ストレージテクノロジーガイド - Hewlett Packard Enterprise

パンフレット
データの管理
ストレージテクノロジーガイド
パンフレット
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あらゆるものがオンライン化されてつながり合う今日の世界では、ビジネスを確立して成長させ
る方法が 10 年前と比べて劇的に変わりました。企業に対する顧客のアプローチは大きく異なり、
組織内のコミュニケーションも変化しています。企業におけるコミュニケーションのレベルや進
化の速度は、わずか 10 年前から何倍も向上していますが、こうした変化を牽引するのが情報テ
クノロジー (IT) であり、その中核を担う膨大なデータなのです。
そのため、IT に関してお客様が直面するであろう課題は、ビジネスの規模、従業員の数、また
は地理的な位置によって定義されるものではなく、とりわけ、ビジネスの成長に伴って増大する
データを、お客様が管理できるかどうかに関わってくるものと思われます。
IT からのビジネスの変革
今日の IT が実現する高度なコミュニケーションと「あらゆるものがつながり合う」環境は、圧
倒的な量の情報を生み出してきました。このような状況の中、IT の可能性を広げるハイパーバ
イザーなどの IT ツールが登場し、進化を遂げましたが、これらのツールは、ビジネスニーズに
合わせてストレージを構築するプロセスを複雑化させる要因にもなりました。
ビジネスアプリケーション、サーバー、ネットワーク機器、そしてストレージを含む IT を深く
理解する Hewlett Packard Enterprise は、豊富な知識を活用して、非常に規模の小さい家族経
営の企業から、世界最大規模の企業まで、さまざまな組織をサポートしてきた実績を有します。
IT の黎明期からその発展に貢献してきた Hewlett Packard Enterprise は、お客様をはじめとす
る中小企業 (SMB) に、この時代を生き抜くのに必要とされるテクノロジーの基盤を提供する、
The new style of business のための IT ソリューションの構築をサポートし続けています。
現在、SMB における IT の変革で業界をリードする Hewlett Packard Enterprise は、コンバージ
ド・インフラストラクチャ、ソフトウェア・デファインド・テクノロジー、ハイパーコンバージェ
ンスなどの分野で、他社に先駆けて革新的なテクノロジーを発展させてきました。そしてこうし
たテクノロジーは、多くの企業が目まぐるしく変化する今日の IT に対応する中で根本的に変わ
りつつあります。
最新の
インフラスト
ラクチャへの
移行
デジタル
ビジネスの
保護
あらゆる規模の数百万社の企業をサポートしてきた Hewlett
な点で IT およびビジネス目標の達成に貢献可能です。
Packard Enterprise は、次のよう
• 仮想化を行って最新のインフラストラクチャに移行し、コストを削減する
• デジタルビジネスを保護し、ビジネスを維持する
• データ駆動型の組織を実現し、ビジネスを拡大する
ワークプレイスの
生産性の
向上
データ駆動型の
組織の
• ワークプレイスの生産性を向上させ、コラボレーションを強化する
実現
Hewlett Packard Enterprise では、常に時代を先取りしたビジネスを実現することに重点を置い
ているため、現時点でお客様のビジネス、または IT 環境が発展途上の段階にあっても何ら問題
図 1: HPEによるビジネス目標の達成の
サポート
はありません。お客様が予算に見合った最高のテクノロジーを選択し、常に将来に向けた体制を
整えることができるよう、私たちが強力にサポートします。
パンフレット
Just Right IT
SMBにおける次のビジネス成果の
達成をサポート:
• コストの削減
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コストの削減
生産性の向上
ビジネスの維持
顧客の獲得と維持
• 生産性の向上
• ビジネスの維持
• 顧客の獲得と維持
詳細情報:
hpe.com/us/en/storage/entrylevel.html (英語)
図 2: HPEによるビジネス目標の達成のサポート
ストレージテクノロジーの概要
このような移行に着手するお客様のために、Hewlett Packard Enterprise は、データストレージ
の各種テクノロジーとアーキテクチャー、およびそれらのビジネスメリットの理解に役立つこの
ストレージガイドを作成しました。大半のお客様は、データストレージについて考えたくないと
思われているかもしれませんが、データストレージは紛れもなく IT インフラストラクチャの基
盤であり、運用、アプリケーション、およびユーザーをサポートするためにストレージを配備す
る場合、そのときの選択が日々のビジネスから将来のビジネスの成長に至るまで、あらゆる側面
に大きな影響を及ぼす可能性があるため、私たちは、配備するストレージと、そのベースとなっ
ているテクノロジーについて理解を深めていただきたいと考えています。このガイドは前から順
にお読みいただくか、特定のストレージソリューションをご検討の場合は、該当箇所をご覧くだ
さい。
プライマリ ( オンライン ) ストレージ
アプリケーションとサーバーが定期的にアクセスするストレージは多くの場合、プライマリま
たはオンラインストレージと呼ばれます。大部分のアプリケーションには、レイテンシ ( アプリ
ケーションがデータへのアクセスを要求してからアクセス可能になるまでの時間 ) に関する要件
があり、特定のデータへのアクセスに時間がかかり過ぎると、エラーが発生します。データは以
前、アプリケーションを実行するサーバーの近くに格納される ( またはサーバーに直接接続され
る ) のが一般的でしたが、最新のストレージエリアネットワーク (SAN) と仮想化の手法により、
レイテンシが生じる可能性のある、共有 ( プール化された ) ストレージが広く普及したことから、
現在レイテンシは、さまざまなタイプのストレージのテクノロジーとアーキテクチャーを分類、
評価する際の主要な属性の 1 つとなっています。一般的に、データのアクセス時間はミリ秒単位
で測定できますが、ネットワークレイヤーが増え、距離が離れるにつれ、この時間は長くなりま
す。これに関して多くの専門家は、アクセス時間またはレイテンシが 1 秒 (1,000 ミリ秒 ) を超
えた場合、「オンライン」であるとは認められないとしています。
データアクセスタイプ
プライマリストレージはこれまで、データタイプや使用するアクセス手法により、ファイルまた
はブロックという 2 つのカテゴリのいずれかに分類されるのが一般的でした。大部分のオフィ
ス生産性アプリケーションは、ファイルシステムプロトコルを通じ、データをファイル (.doc、.
