車載用リチウムイオン電池の開発動向

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ユビキタスエネルギー研究部門
車載用リチウムイオン電池の開発動向
近畿大学工学部研究公開フォーラム2010
2010 年 10 月 27 日(金)
独立行政法人 産業技術総合研究所
ユビキタスエネルギー研究部門
辰巳 国昭
E-mail: [email protected]
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ユビキタスエネルギー研究部門
車載用リチウムイオン電池の開発動向
1.電気自動車と二次電池
2.電動車両化とリチウムイオン電池
2.1日米における車載用リチウムイオン電池開発概要
2.2 HEV用 のリチウムイオン電池
2.3 プラグイン HEV を目指すリチウムイオン電池
3.本格的(ガソリン車代替可能) EV を目指す革新電池
(Li/S 電池、金属-空気電池)
4.リチウムイオン電池の劣化について
5.まとめ
1
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外円が各部門の実質排出量
(電力消費量からエネルギー転換部門の
CO2排出量を按分)
民生部門・運輸部門の排出量は
全排出量のほぼ半分を占める!
2
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持続発展社会のための自動車の課題
【内的要因】
 資源制約の高い石油への依存度100% → 脱石油
 新・国家エネルギー戦略(2006 年)では、運輸部門の石油依存度を現状の100%
から、2030 年には 80% とすることを目標。
 我が国における全 CO2 排出量の約1/5 → 低CO2負荷一次エネルギー
 京都議定書目標達成には、運輸部門で CO2 排出量を 2002 年度より 4.2% 低減
する必要あり。
 低いエネルギー効率→ 高効率化
 ガソリン車の車両効率は約 16%;HEVで 37%;FCHVで 50%
 環境汚染
【外的要因】→ 時間的制約も高まっている
 新興市場(BIRCsとASEAN4)の勃興による制約要因の急激な増大
 世界の年間販売台数は 4000 万台(1985 年)から、新興市場での新規増により
6000 万台(2005 年) に増え、新興市場は世界販売台数の約 1/3 を占めるが、新
興市場の人口比からすれば販売台数はさらに増える。
 石油資源の逼迫と価格高騰
3
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電池と電気自動車の科学技術史
1939: オートマティックシフト
1896: 流体力学的動力伝達機構
1896: 差動ギアの自動車搭載
1906: ディスクブレーキ
1828: 傘歯車による差動ギアの発明
1818: 実用ハンドル
1895: 蒸気機関,内燃機関
電気自動車のレース
1860: 内燃機関の発明(ルノアール; 1馬力)
1876: オットーエンジン(3馬力)
1880: ベンツエンジン(0.75馬力)
1885: 内燃機関自動車の実用化
1770: 蒸気自動車の実用化
1897:電気自動車の実用化
1830: 電気自動車の研究
1873: 一次電池電気自動車の試作
1881: 二次電池電気自動車の試作
1840: 発電機の発明
1785: クーロンの法則
1780: 動物電気(ガルバーニ)
1821: 電気による機械運動
1800: ボルタ電池
1911: 始動・照明・点火用
蓄電池の実用化
1879: 蓄電池潜水艦
1831: 電磁誘導の発見
1884: 蓄電池点火器の発明
1836: ダニエル電池
1866: ルクランシュ電池
1888: マンガン乾電池
1859: 鉛蓄電池
1899: Ni-Cd電池
1901: Ni-Feエジソン電池
1838: 燃料電池
1839: 湿式太陽電池
1800
1820
1840
1876: 乾式太陽電池(Se 光電池)
1860
1880
1900
4
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電気自動車-期待の高まりと衰退の歴史
時 代
EV を求めた理由
時代背景/EV衰退原因
19世紀末
・動力性能
・利便性・静粛性
内燃機関自動車の登場/内燃機関
の技術向上とともに衰退
1940年代
・ガソリン不足
終戦直後の物資不足/物資不足解
消とともに衰退
1960年代
・大気汚染(CO, HC)
・電力の負荷平準化
モータリゼーション・原子力発電の
普及/公害対策技術の向上
1970年代
・石油代替
・環境汚染(NOx)
オイルショック・光化学スモッグ/そ
れらの解消とともに衰退
1990年代
以降
・地球温暖化
・環境汚染(NOx、PM)
・石油代替
地球温暖化、都市環境問題の高ま
り、アジア諸国の経済的台頭に伴う
エネルギー消費増大
(出典:「電気自動車ハンドブック」丸善(株)(2001))
5
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市販 BEV の例(2001)
乗用車
普通
軽自動車
小型
乗用車
ホンダ
トヨタ
日産
EV PLUS
RAV4L V EV ハイパーミニ
原付四輪
商用車
ダイハツ
スズキ
スバル
タケオカ
ハイゼット EV エブリイ EV サンバー EV
タケオカ
ミツオカ
アラコ
アラコ
EV-1 ルーキー ミリュー
MC-1EV
エブリデーコムス エブリデーコムス
ロング
全長(m)
全幅(m)
全高(m)
4.045
1.750
1.630
3.980
1.695
1.675
2.665
1.475
1.550
3.395
1.475
1.870
3.395
1.475
1.870
3.395
1.475
1.905
1.760
0.720
1.460
2.150
1.140
1.350
1.955
1.130
1.475
1.935
0.955
1.600
2.365
0.955
1.600
車両質量(kg)
1,620
1,540
840
1,370
1,270
1,300
125
240
320
270
320 (Basic)
乗車定員(人)
4
5
2
2(4)
2(4)
2(4)
1
1
1
1
1
最大積載量(kg)
-
_
-
200(100)
200(100)
200(100)
-
30
30
30
30
最高速度(km/h)
130
125
100
100
95
90
35
60
60
50
50
220
215
115
110
110
110
30
55
60
60
49
50
24
35
45
40
0.6
3.5
3.5
0.29×2
0.29×2
27.4
27.4
10.8
14.4
14.4
14.4
1.4
3.2
3.6
3.0
4.8
95
90 (3)
一充電走行距離
a)
(km)
b)
c)
90
電動機最大出力
(kW)
搭載電池エネルギ
ー容量(kWh)
d)
d)
d)
d)
d)
d)
d)
d)
電池容量 (Ah)
95 (5)
電池個数
総電圧(V)
24
288
24
288
4
120
20
240
20
240
20
240
2
24
4
48
ニッケル
ニッケル
リチウム
シール型
シール型
シール型
シール型
シール型
水素電池
水素電池
イオン電池
鉛電池
鉛電池
鉛電池
鉛電池
鉛電池
電池種類
60 (3)
60 (3)
60 (3)
60 (3)
