認証校の改善課題解決の 認証校の改善課題解決の実行

認証校の改善課題解決の実行計画履行状況
認証校の改善課題解決の実行計画履行状況評価
実行計画履行状況評価報告
評価報告
ABEST21 は、認証校の教育の質維持向上を支援していくために、改善計画の履行状況を評価す
る「実行計画履行状況評価委員会」を設置しています。認証校には毎年「実行計画履行状況報告
書」の提出を求め、「実行計画履行状況評価委員会」で提出された報告書に基づき教育の質維持
向上の進捗状況を評価しています。2010 年度においては、2010 年 4 月 1 日から 2011 年 3 月 31
日までの 1 年間における認証各校の改善計画の履行状況報告について、実行計画履行状況評価委
員会によって改善課題が実行計画通りに履行されてきているかをどうかの評価が行われました。
2010 年度の履行状況につきましては、2011 年 11 月 4 日開催の Peer Review Committee において
承認されましたので、その結果を公表いたします。
1.青山学院大学大学院国際マネジメント研究科マネジメント専攻
1.青山学院大学大学院国際マネジメント研究科マネジメント専攻(専門職大学院)
青山学院大学大学院国際マネジメント研究科マネジメント専攻(専門職大学院)
「課題-1」
『ステークホルダーの声を聞きながら、新たな「教育研究上の目的」(ミッション)ビジョン、
バリューを策定する。
』
「改善報告」
1)2009 年度-教授会、評議委員会の議論を経て、2010 年 3 月に新たなミッションとスクール・
アイデンティティを決定した。学生については、2008 年度末に学生代表との意見交換会を行い、
研究科のあり方についての意見を聴取したほか、2009 年度の評議委員会で学生代表から当研究科
の授業等に対する意見を出してもらい、ミッションについての議論の参考資料とした。その他、
インフォーマルな会合も含めて、学生から出された意見が今回作成したミッションとスクール・
アイデンティティには反映されている。職員については、代表者が執行委員会、教授会、評議委
員会等の主要な会議に列席しており、研究科長が日常的に職員の意見を聴取する仕組みと風土が
できている。産業界等の意見聴取は、評議委員会で行っており、2009 年度には、ミッションも議
題の一つとなった。
2)2010 年度-2011 年度の専門職大学院学則での「教育研究上の目的」を、新ミッションを反映
した内容に正式に改めた。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていると評価する。
2)2010 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていると評価する。
「課題-2」
『Full-time プログラム学生のキャリア形成のために、インターンシップ等の開講を検討する。
』
「改善報告」
1)2009 年度―2009 年度より、インターンシップ科目を実施した。
2)2010 年度―2010 年度もインターンシップ科目を引き続き実施している。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていると評価する。
2)2010 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていると評価する。
「課題-3)
」
『青山学院のイメージと国際マネジメント研究科のスクール・コンセプトを生かした科目(例
えば、ファッションビジネス)の実施の検討を始める。
』
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「改善報告」
1)2009 年度―2009 年度より、謙虚で豊かな人間性を持ったビジネスパーソン育成のための「ビ
ジネス・フィロソフィー」を開講した。
2)2010 年度―ソーシャル・ビジネスや NPO マネジメントなどの科目の 2012 年度開講を目指して
議論を開始した。新たに定められた「教育研究上の目的」の「社会的責任を果たす」という点に
関連して、ソーシャル・ビジネスや NPO マネジメントという科目の検討を始めたものである。
「フ
ァッションビジネス」他の研究科で同様の科目が開講されたので、開講の検討は行わなかった。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていると評価する。
2)2010 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていると評価する。
「課題-4」
『教員の教育研究業績を定期的に評価する制度について検討を始める。
』
「改善報告」
1)2009 年度―2009 年度は実施せず、現在検討中である。
2)2010 年度―2011 年度より、各教員が教育・研究・社会的活動・学内委員会活動などについて
報告し、研究科長と教務主任が面接を行うパフォーマンス&デベロプメント制度を実施すること
を決定した。2011 年度より、各教員がパフォーマンス&デベロプメント・シートを提出し、その
内容に基づいて研究科長と教務主任が面接を行うことにした。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画の実現に向けてなお一層の努力を求める。
2)2010 年度においては、実行計画が計画通り履行されていると評価する。
2
2.一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営・金融専攻(専門職大学院)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営・金融専攻(専門職大学院)
「課題-1」
『国際経営戦略コースと金融戦略・経営財務コースの関係性について検討する。チャンピオン
を一人、選出する。
(2009 年度)』
「改善報告」
2009 年度 チャンピオンをアメージャン教授に決定した。結成されたプロジェクト・チームは
本格的なプロジェクト活動を開始するためのインフォーマルなワーキング・グループとして結成
された。国際経営戦略コースからはクリス・アメージャン、一條和生、藤川佳則、金融戦略・経
営財務コースからは大橋和彦、本多俊毅、野間幹晴が参加し、会議が開催された。しかし本会議
はあくまでもインフォーマルなワーキング・グループであり、議論もブレインストーミングの手
法で行なわれた。
「評価」
2009 年度においては、議論が継続され実行計画が実現される事を期待する。特に、国際経営戦
略コ-ス・金融戦略・経営財務コースに関して、2 コ-スの関係性についての指標を来年度は明
確にされることを期待する。
「課題-2」
『国際経営戦略コースと金融戦略・経営財務コースの関係性について検討することを目的とす
るプロジェクト・チームを、両コースの代表数名で立ち上げる。(2010 年度)』