pdf、.gif、.mp3、およびその他のファイル形式 ) として取得していますが、これをファイルア
クセスと呼びます。オペレーティングシステムは、管理手順、およびコンピューターやサーバー
に保存されているファイルとユーザー間のアクセスプロトコルからなるレイヤーを提供します。
ファイルデータはファイルシステムに保存され、一連のフォルダーおよびサブフォルダーで階層
的に整理されます。また各ファイルには、関連するメタデータ ( 作成者、最終変更日時などのデー
タに関するデータ ) が含まれています。これらのファイルは、物理的なサイズや形式が異なり、
たとえば、画像や動画などの非構造化データと呼ばれる ファイルデータに分類される場合もあ
ります。
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もう 1 つのストレージタイプはブロックストレージと呼ばれ、最新のコンピューティング環境で
広く使用されています。ハイパーバイザー、電子メール、MRP アプリケーション、会計アプリケー
ションなどは、ファイルシステムのオーバーヘッドを生じさせることなくデータブロックに直接
アクセスできますが、これはブロックアクセスと呼ばれ、多くのアプリケーションが、バックグ
ラウンドでの物理ストレージへのアクセスや物理ストレージの共有に使用する主な手法となって
います。ブロックストレージは通常、データベースなどの構造化データと関連付けられます。
Web およびクラウドベースのアプリケーションの増加に伴い、オブジェクトストレージと呼ばれ
る新しいストレージタイプが登場しました。オブジェクトは多くの場合、ファイルと呼ばれます
が、従来のファイルシステムやネットワーク接続ストレージ (NAS) とは違って、パス名とディレ
クトリの概念を持たず、インデックスやデータベースで管理される、一意の ID 番号が付与される
ため、メタデータの管理や検索が容易に行えます。オブジェクトストレージへのアクセスに使用
するプロトコルは、高レイテンシを許容し、ユーザーやアプリケーションがほぼ場所を問わずデー
タにアクセスできるようにする、Web ベースのプログラミング手法から進化したものです。
ストレージアーキテクチャー
プライマリストレージに関する 3 つのデータアクセスタイプに加え、プライマリストレージの
アーキテクチャーには、広く知られているものが 4 種類ありますが、これらのアーキテクチャー
は、さまざまなサブシステムがコンピューティングインフラストラクチャに接続する際に使用す
る、特定のプロトコルと混同されることがあります。各アーキテクチャーの詳細は後述しますが、
ここではまず、それぞれの簡単な定義について説明します。
直接接続ストレージ (DAS)̶一般的にサーバー内に配置されるか、サーバーに直接接続される、
最もシンプルなタイプのデータストレージサブシステムです。サーバーにログオンしているユー
ザーのみが、DAS サブシステム上のデータにアクセスできます。
ネットワーク接続ストレージ (NAS)̶このアーキテクチャーでは、専用のファイルサーバー、ま
たはファイルゲートウェイがローカルエリアネットワーク (LAN) に接続されており、ユーザー
へのファイルの提供に特化したオペレーティングシステムが動作しています。
ストレージエリアネットワーク (SAN)̶SAN は、サーバーと ( ストレージアレイとも呼ばれる )
共有ストレージデバイスや複数のデバイス間で確立されたストレージトラフィック専用のネット
ワークです。大部分の SAN は、保存しているデータに高速かつ低レイテンシでアクセスできる
特別な設計となっており、ストレージリソースをプール化して複数のサーバーで共有することに
より、アプリケーションクラスターに高可用性がもたらされます。高可用性を備えたアーキテク
チャーでは、1 台のサーバーが停止しても、同じアプリケーションを実行し、同じネットワーク
に接続されている別のサーバーで、引き続きデータを処理することが可能です。
NAS/SAN 統合アーキテクチャー̶( ユーザーにファイルを提供する ) NAS デバイスとしての運用
と、SAN を経由したブロックレベルのストレージへの直接接続が可能な統合システムで、統合
ストレージデバイスと呼ばれることもあります。これらのシステムでは、各自のデバイスと 2 種
類のネットワーク (LAN/SAN) 間の NAS トラフィック、および高速 SAN トラフィックの両方を
処理できます。
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ストレージネットワークのオプション
最新のコンピューティングネットワークよってコンピューティング環境は劇的に変化し、コン
ピューター間の接続、ユーザーやアプリケーション間のデータの共有、そして特定のサーバー内
のハードドライブ以外の場所へのデータの保存が可能になりました。また、進化を続けるスイッ
チベースのネットワークテクノロジーと TCP/IP 標準が、ユーザーとコンピューター、および日
常的に共有してやり取りするデータとの距離を事実上なくし、今日のコンピューティングを日々
変化させています。
さらに、LAN の普及によって接続が容易になったことで、特定のネットワーク上の多数のユー
ザーとサーバー間のトラフィックとの間で帯域幅の競合が生じることが増えつつある中、大量の
データをスムーズに転送し、サーバーがユーザーや他のデバイスと帯域幅を取り合うことなく
データにアクセスできるよう、高速での転送と低レイテンシを実現する、専用の高速ネットワー
クも登場し始めています。これらの新しいネットワーク (SAN) は当初、ディスクとテープ両方
のストレージデバイス専用でしたが、現在では、これらの接続に使用できる SAN プロトコルが
複数あり、次のようなものが一般的となっています。
ファイバーチャネル (FC)̶低レイテンシのファイバーチャネルプロトコルは特に、規模が大きく
要求の厳しい環境やストレージネットワーク向けに設計されており、サーバーとストレージデバ
イス間で使用すれば、高いレベルのパフォーマンスと信頼性を発揮します。「光ファイバー」ケー
