あの人に聞く 北海道のグリーン・ツーリズム②

湯浅さんが大好きという
ファーイン周辺の景観
農業小学校の生徒に栽培
指導する三田村さん
農家や農村にあるすべてが
財産です。
三田村
雅人さん
ふれあい体験農園みたむら
グリーン・ツーリズムは生き方を
分かち合うこと。
私の農園は、稲作を中心
に農業体験や食農教育も取
湯浅
優子さん
つっちゃんと優子の牧場のへや
ります。また、農業の現状を消費者の方々に知ってもらわなければ、農家
り込んだ営農形態です。食
す。作物の栽培にはたくさんの手間が必要で、天候によってでき方に違い
だけでは「食を育む」農村は守れないという思いもありました。
べることは一生続き、命の
が出ることも分かります。
でも、そういう思いをストレートにお客様に伝えることはしません。語
源でもあるのですが、今は
ある年、イモチ病が出て久しぶりに農薬を使ったことがあったのです
農業の大規模化がどんど
り合い、知り合うことを通して、お互いを思いやり、大切にする気持ちが
ないがしろにされていま
が、事情を説明すると理解していただけました。有機や無農薬というブラ
ん進んでいった時期、自分
生まれればいい。ですからファームインでは親戚や友人を迎えるように自
す。きちんとした食を続け
ンドではなく、信頼関係があればお互いが少しずつ譲り合うこともできる
然な形で私たちのありのままの生活にふれていただきます。
ていくには、野菜や米その
のです。
たちの目指す酪農はそれで
いいのかと悩みました。地
都市と農村はお互いを必要としているのではないでしょうか。都会の
もののことをもっとよく知
小中学校の総合学習もたくさん受け入れています。農業小学校に来るの
域の景観やそこに棲む生き
方々は農村の景色を眺めているだけで心地よいと感じ、おいしい新鮮な食
り、それを生業としている
は食や農業への意識が高い方々ですが、学生はそうとは限りません。でも、
物たちの変化にも気づい
材やゆったりした時間の流れに癒されているようです。そんな中でご自身
農家を知ることが大切と感
だからこそやる意義があります。事
て、違和感を持っていまし
の生き方やライフスタイル、家族との関係を見つめ直す機会にもなってい
じて始めました。
前や事後を通した交流を続け、農園
た。そんな時、平成元年に
るようです。一方、私たち農家も喜んでいただくと、自分たちの地域や仕
さまざまな体験や交流を行っていますが、柱となっているのが「由仁ふ
での体験が単なる行事ではなく、広
ドイツのグリーン・ツーリ
事に誇りや責任を持ちます。改めて今の暮らしのすばらしさが実感でき、
れあい農業小学校」です。小学校と言っても来る人の年齢や職業はさまざ
がりを持って理解できるよう努めて
ズムを知ったのです。触発
心豊かに生きる大切さを感じます。
ま。会社などグループで参加する人たちもいます。2 週間に 1 回のペース
います。
で農園に来てもらい、私の指導のもと、それぞれが好きな作物を作ります。
一般の方々からの農業体験や加工
された私たちは、小規模な
グリーン・ツーリズムは、お互いの生き方を分かち合うことだと思うの
酪農を続けながら、家の一
です。現代社会が失いかけている人とのつながりや手作りの良さが農村に
続けていくうちに、農作物だけでなく、私の家族や農家の暮らし自体に
体験も受けており、気軽に電話をし
部を改装して1日1組のお
は残っています。農村のこうした価値を伝えることができるグリーン・ツ
消費者の方々が価値を感じていると思うようになりました。母がうどんや
て行ける農家、田舎の親戚のような
客様を泊めるファームイン
ーリズムには大きな可能性があると感じます。
豆腐を作ったり、息子がカエルと遊んだりするのは我が家の日常なのです
存在になりたいと思っています。
が、そうした農家や農村にあるすべてが財産だと分かったのです。
を 8 年から始めました。
11 つっちゃんと優子の牧場のへや
農業は政策に大きく左右されます。
農業
政策 大 く左右
す お金をかけて大規模化しても牛乳を
金
608 808 007*83
[住] 〒081-0035
上川郡新得町上佐幌西1線 87 番地
[問] 0156-65-3548 [定] 不定休 [営] 通年
[URL] http://yuasafarm.exblog.jp/
捨てなければならない事態に陥った時代もありました。もっと自立した農
業を営むにはどうしたらいいか。一つの答えがグリーン・ツーリズムにあ
6
ふれあい体験農園みたむら
320 461 755*12
[住] 〒069-1211 夕張郡由仁町岩内 2857
[問] 0123-87-3636 (日中)090-9439-1523(要事前問合せ)
[URL] http://www1.ocn.ne.jp/ m-tomato/
が丹精込めて作ったものへの愛情からおいしさを感じるようになるので
農業小学校の畑。それぞれ好きな
作物を作ります。
て3年計画でワークショップをしながら新しいキャンプ場を造っていま
5 人の酪農家が牧場をつないで
フットパスを整備。
伊藤
1年を通して農園に通い作物を作ると、消費者の方の見方にも変化が現
れます。糖度が何%だとか、何というブランドかで選ぶのではなく、自分
す。私たちはそのサポーターとして関わります。AB-MOBIT のユニークな
農業体験を中心とした主な修学旅行受入グループ(窓口)
活動が知られ、この場所が都会の学生たちに地域を学ばせるツールになっ
たり、自分たちの夢を実現できる場所になってきたと感じています。人と
泰通さん
グリーン・ツーリズム
地域産業体験マルベリー(ニセコ羊蹄エリア)
町を挙げて農家民泊による
修学旅行生の受け入れ
そらちDEい∼ね
の出会いが AB-MOBIT の新たな可能性を生み出したのです。
酪農家集団 AB-MOBIT
根室は日本でもごく一部にしかない、牧草が 100%自給できるエリアで
AB-MOBIT は根室の厚床
す。その生産現場を見て、知ってもらいたいというのが活動の原点です。
(あっとこ)から別当賀(べ
田舎は人口が少なく採算が合わないと切り捨てられることが多いのです
っとが)の間にある酪農家