66 (3)
50 (5)
d)
6
72
鉛電池
42 (3)
d)
66 (3)
d)
6
72
6
72
シール型
シール型
鉛電池
鉛電池
出典:日本自動車研究所 資料
6
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電動車の登録台数の推移
登録台数(万台)
50
40
HEV
EV
30
20
10
0
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
年
出典:日本自動車研究所 資料
7
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内燃機関自動車と各種電気系クリーンエネルギー自動車の特徴比較
内燃機関自動車
電気自動車
ハイブリッド自動車
長所 ・ 車両価格が安い
・ 寿命が長い
・ 航続距離が長い
・ 燃料充填が容易
で短時間
・ 高出力
・ 排気ガスが0
(ZEV)
・ 効率が高い
・ 騒音・振動が少
ない
・ エネルギー源多様化
に貢献
・ 夜間電力の有効
利用
・ 燃費が安い(ガソ
リン車の数分の 1)
・ 車両価格は電気
自動車ほど高く
ない
・ 効率が高い
・ 航続距離が長い
・ 充電の必要がな
い
・ 現存インフラのみで
対応可
短所 ・ NOx 等の排出ガ
スが大気を汚染
する
・ 騒音・振動があ
る
・ 効率が劣る
・ 車両価格が高い
・ 電池寿命が短い
上,交換電池の
価格が高い
・ 航続距離が短い
・ 充電時間が長い
・ 充電インフラの整備
が必要
・ 積載重量が小さ
い
・ ZEV ではな
い。
・ 騒音・振動が若
干ある
・ 電池寿命が短
く,2~5 年で
交換する必要が
ある
燃料電池自動車
水素搭載型
・ 排気ガスが0
(ZEV)
・ 効率が高い
・ 騒音・振動が
少ない
・ 充電の必要が
ない
・ エネルギー源多様
化に貢献
車上改質型
・ NOx の低減が
可能
・ 効率が高い
・ 騒音・振動が
少ない
・ 航続距離が長
い
・ 充電の必要が
ない
・ 現存インフラのみ
でほぼ対応可
若しくは再構
築の投資を小
さくできる
・ 車両価格が高 ・ 車両価格が高
い
い
・ 航続距離が短 ・ 純粋な ZEV で
はない。
い
・ 水素充填インフラ
の整備が必要
8
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自動車エネルギー技術の多様化と電池技術
 FCV 開発を本命とするのが、従来の単線型シナリオ。
 しかし、EV 化、ディーゼル化、燃料多様化など、技術ポートフォリオとして多様化が顕在化。
 究極の自動車が FCHV と EV であることを考えると、エネルギー効率を高めたり、CO2 を削減す
るためには電動車両化が欠かせない。
 電動車両化の鍵を握るのは電池の性能とコスト。
ガソリン自動車
目標普及台数
EV化
ディーゼル化
燃料多様化
2010年
約5万台
HV
2020年
約500万台
2030年
約1500万台
燃料電池自動車
FCHV
プラグインHV
EV
コミューターEV
クリーンディーゼル
ディーゼルHV
ガソリン自動車
: ガソリン
ディーゼル自動車 : 軽油
EV化
バイオエタノール
BDF、GTLなど
:石油代替燃料化
(出展:経済産業省 新世代自動車の基礎となる次世代電池技術に関する研究会(座長 石谷慶應義塾大学大学院教授)報告
「次世代自動車用電池の将来に向けた提言(2006年8月)」)
9
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プラグイン-ハイブリッド車
プラグイン-ハイブリッド車とは、
充電可能なハイブリッド車で、
石油と電気とのバイフューエル車。
前ページにも示した 経済産業省 新世代自動車の基礎と
なる次世代電池技術に関する研究会(座長 石谷慶應義塾
大学大学院教授)報告「次世代自動車用電池の将来に向
けた提言(2006年8月)」では、
現在の Li-Ion 電池の 1.5 倍程度の高エネルギー密度化が
達成されれば、4 kWh ※程度の電池を搭載したプラグイ
ンハイブリッド車を実現できるとの試算を発表した。
日々の用途は、CO2負荷が低く、燃費が約 1/10 の夜間電
力を主に用い、長距離ドライブの時はガソリンを使うこ
とで、利便性を犠牲にすることなく、コスト・環境負荷
の低減を実現可能。
※ 乗用車クラスでは EV は 1kWh で 約 5~10km走行するとの換
算及び、電池の充放電 SOC 範囲を全容量の 3/4 程度(すなわ
ち 3 kWh 程度)と仮定すると、15~30km のEV 走行が可能と
試算される。
10
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車載用電池開発の方向性・マイルストーン
<パックレベルでの電池の性能目標>
現
状
改良型電池
(2010 年)
先進型電池
(2015 年)
(2020 年?)
革新的電池
(2030 年)
高性能
Plug-in HV 自動車
本格的 EV
一般コミューター EV
小型 EV
用途限定コミューター EV
燃料電池自動車
高性能 HV
Plug-in HV 自動車
PHEV-10mile
性能*
EV 用
HV 用
エネルギー密度[Wh/kg]
出力密度[W/kg]
エネルギー密度[Wh/kg]
出力密度[W/kg]
コスト
開発体制
PHEV-40mile
1倍
1倍
1.5 倍
3倍
7倍
100
400
70
1,900
1
20 万円/kWh
100
1,000
70
2,000
1/2 倍
10 万円/kWh
150
1,200
100
2,000
1/7 倍
3 万円/kWh
200
2,500
1/10 倍
2 万円/kWh
1/40 倍
0.5 万円/kWh
民主導
民主導
産学官連携
産学官連携
大学・研究機関
700
1,000
*重量エネルギー密度で比較
NEDO 「次世代自動車用高性能蓄電シ
ステム技術開発(Li-EAD)」(’07-11)
NEDO 「革新電池Pj」(’0915) 京大-産総研-産業界
(出展:経済産業省 新世代自動車の基礎となる次世代電池技術に関する研究会(座長 石谷慶應
義塾大学大学院教授)報告「次世代自動車用電池の将来に向けた提言(2006年8月)」)
11
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これからの車載用リチウムイオン電池技術の展開 (技術ロードマップ)
走行可能距離に比例
重量エネルギー密度(車載用)(Wh/kg)
700
目標
走行可能距離
500km!
600
リチウムイオン電池
の限界ライン?
500
400
300
200
100
リチウムイオン電池
携帯電話での利用
目標
改良型リチウム電池
走行可能距離1.5倍
2006年基準
限界越えには、
新規な蓄電池
システムの開
発が必要
技術先導
目標
先進型リチウム電池
走行可能距離3倍
・新電池反応設計
・新材料開発
0
1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035年
ハイブリッド車用
ニッケル水素電池
12
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ユビキタスエネルギー研究部門
電気自動車の利便性を制限する電気エネルギーの特徴に根ざす課題
 普通車クラスで 500 km 航続に必要なエネルギーは?