「改善報告」
2010 年度 国際経営戦略コースと金融戦略・経営財務コースは、対象とする学生層や言語の違
いもあり、大幅な統合などを早期に行うことは不可能であるが、両コース間での関係性について
は双方のコースディレクターであるアメージャン教授と大橋教授で定期的に会合を持ち、情報共
有に務めている。具体的な成果としては、相互での授業の履修者が増加しており、また相互の授
業を担当する教員も増加している。
「評価」
2010 年度においては、関連性の指標(例えば履修の相互化の程度など)を設定しないと、話合
いの組織作りだけでは評価しにくい。両コースの関連性などを話し合う組織は出来上がり、その
成果も徐々に現われつつあると理解される。実行計画の実現に向けて来年度も努力を求めると同
時に、両コースが統合できない根本的理由および制約はよく理解できる。そこで、両コース間で
長期での課題は共有・認識しつつ来年度を本実行計画の最終年度にすることを提案したい。ただ
し、本実行計画を 2011 年度で最終化させる場合には本実行計画が3年間でどの程度達成されたか
の報告が望まれる。
「課題-3」
『必要に応じて、月一度の教授会終了後、両コースの専任教員全員で議論を行う。
』
「改善報告」
1) 2009 年度―国際経営戦略コースと金融戦略・経営財務コース 8 名の教員からなるプロジェク
ト・チームの会合が 8 回開かれた。実行計画−1で示したインフォーマルなワーキング・グルー
プの活動が継続し、両コースの専任教員全員での議論は時期尚早と判断された。
2) 2010 年度―国際経営戦略コースと金融戦略・経営財務コースは、対象とする学生層や言語の違
いもあり、大幅な統合などを早期に行うことは不可能であるとの認識のもとで、個別事例での協
力関係を充実させるため、昨年度は双方のコースディレクター間での協議を頻繁に行っている
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(教授会、運営委員会、評議会といった公式の機会だけでなく、非公式な会合を毎週開催。)
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画の実現に向けてなお一層の努力を求める。
2) 2010 年度においては、関連性の指標(例えば履修の相互化の程度など)を設定しないと、話合
いの組織作りだけでは評価しにくい。両コースの関連性などを話し合う組織は出来上がり、その
成果も徐々に現われつつあると理解される。実行計画の実現に向けて来年度も努力を求めると同
時に、両コースが統合できない根本的理由および制約はよく理解できる。そこで、両コース間で
長期での課題は共有・認識しつつ来年度を本実行計画の最終年度にすることを提案したい。ただ
し、本実行計画を 2011 年度で最終化させる場合には本実行計画が3年間でどの程度達成されたか
の報告が求められる。
「課題-4」
『海外認証機関によるアクレディテーション取得の準備に着手する。
』
「改善報告」
1) 2009 年度―EQUIS へ、アクレディテーション申請手続きを開始した。2010 年 2 月、Eligibility
審査通過。今後 10 年後に向けた ICS のミッション、ビジョンを再定義することが必要と認識し、
申請は 2011 年度に延期することを決定した。
2)2010 年度―研究科長がミッション、ビジョン、バリューを提案し、教員との議論によって新た
なミッション、ビジョン、バリューを策定した。2011 年度の審査書類提出に向けて、プロジェク
ト・リーダーに Yvonne Kageyama を任命し、トピック毎にワーキング・グループを立ち上げた。
国際経営戦略コースでは、アクレディテーション取得に向けた内部体制の更なる強化のために、
以下の活動を行った。1)内部のガバナンス整備のため、Faculty Hiring and Development, DBA
Committee, Corporate Relationship Management などの委員会を設置し、教員を割り当てた。2)
全ての交換留学制度の過去 10 年間の活用度を検証し、契約を更新した。3)Academic Policy を見
直し、2 年次の学生が日本だけでなく海外でも、多様な時期にインターンシップと交換留学制度
を利用できるようにした。4)キャリア・サービス(就職支援)機能を見直し、各自の強みの把握、
就職に関する情報収集手段の紹介、企業との関係性構築の仕組みを作った。
「評価」
1)2009 年度においては、来年度において実行計画が履行されることを求める。
2)2010 年度においては、2010 年度の EQUIS へのアクレディテーション申請に向けた準備内容は
分かるが、それがどの程度延期された申請の 2011 年度中の実現に効果が出るのか上記の記述では
不明である。不明ではあるが、2010 年度の履行内容は海外認証取得への必要なプロセスであるの
で一応は評価する。
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3.神戸大学大学院経営学研究科現代経営学専攻
3.神戸大学大学院経営学研究科現代経営学専攻(専門職大学院)
神戸大学大学院経営学研究科現代経営学専攻(専門職大学院)
「課題-1」
『職員のサポート体制の確保が必要である。大学の本来業務である教育に対する必要な予算措
置ができない現状がある。競争的な研究費を獲得することは可能であるが、元来、研究費は、教
育目的に使うべき予算ではない。競争的な教育支援経費を獲得しているが、その予算は、特定の
教育目的に使われるべきもので、日常的な業務の執行に使うべき予算ではない。従って、この改
善課題を解決する有効な計画はない。現在の国立大学法人の置かれた制度環境の下では、問題解
決策を見出すことは難しい。事務職員;支援職員の確保の問題は、予算配分を必要とするので、
その重要性にかかわらず、制約の多い国立大学法人の一組織として、非常に解決策がとりにくい
問題である。現状においては、国立大学法人の組織が従うべきル-ルの範囲で行動せざるをえな
い問題であるが、その解決策を模索していきたい。
』
「改善報告」
1)2009 年度―事務職員・支援職員の確保の問題は、予算配分を必要とするので、国立大学法制度
の制約の範囲で行動せざるをえない。その中では、2008 年度には、本専門職大学院の「産学連携
による MBA 教育の高度化-戦略的品質管理リーダー育成から発展する専門職大学院教育の洗練
-」が、文部科学省による専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラムに選
定され、その資金により連携マネジャーと事務職員を雇用し、支援体制の充実を図っている。ま
た、2009 年度には、本研究科採用の事務職員の適性を見極め、適材適所となるよう配置換えを実
