X 線撮影装置での患者指挟みインシデントへの対策

X 線撮影装置での患者指挟みインシデントへの対策
- 防護材カバーの製作山形大学医学部附属病院 放射線部
○丹
義雄
保吉 和貴
(Tan Yoshio)
(Hoyoshi Kazutaka)
川崎 千絵
(Kawasaki Chie)
藤原 知佳
高橋 由佳
水谷 康朗
(Fujiwara Chika)
(Takahashi Yuka)
(Mizutani Yasuaki)
日野 隆喜
江口 陽一
(Hino Takanobu)
(Eguchi Youichi)
【背景と対策】
昨年、整形外科領域の一般撮影室一室において、ブッキースタンドや撮影寝台での患者指挟みインシ
デントが短期間(5ケ月)に3件と頻発した。その都度に改善策を講じるもかたちを変え発生した。再発防止と
Total的、終局的対策の一環として地元メーカーの協力も得て指挟み防護材カバーの製作を行った。
【インシデント発生内容とその都度の対策】
① ブッキースタンド側カセッテトレイでの撮影後カセッテ排出駆動時のトレイと装置隙間部での発生。
② 寝台のハンドグリップからのはみ出しによる撮影後ブッキートレイ移動時の寝台隙間部での発生。
③ 撮影前カセッテトレイセット時の②対側での発生。
Fig.1 ボールペンによる再現
Fig.2 その都度での対策
幸いにも患者さんにとっては大事には至らなく1件のみスリ傷様を呈したというものであった。
しかし①のケースでの状況の再現をボールペンを用い行ったところ、最悪の場合そのままの状況下
ではペンを引き抜く事が出来ない程であった。(Fig.1)
これらのケースに対しその都度での対応策として、身近な材料による応急処置を施した。
①のケースでは厚紙を切ってテープで被服し、一辺を両面テープ止めとし手指が入らぬようにした。
②のケースではフィルムやスポンジクッションをハンドグリップに付加し手の位置へスライドする事とした。
③では半透明フィルムシートを両面テープ貼りですっぽりと覆い手指の入り込みがない様にした。(Fig.2)
【Total整備と製作結果】
短期間に3件の指挟みインシデントが発生した事での装置メーカーへの照会により、③発生箇所への正
規な透明シートカバーの装着を無償提供で受けたものの、①②発生箇所への手指はみ出し感知センサー
はとても高額であり取り付け不可とした。そこで新たな発生の防止を兼ねた安全なX線検査のためのTotal
整備として、確実、シンプルで見栄えの良い防護材カバーの製作を地元メーカーの協力を得て行ったので
その製作結果を示す。
Fig.3に立位ブッキースタンド側を示す。1mm厚程のステンレス版で型取り、蝶番で折りたたみ可能となっ
ており、対側にはゴム製マグネットを張り吸着する様にし、装置への取り付けは接着力の強い両面テープ
止めとした。
Fig.4に撮影寝台側を示す。取手移動用レール部分を活用し、アルミ板に厚手のシートを組み合わせて
指の入り込む空間をガードする様になっている(■印)。また今回発生はしていないがカセット挿入トレイ部
分の隙間部分のガードリングという事でこの部分にもカバーを追加した(★印)。
Fig.3 ブッキースタンド側防護カバー
Fig.4 寝台トレイ側防護カバー
防護カバーの材料構成について。サイドレール部に
ついてはアルミと厚手の透明シートの組み合わせで、
裏側には樹脂製のブロックがレール部にかみ合い移動
可能となっている。下側が今回新たな事例を発生させ
ないがために作成したフィルムトレイ部のカバーで、ス
テンレス板に蝶番、裏側は両面テープで接着される様
になっている。(Fig.5)
また、今回寝台装置メーカーより装着の提供を受け
た右方向サイドレール部には、正式な透明ガードシート
を入れ込み頭部から足先まですっぽりと覆い、挟み込
みが起きない様にした。寝台サイド下のレール溝部分
に金属板をネジでちょうど入れ込む様に取り付けた。
Fig.5 寝台側防護カバーの概観(表裏)
(Fig.6)
これらの対策をインシデント未発生他2撮影室まで適用拡大し終局的対応策とした。
Fig.6 寝台対側透明防護シート(装置メーカー提供装着)
【まとめ】
① インシデント一事例に対する姑息的対応策では十分ではなくモグラ叩き状況が有り得た。
② 安全確実シンプルな見栄えの良い防護カバーの製作が出来た
③ 対応策は撮影室1室から3室へと適用拡大した。
④ 装置メーカーとの協力体制を含めたTotalで終局的な対応策を講じた。
⑤ 防護対策費は安価に済んだ。
最後に、その後1年以上経過した現在で同様なインシデント事例は発生していない。