が、この美しい景観と安らぎの空間を維持し、安全安心な食を届けるのが
5人が平成 13 年に結成した
私たちの役割。都会の人に田舎の価値を伝え、いやしの場として共有した
グループです。AB は地域の
いのです。
頭文字、MOBIT はメンバー
でも、難しいことは抜きにして、トラクターに乗って仕事をしている僕
である村島、小笠原、馬場、
がフットパスを歩いている人に手を振った時、その人たちがにっこり笑っ
伊藤、富岡の頭文字です。
て手を振り返してくれたら、もうそれだけで満足なんです。
私たちはメンバー5人の牧場をつなぎ、総延長 40 ㎞のフットパスを造
AB-MOBIT
あけさと
りました。高野ランドスケーププランニング(株)や帯広畜産大学などの学
[問] 0153-26-2181(明郷☆伊藤牧場内)
[URL] http://www8.ocn.ne.jp/ abmobit/
生さんの協力を得て、ワークショップを何度も重ねながらどんなフットパ
スを造りたいか話し合い、自ら作業をして整備しました。当時はフットパ
スという言葉さえ知られていませんでしたが、造る過程自体を交流事業と
して行ったのです。
フットパスだけでは魅力が足りないと思い、メンバーそれぞれが得意分
長沼町では平成 16 年に北海道で初めて「グリー
ン・ツーリズム特区」の認定を受け、農家民泊を活
用した修学旅行や日帰りの農業体験の受け入れを進
めています。受け入れ窓口は約 200 戸の農家で組織
する長沼町グリーン・ツーリズム運営協議会で、事
務局は役場に置いています。
修学旅行だけでも年間約 4000 人が訪れ、お客様
ではなく普段着のつきあいを通した心の交流を心が
けています。子どもたちは農業体験だけでなく、新
鮮な野菜のおいしさや3世代同居の暮らし、星空の
美しさなど農村そのものに感動します。農家にとっ
ても自分たちの暮らしや農業について見直す機会と
なり、活力となっている様子。受け入れ終了後には
毎年振り返りの意見交換会を開催し、レベルアップ
を図っています。
[問] TEL:0136-58-3388
FAX:0136-58-2329
[URL] http://sahina-mulberry.com
[問]
TEL:0125-23-0117
長沼町グリーン・ツーリズム運営協議会
■農業体験を中心とした主な受入れグループの詳細は、
ループ全体で年間2万人、フットパスだけで 2000 人が訪れます。
NPO法人グリーンツリーズム・オホーツクセンター
[問]
TEL:0152-76-2151(内線 263)
FAX:0136-58-2329
[問] TEL:0123-24-8818
FAX:0123-24-8819
[URL] http://www.1000sai-chitose.or.jp
[問] TEL:0152-43-6806
FAX:0152-45-3211
[URL] http://gt-okhotsk.sakura.ne.jp/index.html
アグリテック(上川中北部)
新得農村ホリデー研究会
[問] TEL:0166-82-0800
FAX:0166-82-3040
[URL] http://www.agtec.co.jp/index.htm
[問] TEL:0156-64-4948
FAX:0156-64-4151
[URL] http://www.Shintoku.org
然別湖ネイチャーセンター
[問]
[URL]
TEL:0156-69-8181
FAX:0156-69-8008
http://www.nature-center.jp
ちはるの里(あしょろグリーンツー研究会)
[問]
TEL:0156-25-2215
FAX:0136-58-2329
とかち農村ホームステイ
[問] TEL:0155-76-4678
FAX:0155-76-3770
[URL] http://shokukyu.com/stay
別海町グリーンツーリズムネットワーク
[問]
一緒に農作業することで心がほぐれていきます。
北海道経済部観光局のホームページをご覧下さい。
TEL:0153-75-0523
FAX:0153-75-0523
標津町エコツーリズム推進協議会
[問] TEL:0153-82-2131
FAX:0153-82-3011
[URL] http://www.shibetsutown.jp/kandou/
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/Hokkaido-Green-Tourism
最近では東京の専修大学から依頼され、学生さんたちが授業の一環とし
[問] TEL:0167-22-3421
FAX:0167-39-1222
[URL] http://www.visitfurano.com/study/index.html
千歳観光連盟
TEL:0123-88-2111(内線 318)
FAX:0123-88-0888
[URL] http://www.maoi-net.jp/nougyou/gttop.htm
ージアップをしたかったので、デザイン性にもこだわりました。現在はグ
富良野修学旅行センター
津別町グリーン・ツーリズム運営協議会
TEL:0123-88-2111 (内線 318)
FAX:0123-88-0888
[URL] http://www.maoi-net.jp/nougyou/gttop.htm
[問]
農園、カフェなどをそれぞれの牧場内に整備していきました。酪農のイメ
[問] TEL:0166-92-4378
FAX:0166-92-3234
[URL] http://www.biei-hokkaido.jp
[問]
長沼町グリーン・ツーリズム運営協議会
野を生かして役割分担し、農産物加工体験や酪農体験、キャンプ場、貸し
牧場内を歩くフットパス
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(空知地域)
FAX:0125-22-2024
美瑛町体験旅行受入委員会
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