◆2015年度入試の総評 難易度は昨年より若干難化しましたが、あえて難化させるためにまぎらわしくさせたりもせず、全体的に素直な問題でした。出題形式に 変更はありませんでした。特徴としては各大問において、易しい問題から難易度の高い問題に変わっていきます。大問の後半に挟まれ 臨海受験情報(千葉県公立高校入試版) る難問を引きずりすぎて、次の大問の基本問題で時間がなくなってしまう受検生もいました。時間配分が重要となるので、模擬試験を解 ペンギン 入試レポート 平成27年度12月号 いたり、過去問演習をする際にも、時間配分に注意するとよいでしょう。 情報正答率備 国語 基本 標準 難問 【千葉県公立高校前期選抜入試問題の科目別特徴】 「ペンギン入試レポート12月号(千葉県公立高校入試版)」では、過去3年間の前期選抜入試問題の難易度の推移と科目別の特 徴をまとめました。是非ご確認いただき、今後の学習にお役立てください。 臨海セミナーでは過去の入試問題の分析をもとに、入試でより高得点をとれるように各教室で指導にあたっています。入試に関する ご質問・ご相談等ございましたら、ご遠慮なく臨海セミナー各教室までご連絡ください。 2013 22.2% 2014 20.6% 2015 20.0% 36.1% 41.7% 50.0% 29.4% 45.7% 34.3% 1、 入試問題難易度の推移 ◆2015年度入試の総評 過去3年間で入試問題の難易度がどのように変わってきたか、各教科の全設問を次の3種に分類し、その割合の変化をみていきます。 記述問題の難易度は依然として高く、聴き取りや漢字・文法・文章題の選択問題でどれだけ正解するかがポイントになります。漢字は小 ①基本問題:シンプルで基本的なやさしい問題。特に上位校受検生にとっては絶対にとりこぼしてはいけない問題で、後半の意外な場 中学校で学習するレベルのため、日々の練習が不可欠です。また、古文や文法もしっかり復習をしましょう。 所に出題されることもあるので注意が必要。 理科 ②標準問題:ごく一般的な入試レベルの問題。全体に占める割合が高く、丁寧に解けば正解できるので、ほとんどの高校でこのレベル 基本 標準 難問 の問題の得点率が合否に大きく関わる。ミスを最少にし、確実に得点することが必要。 2013 ③難問:複雑、まぎらわしいなど、受検生を困らせる問題。得意科目では勝負ポイントになる。このレベルの問題に時間を掛け過ぎず、 とばして他の問題から解く決断も必要。 基本 英語 2013 2014 2015 2014 22.6% 19.4% 22.6% 標準 69.4% 29.7% 2015 難問 48.4% 25.0% 5.6% 59.5% 41.7% 10.8% 50.0% 8.3% 29.0% 48.4% 32.3% 51.6% 25.8% ◆2015年度入試の総評 出題形式は例年通りで、多くは中学校の定期テストと同難度です。正答率が落ち込むのは実験などの理由を記述する問題です。入試 に向けては過去問や入試対策の問題集を解きながら、実験や観察の結果について理由をしっかり書けるように練習しましょう。特に教 科書に掲載のある実験は必須です。 ◆2015年度入試の総評 ここ数年、出題傾向に大きな変化はないため、過去問や同じ形式の問題を解くことが有効です。今回の英語については、順番通りに解 ワード こうとすると苦戦したかもしれません。入試というのは、最初が簡単で後になってくるにつれて難易度が高くなるように思いがちですが、 選択/ 難問は各大問に散りばめられていることがあります。この難問に時間を取られすぎることで時間が足りなくなり、本来取れたはずの問題 記述段落評定判定配点 Value 正答率形式情 2013 28.1% を落とすことが一番怖いことです。特に英語ではイラストの付いた英作文で時間をとられます。じっくり考えてからではなく、いったん飛ば して別の問題を解いてから戻って再度考えるくらいの姿勢で取り組んでいきましょう。 社会 2014 2015 基本 数学 2013 2014 2015 31.8% 36.4% 26.1% 標準 45.5% 36.4% 47.8% 基本 15.6% 28.1% 標準 37.5% 53.1% 46.9% 難問 34.4% 31.3% 25.0% 難問 22.7% 27.3% 26.1% ◆2015年度入試の総評 試験時間に対して、設問数が比較的多い傾向にあります。さらに資料読み取りの問題が3題出題されていますが、いずれも選択肢が長 く複数の資料を見比べて解答する必要があったため、解答に時間がかかります。