からだとこころの健康相談 - 大学生協の学生総合共済

年間報告書
学生生活無料健康相談テレホン
からだとこころの健康相談
期間:2014年10月~2015年9月
2015
報告書について
全国大学生協共済生活協同組合連合会
会長理事
濱田 康行
(北海道大学名誉教授)
■目 次
1
2
3
4
大学生協では、学生総合共済に加入する学生を対象に
「学生生活無料健康相談テ
レホン」
を行っています。この電話相談は、健康づくりや健康管理に関する
「からだの
健康相談」
と各種のこころの悩みにこたえる
「こころの健康相談」
があり、24時間365
日、
学生やその家族からの相談に専門の相談員が応じています。
この報告書は、2015年度
(2014年10月∼2015年9月)
の
「学生生活無料健康相
談テレホン」
の利用データを分析してまとめたものです。また、全国大学メンタルヘル
ス研究会の杉田義郎先生のご執筆による
『健康&安全のための特別連載コラム』も
掲載されています。本報告書を学生の健康管理の推進等にお役立ていただけました
ら幸いです。
それぞれの大学生協では、
「健康チェック」
「食生活相談会」
「スポーツ企画」
等を実
施して学生の健康づくりに取り組んでいます。メンタル面では入学時の友だちづくり
企画等を積極的に実施するなど、総合的に予防提案活動を行っています。各大学の
保健管理センターや学生相談室等の多くの皆様方とともに、将来を担う学生たちの
からだとこころの健康づくりを推進する環境をつくっていきたいと思っております。お
気づきの点や大学生協へのご要望等がございましたら、
何なりとお寄せください。
からだの健康相談
からだの相談利用件数/Ⅰ.
相談者の内訳
P.1
Ⅱ.
時間帯別件数/Ⅲ.
相談内容別件数
P.2
Ⅳ.
大学別件数
P.3
Ⅴ.
相談の傾向
P.4
Ⅵ.
ホットボイス
P.6
こころの健康相談
こころの相談利用件数/Ⅰ.
相談者の内訳
P.8
Ⅱ.
時間帯別件数
P.9
Ⅲ.
相談内容別件数
P.10
Ⅳ.
大学別件数
P.11
Ⅴ.
相談の傾向
P.12
Ⅵ.
ホットボイス
P.14
扶養者事故死亡共済金相談
扶養者事故死亡共済金相談利用件数/Ⅰ.
相談者の内訳
P.19
Ⅱ.
時間帯別件数
P.20
Ⅲ.
相談内容別件数
P.21
Ⅳ.
大学別件数
P.22
Ⅴ.
相談の傾向
P.23
健康&安全のための特別連載コラム
◆生きる力の総合力をアップするストレス対処力
(上)
(中)
P.24
◆生きる力の総合力をアップするストレス対処力
(下)
P.25
[1]からだの健康相談
634件
今年度
からだの
相談
利用件数
■新規利用
■再利用
■不明
521件
前年度
441件 ■ドクター利用件数
193件
0件
9件
Ⅰ.相談者の内訳
【男女別】
今年度
209
425
男性
女性
125
前年度
0%
396
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
【続柄別】
本人
親
今年度
(前年度)
196
182
91
今年度
(前年度)
169
24
24
221
216
男性
女性
今年度
その他 (前年度) 8
3
1011
0件
50件
100件
150件
200件
250件
300件
350件
400件
【学年別】
今年度
人数
前年度
割合
人数
1年
今年度
(前年度)
2年
今年度
(前年度)
今年度
(前年度)
割合
1年
117
18.5%
84
16.1%
2年
105
16.6%
103
19.8%
3年
3年
118
18.6%
131
25.1%
4年
4年
116
18.3%
101
47
30
26
39
634人
100%
521人
男性
19.4%
18
18
1
1
82
女性
66
69
50
41
33
0件
100%
79
118
34
35
今年度
(前年度)
その他 今年度
(前年度)
合計
75
77
13
大学院 今年度
大阪大学名誉教授(前大阪大学保健センター教授)
(前年度)
杉田 義郎
1
大学院
87
13.7%
19
3.6%
北海道大学名誉教授(前北海道大学保健センター長)
その他
91
14.4%
83
15.9%
武藏 学
70
67
17
50
50件
100件
150件
【住居状況】
今年度
前年度
一人暮らし
365
57.6%
321
61.6%
家族と同居
197
31.1%
131
25.1%
その他
72
11.4%
69
13.2%
634件
100%
合計
521件
100%
Ⅱ.時間帯別件数
50
件
45
41
40
39
38 38
36
35
30
33
33
32
28
28
30
30
29
26
25
25
21
20
21
17
16
15
15
29
12
10
10
7
5
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 時
Ⅲ.相談内容別件数
相談内容
件数
学年別件数
割 合
今年度
前年度
1年
2年
3年
4年
大学院
その他
◇病気、ケガ等の疑問や不安(日常的な範囲)
293
46.2%
37.8%
49
53
63
64
46
18
◇病気、ケガ等の疑問や不安(受診中・受診後)
164
25.9%
29.6%
30
34
26
37
25
12
◇食生活および健康づくり
2
0.3%
1.5%
1
0
1
0
0
0
◇性に関すること
6
0.9%
1.5%
2
1
2
0
1
0
◇心の悩み(身体的症状を伴う心の相談:不安、不眠、等)
20
3.2%
2.9%
2
1
2
3
4
8
◇医療機関、施設等の案内
46
7.3%
8.1%
16
7
11
4
8
0
◇共済に関する問い合わせ
62
9.8%
12.7%
11
6
8
7
2
28
◇その他
41
6.5%
6.0%
6
3
5
1
1
25
634件
100%
100%
117件
105件
118件
116件
87件
91件
合
計
2
2
Ⅴ.相談の傾向
《全体の動き》
