キーツ作「バイロン卿に寄せて」のソネットの詩型の特性*

キーツ作「バイロン卿に寄せて」のソネットの詩型の特性*
奥田喜八郎* *
(英米文学教室)
要旨:後世になってイギリスで一般に用いられるようになった阪想詩の最初
の辞型はイタリアから伝わった。それは「ソネット」と呼ばれる14行詩であ
る。はじめの8行で主題がのべられ、あとの6行でこれが発展され、結びを
つけるといったものである。
文学少年キーツはこの伝統的な詩型を用いて、 7つ年上の先輩詩人バイロ
ン卿を切なる思いで切切と歌い上げているのだ。しかも、キーツはすでにキ
ーツ独自のスタイルを創造しているのである。
本論文は、キーツ独自の、このソネットの詩型の韻律の特性を具に明らか
にした。これによって、学習する者に、イギリスのロマン主義の韻律の特徴
のパタンを検討する新しい視点を与えるであろう。
キーワード:イタリア風ソネット、エレジー風スタイル、ゴシックの言語
1
ジョン・キーツ(JohnKeats、 1795-1821)はイギリスのロマン主義を代表する純粋詩人
3
である。純粋詩人キーツには、 「バイロン卿に寄せて」 ("ToLordByron")と題する14行詩が
あるO これは1814年の12月に作詩されたソネットであるo それから、 34年後のrすなわち、
4
1848年に、はじめて公に発表された拝情詩なのである。キーツの死後、 27年後に初めて日の
目を見た、という作品である。
イギリスの女流批評家ミリアム・アロット(MiriamAllott、 1918- )の、上記のソネット
5
に添えた頭注を見ると、
…The
sonnet
reflects
the
popular
taste
for
Byron
whose
oriental
verse-tales
were
published
1813-14. For K.'s later feelings about Byron see headnote to the Cap and Bells and The Fall
of Hyperion i 207-8 n. (pp. 702 and 671 below). The form is regular Petrarchan, but the
style reflects the polite idiom of such eighteenth-century elegiac sonneteers as Charlotte
Smith (Elegiac Sonnets, 1784).
という。これは興味深い頭注である。がしかし、この頭注の前半については、後日、稿を改め
て「文学少年キーツの見た先輩詩人バイロンについて」と題して論述してみたいと愚考してい
On the Rules of Prosody oりohn Keats's Sonnet Titled ``To Lord Byron
Kihachiro OKUDA (English & American Literature, Nara University of Education)
-21
-
る次第である。今回は、この頭注の後半を踏まえて、 「バイロン卿に寄せて」というソネット
の詩型の音楽性の特色について論考するのが、この拙文の狙いである0
それでは、まず、 14行詩「バイロン卿に寄せて」を以下に紹介しておこう。当時, 19歳であ
った文学少年キーツが、 7つ年上の先輩詩人バイロンを、このようなリズムで歌い上げるので
ある。
6
To Lord Byron
Byron, how sweetly sad thy melody,
Attuning still the soul to tenderness,
As if soft Pity, with unusual stress,
Had touched her plaintive lute, and thou, being by,
Hadst caught the tones, nor suffered them to die.
O'ershadmg sorrow doth not make thee less
Delightful; thou thy griefs dost dress
With a bright halo, shining beamily;
As when a cloud a golden moon doth veil,
Its sides are tinged with a resplendent glow,
Through the dark robe oft amber rays prevail,
And like fair veins in sable marble flow.
Still warble, dying swan, still tell the tale,
The enchanting tale, the tale of pleasing woe.
