩 2、矢田健一郎 1、朝倉文夫 2、
当麻直樹 2、坂井田博司 2、濱田和秀 3、藤澤隆夫 4、
滝 和郎 2、冨本秀和 1
【目的】脳血管病変を合併した頸動脈狭窄症に対す
目的 : ヒト生体内におけるプラーク不安定化の分子
る頸動脈ステント留置術(CAS)では、血行再建に
機構を解明する。対象 : 頚動脈アテローム硬化症に
よる脳血流の変化と合併症を予測して治療戦略を立
対し頚動脈ステント留置術(CAS)を施行した患
てることが重要と考えられる。そこで、頸動脈狭窄
者 26 例、頚動脈内膜剥離術(CEA)による組織標
症に脳血管病変を合併しているため、CAS に際し
本を検討した。方法 : 術前 MRI でプラークを不安
て複数手技が必要であった症例について検討したの
定、安定に分類した。術前動脈ライン、CAS 前後
で報告する。【対象】2004 年 1 月から 2011 年 6 月
の狭窄部から血液を採取し、CAS 施行時に回収し
までに当施設および関連病院で頸動脈狭窄症に対し
た塞栓子のパラフィン切片を作成した。血液サンプ
て CAS を行った 128 例中、脳血管病変を合併した
ルでは IL-6、IL-10、E-selectin、アディポネクチ
12 例(9.3%)、13 病変を対象とした。合併した脳血
ンを ELISA マルチプレックスビーズアレイシステ
管病変は脳動脈瘤 5 例、6 病変、頭蓋内内頸動脈狭
ム(Luminex)で測定した。塞栓子と CEA 標本は
窄(tandem lesion)6 例、硬膜動静脈瘻 1 例であっ
免疫組織化学法で評価した。結果 :IL-6 値は不安定
た。【結果】脳動脈瘤に対して瘤内塞栓術が 5 例、
プラーク症例の CAS 後狭窄部検体で有意に上昇を
頭蓋内内頸動脈狭窄に対するステント留置術が 6 例、
認めた。IL-10 値は明らかな有意差を認めなかった。
硬膜動静脈瘻に対する液体塞栓物質による経動脈的
E-selectin 値は術前動脈ライン、CAS 前後の狭窄
塞栓術(TAE)が 1 例行われていた。脳動脈瘤合
部において不安定プラーク症例での上昇を認め、ア
併例では、CAS の血流変化による影響があると判
ディポネクチン値は不安定プラーク症例での低下を
断した 4 例では一期的な全身麻酔下の CAS と瘤内
認めた。免疫組織化学的検討では、不安定プラーク
塞栓術を行った。CAS の血流変化による影響が少
塞栓子で IL-6 の発現を認め、CEA 標本では炎症細
ないと判断した 2 例では 1 例で CAS に先行して瘤
胞浸潤部位で認めた。また、E-selectin は不安定プ
内塞栓術を二期的に行い、1 例では経過観察とした。
ラーク塞栓子、CEA 標本でも血管内皮における発
Tandem lesion 例では、CAS のみでは血流改善が
現の増加を認めた。考察 :CAS 後局所サンプルで症
得られないと判断して、頭蓋内内頸動脈へのステン
候性プラーク症例での IL-6 増加が報告されている。
ト留置術は CAS を行った後に一期的に施行した。
今回の検討から(1)IL-6 増加が不安定プラーク局
硬膜動静脈瘻合併例では、access route の問題と脳
所での産生と関連すること、(2)アディポネクチン
血流への影響を考慮して、硬膜動静脈瘻に対する
が傷害血管において接着分子の発現を抑制し、プラ
TAE を先行させてから CAS を一期的に行った。
ークの不安定化に関与していることが示唆された。
治 療 成 績 は Glasgow Outcome Scale で GR が 8 例、
MD が 3 例であり、治療による症状悪化例は認めら
れなかった。【結語】CAS による脳血流の変化を予
測し、十分な治療戦略を立てることで脳血管病変を
合併した CAS を安全に行うことが可能であった。
─121─
O5-2
O5-3
フィルターデバイスを用いた CAS における
NIRS の有用性 経上腕動脈法による頸動脈ステント留置術
1
2
奈良県立医科大学 脳神経外科、 奈良県立医科大
学 放射線科、3 奈良県立奈良病院 放射線科
湘南鎌倉総合病院 脳卒中診療科
○岩田智則、森 貴久、田尻宏行、宮崎雄一、中崎
公仁
○中川一郎 1、和田 敬 2、中川裕之 3、弘中康雄 1、
本山 靖 1、朴 永銖 1、吉川公彦 1、中瀬裕之 1
【目的】CEA の周術期や balloon occlusion を用い
背景・目的:頸動脈ステント留置術(CAS)は主
た CAS における NIRS の有用性については報告さ
に経大腿動脈アプローチで施行されることが多いが、
れ て い る。 現 在 の CAS 手 技 に お い て embolic
経上腕動脈的に CAS を行った方がより低侵襲で患
protection device(EPD)として filter が用いられ
者負担は少ない。当科での経上腕動脈的 CAS の経
ることが多く、今回我々はフィルターデバイスを用
験を報告する。対象・方法:当科では 2010 年 10 月
いた CAS における NIRS の変化とその有用性につ
以降、上腕からのアクセスルートに問題がある症例
い て 検 討 し た。【 方 法 】2010 年 1 月 か ら 2011 年 5
を除き、待期的 CAS では経上腕動脈法を基本とし
月においてフィルターデバイス EZ filter または
た。 局 所 麻 酔 下 で 右 上 腕 動 脈 を 穿 刺 し、6Fr
Angioguard XP を 用 い て CAS を 行 な っ た 28 例
Guiding sheath(Medikit 社)を患側総頸動脈に挿
(男性 21 例、女性 7 例)を対象とした。Stent 留
入し、頸動脈ステント留置術を施行した。手技の容
置 前 後 の NIRS の 各 パ ラ メ ー タ ー(O2Hb, cHb,
易さ、手術成功率、周術期合併症を検討した。結
HHb, TOI, nTHI)の変化について Acom cross flow、
果:2010 年 10 月―2011 年6月の約9か月間に、経
MRI plaque image、術中 slow flow 出現等との関連
上腕動脈的・待機的 CAS を 35 例に施行した。全
について検討を行なった。【結果】症候性が 14 例、
例で経上腕動脈アプローチで手技を完遂できた。経
Acom cross flow は 9 例で無しまたは不良であった。
大 腿 動 脈 法 に 途 中 変 更 し た 症 例 は 無 く、 全 例 で
EPD は 3 例で Angioguard XP、25 例で EZ filter を
CAS に成功した。大腿穿刺と比べ早く座位・歩行
用 い た。Stent は 5 例 で Precise stent、23 例 で
と進めることができた。周術期合併症は 3 例(過灌
Carotid Wallstent を使用した。手技は全例で成功
流症候群 1 例、遷延性低血圧 1 例、上部消化管出血
し、術後 DWI 陽性は 4 例(14.3%)でありいづれ
1例)に起きたが、神経症状を残したものはなく、
も無症候性であった。Acom cross flow が不良であ
上腕動脈法と関係ある合併症も無かった。結論:経
る例では pre-/post-balloon inflation の際に TOI の
上腕動脈的 CAS は容易でより低侵襲で安全な手技
有意な低下を認めた。stent 留置後に TOI が有意に
であった。
上昇した例は認めなかった。術中 slow flow を呈し
た 3 症 例 で は cHb/O2Hb/TOI の 低 下 を 認 め た。
【結論】フィルターデバイスを用いた CAS を行な
う 場 合 に お い て も NIRS は 簡 便 か つ 低 侵 襲 な
monitoring として有用であると考えられた。
─122─
O6-1
O6-2
術中低体温を用いた頸動脈内膜切除術
頚動脈内膜剥離術後の過灌流の予測因子―
acetazolamide か? OEF か?
日本大学 医学部 脳神経外科学
○村田佳宏、江里口隆、星野達哉、藤原徳生、加納
恒男、平山晃康、酒谷 薫、片山容一
北海道大学医学研究科 脳神経外科
○新保大輔、黒田 敏、中山若樹、宝金清博
[ はじめに ] 頸動脈内膜切除術(CEA)の周術期に、
【目的】頚動脈内膜剥離術(CEA)後の過灌流の
脳虚血や過灌流症候群などの合併症を早期診断また
発生には、術前の脳循環動態が大きく影響している
は防止するため、様々な術中術後管理が行われてい
ことが判明している。特に acetazolamide(ACZ)
る。本研究は、術中低体温を用いた CEA の検討で
に対する反応性が低下している症例では約 7.7%~
ある。[ 方法 ] 対象は CEA において術中低体温を
67%に過灌流が生じるとされている。しかし、術前
施 行 し、 目 標 体 温 の 得 ら れ た 高 度 内 頸 動 脈 狭 窄
の PET パラメータと CEA 後の過灌流との関連を
(NASCET: 70 ~ 99%)114 例であった(男:女=
詳 細 に 検 討 し た 報 告 は 少 な い。 今 回、 術 前 の
86:28、年齢 60 ~ 79 歳)。対象は全例で、一過性
SPECT/PET 所見と術後の過灌流との関連を検討
脳虚血発作もしくは脳梗塞で発症し、手術施行時に
したので報告する。【対象と方法】対象は 2006 年
ADL は自立していた。術前は心機能のスクリーニ
10 月以降、内頚動脈狭窄症のために当院で CEA を
ングを行い、虚血性心疾患を有する例では循環器科
実施した 35 症例である。年齢は 35 ~ 84 歳、男性
での治療を先行させた。術中低体温は膀胱温を指標
は 30 例、女性は 5 例であった。15O-gas PET およ
に行い、頸動脈遮断時に膀胱温 34℃を目標に管理
び 123I-IMP SPECT を実施した。安静時の脳血流量
を行った。低体温は冷水ブランケットを用い、体温
(CBF)の低下が著しい症例では ACZ 負荷試験を
の低下が得られにくい例においては輸液の冷却を行
実 施 し な か っ た。 術 後 は Day 0, Day 2, Day 7 に
った。術中のモニタリングとして、頸動脈遮断時の
SPECT にて過灌流の有無を評価した。【結果】35
内頸動脈の stump pressure、近赤外分光法を用い
例 中 10 例(28.6 %) に 過 灌 流 を 認 め た。 術 前 の
た局所脳皮質酸素飽和度(rSO2)および脳波を測
SPECT に て ACZ 反 応 性 が 低 下 し て い た 9 例 中 6
定した。内シャントはモニタリングを指標として、
例(66.7%)で過灌流が発生した。術前の PET に
選択的に使用する方針で手術を行った。 [ 結果およ
て OEF が上昇していた 5 例全例で過灌流が生じた。
び総括 ] 内シャントは全例で使用しなかった。頸
過灌流が確認された症例では術直後から降圧剤、鎮
動脈遮断時に目標体温の得られた全対象で、術後に
静などの治療を実施したため、いずれも症候化はし
虚 血 性 合 併 症 を 認 め な か っ た。 頸 動 脈 遮 断 時 の
なかった。術直後から過灌流を認めたものは 10 例
stump pressure、rSO2 の低下および体温は平均で
中 8 例で、5 例(62.5%)で 7 日後にも過灌流が持
各々 45 ± 12mmHg、2.9 ± 1.6%、33.9 ± 0.3℃であ
続していた。【結語】内頚動脈狭窄症において高度
った。脳波変化は認められなかった。低体温に起因
の血流 - 代謝ミスマッチが存在する症例では、ほぼ
すると考えられる合併症の発生は認められなかった。
全例で CEA 術後に過灌流が生じる。術直後から過
CEA において術中低体温を用いることで、内シャ
灌流が生じる例では 7 日間以上、過灌流が遷延する。
ントの必要性は低下すると考えられた。これは低体
内頚動脈高度狭窄例では周術期の脳循環動態の把握
温による虚血耐性が関与し、低体温を用いることで
が合併症を予防する上で重要であり、術後過潅流を
より安全かつ簡便な CEA が可能になると考えられ
予測するために、術前の SPECT における ACZ 反
た。CEA における術中低体温は、合併症も少なく
応性だけではなく、PET で OEF が上昇しているか
有益な方法と考えられた。
どうかを知ることが有用である。
─123─
O6-3
O6-4
頸動脈内膜剥離術におけるインドシアニング
リーンによる術中血管造影の有効性
頸 動 脈 内 膜 剥 離 術 中 の rSO2 monitoring
の pitfall
日本大学 医学部 脳神経外科
長崎大学病院 脳神経外科
○藤原徳生、江里口隆、星野達哉、村田佳宏、加納
○陶山一彦、竹下朝規、石坂俊輔、宗 剛平、堀江
恒男、平山晃康、酒谷 薫、片山容一
信貴、林健太郎、永田 泉
[ 背景 ] 頸動脈内膜切除術(carotid endarterectomy
[ 目的 ] 頸動脈内膜剥離術(CEA)において、rSO2
; 以下 CEA)は頸動脈高度狭窄に対する確立した外
monitoring は術中虚血や術後過灌流予測のための
科治療である。その手術は高い安全を保つために術
有効な手段である。当科では selective shunting の
中の脳虚血評価として脳波、stump pressure 近赤
立場から NIRS、SEP および血流遮断時の内頸動脈
外分光法を用いた局所脳皮質酸素飽和度などの様々
stump pressure 測定を行っているが、今回 CEA 術
なモニタリングが使われている。しかし切開範囲を
中の rSO2 monitoring における pitfall を報告する。
決定する際に必要な狭窄範囲の同定は術前の血管造
[ 対 象 ] 2009 年 ~ 2010 年 に CEA を 行 っ た 連 続 20
影所見などから想定する事が一般的である。一方私
症例(男性 18 例、女性 2 例)で平均年齢 69.3 歳、
どもは浅側頭動脈中大脳動脈吻合術におけるインド
NASCET での平均狭窄率 76.1%であった。NIRS は
シアニングリーン(indocyanine green ; 以下 ICG)
INVOS 5100 を 使 用 し 両 前 額 部 で の rSO2 変 化
による術中血管造影の有効性について示してきた。
(ΔrSO2)を記録した。[ 結果 ] rSO2 値は平均血圧
そこで CEA において内膜剥離前に術中血管造影を
と相関して変動し、手術開始から血流遮断までに有
行うことにより剥離範囲を決定する事を試みた。ま
意 な 低 下 を 示 し た 10 症 例(50 %) で は 体 血 圧 を
た内膜剥離後に血管造影を行うことにより血流再健
15-20%上昇させ rSO2 値を一定させてから血流遮
を確認する事を試みた。 [ 対象 ] 2010 年 1 月から
断 を 行 っ た。 こ の 条 件 下 に 5 例 で SEP 振 幅
2011 年 6 月までに当施設で CEA を施行した頸動脈
(N20-P25) が 50 % 以 上 低 下、 ま た 5 例 でΔrSO2
狭窄患者 13 例(男性 13 名、71.5 ± 5.3 歳)。[ 方法 ]
が 6%以上変化したため全 6 例(30%)で内シャン
CEA 手術中に頸動脈の内膜剥離前後に ICG(第一
トを使用した。遮断時のΔrSO2 変化は狭窄度には
三共社製ジアグノグリーン 25mg/10ml)を経静脈
関連せず、stump pressure とは有意な相関が見ら
的に 4ml 投与し手術用顕微鏡(Carl Zeiss Meditec
れた。ΔrSO2 変化(6%以上)の SEP 振幅低下に対
社製 OPMI Pentero)を用いて観察した。 [ 結果 ]
する感度は 80%、特異度は 93%であった。シャン
内膜剥離前での血管造影では 13 例中 10 例で頸動脈
ト使用群・非使用群とも術中虚血による合併症や術
の狭窄範囲がはっきりと描出されたものの 3 例では
後の過灌流症候群は認めなかった。[ 考察 ] SEP 変
狭窄範囲が不鮮明であった。内膜剥離後での血管造
動に対するΔrSO2 の感度が低いのは側副血行(前
影では 13 例全例で狭窄が解除され血流が良好にな
交通動脈)の形態により偽陰性が生じるためと考え
っていることが確認できた。 [ 結語 ] CEA 術中の
られる。CEA 周術期の rSO2 monitoring は簡便で
内膜剥離前後における ICG での血管造影は狭窄範
速効性・再現性に優れるが、体血圧の影響を受ける
囲の同定及び狭窄の解除を確認できる事が示唆され
こ と、 な ら び に 側 副 血 行 に よ り SEP 所 見 と
た。ただし剥離前の血管造影では光散乱のため狭窄
discrepancy を生じる可能性があることから解釈に
範囲が不鮮明な症例が存在し注意が必要であると考
は注意を要する。 えられた。
─124─
O7-1
O7-2
内側側頭葉てんかんにおける中枢性ベンゾジ
アゼピン受容体と糖代謝の分布
脳神経外科手術後の不完全な虚血性変化にお
ける神経細胞 viability 評価の有用性
大阪大学大学院 医学系研究科 脳神経外科学
1
○細見晃一、貴島晴彦、押野 悟、齋藤洋一、吉峰
俊樹
国立循環器病研究センター 脳神経外科、2 国立循
環器病研究センター 放射線部、3 国立循環器病研
究センター 画像診断医学部
○中江卓郎 1、福田健治 1、賀来泰之 1、中嶌教夫 1、
片岡大治 1、福島和人 2、森田奈緒美 2、飯田秀博 3、
飯原弘二 1
【目的】我々は、Iomazenil SPECT(IMZ-SPECT)
【背景】
を用いて側頭葉てんかん患者の脳において、中枢性
123
ベンゾジアゼピン受容体が、てんかん焦点のみなら
受容体に結合する iomazenil を tracer として神経細胞密度を
ず隣接部や遠隔部でも減少していることを報告して
評価する検査である。我々は最近、high flow bypass におけ
きた。同様のことが糖代謝(FDG-PET)でも報告
る 中 大 脳 動 脈 一 時 遮 断 後 に 生 じ た slowly progressive
されているが、それぞれの減少部位や分布のパター
neuronal death の一例を経験し、その神経細胞死の進行の検
ンについては詳細には検討されていない。本研究で
出に 123I-IMZ SPECT が有用であることを報告した。今回、
は 内 側 側 頭 葉 て ん か ん 患 者 の IMZ-SPECT と
脳血管外科領域における一時的な血管遮断や一次脳損傷後の
FDG-PET を volume of interest(VOI) ご と に 定
神経細胞 viability を 123I-IMZ SPECT を用いて評価した。
量的に検討し、異常集積低下の分布について検討し
【方法】
た。
対象は、2007 年 4 月~ 2010 年 6 月に手術を施行し、術後
【対象・方法】内側側頭葉てんかんに対し外科的治
MRI において不完全梗塞などの軽微な虚血性変化を認めた
療を施行し、Engel’s class 1 または 2 の良好な結果
7例(もやもや病 1 例、類もやもや病 1 例、内頚動脈狭窄症
が得られた 10 症例を対象とした(平均年齢 23.4 ±
1 例、未破裂動脈瘤 2 例、破裂動脈瘤 1 例)である。術式は、
9.6 歳、男性 3 例、女性 7 例)。術前の IMZ-SPECT
STA-MCA bypass 術 4 例、high flow bypass 併 用 動 脈 瘤
(後期像)と FDG-PET の画像に解剖学的標準化
trapping 術 2 例、動脈瘤 clipping 術 1 例であった。経過観察
を行い、39 の領域(VOI)ごとに、症例間の補正
期間は 49 ~ 603 日(中央値 311 日)。ROI を、MRI で不完
を行った後、てんかん焦点側と非焦点側のカウント
全な虚血が疑われる部位に設定し、急性期(< 3 週)・亜急
を統計学的に比較した。
性 期(3 週 ~ 3 か 月 )・ 慢 性 期( > 3 か 月 ) に 123I-IMZ
【結果】FDG-PET のグループ解析では、全大脳外
SPECT を施行し、経時的変化を検討した。全例片側病変で
側皮質、前頭葉および側頭葉内側皮質、海馬傍回、
あり、健側に対する比で評価した。
扁桃、視床で焦点側の集積が非焦点側に比べて低く
【結果】
I-iomazenil(IMZ)SPECT は、中枢性ベンゾジアゼピン
(p < 0.05)、IMZ-SPECT の 解 析 で は、 海 馬 傍 回、
全ての症例で経過中いずれかの時点において IMZ の集積低
扁桃、被殻、島、後頭葉において焦点側の集積が低
下を認め、その経時的変化は3パターンに分類できた。1)
かった(p < 0.05)。
急性期から亜急性期にかけて、緩徐進行性の低下(対側比-
【結論】糖代謝の低下は大脳広範囲に及んでいる一
41%/ 36 日、- 35%/ 19 日)を示す群:2例(high flow
方、中枢性ベンゾジアゼピン受容体の低下は比較的
bypass 時 の recipient 一 時 遮 断、SAH の primary damage)、
限局しており、基底核や島にも集積低下がみられ、
2)急性期から慢性期にかけてわずかな低下傾向を示す群
糖代謝異常と中枢性ベンゾジアゼピン受容体減少の
( 対 側 比 - 12 % / 6 ヶ 月、 - 9 % / 4 ヶ 月 ): 2 例(high
分布が異なっていることが示唆された。臨床的には
flow bypass 併用の proximal occlusion、もやもや病)、3)
FDG-PET は て ん か ん 焦 点 側 の 判 定 に 有 用 で、
急性期の低下が亜急性期に部分的な回復を示す群:1 例(対
IMZ-SPECT はてんかん焦点の局在を同定すること
側比+ 13%/ 4 ヶ月)を認めた。
に有用と思われた。
【結語】
脳血管外科手術後、不完全な虚血が疑われる症例において、
IMZ SPECT は病態の評価に有用と考えられた。
─125─
O7-3
O7-4
SPECT による認知症を伴わないパーキンソ
ン病と DLB の局所脳血流の検討
局所脳血流から見たアルツハイマー型認知症
における各種薬剤の効果
1
医療法人社団孝尋会 上田脳神経外科
済生会横浜市東部病院 脳神経センター 脳血
管・神経内科、2 済生会神奈川県病院 神経内科
○上田 孝
○村松和浩 1、齋藤充弘 1、長島康洋 1、笠井陽介 1、
久手堅司 1、小倉直子 1、丸山淳子 1、丸山路之 1、
國本雅也 2
【背景・目的】我々は本年の第 52 回日本神経学会
【目的】ガランタミンはアセチルコリンエステラー
学術大会で SPECT による認知症を伴うパーキンソ
ゼ(AChE)阻害作用に加え、ニコチン性アセチル
ン病(PDD)とレビー小体型認知症(DLB)の症
コリン受容体(nAChR)へのアロステリック増強
例を合わせた局所脳血流に相対的な低下部位と増加
作用(APL 作用)を併せ持つ薬剤で、軽度及び中
部位のあることを報告した。今回は認知症を伴わな
等度のアルツハイマー型認知症(AD)の症状進行
いパーキンソン病(PD)と DLB の症例を分けて、
を抑制すると言われている。そこで私は、ガランタ
それぞれ SPECT データを加算し、画像統計解析を
ミンの臨床的効果と局所脳血流量への影響を検討し
行い、相対的血流低下部位及び増加部位の検討を行
たので報告する。
い、2 群間の比較も行った。【方法】PD16 例(平均
【方法】1. 塩酸ドネペジル投与群とガランタミン投
73.9 歳)、DLB10 例(平均 75.7 歳)に 99mTc-ECD
与群の臨床症状の改善度 2. ガランタミン投与前と
を用いた脳血流 SPECT を施行した。I:1. 脳血流
投与 2 ~ 4 ヶ月後の局所脳血流量(rCBF)と血流
SPECT データ(個人)を SPM にてノーマライズ
低下部位の分布と程度の変化(eZIS 又は SSP)を
処理し、2. ノーマライズ処理を行った SPECT デー
観察した。
タを加算(各々 16 例、10 例)し、3. 加算後データ
【成績】1. 塩酸ドネペジル投与群 320 例の症状改善
をスムージング処理し、4.eZIS による統計解析を実
は 42 例(13 %)・ 不 変 180 例(56 %)・ 悪 化 98 例
施した。検定する正常データベースは 70 歳代以上
(31%)、ガランタミン投与群 178 例の症状改善は
のものを用いた。II:PD と DLB の群間比較に関し
94 例(53 %)・ 不 変 76 例(43 %) 悪 化 8 例(4 %)
ては SPM の対応のない 2 群間比較(t 検定)を実
であった。 2. ガランタミン投与により中脳、視床、
施した。【結果】PD 症例においては相対的血流低
線条体の rCBF が有意に増加した。 3.rCBF の低
下部位は両側前頭連合野、左ブローカ野、左下側頭
下が前頭・側頭葉限局型は 21%存在し、内 27%の
回、両側基底核前部に認め、相対的血流増加部位は
みがガランタミンが有効であった。頭頂葉・後部帯
右 上 側 頭 回 ~ 下 頭 頂 葉、 両 側 辺 縁 系 に 認 め た。
状回低下型は 70%存在し、内 84%に効果があった。
DLB 症例では先に報告したとおり、相対的血流低
多発低下型は 9%存在し内 33%が有効であった。
下部位は左優位の側頭頭頂連合野、後頭葉に認め、
【結論】ガランタミンは塩酸ドネペジルに比べ臨床
相対的血流増加部位は右側運動前野、側頭葉前内側
症状の改善・局所脳血流量の増加、特に脳幹から大
部、上側頭回に認めた。2 群間比較の t 検定では有
脳基底核部にかけて有意に血流が増加した。
意差はでなかったが、DLB 症例では PD 症例に比
較して左後頭部、前頭背外側部で血流低下傾向を認
め、右側頭部、運動野で血流増加傾向を認めた。
【考察】PD と DLB の認知機能障害、幻視症状な
どの病態の相違が局所脳血流に反映されている部分
があると考えられた。
─126─
O7-5
O8-1
アルツハイマー病の水チャネル - アクアポリ
ン 1,4(AQP1,4)発現とアミロイドβ病理
に関する検討
脳主幹動脈及び頚部内頸動脈閉塞・狭窄にお
け る 99mTc-ECD dynamic SPECT の 検
討
1
1
福島県立医科大学 神経内科、2 新潟大学脳研究所 山形大学 医学部 脳神経外科、2 山形市立病院済
神経内科、3 新潟大学脳研究所 病理
生館 脳神経外科、3 国立がん研究センター
○星 明彦 1、清水敬子 1、宇川義一 1、西澤正豊 2、
○小久保安昭 1、近藤 礼 2、佐藤慎哉 1、嘉山孝正 3
3
柿田明美 、高橋 均
3
【目的】近年、アルツハイマー病(AD)患者剖検
【 目 的 】 脳 循 環 の 評 価 は IMP-SPECT あ る い は
脳 や AD 動 物 モ デ ル に お け る ア ス ト ロ サ イ ト の
Xe-SPECT によるものが一般的だが、循環予備能
AQP1 および AQP4 が、老人斑(SP)形成やアス
の評価には acetazolamide 投与が必要であり、さら
トロサイト遊走メカニズムに関与することが推察さ
にモヤモヤ病などの両側病変の評価が困難である。
れている。しかし、その AQP 発現アストロサイト
そこで、このような問題点を克服することを目的と
がアミロイドβ(Aβ)サブタイプ 42 および 40 を
して、我々は 60min の dynamic SPECT を施行し、
それぞれ主要な component とする SP やアミロイ
脳主幹動脈及び頚部内頸動脈閉塞・狭窄における脳
ドアンギオパチー(CAA)とどのような関連性を
循環を評価し、その有用性を検討したので報告する。
有するか詳細に検討された研究はない。我々は、
【対象及び方法】対象は脳主幹動脈あるいは頚部内
AD 剖検脳を用いて AQP1、AQP4 発現と Aβ42、
頸動脈に狭窄・閉塞を認めた 14 例(8 例で血行再
Aβ40 沈着の関連性に注目し、検討を行った。【方
建前後で評価)で、男性 9 例、女性 5 例、平均年齢
法】コントロール群、AD 群の剖検脳連続パラフィ
は 55.9 ± 21.1 歳であった。使用した SPECT 装置
ン切片を使用し、側頭葉(上・中・下側頭回皮質)
は SIEMENS 社製 SymbiaT2 で、99mTc-
で の AQP1、AQP4 発 現 お よ び Aβ42、Aβ40 沈 着
ECD600MBq を急速静注し、静注 0 分より 60 分間、
について免疫組織学的に検討した。【結果】コント
360°(180°× 2 検出器)の dynamic SPECT を施行
ロール群では孤立性に AQP1 陽性細胞が認められ、
し た。matrix は 64 × 64、 コ リ メ ー タ は LMEGP
AD 群では形態学的に反応性アストロサイトと思わ
を 用 い 連 続 回 転 モ ー ド で 収 集 し た。dynamic
れる AQP1 陽性細胞の増生を認めた。AQP1 陽性
SPECT は 1 分 間 の 360 °収 集 を 連 続 60 回 行 い、2
細胞はアストロサイトのマーカーである GFAP と
~ 4、14 ~ 16、29 ~ 31、44 ~ 46、58 ~ 60 分の 4
colocalize し、 ま た Aβ42 沈 着 SP と 近 接 し た 像 が
点のカウント数を 3D-SRT の ROI を用いてそれぞ
見られた。しかし、AD 群の Aβ42 沈着 SP が著し
れ 評 価 し た。【 結 果 】IMP-SPECT 上 CVR が 低 下
い領域では AQP1 陽性細胞の増生はむしろ軽度な
している領域では、ECD dynamic SPECT 上 2 ~ 4
傾向があり、画像解析ソフトによる AQP1/ Aβ42
分の時点と比べて、14 ~16、58 ~ 60 分の時点でカ
発現レベルの検討では有意な負の相関関係があった。
ウント数がより低下する傾向であった。これらの変
一方、AD 群の AQP4 免疫染色性は全体的にコント
化は血行再建術後に予備能が改善された領域では消
ロール群よりも高度であったが、Aβ40 沈着 SP お
失していた。【結論】60min ECD dynamic SPECT
よび CAA 近傍の AQP4 免役染色性に注目すると、
は脳主幹動脈及び頚部内頸動脈閉塞・狭窄における
Aβ40 沈着の程度により AQP4 発現は様々なバリエ
脳循環評価に有用である可能性が示唆された。
ーションを呈していた。【考察】AD の AQP1 およ
び AQP4 発現変化は Aβpathology に関連し、神経
変性プロセスに影響を及ぼす可能性がある。
─127─
O8-2