ガソリン車としてはガソリン約 50 L (480 kWh)
– 5 分充填とすると、5,760 kW の電力に相当(液体燃料は高エネルギー密度)
 車 1 台に対して、家庭契約約 1 千世帯分に相当する電力供給と同等
 500 V だと 12,000 A の電流に同等
石油エネルギーは電気エネルギーよりも桁違いに高密度

電気自動車としては約 70 kWh ですむ。
– しかし、それでも 5 分充填には 840 kW
 車 1 台に対して約 100~150 世帯分の家庭契約電力に相当
 500 V でも 1,680 A の電流
– 70 kWh を 50L の体積で実現するには、1,400 Wh/L のエネルギー密度
– 鉛電池並のコストとしても 70 kWh では約 100 万円となる。
13
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ユビキタスエネルギー研究部門
車載用リチウムイオン電池の開発動向
1.電気自動車と二次電池
2.電動車両化とリチウムイオン電池
2.1日米における車載用リチウムイオン電池開発概要
2.2 HEV用 のリチウムイオン電池
2.3 プラグイン HEV を目指すリチウムイオン電池
3.本格的(ガソリン車代替可能) EV を目指す革新電池
(Li/S 電池、金属-空気電池)
4.リチウムイオン電池の劣化について
5.まとめ
14
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蓄電池(二次電池)とは
ユビキタスエネルギー研究部門
・化学反応を利用して電力を蓄え、再び電力を取り出して利用する装置
・基本的には、負極(-極)と正極(+極)、電解質、セパレータから構成されている
・蓄電池は二次電池とも言われ、大きさ、用途などにより、その形態が異なる
代表的なものとして、鉛電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、など
現在のリチウムイオン電池の原理
種類
負極材料
正極材料
鉛電池
鉛
二酸化鉛
ナトリウム硫黄
電池
ナトリウム
硫黄
ニッケル水素
電池
水素吸蔵
合金
水酸化
ニッケル
リチウムイオン
電池
炭素
コバルト酸
リチウムほか
重量エネルギー密度(Wh/kg)
有機溶媒
電解質
コバルト酸
リチウム
自動車起動用バッテリー
大型の電力貯蔵用
ハイブリッド車用
民生用(携帯電話など)で利用拡大、
電気自動車用として期待
350
より
軽く
炭素
特徴
リチウム
300
(一次)
空気亜鉛
250
200
オキシ
ライド
150
100
アルカリ
マンガン
50
0
鉛
0
ニカド
100 200 300 400 500 600 700 800 900
体積エネルギー密度 (Wh/)
より小さく
15
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ユビキタスエネルギー研究部門
国内電池生産額の推移
4.0
3.5
販売額 (千億円)
3.0
リチウムイオン電池
10.0 億個
2,708 億円
2.5
‘10/1は前年同月比39%増
2.0
鉛
1.5
ニッケル水素電池
2.9 億個
1,120 億円
1.0
0.5
マンガン
ニカド
‘10/1は前年同月比73%増
アルカリ
0.0
リチウム一次
1985
1990
1995
2000
2005
(出典:電池工業会:海外移転分を含まず)
16
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ユビキタスエネルギー研究部門
経済産業省生産動態統計(機械統計)に見る年間国内電池生産量(平成20年度)
電極重量当たり
年
間
若しくは電池容量当たりの
概算エネルギー容量(①)
鉛蓄電池
50 Wh/kg-Pb
ニッケル水素電池
リチウムイオン電池
容量(②)1)
生
産
量
概算エネルギー容量
(①×②)
262,620 t-Pb
13.1 百万 kWh
1.2 Wh/Ah-電池
1,173,187 kAh
1.4 百万 kWh
3.7 Wh/Ah-電池
1,955,366 kAh
7.2 百万 kWh
1) 経済産業省生産動態統計(機械統計)平成 20 年度年計より
17
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ユビキタスエネルギー研究部門
通産省工技院-NEDOプロジェクト
「分散型電池電力貯蔵技術(H4~13年度;92~01」
第2、3次基本計画(平成9~13年度)の研究開発体制
(研究開発)
NEDO
通産省 工業技術院
(基礎・評価研究)
大学、国立研究所、電池ユーザーの客観的意見の反映
NEDO内委員会・部会
リチウム電池電力貯蔵技術研究組合(LIBES)
高能率未来型電池の研究
【大型電池・モジュール電池開発】
(定置型) ニッケル・コバルト系 三洋電機
マンガン系
日立製作所・新神戸電機
(移動体用) ニッケル・コバルト系 日本電池・三菱電機
マンガン系
松下電池工業
(開発支援) 炭素材料
大阪ガス
電池安全性技術
東芝
【次世代電池技術開発】
高分子固体電解質
ユアサコーポレーション
リチウム金属負極
デンソー
難燃性・不燃性電解液 三菱化学
トータルシステムの研究
導入方策・効果検討、性能評価
電力中央研究所
電池の安全性評価
日本電信電話
国立研究所
・大型電池・モジュール
開発を4電池系に整備
・電池開発の共通技術で
ある安全技術を支援
する体制を整備
・トータルシステム研究に
安全性評価を追加。
性能、安全性を中立的
に評価する体制を整備
次世代電池基盤研究
(大学への再委託)
ブレークスルーに必要な
基礎基盤と研究開発力
を有する研究者からの
支援体制を整備
18
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ユビキタスエネルギー研究部門
通産省工技院-NEDOプロジェクト(FY1992-2001)
「分散型電池電力貯蔵技術」
定置形
移動体用
目標
成果
目標
成果
2
2.3-2.5
3
3.8-4.1
120
122-128
150
150-155
(Wh/L)
240
245-255
300
252-323
出力密度
(W/kg)
–
400
438-489
サイクル効率
(%)
90
96-98
85
96-97
3,500
>3,000
1,000
>1,000
モジュールエネルギー (kWh)
エネルギー密度 (Wh/kg)
サイクル寿命 (cycles)
(出典) 新エネルギー・産業技術総合開発機構、産業技術総合研究所「分散型電池電
力貯蔵技術開発」事後評価報告書(2003 年 2 月)
19
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ユビキタスエネルギー研究部門
各種二次電池の充放電エネルギー効率
Li-Ion
Ni-MH
Pb
Capacitor
Redox-flow
Na/S
75
80
85
90
95
100
Cycle energy efficiency (%)
20
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ユビキタスエネルギー研究部門
NEDOプロジェクト「燃料電池自動車等用リチウム電池技術開発 (FY2002-6)」
目標
ニッケル系
複合系
マンガン系
エネルギー密度 (Wh/kg)
70
70.7
72
75
出力密度 (kW/kg)
1.8
1.9-2.1
2.2-2.5
2.3
充放電エネルギー効率 (%)
96
93.4
91.4
-
寿命 (年)
15
16
>15
>15
コスト (千円/kWh)
50
44.0
39.8
38.0
上述の性能値・コストは、実用上の観点から3kWh 電池パックとしての換算値であり、一般に、単セル
やモジュールとしての値よりも悪い値であり、その他の報告値や発表値と比較する際には注意が必要
(出典) NEDO平成18年度成果報告シンポジウム要旨集(2007/7/10~13、秋葉原)
http://www.nedo.go.jp/informations/events/190710/shiryou/oral-total3.pdf
21
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ユビキタスエネルギー研究部門
国の蓄電池関連予算
予算項目
革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING)(H21~7)
H 22 年度予算
30 億円
電池の反応メカニズムを解明することで、革新型蓄電池を実現するための基礎技術の確立を目指す。
系統連系円滑化蓄電システム技術開発(H18~22)
8 億円
大規模な風力発電、太陽光発電等を設置する際の電力系統対策として必要となる蓄電技術の開発を行う。
蓄電複合システム化技術開発(H22~26)
43.4 億円
太陽光発電等の小型分散型エネルギー源の急速な導入拡大を踏まえ、エネルギーの効率的かつ効果的な
利用に不可欠となる蓄電システムを開発。具体的には、産学官の知見を結集し、太陽光パネル・電気自動車
等を組み合わせた場合に最適な需要側に設置される蓄電池の開発のほか、制御・評価等に係る技術開発を
行い、蓄電池と組み合わせた最適なエネルギー利用システムの構築に繋げる。
次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発(Li-EAD)(H19~23)
24.8 億円
高性能かつ低コストの蓄電池及びその周辺機器を開発し、電気自動車等の実用化及び早期普及を実現する。
次世代蓄電池材料評価基盤技術開発(H22~26)
1.3 億円
新しい蓄電池材料の性能や特性について、共通的に評価できる基盤技術を開発する。これにより、各材料
メーカーと電池メーカーとの擦り合わせ期間の短縮や、評価シミュレーション・システム技術の蓄積による次
世代蓄電池の早期開発に寄与する。
22
UBIQEN
ユビキタスエネルギー研究部門
米国 DOE Vehicle Technologies Program における
Energy Storage R&D (FY2009)
 目的

