埼玉県の医師不足対策、何をなすべきか ?

医療特集 総集編
埼玉県の医師不足対策、何をなすべきか ?
埼玉県は、人口10万あたりの医師数が全国で一番少ない状況です。今後、埼玉県は急速に高齢化が進行して、
2050年まで医師不足が続くと予測されています既に地域によっては、病院の閉鎖、診療科の閉鎖・休止、また
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救急搬送拒否などの問題が発生しており、危機的な状況が迫っています。所沢市内でも西埼玉中央病院のNICU
(新生児特定集中治療室)が、医師の退職により閉鎖されたまま再開の目処が立っていません。
★ 埼玉県人口 10 万人あたりの
★ 人口 10 万人あたりの医師数
全国最多
京都府(最多) 286.2人
医師一人あたりの人口負担 349人
全国最低
埼玉県(最低) 142.6人 医師一人あたりの人口負担 701人
緊急報告
約2倍
の差
産婦人科医師数 全国47位
小児科医師数 全国45位
救急科医師数 全国37位
会派による調査結果がまとまる
(H22年厚労省調べ)
京都の救命救急センターを視察→
私の所属する会派では「医学部設置検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、全国各地の病院に視察調査に行くなど、
調査を続けてきました。その結果、埼玉県における医師不足の現状と、取るべき対応策が詳細にわかってきました。
「医師不足の主な原因」どうして埼玉県は人口あたりの医師数が全国一少ないのでしょうか?
原因その1:医師の新研修医制度により大学の医局の力が弱まり、医師が自由に勤務先を選ぶようになった。その結果、
キャリアアップに有利な病院や、居住に魅力的な地域に医師が集中するようになり、東京に吸引される埼玉は不利に。
原因その2:医師数の足りない病院では、労働条件が過酷になる。キツイ勤務状況が医師離れを起こし、残された
医師に来るしわ寄せがより厳しくなる悪循環で、新しい医師が来にくくなってしまう。
初期診療を行う医師の減少
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総合診療医の育成・活用
病院−診療所・病院−介護施設・
病院−病院の連携が実現できない
病院の役割分担が不明瞭
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地域連携の強化・実現
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医師が職場を自由に選択できる
医局制度の設置
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【提案】専門外を理由に、診療を断るケースが出ている近年の状況を改善する為、
国も育成に力を入れている総合診療医を増やして活用し、たらい回しを防ぐ。
【提案】地域によって、病院や診療所の資源が異なるので、実情に合わせた
ネットワーク作りが必要。真に病院を必要とする時に病院を利用し、その後は
身近な診療所に医療を、介護施設に生活部分を託すなどの連携を進める。
誰が・どの病院がキーマンになって進められるかが課題。
【着手済】昨秋、埼玉県総合医局機構を設置。医師バンクの他、医師がキャリア
アップできる仕組みの充実を図り、医師に魅力ある埼玉を創る。
患者のコンビニ受診行動の平常化
【提案】医師を疲弊させない受診を患者が実践する事で、医師の定着率をアップさせる。
(緊急性のない軽症患者の救急外来の利用) 【実施済】夜間休日に子どもの具合が悪くなった場合に、どの医療機関を受診
すべきか(あるいは朝まで様子を見るか)等を電話で聞く事ができる#8000
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で24時間対応を実現。救急車の適正利用や、病院の医師を疲弊させない取り組み
適切な受診行動の推進
として、効果を上げている。この秋からは大人版「#8000」も導入。
救急患者を断る病院の増加
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救急専門病院の設立
病院勤務医の業務量増大
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医学部設立/メディカルスクール設立
水村の想い
【2014年度から対応】断らない救急拠点病院を県内9ヶ所に設け、その後の
治療を医療機関同士で繋ぐネットワークを作る。効率よく医療資源を活かせる
ように。
【国の対応待ち】メディカルスクールというアメリカにおける実技中心の医師
養成コースの設置も含め、県は県立医学部の設置を国に要望中。
医師不足の解消に即効薬はありません。出来る事は全て取り組むとの姿勢で、様々な政策に
総合的に取り組みながら、医師不足の解消に全力で取り組んでいきます。
医療特 集 総 集 編
埼玉県議会議員 水村あつひろ活動報告
※過去の医療特集を再編集しました。
医師不足の現実には、こう対応せよ
∼救急医療編∼ 救急専門病院 救急医の活用を
水村の所属会派では、医学部設置検討プロジェクトチームを設置し、埼玉県における医師不足の現状と
取るべき対応策の調査を行いました。地域ごとに医師不足の現状も、その原因も異なることがわかりまし
たが、今回はその中でも、救急医療の現場において、どうこの現状を解決していくべきかをお伝えします。
「断らない救急」への挑戦。総合診療医の活用と周辺病院との連携で改善を。
現在の救急現場では専門分化が進み、患者さんの症状の
埼玉県の医師不足
専門医がいないと、受け入れを断るという事態になって
います。しかし、医師不足の状況で、細かく分かれた
専門医を全分野にわたって当直医まで確保することには
救急現場にも影響が
無理があります。
【事例】2013年1月、久喜市の男性が救急車を呼ぶが、すぐ
そこで参考になるのが、京都絡和会音羽病院の取り組み
に来た救急車が、25病院から36回にわたって搬送を断られ、
です。何でも診られる総合診療医を救急医として活用、 2時間30分後に運び込まれた 城県内の病院で死亡。
幅広い症状の患者に対応することで、
「断らない救急」
を実践しています。
また救急としての手当てを終えた後は、容態に合わせ
て、同病院の別の科や連携している周辺の病院に患者
さんの転院をはかります。これにより、新しいベッドが
確保され、新たな救急患者さんの受け入れが可能になる
仕組みです。
埼玉県:タブレット端末を配備
全救急車に搭載し、受け入れ病院を探しやすく。
受け入れ病院に診察できる医師が足らないのでは、
根本的な解決にならない。
医師を増やす
政策の実行。
▲音羽病院を視察調査。
「今後も総合診療医を救急医として育
てていく。
」と中村医師。2年ほどの研修を経て養成している。
これにより「断らない救急」を実現。
音羽病院の取り組み
京都絡和会音羽病院の
ケースが参考に
(好事例)音羽病院の取り組み
音羽病院
■二次救急医療圏の搬送状況(平成24年)
救急医
二次救急医療 二次救急医療 県外搬送
総救急搬送人数
圏内搬送(%) 圏外搬送(%) (%)
何で
何でも診られる
総合
総合診療医を
救急
救急医として活用
埼玉県全体 270,524 人 82.5% 12.5% 5.0%
*二次救急医療圏とは : 一次は初期救急、三次が生命にかかわる
高度な診療機能を備える病院で、二次救急病院は入院手術が必要
な患者を受け入れており、それぞれ市町村単位、全県、県内
各地区の地域ごとに体制の整備を進めています。
*地域によっては、東京都や群馬県などへの搬送も多い現状です。
(児玉地区は県外搬送が 36.3%)
現在ある救急病院のER化で
「断らない救急」の実現を
手当後
救急患者
他科の
医師
周辺病院
手当後に
転院
周辺病院