O8-3
頚動脈狭窄症における皮質領域と穿通枝領域
の血行動態
QSPECT/DT-ARG 法 を 用 い た 脳 SPECT
の施設間および施設内再現性に関する検討
山口大学 医学部 脳神経外科
1
○白尾敏之、石原秀行、岡 史朗、米田 浩、小泉
博靖、篠山瑞也、貞廣浩和、野村貞宏、藤井正
山口大学 医学部 脳神経外科、2 済生会山口総合
病院 脳神経外科
○米田 浩 1、白尾敏之 1、小泉博靖 1、石原秀行 1、
末廣栄一 1、加藤祥一 2、鈴木 倫保 1
美、鈴木倫保
目的:主幹動脈狭窄による血行力学的脳虚血は脳血
背景・目的:SPECT による脳血流の定量値は治療
流検査によって評価されることが多い。今回、頚動
方針を決定する上で極めて重要であり、そのために
脈狭窄症における脳循環予備能の変化を皮質領域と
は検査の再現性の確保が鍵である。方法:異なる
穿通枝領域で比較・検討した。方法:両側頚動脈狭
SPECT 装置を利用している山口大学(γカメラ
窄症(NASCET > 50%)の慢性期症例(27 症例)
GCA-9300A/PI、 コ リ メ ー タ ー LESHR FAN
を対象とした。SPECT(DT-ARG)の 3D-SSP 法
BEAM)とその関連施設である O 病院(γカメラ
で得られたデータをもとに、NEUROSTAT を用い
E.CAM、 コ リ メ ー タ ー LMEGP) の 両 病 院 で
た自動 ROI 設定法で断面像における中大脳動脈皮
SPECT を施行された患者 9 名を対象として施設間
質領域と基底核領域の脳血流量及び血管予備能を測
の再現性を検討した。さらに山口大学で 2 回検査さ
定。得られたデータから血管予備能の局在(基底核
れた 12 名、O 病院で 2 回施行した 20 名を対象とし
領域と皮質領域の差)を計算し、血管狭窄の進行
て 施 設 内 再 現 性 も 検 討 し た。 方 法・ 解 析 は
(中等度(50-90%狭窄)、重度(90-100%狭窄))
quantitative SPECT reconstruction (QSPECT)/
との関係を比較・検討した。正常群(17 症例)は
Dual Table ARG(DT-ARG)法を用い、SEE-JET
ボランティア症例と未破裂動脈瘤症例を対象とした。
解析による MCA 領域の脳血流量を対象とした。結
結果:脳血管予備能(ml/100g/min)は正常群と比
果:1)2 つの施設間で得られた 9 名の脳血流量の
較して頚動脈狭窄群で有意な低下が認められた
相関を検定すると、安静時・負荷時の脳血流値はと
(11.44 ± 6.21 vs 4.94 ± 5.05, p < 0.05)。頚動脈狭
もに相関係数 r =0.88, P < 0.01 と有意な相関を認め
窄症群では重度の狭窄症例は中等度の狭窄症例と比
た。2)山口大学病院内で 2 回施行された 12 名の
較して血管予備能の有意な低下が認められた(6.69
患 者 の 脳 血 流 量 の 相 関 を 検 定 す る と、 安 静 時
± 5.03 vs 2.76 ± 4.23, p < 0.05)。血管予備能の局
r=0.73、負荷時 r=0.77、ともに P < 0.01 と有意な
在の違いは正常群と重度の頚動脈狭窄症群では認め
相関を認めた。3)O 病院での 20 名に関しては安
られなかったが(0.24 ± 2.0, -0.18 ± 2.0)、中等度
静時 r=0.80、負荷時 r=0.95、ともに P < 0.01 と有
の頚動脈狭窄症群では皮質領域に有意な低下が認め
意な相関を認めた。4)Bland-Altman 解析では施
られた(2.0 ± 3.4, p < 0.05)。考察:中等度の頚動
設間、山口大学内、O 病院内の良好な再現性を認め
脈狭窄症群では皮質領域の血管予備能が基底核領域
た。結語:十分に検査手技が統一された環境では異
よりも低下しており局在に有意差が出現した。重度
なった機種の SPECT における QSPECT/DT-ARG
の頚動脈狭窄症群では皮質領域と基底核領域の両者
法により得られた施設間および施設内の脳血流定量
で血管予備能の低下が認められ、結果として局在に
値は良好な相関と再現性をもたらすと考えられた。
有 意 差 が 出 現 し な か っ た。 頚 動 脈 狭 窄 症
(NASCET > 50%)では血管予備能は皮質領域か
ら低下し始め、狭窄の進行(NASCET > 90%)と
ともに穿通枝領域も低下する可能性が示唆された。
─128─
O8-4
O9-1
Brain Easy Analysis Tool-201Thallium を
用いたタリウムシンチによる悪性脳腫瘍と髄
膜腫の鑑別 Iomazenil SPECT を用いた貧困灌流擬似画
像:第一報:PET- 酸素摂取率画像との比較
による検証
蒲郡市民病院 脳神経外科
岩手医科大学 医学部 脳神経外科 ○神田佳恵、杉野文彦、山本光晴、鳥飼武司
○千田光平、小笠原邦昭、黒田博紀、麻生謙太、
小林正和、吉田研二、藤原俊朗、小川 彰
的: Brain Easy Analysis Tool- 201Thallium
【目的】Iomazenil SPECT の後期像で表される大
(BEAT-TL)を用いたタリウムシンチは悪性脳腫
脳皮質のベンゾジアゼピンレセプター結合能
瘍と髄膜腫の鑑別に有用か検討した。対象:未治療
(BRBP) 画 像 が PET 上 の 脳 酸 素 代 謝 量
の頭蓋内占拠性病変を有し病理診断の確定した 21
(CMRO2)画像と比例するのか、さらに SPECT-
名。病理診断の内訳は神経膠芽腫 5 名、星細胞腫 1
BRBP/SPECT- 脳血流量(CBF)画像が PET 上の
名、 髄 膜 腫 10 名、 転 移 性 脳 腫 瘍 5 名。 方 法:
酸素抽出率(OEF)画像と比例するのかを検証し、
201Thallium111MBq/1.5ml を静注し 15 分後に早期
SPECT で貧困灌流画像を描出できるかどうか検討
像を 3 時間後に後期像を撮像した。解析は BEAT-
した。【方法】対象は一側内頚動脈あるいは中大脳
TL を使用した。造影 MRIT1 強調画像にて病変部
動 脈 閉 塞 狭 窄 症 例 3 4 例 で あ る。15O-PET に て
に造影効果を認めるスライスで ROI を設定した。
CBF、CMRO2、OEF 画像を描出、123I-IMP およ
病変側は造影範囲を自由曲線で、健常部は同スライ
び 123I-iomazenil SPECT に て CBF お よ び BRBP
スで異常信号のない部位を矩形で囲った。ピクセル
画像を描出した。さらに、SPECT-BRBP/SPECT-
カウントは病変側は最大値又は平均値を健常側は平
CBF 画像を作成した。3D-SRT を用いて、大脳皮
均値をとり病変側カウント / 健常側カウントを集積
質灌流域ごとに関心領域を設定し、患側 / 健側比を
度とした。病変側のピクセルカウントを最大値で算
算出した。【結果】前大脳動脈、中大脳動脈および
出した集積度を Rmax、病変側のピクセルカウント
後大脳動脈いずれの皮質灌流域においても PET-
目
を平均値で算出した集積度を Rmean、早期像の集
CMRO2 比と SPECT-BRBP 比とは有意の相関を示
積度(ER)に対する後期像の集積度(DR)の割合
した。また、PET-OEF 比と SPECT-BRBP/SPECT-
を Retension Index(RI)とした。結果:神経膠芽
CBF 比との相関も同様であった。SPECT-BRBP/
腫・神経膠腫・転移性脳腫瘍等悪性度の高い腫瘍の
SPECT-CBF 比における PET-OEF 比の異常上昇
RI は全例 0.66 以上だったが髄膜腫も 10 例中 5 例は
の検出精度はいずれの領域も感度 100%、特異度
0.67 以 上 だ っ た。Rmax で 算 出 し た ER と Rmean
80 % 以 上 で あ っ た。【 結 論 】SPECT-BRBP /
で算出した ER の差が髄膜腫では 1.5 以上が 10 例
SPECT-CBF 画 像 は OEF 画 像 と 比 例 し、SPECT
中 8 例を占めた。神経膠芽腫・神経膠腫・転移性脳
で貧困灌流を擬似画像として描出できる(J Nucl
腫瘍は 11 例中 1.5 以上は 1 例だった。考察:RI が
Med, 2011)。
高い場合、悪性腫瘍を疑うが髄膜腫の中にも RI が
高 い 例 も 存 在 す る。Rmax で 算 出 し た ER と
Rmean で算出した ER の差が 1.5 以上の場合は髄膜
腫である可能性が高い。結論:BEAT-TL を用い
たタリウムシンチは髄膜腫と悪性腫瘍の鑑別に有用
と考えられる。
─129─
O9-2
O9-3
Iomazenil SPECT を用いた貧困灌流擬似画
像:第二報:SPECT-diamox 反応性との精
度比較
Iomazenil SPECT を用いた貧困灌流擬似画
像:第三報:トレーサ単回投与の後期 / 早期
画像による可能性
岩手医科大学 医学部 脳神経外科 岩手医科大学 医学部 脳神経外科 ○黒田博紀、小笠原邦昭、鈴木太郎、千田光平、
○鈴木太郎、小笠原邦昭、黒田博紀、山下武志、
麻生謙太、小林正和、吉田研二、藤原俊朗、
千田光平、麻生謙太、小林正和、吉田研二、
小川 彰
藤原俊朗、小川 彰
【目的】Iomazenil SPECT の後期像で表される大
【目的】Iomazenil SPECT の後期像で表される大
脳皮質のベンゾジアゼピンレセプター結合能
脳皮質のベンゾジアゼピンレセプター結合能
(BRBP)画像 /SPECT- 脳血流量(CBF)画像は
(BRBP)画像 /SPECT- 脳血流量(CBF)画像は
脳酸素摂取率画像(OEF)画像と比例する(J Nucl
脳酸素摂取率画像(OEF)画像と比例する(J Nucl
Med, 2011)。一方、貧困灌流の検出にはこれまで
Med, 2011)。 そ こ で、Iomazenil SPECT の 早 期 像
SPECT- CBF + diamox 反 応 性(CVR) が 用 い ら
が脳血流量(CBF)画像と比例するのか、さらに
れてきた。そこで、OEF 上昇で示される貧困灌流
iomazenil 後期像 /iomazenil 早期像 SPECT 画像が
の検出において BRBP/CBF と CBF + CVR のいず
PET 上の酸素抽出率(OEF)画像と比例するのか
れが精度が高いのかを討した。【方法】対象は一側
を検証し、iomazenil SPECT 単独での貧困灌流画
内頚動脈あるいは中大脳動脈閉塞狭窄症例84例で
像描出の可能性につき検討した。【方法】対象は一
ある。15O-PET にて OEF 画像を描出した。同症
側内頚動脈あるいは中大脳動脈閉塞狭窄症例68例
例 に、123I-IMP SPECT を 行 い CBF お よ び CVR
である。15O-PET にて CBF、OEF 画像を描出し
画 像 を 撮 像 し、 ま た 123I-iomazenil SPECT に て
た。同症例に、123I-iomazenil 投与直後から28分
BRBP 画 像 を 撮 像 し、SPECT-BRBP/CBF 画 像 を
間の SPECT スキャンを行い早期像とし、さらに投
作成した。3D-SRT を用いて、中大脳動脈皮質灌流
与後3時間から23分間の SPECT スキャンを行い
域に関心領域を設定し、各パラメーターの定量値を
後 期 像 と し た。 そ し て、iomazenil 後 期 像 /
求めた。SPECT-BRBP/CBF 画像のみ患側 / 健側
iomazenil 早期像 SPECT 画像を作成した。3D-SRT
比を算出した。【結果】SPECT-BRBP/CBF 比にお
を用いて、中大脳動脈皮質灌流域に関心領域を設定
ける患側 PET-OEF 定量値の異常増加(0.52 以上)
し、患側 / 健側比を算出した。【結果】PET-CBF
の検出精度は感度 100%、特異度 86%、陽性予測率
比と iomazenil 早期像 SPECT 比とは有意の相関を
67%、陰性予測率 100%であった。この値は ROC 解
示 し た(r = 0.797,P < 0.0001)。 ま た、PET-
析によると、CBF + CVR における患側 PET-OEF
OEF 比 と iomazenil 後 期 像 /iomazenil 早 期 像
定量値の異常増加の検出精度と有意差はなかった。
SPECT 比との相関も同様であった(r = 0.679,P
また、SPECT-BRBP/CBF 比に CVR を追加すると
< 0.0001)。iomazenil 後 期 像 /iomazenil 早 期 像
その検出精度は特異度 97%、陽性予測率 90%とな
SPECT 比における PET-OEF 比の異常増加の検出
った。【結論】SPECT-BRBP/CBF 比における貧困
精度は感度 100%、特異度 93%、陽性予測率 76%、
灌流(OEF 定量値の増加)の検出精度は SPECT-
陰性予測率 100%であった。【結論】iomazenil 早期
CBF + CVR と同等である。また、SPECT-BRBP/
像 SPECT は CBF 画像を表す。iomazenil 後期像 /
CBF 比でスクリーニングした後に CVR を追加する
iomazenil 早期像 SPECT 画像は OEF 画像と比例し、
とその検出精度はより高くなる(Clin Mucl Med, in
iomazenil SPECT 単独で貧困灌流を擬似画像とし
press)。
て 描 出 で き る(Eur J Nucl Med Mol Imaging,
submitted)。
─130─
O9-4
O10-1
Iomazenil SPECT を用いた貧困灌流擬似画
像:第四報:頚動脈内膜剥離術後脳合併症の
出現予知への応用
In Vivo Optical Imaging for Evaluating
the Efficacy of Edaravone after
Transient Cerebral Ischemia
岩手医科大学 医学部 脳神経外科 岡山大学 医歯薬学総合研究科 脳神経内科
○小笠原邦昭、黒田博紀、鈴木太郎、山下武志、
○劉 檸
千田光平、麻生謙太、小林正和、吉田研二、
藤原俊朗、小川 彰
【目的】頚動脈内膜剥離術(CEA)脳合併症であ
Detection and protection of apoptosis, autophagy
る術中脳塞栓による脳梗塞および術後過灌流の出現
and neurovascular unit (NVU)are essentially
に は 術 前 の 慢 性 虚 血 が 関 与 し、Diamox 負 荷
important in understanding and treatment for
SPECT に て 術 前 予 知 で き る。 一 方、Iomazenil
ischemic stroke patients. In this study, we have
SPECT の後期像で表される大脳皮質のベンゾジア
conducted an in vivo optical imaging for detecting
ゼピンレセプター結合能(BRBP)画像 /SPECT-
apoptosis and activation of matrix metalloproteinases
脳血流量(CBF)画像は脳酸素摂取率画像(OEF)
(MMPs),then evaluated the profective effect of
画像と比例する(J Nucl Med, 2011)。そこで、術前
2 package types of free radical scavenger
SPECT-BRBP/SPECT-CBF 画像は CEA 脳合併症
edaravone(A and B)on apoptosis, autophagy and
である術中脳塞栓による脳梗塞および術後過灌流出
NVU in mice after transient middle cerebral
現を予知できるのかを diamox 反応性(CVR)との
artery occlusion (tMCAO).As compared to
比較で検討した。【方法】対象は一側頚部内頚動脈
vehicle treatment, edaravone A and B showed a
狭窄症に対し CEA を施行した112例である。術
significant improvement of clinical scores and
前 123I-IMP お よ び 123I-iomazenil SPECT を 用 い
infarct size at 48 h after 90 min of tMCAO with
て、CBF、diamox 反 応 性(CVR)、BRBP/CBF 画
great reductions of in vivo fluorescent signal for
像を作成した。3D-SRT を用いて、中大脳動脈皮質
MMPs and early apoptotic annexin V activations.
灌流域に関心領域を設定し、患側 / 健側比を算出し
Ex vivo imaging of MMPSense 680 or annexin
た。さらに術直後に SPECT-CBF 画像、術後24
V-Cy5.5 showed a fluorescent signal, while which
時間以内に拡散強調画像(DWI)を撮像し、術後
was remarkably different between vehicle and
過灌流、術後脳虚血病変の出現の有無をそれぞれ判
edaravone groups, and colocalized with antibody
定した。【結果】BRBP/CBF 比高値は術後過灌流お
for MMP-9 or annexin V. Edaravone A and B
よ び 術 後 脳 虚 血 巣 出 現 に 有 意 に 関 与 し て い た。
ameliorated the apoptotic neuronal cell death in
BRBP/CBF 比における術後過灌流出現の予知精度
immunohistochemistry, and activations of MMP-9
は感度 85%、特異度 92%であり、術後脳虚血巣出
and aquaporin 4 with reducing autophagic
現の予知精度は感度 92%、特異度 73%であった。
activations of microtubule-associated protein 1
ROC 解析による検討では、術後過灌流出現の予知
light chain 3(LC3)in Western blot. In this study,
精度は CVR と同等であったが、術後脳虚血巣出現
edaravone in both packages showed a similar
の 予 知 精 度 は CVR よ り 有 意 に 高 か っ た。
strong neuroprotection after cerebral ischemia,
【結 論】 術 前 SPECT-BRBP/SPECT-CBF 画 像 は
which was confirmed with in vivo and ex vivo
CEA 脳合併症の出現を CVR より高い精度で予知
optical imagings for MMPs and annexin V as well
できる(J Nucl Med, in press)。
as reducing cerebral infarct, inhibiting apoptotic/
autophagic mechanisms, and protecting a part of
neurovascular unit.
─131─
O10-2
O10-3
Amlodipine と Atorvastatin 併 用 に よ る
Zucker ラット脳梗塞モデルにおける神経保
護効果
マウスにおける脳虚血・再灌流負荷時の NO
と OH- 代謝に対する cilnidipine の関与
岡山大学 医歯薬学総合研究科 脳神経内科学 埼玉医科大学 神経内科
○伊藤康男、山里将瑞、西岡亮治、石澤圭介、
佐々木貴浩、荒木信夫
○河相裕美、出口健太郎、出口章子、山下 徹、
太田康之、表 芳夫、倉田智子、池田佳生、
松浦 徹、阿部康二
【背景】現在、脳梗塞に対する治療法は非常に限ら
【目的】今回、我々はマウスにおける脳虚血・再灌
れており、新たな治療法の開発が強く求められてい
流負荷時の NO と OH- 代謝に対する Cilnidipine の
る。そこで本実験では、Amlodipine と Atorvasta-
関与を検討した。【方法】雄性 C57BL/6 マウスを用
tin を肥満モデルラットに単独または併用投与し、
い、虚血 30 分前に Cilnidipine(50μg/kg sc)を投
その効果の違いを検討した。【方法】Zucker ラット
与 し た 群(C 群,n=10) と 非 投 与 群(Cont 群,
(8 週齢雄)を用い、Amlodipine(3mg/kg/ 日)と
n=10)で検討した。左側線条体に微小透析プロー
Atorvastatin(10mg/kg/ 日)を 4 週間経口投与し
ブを刺入し in vivo microdialysis を施行し、NO2- と
た。12 週齢時に 90 分間右中大脳動脈閉塞後、再還
NO3- 濃度は Griess 反応で測定した。また、右側線
流を行い、24 時間後に断頭し組織学的検討を行っ
条 体 に 微 小 透 析 プ ロ ー ブ を 刺 入 し in vivo
た。 実 験 動 物 は Vehicle 群、Amlodipine 投 与 群、
microdialysis を施行、ヒドロキシラジカルはサリ
Atorvastatin 投与群、また Amlodipine と Atorvas-
チル酸をトラップした 2,3DHBA,2,5DHBA 濃度と
tatin 併用投与群の 4 群に分類した。【結果】組織学
し測定した。頭蓋骨上レーザードップラー血流計で
的検討により Vehicle 群に比べ、単独投与で梗塞体
脳血流を測定した。両側総頸動脈をクリッピングし、
積の縮小が見られ、さらにそれは併用投与で顕著で
10 分 間 の 前 脳 虚 血 と し た。【 結 果 】 血 圧:C 群
あ っ た。 ま た 酸 化 ス ト レ ス マ ー カ ー(8OHdG,
(63.9 ± 21.9mmHg;mean ± SD)
4HNE, AGE) お よ び、 炎 症 マ ー カ ー(TNF-a,
(75.6 ± 13.1)に比し、再灌流後 80 分で有意に低
MCP-1)の発現を免疫染色により検討したところ、
値 で あ っ た(p < 0.05)。 脳 血 流:C 群(63.2 ±
Vehicle 群に比べ、Amlodipine 群で陽性細胞数が減
10.5% ; mean ± SD)が Cont 群(74.2 ± 10.4)に比
少し、Atorvastatin 群でさらに減少、併用群で最も
し、再灌流後 120 分で有意に低値であった。NO2-
有意に減少した。また、MMP-9 の発現を免疫染色
濃 度:C 群(111.1 ± 38.0 %) が Cont 群(95.1 ±
により検討したところ Vehicle 群に比べ AM 群で
25.0)に比し、脳虚血時、再灌流後 20,50-120 分
その発現は抑制され、AT 群および併用群でさらに
で有意に高値であった。NO3- 濃度:両群間に有意
抑制された。また Collagen4 の発現強度は AM 群
差 は な か っ た。 2,3DHBA 濃 度 : C 群(97.9 ±
および AT 群で亢進し、併用群でさらに亢進した。
5.03%)が Cont 群(100.9 ± 1.97)に比し、脳虚血
また、Angiotensin 2 type 1 receptor の陽性細胞数
時、再灌流後 40-120 分で有意に低値であった。【結
を調べたところ、AM 群で減少し、AT 群および併
論】cilnidipine は脳虚血再灌流後のヒドロキシラジ
用群でさらに減少した。【結論】Zucker ラットにお
カルの産生を抑制したことから、脳保護効果がある
いて、Amlodipine と Atorvastatin は単独投与より
可能性が示唆された。
併用投与した方が脳保護効果が高く、そのメカニズ
ムとして抗酸化作用や抗炎症作、また neurovascular unit や高血圧に関連する受容体に対する作用な
どが関与していることが示唆された。
─132─
が Cont 群
O10-4
O11-1
脳虚血・再灌流負荷時の NO と OH- 代謝お
よび虚血性変化に対するCAPEの関与
免疫染色を用いた抗血小板薬併用による脳保
護効果の検討ーラット一過性脳虚血モデルを
用いて―
埼玉医科大学 神経内科・脳卒中内科
日本医科大学 内科 神経・腎臓・膠原病 リウマ
○西岡亮治、山里将瑞、伊藤康男、佐々木貴浩、
チ部門
荒木信夫
○戸田諭補、桂研一郎、桜澤 誠、金丸拓也、
稲葉俊東、斎藤萌子、片山泰朗
【目的】蜂プロポリス由来のカフェイン酸フェニル
【目的】脳梗塞再発予防に用いられる cilostazol は
エ ス テ ル caffeic acid phenethyl ester(CAPE) は、
抗血小板作用以外にも様々な作用を持つとされるが、
数ある生態機能物質フラボノイドの中でも最強と言
今回は急性脳虚血に対する脳保護作用について検討
われる抗酸化剤であり、NF-κB inhibitors である。
を行った。脳梗塞慢性期を想定し、抗血小板薬をあ
今回、我々は脳虚血・再灌流負荷時の脳内一酸化窒
らかじめ投与した状態で脳虚血を作成し、各種薬物
素(NO) と ヒ ド ロ キ シ ラ ジ カ ル 代 謝 に 対 す る
が脳梗塞体積・神経徴候に及ぼす影響を評価し、免
CAPE の関与をみることにより、CAPEにNO
疫染色によりメカニズムを検討した。【方法】雄
を介した脳細胞保護作用があるか否かを検討した。
SD ラットを用い、抗血小板薬を 7 日間連続で経口
【 方 法 】 雄 性 C57BL/6 マ ウ ス を 用 い、 C A P E
投与した後、90 分間の一過性中大脳動脈閉塞・再
10mg/kg を虚血負荷 30 分前に腹腔内投与した群
潅流モデルを作成し 24 時間後の神経徴候、梗塞体
(Cp 群,n=8)と非投与群(Ct 群,n=10)で検討
積 を 評 価 し た。 薬 物 投 与 量 は aspirin(30mg/kg/
した。両側線条体に微小透析プローブを刺入し in
day)
、cilostazol(50mg/kg/day)
、Vehicle: 0.5% CMC
(carboxymethlcellulose)とした。Bcl-2、Bax、TUNEL、
vivo microdialysis を 施 行 し、NO2- と NO3- 濃 度 は
8-OHDG、4-HNE、COX-2 を 免 疫 染 色 し た。【 結
Griess 反応で測定し、ヒドロキシラジカルはサリ
果】aspirin・cilostazol 併用群は vehicle 群、aspirin
チル酸をトラップした 2,3DHBA,2,5DHBA 濃度と
群に比較して有意に梗塞体積の低下を認めた。免疫
して測定した。頭蓋骨上にレーザードップラー血流
染色では Bcl-2、COX-2 発現は併用群で有意に高
計を固定。両側総頸動脈をクリッピングし、約 10
値を示し、Bax、TUNEL、8-OHDG、4-HNE は単
分間の前脳虚血を負荷した。虚血の強さをレーザー
剤群に比較して併用群で有意の発現の低下を認めた。
ドップラー血流計の虚血前後の比較により5%以内
【考察】脳卒中再発予防においては抗血小板薬単剤
と し た。 統 計 解 析 に は StatView for Windows
療法が基本となっている。しかし、併用療法を行い
ver4.54 による 2 群間t検定を使用した。【結果】C
たい危険度の高い患者も存在する。大規模臨床試験
p群と Ct 群の比較において、血圧:両群間に有意
差はなかった。脳血流:両群間に有意差はなかった。 の結果より cilostazol の出血合併症率の少なさが明
らかとなり、cilostazol と aspirin の併用効果、出血
NO2- 濃度:Cp 群で虚血 20 分後から増加し、再灌
合併症率が注目されるところである。今回はラット
流後 30-60 分で有意に高値を認めた。NO3 濃度:
急性期脳梗塞に対し aspirin・cilostazol 併用群にお
再 灌 流 後 30-50 分 で 有 意 に 高 値 で あ っ た。
いて aspirin 単独群、cilostazol 単独群より脳保護効
2,3DHBA 濃度 : 再灌流後 20-40 分で有意に低値で
果が高いデータを示すことができたと考える。また
あった。【結論】CAPE は脳虚血再灌流後のヒドロ
aspirin・cilostazol 併用群は cilostazol 単独群に比較
キ シ ラ ジ カ ル の 産 生 を 抑 制 し、NO2 濃 度 お よ び
NO3- 濃度がともに増加する傾向を認めたことから、 してさらなる抗アポトーシス効果は示さなかったが、
NO を介した脳保護作用がある可能性が示唆された。 細胞膜・核に対するさらなる抗酸化効果を示し、併
用群における脳保護効果の増強は抗酸化効果の増強
によるものが大きいと考えられた。
─133─
O11-2
O11-3
急性期脳梗塞における PDEIIIA/IIIB 受容体
の経時的変化の検討
2 型糖尿病モデルラットにおける頭蓋内微小
動脈の血管反応性についての検討
1
1
順天堂大学 医学部 脳神経外科、2 順天堂大学 東海大学 医学部 神経内科、2 東海大学 基礎医
学 系 生 体 構 造 機 能 学、3 東 海 大 学 医 学 部 教
医学部 脳神経内科
○三島有美子 1、田中亮太 2、宮元伸和 2、大石英則 1、
新井 一 1、服部信孝 2、卜部貴夫 2
育・研究支援センター
○塚本祐子 1、瀧澤俊也 1、福山直人 2、小原さおり 1、
清水美沙 1、高張洋子 3、永田栄一郎 1、高木繁治 1
【目的】PDE 受容体は心血管組織や脂肪組織、血
<目的>糖尿病性微小血管傷害の病態解明を目的と
小板に存在する。近年 PDE ファミリーの一部は脳
し、Otsuka Long Evans Tokushima Fatty
内に存在するとの報告がある。我々は、PDEIII 受
(OLETF)rat を用いて頭蓋内微小血管造影を施行
容体の脳局在と虚血再灌流後の時間的変化について
し血管内皮障害における血管反応性について検討し、