設問は一つ一つ独立した形式ですので、解ける問題 から解くというやり方も有効です。 2、 各教科の分析と対策 ■図形の問題は性質の理解が重要 図形に関する出題では、図形の性質を利用した問題も多く出題されています。相似・三平方の定理・特別な図形の性質を理解すること 英語 が重要です。また。相似・合同の証明問題などは慣れも必要になってきます。相似・合同の性質を利用した問題が出るたびに「なぜ相 ■リスニングは最初に集中 似・合同といえるのか」と考えるくせをつけましょう。 リスニングのポイントは「何の疑問詞が使われているのか(何が聞かれているのか)」がとても重要になります。英文では日本語とは反対 に大事なことほど最初にきます。まずは最初に集中しましょう。 ■その他の問題は情報整理が大きなカギ また、放送が始まる前にあらかじめ問題に目を通しておくことで、リスニングに備えることができます。 大問5に規則性の問題が出題されています。これは毎年異なるタイプの問題です。与えられた情報を整理して、解答します。3つの小 過去問や英検3級程度のリスニング問題で練習をしていきましょう。 問はバラバラに解くことも可能ですが、一連の流れと見て解くほうが容易に解けます。会話文をよく読み、条件を整理して、丁寧に手を 動かしていけば、解決法が見えます。 ■単語・語形変化・語順整序は声に出して書いて覚える 独特の問題構成ですので、対策を立てても「初見」の問題となるはずです。ここでの最大のポイントは、「与えられた情報を速く正確に整 単語の問題では、最初と最後の文字・字数、英語によるヒント、例文を参考にして単語を答えます。やや難易度の高い単語が出題され 理できる能力」ですから、模擬試験の問題や他県の過去問を利用して、情報整理の訓練を進めましょう。 るので、普段から語彙力を高める必要があります。出題されるのはスペルと発音がややこしいものが多いので、発音に気をつけながら 「書いて」覚えましょう。しかし、どうしても出てこない場合は時間配分の観点から飛ばして後で考えるのも一つの手ではあります。大問5 に語形変化・語順整序の問題がありますが、基本レベルの問題です。教科書の基本文を覚えておくことが有効です。 国語 ■聴き取り問題はメモの取り方が大事 ■英作文は1つのテーマで最低3文以上書く練習や県外の問題も改造してみる 国語の聴き取り問題は、例年に比べ難化しました。毎年出題される放送問題ですが、放送が1回なので細心の注意が必要であったの 「20語程度で書くこと」が条件です。最低でも3文以上で1テーマの英文を書く力が必要です。最もよい対策は過去問練習です。また、 は変わりませんでした。質問内容は例年、(1) 発言の内容、(2) 放送内容を指定の字数で説明する、という構成です。 千葉県以外の入試問題も使えます。他の条件作文を《千葉流・20語作文》に変えて解きましょう。教科書のイラストを見て英作文する しかし、今年の放送問題が難化した理由の一つに、最後まで放送内容を読み上げた後に問いの放送へという例年のパターンから、放 のもよい方法です。 送途中で問いの放送が割り込む、という形式に変わったことがあります。内容もさることながら、これだけで受験生はパニックに陥った可 なお、英作文は人称・時制・名詞の単複・符号の有無、などが減点対象になります。答案を添削してもらうことを忘れずに。 能性があります。 ただし、千葉県の放送問題は、放送の内容をきちんと聞き取る姿勢が必要な点は変わりません。模試などで練習する際には必ずメモを ■長文は時間配分 とって聞き取ること・放送の前に設問を読んで確認しておくことを心がけましょう。 時間が大敵になります。長文で一見難しそうに見えても、選択問題の難易度はそこまで高くありません。時間がなく、選択問題に挑戦で メモのコツは以下の 4 点です。 きなくなると、非常な痛手になります。日頃から長文に親しむことで、時間配分や読解のスピードなどがつかめます。自分にはどれだけ ①話題 の時間があれば、解けそうなのかなど時間配分を考えて全体の問題を解くことが必要です。 ②誰が、何した(何が、どうだ) ③ある情報は他と比べて賛成・反対、主張・追加補足なのか ④図にしてみる 数学 対策例としては、テレビのニュースなどで話される内容を上の方法でメモすることがあります。初めは難しいですが、これは時事問題の ■計算問題は確実に 学習にもなります。社会や面接の対策にも効果があり、《一石三鳥》です。 大問 1 は計算問題です。難易度が高い問題はここでは少ないです。