11_812001_UNEP2008_Lesson6_Glossary_TPF__UNEP FI

第 6 講:用語集
金融サービス・セクター用語
インフラ
道路、水道、港湾等、経済活動に必要な基本的な構造物および設備。
オフグリッド
局地発電による電力のこと。中央の発電所から送電盤を通じて配電されるも
のではない。
キャット・ボン
デリバティブの一形態(保険リンク証券と呼ばれることもある)。これに投
ド
資した者は従来の株式や持分権におけるものよりもかなり高いリターンを受
または
け取るが、ハリケーン等の特定された大災害が発生した場合には、将来の所
大災害ボンド
得、そしてことによると自らの資本の一部または全てを失ってしまう。買い
手にとっての利点は、確認された金銭的損失に対して支払いが行われるので
はなく、支払いが早いことである。
キャプティブ
工業会社等の被保険者による完全所有の保険会社で、親会社におけるリスク
管理を専らの業務とし、納税において一定の特典と柔軟性を与えてくれるも
の。
ギガトン
10 億トン。
クリーン
従来のタイプのものと比べると自然系に対する負の影響が少ない、あるいは
技術
自然系に有益でさえあるような植物や設備のこと。
クリーン・
温室効果ガスの放出をもたらさない形態のエネルギー。再生可能エネルギー
エネルギー
を含み、また一部の人々は原子力や地熱エネルギーも含むとする。植物や設
備はクリーン技術のカテゴリーに入る。
クリーン開発
先進国が開発途上国における温室効果ガスの排出削減または除去のプロジェ
メカニズム
(CDM)
クトに資金提供を行い、そうした資金提供の見返りとして、自国に課された
排出枠の達成に適用できるクレジットを受け取ることができるという、京都
議定書の下のメカニズム。
グリーン
持続可能、即ち環境面で有益または負荷の少ない商品またはサービスを指す
一般用語。
コンティンジェ
ある事業についての資本増強のための資金で、事前に定められた負の事象が
ント・
ント・
発生したときに利用できるようになるもの。
キャピタル
ストラクチャー
あるプロジェクトまたは買収に資金提供をするために、出資と融資等の異な
ド・
った金融手段を一つのパッケージにまとめて用いること。
ファイナンス
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ストレス・テス
資産ポートフォリオまたはシステムが異常条件に耐えうるかどうかを、そう
ト
した状況のシミュレーションを行って同ポートフォリオまたはシステムに生
じた結果を評価することによってチェックすること。
セキュリティ
(Security)
同語は二つの意味で使用される。a) 株式や持分等の金融資産の意味。b) リ
ダブル・トリガ
例えば世界のエネルギー価格の高騰と地域における供給の断絶等、二つの独
ー
立した事象が発生した場合にのみ効力を発する措置のこと。
デュー・
計画されている金融取引が、何らかの予想外のリスクまたは不当に大きなリ
ディリジェンス
スクを抱えていないかどうかを調べるブロセスのこと。
デリバティブ
顧客の事業に間接的に関わりのある事象の発生によって効果を生じる金融約
スクの不存在という日常的な意味。
定。
バイオマス
バイオマス
生成されて間もない木材や動物排泄物等の有機物質のこと。エネルギー源と
して利用することができる。
ヒート・アイラ
都市等における建物の集中による熱の発生や維持で、局所的な気温が周辺の
ンド
地域よりも数度高くなる現象をもたらすことがあるもの。
ビリオン
英国の千ミリオン、フランスのミリヤール。10 の 9 乗(109)。
ビル風
高層ビルの間に生じる大気の通り道で、大気の速度が増して不快に感じられ
るほど強い気流がもたらされている場所のこと。
ファイナイト・
予算上の都合を理由として、発生の蓋然性が高い費用の支払時期を動かす働
ストラクチャー
きをする金融商品。
プライベート・
公の相場がある資金源に発するものではない資金。
エクイティ
プロジェクト・
プロジェクト・
多くの場合は大型で複雑な、パイプライン等の特定の建設工事に資金を提供
ファイナンス
することに関わる特殊な銀行業務。こうした案件は多くは同プロジェクト目
的のみのために設立された法人を用いたコンソーシアムによって実施される
ため、常設の顧客との取引とは融資面の懸案事項が異なる。
ヘッジ
商品相場の値動き等の不利な状況のコストを減じるための金融技術。
ヘッジ・ファン
ヘッジ・ファン
資産の実際価値と理論価値の間のわずかな相場の差異から利益を得ることを
ド
目標とするファンド。
ベーシス・リス
ART 商品の購入者が抱える可能性のある、実際の損失とヘッジされている
ク
リスクとの間に生じ得る差。
リスクのモデル