2014年10月から2015年9月までの1年間の相談件数は634件となり、前年比で121.7%と増加してい
ます。
月別の推移は下記の通りです。
100
68
41
41
40
40
40
11月
12月
66
48
50
2月
3月
62
70
53
51
45
8月
9月
0
10月
1月
4月
5月
6月
7月
この1年の件数を平均すると、52.8件/月となります。
昨年度の43.4件/月と比べ、月間9.4件相談件数が増加しています。
年間通じて、日頃気になっている健康に関する不安や、けがや病気の際の対処法、受診の判断
に迷った時に、気軽にいつでも相談できる、無料の電話相談窓口として広く利用されていると考
えられます。
1月、7月の休暇の前後にかかる期間の利用がもっとも多く、1月はインフルエンザ等の感染症
の流行時期に合わせて件数の増加傾向が見られました。次いで例年通り4月、5月の入学・進級時
期の相談が多くなっています。
また月別の傾向としては、1日あたりの相談件数が、昨年度の年平均1.4件から年平均1.7件に
増加しています。10月から12月にかけてが、年間の中では最も相談数の少なかった期間で、やや
落ち着いた推移となっていますが、平均1.3件程度と昨年度の平均並みの利用となっています。
《相談者の利用状況》
今年度の男女別利用比率を見ると、男性33.0%:女性67.0%となっており、昨年(男性24.0%:女
性76.0%)と比べ、男性の利用率が増加し、女性の利用率が減少しました。
利用者の続柄別では、ご本人からの相談が59.6%、親御さんからの相談は38.6%となっており、
昨年(本人50.0%:親御さん46.1%)と比べて親御さんからの相談が7.5ポイント減少していま
す。
ご本人からの相談の性別比は男性48.1%:女性51.9%となっており、昨年(男性35.0%:女性
65.0%)と比べ、全体比率同様こちらも男性の割合が大きく増加しています。
新規利用と再利用の状況はそれぞれ69.6%と30.4%で、新規利用は昨年(59.1%)から10.5ポイン
ト増加し、その分再利用率が昨年(40.9%)に比べ減少しています。特に相談の多かった1月、4
月、5月、7月の4か月についても、新規の利用が多い傾向となっています。新規利用が多いこと
から、気軽に相談できる専門家窓口という情報が、加入者全体に伝わりつつある可能性を感じま
す。
学年別では3年生、1年生と4年生の利用率がそれぞれ18.6%、18.5%、18.3%でほぼ並んでおり、
次いで2年生の16.6%となっています。昨年利用率が25.1%と高かった3年生は、女子からの相談が
減少傾向で、男女合計でも昨年より6.5ポイント減少しています。これに対して、大学院生の割
合が昨年の3.6%から13.7%に急増し、男女ともに増加していますが、特に女性の相談が多くなっ
ています。
住居状況については、一人暮らしの利用比率は57.6%となっており、昨年(61.6%)に比べ、
4.0ポイントとやや減少しています。
学年による大きな利用率の差があまりみられないこと、男性の利用が増加していること、各学
年とも1月、7月の相談が多くなっていること、この3点は昨年度にはみられなかった傾向です。
男女ともに、受診の有無に関わらず、病気、ケガ等の疑問や不安の相談が多く寄せられまし
た。今の痛みや不安の解決のヒントを求めるものから、看護師による、より専門的でセカンドオ
ピニオン的な役割を求められる相談もみられました。
44
《時間帯別の利用状況》
10時台の利用が最も多く全体の6.5%を占めています。次いで11時台、21-22時台と16時台で、
それぞれが全体の約6%となっています。最も利用の少ない時間帯は、4時台で1.1%となっていま
す。時間帯で見た場合、9時台から22時台までの利用が71.1%を占めています。
10時-11時台は全体の12.6%で、そのうち親御さんからの相談が過半数を占めています。21時22時台は全体の12.0%を占め、本人からの相談が多くなっています。自宅に帰り一息ついたとこ
ろで相談されている様子が伺えます。
3時から5時台の相談は、夜間の急な体調変化で救急受診を迷う相談が多い傾向にあります。
また、23時から深夜2時までの利用者は15.0%で、夜間の急な病気の対応についての相談や、
学業やアルバイトなどの後の就寝前に利用するためと考えられます。
《相談内容》
相談内容別では、『病気、ケガ等の疑問や不安(日常的な範囲)』が最も多く、全体の46.2%
を占めています。これは、昨年度(37.8%)と比べ、8.4ポイント増加しています。ついで、『病
気、ケガ等の疑問や不安(受診中・受診後)』が25.9%となり、昨年(29.6%)と比べ、3.7ポイ
ント減少しています。これらを合計すると、全体の相談件数の72.1%となり、昨年(67.4%)に比
べ4.7ポイント増加しています。
相談内容としては、食欲不振や胃腸に関する相談が比較的多くみられました。その他アレル
ギーに関する相談や歯科矯正や視力矯正、体や性に関するデリケートな相談、めまいや頭痛につ
いて専門医のいる医療機関案内を求めるもの、薬の服用方法に関する相談、予防接種の相談な
ど、多岐にわたる相談が寄せられました。これらから、自身や家族のこころと体の健康への関心
の高さがうかがえます。また、急なけがや病気になった時の受診の目安や応急処置、医療機関へ
のかかり方など、電話による専門的かつ個別の具体的なアドバイスを求めていることがわかりま
す。
また、『心の悩み』については、昨年度は2.9%、今年度は3.2%と大きな変化はなく、全体で占
める割合も大きくはありませんが、こころの健康相談窓口とは別の目的での利用を選択している
相談者も一定数いるともいえます。身体症状の表出は精神症状が起因するものもあることが推察
され、その意味で「からだの相談」と「こころの相談」をセットにしている「大学生活無料健康
相談テレホン」は学生生活サポートの一助になっていることが考えられます。
《学年別相談傾向》
1年生は、男性からの相談の多い傾向にありました。今年度は事故に関する相談が多くありま