検討した。【方法】8 週齢雄性 C57BL/6 マウスを用
さらにシロスタゾール投与による血管反応性へ及ぼ
い、非虚血コントロール脳、および 60 分中大脳動
す効果を評価した。<方法> 2 型糖尿病性微小血管
脈 虚 血 再 灌 流 モ デ ル を 作 製、 再 灌 流 1 日、
傷害モデルである OLETF rat 27 匹をシロスタゾー
3 日、7 日後に脳血流、神経学的所見を評価。虚血
ル投与群(シロスタゾール 20-30g/ 日 /5 ヶ月間内
境界領域において、各種抗体により免疫組織化学的
服投与)と非投与群の 2 群に分類し、また対照群と
に評価を行った。【結果】PDEIIIA 陽性細胞は時間
し て 糖 尿 病 を 有 さ な い Long Evans Tokushima
経過による変化が見られなかった。PDEIIIB 陽性
Otsuka(LETO)rat 8 匹を用いた。24 週齢時に各
細胞は虚血再 灌流後徐々に増加した(p < 0.05)。
ラットを大型放射光施設 SPring-8 に移送し、気管
PDEIIIA は神経細胞と血管内皮細胞に存在した。
切開・人工呼吸管理下で右外頸動脈から右内頸動脈
PDEIIIB は白質において、虚血再灌流前後共にオ
へ逆向性にイオパミロン 370 を動注して脳微小血管
リゴデンドロサイト、オリゴデンドロサイト前駆細
造影を施行し、さらにアセチルコリン(Ach:30
胞、アストロサイトに存在した。オリゴデンドロサ
pmol/kg/min)負荷による血管反応性を評価した。
イトと共存する PDEIIIB 陽性細胞は再灌流後徐々
<結果>コントロール群である LETO rat では中大
に減少したが(p < 0.001)、オリゴデンドロサイト
脳動脈及び穿通枝の描出が認められ、Ach 負荷に
前駆細胞と共存する PDEIIIB 陽性細胞は一過性に
より血管の拡張が確認された。OLETF rat では頭
減少後、増加した(p < 0.001)。アストロサイトと
蓋内血管の狭小化や閉塞に加え、Ach 負荷による
共存する PDEIIIB は徐々に増加した(p < 0.05)。
奇異性の狭小化減少を認めた。また OLETF rat +
皮質では多くの PDEIIIB は神経細胞と共存し、一
シロスタゾール投与群では非投与群と比較し血管の
部がアストロサイトと共存した。虚血再灌流後、神
拡張を認め、さらに Ach 負荷によって皮質枝、穿
経細胞と共存する PDEIIIB は徐々に減少し(p <
通枝の更なる血管拡張を認めた。<考察>糖尿病性
0.05)、アストロサイトと共存する PDEIIIB は増加
微小血管傷害モデル OLETF rat では、脳微小血管
した(p < 0.001)。【結論】脳内においても PDEIII
で の 動 脈 硬 化 性 変 化 が 認 め ら れ、 か つ 内 皮 由 来
受容体は神経細胞、オリゴデンドロサイトに発現し
eNOS の機能低下が推察された。一方、シロスタゾ
ていること、虚血によりその数が増加することが初
ール投与で頭蓋内微小動脈における血管反応性の改
めて示された。またこれらの阻害により梗塞巣が縮
善を認めたことより、シロスタゾールは OLETF
小、更に神経前駆細胞の再生が誘導される可能性が
rat における血管内皮細胞障害を軽減する作用が示
示唆された。
唆された。
─134─
O11-4
O12-1
肥満 2 型糖尿病マウス慢性脳低灌流モデル
における白質病変の検討
リポソーム化ヘモグロビン TRM-027 のラ
ット脳梗塞モデルに対する有効性
1
テルモ株式会社 研究開発本部
順天堂大学大学院 老人性疾患病態・治療研究セ
ンター、2 順天堂大学 脳神経内科、3 順天堂大学医
学部附属 浦安病院 脳神経内科
1
2
○石塚隆伸、関口有信、森本克己、金田伸一、
粕川博明
2
2
○柳 美子 、田中亮太 、田中康貴 、宮元伸和 、
服部信孝 2、卜部貴夫 3
【背景および目的】白質病変は認知症の責任病変部
【目的】人工酸素運搬体として開発中のリポソーム
位として重要であり、65 歳以上の高齢者では高率
化ヘモグロビン TRM-027 の脳梗塞急性期における
に認められ、慢性の脳虚血(脳低灌流)が第一の病
有 効 性 の 用 量 依 存 性 な ら び に Therapeutic time
因と考えられている。また、微小血管の病変を伴う
window についてラット脳梗塞モデルを用いて検討
高血圧や糖尿病患者では高度の進行が認められてい
した。
る。しかしながら、これら糖代謝異常を有する症例
【方法】SD 系雄性ラットを用いて、塞栓糸法によ
における白質病変形成のメカニズムの詳細はよく解
る中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを作成した。
っていない。本研究では野生型および肥満 2 型糖尿
用 量 依 存 性 は 一 過 性(2 時 間 ) 閉 塞 モ デ ル、
病マウス(db/db)を用いて、虚血性白質障害にお
Therapeutic time window は永久閉塞モデルにて検
ける糖尿病の関与を検討した。【方法】12 週齢の
討した。TRM-027 は一過性閉塞モデルでは MCAO
db/db(n = 30)および野生型マウス(n = 30)に
後 30 分に、永久閉塞モデルでは MCAO 後 6 時間
対して、内径 0.18mm のコイルを用いて両側総頚動
ま で の 数 時 点 に、 静 脈 内 投 与 し た。 有 効 性 は
脈を狭窄させ、慢性脳低灌流モデルを作成し、虚血
MCAO 後 24 時間の神経症状ならびに脳梗塞巣体積
7 日、14 日、28 日および 42 日後の大脳白質障害に
にて評価した。
ついて各種抗体により免疫組織化学的に検討した。
【結果】用量依存性:TRM-027 は神経障害を用量
また、経時的に脳血流を測定した。【結果】db/db
依存的に軽減させる傾向を示し、脳梗塞巣形成を大
マウスは野生型マウスに比べ、明らかに脱随のレベ
脳半球および大脳皮質では 60mg Hb/kg 以上で、
ルが severe であることを確認した。オリゴデンド
大脳基底核では 600mg Hb/kg で有意に抑制した。
ロサイトが虚血 7 日に両群ともに一過性に増えてい
Therapeutic time window:TRM-027 は 投 与 タ イ
る。しかしながら、その後は減少続けることを確認
ミング依存的に神経障害ならびに脳梗塞巣形成を軽
した。また、db/db のほうが wild type に比べて有
減させる傾向を示し、虚血後早期投与では有意な軽
意に少ないことが確認できた。さらに、db/db マウ
減が認められた。
スは野生型マウスに比べ脱髄の進行とともに Iba-1
【結論】TRM-027 はラット一過性 MCAO モデル
陽性の活性化ミクログリアが明らかに増加していた。
において、用量依存的な脳梗塞巣形成抑制効果を有
【考察】慢性虚血による白質病変は、糖尿病の病態
することが明らかとなった。その効果は大脳皮質に
において増悪することを明らかにした。その病態に
おいて優位であり、有効用量範囲は 60 ~ 600mg
は炎症反応の増強が関与することが示唆された。
Hb/kg であることが示唆された。また、TRM-027
は投与タイミングが早いほど脳虚血後の神経症状お
よび梗塞巣体積に対する効果が強くなることが示唆
された。以上の結果から、TRM-027 は脳梗塞治療
薬として有望であると考えられた。
─135─
O12-2
O12-3
VEGF シグナル阻害は tPA による血栓溶解
療法後の脳出血を抑制する
マウス両総頸動脈閉塞モデルにおける
DHEA による遅発性神経細胞死の抑制
1
東北大学大学院 薬学研究科 薬理学分野
新潟大学 脳研究所 神経内科、2 新潟大学 脳研
究所 統合脳機能研究センター、3 新潟大学 脳研
究所 病理学
○塩田倫史、生野達也、福永浩司
○下畑享良 1、金澤雅人 1、五十嵐博中 2、
高橋哲哉 1、川村邦雄 1、柿田明美 3、
高橋 均 3、中田 力 2、西澤正豊 1
【背景】血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、局所
Dehydroepiandrosterone(DHEA)は副腎皮質およ
脳虚血後の血液脳関門(BBB)の破綻に関与する
び脳神経で合成されるニューロステロイドである。
可能性が指摘されている。しかし組織型プラスミノ
これまでの研究で、DHEA は神経保護作用や神経
ゲン・アクチベーター(tPA)による血栓溶解療法
新生作用を有することが報告されているが、そのメ
後に合併する脳出血における関与は不明である。
カ ニ ズ ム に つ い て は 不 明 で あ る。 本 研 究 で は、
【目的】VEGF シグナルの阻害が、tPA による血
DHEA が小胞体に局在する分子シャペロンである
栓溶解療法後の脳出血を抑制するかを明らかにする。
sigma-1 受容体の強力な作用薬であることに着目し、
【方法】自家血血栓により雄 SD ラットの中大脳動
マウス脳虚血による遅発性神経細胞死に対する
脈を閉塞する脳塞栓モデル(Okubo et al. 2007)を
DHEA の抑制効果及び、学習記憶改善効果につい
使用した。tPA 静注(10 mg/kg)の有無および閉
て検討した。 C57BL/6 マウスの両総頸動脈閉塞モ
塞から静注までの時間により、永久閉塞群、tPA
デルを作成し、脳虚血 24 時間後から DHEA(15
1h 群、tPA 4h 群に分け、さらに抗 VEGF 中和抗
または 30mg/kg/day,p.o.)を 7 日間投与した。そ
体(RB-222;100μg) な い し コ ン ト ロ ー ル 抗 体
の結果、脳虚血による学習記憶障害が DHEA によ
(ウサギ IgG;100μg)を tPA と同時に静注した。
り有意に改善した。また、DHEA 投与により遅発
閉 塞 24h 後 に お け る VEGF の 局 在 お よ び 発 現、
性神経細胞死が有意に抑制された。これらの改善効
MMP9 活性、BBB を構成する細胞外マトリックス
果は sigma-1 受容体拮抗薬である NE-100 の前投
発現(タイプ IV コラーゲン)、および梗塞体積、
与で消失した。 sigma-1 受容体は小胞体-ミトコ
出血量(ヘモグロビン量)を、シャム手術群を加え
ンドリア膜接合部位に存在し、Ca2+ による ATP 産
た 4 群 間 で 比 較 し た( 総 数 136 匹 )。【 結 果 】tPA
生を調節する。脳虚血後の DHEA 投与によってミ
4h 群でのみ肉眼的脳出血の合併を虚血辺縁部に認
トコンドリアによる ATP 産生が上昇した。次に、
め、単位脳体積あたりのヘモグロビン量も有意に高
マウス大脳皮質初代培養細胞を用いて DHEA によ
値 で あ っ た。tPA 4h 群 で は VEGF 発 現 増 加、
る細胞内 Ca2+ 濃度の変化を測定した。 DHEA は
MMP9 活性亢進、タイプ IV コラーゲンの減少が、
細胞内 Ca2+ 濃度を上昇させ、その上昇は NE-100
他の群と比較し有意に高度であった。VEGF の発
により有意に抑制された。以上の結果より、DHEA
現は主に虚血辺縁部の BBB に認められた。一方、
は sigma-1 受容体を介して遅発性神経細胞死を抑
tPA と RB-222 の併用は、tPA 4h 群におけるこれ
制し、その結果、学習記憶障害が改善されることを
らの変化を有意に抑制し、かつ脳出血の合併および
明らかとした。また、その細胞内シグナルとして、
機能・生命予後を改善した。VEGF 受容体の選択
DHEA は sigma-1 受容体に作用することで小胞体
的阻害剤である SU1498 も、tPA 4h 群における脳
から Ca2+ を放出させ、ミトコンドリアにおける
出血合併を有意に抑制した。【結論】VEGF シグナ
ATP 産生を高める結果、神経保護作用を発現する
ル阻害は、tPA による血栓溶解療法後の脳出血を
と考えられる。
抑制し、治療可能時間を延長する可能性がある。
─136─
O12-4
O13-1
Sigma-1 receptor 作動薬フルボキサミン
による脳梗塞抑制効果
頭頸部回旋運動による椎骨動脈血行動態への
影響
1
1
東京女子医科大学 脳神経外科、2 東京女子医科大
藍野大学 医療保健学部 理学療法学科、2 立命館
学付属 八千代医療センター 脳神経外科
大学スポーツ健康科学研究科
○佐藤慎祐 1、川俣貴一 2、小林智範 1、岡田芳和 1
○佐伯武士 1,2、栗原俊之 2、浜岡隆文 2、塩澤成弘 2
<はじめに> フルボキサミンは、選択的セロトニ
脳への血液供給路は、内頚動脈・椎骨動脈である。
ン再取り込み阻害剤としてうつ病の治療薬として知
これらは解剖学的な走行に大きな差異を持ち、椎骨
られるが、Sigma-1 receptor 作動薬であり、統合
動脈の走行は各頚椎の椎間孔を貫く様に上行してい
失調症患者の高次機能障害の改善や、in vitro で神
ることから個々の頚椎骨の動きに伴って機械的刺激
経成長促進因子を増加させる作用があることが知ら
を受けやすいとされている。臨床においては頭頸部
れている。本研究では、ラット中大脳動脈閉塞モデ
回旋時には生理的に対側の椎骨動脈は環軸椎部で狭
ルを用いて、フルボキサミンの神経保護作用の検証
窄を生じているとされている。さらに Bow hunter
をおこなった。<方法> フルボキサミン(1 回投
stroke の診断において、頭頸部回旋による症状の
与量 20mg/kg)は、脳梗塞作製前後で単回あるい
出現と両側椎骨動脈・脳底動脈の血流低下の証明が
は複数回投与した。単回投与群では、梗塞作製 2 時
必要とされる。しかし、頭頸部回旋時における生理
間後にフルボキサミンを投与した。複数回投与群で
的な椎骨動脈狭窄による血行状態への影響について
は、梗塞作製 6 時間前および梗塞作製直後にフルボ
の研究は稀少である。本研究は、健常人の環軸椎回
キサミンを投与した治療群と、梗塞作製直後および
旋運動量と椎骨動脈血行動態の関係を調査し、椎骨
2 時間後に投与した治療群で効果を判定した。梗塞
動脈へのメカニカルストレスの影響について解明す
作製 24 時間後に梗塞体積と神経所見の検討をおこ
ることを目的とする。【方法】健常人6名に対して、
なった。<結果> これら治療群の中で、梗塞作製
頭部正中位・左右最大回旋位の肢位にて、MRI を
直後と 2 時間後投与群と梗塞作製 6 時間前と梗塞作
用いて環軸椎回旋運動量、MRA 及び Vessel Wall
製直後投与群において梗塞体積の有意な減少と神経
Imaging により血流状態の計測、カラードップラー
所見の改善を認めた。また、Sigma-1 receptor の
を用いて椎骨動脈血行動態(平均血管直径・平均血
拮抗薬である NE-100,1mg/kg をフルボキサミン
流速度・血流量)を測定した。【結果】頭部回旋運
2 回投与のそれぞれ 15 分前に投与するとコントロ
動量として最大回旋位での環椎部にて計測した回旋
ール群と同等の梗塞体積を示し、フルボキサミンの
運 動 量 は 右 70.55 ± 8.31 ° 左 67.38 ± 11.37 °。
梗塞巣縮小効果に Sigma-1 receptor を介する経路
MRA 画像診断より頭部回旋に伴う椎骨動脈の消失
が関与することが明らかとなった。<結語> これ
は6名中1名(右回旋時に左椎骨動脈の消失)。椎
まで脳虚血モデルでのフルボキサミンによる脳梗塞
骨 動 脈 血 行 動 態 と し て 平 均 血 管 径・ 平 均 血 流 速
縮小効果の報告はない。本実験において、フルボキ
度・ 血 流 量 は そ れ ぞ れ 安 静 時 右 椎 骨 動 脈 0.35 ±
サミンの複数回投与により Sigma-1 receptor を介
0.02cm・14.83 ± 4.37cm/s・7.62 ± 1.5ml/s、 左椎
する脳梗塞体積の減少と神経所見の改善が得られる
骨動脈 0.38 ± 0.04cm・14.61 ± 3.6cm/s・1.66 ±
ことが判明した。
0.27ml/s であった。頭頸部最大回旋による各パラメ
ーターは安静時を基準として、左回旋時右椎骨動脈
平 均 血 管 径 96.63 ± 6.36 %、 平 均 血 流 速 度 73.1 ±
66.8%、血流量 63.8 ± 57.8%。右回旋時左椎骨動脈
平均血管径 100.5 ± 3.42%、平均血流速度 86.27 ±
38.9%、血流量 87.32 ± 39.06%であった。
─137─
O13-2
O13-3
経頭蓋超音波 Color Duplex Sonography
探触子固定装置(Sonopod)による脳主幹
動脈と脳組織の脳血管反応性解析
脳動脈瘤破裂点の流体力学的特徴 : コンピュ
ータ流体解析による検討
1
神経外科、3 東北大学 流体科学研究所、4 東北大学
2
恵心会 京都武田病院 脳神経科学診療科、 星ヶ
丘厚生年金病院 脳卒中内科、3 京都府立医科大学大
学院医学研究科 神経内科
1
1
1
東北大学大学院 神経外科学分野、2 広南病院 脳
大学院 神経病態制御学分野
○面高俊介 1、井上 敬 2、船本健一 3、杉山慎一郎 2、
1
2
藤村 幹 2、清水宏明 2、早瀬敏幸 3、高橋 明 4、
○塩貝敏之 、山本真佑実 、小山真理 、吉川健治 、
中川正法 3
冨永悌二 1
【目的】経頭蓋 Color Duplex Sonography(TCDS)
【はじめに】脳動脈瘤に対するコンピュータ流体解
モニタリング用の探触子固定装置(Sonopod)を、
析(computational fluid dynamics: CFD)は破裂リ
脳主幹動脈と脳組織の acetazolamide(ACZ)脳血
スク評価への応用が期待されている。CFD パラメ
管反応性解析(CVR)に応用し、有用性を検討する。
ータのうち wall shear stress(WSS)は動脈瘤発生
【方法】Sonopod を用いて CVR 解析を行った神経
への関与が示されているが一定の見解は得られてい
疾患 10 例(31-94 歳、平均 66)を、用いなかった
ない。今回我々は破裂点の WSS を定量評価し動脈
11 例(40-80 歳、 平 均 67) と 比 較 し た。SONOS
瘤破裂との関連性について検討した。【方法】2008
5500(Philips)S3 探触子にて、CDS で片側中・後大
年 4 月から 2010 年 9 月に開頭クリッピング術を行
脳動脈(MCA/PCA)平均血流速度(Vmax)計測
った破裂中大脳動脈瘤のうち、術中に破裂点を確認
後、Sonopod を 装 着 し た。Levovist® 2.5g を bolus
し 得 た 6 例 を 対 象 と し た。 術 前 に 施 行 し た 3D
静 注 し、 同 側 側 頭 窓 か ら 1.7MHz 送 受 信 の Power
rotational angiography の DICOM データから Avizo6.2
Modulation Imaging(PMI)にて、ACZ500mg 静注
(VSG)を用いて血管形状抽出を行った。抽出形状
前・後 15 分で脳組織灌流画像水平断像を描出後、
に対し Magics12.0(Materialise)で手動修正及び表
再度 MCA/PCA の Vmax を計測した。うち 5 例で
面形状の切り出しを行い、Gambit2.4(ANSYS)を
は、Sonopod を対側に再固定後、同様に評価した。
用いて四面体格子血管モデルを作成した。血管モデ
なお、Sonopod を用いなかったシリーズでは、CDS
ルは瘤壁を親動脈から分離し、さらに術中確認され
で両側 MCA/PCA の Vmax 計測後、片側側頭窓か
た破裂点の位置に関心領域を設定した。数値計算は
ら ACZ500mg 静注前に PMI を左右、静注後 15 分
Fluent12.0(ANSYS)を用いて流入条件に経頭蓋超
に右、30 分に左にて解析した。PMI 解析は、両側
音波で得られた患者固有の血流波形及び流量を与え、
基底核・視床、対側側頭葉の関心領域(ROI)の時
出口端は圧力 0 Pa の設定とした。得られた解析結
間 強 度 曲 線(TIC) か ら peak intensity(PI) と
果 か ら 破 裂 点 と 瘤 壁 に お け る time average WSS
time to PI(TPI)を評価した。【結果】1)ACZ 投
(TAWSS)、oscillatory shear index(OSI)を算出
与により、Vmax 上昇、PI 上昇・TPI 短縮傾向があ
し比較した。【結果】TAWSS は破裂点で 1.1 Pa、
り、Sonopod を用いなかったシリーズの方が明らか
瘤壁平均 5.0 Pa であり破裂点で有意に低下してい
であった。2)両シリーズとも、Vmax と PI/TPI は、
た(P = 0.031)。OSI は 破 裂 点 0.015、 瘤 壁 平 均
ACZ 前後共に各 MCA/PCA 支配領域で高い相関が
0.006 であり両者間に統計学的有意差は認めなかっ
得られたが、PI と TPI より算出した CVR は必ずし
た(P = 0.156)。【考察】WSS 低値は瘤壁内皮細胞
もそうでなかった。3)Sonopod シリーズでは、体
の正常な分化を抑制し、脆弱化を惹起すると言われ
動などによる TIC の変動は軽減できたが、必ずし
ている。また OSI 高値は破裂そのものへの関与が
も用いなかったシリーズより高い相関は得られなか
報告されているが、今回の検討でも破裂点では上昇
った。【結論】1)Sonopod 使用により ROI 設定の再
している傾向が見られた。【結語】破裂脳動脈瘤に
現性がより向上した定量評価が可能となる。2)脳
おいて破裂点では WSS が低下し、OSI は上昇して
主幹動脈と脳組織の CVR には密接な関係があるが、
いる可能性が示唆された。
PMI 脳組織灌流解析には、パラメータの選択など今
後の検討が必要である。
─138─
O13-4
O13-5
クモ膜下出血後の脳血管攣縮期にみられる
SPECT での過灌流所見
脳循環代謝からみた、MELAS の脳卒中様発
作急性期の病態に関する考察
1
1
秋田県立脳血管研究センター 脳神経外科、2 秋田
北里大学 医学部 神経内科学、2 埼玉精神神経セ
県立脳血管研究センター 放射線科
ンター、埼玉国際頭痛センター
○竹中俊介 1、石川達哉 1、木下俊文 2、師井淳太 1、
○飯塚高浩 1、坂井文彦 2、濱田潤一 1
河合秀哉 1、吉岡正太郎 1、引地堅太郎 1、
岡田 健 1、宇田賢司 1、小林慎弥 1、齋藤浩史 1、
鈴木明文 1、安井信之 1
【目的】我々は、くも膜下出血(SAH)後の脳血
【目的】MELAS の脳卒中様発作(SEs)の病態を脳
管攣縮(VS)期に SPECT を用いて脳血流を評価
循 環 代 謝 の 側 面 か ら 考 察 す る。【 方 法 】8 例 の
しているが、開頭側に過灌流所見を認める症例を多
MELAS 患者にみられた計 30 回の SEs について後ろ
く経験する。この過灌流を来す要因について検討し
向きに調査した。【成績】SEs は、頭痛、半盲、意識
た。【対象と方法】対側と比較できるように、2008
障害あるいは痙攣発作で発症し、頭痛は最も多い初
年 ~ 2010 年 の 3 年 間 に 破 裂 中 大 脳 動 脈 瘤 を
発症状(73%)であった。痙攣は SEs の 68%と発症
distaltranssylvian approach に て clipping し た 患 者
1 ヶ月以内に高率に出現していた。主病巣は大脳皮
34 名を対象とした。SAH 後神経学兆候は常にチェ
質を中心とする血管支配に一致しない浮腫性病変で
ッ ク し、TCD は 連 日、day7・14 に MRI/MRA、
あり、発症数週間は周辺皮質に緩徐に進展していた。
99mTc-PAO-SPECT を施行し、VS の評価を行っ
責任病巣の乳酸値は早期から上昇していたが、主病
た。VS の出現を予期した場合、dobutamine による
巣の ADC 値は軽度から中等度の低下に過ぎず、発
hyperdynamic therapy(HDT) を 開 始 し た。
作早期から脳表血管は拡張していた。また、発症 1
SPECT 画像の評価は、対側と比べ大脳皮質に広範
ヶ月以内には SEs の 86%で局所脳血流が増加してお
な過灌流もしくは低灌流を認めるか評価した。【結
り、73%に焦点性周期性てんかん型放電などの発作
果 】 過 灌 流 は day7 で 13 例(38.2 %)、day14 で 26
波が出現していた。亜急性期には約半数に層状皮質
例(76.5 %) に 認 め た。 低 灌 流 は day7 で 4 例、
壊死を認めた。発作急性期の症状は改善したが、長
day14 では 1 例に認めるのみであった。年齢、SAH
期的には認知機能は緩徐に低下した。【結論】SEs は、
重症度、脳内出血の合併、急性硬膜下血腫の合併、
虚血では説明できない非虚血性の神経血管イベント
高血圧の既往は、過灌流の発生率に明らかな関連を
であり、神経細胞の興奮性の亢進、嫌気的解糖の促
認めなかった。症候性スパズムを来した 11 例中、
進、血管性浮腫および血管拡張が SEs の特徴である。
day7 では 5 例(45.5%)、day14 では全例に過灌流
エネルギー需要の亢進に見合った ATP を十分に供給
を認めた。HDT を施行した 23 症例では、day14 で
できない遺伝的欠損のため、MELAS では、シナプ
過灌流を 19 例(82.6%)に認め、HDT 非施行群の
ス間隙に放出された glutamate の除去能が低下し、
発生率(63.6%)と比べ高かった。VS による脳梗
神経細胞が興奮しやすい状態が惹起されると推測す
塞を来した症例は 10 例で、内 9 例は day14 に過灌
る。細胞外 glutamate 濃度が上昇し、astrocyte が持
流を認めたが、脳梗塞巣は微小なものがほとんどで
続的に活性化することにより嫌気的解糖が促進し、
あり最終的に過灌流を呈した大半の領域は明らかな
astrocyte-neuron lactate shuttle を 介 し て 乳 酸 が
形態学的異常を認めなかった。【結語】SAH 後の過
neuron に持続的に供給されることが推測される。そ
灌流所見は、VS との関連が疑われた。低灌流にな
の結果、L/P 比は上昇し細胞内代謝障害の増悪因子
る は ず の VS 期 に SPECT で 過 灌 流 を 呈 す る の は
となり得る。また、ATP の細胞外放出が低下するこ
autoregulation 破綻による血管拡張などの関与が考
とにより、その代謝産物である adenosine 濃度が低
えられる。
下し、シナプス制御機構の低下の一因となり得る。
MELAS では、脳表血管の血管内皮細胞の機能障害
に加え、大脳皮質内の一連の細胞内代謝障害も、SE
急性期の病態に深く関与していると推測する。
─139─
O14-1
O14-2
脳梗塞発症 48 時間以内のスタチン投与と末
梢血炎症性バイオマーカー動態への影響:ラ
ンダム化比較試験の成績
急性期炎症性バイオマーカーと脳梗塞臨床亜
病型との関連
聖マリアンナ医科大学病院 神経内科
聖マリアンナ医科大学 神経内科
○下邨華菜、清水華奈子、徳山承明、櫻井謙三、
伊佐早健司、高石 智、加藤文太、長谷川泰弘
○徳山承明、高石 智、加藤文太、櫻井謙三、
伊佐早健司、清水華奈子、下邨華菜、萩原悠太、
今井 健、熱海千尋、鶴岡 淳、水上平祐、
長谷川泰弘
【背景・目的】強力な脂質低下作用を有する HMG-
【背景・目的】粥腫破綻や急性期脳梗塞の増悪に炎
CoA 還元酵素阻害薬(以下スタチン)は、抗動脈硬
症機転の関与が推測されている。本研究は、脳梗塞
化作用、免疫調整作用、抗炎症作用など多面的効果
発症 48 時間以内の血中炎症性バイオマーカー濃度
を有し、脂質低下作用を超えた脳卒中予防効果が注
と脳梗塞臨床亜病型との関連を明らかにすることを
目されている。我々は過去の研究において、我が国
目的とした。
の常用量のアトルバスタチン(10mg/ 日)の脳梗塞
【方法】発症 48 時間以内に入院した急性期脳梗塞
発症 48 時間以内の投与開始は、急性期の血中 IL-6
患 者 142 例 を 対 象 と し、 入 院 時 に 測 定 し た
の値を低下させうることを証明した。本研究の目的
interleukin(IL)-6、IL-10、IL-18、Matrix
は、入院時に脂質異常症を有する急性期脳梗塞症例
metalloproteinase(MMP)-2、MMP-9、 高 感 度
において、急性期のスタチン投与の有無を無作為化
CRP(hs-CRP)と、TOAST 分類による臨床亜病
することにより、脳梗塞急性期のバイオマーカー動
型との関連、頭蓋内動脈狭窄、出血性梗塞、入院後
態に有意な差が生じるか否かを明らかにすることで
14 日以内の症候増悪との関連をロジスティック回
ある。【対象・方法】発症 48 時間以内の脳梗塞患者
帰分析により検討した。
179 例を対象とした。このうち(1)入院前からスタ
【結果】心原性脳塞栓症の入院時 MMP-2 は他の
チンを服用中であった 35 例に対しては入院後もスタ
亜病型よりも有意に高値を示し、多変量ロジスティ
チン投与を継続した。入院時に脂質異常症を認め、
ック回帰モデルでも、梗塞体積(OR 1.007、95%
スタチンの服用が無かったものに対しては、(2)入
CI 1.003-1.011)とともに MMP-2(OR 1.004、95%
院直後よりスタチンの投与を開始した 27 例と、(3)
CI 1.001-1.007)は有意な関連を示した。心原性脳
入院 2 週間はスタチンの投与を行わなかった 22 例に
塞栓症の出血性変化には、入院時 HbA1c、血糖値
無作為割り付けを行った。(4)これ以外の脂質異常
が有意な関連を示したが、バイオマーカーとの関連
症を有さない 95 例では入院 2 週間はスタチンの投与
は得られなかった。非心原性脳塞栓症では、頭蓋内
を 行 わ な か っ た。 経 時 的 に Interleukin(IL)-6、
狭窄が高度なものほど maxIMT、hsCRP、IL-6 が
IL-10、IL-18、Matrix Metalloproteinase(MMP)-2、
有意に高値であった。非心原性脳梗塞症例において、
MMP-9、高感度 CRP を測定した。【結果】入院時の
入院後 14 日以内に NIHSS スコアが 2 点以上増悪し
値を基にした第 3、第 7、第 14 病日の IL-6 変化率は、