これは、アロットが編集したLongman版のキーツ全詩集の中に収められている14行詩である。
このアロットのキーツ全詩集は、キーツの手書の原稿をもとにして編集されたものである。念
のために、別の異版、すなわち、筆者の手元にある、 Houghton Mifflin Company版のキーツ全
7
詩集の中に収められているそれと見比べてみると、ところどころに相違が目立つ。拙文の注
(7)のそれと見比べていただきたい。
大きな相違は、なんといっても、 6行目のHO'ershading"が、 ``O'ershadowing"になってい
ることである。また、 9行目の"agoldenmoon"の不定冠詞が、 Hthegoldenmoon'の定冠詞
に改められているのである。この外に、句読点もまた書き改められているのだ。コンマが感嘆
符になっている所は3個所ある。たとえば、 1行目のHByron!であるとか、また, 1行目の
"melody!であるとか、さらに、 13行目の"dyingswan!などである。セミコロンがコロンに
なっている所は、 7行目の"Delightful:''である。セミコロンがコンマになっている所は、 8
行目の"beamily,"である。ピリオドがセミコロンになっている所は、 12行目のHflow;"であ
る。この他にも、 4行目の"touched が、 "touch'd に、また、 5行目の"suffered が、
…suffer'd に、そして、 10行目の=tinged'が、 "ting'd"にそれぞれ縮約形(contracted form)
-22-
ぎょ
となっていることなどが挙げられるだろう。
8 9
なにはともあれ、コンマはコンマの、また、コロンはコロンの使い方がある。セミコロン
10 11 12
はセミコロン の、感嘆符は感嘆符の使用法がある。ピリオドはピリオドの、また、ダッシ
13
ュはダッシュ の使い道がある。英文中に、イタリックスの文字もまたよく見かけるものであ
IV
る。いみじくも、柴田徹士は「コロンとセミコロンの区別」について、こう語るのである。
つまり、 「セミコロンは、形や名前から見ても、コロンに似て」いるが、しかし、 「本質は違
う」というのである。つまり、 「コロンは結合するが、セミコロンは分離する」のだ。 「コロン
の方は、 =すなわち"と言って、すぐ後に続く」という。 「あるいは、前と同格的に並ぶ」とい
うのである。それに対して、 「セミコロンは一応分維する」といい、 「ピリオドに近い」という
のであるが、しかし、 「分離しながらつながっている」というのだ。面白い。これは非常に重
要な区別である。藤井治彦もまた強調しているように、英文を正しく解釈するに当って、 「句
s
読点、大文字の使用、イタリックスなどという細かい点にも」大いに注意をはらう必要があ
るだろう。このような句読点の区別による、内容の変化を踏まえてみると、自ずから生ずるリ
ズムの高低にも心すべきであろうかと思われるからである。
それはそれとして、キーツのバイロンに寄せる14行詩の詩型の音楽性の特色を具体的に調べ
てみることにしよう。これは、アロットも上記にすでに指摘しているように、イタリア風ソネ
ット(theItaliansonnet)の詩型を用いているのであるO これは、別に、ペトラルカ風ソネッ
In
ト(Petrarchansonnet)ともいわれている14行詩なのである.これは、つまり、イタリアの
詩人であり、人文主義者であり、しかも、イタリアの文芸復興の主唱者でもあるペトラルカ
(Francesco Petrarca, 1304-74)が相聞の情を託した詩型をいうのである。いわば;これはヨ
ーロッパの伝統的にして且つ古典的な定型詩の1つなのである。
18
イタリア風ソネットというのは、重複するが、ペトラルカや、ダンチ(DanteAlighieri、
19
1265-1321)などの詩人たちによって創始された14行詩であるOこれは、前半8行(octave)
20
と、後半6行(sestet)の2部に分かれている。前半8行は「4行/4行(quatrain)」,すな
わち, abba/abba、といったふうに押韻するものである。それに対して、後半6行は「3行/
3行(tercet)」、すなわち、 cde/cde、といったふうに脚韻を踏むものである.あるいは、
cdc/dcd、とか、また、 cde/dce、とか、さらに、 cde/ced、といったふうに、いくつかの押韻
22 23
があるという。そして、もちろん、 14行詩は、 「弱強調5歩律(iambic pentametre )でなけ
ればならないのだ。このような、いくつかの約束を踏まえて、この定型詩を用いて、ペトラル
カや、ダンテなどの詩人たちは、相聞、つまり、恋歌の情を切切とうたい上げたのである。
文学少年キーツもまた、まず、この伝統的なイタリア風ソネットの定型詩を用いて、先輩詩
人バイロン卿に寄せる14行詩を切実にうたい上げるのである。よく見ると、文学少年キーツは
ところどころに詩的工夫を試みているのだ。それはまた絶妙である。それでは、まず、最初の
4行を見てみることにしよう。強音節は⊥、そして、弱音節は×で示す。 「詩型のリズム」
(verse rhythm)はこのようになっているのだ。
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× ⊥ X ⊥ X ⊥ ズ ⊥ X ⊥
By-ron, /how sweet/lysad /thy mel /o-dy,
X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥
At -tun lJing still / the soul / to ten /der -ness ,
X
-L
X ⊥ X
J. X ⊥ X
X ⊥
As if / soft Pit /y, with / un-u /su -al stress,
× ⊥ X .L
X ⊥ × ⊥ X
X ⊥
Had touched / her plain /tive lute, / and thou, / be -ing by.