危険がどのような経過をたどるかをシミュレーションし、その結果を参考に
化
それらにどのように対処すべきかのプランを立てるための、地理情報システ
ム(GIS)等のコンピュータ・モデルおよび技術の利用。
異常事象
自然体系が平均的な状態とは異なった動きをするときの状態(ハリケーン
等)。
塩水侵入
海面が上昇するにつれて塩水が水路を伝わって内陸に行き着き、地下水に流
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れ込む現象。これには腐食作用があることから、大きな問題である。
温室効果
一定の気体が太陽放射を吸収してこれを熱に変換することで下層大気を温め
るという現象を指す名称(部分的には密閉空間内における暖気の循環による
ものである温室庭園の加温とは同一ではないが、同語が定着してしまってい
る)。
温室効果ガス
太陽放射を吸収し、これを熱に変換する能力を持つ気体。主要なものは水蒸
気、二酸化炭素、メタン、そして多くの人工の工業ガス(第 1 講解説欄 1 参
照)。
化石燃料
天然のガス、石油、石炭、またはこれらに由来する燃料のこと。これらは先
史時代の動植物の遺骸が腐食したものであるため、この名で呼ばれる。
隔離
温室効果ガスが大気中に入って気候変動を助長することができなくなるよう
に、これを貯蔵するプロセス。生命体の中や地下の空洞の中等、様々な方法
で行える。炭素捕捉・貯蔵(CCS)としても知られている。
環境アセスメン
あるプロジェクトにコミットする前に行う、適正実施例に倣った ESG 関連
ト(EA)
課題の調査のこと。
緩和
若干紛らわしくはあるが、気候変動の文脈では「緩和」は温室効果ガスの排
出を軽減するための努力のことを指し、気候変動の影響に対処するための措
置(適応と呼ばれる)のことは指さない。
期間
(Tenor)
金融サービスの文脈で用いられる用語で、ある約定の継続期間(時間的概
気候に優しい
気候に優しい
温室効果ガスを軽減させるか、その面で比較的害がないような商品またはサ
念)を指す。
ービス。
気候変動
ある安定した状態から他の状態への地球の気候の変遷。自然に起こること
(太陽の周りの軌道における変化が氷河時代をもたらしたこと等) もあれ
ば、人工の温室効果ガス(同語の項参照)に起因することもある。
気候変動に関す
世界気象機関と国連環境計画によって 1988 年に設置された IPCC は、世界
る政府間パネル
(IPCC)
中の科学および技術文献を調べ、気候変動について最も信頼のおける情報と
して広く認知されている評価報告書を発行している。第 1 次評価報告書は
1990 年、第 2 次(SAR)は 1995 年、第 3 次(TAR)は 2001 年、そして第
4 次(AR4)は 2007 年に作成されている。
休止期間
生産が不可能になる期間のこと。
吸収源
ある温室効果ガスを大気から除去するプロセス、活動または仕組みの一切。
森林や他の植生はある時には吸収源、別の時には排出源であるが、これはそ
れらが光合成を通じて二酸化炭素を吸収するとともに放出するためである。
京都議定書
国連気候変動枠組み条約の下の主条約。第 3 講参照。
共同実施
(JI)
先進国が別の先進国において温室効果ガスの純排出量を削減するプロジェク
トに資金提供援助を行ったときに「排出削減ユニット」または排出クレジッ
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トを受け取ることができるという、京都議定書の下のメカニズム。同クレジ
ットは、国内の排出削減目標の達成における計算に入れることができる。
経済協力開発機
非軍事問題への取り組みを柱とする冷戦時設立の西側諸国の連合体で、ソビ
構
エト連邦体制の崩壊後もその役割を継続している。
公共事業会社
顧客に対して水、電気、通信等の基本サービスを生産し、供給する組織。
国連環境計画
(UNEP)
国際的な環境問題に責任を持つ国際連合の機関。
国連環境計画・
持続可能性をめぐる諸問題についての意識を高め、それらを軽減する金融上
金融イニシアテ
の対策への資金を供給することを目的とする、UNEP と個々の金融機関との
ィブ(UNEPFI)
ィブ
間のパートナーシップ。
国連気候変動枠
気候変動への対処のための国際政治上の枠組み。ボンに事務局が置かれ、毎
組み条約
(UNFCCC)
年違った場所で大概は 11 月か 12 月に年次会議が開催される。
再生可能エネル
太陽光、風力等、利用可能量が使用に伴って減少することがないような、自
ギー(RE)
ギー
然系の一部を成すエネルギー形態。
再保険
一種の「卸売」保険を購入することを通じた、保険者による自らのリスクに
対する防御。