ブルの使用を意味する名前が付けられていますが、このプロトコルはファイバーケーブルと銅ケー
ブルの両方で実行可能です。FC の通信速度は、1 ギガビット / 秒 (Gbps) から 8Gbps、そして今
日の最新のデバイスで実現されている 16Gbps へと長い期間をかけて進化してきました。大部分
の FC SAN では、転送時に 2 つのエンドポイントを直接接続するスイッチが使用されています。
iSCSI̶IP SCSI とも呼ばれるこの手法では、一般的な Ethernet インフラストラクチャを介して
サーバーとストレージを接続します。TCP/IP スイッチの登場により、IT 管理者が既存の LAN
インフラストラクチャを活用しつつ、ストレージとサーバー間で専用の高速接続を確立できるよ
うになったことから、このプロトコルは広く普及しました。そして現在では 100Mbps、さらに
は 1Gbps Ethernet (1GbE) ネットワークが一般的となり、企業全体のデスクトップに LAN 接続
が提供されることも多くなりました。より新しい 10Gbps Ethernet (10GbE) インフラストラク
チャも使用可能ですが、これは通常、データセンター内でサーバーとその他のデバイスを接続す
る場合にのみ配備します。IT 管理者は多くの場合、iSCSI のトラフィック専用に一部の LAN を
割り当てます。
シリアル接続 SCSI (SAS)̶このプロトコルは、デバイス接続プロトコルとしてのみ使用されてき
ましたが、現在では、FC または iSCSI SAN に代わる低コストのオプションとして、短距離の
ケーブル接続環境用にスイッチを構成した SAS インフラストラクチャを提供しているベンダー
もあります。現在普及しているのは 6Gbps の SAS デバイスですが、12Gbps の SAS も展開され
ています。SAS は、低価格でありながら高速転送機能を備えていることから、共有ストレージと
DAS サブシステムの両方で広く使用されるインターコネクトテクノロジーとなっています。
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ハードディスクドライブテクノロジー
ハードディスクドライブ (HDD) 業界は年々進化しており、初期のハードドライブにはわずか数
メガバイトのデータしか保存できませんでしたが、今ではマルチテラバイトの HDD が存在し、
その発展は堅実かつ目覚ましいものとなっています。
大容量であることに加え、今日の HDD 業界では、2.5 インチスモールフォームファクター (SFF)
ドライブと 3.5 インチラージフォームファクター (LFF) ドライブの 2 種類の HDD フォームファ
クターが主流となっています。当初 SFF ドライブは、LFF と同程度の回転速度や容量を備えて
いませんでしたが、近年その差は大幅に縮まりつつあります。また、容量が増加し続けてきた
LFF ドライブは現在、主に超大容量のマルチテラバイト HDD 向けの設計となっており、最速の
HDD とソリッドステートドライブ (SSD) を採用しているパフォーマンス重視のソリューション
に対抗する、容量重視のソリューションで使用されることが多くなりました。
保有するデータに合ったテクノロジーを選択するにあたり、HDD に関してはもう 1 つの属性で
ある回転速度の検討も必要です。ここでは、HDD が回転してディスク表面がヘッドを通過する
1 分あたり回数 (rpm) が基準となり、一般的に、回転速度が速いほど転送速度が速く、データア
クセス時のレイテンシが低いことを意味します。シークの仕様、内蔵のキャッシュアルゴリズム、
および回転速度の組み合わせにより、HDD のヘッドアセンブリの転送速度とアクセス速度は大
きく異なる場合があります。
ストレージサブシステム内で HDD を使用する場合、ベンダーは一般的に、パフォーマンス特性
を最大限に高めるため、また場合によっては、保存している容量のテラバイトあたりのコストを
最大化するため、HDD のパフォーマンス属性をアレイのコントローラーと一致させようとしま
す。そのため、HDD の種類やその他の属性を選択する際には、お使いのアレイサブシステムの
ベストプラクティスガイドが参考になるはずです。なお、標準的な回転速度は、エンタープライ
ズクラスのドライブで 3,600rpm ∼ 30,000rpm となっています。
HDD インターフェイスの種類
さまざまな SAN プロトコル、つまりインターフェイスの種類についてはすでに述べましたが、
興味深いことに、HDD の大半が広く普及している以下の 3 つのインターフェイスのいずれかを
採用しています。これらの HDD インターフェイスはそれぞれ、独自の特性を持ちます。
シリアル ATA (SATA)̶ビジネスにおいて、パフォーマンスが最優先事項ではなく、ファイルの提
供、データのアーカイブ、または情報の参照用として、コスト効果の高い大容量ストレージを必
要としている場合にお勧めです。SATA ディスクは従来、SCSI、SAS、またはファーバーチャネ
ルディスクより、ギガバイトあたりのコストが低いソリューションでしたが、SAS ドライブのコ
ストが下がったことで、使用されることが少なくなっています。
シリアル接続 SCSI (SAS)̶SATA ディスクよりパフォーマンスが高く、オンラインアプリケーションお
よびストレージに必要な速度、信頼性、高可用性を備える SAS ディスクドライブは、ミッドレンジ /
エントリーレベルストレージアレイの業界標準となっています。高速 SAS の相互接続により、ディス
クアレイおよび内蔵 /DAS エンクロージャーの設計プロセスが容易になり、信頼性とコスト効果も
向上しています。今日の SAS HDD は、大部分が 3Gb または 6Gb の SAS 速度を実現しており、
容量も 100GB から最大数テラバイトまでさまざまです。また、さらに新しい 12Gb SAS インターフェ
イスも展開され始めています。