施し、これまでと同じ人数であるが、より効果的・効率的に事務・支援業務を行える体制とした。
この体制の下、通常の事務・支援業務に加え、本研究科が 1992 年から 2~3 年ごとに実施してい
る自己評価・外部評価において、研究助成室はその事務局機能を果たし、また、事務部各係は各
種データ・資料の収集・整理を担い、自己評価・外部評価の円滑な推進に貢献しており、認証評
価とは異なる視角からの本専門職大学院に係る課題の把握・整理にも努めている。当該プログラ
ムの資金により雇用していた連携マネジャーと事務職員が担っていた業務は、2010 年度以降、専
門職大学院運営委員会、事務部各係・研究助成室において引き続き行っている。また、現在「景
気低迷期の適切な組織行動を促す研究・教育プログラム」(概算要求特別経費、2010-2013 年度)
を推進しているが、同プログラムは専門職大学院教育・研究・産学連携の相乗的展開を企図して
おり、先のプログラムをさらに発展させるものである。同経費により事務職員を雇用し、引き続
き支援体制の充実を図っている。
2)2010 年度― 事務職員・支援職員の確保の問題は、予算配分を必要とするので、国立大学法人制度
の制約の範囲で行動せざるをえない。その中で、2010 年度には、「景気低迷期の適切な組織行動を促
す研究・教育プログラム」(概算要求特別経費、2010-2013 年度)が採択され、この資金により事務スタッ
フを雇用し、支援体制の充実を図っている。 また、本研究科が 1992 年から 2~3 年ごとに実施している
自己評価・外部評価において、研究助成室はその事務局機能を果たし、また、事務部各係は各種デー
タ・資料の収集・整理を担い、2010 年 8 月に報告書を発行するなど、認証評価とは異なる視角からの本
専門職大学院に係る課題の把握・整理にも努めている。これらをもとに、教育研究上の目的に連なるデ
ィプロマ・ポリシーの明文化について、検討を始めている。
「評価」
1)2009 年度においては、 実行計画の実現に向けた努力がなされていることを評価する。
2)2009 年度においては、2009 年度と同様に事務職員について、対応が図られている。また、中
教審で指摘された学位授与に関する方針の成文化についても検討が進められており、評価できる。
5
「課題-2」
『MBA タスクフォースの議論を経て、教授会で承認され、2008 年度から、大幅なカリキュラム
改訂を実施する。具体的な、カリキュラム改訂の概要を”2008 年度からのカリキュラム改訂”に示
す。「プロジェクト方式」の精緻化のために、1 年前期の「ケースプロジェクト研究」(旧プロジ
ェクト実習)に加え、後期に「テーマプロジェクト研究」を導入し、修士論文作成のための「現
代経営学演習」との役割分担を明確にする。ケースプロジェクト研究とテーマプロジェクト研究
は、中核人材が持つべき事業観、人間観、洞察力、行動力、企業家精神を、グループで自発的に
学習できるように指導するものである。ケースプロジェクト研究は、その有効性が検証されてい
るが、それをさらに、どのように洗練させるか、現代経営学演習との役割分担とシナジーをどう
作っていくかを今後数年間にわたる実施を通じて解決していく予定である。随時、担当教員間で
検討し、MBA 教務委員を委員長とする専門職大学院運営委員会でさらなる議論を重ねる予定であ
る。産業テーマやカレントトピックスに特化した専門科目についても、2008 年度から、改訂する
カリキュラムで一部試行される(環境経営、企業評価、グローバル戦略、コーチング)
。新規科目
の内容、教員の教育能力、土曜日に 5 コマ(1.5 時間の授業が 5 回が標準となること)の授業の
実施、新規科目の受講による既存科目の未消化等の様々な問題の発生が予想される。これらの点
について、専門職大学院運営委員会で検討を加えていく予定であるが、問題が深刻であれば、M
BAタスクフォース委員会を設置して問題に対応していく計画である。2008 年度に試行し、
2009-2010 年度にその完成度を増すことが何よりも重要である。
』
「改善報告」
1)2009 年度― 2008 年度からの大幅なカリキュラム改訂について、「プロジェクト方式」の精緻
図った。従来のプロジェクト実習はほぼ同様の内容のものとして「ケースプロジェクト研究」
(共
通テーマをフィールド調査するために、数名で編成されたグループを組織し、グループごとに研
究対象の企業あるいは機関を選び、インタビュー調査を行う)に引き継がれたが決定的に異なる
のは「テーマプロジェクト研究」である。2007 年度までのプロジェクト研究は、現代経営学演習
の指導教員が各ゼミを単位として指導を行っていた。その部分を切り出し、同じ学年の学生が一
人の教員のもとに調査を進め、発表する形態へと発展させたのが、
「テーマプロジェクト研究」
(取
り組む研究テーマとチーム編成の決定が学生の手に委ねられ、そして 1 社ではなく 3 社以上の事
例を調査して最終結果報告を行う)である。そうすることでゼミを超えて異業種の学生同士が共
通する経営課題に対して問題を掘り下げ、問題解決能力を高めていくというプロジェクト方式の
長所を引き出すことを意図したのである。また、
「現代経営学演習」の開始時期を 2 年次前期とし
ていたものを 1 年次の 8 月とすることで、ゼミでの論文指導を半年から 1 年に伸ばすという変更
も行われた。なお、1 年次の前期は、MBA 学生に基礎的な科目履修を通じて知識習得を行わせる
と同時に、経営課題に対する問題認識の醸成を研究課題へと展開するプロセスを早い段階で経験
させることにより、教育効果を向上させるよう改善を続けている。さらに、土曜日の科目を 4 コ
マから 5 コマとし、開講科目数を増やすことにより、修了要件が 32 単位から 34 単位に増えたに
もかかわらず、土曜日の科目履修だけで 1 年半で修了することが可能となった。平日についても、
金曜日夜間の授業を 1 コマから 2 コマとし、主にこの枠を活用して、産業テーマやカレントトピ
ックスに特化した専門科目を提供することを可能にした。これによって実現された科目の例とし
ては、2008 年度に、環境経営、企業評価、グローバル戦略、コーチングに関する 1 単位科目を新
設した。さらに、2009 年度には、これらの科目のブラッシュアップを図るとともに、新たに医療
マネジメント、イノベーションマネジメント、公益事業経営アントレプレナーファイナンス、品
質管理、信託とファイナンス、負債理論と市場の効率性に関する科目を開設し、カリキュラムの
多様性を高めている。2009 年 9 月に同月修了生 44 人に対して、カリキュラム全般の評価アンケ
ートを実施した。特に変更科目である「ケースプロジェクト研究」および「テーマプロジェクト
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研究」については、異業種の学生同士が共通する経営課題に対して問題を掘り下げ、問題解決能
