平成18(2006)年度 相模原市自然環境観察員制度 身 近 な 生 き も の 調 査 ツ バ メ の 巣 分 布 調 査 ― 手 引 き ― 相模原市自然環境観察員事業パートナー 相模原市立環境情報センター はじめに 平成13年度から始めた身近な生きもの調査の一番最初に実施した調査が、このツ バメの巣分布調査でした。それから5年間が経過し追跡調査を実施することになりま した。 春になり木々に新芽がつきはじめた頃、青い空にはツバメが気持ちよくすべるよう に飛び回っています。ちょっと気をつけてまわりをみてみると、軒下や歩道橋の下な どで巣をみつけることができます。そして巣の中には、巣から身を乗り出して大きな 口を開いて餌をねだるヒナがいることでしょう。 ツバメはスズメ、ヒヨドリ、カラスなどと並んで、市街地で比較的よくみかけるこ とのできる馴染み深い鳥です。都市でもたくましくくらしているツバメの生活にちょ っとだけ触れてみましょう。 1 1 ツバメってどんな鳥 ツバメの仲間は日本に5種類います。このうち相模原でみられるのは、ツバメ、コ シアカツバメ、イワツバメの3種類です。 これらツバメの仲間は遠くフィリピンやマレーシアから渡ってきて、春から夏の暖 かい日本でヒナを育て、また南の島へ帰っていきます。 親ツバメは一匹で一日に昆虫を数千匹近く捕まえて、ヒナに与えるといわれており、 害虫なども捕まえてくれることから、昔から益鳥として人々に親しまれてきました。 わら しかし現在は、都会では巣の材料となる泥や藁をみつけにくいことや、エサとなる昆 虫も減ってきていることから、ツバメによって生活しにくい環境になってきています。 では、相模原でみられるツバメの仲間はどんな鳥なのでしょうか。 2 調査対象 □ツバメ □コシアカツバメ(ツバメ科) □イワツバメ (ツバメの仲間と間違えやすい鳥) ■ヒメアマツバメ(アマツバメ科) ※詳細は「調査対象種一覧」参照 3 ツバメはどんなところにどんな巣を作るの? ツバメの仲間は人が生活している近くに巣を作ります。これは人がいることで、外 敵が近づきにくいからです。 また、ツバメの仲間は、種類によって巣の形や巣を作る場所がちょっとづつ違いま す。先ほど出てきた3種のツバメの巣にはどんな特徴があるのでしょう。 ※詳細は「調査対象種一覧」参照 4 調査のしかた (1)調査期間 5月7日(日)から6月30日(金)まで (2) 調査の方法 ① 調査場所 調査票の地図を基に、商店街、人家、駅、歩道橋の下など、ツバメの巣のあ りそうな場所を探してみましょう。 注1:調査区は 500m×500mのメッシュになっています。基本的には中 央部付近(調査票の地図の円内)を通る 500m以上の経路になるよう に設定してください。 ② 調査道具 手引き書、調査票、地図、筆記用具、身分証(名札)ほか ③ 調べること ツバメの巣をみつけた場所、ツバメの巣の種類、ツバメの巣の状況など。 ④ 調査票記入方法 調査票の地図上に、ツバメの巣があった場所に番号をふり、その番号に対応 する表のNoの欄に必要事項を記入してください。 ※詳しくは調査票の記入例を参照してください。 ⑤ 回収期限 調査票の提出は、7月10日(月)までに環境情報センターに送付ください。 (参考文献) ・指標生物自然をみるものさし((財)日本自然保護協会,1994) ・まち中のバードウォッチング(竹下信雄,1985) ・山渓ハンディ図鑑 日本の野鳥(叶内拓哉他,1998) ・四季 動植物前線(百瀬茂夫,1998) *************************************************************************** 調査にあたって注意して頂きたいこと *************************************************************************** 【 安全面 】 ・調査は、日中に行ってください。 ・高校生以下の方は、なるべく一人では行かないでください。 (行くときは家族に行き先を知 らせてください。) ・工場や河川敷、がけ地など、危険な場所は、無理に調査をしないでください。 ・双眼鏡では、太陽を見ないよう注意してください。 【 その他 】 ・工場や農地など、民有地に無断で立ち入らないでください。 ・双眼鏡を使う場合、人混みや民家などに注意し、誤解を招く使い方をしないよう注意しま しょう。 ・調査に出かけるときは、必ず身分証を携帯してください。 ・巣に必要以上に近づいたり、さわったりしないでください。 ・落ちているヒナを拾わないでください。 ◇なぜヒナを拾っちゃいけないの? 野鳥たちにとって、4月から7月は子育てのシーズン。まだ飛ぶ力が十分ついていな い「巣立ちヒナ」が地面にいるのを見かけることが多い季節ですが、大半は拾う必要の ない元気なヒナです。まずは、鳥と自然界についての正しい知識を得る必要があります。 野生とは厳しい世界です。生き延びて当たり前という人間の世界と違い、明日生きて いる保証はありません。野生の小鳥の平均寿命はおよそ1年半前後と考えられていま す。一冬を生き延びその後数年生息するものは、ヒナの段階からすると1割あるかない かという程度でしょう。 ◇ヒナを見つけたときどうしたらいいの? 近くに姿が見えなくても、親鳥は必ずヒナのもとへ戻って世話をします。人がヒナの そばにいると、かえって親鳥はヒナに近寄れません。絶対に連れていかないで、そのま まにして、すぐにその場を立ち去りましょう。 ◇人が野鳥のヒナを育てることは出来ないの? 私たちはヒナに飛び方や、何が自分にとって危険なのか教えることはできません。自 然の中で自立していけるように育てるというのは、とても難しいことなのです。人にな れてしまったがために、周囲を警戒しなくなって捕食者に食べられたり、野生生活に戻 れなくなってしまった鳥の例もあります。 また、野鳥を飼うことは、善意による保護も含め「鳥獣保護法」で禁止されています。
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