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ファイバーチャネル (FC)̶FC ディスクドライブは主に、最高レベルの拡張性を必要とする、大
容量のパフォーマンス重視の高可用性ストレージシステムにおいて、高速のデータスループット
を実現することを目的とした設計になっています。FC ディスクドライブは、ここに挙げるオプ
ションの中でギガバイトあたりのコストが最も高額ですが、非常に要求の厳しいミッションクリ
ティカルなアプリケーションに適しており、また、現在市場に展開されている Tier 1 エンタープ
ライズクラスのディスクアレイの多くで主要な設計となっています。
フラッシュストレージとソリッドステートストレージ
ここ数年、ストレージ業界では、ソリッドステートストレージ、またはフラッシュストレージと
呼ばれ、一般的にソリッドステートドライブ (SSD) として提供される、新しいドライブテクノ
ロジーが爆発的に増加しています。ソリッドステート / フラッシュテクノロジーは、不揮発性の
ストレージメディアであるため、電源の供給がなくてもデータの完全性が維持されますが、ビッ
トの「保存」に電力を必要とする従来のシステムメモリでは、こうしたメリットが得られません。
フラッシュストレージは新しいテクノロジーではなく、SSD もすでに確立されたものですが、こ
こ数年でこれらのコストは、大容量ストレージシステムで利用可能なレベルにまで低下しました。
そしてこのようなコストの低下が続けば、フラッシュおよび SSD の導入はさらに広がると予想
されます。フラッシュテクノロジーが、すべての HDD に置き換わるものになるとは考えられま
せんが、回転式の HDD と比較してアクセスパフォーマンスに優れていることから、こうした傾
向が続くのは明らかです。企業においてフラッシュの導入を進めれば、スペースと電力に関する
要件が低減されるというメリットも得られますが、こうしたメリットは、ドライブ内の部品を移
動させる必要をなくすメモリベースのテクノロジーによってもたらされます。また、アクセス速
度とレイテンシの特性は、最高レベルの HDD のパフォーマンス特性と比較して 10 ∼ 100 倍優
れており、その魅力は言うまでもありません。このような優れたパフォーマンスが、システムと
アプリケーションのパフォーマンスにもたらすメリットは非常に大きく、最大級のデータセン
ターで得られるスペース、電力、および冷却コストの削減効果は相当なものとなります。
ストレージテクノロジーにおける「揮発性」と「不揮発性」の違いは今や誰もが知るところで、
フラッシュテクノロジーは、大規模エンタープライズシステム以外でも利用されています。コス
ト、アクセス速度、および不揮発性機能は、何年にもわたり、HHD とシステムメモリテクノロジー
を分ける主な基準となってきましたが、業界の進化に伴って、単一のチップ上のストレージエレ
メントの数は増加し続け、ドライブレベルの統合も進み続けると思われます。また、コストの大
幅な低下が続き、新しい不揮発性テクノロジーが開発される中で、今後もあらゆる規模の企業が
このテクノロジーを広く採用する傾向が見られるでしょう。
表 1: ディスクドライブテクノロジーの比較
シリアルATA (SATA)
SCSI
シリアル接続 SCSI (SAS)
ファイバーチャネル
SSD
低
中
中
高
高
容量
最高
中
中
中
高
信頼性
中
高
高
高
中
パフォーマンス
低
高
高
高
非常に高い
データアクセス
中
頻繁
頻繁
頻繁
頻繁
1GB あたりの
価格
最適な用途
ファイルストレージ、
ビジネストランザク
ビジネストランザクション、
ビジネストランザクション、
ハイパフォーマンス/
アーカイブ/バックアップ、
ション、プライマリア
プライマリアプリケーション
プライマリアプリケーション
低レイテンシアプリケーシ
セカンダリアプリケー
プリケーション
ション
ョン、OLTP、VDI、階層
化、分析
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適切なストレージ戦略の選択
ここまでプライマリストレージのオプションについて説明してきましたが、現在および将来の
ニーズに最適な組み合わせのテクノロジーを選択できるよう、各アーキテクチャーの長所と短所
を理解することが重要です。
DAS
前述のとおり、DAS はサーバー内のドライブ、またはサーバーに直接接続されている外部のス
トレージエンクロージャーにアクセスできます。DAS の構成では、HDD や SSD などの 1 つ、ま
たは複数のデータストレージコンポーネントがコンピューターに設置されているか、( 多くの場
合 SAS リンクで ) 直接接続されています。また DAS では、各サーバーに個別のストレージが構
成されます。
新しいストレージオプションの 1 つとして、SAN または SAN ファブリックを使用するのではな
く、一定数のサーバーを直接ストレージシステムに接続した共有 DAS があります。
クライアント
アプリケーション
サーバー
パブリックLAN
図 3: 共有 DAS の構成
NAS
NAS は本来、特にネットワーククライアント向けのファイルベースの I/O トラフィックを処理す
るように設計および調整された、オペレーティングシステムを実行する専用のファイルサーバー
です。NAS では、すべてのクライアントが LAN 経由で同じストレージにアクセスし、クライア
ントコンピューターから NAS サーバーへのアクセスは通常、Ethernet (LAN) 接続を介して行わ
れます。NAS サーバーは、固有の IP アドレスを持つ単一のノードとしてネットワーク上に存在
し、NAS システムに保存されているファイルは、CIFS/SMB (Windows® クライアント ) や NFS
(Linux® および UNIX®) などのプロトコル経由の Ethernet 接続を介して、LAN 上のクライアン
トにアクセスできます。
また、NAS システムの多くは、HTTP や FTP などのプロトコルによるインターネットベースの
