No4 - 蔵波中学校

H21.7.1 6
袖ケ 浦市 立 蔵波中 学 校
ネバーギブアップ・チャレンジ’09
学 校便 り
第4 号
おまえ一人で
もっと
やってんじゃねえ。
仲間を信じろ!
今 から 3 0年ほ ど 前の 話に なり ます が、
19 78 年 3月、 私 は東 海地 区空 手道 大会 に出 場し てい ま した。
実は、私の所属していた空手部は前年11月の全日本大学選手権新人
「 形」の 部で 優勝 して いた ので 、この 大会 に招 待さ れた の です。新人「 形」
の部というのは、1年生5人で、決められた「形」を演武するのもので
す。採点は、主に、全員がそろっているか、技の切れはあるか、躍動感
はあるか、です。中でも、呼吸から指先の角度、蹴り足の角度まで、ぴ
った りと そ ろえる に は大 変な 練習 が必 要で した 。
1977年4月、自分の意志に反して、半ば強制的に空手部に入部し
た50人の1年生は、その練習と上下関係の厳しさから毎月10人単位
で退部していきました。練習はハードで、練習中に骨折して病院に入院
する仲間をうらやましく思うこともしばしばありました。加えて先輩の
練習着を干したり、練習後の先輩の足裏を洗ったり、先輩の吸うタバコ
の火 付け 役 まで、 ま るで 奴隷 のよ うな 役割 が待 って いる の です。
このような毎日が続きますので、入部した1年生はどんどん退部しま
した。もちろん簡単に退部はできません。さんざん嫌みなどを言われ、
何 日 も 一 層 ハ ー ド な 練 習 を さ せ ら れ る の で す 。 し か も 、、 小 さ な 大 学 だ
ったので、退部したほとんどの1年生は、先輩の目を避けるような大学
生活を送ることになってしまうのです。中には、保護者が部室に来て直
接、先輩に頭を下げて退部をした者もいました。また、いつの間にか行
方不 明に な って大 学 から 姿を 消し てし まう 者も いま した 。
私 は、
「 親に 頭を 下げ させ たく な い」
「 大 学を 続け たい 」とい う思 いで、
何とか続けていました。始発電車で2時間近くかけて通学し、猛練習を
行 い 、 自 宅 へ は 最 終 電 車 で 帰 る 、「 生 き て い る の が ‘ や っ と ’」 と い う 毎
日で した 。
入部から4ヶ月後の8月に夏合宿がありました。監督や先輩は、私達
1年生を全日本選手権に優勝させようと、早朝から夜中まで地獄のよう
な練 習が 6 日間続 き まし た。 なん とか 合宿 を乗 り切 った 1 年生も 、 その
生徒版
文責: 教 頭 小川 幸男
後 も 続 く ハ ード な 練 習 に、 8 月の 終 わ り 頃に は 、 とう と う 5人 に な っ てし
ま い ま し た 。 そ の 頃 私 は 、「 一 人 に な っ て も 退 部 し な い 。 こ の 部 の 悪 い 体
制 を 変える ん だ」 と心 に決 めて いま した 。
1 1 月 に 入る と 全 国 のブ ロ ック 予 選 を 勝ち 抜 い た強 豪 が 日本 一 を 争 う、
全 日 本大学 選 手権 があ りま した。最 も 苦し い8 月を 乗り 切っ た私 の頭 には 、
全 日 本 優 勝 の文 字 し か あり ま せん で し た 。特 に 、 私は 5 人 の中 心 に 位 置す
る 場 所(エ ー ス) を任 され てい まし た。 そ して
優勝 。
それ か ら は、 あ ち ら こち ら の地 方 ブ ロ ック に 招 待( 各 県 の役 員 の お 宅に
無 料 で 宿 泊 して 、 ご 馳 走を い ただ く な ど )さ れ ま した 。 そ の一 つ が こ の東
海 地 区 大 会 でし た 。 こ の大 会 も、 予 選 か ら断 ト ツ の演 技 点 をマ ー ク し て、
決 勝 も楽勝 か と思 われ まし た。
し かし、 決 勝の 演武 で、 私は あり 得な いミ スを 犯 してし ま いま した 。
一 番 の 見 せ 場で 他 の 4 人よ り 、少 し だ け 早く 動 い てし ま っ たの で す 。 油断
で は あ り ま せん 。 自 分 が一 番 キレ の あ る 演技 を し て得 点 を かせ ご う と 思っ
た の で す 。 しか し 、 一 番中 心 の、 目 立 つ 選手 の ミ ス、 こ れ は大 き な 減 点に
な り ま す 。 結局 、 私 の ミス で 地方 大 会 3 位と い う 結果 に 終 わっ て し ま いま
した。
も と も と 、他 人 の せ いで 負 ける の が 嫌 いな 性 格 の私 は 、 団体 競 技 が 好き
で は あ り ま せん で し た 。自 分 の努 力 が 、 他の 者 の せい で 無 駄に な る こ とに
腹 が 立った の です 。
「 俺のせ い で負 けた ・・ ・・ ・・ ・。」
私 は自分 で 自分 を責 めま した 。
し か し、監督 やチ ーム の 仲間 は私 を責 めま せん でし た。
「お 前 一人 でやっ て んじ ゃね え。も っと 仲間 を信 じ ろ。」
「 こ の借り は 、来 年の 全日 本で 返そ う。」
今 ま でミス を した 仲間 を責 めた 私に、仲間 は・ ・・ ・。
この時初めて団体競技のすばらしさ、仲間のありが
た さ を知り ま した 。
剣 道 、 柔 道、 卓 球 な ど、 個 人で や る 競 技は た く さん あ り ます 。 し か し、
だ か ら と い って 一 人 で やっ て いる の で は あり ま せ ん。 個 人 の陰 に は 、 チー
ム の 仲 間 が いる の で す 。応 援 して く れ る 家族 、 指 導し て く れる 顧 問 の 先生
が い る の で す。
おまえ一人でやってんじゃねえ!
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