ハイブリッド車及び電気自動車の大幅な市場浸透を可能にする電池
及び電気化学蓄エネルギーデバイスの開発の促進
 開発ターゲット
パワーアシスト・ハイブリッド車(HEVs, FCVs)
 プラグイン・ハイブリッド車(PHEVs, FCVs)
 電池電気自動車(EVs)

 ゴール

2010 FreedomCAR (従来型 HEVs)
– $500 の 25 kWパワーアシストHEV用電池の実現

2014 DOE PHEV 用電池
– 40 mile の all-electric range (AER) を可能にする PHEV用電池を
$3,400で実現
 FY2009 予算:$69M (FY2008 は $48M)
23
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ユビキタスエネルギー研究部門
Energy Storage R&D の概要 (FY2009)
 電池開発(産業界)


FY2008までは、HEV用とPHEV用が混在し
ていたが、FY2009からはHEV用の実電池の
開発に主軸を移した。
産業界であっても PHEV用電池の R&D は
応用研究にシフトさせた整理となった模様。
 応用研究(産業界・国研)


FY2008 の国研を中心とする車載電池開発
への支援研究としての整理から、PHEV-40
用電池の開発及び濫用耐性向上というター
ゲット型の研究開発へ
プレーヤーも産業界(電池メーカー、材料メー
カー)と国研が共同して参画する。
 長期的研究(国研・大学)