ご覧の通り、各行はそれぞれ、 「弱強調5歩律」になっている。これは、重複するが、この14
行詩全体の主音である。しかし、よく見ると、文学少年キーツはところどころに詩的変化を試
みているのだ。たとえば、 3行目の…・S恥alstress は、 「弱強調」ではなく, 「弱弱強調」
(anapaestic)を使っている。 4行目の"be-ingby"もまた、 「弱弱強調」のリズムを使用して
いるのである。脚韻を見てみると、約束通り、 abba、といった押韻になっているようだ。各
行の最後の強音節のある単語を見ていただきたい。 …-dv. "-ness, …stress,それに、 …by"と
いった脚韻になっているのではないか。口ずさんでみると、 2行目と3行目は完全脚韻
(perfectrhyme)であるが、しかし、 1行目の…-d/'と、 4行目の"妙"の押韻は問題である。
それぞれを発音記号で示してみると、 [-di】であり, [ba】であるからだ。つまり、母音が違
うからであるO しかし、よくよく見てみると、これらは発音が異なっているが、視覚的に脚韻
のすがたを見せているではないか。このように視覚的に脚韻のすがたを示していることを、
2-1
「視覚韻」 (eyeorvisualrhyme)といって、許容されるものなのである。これを、 「完全韻」
に対して、 「不完全韻」 (imperfect rhyme)という。
それでは、次の4行を調べてみることにしよう。
X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥
Hadst caught / the tones , / nor suf /fered them / to die.
X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥
0'eトshad /ing sor /row doth / not make / thee less
X ⊥ x
j_ x ⊥ X ⊥
De -light /ful ; thou / thy griefs / dost dress
X _⊥ × ⊥ × ⊥ X ⊥ X
_L
With a / bright ha /lo, shin /ing beam /i -ly;
というふうに歌われているのだ。各行はそれぞれ「弱強調5歩律」になっている。問題はた
だ、 2行目の…O'er-shad- は「弱強調」と見るか、それも、 「弱弱強調」と見るか、である。
これをあえて、 「弱弱強調」と見るならば、わざわざ縮約形にしないで、 =Over でもよいよ
うに思われるのだが、しかし、 ``0-ver"だと、かえって、 「弱強調1歩律」 (iambic
monometre)に数えられる恐れがあるから、文学少年キーツはあえて、それを縮約形の"O'er"
にしているのだと思う。たとえそれが[oua]と発音されるものであっても、それを弱音節1
つと見て、一気に読ませているのだと見るべきだろう。しかし、 「弱弱強調」と見ることもで
きるのである。これで、この4行の詩型のリズムは、問題がなくなるのであるが、しかし押韻
は厄介である。最初の4行の押韻、すなわち、 abba、といったふうに、文学少年キーツは次
の4行の脚韻もまた、 abba、といったふうに踏むつもりであろうが、しかし、残念ながら、
成功しているとはいいがたい。無論、 2行目の"less と、 3行目の"dress の押韻は完全韻
-24-
である。がしかし、1行目の…die"と、4行目の"-lv"の脚韻をどう説明すればよいのかO
念のために、発音記号で示してみると、前者はであるo後者は-liである。母音は
異なっているからだ。しかし、思うに、こういうのを別に、類似の音であるというのかも知れ
25
ない。たとえば、"express/displace"といったふうの押韻であって、これを類似の音として
許容されるからである。これは、もちろん、黄初の4行の1行目と4行Elの押韻のそれと同じ
ように、不完全韻と呼ばれているものである。
前半8行の脚韻を全体的にもう一度見直してみると、"-dy/-ness/stress/by/die/less/
dress/¥y"といったふうに押韻されている。2行目の"-nessと3行目の"stressと、6行
目の"lessと7行目の"dressの押韻は、重複するが、完全韻であるO問題なのは、1行目
の…-d/'と、4行目の…by"と、5行目の…die"と8行目の"-1/の押韻である。4行目の
…by"と、5行目の"die"の脚韻は、これだけ見ると、完全韻である。また、1行目の"・dy"
と、8行目の…Vの脚韻は、これだけ見ると、完全韻であるが、しかし、全体的に見直して
みると、不統一である。しかし、5行目の"dieだけを除いてみると、あとの1行目の"・dy"
と、4行目の"扉'と、8行目の…-Vの押韻は、ご覧の通り、spellingは全く同じであるO
これは上記にすでに述べておいたように、視覚的に押韻のすがたを見せているめだが、しか
し、発音をまったく異にしている。これを「視覚韻」といって、許容される押韻なのである。
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これを、別に、spellingrhymeともいわれている。ここに、英詩の脚韻の錐しきがあるo統一
された押韻の美しさをうたい上げる、となるとそれは並み大抵ではない。ここに文学少年キー
ツはキーツらしい苦心の跡をのぞかせているのもまた、ゆかしい限りである。不成功である
が、しかし、なんとなく成功しているように見えるのも、文学少年キーツの、す苛に詩人とし
ての大輪の花を想起させてくれる、天分のなす技(わざ)であると言えようか。たとえ前半8
行の脚韻、すなわち、abba/abba、の、a、の押韻は、ときには、くり返すが、「視覚韻」を示
すものであっても、また、ときには「類似の音」を明示すものであっても、である。両者はと
もに、不完全韻であって、許容されている押韻であることを強調しておきたいからである。
それにしても、大いに気になるのは、前半8行中の7行目である。とういう訳は、"De⊥X⊥X⊥X⊥
light/-ful;thou/thygriefs/dostdress'といったふうに「弱強調4歩律」(iambic
X
tetrametre)になっているからである。ソネットのルールは、かならず各行が「弱強調5歩律」
でなければならないからである。「1歩律」足りないというのは、いったい、どうしたという
のだろうかo文学少年キーツ自身もまた気にしていたようであるoロウアル(AmyLowell、
28
1874-27
1925)の『キーツ伝』によると、
It is addressed To Byron. Lord Houghton dates the sonnet simply "December,.1814,I but
one line in it proves it to have been written after Mrs. Jennings's death:
"O'ershadowing sorrow doth not make thee less
Delightful."