た症例は 88 例中 14 例(15.9%)で、年齢、性、入
Non-statin 群 で は 各 々 350 %、284 %、163 % で、
院時 NIHSS スコア、入院時梗塞体積を調整した多
Statin 群では 368%、101%、115%であり、Statin 群
変量ロジスティック回帰モデルでは、いずれの因子
では Non-statin 群に比し第 7、第 14 病日において低
とも有意な関連を認めなかった。
下を示す傾向にあった。また、pre-treatment 群は
【結論】発症 48 時間以内の血中 MMP-2 は、心原
164 %、55 %、33 % と Non-statin 群 に 比 し 第 3、 第 7
性脳塞栓症で有意に高値であった。非心原性脳梗塞
病日において有意に低下していた。【結論】アトルバ
での血中 IL-6、hs-CRP は頭蓋内動脈狭窄度と有意
スタチン(10mg/ 日)の脳梗塞発症 48 時間以内の投
な関連を示したが、発症後の増悪には関連を認めな
与開始は、無作為化試験においても急性期の血中
かった。
IL-6 の値を低下させ、今後急性期の症候増悪や転帰
に対する影響を検討する価値がある。
─140─
O14-3
O14-4
急性期虚血性脳卒中患者における炎症性バイ
オマーカーと頭蓋内血管動脈硬化の進展との
関連
急性期脳梗塞の予後因子に関する検討
聖マリアンナ医科大学 神経内科
1
富山大学附属病院 神経内科、2 富山大学 医学部 第二内科
○道具伸浩 1、高嶋修太郎 1、豊田茂郎 1、平野恒治 1、
小西宏史 1、吉田幸司 1、田口芳治 1、井上 博 2、
○清水華奈子、下邨華菜、徳山承明、櫻井謙三、
田中耕太郎 1
伊佐早健司、高石 智、加藤文太、臼杵乃理子、
清水高弘、山田浩史、長谷川泰弘
【背景】頭蓋内主幹動脈のアテローム硬化性病変
【目的】血漿 D-dimer 値は脳梗塞急性期に上昇す
(ILA)進行の機序として炎症の関与が示唆されて
ることが知られているが、入院時の D-dimer 値が
いる。健常者、急性脳卒中発症患者又は急性冠症候
脳梗塞患者の予後不良を予測するかどうかを検討し
群患者において、血中炎症性バイオマーカー濃度と、
た。【 方 法 】2002 年 1 月 1 日 か ら 2006 年 12 月 31
その後の脳卒中イベントとの関連が明らかとなてい
日までに当院神経内科に入院した急性期脳梗塞症例
る。本研究の目的は、脳卒中発症後早期に測定した
359 例(平均年齢 71.8 歳)を後ろ向きに検討した。
血中炎症性バイオマーカーと ILA 進行との関連を
全症例の脳梗塞病型、年齢、性、既往歴、血液所見
明らかにすることにある。【方法】急性虚血性脳卒
(WBC,Hb,Ht,Plt,T-cho,CRP,D-dimer,
中患者 48 例を対象に、発症 48 時間以内に高感度
Fibrinogen,glucose)、 心 電 図、 頭 部 CT、 頭 部
CRP(hs-CRP)、interleukin-6(IL-6)、IL-18、
MRI を 確 認 し、 入 院 30 日 後 の modified Rankin
TNF-α、matrix metalloproteinase(MMP)-2、
scale(mRS)を評価した。予後不良群(mRS 3 以
MMP-9 を測定した。MR angiography(MRA)を
上)と予後良好群(mRS 0-2)の 2 群に分け、両群
経時的に施行し、各 MRA の頭蓋内動脈狭窄性病変
間の相違をカイ二乗検定あるいは対応のない t 検定
をスコア化することにより、ILA 病変の程度及び
で解析し、有意差のある項目についてはロジスティ
ILA 病変の進行の有無を評価した(MRA 追跡期間
ック回帰による多変量解析を行った。【結果】359
中央値は 3.1 年)。ハザード比(HR)は、従来の危
例中、174 例が予後不良群であった。入院 30 日後
険因子で補正したコックス比例ハザードモデルを用
の平均 mRS は女性で有意に高かった(p < 0.001)。
いて算出し、ILA 進行予測正診率は受信者動作特
単変量解析では、予後不良群に女性、心原性脳塞栓
性(ROC)曲線法を用いて求めた。【結果】ILA の
症、心房細動、75 歳以上、脳梗塞や TIA の既往、
進行は 48 例中 6 例(12.5%)で認められた。年齢、
D-dimer 高値(1μg/mL 以上)が多かった。多変
性別、高血圧症の存在で補正後、中央値 3.1 年追跡
量解析では、D-dimer 高値(1 μ g/mL 以上)(オ
後の MRA における ILA の進行には、入院時 MRA
ッズ比 2.45、95%信頼区間 1.52-3.89; p < 0.01)、75
における ILA 重症度スコア(HR = 2.814;95% CI,
歳以上(オッズ比 1.93、95%信頼区間 1.21-3.07; p
1.172 ~ 6.754) と 入 院 時 血 中 IL-6 値(HR =
< 0.01)、 女 性( オ ッ ズ 比 1.75、95 % 信 頼 区 間
1.215;95% CI,1.002 ~ 1.473)が有意な関連を有
1.08-2.83; p=0.02)が予後不良群で有意に高頻度で
することが示された。従来のリスク、入院時 ILA
あ っ た。【 結 語 】 女 性、 高 齢(75 歳 以 上 )、
重症度スコア及び IL-6 による ILA 進行の予測に関
D-dimer 高値は急性期脳梗塞症例の独立した予後
する ROC 曲線下面積(AUC)は、0.647 であった。
不良因子であると考えた。
このモデルから IL-6 を除外しても、AUC は 0.631
にとどまった。【結論】従来の危険因子及び入院時
の MRA 所見に加え、脳卒中発症直後に測定した
IL-6 の血中濃度もその後の頭蓋内 ILA の進行と関
連する。
─141─
O15-1
O15-2
ラット一過性局所脳虚血モデルにおける骨髄
単 核 球 細 胞 移 植 の thrapeutic window の
検討
骨髄間質細胞移植は脳梗塞後の局所糖代謝を
改善するー小動物用 PET/CT による検討
日本医科大学 内科学講座 神経・腎臓・膠原病リ
大学院医学研究科 トレーサー情報分析学分野、
ウマチ学部門
3
1
北海道大学医学研究科 脳神経外科、2 北海道大学
北海道大学大学院医学研究科 核医学分野、4 北海
道大学 アイソトープ総合センター
○神谷文雄、上田雅之、仁藤智香子、稲葉俊東、
○宮本倫行 1、黒田 敏 1、七戸秀夫 1、伊東雅基 1、
須田 智、斉藤智成、神谷信雄、片山泰朗
川堀真人 1、趙 松吉 2、孫田恵一 3、久下裕司 4、
玉木長良 3、宝金清博 1
目的: 我々は、ラット一過性局所脳虚血モデルに
【背景】近年の研究で中枢神経疾患に対して骨髄間
お い て、 骨 髄 単 核 球 細 胞(BMMC:bone marrow
質細胞(bone marrow stromal cells; BMSC)の移
mononuclear cells)移植を経静脈的に行うことによ
植が神経機能の改善を促進することが示唆されてい
り神経保護効果を認めることを報告した。今回、同
る。一方、臨床応用を考慮した場合、神経症状以外
モ デ ル を 用 い て 経 静 脈 的 BMMC 移 植 の
に客観的な治療効果の判定法が確立されていない。
therapeutic window の検討を行った。対象および
そこで本研究では 18F-FDG PET を用いてラット脳
方法 : 雄性 Sprague-Dawley ラットを用い、ハロセ
梗塞に対する BMSC 移植の治療効果を評価した。
ン麻酔下で塞栓子を用いて中大脳動脈を 90 分間閉
【方法】ラット中大脳動脈永久閉塞モデルを作成し
塞し、再灌流を行うことにより一過性局所脳虚血モ
て 7 日後に GFP-BMSC(1x106 cells)を定位的に
デ ル を 作 成 し た。 治 療 群 は、(1)Vehicle 群 と
同側線条体に移植した。脳梗塞 6 日後と 4 週間後に
BMMC 投与群に分け、BMMC 投与群はさらに(2)
BMSC 直接移植群(n=9)と vehicle 移植群(n=9)
再灌流直後(0 時間後)投与群、(3)再灌流 3 時間
の脳局所糖代謝を 18F-FDG PET を用いて半定量的
後 投 与 群、(4) 再 灌 流 6 時 間 後 投 与 群 に 分 け た
に測定して比較した。運動機能を Rotarod にて経
(各々 n=8)。BMMC は同種個体の大腿骨より採取
時的に評価した。また、移植 4 週間後に脳を摘出し
した骨髄液から密度勾配遠心法により分離し、細胞
て蛍光 2 重免疫染色を用いて移植細胞の生着や形態
数 107 個を大腿静脈から投与した。再灌流 24 時間
を評価した。
後に神経徴候を評価し、TTC 染色にて梗塞体積を
【結果】運動機能は移植 4 週間後に BMSC 群に有
計測した。結果 : Vehicle 群に比し、0 及び 3 時間
意な改善を認めた(p < 0.05)。脳梗塞近傍の新皮
後投与群では有意な脳梗塞体積の縮小効果を認めた
質の脳局所糖代謝の左右比は、移植前には BMSC
(p=0.000004,p=0.00008) が、6 時 間 後 投 与 群 で
群、vehicle 群で 72.7 ± 4.4%、72.5 ± 4.2%と低下し
は有意差を認めなかった(p=0.06)。神経徴候にお
た が、 移 植 4 週 間 後 に は 87.7 ± 5.3 %(p < 0.001)、
いては Vehicle 群に比し、0 時間後投与群では有意
78.7 ± 4.0%(p < 0.01)と両群とも有意に上昇した。
な改善を認め(p=0.001)、3 時間後投与群では統計
しかし、BMSC 群の方が有意に局所糖代謝の改善
学的有意差はなかったが改善傾向を認めた
が顕著であった(p < 0.001)。梗塞近傍の新皮質に
(p=0.09)。6 時間後投与群においては有意な改善
は多数の BMSC が生着しており、その大部分が神
を認めなかった(p=0.9)。考察:ラット一過性局所
経細胞の表現型を獲得していた。
脳虚血モデルにおいて、経静脈的 BMMC 移植の
【結語】BMSC を亜急性期に脳に直接移植するこ
therapeutic window は、虚血再灌流後 3 時間から 6
とにより局所糖代謝の改善を促し運動機能の改善を
時間にあると考えられた。
促すことが判明した。18F-FDG PET は臨床におい
ても、BMSC 移植の有効性を客観的に評価する方
法として利用できる可能性がある。
─142─
O15-3
O15-4
脳梗塞モデルラット間葉系幹細胞移植による
マクロファージ・ミクログリアの遺伝子発現
変化
マウス脳虚血モデルに対する脂肪組織由来幹
細胞培養上清の保護作用
1
脳神経外科
2
島根大学 医学部 第三内科、 島根大学 医学部 3
臨床検査医学、 島根大学医学部附属病院
1
岐阜薬科大学 薬効解析学、2 岐阜大学 医学部 ○江頭裕介 1、杉谷 創 1、鈴木悠希也 1、鶴間一寛 1、
○王 暉 1、長井 篤 2、Sheikh Abdullah2、
2
3
梁 雪云 、小林祥泰 、山口修平
嶋澤雅光 1、吉村紳一 2、岩間 亨 2、原 英彰 1
1
【目的】これまでの研究により、脳虚血モデルラッ
《背景、目的》近年脳梗塞に対する種々の幹細胞を
トに間葉系幹細胞移植を行うと虚血性脳傷害が軽減
用いた治療の有効性を示す報告が散見されるが、そ
されることが報告されてきた。我々は、移植脳でラ
の効果の多くは幹細胞の分泌因子に起因するとの報
ット由来の栄養因子の増加や炎症性サイトカインの
告がある。今回我々は幹細胞培養上清の神経細胞保
減少が誘導されることを明らかにしたが、それらの
護作用に注目し、採取が容易であるマウス脂肪組織
因子の由来は明らかでない。今回、移植によるミク
由来幹細胞培養上清(ASC-CM)を用いマウス脳
ログリア / マクロファージの栄養因子・サイトカイ
梗塞モデルに対する保護作用を検討した。《方法》
ンの発現変化を検討した。【方法】一過性中大脳動
生後 10 週齢の C57BL/6J マウス腹部皮下脂肪より
脈閉塞モデルラットをナイロン糸法で作製し、24
脂肪組織由来幹細胞を採取、培養し、培養上清は
時間後に PBS または 3x106 個のヒト由来骨髄間葉
種々の濃度に濃縮し以降の実験に用いた。まず、マ
系幹細胞株(B10)を静注移植した。梗塞作製 5 日
ウス中大脳動脈閉塞(MCAO)2 時間虚血再灌流モ
後に灌流固定し、Laser capture midrodissection 法
デルに対し ASC-CM を脳室内投与し、虚血 24 時
と定量的 real time-PCR 法を用いて、梗塞中心部
間後の脳梗塞体積を測定した。また、ASC-CM 中
の円形 ED1(+)細胞、または虚血辺縁部の分枝
に高濃度で含まれている成長因子である
Iba-1(+)細胞における栄養因子、サイトカイン、
progranulin に注目し、同様にマウス MCAO 2 時間
ケモカインの遺伝子発現を、比較検討した。【結
虚血再灌流モデルに対し脳室内投与を行い、虚血
果】分枝 Iba-1(+)細胞は虚血辺縁部に局在し、
24 時間後の脳梗塞体積を測定した。さらにマウス
梗 塞 中 心 部 で は 円 形 Iba-1(+) 細 胞 と 円 形 ED1
海 馬 細 胞(HT-22) を 用 い、oxygen-glucose dep-
(+)細胞が混在していた。移植により、ED1(+)
rivation(OGD)に対する progranulin の保護効果
細胞で EGF、VEGF、IL4、IL10 の発現が増加し、
について検討した。《結果》ASC-CM 投与群におい
IL1 β、MCP-1、MHC-II の発現が低下した。虚血
ては対照群と比較し、虚血 1 時間前から虚血直後の
辺縁部の分枝 Iba-1(+)細胞で iNOS、MHC-II、
投与で用量依存的に脳梗塞体積を有意に減少させた。
TLR2、TNF α の 発 現 が 低 下 し た。【考 察】Iba-1
一方、虚血 2 時間後投与では ASC-CM 群、対照群
(+)、ED1(+)細胞いずれも MHC-II 遺伝子発現
とも梗塞体積に有らかな差は認められなかった。
が低下し、活性化の低下が示唆された。虚血中心部
Progranulin 投与群においては対照群と比較して虚
のミクログリア / マクロファージでは、炎症性サイ
血直前の投与で脳梗塞体積の有意な減少が認められ
トカイン・ケモカインの発現低下と栄養因子・抗炎
た。HT-22 細胞を用いた 6 時間 OGD モデルに対し
症性サイトカインの発現増加がみられ、虚血辺縁部
て、progranulin は濃度依存的に細胞死を抑制した。
の分枝 Iba-1(+)細胞では、iNOS や TLR2 の発現
《結語》ASC-CM は脳虚血に対する保護作用を有
低下がみられたことより、B10 移植によりミクログ
し、その作用の一部に progranulin が関与している
リア / マクロファージのフェノタイプ変化が誘導さ
可能性が示唆された。これまでに脳虚血における
れ、神経保護的に働いた可能性が考えられた。
progranulin の病態への関与を示した報告はないが、
脳虚血治療における新たな治療法となり得る可能性
が示された。
─143─
O16-1
O16-2
大脳皮質梗塞後に誘導される脳軟膜由来神経
幹細胞の発見
一過性脳虚血誘導性神経幹細胞の発現
1
門、2 国立循環器病研究センター 脳循環研究室、
2
兵庫医科大学 先端医学研究所、 兵庫医科大学 3
1
3
総合診療内科学、 国立循環器病 研究センター
○中込隆之 1、土居亜紀子 1、田片将士 1、盧 山 2、
立花久大 2、土江伸誉 1、田口明彦 3、松山知弘 1
兵庫医科大学 先端医学研究所 神経再生研究部
大阪歯科大学 歯科麻酔学講座、4 兵庫医科大学 病院病理部
○百田義弘 1、中込隆之 1、中野亜紀子 1、田口明彦 2、
柴田啓貴 3、田片将士 1、塚本吉胤 4、小谷順一郎 3、
百田義弘 3、松山知弘 1
【目的】我々は、これまでに、大脳皮質脳梗塞巣か
【緒言】我々は、最近、脳梗塞部位に発現する神経
ら、新たな神経幹細胞(傷害誘導性神経幹細胞 :
幹
injury-induced neural stem cell; iNSPC)を発見し
iNSPC)について報告した。しかし、一過性脳虚血
(Eur J Neurosci, 2009)、既報の成体神経幹細胞と
により誘導される神経幹細胞の発現については明ら
は異なる特性を有することを明らかにしてきたが、
かではない。今回、iNSPC の誘導と脳虚血との関
その起源に関しては不明な点が多い。今回、我々は、
連性を評価するために、非致死的~致死的一過性虚
iNSPC が脳表を被っている軟膜(pia mater)にも
血負荷後の Nestin/Sox2 陽性細胞の発現についてマ
発現し、その起源として neural crest が示唆された
ウス大脳皮質梗塞モデルを用いて検討した。【方
ので報告する。【方法】6 ~ 10 週令の雄 CB マウス
法】6-10 週令の雄 C。B-17/icr-+/+(CB)マウス
を用い、中大脳動脈閉塞により、脳梗塞を作成した。
を用い、左側中大脳動脈を露出した後、7.0 ナイロ
脳梗塞作成後、1、3、7 日目に神経幹細胞マーカー
ン糸を用いて一過性虚血誘導操作を行った。虚血時
である nestin 陽性細胞の発現を検討した。また、3
間は、前回、本学会で報告した非致死的負荷である
日目に、脳軟膜のみを取り出し、物理的に細かくし
15 分間と明確に梗塞巣を発現する 30 分間とした。
た 後、 神 経 栄 養 因 子 で あ る epidermal growth
虚血再灌流操作3日後、5日後に灌流固定を行い、
factor(EGF)、basic fibroblast growth factor
脳組織凍結切片を作成し、MAP2、GFAP、Nestin、
(bFGF)添加培地にて培養した。培養後得られた
Sox2 の発現を免疫組織染色にて評価した。【結果】
neurosphere 様細胞塊に対し、RT - PCR、免疫組
致死的な30分間虚血後の梗塞中心部では MAP2、
織化学染色を施行し、細胞の特性に関して検討した。
GFAP 陽性細胞はすべて消失していたが、血管周
細
胞(induced-neural stem/progenitor cell:
【成績】脳梗塞 3 日目に、虚血領域の脳軟膜及び大
囲には Nestin/Sox2 陽性細胞の発現が認められた。
脳皮質で、nestin 陽性細胞の発現を最も強く認めた。
一 方 1 5 分 間 虚 血 で は、3 日 後、5 日 後 と も に
また、梗塞領域の軟膜を培養した結果、nestin 陽性
MAP2、GFAP の 脱 落 は み ら れ ず、Nestin/SOX2
の neurosphere 様 細 胞 塊 が 得 ら れ(pia mater-
の発現は虚血領域の微小血管周囲と GFAP 陽性ア
derived iNSPCs; piNSPCs)、その細胞は分化培養条
ストロサイトの一部に観察された。【結論】iNSPC
件にて神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロ
は非致死的な一過性虚血負荷によっても血管周囲に
サイトの 3 系統へ分化することも確認された。さら
発現するが、この場合には反応性アストロサイトに
に、piNSPCs は、 血 管 周 細 胞(pericytes) マ ー カ
も Nestin が発現することから、起源の異なる神経
ーも同時に発現しており、発生学的に脳軟膜及び
幹細胞が虚血負荷により誘導される可能性が示唆さ
pericyte の起源である neural crest マーカーの発現
れた。【参考文献】Nakagomi et al., Stem Cell and
も確認された。【結論】大脳皮質の虚血に伴い、脳
Development, 2011Nakagomi et al., Eur J Neurosci,
軟膜にも内在性神経幹細胞が誘導されることが明ら
2009
かとなり、その起源をして、neural crest・pericyte
系の細胞が考えられた。今後、この細胞の神経増殖、
分化規定因子を解明することで、脳梗塞後の神経再
生療法に繋がる可能性が示唆された。
─144─
O16-3
O16-4
局所脳虚血再灌流障害に対する TLR4 シグ
ナル伝達阻害薬 resatorvid の作用
脳虚血再還流障害における P2Y12 レセプタ
ーの役割―クロピドグレルの新たな効能の可
能性について―
1
岐阜薬科大学薬効解析学、2 岐阜薬科大学薬化学
○鈴木悠起也 1、村瀬哲司 2、浜中順也 1、鶴間一寛 1、
嶋澤雅光 1、永澤秀子 1、原 英彰 1
1
北海道大学 医学部 脳神経外科、2 カリフォルニ
ア大学サンフランシスコ校
○穂刈正昭 1、ウエブスター カーラ 2、
タン シナン 2、マクマヌス エイプリル 2、
イエナリ ミドリ 2、寶金清博 1
【 背 景 と 目 的 】 脳 虚 血 再 灌 流 障 害 に Toll-like
抗血小板薬であるクロピドグレル(CL)は血小板
receptor4(TLR4)が関与することが知られている。
に存在する P2Y12 レセプターを阻害し、その作用
過去の我々の研究においても、TLR4KO マウスは
を発揮するが、P2Y12 レセプターは血小板の他に
脳虚血再灌流障害に対して神経保護作用を示すこと
ミクログリア(MG)でも発現されている。MG は
を報告した。そこで今回我々は、TLR4 シグナル伝
様々な脳損傷後の炎症反応時に重要な役割を担う脳
達阻害薬である resatorvid(TAK-242 ;(6R)-6-[[
内免疫細胞であり、その過剰な活性化は障害を増悪
(2-Chloro-4-fluorophenyl)amino]sulfonyl]-1-
させることもある。脳虚血再還流障害における、
cyclohexene-1-carboxylic acid ethyl ester)の脳虚
MG を介した CL の効果を検討したので報告する。
血 再 灌 流 障 害 に 対 す る 作 用 を 検 討 し た。【 方 法 】
はじめに in vitro で培養細胞に OGD を行い、生存
ddY 雄性マウス(4週齢)を用い、イソフルラン
率・細胞塊形成の程度を比較した。MG と共培養し
麻酔下にて左中大脳動脈に先端をコーティングした
た神経細胞では生存率が低く、細胞塊形成が多く観
ナイロン栓子(8-0 モノフィラメント)を挿入する
察 さ れ た。 共 培 養 さ せ る MG を siRNA に よ り
ことによって閉塞させた。マウスを resatorvid 投
P2Y12 レセプターを knock down させると、その
与 群(0.001、0.003 お よ び 0.01μg)、 溶 媒 投 与( コ
ような所見は抑制された。次に in vivo で 1:P2Y12-
ントロール)群に分け、虚血 2 時間後に再灌流を行
heterozygous(P2Y12(+/-)、2:wild type(WT)、
い、その直後に脳室内投与した。再灌流 22 時間後
3:CL を投与した(25 mg/kg po)WT、に対して 12
に脳を取り出し、TTC 染色にて梗塞巣の面積およ
分間の一過性前脳虚血を行い、3 日後の病理像を比
び体積を測定した。また、神経症状についても評価
較 検 討 し た。P2Y12(+/-) と CL 投 与 群 で、WT
を行った。NF-κB および MMP9 の測定は、ウエ
群に比べ海馬 CA1 細胞の生存率が高く MG 活性が
スタンブロットにて検討した。【結果】Resatorvid
抑制されていた。P2Y12 欠損または CL による阻害
の 0.01μg 投与群は、溶媒投与群と比較して梗塞巣
は、海馬における MG 活性化を抑制し、CA1 の遅
の縮小および神経症状の改善が認められた。また、
発性細胞死を軽減した。
虚血再灌流障害部位における NF-κB の核移行お
よび MMP9 の活性化は、resatorvid の投与によっ
て有意に抑制された。【結論】Resatorvid の脳室内
投与は、脳虚血再灌流障害に対して有効であった。
また、その作用メカニズムとして、NF-κB および
MMP9 の抑制が関与している可能性が示唆された。
─145─
O17-1
O17-2
In Vivo Imaging of Autophagy in a
Mouse Stroke Model
低酸素ストレスとシャペロン介在性オートフ
ァジー
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 神経内科
1
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 脳神経内科
学、2 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 神経薬
○田 豊豊、森本展年、阿部康二
理学
○土肥栄祐 1、田中 茂 2、関 貴弘 2、秀 和泉 2、
高橋哲也 1、松本昌泰 1、酒井規雄 2
Recent study suggested that autophagy is involved
【背景】脳虚血環境下における神経細胞死にマクロオ
in a part of neural death after cerebral ischemia. In
ートファジー(MA)の関与が報告され注目を集めてい
vivo detection of such autophagy may be
る。一方、シャペロン介在性オートファジー(CMA)
important to evaluate ischemic neural cell damage
は基質選択的な蛋白分解機構で、長期の飢餓状態や酸
for human stroke patients. With a novel green
化ストレスにより持続的に活性化され、細胞生存に寄
fluorescent protein(GFP)fused with microtubule-
与すると報告されている。しかし、脳虚血環境下にお
associated protein 1 light chain 3(LC3)
ける CMA の動態は未だ明らかでない。今回、マウス神
transgenic(Tg) mice, in vivo imaging of
経芽細胞腫(Neuro2A)細胞を用い、低酸素負荷によ
autophagy was performed at 1, 3 and 6 d after 60
る CMA の活性化と神経細胞死への関与について検討し
min of transient middle cerebral artery occlusion
た。【方法】Neuro2A 細胞に血清除去+ 1%低酸素負荷
(tMCAO). Ex vivo imaging of autophagy,
を加え LAMP-2A および CMA 関連蛋白の発現変化を
Western blot, immunohistochemistry and TUNEL
免疫染色とウエスタンブロットにより検討した。さら
fluorescent analyses were also performed with
に、 個 々 の 細 胞 に お け る CMA 活 性 の 評 価 の た め、
brain sections after the tMCAO. In vivo fluorescent
CMA 基 質 で あ る GAPDH と HaloTag の 融 合 蛋 白
signal was detected at the ischemic hemisphere
(GAPDH-HT)発現ベクターを作製した後、Neuro2A
through skull bone at 1, 3 and 6 d after tMCAO
細胞に導入し、低酸素環境下における GAPDH-HT の
with peak at 1d. These intrinsic GFP fluorescence
LAMP2A 陽性リソソームへのトランスロケーションを
signals were confirmed as autophagic LC3 signals
HT 蛍光リガンドにより観察した。また、Neuro2A 細
with double immnofluorescent study with
胞に LAMP -2A siRNA 又は control siRNA を導入し、
antibodies for LC3 and P62. Western blot analysis
24 時間後に血清除去+ 1%低酸素負荷を加え、LAMP-
showed that the LC3-I and LC3-II levels reached
2A の発現変化を検討すると共に、細胞死への影響を
maximum at 1 d after tMCAO, and fluorescent
Cleaved Caspase-3 の発現変化と PI 陽性死細胞数で評
immunohistochemistry showed that GFP-LC3
価した。最後に、低酸素負荷による神経細胞死に対す
positive cells were mainly neuronal cells. The
る CMA 活性化薬(MPA、6-AN)の保護効果を検討し
number of GFP-LC3/TUNEL double positive cells
た。【結果】低酸素負荷により LAMP-2A および Hsp40
were larger in the ischemic penumbra than the
の発現上昇を認め、GAPDH-HT の LAMP-2A 陽性リ
core. This study provided evidence of in vivo
ソソームへのトランスロケーションの増加が観察され
detection of autophagy stroke with a peak at 1d,
た。さらに、低酸素負荷による LAMP-2A の発現増加
and the source of the autophagic signal was mainly
を siRNA により抑制すると、Cleaved Caspase-3 の発
neuronal cells. This novel technique is important to
現増加および PI 陽性死細胞数の増加が認められたが、
monitor autophagic process in vivo in stroke and
CMA 活性化薬の付加により Cleaved Caspase-3 の発現
other neurological diseases.