ファイルアクセスにも対応しています。NAS 製品は、低コストのホームオフィスレベルのデバ
イスから、従来の SAN ストレージアレイへのファイル接続を提供する、クラスター化されたエ
ンタープライズクラスの NAS ゲートウェイまでを幅広くカバーしており、新しい NAS テクノロ
ジーの一部は、NAS のファイルレポジトリの増大に合わせた容量の「スケールアップ」だけで
なく、パフォーマンスの「スケールアウト」も可能です。
SMBを使用する
Windowsクライアント
(CIFS)
ネットワーク
プリンター
NFSを使用する
Linux/UNIXクライアント
パブリックLAN
ファイルI/Oトラフィック
図 4: NAS の構成
NASデバイス
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SAN
SAN はストレージ専用のネットワークで、LAN とは別に、サーバーからストレージへのアクセ
スを提供します。ストレージの通信を処理するように設計された SAN には、サーバーとデバイ
スが同じネットワーク上の他のデバイス、またはユーザーと競合することがないというメリット
もあります。
最もシンプルな SAN の構成は、次のようになっています。
• 共有ストレージ ( 一般的にはディスクアレイ )
• サーバーとストレージ相互の「通信」を可能にする高速の専用ネットワーク ( 一般的にはスイッ
チを構成したネットワーク )
• SAN 内のデータの管理と保護をサポートするデータサービス
クライアント
アプリケーション
サーバー
パブリックLAN
ブロックI/Oトラフィック
ストレージエリアネットワーク
(ファイバーチャネルまたはiSCSI)
ストレージアレイ
図 5: SAN の構成
NAS ゲートウェイと SAN
NAS は一般的に、ファイルデータを保存し、そのデータへの NAS ゲートウェイ経由のアクセス
を提供するためにも使用されます。SAN に NAS ゲートウェイを使用すれば、双方のテクノロジー
のメリットを組み合わせて、ファイル I/O とブロック I/O の両方を提供できます。このゲートウェ
イは、固有のオンボードストレージを持ちませんが、ファイルレベルの NAS プロトコル (NFS
や CIFS など ) とブロックレベルの SAN プロトコル ( ファイバーチャネルまたは iSCSI) 間の変
換装置として機能する SAN に接続されたアレイに接続し、その SAN アレイ上にファイルデータ
を物理的に保存します。
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この NAS と SAN のハイブリッド環境では、両方のテクノロジーのメリットが融合され、ハイパ
フォーマンスな SAN アレイのストレージ機能を活用するとともに、仮想化をはじめとするその
他の IT イニシアチブをサポートできる高度なファイル提供機能が提供されます。ただし、スト
レージシステムが、ブロックおよびファイルワークロードの両方を提供するように基礎から設計
されている限り、それらのワークロードをサポートする統合ストレージアレイは、両方のテクノ
ロジーを組み合わせるための別のオプションとなります。市場に展開されている、いわゆる「統合」
アレイの一部は専用のテクノロジーではなく、単一のアプライアンス内で組み合わせた NAS ゲー
トウェイと SAN の根底にある複雑性を隠すためだけの、追加のテクノロジーで構成されていま
す。
クライアント
ファイルI/Oトラフィック
パブリックLAN
NASゲートウェイ
ストレージエリアネットワーク
(ファイバーチャネルまたはiSCSI)
ストレージアレイ
図 6: NAS と SAN のハイブリッド構成
適切なバックアップ / データ保護戦略の選択
これまでプイマリストレージについて述べてきましたが、ストレージに関する 2 つ目の選択肢で
ある、バックアップテクノロジーやデータ保護プロセスも同様に大切で、データを保護しなけれ
ば、非常に重要なビジネス資産の損失や破損につながり、主要なビジネスがリスクにさらされる
ことになります。これについては、多くのお客様が、信頼できるデータ保護プロセスの導入が今
日のビジネスにおける最も重要な課題の 1 つであると述べています。このセクションでは、お客
様がデータとビジネスの保護に最適な選択肢を決定できるよう、詳細を説明していきます。
ます、次に挙げる 2 つの主要な概念に基づいて、ビジネスニーズを評価します。
• 目標復旧時間 (RTO): ビジネスに影響を与えることなく ( システム全体のリストア時に )
ネスプロセス / アプリケーションのいずれかをオフラインにできる時間。
ビジ
• 目標復旧時点 (RPO): たとえば、最後に保存したコピーからリストアを行わなければならな
い場合に、失っても差し支えのないデータの量。
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24 時間 365 日稼働しているデータベースアプリケーションなどでは、RPO が最新のトランザク
ションとなり、ファイルサーバーでは、前日の夜のバックアップがこれに該当すると考えられま
す。一般的に、RTO を削減すると、保護における最初のポイントでのディスクベースのアクティ
ビティに影響が及び、さらには、システム全体の再構築のために選択したディザスタリカバリ戦
略全体にも影響する可能性があります。そのためこのセクションでは、お客様がニーズに最適な
データ保護ソリューションを理解および特定できるようにします。
お客様にとって「必要」とならないことが望ましいのは確かですが、データ保護戦略は、大規模
なデータ損失に伴うリスクとお客様の間に存在する重要な要素であり、企業の規模やストレージ
の総容量にかかわらず、綿密なデータ保護戦略と何度も見直しを行った詳細なリカバリ手順は、
お客様がリスクを削減し、安心を得るうえで重要な役割を果たします。
データ保護の分野では、
「短期間のうちに変革が進み」、これまで大企業にしか導入できなかった、
堅牢かつ成熟した一連のテクノロジーが提供されるようになり、今では、最小規模の SMB でも、