-25-
という。ここに言うMrsJenningsという人は、キーツの母の母に当たる人である。父も亡く
29
なり、母も亡くなったあとの少年キーツは、この、 MrsJenningsというおばあさん子であっ
たらしい。その祖母の亡くなったあとで、キーツは6行目の"O'ershading を、
"O'ershadowi喝"に書きあらためたというのである。 "O'ershadowing に改めることによっ
て、いったい、どう変わるのかというに、それは、無論、次のようなリズムになるからであ
る。つまり、
X _L 六 ⊥ X
j_ X ⊥ X ⊥ X ⊥
0'-er /shad -ow / ingsor /row doth / not make / thee less
X ⊥ X ⊥ × -L
X ⊥
De -light /ful; thou / thy griefs / dost dress
といったふうに、なるからだ。すなわち、ご覧の通り、 6行目は「弱強調6歩律」 (iambic
hexametre)となり、 7行目はそのまま「弱強調4歩律」になっているのであるが、しかし、
これは筆者の大胆な解釈なのであるが、この両者の2行をあわせてみると、全体的に「弱強調
10歩律」のverserhythmとなる。この「10歩律」を2分してみると、自ずと,それは「5歩
律」と「5歩律」とに分けることができる。これはあくまでも形式上のverserhythmなので
ある。思うに、文学少年キーツはわざわざ…O'ershading"を、 ;'O'ershadowing"にかき改めた
というのは、もちろん、詩型のリズム、すなわち「弱強調5歩律」のルールを固守するための
ものなのである。脚韻のルールも畳要である。そのために、やむなく、 「6歩律」と「4歩律」
になっているが、しかし、なんとなく、全体的に「弱強調5歩律」に納まっているように見え
るのも、また、キーツの詩人としての技術をのぞかせているのも,奥床しい限りである。ソネ
ット詩人としての才能の片鱗を示しているのも、うれしい限りである0
それでは、後半6行の詩型のリズムと脚韻を調べてみることにしよう。文学少年キーツはこ
う歌い上げるのである。
g^^Bn^^^K^^n ロ
As when / a cloud / a gold /en moon / doth veil ,
X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥
Its sides / are tinged / with a / re -splend /ent glow.
X ⊥ X ⊥ X ⊥ X ⊥ × ⊥
Thro喝h the / dark robe / oft am /ber rays / pre-vail ,
X ⊥ X ⊥ X
⊥ X ⊥ X ⊥
And like / fair veins / in sa /ble mar /ble flow.
X ⊥ ⊥ X ⊥ X ⊥
Still war /ble , dy /ing swanノstill tell / the tale ,
X
X ⊥ X ⊥ X -し X ⊥ X ⊥
The en -chant /idg taleノthe tale / of pleas /ing woe.
ご覧の通り、後半6行の「詩型のリズム」は完壁であるOただ、最終行の…Theen-chant- の
みが、 「弱弱強調」になっているだけである。あとはすべて「弱強調5歩律」である。すばら
しいverserhythmである。それでは、脚韻の方を見てみると、これもまた完壁である。一糸
乱れることもなく整然とうたわれているのは絶妙である。これは、詩人キーツ好みの押韻であ
る cdc/dcd、という押韻は見事ではないか。
-26-
思うに、ヨーロッパの伝統的にして、且つ古典的な定型詩、つまり、 14行詩を用いて、文学
少年キーツは、一糸乱れることなく整然とイタリア風ソネットの厳格なルールを踏まえている
のは、すばらしい限りである。それも然ることながら、ところどころに、 「弱弱強調」を使用
することによって、文学少年キーツはキーツらしい、キーツ独自の14行詩を創り上げようとし
ているのではあるまいか。古典的な定型詩の、ややもすれば起りやすい単調を打破することに
よって、文学少年キーツは、数寄な運命の先輩詩人バイロンその人を如実に歌い上げようとし
た、変調であるのに相違ない0位間に流布しているうわさの、悪名高き先輩詩人バイロンに対
して、文学少年キーツは、バイロンの作品群を通して、決してうわさ通りの詩人バイロンでな
いことを、共鳴と愛情と剛膏をいだいて切実に歌い上げているのが、この14行詩なのである。
しかも、文学少年キーツは、この14行詩の中に、すでに晩年の官能詩人キーツを想起させて
くれる、いわゆる、キーツらしい、キーツ好みの独自のidiomが散在しているのもまた、興味
深い限りである。たとえば、 3行目の"softPity であるとか、 8行目のHshiningbearaily"
であるとか、さらに、 9行目の"thegolden moon であるとか、そして、 12行目の"fair
veins"であるとか、 =sable marble であるとか、といったidiomである。特に、 …thegolden