量は減少した。【考察】低酸素負荷により Neuro2A 細
胞では CMA が活性化される可能性が高い。細胞保護的
に作用する CMA は、虚血性神経細胞障害の新たな治療
ターゲットとなる可能性が示唆される。
─146─
O17-3
O17-4
局所脳虚血モデルにおける MKP-1 mRNA
の特異的かつ急峻な発現誘導
脳 虚 血 後 CaMK に よ る CRTC1-CREB 制
御機構に関する検討
東京大学 医学部 脳神経外科
1
大阪大学大学院医学系研究科神経内科学(脳卒中
センター)、2 医薬基盤研究所代謝疾患関連タンパク
○堀川弘吏、今井英明、陳 毅力、宮脇 哲、
探索プロジェクト
越智 崇、伊藤明博、中冨浩文、斉藤延人
○佐々木勉 1、竹森 洋 2、寺崎泰和 1、川村美貴 1、
杉山幸生 1、大山直紀 1、八木田佳樹 1、北川一夫 1
MKP-1(Mitogen activated protein Kinase
【目的】脳に豊富に存在する転写因子 CREB は、
Phosphatase-1) は、MAP kinase の Serine/Threonine
記憶、神経生存などに寄与し、下流の CRE モチー
残基をリン酸化してその活動を制御するものとして知ら
フを有する因子を介し神経保護効果を発揮。CREB
れ、酸化ストレスや感染などにより誘導されると考えら
Ser133 がリン酸化されると CBP/p300 がリクルー
れている。当教室での先行研究において、この MKP-1
トされ、その HAT 活性を介して転写が開始される。
m RNA がラット全脳虚血モデルにおいて虚血後早期よ
近 年 CREB 転 写 調 節 に お い て、 新 規 CREB
り高度に発現誘導されることが示された。虚血脳におけ
coactivator である CRTC family の重要性が報告さ
る MKP-1 の働きに関してはいまだ不明な点が多く、本
れている。今回、脳虚血後の CRTC1-CREB 制御
研究においてはこの MKP-1 の動態を空間的、時間的に
機構を検討した。【方法】(培養系)E16 ラット初代
解析し、その脳虚血ストレス下における働きを推測する。
神経細胞培養系を作成、培養後 10-12 日後に実験に
ラット中大脳動脈閉塞モデルを用いて各時間経過(虚
供 し た。In vitro ischemia と し て OGD を 施 行。
血後 30min,1h,3h,6h,12h,24h,3day,7day,
CRTC1、CRTC1 Ser167、Salt inducible kinase 2
control,sham、各 n=3)にて断頭し脳標本を作成した。
(SIK2)、SIK1 抗体を用いたウエスタンを施行。
MKP-1 mRNA に 対 す る DIG-labeled antisense RNA
免疫組織にて CRTC1 の細胞内分布、加えて直接的
probe を用いて in situ hybridization を行い、発現分布を
な CRTC1-CREB 動態検討のため Adeno-CRE-luc、
調べた。また qRT-PCR を用いて MKP-1 mRNA の定量
GAL4-CRTC1 を 作 成 し、Luciferase assay に て
を 行 っ た。Immunohistochemistry に お い て は anti-
各々活性を測定。また虚血時の CRTC1 の上流シグ
MKP-1 抗 体、GFAP、NeuN を 用 い て 発 現 細 胞 の
ナルを検討するため各種キナーゼ阻害剤並びに、
speculation を行った。
DA-Ca(2+)/calmodulin-dependent protein
In situ hybridization に お い て、MKP-1 mRNA は、
kinase 1,2,4,DN-CaMKs を 各 々 作 製 し、
虚血後早期(虚血 1 - 3 時間後)より虚血側大脳半球に
CRTC1 へ の 関 与 を 調 べ た。【 結 果 】OGD 後、
おいて発現誘導が認められた。それは ischemic core に
CRTC1 は細胞質から核内移行し、CRTC1 活性は
は少なく、peri-infarct zone から remote cortex の領域
上昇した。虚血後 SIK2 は分解され、それに伴い
に特異的に認められ、形態学的に neuron 優位の発現を
CRTC1-CREB 経 路 の 活 性 化 を 来 し た。 ま た
示した。qRT-PCR においても 1- 3 時間にかけてピーク
CaMK1/4 が CRTC1 活性を制御することが示唆さ
を 示 し、 そ の 後 急 速 に 発 現 は 減 少 し て お り、in situ
れた。【考察】脳虚血後の CREB 調節機構において、
hybridization を 裏 付 け る 結 果 と な っ た。
CaMK1/4 は CREBSer133 に 加 え、CRTC1 経 路 を
Immunohistochemistry に お い て は MKP-1mRNA 発 現
制御することが示唆された。
細胞が neuron 優位であることが確認できた。
これらより MKP-1 m RNA は、虚血ストレス超急性
期に neuron に特異的に発現するものと考えられた。ま
たこの分布パターンは、細胞死を免れる部分に発現が増
加しており、細胞死というよりむしろ軽度の虚血ストレ
スに対する応答に、何らかの形で寄与している可能性が
考えられた。
─147─
O17-5
O18-1
神経細胞におけるニコチンによる CREB 調
節機構の検討
FGF アパタイトコーティングによる脳血管
新生療法の効果
1
1
大阪大学大学院医学系研究科神経内科学(脳卒中
筑波大学 人間総合科学研究科 疾患制御医学 センター)
、 医薬基盤研究所代謝疾患関連タンパク
脳神経外科、2 独立行政法人 産業技術総合研究所 探索プロジェクト
ヒューマンライフテクノロジー研究部門、3 独立行
2
○佐々木勉 1、八木田佳樹 1、寺崎泰和 1、川村美貴 1、
杉山幸生 1、大山直紀 1、竹森 洋 2、北川一夫 1
政法人 産業技術総合研究所 ナノシステム研究部
門
伊藤嘉朗 1、○鶴嶋英夫 1、佐藤允之 1、中村和弘 1、
伊藤敦夫 2、大矢根綾子 3、十河 友 2、松村 明 1
【目的】ニコチンによる神経保護効果は、転写因子
【目的】Fibroblast growth factor-2(FGF-2)は、脳梗
cAMP response element-binding protein(CREB)
塞体積の減少や神経機能の回復を促進させる作用を有す
の活性化が、その神経保護効果の一因であることが
るが、体内での turn over が早いため臨床では使用されて
報告されている。近年 CREB 特異的 coactivator で
いない。我々は頭蓋形成術などで用いているバーホール
ある coactivators named transducer of regulated
ボタンに FGF-2 をコーティングし、直接脳虚血部位へ徐
CREB activity(TORC/CRTC)が同定され、この
放できる FGF アパタイトコーティングを開発した。今回、
CRTC1 は NMDA 受容体などにより活性化されて
FGF アパタイトコーティングの脳血管新生療法の可能性
いることが報告されているが、その他の受容体など
を研究する。
の関与はあまり検討されておらず、本研究において、
【方法】開頭による中大脳動脈切断によって脳虚血モデ
nicotinic acetylcholine receptor(nAChR)、 特 に
ルを作製した。FGF-2 を含んだ過飽和リン酸カルシウム
α 7 nAChR による CREB 活性化機構とその下流因
溶液にバーホールボタンを 24 時間浸して FGF アパタイ
子の検討を施行した。【方法】(培養系)E16 ラット
トコーティングを作製した。脳虚血後に FGF アパタイト
初 代 神 経 細 胞 培 養 系 を 作 成 し、(-)-nicotine、
コーティングを虚血部位に挿入した。FGF-2 をコーティ
PNU282987(α7 nAChR アゴニスト)、PNU120596
ン グ し な い control 群、FGF-2 を 虚 血 部 位 に 滴 下 し た
(α7-selective positive allosteric modulator) の 併
FGF-drop 群、 低 濃 度 の FGF-2 を コ ー テ ィ ン グ し た
用 による、CRE、CRTC 1活性並びに ERK シグ
FGF-low 群、高濃度の FGF-2 をコーティングした FGF-
ナルの関与を検討した。免疫組織にて CRTC1 の細
high 群 に 分 け て、 脳 梗 塞 後 14 日 目 の 神 経 症 状
胞内分布、直接的な CRTC1-CREB 動態検討のため
(neurological evaluation system)、脳血流比、脳梗塞体
Adeno-CRE-luc、GAL4-CRTC1、また bdnf exon4
積、免疫染色法(FactorVIII)による血管新生を検討した。
promoter activity を Luciferase assay に て 各 々 活
【結果】神経症状、脳血流比、脳梗塞体積、血管新生の
性を測定。Thr202/Tyr204-phosphorylated p44/42
いずれの項目においても control と FGF-drop と比べて
MAPK(ERK1/2) 抗 体、BDNF 抗 体 を 用 い た
FGF-low と FGF-high で良好な結果が得られた。それぞ
Western blotting を 施 行 し た。【 結 果 】(-)
れの結果は以下の通りであった。神経症状はそれぞれ平
-nicotine + PNU 併用投与にて、有意に CRE 転写
均 13.0、12.3、16.0、16.3。脳血流比はそれぞれ平均 56.3%、
活性上昇並びに TORC1transactivation 活性が亢進
63.4 %、77.5 %、83.6 %。 脳 梗 塞 体 積 は そ れ ぞ れ 平 均
した。一方で、(-)-nicotine + PNU 併用は CREB
109.2mm3、115.7mm3、65.0mm3、56.5mm3。免疫染色法に
経路だけでなく、ERK1/2 経路も活性化した。さら
よる血管新生はそれぞれ平均 107.2/mm2、163.1/mm2、
に(-)-nicotine + PNU 併用 投与は、BDNF 蛋白
288.6/mm2、298.3/mm2。またいずれの評価項目において
の発現を上昇させた【考察】ニコチンによるα 7
も control と FGF-drop に 有 意 な 差 は 認 め ず、FGF-low
nAChR を介した神経保護作用に、CRTC1-CREB
と FGF-high においても有意な差は認めなかった。
シグナル活性化と ERK シグナルが関与することが
【結語】FGF-2 の徐放効果により脳虚血部位において血
示唆された。
管新生の増生から脳血流が改善し、脳梗塞領域が縮小さ
れたと思われる。こうした組織学的効果によって神経症
状が改善したものと思われる。
─148─
O18-2
O18-3
意 図 的 高 血 圧 は 頚 部 IC 閉 塞 を 伴 う 同 側
MCA 閉 塞 に お い て CBF を ECA 系 側 副 路
および Pcomm. を介して改善する
高血圧自然発症ラットにおける脳側副血管の
発達
1
ンター)
北里大学 医学部 脳神経外科、2Massachusetts
General Hospital, Stroke and Neurovascular
R e g u l a t i o n L a b o r a t o r y 、 3P u s a n N a t i o n a l
大阪大学大学院医学系研究科神経内科学(脳卒中セ
○杉山幸生、八木田佳樹、大山直紀、由上登志郎、
寺崎泰和、川村美貴、佐々木勉、北川一夫
University, MRC for Ischemic Tissue Regeneration
○湯澤 泉 1、山田 勝 1、藤井清孝 1、
Ayata Cenk2、Shin Hwa Kyoung3
目 的: 脳 梗 塞 急 性 期 治 療 に お い て induced
【目的】虚血性脳血管障害において、脳側副血管の発
hypertension(iHTN)は未だ議論がある治療法で
達(arteriogenesis)を促進することは有効な治療法
ある。頚部頚動脈分岐部の粥状動脈硬化性高度狭窄
と な る。 こ れ ま で 我 々 は 高 血 圧 自 然 発 症 ラ ッ ト
病変において、脳梗塞の原因として hemodynamic
(SHR)ではこの arteriogenesis が障害されており、
な要因に加え、狭窄部に形成された血栓あるいは粥
慢性低灌流により誘導される脳軟膜動脈吻合の発達が
腫そのものによる末梢脳血管の閉塞がある。今回
不良であることを報告してきた。一方で Granulocyte
我々はこの病態の急性期における iHTN の効果を
colony-stimulating factor(G-CSF) は arteriogenesis
マウスモデルを用いて検討した。マウス一過性遠位
を促進し、虚血性脳障害を軽減する効果があることも
部中大脳動脈閉塞(dMCAO)に同側内頚動脈閉塞
報告してきた。今回、SHR において arteriogenesis に
(ICAO)または総頚動脈閉塞(CCAO)を付加し、
対する G-CSF の効果を検討した。【方法】Wistar rat
Willis 動脈輪、外頚動脈由来の側副血行が iHTN 中
(オス、250-350g)及び SHR(オス、10-14 週齢)を
の CBF に 与 え る 影 響 を 検 討 し た。 方 法:3 群
対象とし、左総頸動脈(CCA)を閉塞し、その直後よ
(dMCAO 単独、ICAO+dMCAO、CCAO+dMCAO)
り G-CSF(100 μ g/kg/ 日)あるいは Vehicle を連日
における CBF の記録には Laser SpeckleFlowmetry
5 日間皮下投与した。CCA 閉塞 7 日後、脳の主要な側
を使用した。各々の群はさらに iHTN 群(30%血
副血管である脳軟膜動脈吻合とウィリス動脈輪を
圧上昇)と control 群に分けた。ICAO、CCAO は
Latex Perfusion により可視化した。また単球の動員
dMCAO 前に導入し、虚血後 48 時間で各群の梗塞
が arteriogenesis に必要であると考えられていること
体積を比較した。結果: ICAO、CCAO は MCA、
から、G-CSF 投与後の末梢循環血液中の単球数を測
後大脳動脈領域の CBF を明らかに低下させた。
定した。【成績】Wistar rat では G-CSF 投与によって
dMCAO 時、CBF 低 下 は ICAO、CCAO 群 で は
CCA 閉塞後の脳軟膜動脈吻合の血管径は有意に拡大
dMCAO 単 独 群 と 比 較 し て 大 き か っ た。iHTN は
し arteriogenesis 促進効果が認められた。しかし SHR
dMCAO 単独群で明らかに虚血領域を縮小させた。
では脳軟膜動脈吻合の血管径に対する G-CSF の効果
ICAO 群で縮小効果は減弱し、CCAO 群ではばら
は認められなかった。ウィリス動脈輪の血管径は、
つきが大きく効果を認めなかったが、梗塞体積は全
Wistar rat と SHR で共に CCA 閉塞後に有意に拡大し
群で有意に減少させた。 CCAO 群で Pcomm. のサ
たが、G-CSF 投与による更なる変化はみられなかっ
イズと梗塞体積の関係を検討したところ、発達した
た。末梢循環血液中の単球数は Wistar rat、SHR で共
Pcomm. を認めた場合のみ iHTN が梗塞体積を減少
に G-CSF 投与により有意に増加していた。【結論】正
させた。外頚動脈由来の側副血行の重要性も明白で
常血圧動物で認められる G-CSF 投与による CCA 閉
あ っ た。 結 論: 我 々 は iHTN が ICAO、CCAO を
塞 後 の 脳 軟 膜 動 脈 吻 合 の arteriogenesis 促 進 効 果 は
伴 う dMCAO 時 に、 外 頚 動 脈 由 来 側 副 血 行、
SHR では認められなかった。Arteriogenesis は、循環
Pcomm. を介し梗塞体積を減少させる事を示した。
血液中の単球に側副血管側が応答することで進むと考
iHTN において外頚動脈由来側副血行は重要であり、
えられている。SHR でも G-CSF 投与による循環血液
Pcomm. の未発達な総頚動脈閉塞では効果が乏しい
中の単球増加効果はみられたことから、高血圧による
と考えられる。
血管機能障害が G-CSF の arteriogenesis 促進効果を
阻害している可能性が示唆された。
─149─
O18-4
O19-1
虚 血 性 神 経 細 胞 傷 害 に 対 す る NADPH
oxidase の役割
レーザー照射によるマウス脳微小血管内血栓
形成に及ぼすトロンボモデュリンアルファ
(遺伝子組み換え)の影響
1
山梨大学 医学部 脳神経外科、2 スタンフォード
大学 脳神経外科
埼玉医科大学国際医療センター 神経内科・脳卒中
○吉岡秀幸 1、八木 貴 1、若井卓馬 1、福元雄一郎 1、
チャンパク 2、木内博之 1
内科
○丸山 元、福岡卓也、棚橋紀夫
【目的】NADPH oxidase(NOX)は貪食細胞にお
【目的】レーザー照射によるマウス脳微小血管への
ける活性酸素産生源として知られている。刺激に応
血栓形成に及ぼすトロンボモデュリンアルファ(遺
じ、細胞質成分(p47phox,p67phox)が移動し、細胞
伝子組換え)の影響を生体用蛍光顕微鏡を用いて検
膜成分(gp91phox)と複合体を形成して活性型とな
討した。【方法】雄性 C57BL/6J マウス(N = 14)
り、活性酸素を産生する。近年、血管内皮細胞など
を用い、抱水クロラールで腹腔内麻酔後、頸静脈に
貪食細胞以外の組織における NOX の存在が明らか
カテーテルを挿入した。トロンボモデュリンアルフ
となり、脳虚血をはじめとする種々の疾患において
ァ(遺伝子組み換え)10mg/kg を静脈内投与した
その役割が注目されている。本研究では、虚血性神
ものをトロンボモデュリン投与群(N=7)、投与し
経細胞障害における NOX の役割について、マウス
なかったものをコントロール群(N = 7)とした。
一過性前脳虚血モデルにおける線条体神経細胞傷害
マ ウ ス 頭 頂 部 に cranial window を 作 成 し、
に注目し、検討した。【方法】雄性 C57BL/6 マウス
carboxylfluorescein succinimidylester(CFSE) を
を用いた。両側総頸動脈を 22 分間遮断し、前脳虚
静脈内投与して血小板を標識した。血栓作成レーザ
血を作成した。虚血後各タイムポイントで断頭し、
ー装置(TS-KL/S2、照射光源;DPSS レーザー、
線条体の蛋白抽出および薄切切片作成を行った。ウ
波長 532nm、対物レンズ 10 倍、1000mA、9.8mW)
ェスタンブロットおよび免疫染色を行い、NOX 各
を用いて脳軟膜動脈に 4 秒間レーザー照射し、血栓
成分の発現を解析した。gp91phox ノックアウトマウ
形成過程を生体用蛍光顕微鏡を用いてを観察した。
スおよび apocynin を用いて NOX を阻害し、虚血
【結果】レーザー照射による脳軟膜動脈の完全閉塞
後活性酸素産生、酸化蛋白傷害、マイクログリア活
率は、コントロール群では 12/20 血管(60%)(血
性、神経細胞傷害における NOX の役割を検討した。
管口径 28.3 ± 5.4 μ m)、トロンボモデュリン群で
【結果】虚血後 3 日目より線条体の中型有棘神経細
は 3/21 血 管(14 %)( 血 管 口 径 28.4 ± 3.6μm) で
胞傷害が出現した。ウェスタンブロット解析では、
あり、トロンボモデュリン群で有意に低率であった
NOX 各成分の蛋白量は、虚血後 3-72 時間に誘導
(p = 0.004)。また、照射 30 分後の血栓面積は、
され、細胞質成分が細胞膜分画に移動することも確
コントロール群 358 ± 256 μ m2、トロンボモデュ
認された。また、免疫染色により、NOX が虚血 6
リン群 170 ± 223 μ m2 であり、トロンボモデュリ
時間後には中型有棘神経細胞と血管内皮細胞に、72
ン群で有意に小さかった(p = 0.004)。【結語】ト
時間後にはマイクログリアに誘導されることが明ら
ロンボモデュリンアルファ(遺伝子組み換え)はレ
かとなった。更に、NOX を阻害すると、虚血 24 時
ーザー照射による脳軟膜動脈の血栓形成を有意に抑
間後の活性酸素産生および酸化蛋白傷害が抑制され、
制した。
虚血 3 日後のマイクログリアの活性化および中型有
棘神経細胞死が軽減された。【結論】NOX は脳虚血
により神経細胞、血管内皮細胞およびマイクログリ
アで活性化され、その産生する活性酸素は虚血性神
経細胞傷害において重要な役割を果たす。NOX の
阻害は脳梗塞治療のターゲットとなりうる。
─150─
O19-2
O19-3
低酸素環境飼育マウスにおける脳賦活及び
CO2 負荷時の脳血管反応性の検討
脳血管内皮細胞における内皮機能維持のメカ
ニズム
1
九州大学大学院 医学研究院 病態機能内科学
放射線医学総合研究所 分子イメージング研究セ
ンター、2 電気通信大学先端領域教育研究センター、
3
千葉大学大学院医学研究院神経内科、4 慶應義塾大
○中村麻子、黒田淳哉、吾郷哲朗、有村公一、
石束光司、砥上妃美子、牧原典子、西村 中、
学医学部神経内科
鴨打正浩、北園孝成
○田桑弘之 1、正本和人 2、菅野 巖 1、川口拓之 1、
谷口順子 3、冨田 裕 4、鈴木則宏 4、伊藤 浩 1
【目的】これまでに、低酸素環境下で飼育したマウ
背景・目的:脳血管内皮細胞は、血液脳関門の維持
スの大脳皮質では脳賦活に対する脳血管反応性が低
や微小脳循環の調節に直接携わり、きわめて重要な
下することを報告した。本研究では、慢性的な低酸
役割を担っている。内皮機能の障害は、動脈硬化や
素環境が与える脳血管機能への影響について、脳賦
血栓形成の契機となり、脳虚血など臨床的に大きな
活及び CO2 負荷に対する脳血流変化量を比較検討
問題につながっていく。脳血管内皮細胞は、一酸化
した。【方法】イソフルラン麻酔下の雄性 C57BL/
窒素(NO)やプロスタサイクリンといった物質を
6J マウス(N = 12、7-9 週齢)の体性感覚領域に、
生成・放出し、血管拡張や血小板凝集抑制作用を介
円形ガラスプレートにより密閉したクラニアルウィ
して、血管内皮機能を維持し、微小循環環境の恒常
ンドウを作成した。マウスは術後1週間から酸素分
性を保っていると考えられている。NO とプロスタ
圧 8 - 9%環境下で1ヶ月間飼育した。低酸素曝露
サイクリンはどちらも重要な物質であるが、脳血管
前をコントロールとし、同一個体において低酸素飼
における両者の相互作用については明らかでないた
育 2 週間後、及び 4 週間後に1次体性感覚野のバレ
め、本研究にて検討を行った。
ル領域を対象として、頬ヒゲ空気流刺激による脳賦
方法:培養ヒト脳血管内皮細胞において、内皮型
活及び 5% CO2 負荷に対する脳血管反応をレーザー
NO 合成酵素(eNOS)による NO の生成を抑制す
ドップラ血流計(LDF)によって計測した。LDF
るため、NOS 阻害剤である L-NAME(100μM)を
計測後、膜電位感受性色素(RH1691)により脳表
培地に加えた。一定時間経過後に total RNA を抽
を染色し、脳賦活時の神経活動を明高度蛍光顕微鏡
出し、RT-PCR 法、リアルタイム PCR 法によりプ
によって記録した。【結果】脳賦活による脳血流増
ロスタサイクリン合成酵素(PTGIS)の発現を検討
加率は、低酸素環境飼育 2、4 週後でコントロール
した。
と比べて低下した。一方、5% CO2 負荷による脳血
結 果:L-NAME(100μM) を 培 地 に 加 え た 後 の
流増加率は、低酸素飼育 2、4 週後もコントロール
PTGIS の経時的な発現変化を検討したところ、24
と同様であった。このとき、低酸素環境飼育による
時間後から発現が増加し、48 時間後まで発現レベ
神経活動への影響は認められなかった。【考察】本
ルは継続していた。48 時間後における PTGIS の発
研究では、慢性的な低酸素環境による神経血管カッ
現を定量したところ、コントロールに比較して 10
プリングの消失が血管反応性の低下に起因するもの
倍以上であり、著明に増加していた。
ではないことが示された。神経血管カップリングの
考察:NOS を阻害することによる PTGIS の発現増
消失を引き起こす原因として、脳賦活による血管へ
加が示された。その機序として、NO の生成低下に
の何らかの伝達物質の放出あるいは受容体による取
よる血管内皮機能低下を改善させるために、代償的
り込みが低酸素によって修飾された可能性が考えら
に PTGIS の発現が増加し、プロスタサイクリンの
れる。また、Hct の上昇や毛細血管容積およびベー
生成を増加させる可能性も考えられる。このように、
スライン脳血流の増加などの低酸素環境への適応に
NO とプロスタサイクリンは内皮機能を担う物質と
よって脳賦活によるエネルギー需要と血流増加の関
して相互にクロストークして補完し合うように働い
係が変化した可能性も考えられる。
ている可能性が示唆された。
─151─
O19-4
O20-1
脳血管周皮細胞における活性酸素生成酵素
Nox4 の役割
脳梗塞二次性増悪の新たなメカニズム
~虚血巣周囲を旋回する脱分極波(cycling
CSD)について~
九州大学大学院 医学研究院 病態機能内科学
1
○黒田淳哉、吾郷哲朗、鴨打正浩、中村麻子、
大 阪 大 学 医 学 部 脳 神 経 外 科、2University of
Texas at Austin, Biomedical Engineering、3Max-
有村公一、石束光司、砥上妃美子、牧原典子、
Planck-Institute for Neurological Research
西村 中、北園孝成
○中村 元 1、藤中俊之 1、Andrew K Dunn2、
Rudolf Graf3、吉峰俊樹 1
背景・目的:脳血管周皮細胞は、毛細血管や細静脈
<目的>
において内皮の外側を取り巻くように存在し、血液
局所脳虚血巣周辺部(ペナンブラ)には、毎分約
脳 関 門 の 維 持 や 血 管 新 生 の 制 御 な ど を 行 い、
3mm の 速 度 で 伝 播 す る 脱 分 極 波(cortical
Neurovascular unit の構成細胞として重要な役割を
spreading depression:CSD)が発生しており、脳
果たしている。脳血管周皮細胞には、活性酸素生成
梗塞二次性増悪の一因であることが指摘されてきた。
酵素 Nox4 が高発現しており、微小脳循環における
しかし CSD の可視化が困難であったため、その伝
病態生理に関わっているものと推察されるが、詳細
播様式については依然不明な点が多かった。我々は、
はいまだ明らかでない。本研究では、Nox4 によって
非侵襲脳表血流モニタリングシステムであるレーザ
生成される活性酸素がどのような細胞内シグナル伝
ースペックル脳表血流計(以下 LSF)を導入する
達経路(パスウェイ)に影響を及ぼしているか調べ
ことで、CSD に伴う一過性局所脳血流変化を検出
るため、同細胞に Nox4 を過剰発現した際の遺伝子
し、CSD 伝播様式の可視化を行った。本発表では
発現の変化を検討した。
上記方法により明らかになった “cycling CSD” につ
方法:不死化した培養ラット脳血管周皮細胞にアデ
いて報告する。
ノウイルスを用いてヒト Nox4 を強制発現させた。
<方法ならびに結果>
24 時間後に total RNA を抽出し、リアルタイム PCR
イソフルレン麻酔下の雄性 Wistar ラット 6 匹に対
法にて Nox4 の発現が約 4.5 倍に上昇していることを
し、左大脳半球の広範囲開頭を行い、中大脳動脈末
確 認 し た。 こ の RNA を 用 い て 3D-Gene Rat Oligo
梢部の焼灼凝固による局所脳虚血モデルを作製した。
chip 20k(TORAY)により遺伝子発現の変化を検討
脳表を LSF で 6 時間連続モニタリングし、脳梗塞
した。マイクロアレイの結果、コントロールと比較
発症後の CSD の発生および伝播に伴う脳表血流変
して有意な発現上昇を認めた遺伝子が同定されたが、
化を二次元的に観察した。計 36 時間の観察期間中
TM
ソフトウェアを用いて変動
に合計 35 の脱分極波発生を認め、そのうち 6 イベ
する遺伝子を有意に多く含むパスウェイを抽出した。
さらに、MAPPFinder
ントは虚血巣から周囲に向けての放射状伝播ではな
結果:コントロールに比して2倍以上の発現上昇を
く虚血巣周辺部を連続して複数回旋回する “cycling
認めたのは 235 遺伝子、2倍以上の発現低下を認め
CSD” であった。
たのは 156 遺伝子であった。パスウェイ解析ではい
<まとめ>
くつかのパスウェイが抽出されたが、プロスタグラ
本研究では CSD 伝播様式を解明すべく LSF を導入
ンディン合成と調節に関するパスウェイが最も関連
し、虚血中心部周囲領域(ペナンブラ)を旋回する
性が高かった。同パスウェイを構成する遺伝子とし
“cycling CSD” の存在を初めて可視化しすることが
て、具体的には、トロンボキサン合成酵素やプロス
できた。循環器領域で認められる re-entry 現象に
タグランディン E2 レセプターの有意な発現上昇を認
酷 似 し た こ の cycling CSD は MRI や SPECT な ど
めた。
従来の画像検査では検出不可能なため、日常臨床で
考察:Nox4 により生成される活性酸素はトロンボキ
は全く検知しえない未知の脳梗塞増悪機序であった
サン A2 やプロスタグランディン E2 の作用を介して
可能性が高い。
血管の炎症や収縮・拡張などに関与している可能性
が考えられた。
─152─
O20-2
O20-3
K+ による大脳皮質性拡延性抑制誘発時の局
所脳血流と軟膜動脈血管口径の変化
皮質拡延性抑制モデルラットにおける
leptin 腹腔内投与の検討
1
北里大学 医学部 神経内科学
慶應義塾大学 医学部 神経内科、2 電気通信大学 先端領域教育研究センター、3 放射線医学総合研究
所 分子イメージング研究センター
1
1
○北村英二、金澤直美、米倉純子、増田 励、
濱田純一
1
2
○畝川美悠紀 、冨田 裕 、鳥海春樹 、正本和人 、
伊藤義彰 1、菅野 巖 3、鈴木則宏 1
【目的】麻酔下ラットにおいて、KCl 局所投与によ
【 目 的 】Episodic migraine が chronic migraine に
って大脳皮質性拡延性抑制(CSD)を誘発すると、
進展するリスクの1つとして肥満が知られている。
一過性に代謝が亢進し、脳血流が増大すること、実
その要因として肥満者の血液中に存在する leptin の
質内における毛細血管内赤血球速度が持続的に低下
存在が指摘されている。以前我々は leptin 脳室内投
することを昨年の本学会で報告した。しかし、その
与 後 に 皮 質 拡 延 性 抑 制(cortical spreading
血流調節機序については不明な点が多い。そこで
depression:CSD) に 変 化 が 認 め ら れ た 事 か ら、
KCl 投与後、DC 電位および局所脳血流量(CBF)
leptin が片頭痛の病態に影響を与える可能性を報告
の測定と同時に脳表軟膜動脈の血管口径を計測し、
した。今回我々は leptin を 1 週間腹腔内投与する事
CSD に伴う脳血流量の調節機序について考察した。
で、その長期的作用が CSD モデルにどの様な効果
【方法】血管口径の測定のため内皮細胞に特異的に
を 有 す る か に つ い て 検 討 し た。【 方 法 】Sprague
蛍光を発する Tie2-GFP 発現マウスを用いた(n =
Dawley 種の雄性ラット(380-450g,n=14)を用い
10)。ウレタンで麻酔した同マウスの側頭頭頂部に
7 日間連続で vehicle 群に生理食塩水 5ml を、leptin
頭窓を作成し、DC 電位およびレーザードップラー
投与群には leptin(0.1mg/kg/day)を腹腔内投与し
血流計による CBF を測定、同時に蛍光顕微鏡下で
8 日目に実験を施行した(各 n=7)。腹腔内麻酔後
脳表をビデオ撮影し、得られた動画から ImagePro
に、 気 管 切 開 し 人 工 呼 吸 器 管 理 と し た。
を用いて経時的に血管口径を計測した。また、蛍光
physiological parameter を測定する為に右大腿動脈
色素 FITC でラベルした赤血球懸濁液を静脈内投与