採取
天然資源を入手するための採掘または掘削の作業。
事業中断
ある事業者がその社屋や施設への被害のため、または供給や顧客業務の停止
のために営業できなくなったことを理由として生じる損失を填補するタイプ
の保険。
持続可能性
リスクが制御不能になる状態、あるいは将来の行動が著しく制限されるほど
資源がひどく枯渇または悪化している状態を諸活動がもたらすことになるは
ずであるという公理。
証券化
金融約定を容易に売買ができるような形態に変換させることで、大量の約定
につき一括して行われる場合もある。
上昇気流が起こ
強力な垂直気流を従えた局地的な暴風雨のことで、竜巻、雷鳴、稲光そして
す暴風雨
雹を伴う。
信用格付け
ある企業が備えている財務力、ひいては同企業に対して金融サービスを提供
することのリスクの度合いを示す、文字または数字コードで表された信用度
の評価。
森林化
新たな森林の形成。
森林伐採
木材製品にするために樹木を大量に切り倒すこと。
人為的
人間活動に起因する。
政策決定者
公的部門の戦略および規制の骨組みを作ることを任務とする政治家または役
人。
生態系
生物の体系。植物、動物、鳥類等で、通常は栽培・人工培養されたものに相
対する自然の生態系について用いられる。
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生物多様性
ある場所における自然種の範囲。
赤道原則
プロジェクトの ESG(環境、社会、ガバナンス)面の管理を背景として策
定された原則。
損害賠償保険
被保険者によって何らかの形で被害を受けた第三者に対する補償を取り扱う
保険クラス。同概念は時として、生態系への害も含むものとして拡大され
る。
代替的リスク移
契約が損失の補償または弁償に基づいているような従来の保険とは異なる金
転
(ART)
融リスク移転手法。例として、保険事故によって生じた損害ではなく当該事
故の発生を条件として契約の支払いが行われるキャット・ボンドや天候デリ
バティブがある。
大災害市場
保険、再保険または大災害ボンド等の ART を通じた、異常気象に関係する
リスク移転についての金融。
単一種植林
自然の状態に反して、ただ一つの生物種の植物の種のみをある区域に蒔くこ
と。
炭素強度
ある活動によって生成される「二酸化炭素換算排出量」と金額または物理的
量ベースで計測される主なインプットまたはアウトプットとの間の比率の計
算値。例えば、移動距離 100 キロメートル当たりの CO2 排出キロ数や、投
資額 100 万米国ドル当たりの生成 CO2 トン数。このような標準化を行うこ
とにより、異なる商品、プロセス、企業等の間の比較が可能になる。
炭素金融
大まかには、炭素市場に関連するプロジェクトまたは活動に関与する金融。
炭素市場
国や事業者が京都議定書その他の規制上または自主的合意に基づく自らの限
度や排出量を遵守するために温室効果ガスの排出権のユニットを売買できる
ような取引制度一切を指す、一般用語。二酸化炭素が温室効果ガスの筆頭で
あり、他のガスはその地球温暖化ポテンシャル(同語の項参照)に準じた
「二酸化炭素換算排出量」と呼ばれる単位で計測されるという事実からこの
語がある。
炭素循環
炭素が地球の大気、海洋、地殻および生物圏を多くは二酸化炭素の分解、呼
吸による吸引、沈澱等の形で通過していく一連の自然の過程。
炭素捕捉・貯蔵
(CCS)
「隔離」参照。
知的資本または
特許、発明、またより一般的には専門知識のこと。
財産
地球温暖化
人為的な気候変動を指す非科学的な名称。科学者は同語を使わないが、これ
は地球の一部分が少なくとも暫くの間だけ寒冷化することがあるためと、変
動が影響を及ぼすのは単に温度だけではないためである。
地球温暖化
ある温室効果ガスの大気における残留期間中の蓄積効果を表す指標で、
ポテンシャル
(GWP)
GWP の単位元とされている二酸化炭素の赤外線吸収力(即ち、これの
GWP は 1.0)との比較を基準に表現される。
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地熱
利用可能なエネルギーを作り出すことを目的とした地中熱の利用。
適応
現実の、または予想される気候刺激あるいはその影響に対する自然または人
間のシステムにおける調整機能で、被害を和らげたりプラスの機会を引き出
したりする。
天候の窓
工事、メンテナンスおよび修理が可能な時期として、良好な天候条件が整っ
ていることが予測される期間のこと。
天候デリバティ
金銭的な損失とは無関係に、特定の気象状況の発生によって効果を発揮する
ブ
金融商品。買い手は、予め決まった額の支払いを、天候を条件として受け取