30
m。。n といった語法は奇奇怪怪であるO恐らくは、これは「ゴシック小説」 (G。thicr。mance)
からの影響によるものであろうかと思う。
31
当時のゴシック小説を代表する作家は、なんといっても、ウオルポール(HoraceWalpole,
1717-97)であった。ウオルポールの代表作品は『オトラント城』である。このゴシック小説
32
とロマン主義との関係について、川崎寿彦はこのように語るのである0
中位ゴシック建築の古城などを舞台に、怪奇な物語で読者の恐怖感をそそる種類の小説。
ラドクリフの『ユードルフォの怪奇』 (Mrs. Redcliffe, The Mysteries ofUdolpho, 1794)な
ど。ロマン主義への一階程でもあった。
と。さらに、川崎寿彦は、 「古典ではなく中世へ-これはロマン主義の1つの志向である」
34
と指摘するのだ。そして、続けて、
理性を越えた怪奇と想像力の性界-これもロマン主義の1つの特性である。次の時代
は、このようにして準備されつつあった。国内では産業革命が起こり、市民階級社会はさ
らにその地歩を固めるが、大西洋のむこうではアメリカ13州の独立(1776)、英仏海峡を
越えた地では大革命(1789) 激動は避けられない情勢であった。
という。フランス革命が起きてから6年後、ジョン・キーツが誕生することなどを思い併せて
みると、文学少年キーツはすでに当時の「ゴシック小敵」を愛読していたことも、また、自然
である。中でも、とくに文学少年キーツはスミス(CharlotteSmith、 1749-1806)という「ゴ
35
シック小説」家の作品をいたく愛読していたようである。
-27-
フランスの英文学者カザミアン(LouisCazaraian、 1877-1965)はスミスについて、こう紹
36
介しているのだ。
37 38
.HAn intermediary writer between Clara Reeve and Mrs. Radcliffe would be Charlotte
Smith (Emmeline, or the Orphan of the Castle, 1788; Ethelinde, or the Recluse, 1789, etc.),
whose effects of terror have a discreet and subtle quality.
ここに言うリーヴという女流小説家は、当時よりやや先輩にあたる書簡体小説家リチャードソ
39
ン(Samuel Richardson、 1689-1761)風の、感傷的な作風を重じていた恐怖作家であるo こ
の、リーヴに対して、ラドクリフ夫人は、 「超自然的事件の記述と写実的な自然描写との融合、
40
また、怪奇事件の合理的な謎解き的」な作風を得意とする恐怖作家なのである。カザミアン
の説によると、スミスはこの両者の中間に位置している恐怖作家であるという。思うに、スミ
スは、 ①感傷的になることなく、また、 ②超自然的に捕らわれることなく、ゴシック風の古城
に起きる数奇な怪喬事件にいつしかまき込まれていく、という哀れな女の子エミリーンを主人
公にした恐怖作家である。この主人公エミリーンに寄せる作家スミスの同情と愛情と共鳴と
が、当時め文学少年キーツをいたく感動させたのではあるいかこ主人公エミリーンは孤児の身
の上であることもまた、文学少年キーツをひとしお感激させたのだと思われる。キーツが9歳
の時、父は落馬して死亡した。また、キーツは15歳の時,母は肺病で不帰の人となったことな
どを思い併せてみると、当時の文学少年キーツはその孤児のエミリーンにキーツ自身の孤独な
身の上を重ねていたのかも知れない。
また、ス言スは14行詩の女流詩人である。たとえスミスは「夫の破産後、生活のために
41
筆」をとったとしても、彼女の歌い上げる挽歌調のソネットに、文学少年キーツはどんなに
心酔したことか。キーツが手にしたスミスの詩集は、彼女が1784年に出版した, Elegiac
42
sonnetsなのである。これは、イギリスの18世紀のエレジー風のソネット集である。内容は、
恐らくは、哀れな孤児に寄せる女流詩人スミ・スの深い思いやりを切切と歌い上げたソネット集
であろうかと思う。その孤児-の思いやりが深ければ深いほど、言責使いもまた丁寧となる。
女流詩人スミスの、このような上品にして、優雅な、教養のある優しさが、ことのほか、文学
少年キーツの心をしみじみと動かしたようである。
43
Elegy という語は、 1514年にフランス語のelegieから借入したものである。このフランス語
はラテン語のelegiaから借入したものである。これは、もと、ギリシア語のelegeiaからの借
入語であるらしいOギリシア語で、 elegeiaoideというのは, elegiac odeという意味を有するの
だ。このギリシア語のelegeiaは, elegosから発達した語である。これは、もと、 "songof
44
lament"という原義を有するという。このギリシア語のelegos は,どうも,古代人フリギア
45
語(Phrygian )から発達した語であるらしいというo興味深い限りである。それにしても、