にカテーテルを留置した。脳血流測定の為の骨窓を
し、脳表における赤血球動態を観察した。【結果】
左頭頂骨に作成し、laser-Doppler 血流計を用い測
頭窓後方に作成した小頭窓から脳表に KCl を滴下
定した。脳表血流測定用骨窓の外側に水素電極挿入
すると、DC 電位の低下と同時に全例で CBF は一
用の骨窓を作成し、大脳皮質電位を測定した。また
過性に著しく増大、その後低下し、基礎値から 31.7
これらの骨窓の後方に KCl 投与用の骨窓を作成し
± 13.7 % 減 少 し た ま ま で 安 定 し た(post-CSD
た。Vehicle 群、leptin 投与群それぞれに 1M KCL
oligemia)。 軟 膜 細 動 脈( 直 径 10 ~ 25μm) は、
を脳表に投与し CSD を誘発した。【結果】Leptin
CBF の増加に合わせて拡張し、CBF の低下に遅れ
投与群では CSD 出現時の CBF の変化率の減少傾
て緩徐に収縮する傾向を示したが、CBF に比較し
向が認められ、大脳皮質の DC potential の変化率
てその変化量は軽度であった。初回の CSD 発生時
は有意に減少した。Leptin 投与群では CSD の出現
には CBF 増加に先だって一過性に血管が収縮する
回数が有意に増加した。【考察】Leptin を 1 週間腹
相を認めた(55.5 ± 19.0%)。この一過性血管収縮
腔内投与する事で CSD に変化を生じ、leptin は片
は中大脳動脈と前大脳動脈間における吻合部で著し
頭痛の病態に影響を与える事が動物実験から示唆さ
く、しばしば部分的な逆流を伴っていた。【結語】
れた。
一過性の CBF 増加とほぼ同期した軟膜動脈の拡張
およびやや遅れた収縮を認めた。軟膜動脈は局所脳
血流の総和をみているため、反応が鈍化している可
能性が示唆された。
─153─
O20-4
O21-1
Ghrelin と Des-Acyl Ghrelin 連 続 投 与 時
のラット Cortical spreading depression
(CSD)の変化
MRS による血行再建術前後の脳代謝の評価
北里大学医学部神経内科学
1
山梨大学 医学部 脳神経外科、2 関東脳神経外科
病院
○八木 貴 1、橋本幸治 2、清水暢裕 2、石黒太一 2、
八木伸一 2、清水庸夫 2、木内博之 1
○米倉純子、北村英二、増田 励、金澤直美、
濱田潤一
【目的】rat の神経組織や血漿中に ghrelin や des-
【目的】MR spectroscopy(MRS)にて神経細胞密
acyl ghrelin が存在するとされ、その作用は orexin
度の指標とされる NAA は急性期脳虚血において代
神 経 系 を 介 す る 事 が 知 ら れ て い る。 既 に 我 々 は
謝障害の早期検出に有用であることが示唆されてい
orexin-A の脳室内投与後に CSD を誘発すると、
る。一方で慢性期脳虚血における脳代謝は MRS に
CSD が有意に抑制される事を明らかにしている。
よる検討は少なく、その有用性、臨床的意義につい
Orexin 神経系を活性化させる ghrelin を先行的に投
ては明らかになっていない。今回、症候性主幹動脈
与した後、des-acyl ghrelin を静脈内へ連続的に投
狭窄・閉塞症例に対して NAA/Cr の経時的変化を
与する事で、ラット CSD にいかなる効果を有する
調べ、血行再建術が脳代謝に及ぼす影響について検
か に つ い て 検 討 し た。【 対 象 】 雄 性 Sprague-
討した。【方法】対象は、2009 年 10 月から 2010 年
Dawley ラット 6 匹を用い、気管切開、調節呼吸の
12 月の間に内頸動脈閉塞、中大脳動脈狭窄・閉塞
後に右大腿動静脈にカテーテルを留置し、平均動脈
例で EC-IC bypass を行った 9 例および、健常コン
血圧と心拍数を測定した。同部より血液ガスのサン
トロール 3 例、主幹動脈閉塞例で保存的治療を行っ
プリングを施行しバイタルサインを持続的に観察し
た 5 例とした。MRS は Philips 社 Achieva3.0T で、
た。左頭頂部に骨窓を作成し脳表に Laser-Doppler
TR2000ms、TE288ms、multi-voxcel 法で撮像した。
血流計プローベを留置し、脳血流の変化を持続的に
側脳室上端直上の梗塞巣を含まない半卵円中心に関
記録した。コントロールとして生食を静脈投与した
心領域を設定した。発症から平均 45 日目で手術を
後 に、 左 頭 頂 葉 に 1.0 M KCL を 滴 下 す る こ と で
行い、術前、術後 1 週、1、3 ヶ月後の NAA/Cr の
CSD を 誘 発 さ せ て 1 時 間 観 察 し た 後 に、ghrelin
左右差、変化について保存的治療群、健常群と比較
200pmol を静脈内へ投与し、1 時間観察を行った。
し検討した。【結果】健常群では、NAA/Cr に左右
更に連続して des-acyl ghrelin 200pmol を静脈内へ
差、経時的な変化を認めなかった。保存的治療群で
の投与した後に同様に CSD を誘発させて 1 時間観
は 当 初( 発 症 一 ヶ 月 後 ) 健 側 に 比 し 虚 血 側 で は
察を行った。【結果】ghrelin 静脈内投与後の CSD
NAA/Cr の低下を認め、3 ヶ月後に軽度改善した
における脳血流の変化率は 128.8 ± 23.1%(mean
(改善率平均 3%)。Bypass 群では、6/9 例で術前
± SE)で、皮質直流電位の変化は 15.3 ± 1.9mV で
に虚血側で NAA/Cr の低下を認め、3/9 例で左右
あり、コントロールと比べ有意差を認めなかった。
差は認めなかった。NAA/Cr の低下した 6 例では、
一方 Des-Acyl ghrelin 静脈内投与後の CSD におけ
術後 3 ヶ月に改善したが(改善率平均 11%)保存
る脳血流の変化率は 142.2 ± 32.9%(mean ± SE)
的治療群と比較し有意差を認めた(p < 0.01)。【結
で、皮質直流電位の変化は 13.6 ± 1.9mV であり、
論】脳梗塞慢性期に、虚血巣以外の白質で NAA/
コントロールと比べ有意差を認めなかった。CSD
Cr の低下がみられ、経時的な回復が確認された。
の 発 生 頻 度 は、ghrelin 投与後は 7.3 ± 0.9 回、des
虚血大脳半球では可逆的な neuronal dysfunction に
acyl ghrelin は 6.1 ± 1.05 回であり、コントロール
陥った領域が長期にわたり存在し、血行再建術など
(7.0 ± 0.9 回)と比べ有意差を認めなかった。【結
の治療の対象となりうる可能性が示唆された。
論】CSD を誘発させたラットにおいて、先行投与
した ghrelin は des acyl ghrelin 投与後の CSD に有
意な影響を有しなかった。
─154─
O21-2
O21-3
慢性血行力学的脳虚血病変に対する EC-IC
bypass の長期成績 -PET を用いた治療選択
における 10 年間の検討 -
高齢者の広範囲脳梗塞に対する外減圧術の治
療成績
1
学部脳神経外科
2
北海道大学大学院 医学研究科 脳神経外科、 秋
田県立脳血管研究センター脳神経外科
1
川口市立医療センター 脳神経外科、2 日本大学医
○大高稔晴 1、江里口隆 2、星野達哉 1、藤原徳生 2、
○川堀真人 1、黒田 敏 1、中山若樹 1、石川達哉 2、
宝金清博
村田住宏 2、古市 真 1、平山晃康 2、酒谷 薫 2、
1
片山容一 2
【目的】血行力学的脳虚血を有する閉塞性脳血管障
【目的】外減圧術を施行した 60 歳以上の高齢者に
害患者に対する EC-IC bypass の長期効果について
おける広範な脳梗塞症例の大半は、死亡ないしは寝
は依然不明な点が多い。当科では慢性血行力学的脳
たきりの転帰をたどる一方で、歩行可能または半介
虚血を有する患者に対して PET を用い酸素代謝率
助の転帰をたどる症例が存在する。本研究では、当
(OEF)を基準としたプロトコールの下、EC-IC
院で経験した高齢者の脳梗塞に対する外減圧術の成
bypass を行ってきた。今回、我々は当科における
績を検討し、その予後の予測因子について報告する。
治 療 長 期 成 績 を 検 討 し た の で 報 告 す る。【 方 法 】
【対象と方法】2006 年から 2011 年に当院で経験し
2001 年以降に北海道大学にて EC-IC bypass を検
た脳梗塞症例 19 例(61-95 歳、平均年齢 73.6 歳。
討された JET の基準を満たす血行力学的脳虚血を
男性 6 例、女性 13 例。右側 15 例、左側 4 例)を
有する慢性閉塞性脳血管障害患者 48 例を対象とし
対象とした。19 例を発症後 3 ヶ月における生存群
た。OEF が 上 昇 し て い る 症 例 に つ い て は EC-IC
(n=10)と死亡群(n=9)に分け、生命予後と外減
bypass を施行し、同意が得られなかった症例につ
圧術との関連を検討した。また 19 例中外減圧術を
いては内科治療とした。OEF の上昇が明らかでな
施行した 9 例を発症後 3 ヶ月の時点における
かった症例においては原則内科治療を選択した。患
modified Rankin scale(mRS)で予後良好群と不良
者背景・術前後の脳血流検査・手術合併症・フォロ
群に分け(予後良好群 [mRS 3,4] n=3、予後不良
ー期間中の脳虚血イベントをカルテもしくは電話よ
群 [mRS 5,6] n=6)、 両 群 間 で 梗 塞 の 範 囲、mid
り調査した。【結果】追跡可能であったのは 45 例
line shift(MLS)が最も強い時点における GCS を
(94 %) で、 男 性 36 例 / 女 性 9 例、 年 齢 42-82 歳
比較することで機能予後と外減圧術との関連を検討
( 平 均 63.2 歳 )、 観 察 期 間 は 8-135 か 月( 平 均 79
した。【結果】外減圧術が施行されたのは、生存群
か月)であった。血管病変の内訳は内頸動脈閉塞
10 例中 7 例(70 %)および死亡群 9 例中 2 例(22
29 例、内頸動脈狭窄 3 例、中大脳動脈閉塞 6 例、
%)で、生存群で有意に多かった(p=0.037)。外減
中大脳動脈狭窄 7 例であった。OEF 上昇群は 32 例
圧術を施行した 9 症例において、両群間で中大脳
で STAMCA bypass を 19 例に、内科治療を 13 例
動脈領域の梗塞範囲は同程度であった。 前大脳動
に実施した。OEF 非上昇例は 13 例で 2 例の例外を
脈(ACA)に梗塞範囲が及んだ症例の割合は予後
除く 11 例で内科治療を選択した。手術治療を行っ
良好群で 0 例(0 %)、不良群で 4 例(67 %)であ
た 21 例の周術期合併症は脳梗塞 1 例、胸水貯留 1
り、予後不良群に多い傾向であった(p=0.058)。
例、狭心症 1 例であったが後遺症もしくは追加の外
GCS は予後不良群において有意な低値を示した
科 処 置 を 要 す る も の は な か っ た。 慢 性 期 の 脳 梗
(p=0.034)。【総括】高齢者の広範囲脳梗塞に対す
塞・TIA 再発は OEF 上昇手術治療群において 2 例
る外減圧術は生命予後を改善する。 また MLS が
(10.5% ; 同側頚動脈、椎骨動脈領域)、OEF 上昇
最大時の GCS および ACA 領域の梗塞の存在は高
内科治療群 4 例(30.7%)、OEF 非上昇群 0 例であ
齢者の広範囲脳梗塞に対する外減圧術後の機能予後
った。【結語】OEF を指標とした EC-IC bypass の
に影響を及ぼす予測因子であると考えられた。
選択は個々の症例における予後の改善に有用である
が、術後も長期にわたるケアが必要である。
─155─
O21-4
O22-1
開頭手術における硬膜縫合部閉鎖方法の検討
DT-ARG 法 に よ る 小 児 及 び 若 年 者
moyamoya 病の脳循環動態の評価
1
奈良県立医科大学 脳神経外科、2 奈良県立医科大
学 住居医学講座
○河合寿諮 1、中川一郎 1、本山 靖 1、朴 永銖 1、
中瀬裕之 1、鈴木周子 2、筏 義人 2
1
東北大学大学院 医学系研究科 発達神経外科学、
2
宮城県立こども病院 脳神経外科、3 宮城県立こど
も病院 放射線科、4 宮城県立こども病院 放射線
部
○松崎智子 1、佐々木正臣 1、君和田友美 2、
林 俊哲 2、白根礼造 1、島貫義久 3、佐々木清昭 4
【はじめに】
【目的】近年、脳血流 SPECT 検査では脳循環動態
開頭術後髄液漏は術後感染の原因となり、現在種々
の評価に定量性や客観性を持たせる手法やソフトの
の接着剤が使用されているが、信頼性の高い防止法
開発が進んでいる、しかし小児及び若年者での臨床
が確立しているとはいえない。今回我々は、ゼラチ
的応用の報告は極めて少ない。我々は DT-ARG 法
ンを原料とした新しい生体内分解性接着剤(ゼラチ
を施行した 20 歳未満の moyamoya 病患者に対して
ングルー)を開発し、その硬膜閉鎖効果に関する評
各種脳血流画像解析ソフトを用いた解析を行い血行
価を行い、臨床応用に向けた実現可能性について検
再建術前後の rCBF(局所脳循環血流量)と rCVR
討した。
(脳循環予備能)を算出し、その有用性について検
【方法】
討したので報告する。
ビーグル犬(5-6 歳、メス 10-11kg)を安楽死させ、
【対象・方法】対象症例は 20 歳未満の moyamoya
硬膜を取り出し、その硬膜と人工硬膜(シームデュ
病患者 20 例(9 歳 -19 歳、平均年齢:14.13 歳、男
ラ R)を 4-0 neurolon にて 3mm 間隔で縫合したも
性 8 例、女性 12 例)で、術前術後に DT-ARG 法
のをサンプルとして利用した。縫合部にゼラチング
を施行した。SEE-JET(SE)及び NEURO FLEXER
ルーを塗布したものを A 群(N=15)、フィブリン
(NF)にてデータ処理を行い MCA 領域の rCBF、
グルーを塗布したものを B 群(N=15)、PEG グル
rCVR を算出した。更に自動で ROI が設定される
ー(DURASEALR) を 塗 布 し た も の を C 群
NF に準じて DT-ARG 処理ソフトである QSPECT
(N=17)の 3 群を作成した。サンプルを耐圧測定
(QS) 上 で 手 動 に よ っ て ROI を 設 定 し 同 様 に
装置(VALCOM 社製)にセットし、各糊を塗付し
rCBF、rCVR を算出しそれぞれの値を比較検討し
て か ら 5 分 後、 水 圧 を 10mmHg か ら 開 始 し、
た。
5mmHg ずつ上げていき、水が漏れる前までの圧力
【結果】小児及び若年者 moyamoya 病の局所脳血
を耐圧として計測した。さらに各サンプルの病理学
流量は、これまでに報告されている健常成人の値に
的検討を加えた。
比して全般に高い傾向が認められた。術前、術後を
【結果】
比較すると、術後は脳循環動態の改善が認められた。
各群の耐圧測定値は A 群;84 ± 41mmHg、B 群;
またデータ解析ソフト間の比較では QS と SE、NF
43 ± 30mmHg、C 群;45 ± 22mmHg で あ り、AB
で算出した rCBF に良い相関が見らた。有意差はな
群間、AC 群間で有意差を認めた。病理学的には A
いが、QS で算出した rCBF は SE、NF で算出した
群においては強固な接着性が示唆された。
rCBF よりもわずかに高い傾向が認められた。
【結論】
【 結 論 】DT-ARG 法 は 動 脈 採 血 が 可 能 な 小 児
ゼラチングルーはフィブリングルーや PEG グルー
moyamoya 病患者の病態把握に有用と考えられた。
よりも耐圧効果があり、新しい硬膜閉鎖材料として
更に今回の検討結果から小児期の脳血流は成人に比
の可能性が示唆された。
して高いことが推測された。
─156─
O22-2
O22-3
もやもや病における血行再建術後過還流―
PET/SPECT を用いた検討
急速に進行する虚血性もやもや病に対する早
期血行再建術の有用性
北海道大学医学研究科 脳神経外科
1
北海道大学病院 脳神経外科、2 札幌麻生脳神経外
科病院 脳神経外科
○内野晴登、黒田 敏、中山若樹、宝金清博
○栗栖宏多 1、黒田 敏 1、中山若樹 1、内野晴登 2、
中村俊孝 2、寶金清博 1
【はじめに】もやもや病に対する STA-MCA バイ
【はじめに】虚血型もやもや病に対する脳血行再建
パス術後の過還流による一過性神経脱落症状が出現
術の有用性はすでに確立されているが、その急性増
することは知られているが、その病態については不
悪時の準緊急的な脳血行再建術の意義に関する検討
明な点が多い。
はなされていない。今回、我々は手術待機中に急速
【対象と方法】2006 年以降、当院で脳血行再建術
に進行する虚血型もやもや病に対して準緊急的に
を行ったもやもや病 41 例 58 側(男 / 女= 16/42、
STA-MCA anastomosis を含む脳血行再建術を実施
成 人 / 小 児 = 38/20、3-71 歳、 平 均 33.7 歳 ) を 対
して、その効果と課題について検討したので報告す
象とした。全例で STA-MCA バイパスと間接血行
る。【対 象・ 方 法】2001 年 4 月 か ら 2011 年 3 月 の
15
再 建 術(EDMAPS) を 施 行 し た。 術 前 に O-gas
間に当科で脳血行再建術を実施したもやもや病症例
PET を施行し、脳循環代謝を評価した。術後 0、2、
67 例のうち、手術待機中に高度脳血行不全や病期
7 日に
123
I-IMP SPECT に て CBF を 評 価 し た。 術
進行が原因で新たな脳虚血発作を来し脳梗塞・病期
後過灌流と術前各因子について多変量解析を行った。
の進行を認めたために準緊急に予定を繰り上げて脳
【結果】58 側中 29 側(50%)で症候性および無症
血行再建術をおこなった 6 例(小児 4 例、成人 2
候性過灌流を認めた。小児では過灌流の頻度は比較
例)を対象とした。男性 2 例、女性 4 例であった。
的 少 な く、 症候性、 無症候性それぞれ 5%(1/20
全 例 に STA-MCA anastomosis 及 び EDMAPS を
側)、15%(3/20 側)であった。それに対し、成人
実施した。術前後の臨床経過、MRI 所見、脳血流
で は 有 意 に 高 頻 度 で 症 候 性、 無 症 候 性 そ れ ぞ れ
検査(SPECT,PET)所見、転帰などについて検
31%(12/38 側)、34%(13/38 側)であった(P <
討した。【結果】手術待機中に 3 例で急速に病期が
0.05)。多変量解析では、術前 CBV 上昇が成人にお
進行し、4 例で新たな脳梗塞が出現した。最終脳虚
ける術後過灌流出現と有意に関連していた
血発作から脳血行再建術までの期間は平均 7.2 日
(P=0.036)。さらに、成人では術直後の過灌流は有
(1 ~ 15 日)であった。術後 1 例にて新たな脳梗
意に症候化しやすい結果となった(77%、P=0.033)。
塞の出現を認めた。2 例は脳虚血発作の出現を認め
【結語】もやもや病に対する脳血行再建術後の過灌
たが発作症状は速やかに消退し 4 例で神経学的症状
流は成人においてはまれな現象ではない。成人例で
が消失した。術後の脳血流検査でも速やかな脳血流
は術前の CBV 上昇が過灌流の出現の関連因子であ
の改善を認めた。最終的には 7 例中 7 例が GR を示
り、さらに術直後の過灌流は一過性神経脱落症状を
した。【考察】急速に進行する虚血型もやもや病で
生じやすい。術前後の正確な脳循環代謝評価が過灌
は外科的治療のタイミングを逃すと重篤な神経学的
流の出現予測や周術期合併症対策に有効である。
後遺症を後遺する危険性がある。今回の検討から、
このような症例に対する準緊急的な脳血行再建術は、
直接バイパスにより脳循環を急速に改善して予後を
改善できる可能性が示唆された。また、術前後の脳
血流検査(SPECT,PET)は窮迫する脳虚血状態
と術後の速やかな脳血流の回復を描出し、早期血行
再建の有用性を示唆した。
─157─
O22-4
O23-1
も や も や 病 に 対 す る Multiple burr hole
operation(MBHO)の長期成績
MRI-ASL 法を用いた脳循環動態評価
1
医科大学 放射線部
神戸大学大学院医学系研究科脳神経外科学、2 特定
医療法人順心会順心病院脳神経外科、3 兵庫県立姫
路循環器病センター脳神経外科
1
札幌医科大学 医学部 脳神経外科学講座、2 札幌
○飯星智史 1、長濱宏史 2、原田邦明 2、三上 毅 1、
杉野寿哉 1、小柳 泉 1、三國信啓 1
○内橋義人 1、細田弘吉 1、川口哲郎 2、中村 貢 3、
甲村英二 1
背景)もやもや病に対する血行再建術は、脳循環を改
【 目 的 】 Single Photon Emission Computed
善し卒中予防効果をもたらすことが期待されている。
Tomography(SPECT)は脳循環動態の画像診断
適切な手術方法については未だに様々な議論がされて
には欠かせないツールであり、特に血行力学的脳虚
いる。長期成績が不明瞭であることはその一因である。
血の評価とそれに基づく治療適応判定に必要である。
我 々 は 1980 年 代 か ら、Multiple burr hole operation
一方 MRI による脳循環動態の評価は造影剤を用い
(MBHO)による治療を行ってきた。今回はその長期
た perfusion image 法により行われてきたが、近年
フォローアップ中の脳卒中発症率について報告する。
造 影 剤 を 使 用 し な い arterial spin-labeling(ASL)
対象及び方法)1987 年~ 2010 年に兵庫県立循環器病
法の撮像が可能となった。今回は従来のスピンラベ
センターで治療した 46 症例を対象とした。平均年齢
ル 法 と は 異 な る 新 し い 撮 像 法 で あ る Pseudo
は 40 歳であった。男性 17 例、女性 29 名で、平均観
continuous ASL(PCASL)法、GE 社、を用いて実
察 期 間 は 10.8 年 で あ っ た。 う ち 32 例 で、 経 過 中 の
際の臨床における脳循環を評価する機会を得たので
SPECT による脳循環動態評価が可能であった。初発
報告し、画像を検討した。【対象】もやもや病バイ
症状は、29 例で虚血、15 例で頭蓋内出血、2 例がその
パス術前後、頭蓋内主幹動脈狭窄、閉塞患者、頚動
他であった。39 例で血行再建術が行われた。うち 31
脈ステント留置術前後、硬膜動静脈瘻術前後、脳腫
例が MBHO、10 例が他の間接的血行再建術、6 例で
瘍術前後において脳循環動態を評価し、定量性につ
STA-MCA bypass が行われた。3 例で、2 つ以上の血
いても有用性を検討した。【考察】ASL 法の有利な
行再建術が組み合わせられた。7 例では、外科的治療
点として、撮像時間が短い、手間がかからない、緊
が 行 わ れ な か っ た。 結 果 ) 観 察 期 間 中 に、12 人
急でも対応可、被爆問題なし、近年の高騰する医療
(26%)の患者で再発卒中をきたした。卒中再発率は
費問題に有利なことである。不利な点としては定量
3.0% / 人年であった。手術治療群では非手術群に比べ
性にややばらつきがある。また脳血液量に依存され
て卒中再発率が低かった(23% vs43%)。虚血例におい
るので大血管では過大評価され、逆に側副血行路な
て、MBHO による間接血行再建は直接血行再建とくら
どの細い血管の流量を反映しているか不明であるこ
べ、同等の卒中再発率であった(27% vs25%)。出血発
とである。【結論】脳循環動態の把握には SPECT
症例と虚血発症例の卒中再発率は同等であったが、虚
は必須であるが、より簡便で、低侵襲な ASL 法で
血発症例の再卒中は全例虚血であったのに対し、出血
も血行動態を良好に把握することができた。今後よ
発症例の再卒中の半数は虚血であった。経過観察中、
り安定した脳血流の定量化により脳循環の詳細が把
SPECT で脳血流及び脳血管反応性の低下を認めてい
握でき、血行再建術の適応や術後の過潅流の予測に
た症例では、それ以外の症例に比べ有意に卒中再発率
応用できると思われる。
が 高 か っ た(OR=11、95 % C.I=1.4-90、p=.004、 コ ッ
クス比例ハザードモデル)。考察・結論)もやもや病
に対する MBHO は虚血発症例において、直接血行再
建術と遜色ない長期成績であった。MBHO は低侵襲で、
場所を選ばず行うことができるために、他の血行再建
術後の経過中に脳循環動態の悪化した症例などに追加
して行うことも可能であり、有用な方法である。
─158─
O23-2
O23-3
虚 血 性 脳 血 管 障 害 症 例 に お け る 3T MRI
ASL 法による補助画像診断の有用性の検討
MR 非造影灌流画像を用いた脳血流検査の有
用性
1
1
浜松医科大学 医学部 脳神経外科、2 浜松医科大
3
学 医学部 放射線科、 浜松医科大学 医学部 放射線部
信州大学 医学部 脳神経外科、2 瀬口脳神経外科
病院
○堀内哲吉 1、ラーマーヌヌン 1、瀬口達也 2、
○小泉慎一郎 1、山崎友裕 1、平松久弥 1、
1
2
3
本郷一博 1
3
酒井直人 、山下修平 、大石直樹 、川手政徳 、
難波宏樹 1
【 緒 言 】 動 脈 ラ ベ ル 標 識 法(ASL; Arterial Spin
【目的】今までの脳血流検査は、簡便性・撮影時
Labeling 法)とは、電磁気学的にラベルした動脈血液
間・レントゲン被爆などの様々な問題が未解決であ
を用いて、脳血流量測定を行う MRI 撮像法である。関
る。以前より、MRI 灌流画像を用いた脳血流検査
心領域にイメージング領域、その中枢側にラベル領域
が注目されていたが、造影剤を使用しなければなら
を設定し、ラベル領域を通過する動脈血に反転パルス
ないことや 1.5T 装置のハード面の限界もあり一般
でラベル後、関心領域で画像を取得(ラベル画像)し、
的な検査にはなっていない。最近では 3T 装置の普
一方でラベルしない状態の画像(コントロール画像)
及と arterial spin labeling(ASL; 血液のスピンを内
も取得し、コントロール画像からラベル画像を減算す
因性のトレーサーとして用いる方法)の改良により
ることで潅流画像を得る。
非造影 MRI 灌流画像の臨床使用が可能となった。
【目的】3T MRI の導入に伴い、2011 年 4 月より ASL
我々が経験した ASL 灌流画像症例を提示しその有
法を用いた MRI 撮像が可能となり、内頚動脈起始部狭
用性につき報告する。
窄症を含む虚血性脳血管障害症例に対し、補助画像診
【方法】MRI は General Electric 社製の GE Signa
断や、治療効果の評価などに有用かどうかを検討した。
HDxt 3T を用いた。脳血管障害患者や脳腫瘍患者
【結果】内頚動脈起始部狭窄症例では、CEA、CAS い
の通常の MRI 撮影に加えて ASL を用いた脳灌流画
ずれの術前も血流が少なく、術後の血流の増加が確認
像を撮影した。脳灌流画像の撮影時間は 4 分 20 秒
された。また、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞、
であった。
心原性脳塞栓症などでは、梗塞巣に一致した部位に血
【結果】超急性期の閉塞性疾患では、拡散強調画像
流低下を認める症例、変化のない症例、逆に血流上昇
と比較することによりペナンブラの描出が可能であ
をきたしている症例や、梗塞巣よりも広範囲にわたる
った。特に t-PA 治療においては投与前と後で撮影
血流低下領域を認める症例などがみられた。
し効果判定を行うことが可能であった。くも膜下出
【考察】ASL 法は、非侵襲的な脳血流量測定方法であ
血後の脳血管れん縮やバイパス術の評価にも応用可
り、被曝がなく、造影剤も不要で、5 分で可能である
能と思われた。
ことからも、核の静注、被曝、動脈血採血が必要で、1
【結語】SNR が低い事や動きに弱いなどの解決す
時間かかる SPECT と比べて利点が多いと考えられた。
べき問題も残されているが、ASL を用いた脳灌流
しかし、ASL 法の特性から、例えば、主幹動脈ではな
画像は脳血流検査のゴールドスタンダードになる可
く側副血行路主体の病態では低血流となり、また末梢
能性があるものと思われる。
血管抵抗が強く、血流停滞する病態では高血流となる
ことがあり、必ずしも SPECT と同じ結果が得られず、
正しく病態と画像を照らし合わせて評価する必要があ
る。
【結語】撮像方法の特性を正しく理解した上で、病態
評価が可能であれば、ASL 法は、将来的に SPECT の
代わりとなりうる検査になる可能性がある。今後、撮
像条件を適値固定化のもと症例数を増やし、さらなる
有用性につき追求していきたいと考える。
─159─
O23-4
O24-1
Cerebral Perfusion Pattern in Brain
Check-up Patients: Experiences with
ASL Perfusion 3T MRI
急 性 期 虚 血 性 脳 血 管 障 害 に お け る 1.5 T
3D-Arterial Spin Labeling 画像の有用性
について
1
1
信州大学 医学部 脳神経外科、2 瀬口脳神経外科
病院
大田市立病院 神経内科、2 島根大学医学部附属病
院 神経内科
○らまぬぬん 1、堀内哲吉 1、草野義和 1、瀬口達也 2、
2
2
花岡吉亀 、青山達郎 、本郷一博
○高吉宏幸 1、水原 亮 1、岡田和悟 1、山口修平 2
1
Arterial spin labeling(ASL)perfusion 3T MRI
(目的)急性期虚血性脳血管障害の診断には NINDS
provides a noninvasive method of cerebral
分類あるいは TOAST 分類を用いて病型分類を行っ
perfusion observation. In this study we examined
ているが、CT、MRI、各種超音波検査、SPECT な
cerebral perfusion pattern in 20 cognitively normal
どを用いて、細やかな病型確定を目指しているのが
patients underwent brain check-up. Series of MR
現状である。SPECT 画像は、核種を用いるため迅
images and ASL images were obtained using 3T
速な検査及びフォローアップが難しい。1.5 T 3D
MRI. Cerebral blood flow(CBF) values were
Arterial Spin Labering(ASL)法を用いた非造影脳
obtained using NEUROFLEXER. Interpretable
潅流画像が撮影可能となったため、急性期虚血性脳
ASL images were obtained in all patients. Mean
血管障害の診断補助、血行動態の把握に有用である
age was 56 years(43-78 years).Preliminary
か検討した。(方法)GE 1.5T Signa HDxt ver15 を
results showed a higher tendency of perfusion on
用いて、虚血性脳血管障害発症から 1 週間以内に頭
the left side compared to that of the right side
部 MRI(DWI,MRA,3D-ASL) を 撮 影 出 来 た 患
(43.04 and 41.66, respectively)
.Similar tendencies
者を対象とした。3D-ASL 法は頚部の血管に RF 照
also found in each artery-based distribution area;
射を行い、血液のスピンを反転させ、内因性のトレ
however, it is still an ongoing study. ASL 3T MRI
ーサーとして利用し、ラベル法に pulsed continuous
exhibits comparable values to that of other
labeling 法を用い、スピンが全脳に広がるのを待っ
available tools, and it provides rapid noninvasive
て全脳を撮影。定性的な脳潅流評価を神経内科医 2
multislice imaging for cerebral perfusion
名、放射線科医 2 名により行い比較した。(成績)
observation.