力を高めていくというプロジェクト方式の長所を伸ばすことができたと判断する。一方、プロジ
ェクト方式(ケースプロジェクト研究とテーマプロジェクト研究)の改善点として、(1)時間割
編成、
(2)ケースプロジェクト研究、テーマプロジェクト研究、修士論文の体系性、
(3)採点・
評価方法、について指摘があった。上記の問題点への指摘を踏まえて、2009 年度と 2010 年度に
おいては、以下の変更を行った。(1)時間割編成の問題に対して、テーマプロジェクト研究の開
始時期をケースプロジェクト研究最終発表会の直後へと約 1 カ月早め、テーマプロジェクト研究
の中間発表と最終発表会の時期も同様に 1 か月早めた。こうすることにより、最終発表会が新年
の第 1 週に行われるようになり、修士論文研究に十分な時間が割けるようになった。
(2)2008 年
度においては、テーマプロジェクト研究が、ケースプロジェクト研究を修士論文研究へ橋渡しす
る科目としてポジションされた。しかしながら、ケースプロジェクト研究とテーマプロジェクト
研究は、グループのフィールド研究であり、修士論文研は、学術的な個人研究であるので、テー
マプロジェクト研究の位置づけが、どちらつかずとなった。そこで、2009 年度と 2010 年度の運
用では、テーマプロジェクト研究は、ケースプロジェクト研究の延長にある、グループによるフ
ィールド研究であり、修士論文研究とは、無理に関係づけないようにすることを学生と演習指導
教員に徹底することにより、ケースプロジェクト研究、テーマプロジェクト研究、修士論文へと
続く体系が整理され、(1)のスケジュールの改善と相まって、この項目の問題点は解消できたと
思われる。(3)ケースプロジェクト研究とテーマプロジェクト研究の評価と採点は、グループの
最終発表会における評価に 50%の重みづけをし、学生ごとのグループワークのプロセスと発表内
容についての内省レポートに 50%の重みづけをして、それらに基づいて行っている。学生の問題
点の指摘は、前者の発表会での複数の教員合同による審査についてである。2009 年度と 2010 年
度においては、それぞれの教員の評価の基準と内容が明確に学生に伝わるように、特に、同じプ
レゼンテーションについて、教員の評価が分かれる場合に留意して、発表直後にフィードバック
を与えた。
2)2010 年度― 2008 年度からの大幅なカリキュラム改訂は、プロジェクト方式の精緻化と、それに伴う演
習の開始時期の前倒し、並びに専門科目の増設である。従来のプロジェクト実習はほぼ同様の内容の
ものとして「ケースプロジェクト研究」(共通テーマをフィールド調査するために、数名で編成されたグルー
プを組織し、グループごとに研究対象の企業あるいは機関を選び、インタビュー調査を行う)に引き継が
れたが、「テーマプロジェクト研究」は大幅な改訂がなされ、2010 年度はその定着を図る時期となった。
「テーマプロジェクト研究」は、以前は、「現代経営学演習」の指導教員が各ゼミを単位として指導を行っ
ていたものを、同じ学年の学生が一人の教員のもとに調査を進め、発表する形態へと発展させたもので
あるが、取り組む研究テーマとチーム編成の決定が学生の手に委ねられ、1 社ではなく 3 社以上の事例
を調査して最終結果報告を行うものである。 「テーマプロジェクト研究」においては、前年度の経過を踏
まえ、テーマ設定の内容及びプロセスに比重を置き、そうすることでゼミを超えて異業種の学生同士が
共通する経営課題に対して問題を掘り下げ、問題解決能力を高めていくという教育効果の定着を目指し
た。受講生の意見聴取を行ったところ、2 つのプロジェクト研究が開講されることの意義について理解が
不十分である受講生も一部いるものの、概ね両プロジェクト研究に対する評価、満足度は高かった。ま
た、2008 年度のカリキュラム改訂により、土曜日の開講を 4 コマから 5 コマとし、新規科目も増設した。
既存科目の未消化が懸念された問題については、講義担当教員の意見、及び授業アンケートの結果か
らは、特に問題となるような事態は発生していない。一方、開講科目数の増加に伴い、MBAカリキュラ
ムの組み方に余裕がなくなってきていることから、研究の方法論に関する科目の位置付けについて、今
後専門職大学院運営委員会にて検討し、より充実したカリキュラム構成を目指すこととしている。
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「評価」
1)2009 年度においては、 実行計画が計画どおり履行されていると評価する。
2)2010 年度においては、実行計画が、教育効果に重点をおきながら、満足度の高い方向に履行さ
れており、評価できる。
「課題-3」
『専門職大学院設置基準と本専門職大学院の教育システムとの不整合性は、特徴のある MBA 教
育を発展させるという見地から、本専門職大学院にとっては、自身のみでは解決できない性質の
本質的な課題であるので、実務家教員の構成比率要件、及び 2013 年以降における、専門職大学院
での講義・演習と博士課程の研究指導をともに担当することの制度的な許容について、関係機関
(ABEST21 を含む)と要望していく。専門職大学院設置基準と本専門職大学院の教育システムと
の不整合性は、専門職大学院設置基準の経過措置が切れる 2013 年には、
深刻な問題になる。特に、
専門職大学院での講義・演習と博士課程の研究指導をともに担当することが許容されない(専門
職大学院規則附則 2 項の経過措置)ことになれば、本専門職大学院が必須と考える教育システム
を実行する教員組織の維持が出来なくなる。2013 年度は、次回の専門職大学院の認証評価の年度
に当たるので、2010 年度までには、専門職大学院設置基準附則 2 項の研究指導兼担に関する現在
の経過措置が経営分野において、永続的な措置となるように、関係機関(ABEST21 を含む)とと
もに要望していきたい。
』
「改善報告」
1)2009 年度― 専門職大学院設置基準と本専門職大学院の教育システムとの不整合性(専門職大
学院での講義・演習と博士課程の研究指導をともに担当することが許容されない(専門職大学院
設置基準附則 2 項の経過措置))については、
「自己点検評価報告」
(2008 年 11 月)の「Ⅵ.要望
事項」において、現在の経過措置が経営学分野において、永続的な措置になるように、関係機関
(ABEST21 を含む)とともに要望していく旨記載しており、ABEST21 による「2008 年度認証評
価結果報告」(2009 年 5 月)においても、この要望は容認できるとされている。本要望は、これ
らの報告書を本専門職大学院のホームページに掲載するなど認証評価のプロセスを通じて社会に
発信するとともに、文部科学省へ直接文書でも送付している。また、この問題について、他の専