Elegyという語は、もと,ギリシア語から発達した語で、 "songoflament という原義を有す
るというのではないか。 「挽歌」というと、思い出すのは、旧約聖書の中の1書「エレミヤ哀
-28-
46
歌」 ("The Lamentation oりereraian")である。この旧約聖書の「エレミア哀歌」を背景にし
47
て思い起こされるエレジーの詩人といえば、矢張り、グレイ(ThomasGray、 1716-71)で
あるO 「時間帯は夕闇が濃く迫る頃o場所はさびしい田舎の教会墓地。そして歌うテーマは死
と無常」 48を切切と歌い上げた作品は、グレイの名詩「墓辺の哀歌」である。このように、イ
ギリスの18世紀は、 「ゴシック小説」と同様に、エレジーの全盛時代である。スミスは、重複
するが、 「ゴシック小説」の女流小説家として活躍すると同時に、彼女はエレジーの14行詩の
女流詩人として、その名を馳せたのである。
49
スミスの旧姓はターナー(Turner)である。重複するが、スミスが1749年に生まれた。キ
ーツは1795年の生誕であるから、スミスはキーツよりも46も年上の女流小説家であり、女流詩
人である。スミスが亡くなったのは1806年であるから、 57歳で他界したことになる。その時、
キーツはまだ、わずか11歳であった。文学少年キーツはスミスの「ゴシック小説」から影響を
うけて、奇奇怪怪なゴシックidomを、この14行詩の中にばらまいていることを、すでに上記
に指摘しておいた通りである。このゴシックidoraの外に、エレジー風14行詩詩人スミスから
大きな影響を受けたものがもう1つある。それはスタイル(style)なのである。それは14行
詩の構成または外観による塾、といいかえてもよいoつまり、 couplet形式である。これは韻
を合わせた詩の2行をいう。韻を踏み同数の音節から成る2行であって、別に、 「2行連句」
という。たとえこの「2行連句」はその昔、 「強弱弱調6歩律」 (dectylic hexametre)、あるい
は、 「強弱弱調5歩律」 (dactylic hexametre)を用いて歌い上げていた詩塾であったとしても、
それをスミスはエレジー風14行詩の、つまり、 「弱強調5歩律」に応用したのである。スミス
の、この斬新な応用を知った文学少年キーツもまたスミスのその様式を用いてうたい上げたの
が、 「バイロン卿に寄せて」と題するこの14行詩なのである。この「2行連句」が、キーツの
14行詩の構成上または外観上の様式となっているのである。下記の14行詩をご覧いただくとわ
かる通り、 2行と3行がそれであり、 4行と5行、 6行と7行、そして、 8行と9行とがそう
なのである。これがまた詩人キーツのソネット全体の手法の特長となっていることに、まず、
注目しようではないか。同時に、これがまた詩人キーツのソネット全体の斬新な音楽姓の特色
となっていることにも、注意されたい。
思うに文学少年キーツは、先輩詩人「バイロン卿に寄せて」と題するこの14行詩をうたい上
げるに当って、まず、ヨーロッパの伝統的古典的なイタリア風ソネットという詩型を下敷きに
して、しかも、イギリスの18位紀のエレジー風ソネット様式、つまり、キーツふうの「2行連
句」を取り入れながら、さらに、イギリスの18牡紀のゴシック趣味をもところどころにちり混
ぜながら、キーツはキーツらしい、キーツ好みの独自のソネットを作り上げているのである。
それは見事な出来栄えである。
To By /ron
By-ron! / how sweet /!y sad / thy mel /0-dy!
At-tun /ing still / the soul / to ten /der・ness,
-29-
As if / soft Pit /y, with / un-u /su-al stress,
Had touch'd / her plain /tive lute, / and thou, / be-ing by,
Hadst caught / the tones, / nor suf /fer'd them / to die.
O'-er /shad-ow /ing sor /row doth / not make / thee less
De-light /Jful: thou / thy griefs / dost dress
With a / bright ha /lo, shin /ing beam /i-ly,
As when / a cloud / the gold /en moon / doth veil,
Its sides / are ting'd / with a / re-splend /ent glow,
Through the / dark robe / oft am /ber rays / pre-vail,
And like / fair veins / in sa /ble mar /ble flow;
Still war /ble, dy /i喝swan! / still tell / the tale,
The en-chant /ing tale, the pleas /ing woe. (from Houghton Mifflin Company; p. 2.)