患者内訳は心原性脳塞栓症 5 例、アテローム血栓性
脳梗塞 3 例、ラクナ梗塞 1 例、TIA1 例、原因不明
の脳梗塞 2 例であった。皮質領域を含む脳梗塞や急
性期に主幹動脈閉塞を伴う 8 例で病変と一致あるい
は 広 範 に 脳 血 流 低 下 を 認 め た。Spectacular
shrinking deficit を示した 1 例では DWI 異常高信号
域よりも広い範囲で 3D-ASL による脳血流低下を認
め、軽快したため、DWI-ASL ミスマッチはペナン
ブラと考えられた。定性的な脳潅流評価における神
経内科医と放射線科医による読影は概ね一致した傾
向であった。(結論)主幹動脈の慢性閉塞血管を有
する例や側副血行路の発達例では過大評価や過小評
価になる可能性や定量評価の統一性が問題となるが、
臨床では 1.5T MRI による 3D-ASL 法を用いた脳潅
流画像は迅速に施行可能であり、かつフォローアッ
プが容易であり、急性期虚血性脳血管障害患者に対
して非常に有用な検査である。
─160─
O24-2
O24-3
頸動脈内膜剥離術前後における内頚動脈灌流
域の変化
脳主幹動脈閉塞症における MRI susceptibility vessel sign(SV-sign):Merci を
前提とした再評価
1
神戸大学大学院 医学研究科 脳神経外科学分野、
2
神戸大学医学部附属病院 放射線部
1
○山本大輔 1、細田弘吉 1、内橋義人 1、藤田敦史 1、
青山信和 2、甲村英二 1
山形市立病院 済生館 脳神経外科、2 山形市立病
院 済生館 神経放射線・血管内治療科、3 国立が
ん研究センター
○近藤 礼 1、伊藤美以子 1、斎藤佑規 1、山木 哲 1、
斎藤伸二郎 1、長畑守雄 2、嘉山孝正 3
【目的】Arterial Spin Labeling(ASL)は MRI を
【目的】急性期に MRI と脳血管造影が施行された
用いた非侵襲的な脳血流評価法で、中でも Regional
脳 動 脈 閉 塞 症 を 対 象 に、T2* 画 像 で 観 察 さ れ る
perfusion imaging(RPI)は個々の脳主幹動脈灌流
susceptibility vessel sign(SV-sign)の意義を再検
領域を選択的に評価することができる。内頸動脈狭
討する。【方法】対象は 2010 年 11 月~ 2011 年 6 月
窄症患者において本検査法の有用性を検討した。
にかけて主幹動脈閉塞による脳梗塞で急性期に T2*
【対象と方法】頚動脈内膜剥離術(CEA)を施行
像を含む MRI と脳血管造影が施行された 21 例 23
した内頸動脈狭窄症患者 16 例(男 15 例、女 1 例、
閉塞血管。このうち Merci Retrieval System によ
平均 74.0 歳)に対して術前後に ASL-RPI を施行し、
る血管内治療(Merci 手技)が施行されたのは 12
asymmetry index(AI= 患側 / 対側内頚動脈灌流面
症例 14 血管であった。SV - sign の陽性率と病型
積)を算出しその変化に影響する要因を調べた。術
(塞栓症・アテローム血栓症)、血管閉塞の局在と
前後の AI の変化と内膜剥離前後に電磁血流計で測
SV-sign の局在、及び Merci 手技成功率と SV-sign
定した内頚動脈血流量の変化との関連についても検
の関係について後方視的に検討した。【結果】SV-
討した。対照として健常群 13 例(男 7 例、女 6 例、
sign は塞栓症で高率に観察され、塞栓症の診断に
平均 44.7 歳)でも同様に AI(健常群は AI= 左 / 右
おける SV-sign は感度 87.5%、特異度 80%であった。
内頚動脈灌流面積)を算出した。【結果】患者群の
心原性塞栓症に限れば血管造影で確認された塞栓子
AI は健常群より有意に低値を示した(患者群 0.64
の局在と SV-sign の局在は MCA で 100%一致した
± 0.25、健常群 0.95 ± 0.11、p=0.000027)。AI と狭
が、ICA では磁化率アーチファクトの影響もあり
窄率に有意な相関を認めたが(r=0.62、p=0.0022)、
一致率 50%。SV-sign による血管閉塞部位の陽性予
AI と年齢に相関は認めなかった(p=0.25)。また、
測値は 100%であった。尚、我々の施設ではアテロ
性別(男 0.70 ± 0.27、女 0.97 ± 0.57)、症候の有無
ーム血栓症よりも塞栓症における Merci 成功(再
(症候性 0.69 ± 0.30、無症候性 0.78 ± 0.30)によ
開通)率が高い傾向にあるが、現時点で SV-sign
り AI に有意差はなかった。CEA は AI を有意に上
と Merci の手技的成功とに関連は見られず、この
昇 さ せ( 術 前 0.64 ± 0.25、 術 後 0.93 ± 0.23、
検討にはさらなる症例蓄積が必要である。【結語】
p=0.00028)、術後 AI では健常群 AI と有意な差は
従来の報告通り SV-sign は塞栓症を示唆する所見
認めなかった(患者群 0.93 ± 0.23、健常群 0.95 ±
と言えるが、SV-sign の真の意義は病型判別のみな
0.11、p=0.182)。内膜剥離前の内頸動脈血流量は術
らず、塞栓子の局在検出にあると我々は考える。脳
前 AI と有意な相関を認めたが(r=0.54、p=0.03)、
梗塞急性期 MRI で評価する SV-sign は、Merci 手
内膜剥離後の内頸動脈血流量は術後 AI と相関しな
技を含む急性期治療方針の決定に役立つ重要な情報
かった。術後過灌流を呈した 1 例では患側内頸動脈
を提供し得る。
灌流面積の軽度増加を認めた。【結語】ASL-RPI に
より、CEA は左右内頚動脈の灌流域を均等化する
こと、術後過灌流症例では灌流域が著しく拡大はし
ないことが判明した。
─161─
O24-4
O25-1
DSC-MRI による脳血流量測定の検討
- IMP-SPECT による脳血流量との比較-
第2報
TOF-MRA による脳血管描出能と脳血流に
関する検討
和昌会貞本病院 脳神経外科
愛媛大学
○伊賀瀬圭二、松原一郎、荒井政森、五石惇司、
貞本和彦
○渡邉英昭、久門良明、大西丘倫
【目的】昨年、dynamic susceptibility-contrast MRI
【 目 的 】3D-TOF 法 を 用 い た MR Angiography
(DSC-MRI)による CBF 定量は IMP-SPECT と比
(TOF-MRA)は、脳血管の flow を鋭敏に描出で
較的相関し、有用であることを報告した。今回我々
き、脳血管疾患のスクリーニングに有用である。し
は、DSC-MRI の CBF 定量精度向上のため、検討を
かしながら、TOF-MRA の描出能は blood flow に
行ったので報告する。【方法】対象は、3 ヶ月以内に
依存するため、TOF-MRA にて脳主幹動脈閉塞と
DSC-MRI と IMP-SPECT を施行した、14 例(中大
診断された症例でも、CT Angiography(CTA)な
脳動脈閉塞 3 例、狭窄 3 例、内頸動脈閉塞 2 例、狭
どを用いると、描出が認められる症例が散見される。
窄 3 例、 も や も や 病 5 例 ) で あ る。DSC-MRI は
今回我々は、TOF-MRA での脳主幹動脈の描出能
3T-MRI に て 造 影 剤 7.5ml 使 用 後 に 2D-EPI を 用 い
と脳血流との関係について検討したので報告する。
て、安静時とダイアモックス負荷 15 分後の 2 回測定
【対象と方法】2011 年 1 月から 6 月までの半年間
し た。 解 析 に は、 ま ず PMA(ASIST-japan 提 供 )
に、3TMRI による TOF-MRA および CTA、定量
を用いて CBF map を作成したが、この際に血管内
脳血流 SPECT が施行された 10 症例である。MRI
血 流 除 去 の た め の mask 処 理 の 閾 値 を 5、6、
は SIGNA HDxt(GE healthcare)
7、mask なしの 4 段階に変化させ、CBF map を作
3D-TOF 法で MRA を撮像し、片側の内頚動脈ま
製した。その後、Falcon(日本メジフィジックス)
たは中大脳動脈描出を認めなかった症例(非描出
に て ROI ご と の CBF、CVR を 算 出 し た。IMP-
群:4 例)と認めた症例(描出群:6 例)に分類し
SPECT は QSPECT-DTARG 法 を 行 い、DSC-MRI
た。全症例において 64 列 VCT を用いて、CTA に
による CBF ならび CVR と比較検討した。【結果】14
より全主幹脳動脈が描出されていることを確認した。
例中 4 例では、DSC の CBF データが異常値であり、
DTARG 法による脳血流 IMP-SPECT において、
検討からは除外する必要があったが、このうち 3 例
安静時脳血流および脳血管反応性を測定し、両群間
はもやもや病であった。CBF は、mask なしが最も
での比較を行った。【結果】安静時脳血流では、両
相関係数が低く(R2 = 0.35)、閾値が下がるほど相関
群ともに、各血管領域にて明らかな優位差を認めな
2
を
用
い、
は良好になり、閾値 5 では相関係数は R = 0.73 であ
かった。脳血管反応性では、中大脳動脈領域におい
っ た。 閾 値 5 で の 相 関 式 は、 安 静 時 CBF が y =
て、非描出群で -19.7 ± 18.1%であったのに対し、
2
0.37x + 10.9、R = 0.73 であり、ダイアモックス負荷
描出群では 36.4 ± 21.7%と、非描出群で有意に低
時 CBF は y = 0.16x + 32.6、R2 = 0.27 、CVR は y =
下していた(p < 0.01)。また、非描出群では全例
2
-0.01x + 36.7、R = 0.01 であった。【考察】安静時
に盗血現象を認めた。【結論】TOF-MRA による脳
CBF 定量の精度は良いが、CVR の精度は低かった。
主幹動脈の描出能には、脳血管反応性が関与してい
ダイアモックス負荷後の 2 回目の CBF については算
ることが示唆された。盗血現象を示すような著明な
出法を改良する必要があると思われる。また、もや
脳血管反応性の低下が、MRA における脳主幹動脈
もや病では CBF 定量は困難であり、AIF の問題があ
の描出を左右すると思われ、その評価には注意が必
ると思われた。【結論】DSC-MRI による安静時 CBF
要と思われる。
定量は SPECT ともよく相関し、有用と考えられた。
しかし、CVR については更なる検討が必要と思われ
た。
─162─
O25-2
O25-3
拡散強調機能的 MRI(DfMRI)の信号応答
における BOLD 効果の寄与
Diffusion tensor imaging - voxel-based analysis
を用いた一酸化炭素中毒亜急性期白質障害部位の特定
1
京都大学 医学研究科 脳機能総合研究センター、
1
2
フランス原子力庁 サクレー研究所 ニューロスピ
大学 医学部 精神神経科学講座、3 岩手医科大学 医学
岩手医科大学 医学部 脳神経外科学講座、2 岩手医科
部 内科学講座 神経内科・老年科分野、4 岩手医科大学 ン
医歯薬総合研究所 超高磁場 MRI 診断・病態研究部門
○麻生俊彦 1、浦山慎一 1、ルビアンデュニ 2、
福山秀直 1
○藤原俊朗 1、別府高明 1、西本英明 1、村上寿之 1、
三條克己 2、工藤 薫 2、森 潔 3、工藤與亮 4、
佐々木真理 4、小川 彰 1、小笠原邦昭 1
【目的】拡散強調機能的 fMRI(DfMRI)は、血流
【目的】一酸化炭素(CO)中毒患者は 3 分の 2 が
や糖代謝などに依存しない、神経活動そのものの観
急性症状のみで軽快するが、3 分の 1 が慢性期に神
察 を 目 指 し た 手 法 で あ る(Le Bihan et al., 2006,
経精神症状を呈する(遷延型および間歇型)。その
Aso et al., 2009)。超急性期の脳梗塞や白質の神経
症状には脳深部白質の進行性脱髄が関与するとされ
束のように拡散強調信号によってのみ検出可能な微
ているが、その主たる障害部位は明らかでない。本
細構造は確かに存在し、また神経組織が活動に伴っ
研究では、慢性期に症状を呈する CO 中毒患者の主
て形態的な変化をすることも知られている(Flint
たる白質障害部位を受傷後亜急性期に特定すること
et al., 2009)。 た だ し DfMRI に は 従 来 の BOLD 法
を目的とした。【方法】対象は CO 中毒患者 22 例
と同じ血流現象の影響が混入することも確かであり、
(平均年齢 42 ± 12 歳)とし、受傷後 6 週目に神経
その寄与については決着をみていない。BOLD 効
精神症状を有した群(S 群)と、無症状群(A 群)
果の影響について検証するため、スピンエコーおよ
の 2 群に分けた。全症例に対し、受傷後 2 週目に 3
びグラディエントエコー BOLD との比較を行い、
Tesla MRI 装置にて全脳の diffusion tensor imaging
信号変化の形状や部位差を評価する実験を行なった。
(DTI)を施行した。また、健常者 16 例(41 ± 11
【方法】21 人の健常被験者が参加した。8 秒間のワ
歳)に対しても全脳 DTI を施行し、対照群(C 群)
ーキングメモリ課題を、24 秒の安静を挟んで繰り
と し た。 全 例 の DTI デ ー タ か ら fractional
返 し な が ら fMRI 撮 像 を 行 な っ た(DfMRI、SE-
anisotropy(FA)map を 作 成 し、voxel-based
BOLD および GRE-BOLD の 3 種類)。ピクセルサ
analysis(VBA)を行った。まず、画像統計解析ソ
イズは 4mm、TR/TE = 1000/85ms、8 スライスを
フ ト ウ ェ ア statistical parametric mapping を 用 い
斜めに配置して後頭葉と頭頂葉をカバーする撮像領
て作成した健常者平均 FA map を FA template と
域を設定した。活動の検出にはバイアスを排除する
し、全例の FA map を同一空間に標準化した。次
ため、すべてのデータに対して BOLD 反応をモデ
に、標準化後の画像に対し、自作ソフトウェアを用
ルした hemodynamic response function で応答をモ
いてピクセルごとに群間比較(S 対 A、S 対 C、A
デルし、最小二乗的にデータフィッティングを行う
対 C)を行い、有意差のあったボクセル(有意差ボ
SPM を用いた。【結果】いずれの手法でも視覚野か
クセル)を FA template 上に表示した。有意差検
ら頭頂間溝にいたる領域に信号変化を認めた。信号
定には Mann-Whitney U test を用いた。【結果】S
変化の立ち上がりとピークは、ともに DfMRI が数
群 は 7 例、A 群 は 15 例 で あ っ た。S 対 A、S 対 C
秒間先行し、しかも部位による差が小さかったが、
の群間比較では、さまざまな領域に有意差ボクセル
ベースラインへ戻る時間には BOLD と同様のばら
がみられたが、特に、半卵円中心を主とした深部白
つ き が み ら れ た。 こ の こ と は 信 号 変 化 の 後 半 は
質に多く分布していた。一方 A 対 C でみられた有
BOLD 効果の寄与が大きいこと、またその寄与と
意差ボクセルは、わずかであった。【結論】CO 中
相加的に DfMRI の反応を形成する組織の形態変化
毒後の慢性期神経精神症状には、亜急性期における
は非常に早いものであることを示唆する。
半卵円中心を主とした深部白質障害が深く関与して
いる。
─163─
O25-4
O26-1
MRI 統計画像解析による脳外傷後高次脳機
能障害の診断と重症度分類~ VSRAD を用
いて~
急 性 期 脳 梗 塞 に お け る Hyperintense
Vessel Sign の臨床的意義に関する検討
東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座
経内科、3 翠清会梶川病院脳神経内科、4 翠清会梶川
1
広島大学大学院脳神経内科学、2 県立広島病院脳神
病院脳神経外科
○粳間 剛、角田 亘、竹川 徹、上出杏里、
○河野智之 1、仲 博満 2、細見直永 1、今村栄次 3、
海老原一彰
大下智彦 3、野村栄一 3、大槻俊輔 1、若林伸一 4、
山脇健盛 1、松本昌泰 1
【目的】脳画像を後遺障害診断に用いるには、「脳内
【目的】Hyperintense Vessel Sign(HVS)は脳梗
のどの領域がどの程度損傷された場合に、それに対
塞急性期における頭部 MRI FLAIR 画像にてシルビ
応した後遺障害が出現しうるのか?」ということが
ウス裂や脳溝に線状の高信号として描出されるが、
重要視される。本研究では MRI 統計画像解析ソフト
HVS 発現の機序やその意義については明確な結論
を用い、高次脳機能障害を呈する脳外傷患者におけ
が得られていない。本研究では HVS の分布と梗塞
る責任病変と、その重症度決定に関連する灰白質容
巣 の 分 布 及 び 脳 梗 塞 重 症 度 の 関 連 性 を 評 価 し、
積減少の程度を明らかにし、MRI による後遺障害の
HVS の臨床的意義について検討した。【方法】2008
診断・分類を試みた。
年 1 月~ 2010 年 12 月の期間中、脳梗塞発症後 24
【 対 象 と 方 法 】 ま ず、 通 常 の MRI、T2WI お よ び
時間以内に頭部 MRI を撮像し、MRA で症候性の
SWI 像で明らかな異常所見がなく、かつ発症時に 30
中大脳動脈(M1-M2)高度狭窄(> 50%)または
分以内の意識障害がみられた慢性期脳外傷患者を対
閉塞を有する症例を対象とした。梗塞巣の分布は
象とし、これらを高次脳機能障害を呈する患者(軽
ASPECTS を用いて入院時の拡散強調像と亜急性期
症脳外傷= MTBI 群 20 名)と呈さない患者(単純脳
の FLAIR 画 像 で 評 価 し た。HVS の 分 布 は
震= SC 群 16 名)に二分した。次いで Gennarelli の
ASPECTS を参考にした患側の中大脳動脈灌流域の
基準を満たすびまん性軸索損傷患者= DAI 群 23 名も
6 領域(M1-M6)とシルビウス裂(I)の計 7 領域
対象とした。全対象の MRI T1WI 像に対し VSRAD
で HVS の有無を評価し点数化(HVS スコア、0-7
お よ び vbSEE を 用 い て Lobule level レ ベ ル ま で の
点)した。脳梗塞重症度の評価は入院時 NIHSS を
ROI を 130 ヶ所設定、各 ROI での灰白質容積減少の
用いた。【結果】連続 96 例で検討した。平均年齢
程度を異常座標(Z-score > 2.0)の占有率(Extent)
76.0 ± 12.2 歳、 女 性 54 例(56 %)、NIHSS 中 央 値
として算出、各群間で比較した。さらに、各 ROI で
11(0-33)であった。脳梗塞発症から MRI 撮像ま
Receiver Operating Characteristic(ROC)解析を行
で の 時 間 中 央 値 は 186 分(47-1270) で あ っ た。
い、Area Under the Curve(AUC)を算出した。
HVS の 陽 性 率 は 93 %、HVS ス コ ア 中 央 値 は 3
【結果】DAI 群および MTBI 群で共通して SC 群よ
(0-7) で あ っ た。HVS ス コ ア を 3 群(0-1、2-3、
り 有 意 に 高 い Extent を 示 し た 領 域 は、 両 側 の
4-6)に分類し梗塞巣の分布と入院時 NIHSS との関
Anterior Cingulate Gyrus(ACG)のみであった(p
係を評価したところ、HVS スコア高値は広範な梗
< 0.01)このうち AUC が最大となったのは MTBI 群
塞巣の分布と入院時 NIHSS 高値に有意な相関を認
と SC 群 と の 間 に お け る 左 ACG で あ っ た
めた。HVS 陽性部位と最終梗塞巣の位置関係は I、
(AUC=0.93,threshold 1.21%)。ただし、同領域で
M2、M5 領域で HVS 陽性と梗塞巣出現の間に有意
は DAI 群と MTBI 群の間で Extent に有意差はなか
差を認めた。一方で M3、M6 領域における HVS 陽
っ た。DAI 群 に お い て MTBI 群 よ り 有 意 に 高 い
性は脳梗塞に陥りにくい傾向を示した。【結論】中
Extent が示された領域は、両側の Midbrain および
大脳動脈領域の急性期脳梗塞において、HVS の分
Cingulate Gyrus であった(p < 0.05, AUC 0.63-0.70)。
布は梗塞巣の分布及び脳梗塞重症度との間に相関を
【結論】MRI 結果を統計画像解析することで、ROC
認めた。
解析上の高い AUC をもって、脳外傷後後遺症を診
断・分類しうることが示された。
─164─
O26-2
O26-3
Cerebral Microbleeds(MBs) の 新 生 と
脳卒中再発 - Prospective cohort study
of stroke
Area Detector CT に よ る CT perfusion
の使用経験
市立釧路総合病院 脳神経外科
札幌医科大学医学部脳神経外科
○三上 毅、飯星智史、杉野寿哉、三國信啓
○今泉俊雄、小松克也、稲村 茂、野村達史、
菅野 彩
目 的:MBs は、microangiopathy を 基 盤 と す る 微
【目的】虚血性脳血管障害において、灌流画像によ
小出血の残存ヘモジデリンである。脳出血の他、梗
り虚血部位や範囲を知ることは臨床上重要な意味が
塞、 認 知 機 能 障 害 に 関 連 す る。MBs の 新 生 は
あり、中でも簡便で分解能が高い CT perfusion は、
microangiopathy の程度を表すと考えられ、脳卒中
今後の発展が期待されるモダリティーの1つである。
再発との関連について検討した。方法:2004 年 4
当施設でも Aquilion ONETM を導入したので、そ
月 -2009 年 10 月に脳卒中にて当科に入院した脳卒
の初期使用経験について発表する。【方法】対象は、
中 1095 症 例 中、 入 院 時 と 8 - 24 ヶ 月 後 の MRI
2011 年 3 月から 2011 年 7 月までに Area Detector
(T2* 強調画像など)の比較が可能であった 506 例
CT で CT perfusion を 行 っ た 脳 血 管 障 害 6 例(7
について MBs 新生、その関連因子、脳卒中再発の
回)である。男性 1 例、女性 5 例で、平均年齢は
検討を行なった。結果:MRI の撮影間隔は 14.6 ±
62.5 歳である。疾患の内訳は、くも膜下出血後脳血
5.9 ヶ月で、506 例中 413 の MBs 新生、140 の MBs
管攣縮 2 例(3 回)、内頸動脈狭窄症 3 例、中大脳
消失、無症候性脳梗塞 31(ラクナ梗塞 21、その他
動脈狭窄症 1 例である。撮像条件は、撮影管電圧
の 梗 塞 10)、 無 症 候 性 脳 出 血 10 が 認 め ら れ た。
120kv、撮影管電流 70m~100mA で、高濃度造影剤
MBs 新生群 139 例(69.5 ± 10.5 歳、女性 54 例)と
(370mgI/dl) を 50mL 注入し、5 秒後から 1 秒の
MBs 非新生群 367 例(68.7 ± 11.9 歳、女性 151 例)
間 欠 ス キ ャ ン を 24 秒 間 行 っ た。CT angiography
に分けて、再発などの因子を多変量解析した。44.3
の併用に関しては、頭部血管の場合は同時に評価し、
± 15.3 ヶ月の経過観察で脳卒中の再発が、MBs 新
頸部血管の場合は CT perfusion 終了後に再度造影
生群 29 例(21%)に、MBs 非新生群 47 例(13%)
剤を 50mL 追加投与して撮影を行った。動脈硬化性
にみられ、前者で有意に多かった。抗血小板剤、抗
病変 4 例では同時期に 123I-IMP SPECT を行って
凝固剤は、MBs 新生を増加させなかった。多変量
いる。左右計 8 か所で ROI をとり、CT perfusion
解析の結果、MBs 新生と独立して有意な関連を示
と 123I-IMP SPECT の rCBF 値 を 比 較 し た。
したのは、高血圧、最初の MBs 数、脳卒中(すべ
123I-IMP SPECT は ARG 法で解析しており、CT
てのタイプ)再発、喫煙、ARB 使用であったが、
perfusion は付属のソフトウェアで解析を行った。
スタチン使用は MBs 新生を抑制する可能性が示唆
【結果】rCBF 値は CT perfusion の方が若干低値
された。結論:MBs 新生は、他の無症候性の新脳
になる傾向があった。CT angiography に関しては、
病変に比較して非常に多く、MBs は動的変化の激
末梢血管まで十分評価可能であった。また、施行し
しい病変と考えられた。脳卒中の経過観察のため
た CT perfusion の線量は 400~500mGy であった。
T2* 強調画像を繰り返し撮影して MBs 新生を見る
【結論】Area Detector CT により撮像範囲が広く
こ と は、 脳 卒 中 の 再 発 や MRI 撮 影 時 の
なり、CT perfusion でも全脳の血流を評価するこ
microangiopathy の状態を見る上で重要と考えられ
とが可能になった。また、簡便に CT angiography
た。
と併用させることができ、血管閉塞や狭窄に関する
情報量が増えたと考えられた。一方で、急性期の血
管内治療を見据えた検査を考慮すると、今後は造影
剤量や被爆低減に関する改良が望まれると考えられ
た。
─165─
O26-4
O27-1
もやもや病における I-123IMP SPECT から
得られる脳循環予備能と CT 灌流画像から得
られる MTT との相関
くも膜下出血発症 15 日以降の症候性脳血管
攣縮 16 例の検討
中村記念病院 脳神経外科 脳卒中センター臨床研
経外科、3 東北大学大学院医学系研究科 神経外科
究部
学分野
○上山憲司、中川原譲二、中村博彦
○斉藤敦志 1、井上 敬 1、清水宏明 1、藤村 幹 2、
1
広南病院 脳神経外科、2 仙台医療センター 脳神
冨永悌二 3
【目的】もやもや病においては、脳循環遅延と脳
【目的】くも膜下出血発症 15 日以降に症候性脳血
SPECT での脳循環予備脳の間には相関があるとい
管攣縮(vasospasm: VS)をきたした報告例は散見
われている。今回、もやもや病における脳 SPECT
されるが詳細な臨床像は明らかではない。今回、
から得られる脳循環予備能と CT 灌流画像から得ら
我々は発症 15 日以降に症候性 VS をきたした 16 例
れる各種パラメーターの関連について報告する。
を retrospective に検討し原因や画像上の特徴、臨
【対象と方法】対象は、もやもや病患者 12 例(男
床的特徴を明らかにすることを目的とした。【方
性 6 例、女性 6 例、17-50 歳、平均年齢 35.3 歳)。
法】2001 年 1 月から 2011 年 5 月までに当院で入院
Dual table ARG 法による I-123IMP SPECT から
治療を行った脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血治療
得 ら れ る 脳 循 環 予 備 脳((acetazolamide 負 荷
例( 保 存 的 治 療 を 含 む )1036 例 を 対 象 と し た。
I-123IMP SPECT 定量値 - 安静時 I-123IMP SPECT
MRA 上の 30%以上の主幹動脈狭窄所見と神経脱落
定量値)/ 安静時 I-123IMP SPECT 定量値)と CT
症状の出現を症候性 VS と定義し 195 例に認められ
灌 流 画 像(Siemens 社 製 128 slice CT Definition
た。症候性 VS を発症後 15 日以降にきたした 16 例
AS+)から得られる CBF、CBV、MTT を算出し
と発症 14 日以内にきたした 179 例の 2 群に分けて
これらを比較した。【結果】CT 灌流画像の CBF は
比較検討を行った。【結果】発症 15 日以降に症候性
脳循環予備脳と正の相関を示し、CBV は負の相関
VS を認めた全 16 例は破裂脳動脈瘤の根治的治療
を示した。MTT は CT 灌流画像のパラメーターの
後であり、発症 14 日まで VS 予防の集中管理がな
中で脳循環予備脳と最も強い負の相関を示した。ま
されていた。発症 14 日以内の症候性例と比較して
た、Dual table ARG 法による I-123IMP SPECT で
脳内血腫併発例(56.3%、p=0.007)、血管内治療例
血行力学的 stage 2 を示した領域は、MTT 画像に
(50%、p=0.02)の割合が有意に高かった。15 日以
おいて大脳皮質と深部白質の両領域の高度な循環遅
降に VS を誘発した可能性のある合併症は 16 例中
延が観察された。また、血行力学的 stage 1 を示し
3 例に認められ頻度に有意差はなかった。MRA 所
た領域は、深部白質のみの循環遅延が確認され、大
見 が 経 時 的 に 評 価 で き た 15 日 以 降 の 症 候 性 VS
脳皮質の循環遅延は軽度見られる程度であった。
12/16 例中、14 日以内から MRA 上の VS 所見の持
【結論】もやもや病においては、脳循環予備脳と
続を認めていた例は 7 例、14 日以内には MRA 上
CT 灌流画像の MTT は強い負の相関を示し、さら
の VS 所見を認めず 15 日以降に症候性 VS をきた
に、MTT 画像は大脳皮質と深部白質の循環遅延を
し た 例 は 5 例 で あ っ た。 後 者 5 例 は 全 例 と も
示すパターンと、深部白質のみが低下するパターン
Hunt&Kosnik gradeIII 以上の血管内治療例で 4 例
の 2 つ の パ タ ー ン が 存 在 し、 い ず れ も I-123IMP
に脳内血腫を併発していた。【結論】発症 15 日以降
SPECT で得られた血行力学的脳虚血の重症度と関
の症候性 VS の危険因子として脳内血腫の併発、血
連していると考えられた。
管内治療が有意に関連した。発症 14 日以内には画
像上の VS 所見を認めず 15 日以降に症候を呈する
例も稀ならずあり特に入院時重症例、脳内血腫併発
例はより長期間の VS 対策が必要と考えられた。
─166─
O27-2
O27-3
ラ ッ ト く も 膜 下 出 血 後 の acute brain
injury に対する edaravone の治療効果
脳動脈瘤クリッピング術が脳機能および脳循
環に及ぼす影響:年齢別の検討
1
愛媛大学 医学部 脳神経外科
東北大学 医学部 脳神経外科、2 国立病院機構 仙台医療センター 脳神経外科、3 広南病院 脳神
経外科、4 スタンフォード大学 脳神経外科
1
2
1
○久門良明、渡邉英昭、鄭 菜里、井上明宏、
大西丘倫
3
○新妻邦泰 、藤村 幹 、遠藤英徳 、清水宏明 、
Chan Pak H.4、冨永悌二 1
【目的】薬物治療や外科的治療が発達した現在でも
【目的】未破裂脳動脈瘤クリッピング術が脳機能およ
なお、くも膜下出血(SAH)は予後不良の疾患で
び脳循環に及ぼす影響について、年齢別に検討した。
ある。その中でも、脳血管攣縮に対する研究は多い
【方法】術前と術後1ヶ月に高次脳機能検査
ものの、acute brain injury に対する研究は未だ少
(WAIS-R)を行った 106 例を対象とし、術前後の
ない。最近、SAH における acute brain injury の重
MRI 所見、IQ、神経症状、脳血流を、年齢別に(49
要性が論じられるようになってきており、そのメカ
歳 以 下:14 例、50 ~ 54:13、55 ~ 59:20、60 ~
ニズムとして活性酸素やアポトーシスの関与が示唆
64:23、65 ~ 69:22、70 歳以上:14)比較した。脳
されている。本研究ではくも膜下出血後の acute
血 流(133Xe-SPECT) は 63 例 で 測 定 し た。【 結 果 】
brain injury に対する薬物治療の効果を検討するこ
1)術前 MRI で大脳白質病変は、各群で 4、6、11、16、
とを目的とした。【方法】脳梗塞に対する治療とし
17、11 例に認められ、49 歳以下群ないし 50 ~ 54 歳
て広く用いられている free radical scavenger であ
群に比して 65 ~ 69 歳群と 70 歳以上群で有意に高頻
る edaravone を 治 療 薬 と し て 選 択 し た。 ラ ッ ト
度であった(p < 0.05)。脳萎縮は、各群で 0、3、9、
SAH モデルを使用し、edaravone 治療群、対照群
9、8、7 例に認められ、49 歳以下群に比して 55 歳以
それぞれで、くも膜下出血後 1、6、24 時間の時点
上の群で有意に高頻度であった(p < 0.01)。脳梗塞
で脳皮質サンプルを採取した。ウェスタンブロット
は、各群で 2 ないし 3 例に認められ、各群間に差はな
法、 免 疫 染 色、 ハ イ ド ロ エ チ ジ ン、cell death
かった。各群の IQ は、106.3、103.3、100、97.5、98.9、
assay を用いて edaravone の治療効果を検討した。
101.6 であり、各群間に差はなかった。2)術後 MRI
【成績】Cell death assay で検出されるアポトーシ
で脳損傷は、各群で 0、0、1、2、2、2 例に、硬膜下
ス、チトクローム c の放出、ハイドロエチジンを用
水腫は、各群で 0、1、1、1、0、2 例に、術後脳梗塞
いて検出されるスーパーオキサイドアニオンのいず
は、各群で 0、1、1、1、2、0 例に認められ、各群間
れも、edaravone 治療群で有意に低下していた。ウ
に 差 は な か っ た。 各 群 の 術 後 IQ は、109、109.1、
ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 法 や 免 疫 組 織 染 色 で は、
102.6、98.6、100.9、98.5 であり、術前に比して 70 歳