した。交通事故直後の相談や、事故後整形外科に通院する中での相談、また、初めての一人暮ら
しの中、不慣れな調理中の包丁による手のけがから、環境の変化に起因する心身の不調まで、多
岐にわたる内容でした。また、初めて一人暮らしをさせる親御さんからの急な病気の対応につい
てや、医療機関の案内などの相談も多く入りました。
2年生は、交通事故や部活動、アルバイト先での事故、一人暮らしの食生活の改善など、生活
環境の拡大による事故や体調の不安、健康維持、改善に関する相談が多く見受けられました。
3年生は、女性からの相談が昨年度比67%と減少し、代わりに男性からの相談が前年度の3倍の
件数入りました。内容としては、治療中さまざまな疾患のつらい症状についての相談が多くみら
れました。勉学や就職活動に向けてのストレスで体調不良を感じたり、心身ともに不調の中、無
理をしてしまった結果、さらに悪化させてしまい、どうしたらよいかと訴える相談も見受けられ
ました。
4年生は、海外留学後の体調不良や、今抱えている心身の不調、睡眠時間の調整の相談など、
社会生活に向けての相談が多く見受けられました。
大学院生は、対人関係の悩みや、睡眠障害、慢性疾患を抱えながら勉学する方の相談が入りま
した。
親御さんからの相談は、全学年見受けられましたが、なかでも1年生男性、2年生女性の母親か
らお子さんの体調を気遣う相談が多くみられました。またその他には、高校生で共済に加入して
いる方からの相談や、親御さんご自身や配偶者の健診結果にかかわる相談や医療相談、祖父母の
介護や健康についてなどさまざまな相談が多く入りました。
55
Ⅵ.ホットボイス
<日常的な範囲内で病気やケガ等の疑問や不安>
・ アレルギーがあり、抗アレルギー剤を内服している。明日から旅行だが、市販の酔い止めを飲んでも大
丈夫か。
(1 年
19 歳
男性の母親)
・ 腰痛があるので整体や整骨院に通いたい。整体などでは症状が悪化することもあると聞いたが本当か。
よい整体や整骨院の見分け方を教えてほしい。
(2 年
20 歳
女性)
・ 幼い頃そばアレルギーがあったが、最近アレルギー検査をしたところ陰性だった。今日そばを食べたら
蕁麻疹が出てしまった。どう対応したらよいか。
(1 年
18 歳
男性)
・ テレビでラップ療法を見た。擦り傷ができたので試してみたいが、自分が覚えているやり方でよいか確
認したい。
(3 年
23 歳
男性)
・ 研究や卒業論文、就職活動と忙しく、ストレスからか髪の毛がずいぶん抜けてしまった。何科を受診し
たらよいか。
(4 年
26 歳
男性)
・ 1 時間前に電子レンジでお惣菜を温めたらプラスティックの容器が溶けた。換気はしたが、溶けた時の
臭いをかいでしまった。体に悪影響はないか。
(1 年
18 歳
女性)
<受診中または受診後の病気やケガなどの疑問や不安>
・ 矯正歯科で親知らず 4 本の抜歯を勧められた。紹介された大学病院に受診したところ、4 本同時に抜歯
するのなら入院と言われたが、入院するのが一般的か。
(4 年
22 歳
女性の母親)
・ 片頭痛で薬を内服している。試験があるので本人は飲み続けたいといっているが、半年以上の長期内服
になるのが心配。飲み続けても大丈夫か。
(2 年
20 歳
女性の母親)
・ 先ほど自然気胸で急遽入院になった。息苦しさなどないため明日検査を行う予定だが、どのくらいで治
癒するか。
(4 年
21 歳
男性の母親)
・ 胃炎があり内科受診したが改善なく心療内科を受診している。処方薬が切れてしまったが胃が痛む。手
持ちの胃薬を飲んでもよいか。
(院 1 年
27 歳
男性)
・ 体調悪く受診し、甲状腺機能低下症と言われた。内服を始めたがまだ調子が悪い。ストレスのせいか。
どうしたら体調がよくなるか。
(2 年
20 歳
女性)
・ 手の痺れがあり整形外科を受診したが、診察時右の肘を押された。その部分が今も痺れているので湿布
をしたい。湿布は温湿布と冷湿布のどちらがよいか。
(3 年
22 歳
女性)
・ 一週間前に生肉を食べてカンピロバクターに感染。抗生剤を内服し症状は軽減したが関節痛がある。ギ
ランバレー症候群が心配だが可能性はあるか。
(院 2 年
24 歳
女性)
・ 数日前から咽喉の痛み、咳、微熱があり近医で漢方薬を処方されて飲んでいる。今、頭痛があり辛いた
め、市販の鎮痛剤を飲みたいが、飲み合わせは問題ないか。
(4 年
23 歳
女性)
<健康づくり(食生活、運動、健診、予防接種)>
・ 大学入学前はスポーツをしていて体型を気にすることは全くなかったが、一人暮らしを始めて不規則な
生活になり太ってきた。どのようにしたら体型を元に戻せるか。
6
6
(1 年
19 歳
女性)
<性に関すること(性病・生理・セックスなどを含む)妊娠・出産>
・ 月経の予定が 2~7 日後であるが乳房が張る。妊娠の可能性があるのか。いつも妊娠が不安で仕方がな
いが、避妊手術についても教えてほしい。
(1 年
27 歳
女性)
・ 先日、パートナーと性交をしている時に、少量の出血があった。今回初めて出血したが、受診が必要か。
どのような治療になるのか。
(1 年
19 歳
女性)
・ 陰茎が小さく悩んでいる。友人と比べて劣等感をおぼえてしまうがどうしたらよいか。受診するとすれ
ばどこに相談すればよいか。
(2 年
18 歳
男性)
・ 避妊具を外す時に手に精液がついた。そのまま性交渉を続けてしまったが、妊娠の可能性はあるか。精
子は乾燥しても生き延びるのか。
(3 年
22 歳
男性)
<心の悩み>
・ 中学生の頃から、髪の毛を抜く癖が治らない。特に大学受験の頃からひどくなったように思う。ストレ
スを感じている時以外でもつい引っ張ってしまうが、どう対応したらよいか。
(4 年
22 歳
女性)
・ ストレスが溜まるとつい飲酒してしまう。アルコール依存症になるのではと心配だが、飲むのを止めら
れない。どうしたら止められるか。
(院 2 年
27 歳
女性)
・ 精神科に通院中。数年前から女性になりたいという気持ちが出てきた。性同一性障害かもしれない。性