また、内容を具に調べてみると、この詩の特色は、文学少年キーツが先輩詩人バイロンを
…dyingヲwan として切なる思いで切切と歌い上げていることであるoおもしろいo後日、稿
をあらためて、このソネットをじっくりと味読し精読し高読してみたいと愚考している次第で
ある。
Notes
1. Romanticism: An artistic and intellectual movement originating in Europe in the late 18th
century and characterized by a heightened interest in nature, emphasis on the individual's
expression of emotion and imagination, departure from the attitudes and forms of conventions.
(from The American Heritage Dictionary - AHD, p. 1565)
2. Toshihiko Kawasaki (1986), A Historical Survey of English Literature (Tokyo: Kenkyusha), p.
110.
3. George Gordon Byron (1788-1824) was Sixth Baron Byron of Rochdale. He was a British poet
acclaimed as one of the leading figures of the romantic movement. The "Byronic hero"lonely, rebellious, and brooding-first appeared in Manfred (1817). Among his other works
are Childe Harold (1812-1818), The Prisoner of Chillm (1816), and the epic satire Dm Juan
(1819-1824). Byron was notorious for his love affairs and unconventional life-style. He died
while working to secure Greek independence from the Turks, (from AHD., p. 264.)
4・ Miriam Allott, (1986) ed., The Poems of John Keats (England: longman), p. 9.
5. Ibid.
6. Ibid.
7.
To Byron
The date of December, 1814, is given to this sonnet by Lord Houghton in Life, Letters, and
-30-
Literary
Remains,
BYRON!
how sweetly
Attuning
still
As if soft
Had touch'd
Hadst
where it was first
the
with
her
plaintive
the
thou
halo,
Still
8.
dying
closer
ll.
12.
still
the
tale,
of pleasing
woe. (from
Mifflin
a word introducing
after
the
salution
Poetical
Works of John
p. 2.)
of ideas
mark, (from
Ibid.,
p. 639.)
thought
letter,
to connect
independent
than
a period
mark (!) used
mark (.) indicating
a quotation,
of a business
(;) used
the clauses
A punctuation
statements
1912),
a separation
after
point:
A punctuation
Company,
(:) used
between
The Complete
or of elements
within
the
AHD., p. 379.)
A mark of punctuation
and other
flow;
Houghton
Exclamation
Period:
tell
(from
and often
relationship
glow,
mark (,) used to indicate
A punctuation
Semicolon:
veil,
marble
the tale
of a sentence,
less
dress
moon doth
and New York:
or a series
to die.
a resplendent
swan!
tale,
them
by,
beamily.
in sable
Comma: A punctuation
9. Colon:
10.
shining
fair
(Boston
structure
dost
the golden
The enchanting
Keats
griefs
veins
being
not make thee
with
warble,
and thou,
nor suffer'd
are ting'd
And like
stress,
lute,
thy
As when a cloud
sides
unusual
sorrow doth
a bright
Its
melody!
to tenderness,
tones,
O'ershadowing
With
soul
Pity,
caught
Delightful:
sad thy
published.
after
a full stop,
to be complete,
does,
an explanation,
(from
Ibid.,
an exclamation.
placed
and after
p. 374.)
clauses
(from
an example,
and"Tndicating
Ibid.,
a
p. 1640.)
Also called
exclamation
at the end of declarative
many abbreviations,
sentences
(from
Ibid.,
p.
1346.)
13.
Dash:
14.
Tetsuo
A punctuation
Shibata
(Tokyo:
and Haruhiko
Nan'un-do),
15.
Ibid.
16.
Petrarchan
sestet
mark (-)
used
Fujii,
in writing
(1985)
printing,
An Introduction
(from
Ibid.,
p. 475.)
to the English
Language
Again
pp. 127-128.
sonnet is a sonnet containing
of various
and
rhyme pattern
an octave with the rhyme pattern
such as cde/cde
or cdc/dcd.
Also called
abba/abba
Italian
and a
sonnet, (from
AHD., P. 1354.)
17.
Francesco
famous
18.
Dante
Petrarca
(or Petrarch)
for Canzoniere,
Alighieri
(1264-1321)
(1304-1374)
a collection
was
was an Italian
of love
an Italian
-31-
poet, scholar,
lyrics.
(Ibid.,
p. 1358.)
poet
whose
masterpiece,
and humanist
The Divine
who is
Comedy
(completed
Virgil,
19.
details
and through
Octava:
Also
20.
1321),
Heaven, guided
A group of eight
called
Sestet:
octet,
lines
(from
p. 1650.)
21.
John
Fuller,
22.
Iamb,
also
syllable
(1972)
The
or a short
syllable
A line
24.
Michio
25.
Ibid.,
p. 21.
26.
Ibid.,
p. 24.
27.
Amy Lowell
poetry,
29.
Ibid.
30.