これらのテクノロジーを低コストで取得して、( 適切に使用すれば ) 高レベルの可用性、保護、
そしてリカバリを実現できるデータ保護機能を利用することが可能になりました。バックアップ
およびリカバリプロセスでは、原則として容易なアクセスと迅速な回復が求められるため、速度
が重要となります。システムが停止しても、時間を止めることはできません。そして、求めてい
る IT の成熟度とデータ保護に投入できる予算を数値で表すために、いくつかの評価基準が使用
されています。
プライマリストレージにおいては、データ保護戦略の推進に使用するストレージの種類を、その
ストレージの使用方法に基づいて決定します。
• バックアップストレージ ( セカンダリストレージ )
は、ハードウェアに関連するさまざまな障
害が発生したとき、さらにはプライマリシステムでデータが破損したときに、データおよびシ
ステムのリストアに使用します。
• ディザスタリカバリ (DR)
は、さらにレベルの高いバックアップストレージの機能で、多くの
場合、物理サイトや地理的な場所にわたって実装されます。DR では、システムにデータを保
存することと同様に、データだけでなく、システムを完全に複製できる機能が重要となるネッ
トワークでのシステム全体の再構築に重点が置かれます。
• アーカイブまたは長期保存用のストレージは、多くの場合、オフラインストレージと呼ばれま
す。このタイプのストレージは、データをオンライン状態にしておく必要がなくなった後も、
一定の期間情報にアクセスできるようにしておくために使用されます。
損失なし
高
クラスタ
リング
日単位
一般的なSMBアプリケーション
クラウド
バックアップ
スナップ/ミラー
ディスク
バックアップ
コスト
目標復旧時点
(データ損失)
同期複製
テープバックアップ
低
日単位
目標復旧時間 (データ復旧)
図 7: データ保護戦略における留意事項: RPO 、RTO 、およびコストのバランス
ほぼ瞬時
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データ保護テクノロジー
データ保護テクノロジーには、データのバックアップとアーカイブに広く使用されている磁気
テープなど、複数の目的に合ったさまざまなものがあります。50 年以上にわたって データの保
護に使用されてきたテープは、現在も大容量かつ長期的なデータの保護において、最もコスト効
果とエネルギー効率に優れたテクノロジーです。低価格化が進む ディスクベースのバックアッ
プを利用する組織も増えていますが、テープは、低コストの長期的なアーカイブに適した手法と
して、再び増加しつつあります。
磁気テープ
バックアップ、または長期的なアーカイブに使用した場合、磁気テープにはいくつかのメリット
があります。テープメディアカートリッジは比較的小さいうえに極めて密度が高く、携帯性に優
れているため、移動が簡単でオフサイトにも保存できます。テープテクノロジーでは通常、各カー
トリッジの容量を効率的に使用できるようにする、ハードウェアレベルの圧縮が活用されます。
また、Linear
Tape-Open (LTO) 規格により、メディアシェルフを最長 30 年間保持できること
から、アーカイブデータの保存に最適な選択肢となっているテープは、他のテクノロジーと比較
して、ギガバイトあたりのコストを非常に低く抑えられます。自動化されたライブラリソリュー
ションは、複数のカートリッジで大容量のバックアップを行うために、多くの環境にスムーズに
統合することが可能で、このソリューションにより、ネットワーク上の複数のデバイスのデータ
保護を自動化することもできます。暗号化やメディアのバーコード化などのテクノロジーは、ソ
フトウェアで管理できるため、複数の場所にあるメディアを追跡したり、このモードでのプライ
バシー侵害の発生のリスクを軽減したりすることが可能です。
リニアテープファイルシステム (LTFS) の規格をサポートするテープ製品では、ドラッグアンド
ドロップ機能により、テープをディスクと同じように簡単に使用できます。またテープは、バッ
クアップとアーカイブを簡素化する、次のようないくつかの自動化テクノロジーを提供します。
• テープオートローダー̶テープオートローダーは、テープへのデータのバックアップを自動化
します。Web ベースのリモート管理により、手動でのテープの交換や複雑なデータバックアッ
プソフトウェアが不要になるため、ローカルの IT スタッフの負荷が軽減されます。また、テー
プオートローダーを使用すれば、複数のサイトからのバックアップを一元化できます。
• 自動テープライブラリソリューション̶Web ベースのリモート管理により、自動テープライブ
ラリの単一の場所からの管理、またはグローバルな管理が容易になるため、リモートオフィス
に IT スタッフを配置する必要がなくなります。また、バーコードリーダー、構成可能なメー
ルスロット、およびリムーバブルマガジンにより、ライブラリ内外でテープメディアを迅速か
つ簡単に管理できます。このテクノロジーを活用すれば、バックアップブロックおよびソフト
ウェアの高度な管理が実現します。
ディスクベースのデータ保護と重複排除
高速でパフォーマンスに優れていることから、大企業や拡張性の高い新しいエンタープライズレ
ベルのシステムで広く使用されているディスクベースのデータ保護は、魅力的な価格で SMB に
も広まりつつあります。テープと比較して、ディスクベースのバックアップには次のようなメリッ
トがあります。
• バックアップウィンドウが短く、アプリケーションへの影響も少ない
• 単一のファイルを迅速にリカバリできる
• RAID、複製、ハードウェア冗長性などの高可用性機能を提供する
• 容量要件やコストを削減する重複排除などの機能を提供する
パンフレット
P13
データの保持とコピーの管理
データの保持とコピーの管理は、データ保護戦略において重要な要素となります。データ保護戦
略の策定にあたっては、次のような非常に重要な決定を行う必要があります。
• データコピーの作成方法
• 保持するコピーの数
• コピーの保持期間