門職大学院の教員や産業人との意見交換の場でも話題とするなど、問題意識の共有に努めてきた。
この問題は、中央教育審議会大学院部会専門職学位課程ワーキンググループでも議題に上がって
おり、現在の経過措置を解消することは、教育研究に大きな支障が生じる恐れがあること、現実
に即していない恐れがあることが指摘されている。また、専門職大学院と博士後期課程との接続
は、教育資源の蓄積や教員養成の役割、産業界や社会人のニーズの受け皿としての役割などを担
っていることも指摘されている。これらの議論にも注意を払いつつ、引き続き関係機関とともに
要望していくこととしたい。
2)2010 年度― 専門職大学院設置基準と本専門職大学院の教育システムとの不整合性(専門職大学
院での講義・演習と博士課程の研究指導をともに担当することが許容されない(専門職大学院設置基準
附則 2 項の経過措置))については、「自己点検評価報告」(2008 年 11 月)の「Ⅵ.要望事項」において、
現在の経過措置が経営学分野において、永続的な措置になるように、関係機関(ABEST21 を含む)と
ともに要望していく旨記載しており、ABEST21 による「2008 年度認証評価結果報告」(2009 年 5 月)に
おいても、この要望は容認できるとされている。本要望は、これらの報告書を本専門職大学院のホーム
ページに掲載するなど認証評価のプロセスを通じて社会に発信するとともに、文部科学省へ直接文書で
も送付している。また、他の専門職大学院の教員や産業人との意見交換の場でも話題にするなど、問題
意識の共有に努めてきた。 この問題は、ABEST21「マネジメント人材の育成を目指して-第一次報告
-」(2010 年 9 月)においても提言され、また、中央教育審議会でも議題に上がり、2011 年 1 月の答申
8
では、専門職学位課程と博士課程(後期)との接続を図ること、また、学位課程や専攻の壁を超えて連携
協力することや流動性の高い教員組織の整備を推進することが重要であるとされている(≪資料 5:中
央教育審議会答申「グローバル化社会の大学院教育 ~世界の多様な分野で大学院修了者が活躍す
るために~」(抜粋)≫を参照)。
本研究科においては、専門職大学院から博士後期課程への進学者が毎年度存在し、既に学位取得
者および学界においてポストを得ている者も輩出している。また、本研究科の他専攻の専任教員を、専
門職大学院の兼担・兼任教員として、教育研究に配置してきた実績もある。これらを踏まえて、引き続き
関係機関とともに、具体的な制度改正について提言・助言していくこととしたい。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画の要望は着実に関係機関の意向に反映されてきていると判断す
る。
2)2010 年度においては、
【評価】実行計画の要望は着実に関係機関の意向に反映されてきている
と判断する。
「課題-4」
『事務職員・支援職員を確保する術は、非常勤職員を増やすことしか現状では考えられず、非
常勤職員の増員については、本研究科の予算にも大きく影響するため、引き続き検討する。事務
職員の業務習熟度の向上については、学内研修及び職場での研修を通じて、その能力の研鑽に努
めていく。また、教室の整備の改善については、文部科学省への予算要求をはじめとして、あら
ゆる機会を通じて予算獲得の努力をする。事務職員;支援職員の確保の問題は、予算配分を必要
とするので、その重要性にかかわらず、制約の多い国立大学法人の一組織として、非常に解決策
がとりにくい問題である。現状においては、国立大学法人の組織が従うべきル-ルの範囲で行動
せざるをえない問題であるが、その解決策を模索していきたい。
』
「改善報告」
1)2009 年度― 事務職員・支援職員の確保の問題は、予算配分を必要とするので、国立大学法人
制度の制約の範囲で行動せざるをえない。その中では、2008 年度には、本専門職大学院の「産学
連携による MBA 教育の高度化 -戦略的品質管理リーダー育成から発展する専門職大学院教育
の洗練-」が、文部科学省による専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラ
ムに選定され、その資金により連携マネジャーと事務職員を雇用し、支援体制の充実を図ってい
る。また、2009 年度には、本研究科採用の事務職員の適性を見極め、適材適所となるよう配置換
えを実施し、これまでと同じ人数であるが、より効果的・効率的に事務・支援業務を行える体制
とした。この体制の下、通常の事務・支援業務に加え、本研究科が 1992 年から 2~3 年ごとに実
施している自己評価・外部評価において、研究助成室はその事務局機能を果たし、また、事務部
各係は各種データ・資料の収集・整理を担い、自己評価・外部評価の円滑な推進に貢献しており、
認証評価とは異なる視角からの本専門職大学院に係る課題の把握・整理にも努めている。教室の
設備の問題は、これまで大阪都心部にパートタイムで教室を借りていたが、教育研究特別経費概
算要求の決定等を得て、大阪都心部に産学連携マネジメントセンター(仮称)をフルタイムで借
り上げ、2010 年 9 月から MBA プログラムの平日夜間の授業科目を実施することとしている。当
該プログラムの資金により雇用していた連携マネジャーと事務職員が担っていた業務は、2010 年
度以降、専門職大学院運営委員会、事務部各係・研究助成室において引き続き行っている。また、
現在「景気低迷期の適切な組織行動を促す研究・教育プログラム」
(概算要求特別経費、2010-2013
年度)を推進しているが、同プログラムは専門職大学院教育・研究・産学連携の相乗的展開を企
図しており、先のプログラムをさらに発展させるものである。同経費により事務職員を雇用し、
引き続き支援体制の充実を図っている。
9
2)2010 年度― 事務職員・支援職員の確保の問題は、予算配分を必要とするので、国立大学法人制度
の制約の範囲で行動せざるをえない。その中で、2010 年度には、「景気低迷期の適切な組織行動を促
す研究・教育プログラム」(概算要求特別経費、2010-2013 年度)が採択され、この資金により事務スタッ
フを雇用し、支援体制の充実を図っている(≪資料 1:「景気低迷期の適切な組織行動を促す研究・教育
プログラム」概要≫を参照)。 また、本研究科が 1992 年から 2~3 年ごとに実施している自己評価・外部
評価において、研究助成室はその事務局機能を果たし、また、事務部各係は各種データ・資料の収集・
整理を担い、2010 年 8 月に報告書を発行するなど、認証評価とは異なる視角からの本専門職大学院に
係る課題の把握・整理にも努めている。教室の設備の問題についても、概算要求特別経費により、大阪
都心部に「神戸大学梅田インテリジェントラボラトリ」を開設し、2010 年 9 月から平日夜間の授業科目を
実施している。
「評価」
1)2009 年度においては、改善が計画どおり履行されていることを評価する。