的に葛藤があり悩んでいる。周囲の理解はあるがどう考えたらよいか。
(院 1 年
26 歳
男性)
・ 浪人を繰り返したせいか友人ができず、学校を休みがちになっている。体調を崩し、治った後も学校に
行きたがらない。どう対応したらよいか。
(1 年
21 歳
男性の母親)
・ 統合失調症。睡眠薬を規定量飲んでも眠れない。気持ちが焦ってしまっているが、どうしたら眠れるよ
うになるか。今から受診できるところはあるか。
(3 年
23 歳
男性)
・ 薬学部を希望して入学したが、思ったように成績が伸びず、気分転換もうまくできない。自分には適性
がないのではないかと悩んでいるが、どうしたらよいか。
(1 年
19 歳
女性)
<医療機関、施設等の案内>
・ 一人暮らしの息子が熱を出した。土地勘がなく、どこに病院があるかわからないが、今から受診できる
近い病院を教えてほしい。
(2 年
・ 夜中にめまいがあった。日中の受診先を知りたい。
20 歳
(1 年
男性の母親)
22 歳
女性)
・ 息子が腹痛で受診したところ、大腸内視鏡の検査を勧められた。大腸内視鏡検査ができる病院を知りた
い。
(3 年
21 歳
男性の母親)
・ 最近引っ越したばかりで病院がどこにあるのかわからない。元々喘息の既往があるが、風邪をひいてし
まった。風邪をひくと喘息がひどくなることが多いので、喘息も診てもらえる医療機関を案内してほし
い。
(院 1 年
22 歳
女性)
・ 蕁麻疹が出ている。唇まで腫れているがどのように対応したらよいか。受診できる病院も知りたい。
//(2 年
19 歳
女性)
・ ボールが目に当たり、視野の中に虫のようなものが飛んで見える。見えづらさもあるので、すぐ受診で
きる眼科を教えてほしい。
(1 年
※個人が特定される可能性のある相談について、一部改訂を加えてあります。
7
7
18 歳
男性)
[2]こころの健康相談
こころの
相談
利用件数
864件
今年度
■新規利用
■再利用
■不明
955件
前年度
231件
633件
0件
Ⅰ.相談者の内訳
【男女別】
295
今年度
569
男性
女性
(前年
度)
579
376
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
【続柄別】
本人
本人
278
369
今年度
(前年度)
421
453
15
親
親
145
今年度
(前年度)
124
7
2
女性
3
2
今年度
その他
その他
男性
(前年度)
0件
100件
200件
300件
400件
500件
600件
700件
800件
900件
1000件
【学年別】
今年度
前年度
1年
人数
割合
人数
割合
17
2年
1年
105
12.2%
120
12.6%
2年
123
14.2%
112
11.7%
3年
94
10.9%
339
35.5%
29
今年度
3年
4年
9
114
今年度
(前年度)
27
85
今年度
34
(前年度)
60
159
今年度
117
大学院
その他
191
192
159
22.1%
22.2%
18.4%
214
135
35
22.4%
3.7%
864人
100%
955人
女性
65
143
113
(前年度)
22
その他
100%
8
8
57
33
今年度
(前年度)
2
合計
男性
74
49
大学院 今年度
14.1%
180
149
(前年度)
4年
76
103
(前年度)
0
102
100
200
300
400
500
600
【住居状況】
今年度
前年度
一人暮らし
683
79.1%
691
72.4%
家族と同居
165
19.1%
231
24.2%
その他
16
1.9%
33
3.5%
864件
100%
955件
100%
合計
Ⅱ.時間帯別件数
100
件
90
80
70
60
63
54
50
47
45
39
42 45
38 37
40
37
29
30
24
15 13
20
24
41
45 46
44
47
34
28
16
11
10
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 時
9
9
Ⅲ.相談内容別件数
こころの相談主訴分類
1
2
3
4
5
身体症状
精神症状
人間関係
学業の問題(進路等含む)
その他
合
計
相談者の状態
1
身体症状
2
精神症状
3
現在の状態
件数
今年度割合 前年度割合
29
397
230
121
87
864件
件数
3.4%
45.9%
26.6%
14.0%
10.1%
100%
4.0%
53.6%
20.3%
12.8%
9.3%
100%
今年度割合 前年度割合
疲労・倦怠・脱力感
不眠
吐き気
十二指腸潰瘍
高血圧
食欲不振
頭痛
腹痛
動悸・息切れ
下痢・便秘
首や肩のこり
肥満
その他
小計
抑うつ症状
不安
イライラ
意欲の低下
緊張
自殺観念
その他
小計
登校できない
外出できない(ひきこもり)
学業に影響
日常生活に影響
93
77
13
0
1
39
12
8
8
4
1
0
44
300
136
328
150
141
28
45
55
883
66
22
218
447
依存症(アルコール・ギャンブル・買い物)
20
薬物摂取
0
過食・拒食
14
暴力(虐待)
1
リストカット
5
帰宅困難
0
学力の低下
4
非行・犯罪
0
自殺未遂(観念)
18
その他
45
小計
860
合
計
2,043件
※複数回答あり
31.0%
25.7%
4.3%
0.0%
0.3%
13.0%
4.0%
2.7%
2.7%
1.3%
0.3%
0.0%
14.7%
100%
15.4%
37.1%
17.0%
16.0%
3.2%
5.1%
6.2%
100%
7.7%
2.6%
25.3%
52.0%
2.3%
0.0%
1.6%
0.1%
0.6%
0.0%
0.5%
0.0%
2.1%
5.2%
100%
10
10
33.5%
30.2%
3.5%
0.2%
0.0%
6.6%