edaravone 治療群において pAkt や pGSK-3 βとい
以上群でのみ悪化した(p < 0.05)。IQ が術後4点以
った生存シグナルが活性化しており、アポトーシス
上低下した例は、各群で 4、1、3、5、4、8 例に認め
が減少するメカニズムの一つであると考えられた。
られ、50 ~ 54 歳群ないし 60 歳台群に比して 70 歳以
また、SAH 後 2 時間経過した時点で edaravone を
上群は有意に高頻度であった(p < 0.05)。神経症状
投与してもアポトーシスを抑制する効果が見られた。
の悪化は、49 歳以下群と 55 ~ 59 歳群で各 1 例認め
【 結 論 】SAH 後、edaravone は pAkt と pGSK-
られ、他の群では無かった。術後の脳血流は、60 ~
3 βの活性化を介して primary brain injury を抑制
64 歳 群 と 65 ~ 69 歳 群 で、 術 側 ACA 領 域 と ACA/
すると考えられた。Edaravone は SAH 後の acute
MCA 境界領域にて安静時血流量が術前に比して有意
brain injury に対する治療薬となる可能性が示唆さ
に低下した(p < 0.05)が、70 歳以上群では差はなか
れた。
った。【結論】術前 MRI での異常所見は、55 歳以上
の年齢群でみられた。術後は、他の年齢群と、画像異
常所見や神経症状の出現に差はなく、脳血流変化もな
かったが、70 歳以上群でのみ IQ の悪化が認められた。
─167─
O27-4
O28-1
バナジン酸ナトリウムによる tropomyosinrelated kinase B の活性化はクモ膜下出血
後早期脳損傷を軽減する
過渡的脳虚血モデルラットの MRI 自発性信
号変動の解析
1
熊本大学医学部脳神経外科、2 ロマリンダ大学医学
部生理学
秋田県立脳血管研究センター
○中村和浩、吉田純子、近藤 靖、水沢重則、
宮田 元、木下俊文
1
2
2
○長谷川雄 、鈴木秀謙 、Altay Orhan 、
Zhang John2、植川 顕 1、森岡基浩 1、倉津純一 1
【目的】 クモ膜下出血(SAH) 後早期脳損傷は、
【目的】近年、fMRI で用いられてきた T2* 信号の時
SAH 患者の予後不良を規定する因子として、近年注
間変動成分に注目し、安静時の MRI に基づいた自発
目 さ れ て い る。 バ ナ ジ ン 酸 ナ ト リ ウ ム(SOV) は
性信号変動の解析が広くおこなわれてきている。既
tyrosine phosphatase inhibitor の 一 つ で あ り、 我 々
に報告されている論文では、ほとんどが健常ボラン
は SOV の脳梗塞における神経保護効果を以前報告し
ティアからのデータであり相関解析に基づく脳の神
た。今回 SAH 後脳損傷に対する SOV の神経保護効
経ネットワークの同期現象を解析するものが多いが、
果について検討した。【方法】Rat SAH perforation
ここ数年、脳疾患を対象にした報告も散見される。
model を作成し、脳浮腫の程度の指標として brain
そこで、この自発性信号変動の解析手法を脳血管障
water content を、 神 経 学 的 所 見 と し て modified
害に応用することで脳機能障害をより詳細に記述で
Garcia 法を用いて day1、day3 に各々評価した。ま
きる新しい指標を開発できるのではないかと考え、
た receptor tyrosine kinase と し て、brain-derived
脳梗塞モデルラットを用いて解析をおこなったので
neurotrophic factor(BDNF)の特異的レセプターで
報告する。
ある tropomyosin-related kinase B(Trk-B)に着目
【方法】過渡的脳虚血(tMCAO)モデルラット(32
し、Trk-B のリン酸化と、その下流にあるアポトー
匹)は塞栓糸を挿入し左中大脳動脈を 60 分閉塞する
シス関連のキナーゼやタンパクを、Western blot 法
モデルを用いた。モデルラットは脳虚血再灌流1、2、
を用いて定量化した。さらに神経細胞死の評価とし
3 日後に MRI 装置(Varian Inova 4.7T)に配置され、
て Terminal Deoxynucleotidyl Transferase-
スピンエコー法による T2、拡散強調画像とグラジエ
Mediated Uridine 5′-Triphosphate-Biotin Nick End-
ントエコー法による T2* 強調画像(TR/TE=30/20ms、
Labeling Staining(TUNEL)染色と Neuronal Nuclei
FA 10°、128 × 128 画素)を撮像した。T2* 強調画像
(NeuN) の double stain を 行 っ た。 最 後 に Trk-B
は連続して 60 枚の撮像をおこない、解析にあたって
のアンタゴニストである K252a を前投与し、Trk-B
は、梗塞中心部位である基底核に ROI をとり、この
の活性化のメカニズムについて検討した。【成績】
ROI との相互相関を各ボクセルで計算した。また、
SAH モデルでは day1、day3 まで脳浮腫とそれに伴
閉塞を行っていない通常ラット(12 匹)についても
う神経学的所見の悪化が認められた。また SAH 後
同様の測定・解析をおこなった。
Trk-B の脱リン酸化 が生じ、cleaved caspase-3 の
【結果・考察】tMCAO モデルラットについて、脳
発現量が増加した。さらには TUNEL 陽性神経細胞
虚血再灌流 1 日後における拡散強調画像において病
が大脳皮質と海馬 CA1 領域で増加した。SOV 投与
変部を確認したところ、病変部が基底核と皮質に及
に よ り 脳 浮 腫 や 神 経 学 的 所 見 は 改 善 し、mature-
ぶ群(A 群)14 匹、基底核に限局する群(B 群)16
BDNF の発現が増加することで Trk-B の脱リン酸化
匹、無病変(C 群)2 匹であった。相互相関解析の結
を 抑 制 し、cleaved caspase-3 の 発 現 量 低 下 と
果、A、B 群では通常ラットに比べて相関係数が低
TUNEL 陽性神経細胞の減少をみた。K252a を前投
かったものの、A、B 群での顕著な違いは確認され
与することで、これらの SOV による恩恵は減弱した。
なかった。相関係数の違いは障害の程度を反映する
【結論】SOV による Trk-B の脱リン酸化抑制とそ
指標となる可能性が示唆されたが、測定誤差が大き
れに誘導される抗アポトーシス作用は、SAH 後早期
い画像を利用していることもあり、今後詳細な検討
脳損傷改善に有効であると考えられた。
が必要である。
─168─
O28-2
O28-3
マウス中大脳動脈閉塞モデルにおける梗塞領
域再現性向上の工夫と脳血流リアルタイムモ
ニタリング
Sprague-Dawley(SD)ラット全脳虚血モ
デルの確立と応用(質量顕微鏡法による遅発
性神経細胞死の網羅的解析)
1
東北大学大学院 医学系研究科 神経外科学分野、
1
2
広南病院脳神経外科、3 独立行政法人国立病院機構 座細胞生物学分野
仙台医療センター 脳神経外科
1
2
東京大学 脳神経外科、2 浜松医科大学 解剖学講
○宮脇 哲 1、早坂孝宏 2、今井英明 1、堀川弘吏 1、
2
3
越智 崇 1、伊藤明博 1、中冨浩文 1、瀬藤光利 2、
○赤松洋祐 、清水宏明 、斉藤敦志 、藤村 幹 、
冨永悌二 1
斉藤延人 1
【目的】本研究の目的は、塞栓糸マウス中大脳動脈
【背景・目的】遅発性神経細胞死は 5 分程度の一時
閉塞モデルにおいて、塞栓糸を被覆する長さの違い
的な全脳虚血により海馬 CA1 領域が選択的に数日
による後大脳動脈領域を含む梗塞巣出現頻度を調べ、
間かけて緩やかに死滅に至る現象である。その過程
選択的中大脳動脈閉塞モデルを作成することである。
に脳虚血細胞死に関するメカニズムが存在すると信
【方法】32 匹の C57BL/6 マウスを、塞栓糸をシリ
じられ長年基礎的研究のテーマとなってきたが、未
コンラバーで被覆する長さによって 4 群(1、2、3、
だに神経細胞の脆弱性や機序が解明されていない。
4 mm)に分けた。虚血導入 2 時間後に再灌流して
当教室では以前 Wister ラットによる全脳虚血モデ
24 時間後に梗塞体積、梗塞巣の血管支配領域、神
ル の 手 法 を 報 告 し た が、 近 年 Sprague-Dawley
経所見を比較した。術中の脳血流評価には Laser
(SD)ラットにおいて全脳虚血モデルの手法を確
speckle flowmetry(LSF) を使用した。【結果】梗
立し質量顕微鏡法による分子動態変化について解析
塞体積は 1、2 mm 群で 3、4 mm 群よりも各々、
したので報告する。【方法】SD ラット(300-360g
有意に小さかった(P < 0.05 ~ 0.001)。梗塞巣は 1、
male)を用いる。全脳虚血に先立ちまず両側の椎
2 mm 群(各 n=8)では全例で中大脳動脈領域にの
骨動脈が C1 を貫通する部分で露出しそれを切断す
みに梗塞巣を認めた。3、4 mm 群(各 n=8)では
る。12 時間後に両側の総頚動脈の遮断を行う。血
各々が 62.5%、75%に後大脳動脈領域を含む梗塞を
圧モニタ用および脱血用のカニューレを両側の大腿
認め、それ以外は中大脳動脈領域のみに梗塞巣を認
動脈に留置しておく。両側総頚動脈を temporary
めた。神経所見は 4 群間で有意差がなかったが、中
clip を用いて遮断するのだが、側副血行路から血流
大脳動脈領域のみに梗塞巣を認めた群(n=21)で
が残存する。より厳密な虚血を実現するために A
は後大脳動脈領域を含む梗塞巣を認めた群(n=11)
line より一時的に脱血し人為的に降圧する。総頚動
より有意に軽度であった(P =0.002)。LSF を用い
脈遮断は 6 分間とする。【質量顕微鏡法による解析】
ることで頭蓋骨越しに二次元的脳表血流分布をリア
質量分析法とは、種々の方法でイオン化した物質を
ルタイムに観察することができた。梗塞に至った中
質量と電荷の比の違いに応じて分離しその分子量を
大脳動脈領域または後大脳動脈領域の脳表血流は平
分析する手法である。ポストゲノム時代のメタボロ
均で対側の約 60%以下に低下し、梗塞に至らない
ミクス分野において重要な役割を担う分析法の一つ
後大脳動脈領域の脳表血流は約 80%以上であった。
として期待されている。その質量分析を組織切片に
【結論】塞栓糸を被覆する長さを 1 から 2 mm に
対して生体組織の位置情報を残した状態で行うこと
することで再現性のある選択的中大脳動脈閉塞モデ
ができるのが質量顕微鏡法である。虚血後、1、2、
ルを作成することができた。LSF は脳表血流分布
3、4、5、6、7、14 日後に凍結切片を作成し、CA1
をリアルタイムに観察でき、対側との比をとること
におけるリン脂質群の動態を質量顕微鏡法により網
で梗塞になる部位をある程度予測できた。本法を用
羅的解析する。この解析により組織切片上でイオン
いることで再現性をもって選択的中大脳動脈閉塞モ
化された任意の分子について位置情報を可視化でき
デルを作成できると思われる。
る。例として m/z 772.5 の分子が虚血層で経時的に
減少していることを確認している。虚血部での経時
的な分子レベルの変化を網羅的にとらえて神経細胞
死に至る機序を解析することを試みている。
─169─
O28-4
O29-1
ラット慢性脳虚血モデルにおける EAAT2 の
発現に関する検討
岡山大学関連 4 病院における超急性期脳梗
塞に対する t-PA 静注療法の臨床的検討
1
1
順天堂大学 医学部 脳神経内科、2 順天堂大学医
岡山大学 医学部 神経内科、2 独立行政法人国立
病院機構岡山医療センター 神経内科、3 倉敷平成
学部付属浦安病院 脳神経内科
○矢富裕子 1、田中亮太 1、志村秀樹 2、田中康貴 1、
服部信孝 1、卜部貴夫 2
病院 神経内科、4 岡山旭東病院 神経内科
○河野祥一郎 1、出口健太郎 1、森本展年 1、倉田智子 1、
出口章子 1、池田佳生 1、松浦 徹 1、奈良井恒 2、
大森信彦 2、真邊泰宏 2、柚木太淳 3、高尾芳樹 3、
河田幸波 4、柏原健一 4、阿部康二 1
【目的】グルタミン酸は代表的な興奮性神経伝達物
【背景と目的】t-PA が 2005 年 10 月に認可されて
質で記憶や学習などの高次脳機能に深く関与するが、
から 2009 年 12 月までに t-PA 静注療法が施行され
高濃度のグルタミン酸は神経細胞死をもたらす。脳
た 118 例の超急性期脳梗塞患者の検討を行った。
虚血性病変ではグルタミン酸が過剰に放出され、細
【 結 果 】 平 均 年 齢 は 72.0 歳 で 男 性 76 例、
胞膜グルタミン酸トランスポーター(EAAT2)が
女 性 42 例 で あ っ た。 来 院 時 の NIHSS は 平 均 9.38
発現し速やかにグルタミン酸を細胞内に取り込む。
点であった。発症から病院到着までの平均時間は
慢性虚血性白質病変での EAAT2 発現に関する報
54.8 分で、到着から治療までの平均時間は 76.6 分
告は殆どなく、その病変機序は明らかになっていな
であった。本検討期間のうち、2007 年 12 月までを
い。我々はラットの慢性脳虚血モデルにおける白質
前半、2008 年 1 月以降を後半とし検討を行ったと
の EAAT2 の発現の継時的変化に関する検討を行
ころ、前半に比べ後半で病院到着から治療までの平
ったので報告する。【方法】11 週齢雄性 Wistar ラ
均時間が 82.6 分から 72.8 分に短縮した。また、発
ットの両側総頸動脈永久閉塞モデルを作成、虚血前、
症から病院到着までの平均時間は 50.2 分から 57.2
虚血後 3 、7 、14 、28 日で脳切片を作成し、脳梁、
分と拡大した。出血性合併症は 37 例(脳出血 26 例、
大脳皮質の各部位において抗 EAAT2 抗体にて免
口腔内出血 4 例、皮下血腫 3 例、腸腰筋出血 2 例、
疫染色及び蛍光抗体法を行った。また同日帯で脳組
鼻出血 1 例、血尿 1 例)に認められ、症候性脳出血
織を採取しウエスタンブロッティングにてタンパク
は 3 例であった。t-PA 投与後脳出血をきたした症
を分離、同抗体を用いてタンパク量を定量した。
例 で は、 入 院 時 の NIHSS が 有 意 に 高 値 で あ り、
【結果】sham 群においても EAAT2 は恒常的に発
ASPECTS も有意に低値であった。また、病型別に
現していたが、脳虚血後 3 日後から EAAT2 の発
は心原性脳塞栓症が有意に多く、再開通を認めた症
現が脳梁、大脳皮質において増強しており、7 日以
例に多く合併していた。施行前の抗血栓療法の有無
降は徐々に発現レベルが低下していた。これら発現
に関しては、脳出血をきたした症例でワーファリン
している細胞はそのほとんどが形態的にアストロサ
の内服が有意に多かった。【結論】当科関連病院で
イトと考えられた。一部の細胞ではオリゴデンドロ
は t-PA 施行症例数が年々増加しており、t-PA 認
サイトに発現が見られる印象である。【考察】急性
可後、後半では来院から治療開始までの時間が短縮
虚血性病変では虚血後 1 日より EAAT2 の過剰発
され、発症から時間の経過した症例も t-PA 治療が
現を脳梁で認めるという報告がある。慢性脳虚血に
施行できるようになったと推定された。t-PA 施行
おいても虚血後早期に細胞外グルタミン酸を排除す
後脳出血をきたした症例では、入院時の NIHSS が
るため、EAAT2 が過剰に発現している可能性が示
有意に高値で、ASPECTS も有意に低値であり、
唆された。近年アストロサイトのグルタミン酸トラ
NIHSS や ASPECTS は脳出血の予測因子として有
ンスポーターの活性化によるグルタミン酸回収作用
用であると考えられた。
の増強、及びアストロサイト内でのグルタミン合成
酵素によるグルタミン合成の活性亢進により梗塞巣
が縮小したと報告されており、EAAT2 の発現を制
御することが可能となれば虚血性白質障害の新たな
治療法につながると考えられた。
─170─
O29-2
O29-3
脳卒中ケアユニット開設による脳卒中診療の
変遷
脳梗塞急性期患者の病態把握における血管内
皮機能検査の有用性
1
1
長崎大学 医学部 脳神経外科、2 長崎大学 医学
慶應義塾大学医学部 神経内科 脳血管障害予防
部 神経内科
医学講座、2 慶應義塾大学医学部 神経内科
○林健太郎 1、堀江信貴 1、辻野 彰 2、竹下朝規 1、
○小泉健三 1、山田 哲 2、伊澤良兼 1、伊藤義彰 2、
陶山一彦 1、永田 泉 1
高橋愼一 2、鈴木則宏 2
脳卒中ケアユニットが厚生労働省より定義され、診
【背景】わが国の脳梗塞病型のなかではアテローム血
療報酬されるようになって脳卒中ケアユニットを開
栓性脳梗塞(33%)の増加が示されている。血流依存
設 す る 施 設 が 増 え て き て い る。 長 崎 大 学 病 院 は
性 血 管 拡 張 反 応(Flow Mediated Dilatation ; FMD)
2008 年6月に新病棟への移転に伴い臓器別病棟に
は血管内皮機能の評価法として有用であり、その低下
再編され、同時に脳卒中ケアユニット6床を開設し
は動脈硬化の評価、冠動脈疾患・脳血管障害の予知因
た。それまでは脳卒中診療は主に脳神経外科医が行
子になると報告されている。【目的】急性期非心原性
ってきたが、それを契機に神経内科医が積極的に急
脳梗塞患者の病態把握、治療法選択における FMD 測
性期脳卒中の診療に携わるようになった。毎朝の神
定の有用性を明らかにするため、病型・危険因子、頸
経内科医との新患検討会、週1回の神経内科医、歯
動脈内膜中膜複合体厚(IMT)、局所脳血流量(CBF)
科医(嚥下)、看護師、理学療法士、ケースワーカ
を比較検討した。【方法】当院に入院した急性期非心
ーとの病棟カンファレンスを行い、直通携帯電話を
原性脳梗塞患者 6 例(ラクナ梗塞 1 例、アテローム血
設けた。その結果、脳卒中患者は 10.6 人 / 月から
栓性脳梗塞 2 例、一過性脳虚血発作(TIA)1 例、椎
17.4 人 / 月に増加し、主に脳梗塞、一過性脳虚血発
骨動脈解離 1 例、多発性脳梗塞 1 例 平均年齢 63.7 歳
作の患者が増加した。脳梗塞患者の診療はほぼ神経
(52 ~ 74 歳))を対象とした。FMD の測定はユネク
内科に移行し、頸部超音波検査、経頭蓋超音波検査、
ス社の「ユネクスイーエフ シリーズ」を用いた。
経食道心臓超音波検査などの検査が簡便に行えるよ
CBF は Xe-CT(安西メディカル Cold-Xe ガス吸入装
うになった。専任の理学療法士がいることで発症早
置 AZ-725 および解析装置 AZ-7000W98、東芝製 ア
期からのリハビリがすすめられ、日常動作訓練に看
クエリオン 65)を用いて測定した。【結果】FMD は
護師が積極的に取り組み、看護レベルが向上した。
2 例 で 著 明 な 低 下(0 %、0.4 %)、3 例 で 軽 度 な 低 下
早期からの地域連携の計画が立ち、スムーズに回復
(3.2%、3.7%、4.6%)、1 例では正常(9.3%)であった。
期リハビリに移行できるようになり、脳卒中患者の
著明な低下を来たした 2 例は、小脳アテローム血栓性
平均在院日数は 28 日から 22 日に短縮した。脳卒中
脳梗塞および若年椎骨動脈解離症例で、前者は未治療
ケアユニット入室患者の約8割は脳卒中患者であり、
の糖尿病を合併しており、IMT の肥厚を認めた。後
その他に脳腫瘍術後、頭部外傷などの患者の診療が
者は重度喫煙者であった。いずれも基底核・白質の
行われ、集中治療室や救命センターの病床を効率良
CBF は保たれていた。FMD 軽度低下例は、ラクナ梗
く活用する必要が生じた。脳卒中ケアユニット開設
塞、TIA、多発性脳梗塞症例であり、いずれも IMT
後の脳卒中診療の変化とその有用性について検討す
は 1.1mm 以下であったが放線冠の CBF 低下を認めた。
る。
FMD の正常例は、IMT の肥厚や CBF の低下を認め
ず、脂質異常症の既往に対しスタチンにて加療をうけ
ていた。【結語】脳梗塞急性期患者のほとんどで FMD
は低値であった。特に、喫煙、糖尿病を背景としたア
テローム血栓症では、血管内皮機能障害の傷害を認め
たが必ずしも脳血流の低下は伴わなかった。今後、
FMD 低下例では内皮機能を改善する治療法の効果を
検討すべきと思われた。
─171─
O29-4
O29-5
脳梗塞後の脳浮腫における脳萎縮と頭蓋内圧
の関係
歯周病菌感染症と脳梗塞の関係(第3報)抗歯周病菌抗体価と血清 hsCRP 値との関係
の解析 -
1
川口市立医療センター脳神経外科、2 日本大学医学
1
部脳神経外科
○星野達哉 1、江里口隆 2、大高稔晴 1、藤原徳生 2、
村田佳宏 2、古市 眞 2、平山晃康 2、酒谷 薫 2、
片山容一 2
広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 脳神経内
科、2 香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科
学
○細見直永 1、青木志郎 1、納谷貴之 2、大槻俊輔 1、
山脇健盛 1、河野雅和 2、松本昌泰 1
(はじめに)脳塞栓症後の脳浮腫は、ときに著しい
【 目 的 】 歯 周 病 菌 の 一 つ で あ る Prevotella
mass effect を呈し malignant MCAinfarction の転
intermedia(Pi)に対する抗体価が内頸動脈狭窄症
機をとることがある。一方、脳萎縮が強い症例では
に関与し、これを介してアテローム血栓性脳梗塞と
頭蓋内圧上昇に対する緩衝作用を有する。本研究は
関連している可能性があることを報告した。またこ
脳塞栓症後の脳浮腫において、脳萎縮の頭蓋内圧緩
の よ う な 関 係 性 は 他 の 歯 周 病 菌(Actinobacillus
衝 を midlineshift(MLS) を 計 測 す る 事 に よ り
actinomycetemcomilans(Aa)や Porphyromonas
retrospective に検討した。(対象)2007 年 1 月より
gingivalis(Pg))に対する抗体価では認められなか
2011 年 3 月 ま で に 経 験 し た ASPECT-DWI score
った。一方で、hsCRP に代表されるような全身性
(ADS)が8点以下の脳塞栓症 51 例(男性 19 例、
炎症反応の指標が脳梗塞のバイオマーカーとなるこ
女 性 32 例、 平 均 75.8 歳 )。( 方 法 ) 初 診 時 に 頭 部
とが報告されている。そこで、抗歯周病菌抗体価と
CT お よ び MRI を 施 行。 初 回 CT の ADS お よ び
hsCRP の関連性に関し検討を行った。【方法】香川
ADS 同一スライスの梗塞面積を測定した。脳萎縮
大学医学部附属病院に入院した急性期脳梗塞患者
の 指 標 と し て、Evance index(EI)、bicaudate
132 例( 男 性 74 例、 女 性 58 例、 平 均 年 齢 71.3 ±
index(BI)、cella-media index(CI)を健常側で測
10.7 歳)と MRI にて脳卒中の既往のないことを確
定した。頭蓋内圧を予測する指標として、入院 7 日
認された非脳卒中患者 82 例(男性 34 例、女性 48
以内の頭部 CT での MLS の最大値を用いた。梗塞
例、平均年齢 54.8 ± 15.4 歳)にて検討を行った。
面積、ADS に圧緩衝作用を反映させるために脳萎
各患者からは本研究の同意を得た上で血清をえた。
縮 の 指 標 を 用 い た 補 正 値(area/index、ADS ×
抗歯周病菌抗体価として Pi、Aa、Pg に対する抗体
index)を算出し MLS との相関を検討した。また
価を測定し、同血清において hsCRP 値の測定を行
MLS 10mm を重度意識障害をきたす基準値とし、
った。【結果】各種抗歯周病菌抗体価および hsCRP
各補正値の cut off point を解析し、さらに ROC 曲
値はその分散が偏っていたため、常用対数変換し正
線を用いて重症化を予測する指標としての適性を比
規分布することを確認した。その上で、抗歯周病菌
較した。(結果)各補正値においては、E I 補正値
抗体価と hsCRP 値との相関を検討したところ、検
が M L S と最もよい相関を示した(a r e a / E I:
討を行った3種類の抗歯周病菌抗体価と hsCRP 値
R 2 = 0.67、A D S × E I :R2=0.68)。ROC 曲線を
との間には相関は認めなかった。【結果】抗歯周病
用いた検討においても、EI 補正値が最もよい指標
菌抗体価と hsCRP 値との関連性に関して検討した。
となることが示された。(考察)EI は頭蓋内圧緩衝
今回の検討では抗歯周病菌抗体価と hsCRP 値との
を反映する指標として有用であることが示唆された。
間には明らかな相関は認めなかった。このことより
また EI 補正値に cut off point を設けることで、重
抗歯周病菌抗体価が炎症反応とは独立した脳梗塞関
症化を予測し減圧開頭の適応を早期に決定できると
連因子である可能性が示唆された。
思われた。
─172─
O30-1
O30-2
近赤外線分光法(NIRS)を用いた院外心臓
性心停止患者の早期予後予測の可能性
携帯型 NIRS を用いた脳血流自動調節能の評
価 ‐ 頚動脈狭窄患者と健常成人の比較 ‐
1
1
駿河台日本大学病院 救急科、2 駿河台日本大学病
3
日本大学医学部 脳神経外科学系 神経外科学分
院 循環器科、 川口市立医療センター 循環器
野、2 日本大学医学部 脳神経外科学系 光量子脳工
科・集中治療科、4 日本大学 医学部 脳神経外科
学分野、3 相模原協同病院 脳神経センター 脳血管
学系 光量子脳工学分野
内治療科
○八木 司 1、舘田 豊 1、長尾 建 2、菊島公夫 1、
○五十嵐崇浩 1、平山貢基 1、加藤智一 1、江里口隆 1、
渡辺和宏 1、立花栄三 3、千葉宣孝 1、蘇我孟群 1、
藤原徳生 1、村田佳宏 1、須磨 健 1、渡邉学郎 1、
1
1
1
廣瀬晴美 、川守田剛 、吉野篤緒 、酒谷 薫
4
渋谷 肇 3、平山晃康 1、酒谷 薫 2、片山容一 1
【背景】アメリカ心臓協会の心肺蘇生法ガイドライ
【背景】頚動脈狭窄による脳虚血患者は健常成人と
ン 2010 では初回心電図が心室細動(VF)で、心拍
比べて脳血流自動調節能が障害されており、起立性
再開後に昏睡状態にある患者の低体温療法は ClassI
脳循環障害を来たすことがある。このため脳血流自
とされている。我々は標準的二次救命処置(ALS)
動調節能の簡便な評価法の開発は、脳虚血患者の管
に反応しない院外心臓性 VF 心停止患者の脳保護を
理にとって重要な課題である。今回、携帯型近赤外
目的として経皮的心肺補助装置(PCPS)を用いて
分光法(NIRS)を用いて頚動脈狭窄患者の体位変
低体温療法を導入する intra-arrest cooling を実施
換時の脳循環計測を行い、その有用性について検討
し社会復帰率の向上に寄与している。しかし、心脳
した。【方法】対象は頚動脈狭窄患者 14 例(狭窄
蘇生中の脳循環代謝は、未だ充分に解明されていな
率:69.4 ± 7.2%)と健常成人 9 例で、ヘッドアッ
い。一方、近赤外線分光法(NIRS)は脳虚血や低
プチルトテスト(HUT)時に血圧・脈拍の測定と
酸素のモニタリングとして用いられている。今回、
各 ヘ モ グ ロ ビ ン(Hb) 濃 度 変 化 は 携 帯 型 NIRS
NIRS を用いた心脳蘇生中の脳循環酸素代謝の評価
(PocketNIRS、浜松ホトニクス社製)を用いて連
及び早期予後予測が可能か否かを検討した。
【方
続測定した。【結果】両群とも HUT 時に失神を起
法】対象は 2009 年 11 月から 2011 年 6 月までに当
こす者は認めなかった。1)HUT 時の体循環:収縮
施設に搬送されてきた 18 歳以上の院外心臓性心停
期圧は両群とも頭位挙上による変化を認めなかった
止患者で PCPS を用いた intra-arrest cooling を実
が、拡張期圧は統計学的有意差を認めないものの健
施した 13 症例とした。方法は収容直後から左前額
常成人群の方が頚動脈狭窄群より上昇を認めた。脈
部に NIRS(NIRO-200NX、浜松ホトニクス社製)
拍は健常成人群では頭位挙上に伴い上昇するのに対
を装着し、脳モニタリングを経時的に行った。【結
して頚動脈狭窄群では変化を認めず、両群間で統計
果】入室直後の組織酸素化指標(TOI)は平均 37.8
学的有意差を認めた(p < 0.05)。2)HUT 時の脳
%を示し、ALS、PCPS 導入することにより、TOI
循環:酸素化 Hb、総 Hb 共に頭位挙上直後は両群
は平均 68.9%まで上昇した(p < 0.001)。また、酸
とも低下を認めた。頚動脈狭窄群では酸素化 Hb と
素 化 Hb 濃 度 の 上 昇( 平 均 14.6 μ M)、 脱 酸 素 化
総 Hb の持続的低下を示すのに対して、健常成人群
Hb 濃度(平均 16.7 μ M)の低下が認められた。さ
では低下は一過性でベースラインまで回復した。頭
らに、PCPS 導入後、TOI の低下を認めた 1 例では
位挙上 30 秒後の酸素化 Hb は両群間で有意差を認
良好な神経学的転帰が得られた。【結語】心停止患
め た(30 °挙 上:p < 0.01、70 °挙 上:p < 0.05)。
者に対して ALS、PCPS を導入することにより脳循
【結語】今回、HUT 時に携帯型 NIRS を用いて動
環が改善することが示唆された。PCPS 導入後に
的血行動態を簡便に検出する事ができた。また、高
TOI が低下した原因として、障害を免れた脳細胞
度頚動脈狭窄患者においては頭位挙上により oxy-
の酸素消費によるものである可能性が示唆された。
Hb の持続的な低下を認め、脳血流自動調節能が障
院外心停止患者に対する脳循環酸素代謝の評価に
害されていることが示唆された。携帯型 NIRS はリ
NIRS は有用であると考えられた。
アルタイムかつ簡便に動的血行動態を検出できるの
で、脳血流自動調節能の評価に有用と考えられた。
─173─
O30-3
O30-4
MRI 画像の領域分割による fNIRS 探測領域
推定用頭部モデルの構築
運 動 が ヒ ト の 脳 血 流 に 及 ぼ す 影 響 The
effects of exercise on cerebral blood
flow in humans
1
放射線医学総合研究所 分子イメージング研究セ
ンター、2 慶應義塾大学 理工学部、3 放射線医学総
合研究所 重粒子医科学センター
1
TMU、2TMU/FIfSS
○ Kobayashi Kimi1、山内潤一郎 2
○川口拓之 1、栗原一樹 2、高橋洋輔 2、岡田英史 2、
小畠隆行 3、伊藤 浩 1
【背景】機能的近赤外分光法(fNIRS)は小型な装置
[ 背景 ] 最近の研究で、運動が脳活動に良い影響を
でヒト脳の循環代謝を簡便に計測することが可能な
及ぼし身体機能だけでなく精神機能の点でも健康に
手法である。しかし、組織散乱の影響で探測領域が
よいことがわかってきた。運動量の増加は酸素消費
不明確であるため、プローブが捉えている脳領域を
量を増やし、脳への血流を促すことが脳機能向上へ
同定できないという問題点が指摘されている。fNIRS
繋がっているとも言われている。このように運動す
の探測領域の実測は困難であるが、数値モデルを用
ることは身体に、つまり脳の健康にも良いというこ
いた光伝播解析によって推定できる。本研究では、
とがこれまでの研究でわかってきた。運動が脳活動
MRI 画像をもとにヒト頭部の光学特性を模擬した数
に効果的であるということが多くの研究で報告され
値モデルを構築する手法について検討した。【方法】
ているが、どのような運動が脳活動を高めるのに最
これまでの頭部 MRI の領域分割の多くは脳組織およ
適であるかということは、いまだによく知られてい
び脳室を対象としたものである。そのため、灰白質、
ない。[ 目的 ] 本研究の目的はヒト前頭葉の脳血流
白質、脳脊髄液の間でのコントラストが高い T1 強調
を高めるために最適な運動強度を検討することとし
画像が用いられることが多い。一方、fNIRS では頭皮
た。[ 方法 ] 自転車エルゴメーターによる運動中の
上から照射した光の伝播を解析するため、上記の領
酸素消費量(VO2)と共に、前頭葉のオキシヘモ
域に加えて頭皮、頭蓋骨・硬膜、脳脊髄液(CSF)腔
グ ロ ビ ン(oxyHb) と デ オ キ シ ヘ モ グ ロ ビ ン
といった表層組織の抽出が必要となる。そこで、頭
(deoxyHb)濃度を、それぞれ呼気ガス測定装置と
蓋骨・硬膜と脳脊髄液とのコントラストが高い T2 強
光トポグラフィ(近赤外線分光法 : NIRS)を用い
調画像(T2W)、脳脊髄液が高信号を呈する FIESTA、
て測定した。[ 結果と考察 ] 酸素消費量は運動強度
頭蓋骨・硬膜と他の頭部組織とのコントラストが高
の増加に伴い一定の増加が認められたが、前頭葉の
い脂肪抑制プロトン密度強調画像(FSPDW)の撮像
オキシヘモグロビン(oxyHb)濃度は運動強度に依
を行い、表層組織の抽出を試みた。まず、放射線科
存していなかった。したがって、前頭葉の脳血流は
医の協力の下に MRI 画像を手動で領域分割した。ま
運動中の酸素消費量の変化と関係がない可能性が示
た、閾値処理やモルフォロジー演算といった基本的
唆された。今後、より詳細に運動の何が、どのよう
な画像処理の組み合わせにより半自動的に領域分割
に脳活動に効果的かを明らかにしていきたい。
を行い、手動による場合を真値として精度の検証を
した。【結果】T2W を元に頭皮、頭蓋骨、CSF 腔を
半 自 動 抽 出 し た と き の 誤 差 は そ れ ぞ れ 13.0、32.1、
57.1 [% ] であった。一方、FSPDW を元に頭皮と頭蓋
骨、FIESTA を元に CSF 腔を抽出したときの誤差は
それぞれ 2.2、13.0、18.0 [% ] であった。また、T2W、
FSPDW、FIESTA のスライス 1 枚あたりの撮像時間
は 7.0、1.3、0.3 秒であった。【結論】fNIRS 用の頭部
光 伝 播 解 析 モ デ ル の 構 築 に お い て FIESTA と
FSPDW を用いると、MRI の撮像時間も短く、表層
組織の領域分割も高い精度でできることが示された。
─174─