出力とエネルギーを向上させるリチウム電
池系の新規物質開発に向けた研究で、
FY2008からの変化はほとんどない。
プレーヤーも国研及び大学。
http://www1.eere.energy.gov/vehiclesandfuels/resources/proceedings/2009_merit_review.html
24
【開発政策】
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ユビキタスエネルギー研究部門
 Challenges in Developing Batteries for PHEV Applications : Tien Duong (US
Department of Energy)
 HEV のように、エンジン駆動を中心として
充電状態を保持する使い方(CSモード)、
若しくは BEVのように、電池に貯めた容量
を順次消費する使い方(CDモード)が今ま
で考えられていた。
 ここで、プラグインHEV では、SOC が
30%程度に下がるまでを、電池に貯めた容
量を順次消費するとしても、その間に基本
的に電池とモーターのみで運転する CDExtended (All Electric Range?)か、一定
以上の出力はエンジンを併用する CDblended モードかは今後の設計による。
 PHEV 10 mile と 40 mile はリチウムイオン
テクノロジーで可能性があるが、EVはリチ
ウムイオンテクノロジーの範囲を超える。
 正極として LiNi0.8Co0.15Al0.05O2 は PHEV-40
を実現しうるが、安全性と寿命の課題が残
る。 LiMn2O4 は、PHEV-40にはエネルギー
密度と短寿命が問題。オリビン系はエネル
ギー密度が障害であり、チタン酸スピネル
(Li4Ti5O12)はまず不可能である。
http://www1.eere.energy.gov/vehiclesandfuels/resources/proceedings/2009_merit_review.html
25
UBIQEN
ユビキタスエネルギー研究部門
米国Freedom-CARにおけるパワーアシストモードHEV用電池ユニットの主な開発目標
項
目
出力(kW; 10 秒放電)
Minimum
Maximum
25
40
出力密度(W/dm3)*
(W/kg)*
780
630
890
670
回生受け入れ(kW; 10 秒充電)
20
35
入力密度(W/dm3)*
(W/kg)*
630
500
780
580
エネルギー容量(kWh)
エネルギー密度(Wh/dm3)*
(Wh/kg)*
0.3
0.5
9.3
7.5
11
8.3
最大体積(dm3)
32
45
最大重量(kg)
40
60
耐用年数(年)
15
15
エネルギー効率(%)
>90
>90
電池ユニット価格($)**
500
800
駆動温度(℃)
-30~52
-30~52
耐用温度(℃)
-46~66
-46~66
*) 最大体積,最大重量で単純に割り込んだ参考値。
**)月産
10 万ユニット製造時
26
UBIQEN
ユビキタスエネルギー研究部門
米国Freedom-CARにおけるプラグインHEV用電池の主な開発目標
項
目(寿命時)
EV 走行距離(miles)
高 出力/エネ
ルギー比電池
高エネルギー/
出力比電池
10
40
出力(kW; 10 秒放電)
45
38
3
1130
480
750
320
回生受け入れ(kW; 10 秒充電)
30
25
入力密度(W/dm3)*
750
310
500
210
出力密度(W/dm )*
(W/kg)*
(W/kg)*
エネルギー容量(kWh)
エネルギー密度(Wh/dm3)*
3.4
11.6
85
145
57
97
最大体積(dm3)
40
80
最大重量(kg)
60
120
耐用年数(年)
15
15
>90
>90
1,700
3,400
駆動温度(℃)
-30~52
-30~52
耐用温度(℃)
-46~66
-46~66
(Wh/kg)*
エネルギー効率(%)
電池ユニット価格($)**
*) 最大体積,最大重量で単純に割り込んだ参考値。
**)月産
10 万ユニット製造時
27
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ユビキタスエネルギー研究部門
車載用リチウムイオン電池の開発動向
1.電気自動車と二次電池
2.電動車両化とリチウムイオン電池
2.1日米における車載用リチウムイオン電池開発概要
2.2 HEV用 のリチウムイオン電池
2.3 プラグイン HEV を目指すリチウムイオン電池
3.本格的(ガソリン車代替可能) EV を目指す革新電池
(Li/S 電池、金属-空気電池)
4.リチウムイオン電池の劣化について
5.まとめ
28
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ユビキタスエネルギー研究部門
NEDOプロジェクト「燃料電池自動車等用リチウム電池技術開発 (FY2002-6)」
目標
ニッケル系
複合系
マンガン系
エネルギー密度 (Wh/kg)
70
70.7
72
75
出力密度 (kW/kg)
1.8
1.9-2.1
2.2-2.5
2.3
充放電エネルギー効率 (%)
96
93.4
91.4
-
寿命 (年)
15
16
>15
>15
コスト (千円/kWh)
50
44.0
39.8
38.0
上述の性能値・コストは、実用上の観点から3kWh 電池パックとしての換算値であり、一般に、単セル
やモジュールとしての値よりも悪い値であり、その他の報告値や発表値と比較する際には注意が必要
(出典) NEDO平成18年度成果報告シンポジウム要旨集(2007/7/10~13、秋葉原)
http://www.nedo.go.jp/informations/events/190710/shiryou/oral-total3.pdf
29
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ユビキタスエネルギー研究部門
Latest Batteries for Automotive Application
EV
HEV
Lithium Energy
Japan
Automotive
Energy Supply
Panasonic EV
Energy
cell
Li-Ion
Li-Ion
Ni-MH
type
LEV50-4 module
EV module
rectangular module
dimension
(mm)
175(L) X 194(W) X
116(H)
315(L) X 225(W) X
36(H)
285(L) X 19.6(W) X
106(H)
voltage (V)
14.8
14.4
7.2
capacity (Ah)
50
21
6.5
weight (kg)
7.5
3.5
1.04
Specific energy
(Wh/kg)
100
86
46
Specific power
(kW/kg)
Typical
application
1.3
Mitsubishi i-MiEV
(16 kWh/160km)
Subaru STELLA
(9 kWh/90km)
Toyota Prius
(1.3 kWh)
Source: NEDO report
30
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ユビキタスエネルギー研究部門
リチウムイオン電池用 正極材料の特徴比較
-放電曲線-
4.5
LiMn2O4
電極電位 (V vs. Li/Li+)
4.0
LiCoO2
LiNiO2
3.5
LiFePO4
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0
50
100
150
容量 (mAh/g)
200
31
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ユビキタスエネルギー研究部門
リチウムイオン電池用 正極材料の特徴比較
-放電曲線-
4.5
LiMn2O4
電極電位 (V vs. Li/Li+)
4.0
LiCoO2
LiNiO2
3.5
LiFePO4
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0
50
100
150
容量 (mAh/g)
200
32
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ユビキタスエネルギー研究部門
競争の激しいリチウムイオン電池用正極材料の開発
民生小型分野での概況
実用概況
正極材料
研究開発
実用エネルギー密度*
(Wh/kg)
(Wh/dm3)
車載用に向けた開発概況
概
況
特
長 / 課
題
LiCoO2
585
2960
開発対象外
(コスト・資源的制約)
活発だっ
た
LiNiO2
780
3750
基本的な課題が
多い
コストメリット・高容量 / 水分による特性
変化・高SOCでの安全性に課題
実用
活発
LiNi0.8Co0.15Al0.05O2
680
3300
実用(一部)・
活発な研究開発
改良型蓄電池実用モデルに一番近い候
補 / 電解液との反応性の更なる低減
実用
活発
LiMn2O4
400
1710
実用(一部)
コストメリット・安全性 / エネルギー密度
が下がる・高温(高SOC)での容量劣化
実用
活発
LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2
700
3350
実用(一部)・
活発な研究開発
高容量 / 高電圧型正極のため電解液
との反応性抑制
実用
活発
LiFePO4
544
2010
特に米・中では車
載用に検討
コストメリット・長寿命・安全性 / エネル
ギー密度小
Li2MO3系
790
3240
可能性のある候
補が見出された
コストメリット・高用量 / サイクル寿命・
低温での容量低下
4350
8700
電池系まで立戻っ
た基礎研究必要
コストメリット・高用量 /電解液への溶
出:電子伝導性
実用
(Li1+x(Fe0.4Mn0.4Co0.2)1-xO2)
韓国で一
部発表
S
* 正極同士を比較するために、Li金属対極を仮定して算出した正極のみのエネルギー密度であり、負極の重量若し
くは体積を考慮した電池としてのエネルギー密度ではない。
実製品あり
一部実製品あり
実製品に向けたR&D段階
シーズ段階
基礎的段階
33
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ユビキタスエネルギー研究部門
車載用リチウムイオン電池の開発動向
1.電気自動車と二次電池
2.電動車両化とリチウムイオン電池
2.1日米における車載用リチウムイオン電池開発概要
2.2 HEV用 のリチウムイオン電池
2.3 プラグイン HEV を目指すリチウムイオン電池
3.本格的(ガソリン車代替可能) EV を目指す革新電池
(Li/S 電池、金属-空気電池)
4.リチウムイオン電池の劣化について
5.まとめ
34
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ユビキタスエネルギー研究部門
プラグインHEV用電池技術開発の必要性
プラグインHEV用電池の要求特性は、小型民生用やハ
イブリッド自動車用の技術開発の延長線上にない。