ここでのミスが合否結果を大きく分けるポイントになります。ケアレ スミスに気をつけて、素早く解く練習をしていきましょう。教科書や過去問を中心に十分な練習をしておくことが必要です。その際に効果 ■読解問題は注意すべき表現に気をつけよう 的なのは簡単な問題を「制限時間つきで」一気に解くことです。例えば「同じ6問を2分で解く」など、自分にプレッシャーを与えて練習し 国語は、問題構成上、他の教科と決定的に違う点があります。それは《本文中に解答のキーワードがある》ということです。読解問題の ましょう。計算の途中式は残しておくことで、自分のミスの傾向をつかめるので残すくせをつけましょう。 多くはこの《キーワード探し》です。それには「注意すべき表現」を押さえながら読むことが近道になります。「注意すべき表現」とは小説 文ならば①人物名②場面③気持ちを表す表現、論説文ならば①指示語、②接続語、③主張が分かる表現、④否定・反語の表現、⑤ ■関数の問題はグラフのかき換えがカギ 話題転換の表現などです。また、解く際には必ず「このような理由でこれが解答だ」といえるようにしてください。やみくもに解くのではなく、 関数の問題では、毎年グラフと図形との融合問題が出題されています。このタイプを解くためには、「座標を文字を使って表現する」とい 一つずつしっかりと本文に則して考えながら解きましょう。 うテクニックを何度も練習しておくことが大切です。関数問題のカギを握るのは、座標です。座標をきっちり追いかけられるように、教科 書の章末問題や補充問題を解きましょう。もし座標の求め方がすぐにピンとこなかったときは、解答に手順を書き写します。写したら、類 ■古典は教科書レベルの内容は確実に 題で練習。ここでも座標を意識して演習しましょう。 今年は漢文との融合問題が出題されました。主語の指摘や、行動の理由、返り点などの教科書レベルの内容は理解できるようにしてお きましょう。古文では現代語訳のヒントがついているので、それらを使って正確に読みすすめることが大切です。大問7の古文の配点は 12点。問題文の素材も評論や小説ほど長くありませんので、短時間で正確に解答する練習をし、作文や現代文に時間を割けるようにし ましょう。 ■小作文は設問文を正確に読むことがポイント 社会 入試作文のポイントは「設問を正確に読むこと」です。なぜなら設問の指定に、作文のヒントが書かれていることが多いからです。そのた ■日本地理は常に「千葉県」との比較を念頭に学習 め、以下の4点に気をつけましょう。 複数の資料から解答させる問題が出題されています。資料の多さは全国でもトップクラスです。過去の入試と比較しても、読ませる資料 ①条件を必ず読み、重要な部分に線をひく の文字は増えています。鉄則は「鉛筆を持って解く」こと。問われていることや、キーワードに線をひいていきましょう。また、入試では千 ②条件に適する部分が文章や資料にあるか確認 葉県を題材にした問題が出題されます。他の都道府県と比較して千葉を選ぶパターンが定着しています。千葉県の農林水産業、工業、 ③文章や資料の内容を使って自分の意見を賛成・反対のどちらにするか考える 伝統工芸、輸送、貿易などを理解した上で、他の地域の学習時に「千葉県は確かこうだったな」と意識するようにしましょう。 ④条件に沿っているか確かめる ■歴史は時間・空間双方向の正確な知識が必要 特定のテーマをピックアップして出題されます。作問者も毎年工夫を凝らしており、「来年はここ」という予想はなかなかできません。学 理科 習のていねいさが結果に結びつきます。対策の一つとして「年表作り」があります。まず、縦軸に時代・世紀をとります。横軸は、政治史・ ■物理は何のための実験かをチェック 土地制度史・社会経済史・外交史・文化史の枠を作りましょう。政治中心の記憶になりがちですが、差がつくのは「社会経済」と「文化」で 大設問4と9が物理でした。今年はエネルギーと光からの出題でした。この単元は、グラフや作図、計算問題など出題パターンがさまざ す。年表を作成して、全体像を組み立て、何度もそれを作成しなおしていきます。そして、問題で失敗するたびに、年表に書き込みま まです。また、実験にもパターンが多く、実験のやり方や結果、考察は一貫して理解していないと解答に手間取ります。入試対策として す。書き込みだらけの年表があなた専用のテキストになります。 有効なのは、まずは実験をまとめることです。最近の傾向である、実験についての考察の問題に対応するために、「なぜその実験をす また、近代以降は、できごとの並べかえが出題されます。