2.8%
1.8%
2.8%
0.4%
0.7%
0.9%
16.6%
100%
18.0%
37.5%
11.3%
18.9%
3.0%
4.4%
6.9%
100%
6.3%
3.2%
22.2%
56.2%
0.6%
0.0%
1.4%
0.2%
0.5%
0.1%
0.6%
0.0%
2.2%
6.4%
100%
1年
2年
11
3
31
59
35
37
12
12
16
12
105件 123件
学年別件数
3年
4年 大学院 その他
7
2
4
2
41
108
95
63
30
27
42
59
13
44
23
17
3
10
28
18
94件 191件 192件 159件
Ⅴ.相談の傾向
《全体の動き》
2014年10月から2015年9月までの1年間の相談件数は864件と昨年度の90.5%となってい
ます。
月別の推移は下記の通りです。
200
100
67
67
77
54
54
79
56
10月
11月
12月
82
66
66
94
57
57
91
72
72
72
77
77
84
73
1
1月
2
2月
3
3月
4
4月
5
5月
100
90
90
96
75
82
82
64
74
74
65
7
7月
8
8月
9
9月
0
6
6月
この一年の件数を平均すると、72.0件/月となります。
昨年度の79.6件/月と比べ、相談件数が90.5%となっています。男性の学生の利用数
が前年比の78.4%となっています。
月別の傾向としては、7月の件数が最も多くなっています。全国各地で、7月中旬から
真夏日が続いたことも影響してか、前期の試験が控えているのに精神疾患で勉強ができ
ない、現実逃避してしまうなどの訴えが多くみられました。また同月は、交際相手との
人間関係のトラブルにより、勉強が手につかないなどの相談も複数ありました。留年や
休学、退学などについての相談も目立ちました。
例年は夏休みシーズンである8月~9月が一年を通して一番相談件数の少ない時期でし
たが、今年は、実家に帰省したあとの親や友人とのトラブルや、夏休みの過ごし方につ
いて相談が複数あり、昨年度と比較し8月~9月の相談件数が20.9%増加しました。
11月と12月は、週に何度も電話をかけて来られる数名の相談者からの入電が落ち着い
ていたため、昨年度と比較し29.5%減となり、一年を通して一番相談件数の少ない時期
となりました。
《相談者の利用状況》
今年度の男女別利用比率を見ると、男性34.1%:女性65.9%となります。昨年度と同
様、女性の利用率が6割を占めています。
利用者の続柄別では、ご本人からの相談が80.9%:親御さんからの相談は18.5%で
す。全体として相談件数は減少しましたが、親御さんからのご相談が昨年比で4.8ポイ
ント増えています。特にうつ病、発達障害、統合失調症の子どもに対して、親としてど
のように接していけばよいかという相談が目立ちました。
新規利用と再利用の状況は、それぞれ26.7%と73.3%となっており、昨年度に対し、
新規利用の比率が9.6ポイント増えています。
学年別では、年々、高学年の相談が増加しています。4年生と大学院生の利用率が
22.1%と22.2%となり、ほぼ同数でした。大学に入り直したり、留年したといった20代
後半以降の学生から多くのご相談があります。
住居状況については、一人暮らしが79.1%:家族と同居は19.1%となっています。家
庭の財務事情から自宅通いが多くなっていると一般的に言われていますが、昨年度に対
し、一人暮らしの比率が6.7ポイント増加しています。
《時間帯別の利用状況》
時間帯別の利用状況を見ると、夜20時~0時の時間帯が多く、夜の23時台の件数が最
も多くなっています。夜の利用は、一人暮らしの学生からの相談が多く、眠れない、誰
かと話したいとの理由が多いです。適応障害で現実の世界では人間関係をうまく構築す
ることができないが、電話では話しやすいと夜中にかけてくる相談者もいます。
今年度は、親御さんが一人暮らしの学生に窓口利用をすすめているケースもありまし
た。また、学生が眠られてから親御さん自身のこころや職場の悩みのご相談も複数みら
れました。家族や地域コミュニティの希薄化により、24時間いつでも気軽に相談できる
相手や場所が少なくなっている影響もあるかもしれません。
12
12
《相談内容》
昨年度と同様、ご本人が抱えている精神疾患(発達障害、統合失調症、適応障害、A
DHD、アスペルガーなど)により日常生活や学業に影響を与えているケースが多く見
られます。
昨年度に引き続き、今年度も一人暮らしの子どもとのコミュニケーションの取り方に
ついての親御さんの相談が多くみられました。例えば、一人暮らしでうつ状態となった
ご本人に対して、詮索もしにくいが、放っておくこともできないのでどうしたらよいか
というような相談です。とりわけ、母子家庭での母親からの相談が多いことは特徴的で
す。
大学に入りなおしたものの、世代のギャップを感じて孤独感を癒すために毎日のよう
に利用されることもあります。デイケアに通い、相談、頼ること、断ることが大切と
習ったので、この窓口を使って相談の練習をしているという相談者もいらっしゃいま
す。研究が忙しくて、家に帰ってくるとさみしくて電話をしてしまう、個人的な悩みに
ついて、両親にも友人にも大学のカウンセリングルームにも相談できないと電話相談を
利用されるケースもあります。年間を通して毎週のように電話をかけてこられる相談者
がいらっしゃり、一校で年間100件を超えるケースもありました。
ポツポツとお話しする相談者もいますが、なかには怒鳴りわめきながら攻撃的な口調
で相談する相談者もいらっしゃいます。相談員は「死にたい」という思いも否定せずあ
りのままを受け止めることで、相談者が辛い気持ちを安心して言葉にできるよう心掛け
ています。ある有名な精神科医は、自殺を防ぐには内面にこもっている怒りを吐き出さ
せることが大切だと言っているそうです。
《学年別相談傾向》
1年生は、一人暮らしを始めたものの、食生活面の管理ができず過食嘔吐や摂食障害