小型民生用は、ほぼエネルギー密度向上に絞った技術開発。
• 出力は 1C レートから最大でも 3C レート程度
• 寿命も、小型機器用 JIS 規格では、1 年で容量維持率 60%でよい。
(携帯電話用では、多くの若者ユーザにとって寿命はあまり必要ない)

ハイブリッド自動車用は、寿命が劣化しない SOC 範囲での
運用が可能
• さらに、パワーが必要な領域も中域の SOC 範囲での運用が可能。

例えば、プラグイン-ハイブリッド車用途は、従来にない厳しい
利用条件。
• 劣化が急速に進む高 SOC 領域での保存。
• 低 SOC 領域での高い出力特性。
35
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ユビキタスエネルギー研究部門
Plug-in HEV 用電池に要求される性能
HEV
3,000
2,500
2,000
1,500
放電(出力)
入力密度
出入力密度 (W/kg)
3,500
充電(入力)
1,000
500
EV-mode
HEV-mode
0
0
20
40
60
80
100
充電状態, SOC (%)
36
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ユビキタスエネルギー研究部門
リチウム二次電池用負極材料
※図中のエネルギー密度等高線は 4 V 正極を仮定した負極単体の値
平均放電電位 (V vs. Li+/Li)
1.0
2000Wh/kg
4000Wh/kg
6000Wh/kg
Li3Sb
8000Wh/kg
Sb
10000Wh/kg
12000Wh/kg
14000Wh/kg
0.5
Li22Sn5
Sn
16000Wh/kg
LiAl
Al
LiC6 C
Li22Si5
Si
Li
0.0
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
4500
比容量(mAh/g)
37
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ユビキタスエネルギー研究部門
合金系負極材料の体積変化
Li22Pb5
3.4
Li22Sn5
4.8
Li22Si5
4.1
Li3As
3
Li3Sb
2.5
LiAl
1.9
LiC6
1.1
0
1
2
3
4
5
6
上述の組成の合金の体積が、Li 挿入前と較べて何倍となったかを表している。
38
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合金系負極の問題点
Li合金化
大きな体積変化
微粉化
容量低下
放電容量 (mAh/g)
1000
Sn + 4.4Li →Li4.4Sn 体積変化3.8倍
800
600
黒鉛負極
400
200
Sn負極
0
0
10
20
30
40
50
サ イ ク ル 数
39
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サイクル寿命向上のアプローチ
1)
ナノ材料技術が重要
ナノ材料化・ナノ複合化
・ メカニカルアロイング法 (20~200nm)
・ 化学還元法
・ スパッタリング法
2)
Li 吸蔵化合物(Li2AB)の利用
Cu6Sn5
△V= 1.6
Ag3Sn / Sn
3)
Li2CuSn+Cu
△V= 1.8
Li4.4Sn+Cu
Li4.4Sn+LiAg
LiAg2Sn / Li2AgSn
薄膜のナノ構造化と集電体との一体化
・ 電気めっき法 ( Sn / Cu6Sn5)
・ スパッタリング法や蒸着( Si, Si-Sn )
活物質層
中間層
Cu -foil
(出典)境 哲男,「ユビキタスエネルギーの最新技術」(シーエムシー出版)、pp. 24-38 (2006).
40
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ユビキタスエネルギー研究部門
リチウム二次電池用正極材料
※図中のエネルギー密度等高線は負極として Li 金属を仮定した正極単体の値
LiCoPO4
平均放電電圧(V vs. Li+/Li)
5.0
LiNiPO4
LiNiVO4
4.5
Li2MSiO4?
LiMn1.5Ni0.5O4
LiCoPO4
Li2PtO3
LiCrMnO4
4.0
LiMnPO4
LiMn2O4
LiCoO2
LiCoVO4
3.5
Li2MPO4F?
LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2
LiNi1/2Mn1/2O2
LiNi0.8Co0.2O2
LiNiO2
LixFe2(SO4)3
Li1+x(Fe0.4Mn0.4Ti0.2)1-xO2
LiFePO4
3.0
1000Wh/kg
800Wh/kg
600Wh/kg
2.5
3500Wh/kg
400Wh/kg
200Wh/kg
2.0
S
0
50
100
150
200
250
300
1600 1650 1700
比容量 (mAh/g)
41
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鉄含有Li2MnO3(組成式:Li1.2(Fe0.5Mn0.5)0.8O2)
現在のLiCoO2やLiFePO4を超える初期放電容量 226mAh/gを達成。
Co 置換により高容量化を見出していたが、
より安価な Ti 置換により更なる高容量化(262mAh/g)。
→ 車載用の高容量正極材料として有望。(特許出願済)
4.5 @ 60 oC
電池電圧 / V
4.0
Li 1+x(Fe0.4Mn 0.4Ti0.2)1-xO2
3.5
3.0
Li1+x(Fe0.5Mn 0.5)1-xO2
2.5
既存正極(LiCoO 2)の
容量範囲
2.0
0
100
200
充放電容量 / (mAh/g)
300
ref.) M. Tabuchi et al., J. Electrochem. Soc., 154, A638 (2007).
42
UBIQEN
ユビキタスエネルギー研究部門
LIB 正極の Li イオンの濃度分布の可視化と高容量メカニズム
リチウム元素分布を可視化すること
でナノ粒子内部・界面での元素分布
解析が可能になる
図.STEM-EELS スペクトラム・
イメージング法による元素濃度
分布観察の概要。
図.リチウムイオン電池の正極材料(Li2MnO3LiFeO2)の粒子の、充電・放電の各過程(左から右、
(i)~(iv))での、遷移金属元素濃度分布図(上図)と
リチウム元素濃度分布図(下図)。
43
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ユビキタスエネルギー研究部門
車載用リチウムイオン電池の開発動向
1.電気自動車と二次電池
2.電動車両化とリチウムイオン電池
2.1日米における車載用リチウムイオン電池開発概要
2.2 HEV用 のリチウムイオン電池
2.3 プラグイン HEV を目指すリチウムイオン電池
3.本格的(ガソリン車代替可能) EV を目指す革新電池
(Li/S 電池、金属-空気電池)
4.リチウムイオン電池の劣化について
5.まとめ
44
UBIQEN
ユビキタスエネルギー研究部門
主な元素の酸化・還元電位
卑
(V)
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
⇔
Li
C6Lix
Na
Mg
Be
Al
Zn
2OH- + H2
Cd
Zn
S2-
Pb
H2
Cu
Ni(OH)2 + OH-
2I-
LiNiO2
LiCoO2
LiMn2O4
2Br-
2H2O
2Cl-
PbSO4
2F-
リ チ ウ ム イ オ ン電 池
貴
Li
+
e-
6C + xLi+ + xe-
Na+
+
e-
Mg2+
+
2e-
Be2+
+
2e-
Al3+
+
3e-
ZnO2-
+
3e-
2H2O
+
2e-
Cd(OH)2- +
2e-
+
2e-
Zn2+
S
+
2e-
PbSO4
+
2e-
+
2e-
2H+
Cu2+
+
2e-
NiOOH + H2O + e-
I2
+
2e-
Li1-xNiO2 + xLi+ + xe-
Li1-xCoO2 + xLi+ + xe-
Li1-xMn2O4 + xLi+ + xe-
Br2
+
2e-
O2 + 4H+ + 2e-
Cl2
+
2e-
PbO2
+
2e-
F2
+
2e-
ニッケル水素電池
電 極 電 位
-3.045
-2.9
-2.714
-2.363
-1.968
-1.68
-1.22
-0.828
-0.825
-0.763
-0.447
-0.355
0
0.337
0.480
0.536
0.8
0.9
1.0
1.065
1.23
1.36
1.685
2.87
電極反応
+
45
UBIQEN
ユビキタスエネルギー研究部門
各種電池活物質の比容量