Gothic:
originally
novel
The Castle
and Purgatory,
love Beatrice,
eight
lines
escorted
(from
Ibid.,
by
p. 473.)
of a Petrarchan
John
of an unstressed
by a long
consisting
Keats
of five
English
sonnet.
syllable
followed
by a stressed
syllable,
as in delay,
(from
AHD., p. 892.)
metrical
feet,
(from
Poems (Tokyo:
editor
and diplomat.
Houghton
not classical,"
Story,
and gloom in a medieval
setting,
Shuppan),
p. 24.
volumes of
AHD., p. 1065.)
Mifflin
was applied
published
p. 1340.)
She wrote several
(Boston
and New York:
Ibid.,
Chukyo
(from
a Gothic
sonnet, (from
p. 3.
and Poppy Seed (1914).
in the sense "medieval,
of Otranto,
the last six lines of a Petrarchan
Cox & Wyman Ltd),
was an American
(1929)
scenes of terror
(from
(Nor folk:
Sword Blades
Amy Lowell,
Hell
the first
especially
My Favourite
(1874-1925)
28.
especially
followed
(1981)
including
idealized
foot consisting
of verse
Yoshitake,
by his lifelong
of Poetry,
Sonnet
A metrical
Pentametre:
through
of poetry,
Iambus:
23.
progress
AHD., p. 1252.)
A group of six lines
Ibid.,
31.
his visionary
in 1765.
Company),
by Horace Walpole
From this
have descended
p. 59.
the Gothic
novel,
to his
filled
romances
with
of today,
AHD., p. 1490.)
Horace
or Horatio
Walpole
writer
and historian
(1717-97)
was the Fourth
whose correspondence
his era. He wrote The Castle ofOtranto
Earl
of Oxford.
and memoirs provide
(1764),
the first
Gothic
He was also a British
valuable
novel
information
in England,
about
(from AHD., p.
2010.)
32.
Toshihiko
33.
Ibid.
34.
Ibid.
35.
Miriam
36.
Emile
Legouis
Sons
LTD),
Clara
Reeve (1729-1807):
37.
Kawasaki,
Allott,
(1970)
Clara
A Historical
Survey of English
ed. The Poems of John Keats
and Louis Cazamian,
(1960)
A History
Literature
(England:
of English
(Tokyo:
Kenkyusha),
Longman),
Literature
p. 84.
p. 9.
(London:
J.M.Dent
and
p. 939.
sentimentality
the model
(1986)
The novel of terror
more purely
of Richardson,
middle-class;...
the emotional
Reeve is more cautious
a more distinctly
psychological
as we have it from her pen is coloured
Its general
element
tone is more sincere
has in it something
in her use of the supernatural;...,
character,
(from
-32-
Ibid.,
while
pp. 938-939.)
because,
of a moralizing
the emotion
with
following
nature;...
itself
assumes
a
38. Ann Ward Radcliffe
of Udopho
39.
(1794).
Samuel
Richardson
(1740),
often
Ibid.,
pp.
43.
Yoshio
44.
Ibid.
45.
Phrygia:
c. 1200
was an English
the first
and Gwyneth
Saito,
Kenkyusha),
Miriam
writer
of Gothic
novels,
including
whose epistolary
novels
The Mysteries
AHD., p. 1490.)
(1689-1761)
(Tokyo:
Takeshi
was a British
writer
modern English
novel,
and Clarissa
include
Pamela
Harlowe (1747-1748).
(from
1550-1551.)
Literature
42.
(from
considered
40. G.C. Thornley
41.
(1764-1823)
Roberts,
Eichosha
ed. The
(1990)
Shinsha),
annotated
by Mitsuo
Yoshida.
Aw Outline
of English
p. 75.
Kenkyosha's
Dictionary
of English
and American Literature
(Tokyo:
p. 1244.
Allott:
p. 9.
Koine, (1982)
An ancient
Kenkyusha's
region
of central
B.C. and flourished
influence
of Lydia,
46.
Jeremiah:
A Hebrew
47.
Thomas Gray (1716-1771)
NewEnglish-Japanese
Greece,
prophet
Toshihiko
49.
Takeshi
Saito:
50.
Couplet:
A unit of verse
to the sixth
seventh
was a British
48.
in modern-day
and
sixth
poet considered
Written
(Tokyo:
central
century,
Rome, and Byzantium,
of the
His most famous work is Elegy
same meter
Minor
from the eighth
Persia,
Kawasaki:
Asia
Dictionary
Turkey.
after
(from
centuries
which
p. 672.
It was settled
it came under
the
AHD., p. 1365.)
B.C. (from
a forerunner
in a Country Churchyard
Kenkyusha),
of English
(1751).
(from
Ibid.,
p. 966.)
romanticism.
Ibid.,
p. 792.)
p. 83.
p. 1244.
and often
consisting
forming
of two successive
a complete
thought
-33-
lines,
usually
or syntactic
rhyming
unit,
(from
and having
the
AHD., p. 430.)