る。売買することもできるし、リスク台帳の作成目的で保有することもでき
る。
特別目的事業体
(SPV)
あるプロジェクトの当事者のうちの一方または他方、あるいは両者が相互に
保有する単一目的の法人企業で、一方の当事者から他方の当事者にリスクを
移動させるために用いられる。
二酸化炭素
発火を含む多くの自然および人為的なプロセスによって放出される無色無臭
で不燃性の気体。二酸化炭素は温室効果(同語の項参照)の主たる原因。化
学式は CO2。
排ガス
自然または人為的なプロセスの副産物として生成される気体。
排ガス濃度
特定の排ガスが大気に占める割合。排出量とは異なるが、その理由はガスが
大気中に何年も残留して濃度レベルが強まることがあるためである。非常に
強力ではあるが大気中の主要な気体(窒素および酸素)に比べると稀な温室
効果ガスについては、濃度は大気中の体積百万分率(ppmv)、あるいは更に細
かく体積十億万分率(ppbv)で計測される。
排出クレジット
排出の埋め合わせをする行動があることを理由に、その保有者に特定の量の
排ガスを割り引く権利を与える証明書。
排出レベル
各年に生成される排ガスの量で、排ガス濃度(同語の項参照)と同一ではな
い。通常はギガトンで計測される。
排出許可証
温室効果ガス等の物質を特定の量まで無処罰で排出することの許可をその保
有者に与える証明書。
排出源
ある温室効果ガスを大気中に放出するプロセス、活動または仕組みの一切。
森林や他の植生はある時には吸収源、別の時には排出源であるが、これはそ
れらが光合成を通じて二酸化炭素を吸収するとともに放出するためである。
排出量取引
ある国が他者に対して排出クレジットを譲渡し、または他者から排出クレジ
ットを譲り受けることができるという、京都議定書の三つのメカニズムのう
ちの一つ。
不可抗力
政府からの予想外の命令等、被保険者の制御の範囲外の操業停止事由のこ
と。
不法行為制度
特に英米法における制度で、不法行為の被害を受けた者(原告)が不法行為
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をした者(不法行為者)から補償を受けようとする過程を内容とするもの。
附属書 I
この国連気候変動枠組条約附属書には、OECD 原加盟国 24 か国、欧州連
合、そして移行経済国 14 か国から成る先進工業国のリストが記載されてい
る。他の国々と異なり、通常これらの国には京都議定書に基づく特定の排出
削減コミットメントが設定されている。
閉鎖
ある地点における操業の打ち切りおよびそれに続く引払い。かなり費用がか
さむことが多い。
弁償
ある損失を被った者の状況を以前と何ら変わりのないものに回復することを
目的とした補償のこと。
輸出信用保証
様々な政治リスクまたはモラル・リスクについての填補を輸出業者に対して
提供する、保険に類似した商品のこと。これらのリスクの不確定性が高いた
め、公共部門によって提供されるのが普通。
予想収益損失補
収入における遅延につながるような、プロジェクトの開始における遅延に対
償
して補償を与える保険の一形態。
流通
バルク電力を小売顧客に回すプロセスのこと。(電力をバルクで移動させる
ことは送電という。)
労働災害補償
従業員を対象とする事故保険および健康保険の制度で、雇用者が何らかの形
で有責であることが補償の要件となっているものではないもの。
ART
代替的リスク移転
CCS
「隔離」参照。
CCWG
気候変動ワーキング・グループ(同語の項参照)。
CO2
「二酸化炭素」参照。
CO2 換算量
ある温室効果ガスの量を、その地球温暖化ポテンシャルを用いて換算するこ
とにより二酸化炭素相当量で示したもの。
ESG
環境、社会そしてガバナンス。
ETS
排出量取引制度
GWP
「地球温暖化ポテンシャル」参照。
Ghg
「温室効果ガス」参照。
IEA
国際エネルギー機関。エネルギー部門についての研究を担当する、経済協力
開発機構(OECD)の一機関。
IPCC
「気候変動に関する政府間パネル」参照。
NGO
非政府組織。厳密には事業会社および非営利または市民団体を含むが、通
常、事業会社は除外される。気候変動の業界用語では、事業会社は
「BINGO」と称されている。
OECD
「経済協力開発機構」参照。
SLR
海面上昇。
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UNEP
「国連環境計画」参照。
UNEPFI
「国連環境計画・金融イニシアティブ」参照。
UNFCCC
「国連気候変動枠組み条約」参照。
USD
米国ドル。
ppmv
「排ガス濃度」参照。
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