酸化還元電位
電子数
Ah
g-1
Ah
cm-3
正極活物質
(還元換算)
比容量
電子数
Ah g-1
Ah cm-3
1
3.861
2.062
F2 (g)
2
1.411
0.002
C (黒鉛) (s)
1/6
0.372
0.840
PbO2 (s)
2
0.224
2.101
Na (s)
1
1.166
1.083
O2 (g)
4
3.350
0.004
Al (s)
3
2.976
8.065
LiCoO2 (s)
0.5
0.150
0.760
Cd (s)
2
0.477
4.115
SOCl2 (l)
8/3
0.601
0.984
Zn (s)
2
0.820
5.848
MnO2 (s)
1
0.308
1.550
Pb (s)
2
0.259
2.933
NiOOH (s)
1
0.292
2.033
CH3OH (l)
6
5.019
3.980
(CF)n (s)
n
0.864
2.558
H2 (g)
2
26.316
0.002
S (s)
2
1.672
3.460
CH4 (g)
8
13.333
0.009
低い
Li (s)
酸化還元電位
高い
比容量
高い
低い
負極活物質
(酸化換算)
46
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リチウム金属負極 二次電池化の課題
充電(リチウム析出)時の樹枝状析出
5 µm
樹枝状(デンドライト)に析出した
リチウム金属の模式図
樹枝状リチウムがセパレータを破り内部
短絡を起こす恐れあり。
樹枝状リチウムの反応性が高い。
樹枝状リチウムは有効に放電され難い。
1 µm
47
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硫化物系固体電解質固体電池の概要
固体電解質 正極/電解質合材電極
負極
(Li2S-P2S5 系等)
(Li2Sx が有機電解液に溶解するため、無機固体
電解質が求められている)
Li2S
(1,170 mAh/g)
Li金属
or
(3,861 mAh/g)
S
(1,670 mAh/g)
※現状の黒鉛は
372 mAh/gで、
Liは黒鉛の10倍
※現状のLiCoO2
は150 mAh/gで、
Sはその10倍
※ 界面制御技術
集電体
2Li + xS → Li2Sx
平均電圧: 2 V
• x = 3; 55 g/当量
AVh/kg = 970 Wh/kg
• x = 1; 23 g/当量
AVh/kg = 2,300 Wh/kg
• 充放電に伴い体積変化する固体活物質と無機固体
活物質の強固な接合界面の構築
• リチウム金属極による無機固体電解質の反応抑制
集電体
リチウム空気電池の概要
負極
水やO2は通さない
機構の導入
正極(空気極)
2Li + O2 → Li2O2
Li: 6.9 g/当量
平均電圧: 3 Vとする
AVh/kg = 11,700 Wh/kg-Li
Li金属
(3,861 mAh/g)
※現状の黒鉛は
372 mAh/gで、
Liは黒鉛の10倍
集電体
※ 界面制御技術
Li : 充電時のデンドライト生成
Li/O2: 水やO2を通さない電解質の実現
正極側の放電で生成したLi2O2 の充電(還元)
空気透過性集電体
48
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車載用リチウムイオン電池の開発動向
1.電気自動車と二次電池
2.電動車両化とリチウムイオン電池
2.1日米における車載用リチウムイオン電池開発概要
2.2 HEV用 のリチウムイオン電池
2.3 プラグイン HEV を目指すリチウムイオン電池
3.本格的(ガソリン車代替可能) EV を目指す革新電池
(Li/S 電池、金属-空気電池)
4.リチウムイオン電池の劣化について
5.まとめ
49
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高SOC状態維持による電池容量低下
40℃保存
低
20%
35%
50%
65%
劣化増加
SOC
80%
高
高SOCでの保存は性能低下大
NEDO「燃料電池自動車等用リチウム電池技術開発」平成16年度報告書(電中研)より
50
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Power Fade of the AIST cell during STORAGE Tests
(SOC = 50%) at 40 and 60oC
1.1
Relative specific power
Relative specific power
1.1
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
: 40 ºC
: 60 ºC
0.5
0.4
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
: 40 ºC
: 60 ºC
0.5
0.4
0
20
40
60
Storage period / weeks
80
100
0
5
10
15
20
25
30
1/2
Storage period / day
 Power fades at both temperature showed linear relationships to the square-root of
storage period.
 The relative specific power of the degraded cell showed a larger decrease at 60oC than
at 40oC with the storage period.
 The specific power of the cell stored at 60oC for 12 weeks decreased to 0.81, while that
of the cell stored at 40oC showed a slight decrease to 0.98.
ref.) D. Mori et al., J. Power Sources, 189, 676 (2009).
51
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劣化要因の解明とその抑制手法の開発
各電池構成要素の劣化定量法の開発
交流インピーダンス解析
精密結晶構造解析
40
018
負極
SOC0%
充電
放電
正極
110
10 mHz
30
容量
Capacity
保持率
retension
Intensity (Arb.Unit)
- Z Im / m
20
10
1 kHz
100 mHz
0
電荷移動抵抗の増大
n = 14
25038
5022
10028
15030
20034
-10
-20
30
40
30042
35046
40054
45058
50
60
Z Re / m
70
19.6
93.0%
40°C
(10C,DOD30%)
91.1%
60°C
(10C,DOD3%)
94.6%
40°C
(10C,DOD3%)
96.0%
20°C
(10C,DOD3%)
96.2%
0°C
(10C,DOD3%)
20.0
20.4
(左図:SPring-8 で
の短波長 X 線によ
る回折測定)
20.8
2
X線吸収分光法
全反射法FT-IR
X線光電子分光法
(XAFS)
(ATR-FTIR)
(XPS, HX-PES)
530
540
550
560
570
Energy / eV
軟X線XAFSによる表面近傍の化
学状態の解析
表面被膜 (屈折率 n2)
}
試料電極
SOC / %
100
(吸収係数)
ATR法による電極表面
及び表面被膜に注目し
たFT-IR測定による化合
物同定
838*
777*
1120
1072*
1016
855.8 eV
855.2 eV
試料最表面
80
内部
100
0
60
40
0
0
20
(右図:SPring-8 の硬X線
源によるNi の状態変化の
検出;通常装置では状態変
化の検出は困難)
100
0
0
1800
1600
1400
1200
Wavenumber / cm
870*
1170*
initial
0
2000
数10nm
励起 X 線源のエネルギー
を変えて、深さ方向の異な
る化学状態を検出
100
100
(右図:赤外光の入射確
度変化で行った深さ方向
分析)
Ni 2p3/2
100%
0
100
(上図:TEY法によって、表面近傍
のみの変化が抽出された;FY法
(深い)とはスペクトルが異なる)
硬X線
軟X線
I / Imax
エバネッセント波
tested
o
temp. / C
1275*
1230*
ATR結晶
(屈折率 n1)
1457
1400*
反射光
1665
1590
after test
(SOC0%)
入射角
 