• ( リストアに ) コピーを使用できる期間
• 手元に必要なコピーの数
以降のセクションでは、ディスクベースの各種バックアップシステムが、どのようにスペース効
率に優れたバックアップおよびリカバリをサポートするのかを説明します。
スナップショット、クローン、ミラー̶スナップショットテクノロジーでは、ある時点でのデー
タの「写真」を撮り、そのディスクイメージの写真を非常に迅速にアレイ上に保存します。スナッ
プショットは、データの変更中も維持され、データは、データの破損やハードウェアのエラーが
発生したときに、過去の任意のポイントインタイムスナップショットにリカバリできます。スナッ
プショットは多くの場合、ディスクおよびテープバックアップを補完するものとなりますが、ス
ナップショット自体は二次的な場所ではなくプライマリアレイに保存されるため、ディザスタリ
カバリ機能は提供しません。
スナップショットはアレイ上でかなりの容量を占め、バックアップアプリケーションとハイパー
バイザーの多くは、アレイのスナップショットおよびミラーリング機能に統合されますが、新し
い「フラットバックアップ」テクノロジーを使用すれば、スナップショットをリストアできる専
用のバックアップアプライアンスにブロックストレージアレイのスナップショットを移動させ
て、プライマリアレイのスペースを節約し、保護レイヤーを追加することが可能です。
クローン ( またはボリュームコピー ) はスナップショットに似ていますが、同じアレイ内の別の
ディスクセットに 「
( 写真」を撮るのではなく ) 物理的にデータをコピーします。ボリュームコピー
のもう 1 つのメリットとしては、バックアップ、アプリケーションテスト、またはデータマイニ
ングを目的に、( 専用のバックアップアプライアンスやサーバーなどの ) 別のデバイスにコピー
を送ることができる点にあります。
リモートデータ複製̶リモート複製は、同一のデータセット 2 つを複数の物理サイトにわたる分
散システムに保存できる、ディザスタリカバリを実現するためのデータ保護テクノロジーです。
プライマリサイトでデータを変更すると、それらの変更データは、バックグラウンドの代替サイ
トに移動または複製され、災害発生時には、このリモートコピーを使用して、ビジネスを迅速に
復旧できます。また、場合によっては、オフラインシステムを引き継ぐリモートストレージシス
テムへの自動フェイルオーバーにより、中断を伴うことなく、アプリケーションがオンライン状
態に維持されます。一般的に、フェイルオーバーとシステムの可用性を連携させるソフトウェア
アプリケーションは、リモート複製サービスを活用して、ほぼリアルタイムでクリティカルなシ
ステムをフェイルオーバーします。
パンフレット
P14
重複排除̶重複排除は、ストレージの使用量を減らして、ストレージのコスト効果に変化をもた
らすことで、大幅な節約を実現できるテクノロジーで、ユーザーニーズの増大に応じて、柔軟性、
操作性、および効果の点で進化を続けてきました。重複排除は一般的に、バックアップに関連し
て使用されますが、現在では一部のプライマリストレージシステムでも利用でき、プライマリス
トレージシステムで SSD を使用している場合、重複排除によりフラッシュに対する投資を最大
限に活用することが可能です。多くの企業が、配備の方法と場所に関して重複排除にさらなる柔
軟性を求めるとともに、より緊密な統合、迅速なバックアップとリカバリ、そしてドメイン内や
複数のドメインにわたる、効率化のための重複排除機能を必要とする中、このテクノロジーは特
に SMB に魅力的なものとなりました。
ソフトウェア・デファインド・ストレージ・テクノロジー
ソフトウェア・デファインド・ストレージ (SDS) は、既存の x86 ベースのサーバーなど、業界
標準のハードウェア上でストレージデータサービス ( スナップショット、シンプロビジョニング、
マルチサイトディザスタリカバリなど ) を提供するテクノロジーで、これらすべてをソフトウェ
アで処理することにより、既存の機器に対する投資を活用できるようにするものです。SDS を差
別化するメリットは、ソフトウェアベースの豊富なデータサービスにあり、ストレージでは、シ
ンプロビジョニング、スナップショット、ディザスタリカバリなどの効率化で大きな効果がもた
らされます。単一の共通の管理インターフェイスで維持されるこれらのテクノロジーは、真の移
植性と柔軟性を実現するため、オープンでなければなりません。
API ベースの管理 / オーケストレーションツールである SDS は、ビジネスアプリケーションや
基盤となるストレージサービスでハードウェアリソースを共有できるようにすることにより、コ
ンバージド・インフラストラクチャの実現を支える主要なテクノロジーです。同じプラットフォー
ム上でアプリケーションとストレージを統合すれば、コンピューティング性能を有効活用できる
うえ、ストレージの電力 / 冷却効率を高め、データセンターの設置面積を削減することが可能です。
仮想ストレージアプライアンス̶SDS ソリューションの 1 つの例である、仮想ストレージアプラ
イアンス (VSA) は、柔軟性とコスト効果に優れた方法で仮想環境に高度なデータサービスを提
供します。前述のとおり、こうした高度なデータサービスには、データの保護と複製、マルチサ
イトおよびリモートコピー機能によるディザスタリカバリ、一元管理、複数のポイントにおける
ハイパーバイザーと管理の統合などが含まれます。VSA ソフトウェアは仮想マシン内で実行さ
れます。また、VSA はハードウェアに依存しないため、仮想化ソフトウェアを実行する標準ベー
スのあらゆるサーバー ( またはその一部 ) をプライマリストレージアレイに変えることができま
す。VSA ソフトウェアは、ハイパーバイザーに依存しない設計となっており、VMware® 社や
Microsoft® 社などが提供するものを含む、主要な仮想化ソフトウェアと連携することで、さまざ
まなプラットフォーム、場所、さらにはハードウェア世代にわたるデータの移動が可能な、アジ
リティに優れたインフラストラクチャを構築できるようにします。
