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(09)コンピュータ・ソフトウェアにおける 後発プラットフォーム製品の

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【経営学論集第 84 集】自由論題
報告要旨
(09)コンピュータ・ソフトウェアにおける
後発プラットフォーム製品のドミナント化
のメカニズムと戦略上の示唆の考察
名古屋産業大学
加藤
和彦
【キーワード】プラットフォーム製品、階層介入、ネットワーク効果、マルチホーミング
コスト、ドミナント化
サーバー市場を観ると、市場の誕生から1社もしくは数社のプラットフォーム製品が市
場シェアの大部分を占め、市場の成長と共にドミナントの地位を築く傾向が強い。
本稿は、これに対し、レイヤースタック内で一度形成されたドミナント・プラットフォ
ーム製品の支配力が、後から参入してくる階層(ならびにプラットフォーム製品)によっ
て削がれ、後発プラットフォーム製品へのドミナントの移行を誘発するというメカニズム
を取り上げる。この点が、これまでのプラットフォーム製品戦略の先行研究では議論され
ることのなかった点である。方法としては、先行研究レビュにより仮説的推論をおこない、
Java と VMware の事例を例証することにより、後発プラットフォーム製品である階層介
入型プラットフォーム製品の戦略上の仮説を導出する。
先行研究レビュにより、階層間ネットワーク効果の効用力、ブリッジングの影響力、プ
ラットフォーム製品排除に対する抵抗力のドミナント化の3つの要因を抽出する。その上
で、プラットフォーム製品提供者の操作項目として、アクセス可能ユーザー数の増加、マ
ルチホーミングコストの低減、隣接対象プラットフォーム製品の多数選定、持続的収益確
保モデルの遂行の4つを提示し、これらの関係を示す(図1)。
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図1 ドミナント化要因と操作項目の関係
アクセス可能
ユーザー数の
増加
マルチホーミ
ングコストの
低減
PF 製品提供
者の操作項目
階層間ネ
ットワー
ク効果に
よる
効用力
ドミナン
ト化の
可能性
ブリッジ
ングの
影響力
ドミナント
化要因
持続的収益
確保モデル
の遂行
排除に対する
抵抗力
作用
隣接対象 PF
製品の
多数選定
主として影響
コンピュータ・ソフトウェアの階層介入戦略における橋渡し機能は、各階層が保有する
アクセス可能ユーザーの流動性を高め、同一階層レベルでのプラットフォーム製品の選択
必然性を弱めるという影響を隣接階層に及ぼす。これにより、既存の階層間関係やプラッ
トフォーム製品間関係を変化させてしまう可能性が生じることを、Java と VMware の異
なる階層間での事例で例証する。
Java はアプリケーション階層と OS 階層間に介入、VMware は OS 階層とハードウェア
(BIOS)階層間に介入という違いはあるが、両事例とも操作項目に関してほぼ同様の動
きをおこなっている。具体的には、アクセス可能ユーザー数の増加では、既存の隣接階層
が保有しているユーザーが創りだすサイド内ならびにサイド間ネットワーク効果を譲り受
け、アクセス可能ユーザーを横取りし、それまで特定 OS がもっていたドミナントの地位
を脅かす可能性を高めている。マルチホーミングコストの低減については、ユーザーのマ
ルチホーミングコストの削減もしくは負担増加がないことを強くアピールし、参入障壁を
低下させている。隣接対象プラットフォーム製品の多数選定では、広く普及した(もしく
は普及しそうな)プラットフォーム製品の上や下に介入し、隣接階層に多くのプラットフ
ォーム製品を選定している。持続的収益確保モデルの遂行に関しては、サン社はレイヤー
スタック内の別階層に自社 OS を有償で提供し、収益確保のためのプラットフォーム製品
を提供している。一方、VMware はインストールドベース顧客を囲い込むため、買収によ
るハードウェア階層の垂直統合管理ツールの充実、プライベート・クラウドへの誘導など、
レイヤースタック外での持続的収益確保を進めている。
これらの例証を通じて、階層介入型プラットフォーム製品特有の戦略上の示唆を得る。
そこでは、新たな4つの戦略上の仮説を提起する。階層介入型 PF 製品は:隣接階層の PF
製品のコモディティ化を誘発する(仮説 3-1)。既存の隣接 PF 製品のレイヤースタック内
での延命を助長する(仮説 3-2)。上下階層セットの垂直統合やバンドルを分断し、既存の
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隣接 PF 製品の収益モデルにダメージを与える(仮説 3-3)。普及と提供者の収益確保に関
してトレードオフが発生する(仮説 3-4)。
【主要参考文献】
Eisenmann, T., A. Parker, and M.W.V. Alstyne.(2007) Platform Envelopment , Harvard Business School Working
Paper, No. 07-104.
加藤和彦(2008)
「プラットフォーム戦略論における「包囲の危機」のフレームワークに関する適用可能性の一考察」
『商
学研究科紀要』第 66 号 早稲田大学商学研究科,pp.63-75。
加藤和彦(2009)「階層構造をもつコンピュータ・ソフトウェアにおけるプラットフォーム戦略としての階層介入施策
の考察」『日本経営学会誌』第 23 号, 千倉書房, pp.75-86。
根来龍之・加藤和彦(2010)「プラットフォーム間競争における技術『非』決定論のモデル」早稲田大学 国際経営研究
第 41 号, pp.79-94。
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