今年は近代の外交史。1894年~1945年とかなり「狭い」範囲でした。年号 るのか」「結果はどうなるか」「その結果わかることは何か」といったことは、きちんとまとめるようにしてください。また、物理分野では計算 そのものは出題されていませんが、流れをきちんとおさえ点をとりたいところになります。 能力を問われます。今回はエネルギーの問題で計算力が必要になりました。ここでよく登場するのは、オームの法則、仕事、圧力の3 点です。教科書のレベルの問題を普段からしっかり練習しておきましょう。 ■公民は図表を覚えよう 公民分野は文章による問題が中心です。しかし設問をよくみると、「法律案の制定」「議院内閣制」など、教科書の図表にある語句を答 ■化学は実験の考察に力を入れましょう えさせる問題がほとんどです。まずは教科書の図表を覚えましょう。問題練習をしながら、問われた用語がどの図表からでているのか 大設問3と6が化学でした。今年はイオンと気体発生の問題が出題されました。難問が用意され、4つの単元の中では得点を落としやす 問題集を使って頭の中から引き出す練習をし、都度確認をしましょう。 い分野です。化学式(イオン式)を書かせる問題はもちろん、化学反応やイオンの状態をモデル図で表す問題がよく出題されます。対 策のためにはまず、教科書に出ているすべての化学式・イオン式・化学反応式のチェックが必要です。実験は、その実験の結果からわ ■説明記述問題はパターンを知り練習あるのみ かる考察問題がよく問われます。教科書の実験をすべてまとめておきましょう。また、ここでも計算問題が登場します。よく出題されるの 高得点を狙う受験生は避けては通れない問題です。千葉県の説明記述問題は指定された語句を用いて指定された字数で答える形式 は化学反応の比の計算、質量パーセント濃度です。物理と同じく、計算練習をたくさんこなしましょう。 になります。一般的に説明記述問題は次のような2つのパターンに分類できます。 ① 解答すべき内容を知らなければ解けない問題 ■生物は情報を整理してまとめる力を身につけよう 例「勘合貿易を行った理由」 大設問5と7が生物でした。小さな生物と人間の体に関する問題です。問題構成はオーソドックスなもので、内容としても問われる知識 ② 問題文に書かれてある情報からわかることを書く問題 は基本的なものでした。大設問7は「持っている知識を利用して、見たことのない問題を解く」という情報整理色の強い問題構成でした。 例「2つのグラフをみて A 国の輸入の特徴について説明する」 生物は、知識問題や説明問題が中心です。まずは定期テストと模試の見直しで、知識を整理しましょう。実験問題の対策は、教科書に 今年の千葉県は①と②のパターンが半々でした。内容としては「刀狩の目的」や「内閣不信任の決議」などが出題されました。一問一答 ある実験の操作方法や理由などを整理する『まとめノート』作成が良いでしょう。「見たことがない」とはいえ、見出す結果は教科書の実 の性格が強く、定期テストレベルで問われる内容をおぼえておけば点数はとれます。②については過去に「ため池がつくられた理由(2 験と同じです。教科書で得た知識を使って解くのがポイントです。 014年度)」なども出題されています。特に②については、これからも出題される可能性もありますので実際に他県の入試問題を使って 解き、解答と照らしあわせて自分の書いた答案に不足していることがないかどうかを確認すること。その解答を先生などに見てもらうこと。 ■地学は知識の整理が成功の道 大設問2と8が地学でした。天気と天体でした。多くの問題は基礎レベルの知識ですみますが、大設問2のような「天体の位置関係」の 問題や、大設問8のような「湿度の変化をグラフに示す」問題など、情報処理力を要求する問題が入っています。この分野の情報処理 問題は、数を答えるというよりは、湿度からグラフを選んだり、図から星の場所を選ぶなど、選択問題に関係することが多く、かえって手 間がかかります。また、似たような選択肢や言葉が多いので、ここの単元の知識が整理できていないとさらに手間がかかります。逆に、 実験の方法や考察はあまり出題されませんでした。対策の第一歩としてはまず、地学用語の整理からはじめるようにしましょう。雲の発 生のしかたや、昼の長さの変化など、自然現象の起こり方についての説明は、いつでも答えられるようにしておくことが大切です 経験の差がそのまま得点につながります。
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