でご相談いただくケースがみられました。
2年生、3年生は、学生生活自体には余裕が出てきますが、サークル、アルバイト先な
どで人間関係がうまくいかなくなり、社会に出てどうなるのだろうと漠然と不安を感じ
ているようです。恋愛についてのご相談も多くみられます。
4年生は、卒論や大学院入試のプレッシャーを感じているとの訴え、いざ就職活動を
始めようとしたところ、人前で話すことや、人と話すことが苦手で不安だというケース
がありました。何らかの事情で、留年や休学した相談者については、その傾向が強いよ
うです。
大学院生は、研究室という狭い世界の人間関係のトラブルで悩む姿が見受けられまし
た。研究室の過酷な環境で体調を崩してしまう相談者や、就職活動で追い詰められて無
意識のうちに涙が出てしまうというケースです。アカデミックハラスメント対策は喫緊
の課題だと考えられます。
SNSやLINEが隆盛している昨今ですが、一人ひとりに肉声で応えることで、人
の温かさを感じていただけているのではないかと考えています。それは、複数回の相談
者が多いことからもうかがえます。
13
13
Ⅵ.ホットボイス
<身体症状の悩み>
・ 娘は、大学入学を機に一人暮らしを始めた。当初から過食気味であったが、ここ数ヵ月のうちに過食
して吐くようになったと言っている。見た目の変化はなく、体重が増えたわけでもないのに、
「体重が
増えた」
「減らさなきゃ」と言っている。対人関係でストレスがあるようだ。どうしたらよいのか分か
らず心配している。
(1 年
19 歳
女性の母親)
・ 自分で対処できないことが起きるとパニックに陥り、その感情が自分の身体に向かってしまう。頭を
殴ったり、髪の毛をかきむしったり、鋏などで何度も自分の太ももを傷つけたりしてしまう。
(3 年
20 歳
女性)
・ 2 ヵ月ほど前から過食嘔吐がやめられない。高校生の頃は下剤を使って毎日のように吐いていた。今は
1 日に 2 回過食嘔吐することもある。見た目が気になり、太ってはいけないと欲を抑えていた。
.(1 年
19 歳
女性)
・ 予備校時代に体臭が臭いといじめに遭ったことがある。浪人のことと体臭のことが気になって友人を
作れず、塞ぎこむようになってしまった。現在は引きこもりのような状態にある。部活は行っている
が、授業には出られない。
(1 年
21 歳
男性)
・ 妊娠してしまった。親は中絶しろと言っている。子どもの父親は、産みたいのであれば大学を中退し、
仕事をして家族を守ると言ってくれている。
(1 年
18 歳
女性)
・ 小学生の頃から吃音の症状があったが、治療が必要な状態ではなかった。しかし、大学に進学し慣れ
ない一人暮らしの影響もあるのか、 声が出なくなり、友人もできないと悩んでいる。
.(1 年
19 歳
男性の母親)
・ 研究や課題に忙殺され、息子はほとんど学校を休めない。最近、体重が 7~10kgほど減ってしまった
と聞き、心配している。頭痛薬を手放せず、下痢や高熱に苦しむこともあるという。
.(院 1 年
22 歳
男性の母親)
・ 摂食障害で入院をしていたこともあり、高校には行かず高卒認定を受けて大学に入学した。久しぶり
の生活集団に疲れてしまい、数ヵ月は眩暈や身体の痺れを感じている。過呼吸になり立っていること
ができない。あまり食べることもできておらず、身体も重い。
23 歳
(1 年
女性)
・ 心療内科に通っている。ここ数日は不安とストレスが原因なのか食事が摂れていない。数ヵ月前から
調子を崩し、食欲不振と過眠が続いている。抑うつ状態と言われたが、これまで出ている薬と変わら
ず、変化もない。外に出られるようになるとよいのだが、不安が大きく、ずっと家にいる。
.(5 年
25 歳
男性)
・ 中途覚醒してしまい睡眠薬を飲んだ。ちょっと用事があって外出したら、そのまま眠れなくなってし
まった。今まで睡眠時間を長めに確保していたが、ここ数日は変な夢を見たり、中途覚醒したりする。
(4 年
32 歳
男性)
<精神症状の悩み>
・ 他の人から病院に行って治療を受けた方がよいと言われた。小学生の頃に父が自殺、2 人の兄も自殺未
遂をしている。兄は精神科に入院をすることもある。相談者もリストカットや過食などがあったが、
母親に理解がない。
(1 年
14
14
18 歳
女性)
・ 自殺したいと考えてしまう。パニックになり眠れない。最近になって自閉症スペクトラムと診断され
た。適切な支援を受けないまま成長してきた。人の気持ちがわからず、周囲とうまくいかず、他人が
敵に見える。
(5 年
24 歳
男性)
・ 一人暮らしをしている娘から、学校に行きたくないという電話が入るようになった。「しんどい」「死
にたい」
「実家に帰りたい」と言う。中学時代から精神的に不安定でリストカットもしていた。気力が
なく動けないため、実家に帰る体力もないようだ。
(4 年
23 歳
女性の母親)
・ 夏頃から娘が通学できなくなっている。両親の離婚もあり、ストレスを抱えていると思う。娘から、夜
眠れない、朝起きられない、食事は吐いてしまうということが続き、困っていると相談を受けた。
19 歳
(1 年
女性の母親)
・ 部活動の先輩からパワハラにあい、うつ病になってしまった。資格試験を受けるつもりでいたが、一
旦諦め、病院通いをしながら就職し、仕事をしながら資格取得を目指そうとしている。
(4 年
23 歳
男性)
・ ご飯を食べられない。帰省時に実家にいる間は食事をすることができる。大学に戻ると 1 日 1 個のパ
ンも食べられない。一人で家にいると変な声が聞こえるので、できるだけ遅くまで大学の図書館にい
る。
(1 年
19 歳
女性)
・ 一人暮らしをしている息子が路上で倒れ、救急搬送された。その際、息子が医師を殴ってしまったの
で、警察が介入し措置入院となった。息子は犯罪グループに殺されるという妄想を抱いている。
(3 年
20 歳
男性の母親)
・ 息子が大学の前から泣きながら電話をしてきた。5 月の連休の頃から、研究室の教授とうまくいってお