パンフレット
P15
ハイパーコンバージェンス̶SDS は、コンピューティング ( サーバー )、ネットワーク、および
ストレージを、15 分未満で立ち上げることができる、完全統合型で配備が容易な、ほぼ瞬時に
仮想化される IT 環境に統合する、ハイパーコンバージェンスと呼ばれる業界の新たなトレンド
の実現を支える主要なテクノロジーです。このオールインワンソリューションは、現在のニーズ
や予算に最適ではないかもしれませんが、ハイパーコンバージェンスが将来大きな波となること
は間違いありません。あらゆるものを備えた仮想化データセンターのように、ハイパーコンバー
ジドアプライアンスは、VSA ソフトウェアを実行する標準ベースのサーバーハードウェアを使
用して、ストレージデータサービスにすべての仮想化ソフトウェアを事前に組み込むとともに、
すべてのネットワーク機能を統合して、SMB だけでなく大企業にも最適な、簡単かつ迅速に配
備できるターンキーソリューションを提供します。現在のところ、このレベルのソリューション
は多くの SMB にとって身近なものではありませんが、ハイパーコンバージド市場が猛烈なスピー
ドで拡大を続けているのは明らかです。こうしたソリューションの価格が下がり続ける中、ハイ
パーコンバージェンスが SMB で幅広く利用され、非常に迅速かつシンプルな方法で完全統合型
の仮想化 IT 環境を実現できるようになるのは、もう時間の問題です。
Hewlett Packard Enterprise が選ばれる理由
ストレージを専門とする広範なリソースや IT スペシャリストを擁することの多い大企業とは異
なり、大規模な投資を行ってストレージ戦略を基礎から策定できるだけの 時間、リソース、あ
るいは専門知識を持たないお客様は少なくありません。サーバーやビジネスアプリケーションと
シームレスに連携して、爆発的なデータの増加と既存の IT インフラストラクチャの機能との隔
たりを埋める、包括的でありながら、実装の容易なソリューションが求められていることを理解
している Hewlett Packard Enterprise では、業界で最も幅広く包括的なストレージポートフォ
リオを取り揃えています。4 つの領域の変革を促進する HPE Just Right IT プログラムは、ビジ
ネスの成長に合わせて拡張できる、シンプルで信頼性の高い低コストのストレージシステム、ソ
フトウェア、およびハイパーコンバージドアプライアンスにより、ビジネス成果の達成を強力に
サポートします。また、信頼性とコスト効果に優れた包括的なバックアップ / データ保護ソリュー
ションで、ほぼすべての SMB のニーズに対応し、お客様の最適な選択を支援します。
Hewlett Packard Enterprise は、SMB 向けの拡張性と操作性に優れた Windows ベースの NAS
ファイル / プリントソリューションや、クリティカルなデータとアプライアンスに必要とされる
拡張性、パフォーマンス、および広範な相互運用性を備えた、包括的な SAN ソリューションを
提供するとともに、ハイパーコンバージドアプライアンスを通じて、単一の仮想化ソフトウェア
ベンダーへのロックインを生じさせることのない、ハイパーバイザー非依存のストレージソフト
ウェアをベースとする仮想化 IT インフラストラクチャを最短のプロセスで構築できるよう、お
客様をサポートします。そしてそれだけにとどまらず、成功を実現すべく 多くのお客様とパー
トナーシップを締結している Hewlett Packard Enterprise なら、あらゆる面で支援を提供する
ことが可能です。
パンフレット
IT イニシアチブの推進
お客様の多くは主に、ビジネスの成長とスムーズな運用を支援する役割を担っています。Just
Right IT プログラムは、現在変革に取り組んでいる領域に基づいて IT イニシアチブを推進する
とともに、ストレージに関する課題を解消することで、ビジネス成果の達成に注力できるようお
客様をサポートします。このプログラムではまず、ストレージの配備に必要なコストを削減し、
管理を簡素化することから開始します。また、ダウンタイムやデータの損失からお客様の IT 環
境を保護し、アプリケーションやユーザーが、業務に必要なクリティカルな情報に常にアクセス
できるようにします。
ビジネスにおいて、「万能」のソリューションは存在しません。Hewlett
Packard Enterprise と
全世界の 20 万社を超えるチャネルパートナーが、豊富な専門知識を活用してアドバイスを提供
し、今日のビジネスにおけるニーズや要件への対応、そして将来の成功を実現するための計画の
策定を強力にサポートします。Hewlett Packard Enterprise はストレージを販売するだけでなく、
お客様とパートナーシップを締結し、ともに成功を目指します。
参考資料
ここまでで、ストレージの要件に対応するための各種ソリューションの詳細を理解するとともに、
ニーズに関する情報に基づいた意思決定に必要な知識を習得いただけたかと思います。信頼のス
トレージパートナーとして Hewlett Packard Enterprise、または全世界の 20 万社を超えるパー
トナーを選択して運用を効率化し、ストレージのコストを削減する方法については、次のソリュー
ションパンフレットをご覧ください。
• Just Right IT: 仮想化向けストレージソリューション
• Just Right IT: バックアップ / データ保護ソリューション
• Just Right IT: Exchange 向けストレージソリューション
• Just Right IT: SQL Server 向けストレージソリューション
• Just Right IT: ファイル共有ソリューション
詳細情報
hpe.com/us/en/storage/entry-level.html (英語)
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4AA4-7667JPN、2015年12月、Rev. 1