2)2010 年度においては、改善が計画どおり履行されていることを評価する。
10
4.筑波大学大学院ビジネス科学研究科国際経営プロフェッショナル専攻
4.筑波大学大学院ビジネス科学研究科国際経営プロフェッショナル専攻
(専門職大学院)
「課題-1」
『短期的(~2009 年 7 月)先ず、専攻に設置された第 3 者組織としてのアドバイザリー委員会
を有効活用するために、修了生など新たなステークホルダーを構成メンバーとし、意見の収集方
法について見直しを図る。中期的(2009 年 8 月~2011 年 7 月)改組したアドバイザリー委員会
を開催し、参考意見の集約を行うとともに、試行的に教育プログラムに反映する。長期的(2011
年 8 月~2013 年 7 月)アドバイザリー委員会の提言にもとづく試行状況と検討内容を検討し、長
期的な教育プログラムの骨子を確定する。』
「改善報告」
1)2009 年度― アドバイザリー委員会での議論をより活性化するために、本専攻で意見の収集方
法について見直しを図った。本専攻での議論の結果、既に現役を退いた委員や海外へ転出した委
員に替えて、3 人の新しい有識者を委員として迎えた。新メンバーによるアドバイザリー委員会
は、2009 年 11 月 28 日に開催され、その場での意見を受け、教育プログラムの改善活動を専攻
会議で議論し、意見を反映するための活動を開始している。次回のアドバイザリー委員会は 2010
年 10 月に予定され、改善の進捗状況と今後の課題が議論される予定である。 また、アドバイザリ
ー委員会新メンバーについて議論を行った後に、修了生の代表を委員会に加えることについても
議論した結果、専攻修了生の同窓会組織を立ち上げ、そこから意見を収集する方がより多くの意
見を収集できるものと判断し、2009 年度に同窓会組織を立ち上げるための活動を開始した。多く
の修了生は専攻運営に対して協力的であり、同窓会組織の立ち上げにより、提供している教育プ
ログラムについての建設的意見が収集できる仕組みが構築できることになる。なお、2009 年度は、
同窓会組織立ち上げの活動として、教員と修了生の検討会議を数回実施した。
2)2010 年度― (1)2009 年に刷新したアドバイザリーボードと同じ委員構成で、2010 年 10 月
9 日にアドバイザリー委員会を開催し、継続的に意見収集をしている 2009 年度に立ち上げた同窓
会組織を活用して国際経営プロフェッショナル専攻の教育に関する調査を行い、意見収集を行っ
た。(3)2009 年度及び 2010 年度に実施したアドバイザリー委員会からの意見収集では、教育課
程に反映させるような意見は出なかった。教育課程の強化に向けては、世界のリーディングMB
Aプログラム(10 プログラム)の教育課程のベンチマーク調査を行い、その結果を教員会議で議論
し、本専攻の教育課程はグローバルスタンダードに達しているものと結論づけたが、Negotiation
(交渉力)と Communication Skill に関する科目を強化することが国際的に通用する人材を育成す
る上で有用であるものと判断し、Communication Skill については、2010 年 10 月から外国人によ
り実施し、Negotiation については、2011 年度から実施予定としている。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画の実現に向けた努力がなされていることを評価する。
2)2010 年度においては、実行計画の実現に向けた努力がなされていることを評価する。
課題-2
『緊急課題である短期1年コースの廃止に向けては、大学本部入試課との調整、募集要項の変
更、外部への入試広報、教育カリキュラム、修了条件までを含めた一貫したサイクルを要する作
業であり、変更に向けた早急な対応が求められる。そのため、短期コースのデメリットについて
再確認した上で、翌年度の募集方法の変更に向けた対策方法を検討する。これにもとづき、2009
年度学試験から短期1年コースの募集停止を実施し、この措置による応募状況を確認するととも
に、それ以降の短期コースの廃止を決定する。』
11
「改善報告」
1)2009 年度― 短期 1 年コースのメリット、デメリットを教員会議で何度も議論し、変更に向け
た対策方法を検討した。その結果として、短期コースの募集停止に向けて、大学本部と調整し、
2010 年度には短期 1 年コースの募集を取りやめた。結果的に 2010 年の志願者数が増え、募集停
止の悪影響はないと判断し、次年度以降も 2 年コースのみで募集を行う予定である。
2)2010 年度― 2011 年度募集についても、2 年コースのみで募集を行った。志願者は、2010 年度
と比較しても増加の傾向を維持しており、短期1年コースの募集停止に左右されることなく、本
専攻の教育課程がMBA志願者に対して高い訴求力を有していることが確認された。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていることを評価する。
2)2010 年度においては、実行計画の実現に向けた努力がなされていることを評価する。
「課題-3」
『E-learning については、教育方法を含めて、機材の活用方法、授業法、相手先の選定等の計
画準備を開始する。また、試験的運用を開始し機材操作のハード面と、教育方法に関するソフト
面に関する準備を進め、本格的運用に備える。この他にも学生からの意見聴取方法とそのフィー
ドバック方法の改善を行い、その効果を検証し、年 1 度実施できる体制を確立する。中期的(2009
年 8 月~2011 年 7 月)
前段階で蓄積した E-learning の活用方法をまとめ、
海外ビジネススクール、
筑波キャンパスの他専攻との間で本格運用を開始する。これにより、運用ノウハウの蓄積にもと
づくルーティン化に向けた実施状況を確認する。長期的(2011 年 8 月~2013 年 7 月)前段階ま
での運用実績にもとづき、本専攻独自の遠隔教育メソッドを確立するとともに、海外、国内を含
めた複数の提携先ビジネススクールを開拓し、主要な選択科目として遠隔授業を教育プログラム
に導入する。』
「改善報告」
1)2009 年度― (1) 2008 年度:2009 年 1 月にフランス・グルノーブル経営大学院と遠隔授業の共同
開発・実施をした。実施に先立ち、教育方法、機材の活用方法、相手先選定を専攻会議で議論し、
その後、相手先の教員と 15 回以上の打ち合わせを行い、E-learning の授業を開発した。遠隔授業
の実施中は、本専攻内全教員に向けた FD を数回行うと共に、参加学生を対象にしたアンケート
を実施し、授業終了後には成果と学生へのフィードバックの分析を行い、筑波大学の報告書とオ
ーストリアで開かれた Computer-Aided Learning 学会(査読付論文)で発表した。(2) 2009 年度:
E-learning システムを利用した遠隔授業のルティーン化に向け、専攻内で計画を立て、以下の授
業を開始した。
・本大学の筑波地区の専攻との間で遠隔システムを利用した授業を相互に配信した。
・インドネシア大学との共同レクチャーを実施した。(2009 年 4 月、Exploring the Japanese
Experience of Expatriate Management)
・インドネシア大学との共同レクチャーを実施した。
(2009 年 10 月、The Financial Crisis and the
Asian Model of Economic Growth)
・ フランス・グルノーブル経営大学院との共同授業の 2 回目を実施した。(2010 年 1 月~2 月、
Comparative Analysis of Japan and French Management) 。この授業は、2008 年度実施内容の分析
結果を基に、フランス・グルノーブル経営大学院とディスカッションを重ね、双方から改善点を出
し合い、授業を 5 回から 10 回に増やし内容を充実した。なお、現在(2010 年度)は、本専攻内
とフランス・グルノーブル経営大学院とで、2010 年度授業に向けた改善ミーティングを行ってい
る。
2)2010 年度― (1) 2009 年に実施したフランス・グルノーブル経営大学院との共同遠隔授業を評
12
価・分析し、
その結果を 2010 年 7 月に国際学会(Portland International Center for Management and
Engineering Technology 2010)に発表した(査読付論文)。
(資料 9:Technology-Mediated Learning
across Borders: A Cross-Cultural Case-Study (PICMET_2010))また、2008 年度と 2009 年に実施
した授業のさらなる発展のため、本専攻教員とグルノーブル経営大学の教員が 15 回以上の遠隔ビ
デオ会議を行った。その結果、この授業の特徴である「国際遠隔授業」と「学生の遠隔チームワ
ーク」を教育面で最大限いかすため、2010 年度は、授業のテーマを変更し、科目名も「Cross Cultural
Management in Distributed Teams(遠隔チームの異文化マネジメント)
」と題して実施した。その
結果、学生が国際遠隔チーム論を勉強しながら、学生のグループワークを通じて国際遠隔チーム
を経験できた。
(資料 10:Detailed Course Outline)(2)E-learning システムを利用した遠隔授業
のさらなるルーティン化に向け、本専攻と本学人文社会科学研究科国際地域研究専攻との間に以
下の授業を相互に配信した。・Cross Cultural Management I:Managing Across Borders(本専攻→
国際地域研究専攻、2010 年 6 月から 7 月)
・International Business: Introduction to South East Asian Studies II (国際地域研究専攻→本専攻、
2010 年 6 月から 7 月)以上のことから、E-learning のルーティン化は順調に進展している。
「評価」
1)2009 年度においては、実行計画が計画どおり履行されていることを評価する。
2)2010 年度においては、実行計画の実現に向けた努力がなされていることを評価する。
13
5.関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科
5.関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科経営戦略
関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科経営戦略専攻(専門職大学院)
経営戦略専攻(専門職大学院)
1) 企業経営戦略コ-ス
「課題-1」
『ジェネラリスト教育に基づいたカリキュラム編成-本ビジネススクールの人材育成上の目標
の一つであるジェネラリストの養成のためには、コア科目、ベーシック科目の充実が必要となる
だろう。そこで、コア科目、ベーシック科目における必修科目の修正を行う。また、入学前の学
力のレベルアップを図り、コア科目等の円滑な授業開始を可能にする施策を検討する。具体的に
は以下の通りである。
(1)企業倫理を必修科目とする。英語コミュニケーション、経済学、経営学、統計学、会学のコア
5 科目を選択必修科目とし、最低 4 科目を選択するようにする。
(2)企業経営戦略コースにおいて、各プログラム選択者に必修となっているベーシック科を全員に
必修とするよう検討する。このことにより、多様な分野についてのより深い理解が得られ、プロ
グラム間の履修者の偏りが緩和されることが期待できる。
(3)ロジカルシンキングをベーシック科目として開講する。基礎数学やコンピュータリテラシのよ
うな科目について入学前教育を実施することで、入学後の学習が円滑に進むようにする。
』
「改善報告」
2010 年度―本ビジネススクールの人材育成上の目標の一つであるジェネラリストの養成のた
めに、コア科目、ベーシック科目の充実を行った。具体的には、コア科目、ベーシック科目にお
ける必修科目の修正を行うとともに、入学前の学力のレベルアップを図り、コア科目等の円滑な
授業開始を可能にするための施策を検討した。
(1)企業倫理を必修科目とした。また、英語コミュニケーション、経済学、経営学、統計学、会計
学のコア 5 科目を選択必修科目とし、最低 4 科目を選択するようにした。
(2)企業経営戦略コースにおいて、各プログラム選択者に必修となっているベーシック科目を全員
に必修とする方向で検討を行った。
(3)2010 年度よりクリティカルシンキングをベーシック科目として開講した。
基礎数学やコンピュータリテラシのような科目について入学前教育を実施することにつき、検討
を行った。
(4) 基礎数学やコンピュータリテラシのような科目について入学前教育を実施することで、入
学後の学習が円滑に進むようにする。
「評価」
2010 年度においては、実行計画が計画通り実行されていると評価する。
「課題-2」
『成績評価の厳格化および成績不良者への対応。成績評価のバラツキを是正するために、評価
が極端に高い(もしくは低い)科目について、FD 活動の一環として、その要因を分析するととも
に成績評価の妥当性を検討する。そして改善された成績評価により学生の個人の成績を教員間で
確認するために、専攻会議にて定期的に成績不良者(入学後半年の GPA が一定の値以下の者)の
学業成績を確認し、必要であれば教務学生委員が個別に面談するなどの施策を付すためのプロセ