らず、何度も強い叱責を受けているようだ。そのため、何も手につかなくなり、無気力になっている。
(4 年
22 歳
男性の母親)
・ 息子が部活の試合で一度負けてしまってから、うつ状態になっている。辞めてしまいたいという気持
ちもあるようなのだが、今までお世話になっているので辞められないとも言っている。眠れず、外出
できないことや、食欲がなく吐いてしまうこともあり、何か叫んで急に泣き出すこともある。
(2 年
20 歳
男性の母親)
・ 夏休みに帰省した娘の様子がおかしかった。勉強をしようとすると急にやる気がなくなってしまい、
勉強ができないと泣き出すことがある。勉強しようとするとパニックになりリストカットをしてしま
う。これは病気なのだろうか。
(1 年
20 歳
女性の母親)
・ 死にたいと思うことが増えた。普通に歩いている時でも「車が来てるな、死ねるかもな」と考えてし
まう。ギャンブルにはまり借金をしてしまったり、学内の人間関係でうつ病を患ったり、一人暮らし
は耐えられない。通院しているが薬や医者は信じられない。
(4 年
24 歳
男性)
<人間関係の悩み>
・ 院の先輩と飲んでいた時に、アルバイトでしている家庭教師の仕事について批判された。相談者がア
ルバイトをすることで実験に支障をきたしている、人に教えることで優越を感じたいだけだと指摘さ
れた。
(院 1 年
24 歳
男性)
・ 彼氏がDVの疑いあり。以前に住んでいたエリアのバスの写真をSNSに載せたところ、バス停を一
つ一つ確かめ最寄りのバス停を特定された。ストーカーになられたら怖いので逆上させないように別
れたい。
(院 1 年
15
15
26 歳
女性)
・ 親しい友人ができない。留年したので、同学年の人が卒業してしまった。サークルに入っていたが、
休学したり、心療内科に入院をしたりしていたので、あまり参加できていない。友人が欲しいが、年
齢が違うことが気になってしまう。
(5 年
24 歳
男性)
・ 担当教授とうまくいっておらず、会うと眩暈がしてしまうくらい体調に影響が出ている。教授は、ア
イディアが浮かぶと即予定を変更し実行していくタイプだが、自分は時に石橋を叩いて渡らないタイ
プなので、正反対すぎてついていけない。そのため、現在は学校にも行けていない。
(院 3 年
29 歳
女性)
・ ある程度、友だちと仲良くなると、お互いをけなすようなブラックジョークを言うようになるが、そ
れに対応できない。真面目でつまらない奴と思われるのも、いじられるキャラになるのも、どちらも
嫌だ。
(1 年
18 歳
男性)
・ 大学 1 年生のときにアルバイトをしていた。そこで人間関係にトラブルが生じてしまい、続けること
が怖くなり辞めたいとお願いをしたが叶わなかった。結局その後も 1 年ほどアルバイトを続けたのだ
が、そのことがトラウマのようになっており、就職するということに恐怖がある。
.(4 年
21 歳
男性)
・ 付き合っていた彼女の言動に困っている。押しかけてきて死んでやると頭を壁に強打したり、飛び降
りようとしたり、ハサミで傷つけようとしたりする。心配をしていてカウンセリングなども勧めたが
途中で行かなくなった。
(2 年
20 歳
男性)
・ 発達障害と摂食障害があり、手帳も持っている。1 歳上の先輩と半年ほど前から付き合っているのだが、
身体の関係になるのが怖い。今までに経験がなく、男性と肌の触れ合いをすることに抵抗がある。
(3 年
20 歳
女性)
・ アスペルガー症候群がありADHDと診断されている。一番困るのは、他人の真意を見抜けず、迷惑
ばかりかけているということだ。知り合い程度の人はいるが、どうしても距離を取ってしまう。将来
的にも親友や恋人はできないだろうし、就職もできるとは思えない。
(1 年
23 歳
男性)
・ 娘は父親の実家に関わることに直面するとパニック症状を出す。主人が親兄弟とあまりうまくいって
おらず、小さい頃に嫌な扱いを受けたことがトラウマになっているようだ。郵便物が届いたり電話の
着信があったりしただけでもパニックになり泣き叫ぶようになってしまった。
(4 年
21 歳
女性の母親)
<学業・進路の悩み>
・ 公務員試験に落ちてしまい、今後の就職活動をどうしたらよいのかわからない。去年も失敗している
ので、2 度目の失敗である。同級生は全員が合格している。今後、3 回目の挑戦をするのがよいのか、
大学に残り民間企業で新卒採用を目指すのがよいのかわからない。
(4 年
23 歳
男性)
・ 来月から国立大の院試が始まる。地方の私大から関東の国立大の院を目指し、研究生として通いなが
ら一人暮らしを始めた。しかし、周囲のレベルの高さとその不安定な身分に不安と戸惑いが隠せない。
(研究生
23 歳
男性)
・ 試験を前にするとプレッシャーで、過食嘔吐が止まらなくなる。就職活動がうまくいかない。やっと
決まった内定先も希望とは少し異なる分野で、その業種で働いていくための試験を受けなければなら
ない。
(4 年
16
16
22 歳
女性)
・ 息子が自宅に引きこもって不登校状態なので、どう対応したらよいのか相談したい。入学当初から登
校せず、履修登録もしていなかったため、大学側から自宅訪問があった。本人の安否確認も取れない
状況が続き、単位取得が難しくなったので、現在は実家で静養をしている。
.(1 年
20 歳
男性の母親)
・ 秋頃から息子が大学に行けていない。幼い頃から大好きだった分野で、大学に合格した時は、家族で
大喜びをした。だが、今は自信をなくしたのか、意欲がなくなったのか、退学したいと言っている。
.(2 年
20 歳
男性の母親)
・ 息子が勉強で行き詰まり、泣き崩れて「もう無理」というメールを送ってきた。背中に腫瘍があり、
命に関わる状態になったこともある。無理せず一度帰ってくるように伝えた。医療関係を目指してい
たが、諦めたいと言っている。
(1 年
19 歳
男性の母親)
・ 息子は、就職先に内定していたのに、単位不足で卒業できず、就職浪人した。2 年生の終わりに寮を出
てからパチンコにはまり、就職せずパチンコで生計を立てると言っている。