Absorbance
:TEY
:FY
(b2)
Intensity / FY
(波数,)
1745
入射光
Intensity / TEY
40°C
(20C,DOD3%)
80
電池の抵抗を成分分離して解析
(上図:正極の電荷移動抵抗増大)
520
95.3%
中性子線や短波長
の高輝度X線による
精密結晶構造解析
1000
863.0 eV 861.0 eV
0%
865
860
855
850
Binding energy / eV  = 10

800
-1
52
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サイクル試験後の正極-負極バランス状態模式図
Cell voltage / V
5
Cycle range
after test (cathode)
4
3
Cathode curve
Initial cycle range
Cycle range
after test (anode)
2
1
Anode curve
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
Capacity (arb.unit)
Fig. Schematic representation of the voltage v.s. capacity for cathode and anode curves after pulse cycle tests
 サイクル試験後の電池の正極(ICP、XRD、中性子線回折、XAFS)及び負極(7Li-NMR)
解析結果から、電池の容量劣化は正極・負極間でのリチウム量のバランスが崩れること
に起因することが示された。
53
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劣化後の正極(Li(NiCo)O2 系)の表面状態についての考察
劣化正極の表面模式図
Before cycle test
LiF
Li(NiCo)O2
Li alkyl carbonate
Li2CO3
リチウム欠乏立方晶
LiF
Li deficient
cubic phase
Li(NiCo)O2 (層状構造)
連続的な
相変化
Li2CO3
Li alkyl carbonate
Li(NiCoAl
Li(NiCo)O)O
2 2
劣化試験後の正極
After cycle test
 活物質表面近傍でのリチウム欠乏立方晶相の増加
 炭酸リチウム系被膜の堆積量増大
 フッ化リチウム(LiF)被膜の存在も確認
ref.) H. Kobayashi et al., J. Power Sources, 174, 380–386 (2007).
54
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ま
と
め
国の技術開発プロジェクト(NEDOプロジェクト)によって、
 EV 用途に向けては、負極として黒鉛、正極として Ni-Co系及びスピ
ネル Mn 系酸化物を用いて、高エネルギー密度の3kWh級 Li-ion 電池
モジュール(150 Wh/kg, 400 W/kg)を実現しうることが実証された。
 HEV 用途には、主に負極材料を黒鉛から低結晶性炭素に変更して、
高出力型 Li-Ion 電池モジュール(70 Wh/kg, 1,800 W/kg)の実証に
も成功した。
他方、更なるエネルギー密度の向上が要求されるプラグイン HEV や本
格的 EV の実現には、正極・負極とも新たな材料系の探索が始められて
いる。負極においては合金系材料の長寿命化、正極材料においては高容
量密度材料の探索が主な課題となっている。また、低 SOC での出力特
性の向上と高 SOC での寿命劣化の抑制も重要課題となっている。
本格的 EV の実現には、ポストリチウムイオン電池が求められているが、
電極活物質候補は多くなく、むしろ、それら材料で有効に電池反応を起
こさせるシステム構成開発が重要な課題となっている。
55
UBIQEN
ユビキタスエネルギー研究部門
ご静聴ありがとうございました
56