スを確立する。また課題研究の申込時に学業成績データを添えることで、教員による学生の選択
基準として活用する。
』
「改善報告」
2010 年度―成績評価の厳格化に対応する為に 2009 年度以降、できる限り評価を正規分布に近
くなるよう各教員の裁量にて成績評価を見直すよう専攻会議にて確認した。その結果、講義科目
14
GPA 平均値は 2.91(2008 年度)から 2.63(2010 年度)に下がり、厳格化についてはある一定の効果
は認められた。ただし、それでもなお正規分布からの逸脱は大きく、現在、基礎科目(コア科目と
ベーシック科目)について相対評価制度を来年度より導入することを検討しており、より厳格な成
績評価を目指している。また成績不良者への対応については、専攻会議にて諸策を議論してはい
るものの、実施には至ってはいない。しかし、来年度においては正副の教務学生委員が実験的に
成績不良者に面談をして、成績不良の原因分析と勉学上のアドバイスを行う計画にしている。
「評価」
2010 年度においては、実行計画が著実に実行されていると評価する。
2)国際経
2)国際経営コ-ス
国際経営コ-ス
「課題-3」
『各プログラム内でのコア・ベーシック・アドバンストの各科目間の連続性や一貫性現在、国
際経営コースでは、各プログラム内でのコア・ベーシック・アドバンストの各科目間の連続性や
一貫性に改善の余地があると認識している。こうした課題の解決のためには、今後、カリキュラ
ムの構成やオリエンテーションの在り方に関し、今まで以上に、今後本格的議論を重ねていく必
要があると考える。国内外の主要なデイタイムMBAカリキュラムと比較検討しながら、本ビジ
ネススクールの国際経営コースにおけるグローバル・ビジネス・パーソン教育に最もふさわしい
カリキュラムを広範な調査・分析を基に慎重に再構築していく。この調査・分析は 2009 年 10 月
から 2 年半のスパンでスタートする「大学間連携戦略」における関西学院大学ビジネススクール
担当の国際ビジネス教育支援プロジェクトの一環として実行される。
「改善報告」
2010 年度-科目間の一貫性:国際経営コース教員が担当する科目間の連続性に対する評価を行
った。その結果、現在のコア・ベーシック・アドバンストの配置によって、学生は自分の専攻分
野のアドバンスト科目を履修するために必要な基礎知識をまず習得するということが可能になっ
ていることが明らかになった。本研究科では年 2 回入学(4 月と 9 月)を実施しているため、学
生が春・秋の両学期で履修できるよう柔軟な配慮が必要であるが、事前に履修することが望まし
い科目や先修条件によって十分に柔軟な対応ができている。学生が自らの潜在的学習能力を最大
限に引き出すために履修モデルに沿って履修するよう、入学時はもちろん2年間の在籍中も度々
学生に履修指導をしている。この履修モデルについては入学時オリエンテーションでも紹介し、
ホームページにも掲載している。学生へのインフォーマルなアンケートや学習進捗状況確認から、
学生達は概してこの履修モデルに倣って履修していることが分かった。3つの専門プログラムの
各担当教員も、専攻科目の履修に際して学生に確認し、学生達がアドバンスト科目を履修するた
めの基礎的土台となるコア・ベーシック科目を既に履修済みかを判断している。シラバスの確認:
分野ごとに 2010 年度専任教員担当科目のシラバスを検証することにしており、各分野の科目一貫
性もチェック項目である。6 月末にはこの作業を完了し、8 月末までに改善点をまとめる予定であ
る。
「評価」
2010 年度においては、今後の進展を期待する。
「課題-4」
『成績評価の偏向の是正-国際経営コースにおける成績評価のA評価以上への偏向は、早急に
改善されるべきである。この計画の実行は主に本ビジネススクールの専攻会議、FD 委員会、執行
部のイニシャティブで容易に早期に実現されるべき課題である。実現後は、学期ごと教務学生委
員と教務学生副委員の責任でモニタリングを行うことを制度化する。
』
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「改善報告」
2010 年-授業科目の成績評価:国際経営コースでは、専任教員が担当する 2010 年度授業科目
の成績評価データを収集している。このデータを分析し、全体的な分布の原因を究明する予定で
ある。5 月中旬には分析を終え、8 月末には何らかの提言ができる見込みである。学生の成績分布
の調整:2010 年度時点では、明確な調整は行っていない。
「評価」
2010 年度においては、今後の進展を期待する。
3)国際経営コ-スと企業戦略コ-スの連携
3)国際経営コ-スと企業戦略コ-スの連携
「課題-5」
『国際経営コースと企業経営戦略コースの連携-本ビジネススクールの大きな特徴の一つは、
社会人を対象とする企業経営戦略コースと全ての授業を英語で行う国際経営コースの 2 つのコー
スを擁していることである。これら 2 つのコースがお互いに良い影響を与えればよいが、対象学
生のバックグラウンドは大きく異なり、また国際経営コースでは全ての授業が英語で行われるた
め、二つのコースの連携は困難を極める。そのような中でも、2 つのコースが効果的に連携する
ことによりシナジーを追求しなければならない。連携の内容に目を向けると、教育資源(教員や
教材)の共通化および学生交流に大きく分けることができ、それぞれについて一歩ずつでも有効
な施策を継続的に進めて行く必要がある。そこで以下に示す戦略的大学連携プログラムを通じた
取り組みを計画している。戦略的大学連携プログラムの実施 2009 年度から開始された戦略的大学
間連携プログラムにおいて、授業で利用されるケースを日本語と英語で作成し、両コースの学生
に教育する企画を立てている。両コースに所属する日本人学生や留学生などが混じり合って授業
を受けることで英語、日本語による教育の長所、短所を調査する。こうした機会を設けていくこ
とで双方のコースにとってよりよい学習基盤が蓄積されるものと考えている。
』
「改善報告」
2010 年度-本ビジネススクールでは、国際経営コースの学生(留学生、日本人学生、交換留学
生)と企業経営コースの学生が共に履修するハイブリッドコースをファイナンス分野において
2011 年度からの開始を決めた。ケースディスカッションを中心にグループで様々な課題に取り組
む予定である。日本語以外を母国語とする学生と日本語を母国語とする学生を意図的に混合し、
また、実務経験の長い学生と若い学生のミックスをバランスよく行うことによって、学習のシナ
ジー効果が期待されている。さらに、戦略的大学連携プログラムにおいて共同で授業開発を進め
ている連携大学院の学生にも授業を公開している。
「評価」
2010 年度においては、実行計画が著実に実行されていると評価する。
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