(4 年
23 歳
男性の母親)
・ 就職がなかなか決まらず、どこの企業も自分のような人間は要らないのだと思うと、自信が持てない。
合同説明会に行っても、会社側が望むような反応ができない。本当に入りたい会社を受けているわけ
ではないが、どうせ就職できないのではないかと思ってしまう。
(4 年
21 歳
女性)
・ 高校生の時に適応障害と診断され、通院や服薬をしながら就職活動をしている。自己肯定感が非常に
低く、どうしても自己PRや長所を書くことができない。
(4 年
21 歳
女性)
・ 一人暮らしをしている息子が、自宅に引きこもっているようで心配している。このまま勉強しないの
であれば実家に戻ってきて欲しいが、何も本音を話してくれないためどう接したらよいかわからない。
(4 年
21 歳
男性の父親)
・ 現在就職活動中であるが、3 月から始めたにもかかわらず、まだ内定が取れていない。焦りや不安が大
きくなってきている。胸が締め付けられるみたいに息苦しくなることがあり、心が何か叫んでいるの
かなと思うこともある。
(4 年
22 歳
女性)
<その他の悩み>
・ 今までの過去の自分が嫌いすぎて、どう対処したらよいかわからない。実家は自分の可能性を妨げる
可能性が高い環境なので、大学入学と同時に一人暮らしを始めた。母親の機嫌を取りながら自分の意
思を持たずにひっそりと過ごしてきた。
(2 年
19 歳
女性)
・ 他人に対する苦手意識が大きい。そんな自分を変えないといけないと、外向的になろうと頑張った。
最近、慣れてきて相手に受け入れられているなと嬉しく思う反面、やっぱり自分には無理だと感じる。
相手に受け入れられず、沈黙が続くことが怖い。そのような自分が嫌で苦しい。(2 年
19 歳
女性)
・ マナーの問題というか、著作権が関わる問題なのだと思うが、お店の写真を外から撮影し、SNSな
どに投稿した後に入店し、そこで「撮影禁止」という言葉を見つけた時、どうしたらよいだろうか。
(4 年
24 歳
男性)
・ 音に対して敏感なところがあり悩んでいる。以前に一人暮らしをした時、木造のアパートだったため
に、他の住居者の生活音がストレスで親元に帰ったことがある。現在は、鉄筋コンクリートの物件を
選んだ。しかし、実際に入居してみると壁が薄く隣の音が気になり眠れない夜が続いている。
.(1 年
17
17
19 歳
男性)
・ 希望をどう見出したらよいのかわからない。みんなは、どのように希望を見出しているのだろう。
いつになったら死んでもよいと思えるのだろう。人はいずれ死ぬ運命にあると思うと希望を持てない。
(院 1 年
女性
42 歳)
・ 悪い夢を見て目が覚めたり、食事やお風呂が面倒でずるずる 1 日を無為に過ごしたり、誰とも会わず
に 1 日を過ごしたりすることがある。夢で高校時代の先生と会い、その先生に迷惑をかけて裏切って
失礼なことをたくさんしたなと思ったら怖くなってしまった。人と話をするのも怖い。
.(4 年
32 歳
男性)
・ 大事なデータが入ったUSBを紛失してしまった。親や友人のデータも入っており外部に流失して悪
用されてしまったらどうしようと考えると不安になる。大学を休学や退学処分になってしまったら、
どうしたらよいのだろうか。
(院 1 年
22 歳
男性)
・ 勉強と仕事の両立に煮詰まっている。稼いだお金は生活費となり、捻出できない分の学費がある。今
までは何とかしてきたが、今度こそダメかもしれない。勉強して教員免許を取り就職することは自分
の生き甲斐となっている。それでも仕事に行けないほど具合が悪いことがある。
.(5 年
36 歳
男性)
・ 体調を崩しているはずの娘と連絡が取れない。学校とアルバイトに忙しくしているので、メールの返
信が早い子ではないのだが、あまりにも連絡がこないと、どうかしたのではないかと不安になってし
まう。
(4 年
22 歳
女性の母親)
・ 大学に入り一人暮らしを始めてから自己管理ができておらず、自分を不甲斐無く思う。アルバイトを
始めたのだが、仕事がなかなか覚えられず、周囲からも使えない奴と思われ始めている。仕事以前の
ことができていないと注意もされた。新しい生活やアルバイトに慣れていけるか自信がない。
.(1 年
※個人が特定される可能性のある相談について、一部改訂を加えてあります。
18
18
18 歳
女性)
[3]扶養者事故死亡共済金相談
扶養者
事故死亡
共済金
相談
利用件数
33件
今年度(4月~)
■新規利用
■再利用
■不明
-
前年度
6件
3件
24件
Ⅰ.相談者の内訳
【男女別】
26
7
今年度
男性
女性
(前年度)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
【続柄別】
本人
本人
親
親
今年度 22
(前年度)
4
今年度
男性
11
女性
(前年度)
1
その他
その他
13
今年度
(前年度)
0件
10件
20件
30件
40件
50件
60件
1年
今年度
(前年度)
1
1
70件
80件
90件
100件
【学年別】
今年度
人数
前年度
割合
人数
割合
1年
1人
3.0%
0人
0.0%
2年
今年度
(前年度)
2年
1人
3.0%
0人
0.0%
3年
今年度
(前年度)
3年
0人
0.0%
0人
0.0%
4年
今年度
(前年度)
4年
1人
3.0%
0人
0.0%
大学院
今年度
(前年度)
大学院
0人
0.0%
0人
0.0%
その他
今年度
(前年度)
その他
30人
90.9%
0人
0.0%
合計
33人 100.0%
0人
0%
0件
19
19
男性
1
7
女性
23
10件
20件
30件
40件
50件
60件
70件
【住居状況】
今年度
前年度
一人暮らし
1件
3.0%
-
-
家族と同居
1件
3.0%
-
-
その他
31件
93.9%
-
-
合計
33件
100.0%
0件
0.0%
Ⅱ.時間帯別件数
件
20
18
16
14
12
10
8
6
6
5
6
5
5
4
2
2
13
14
2
2
0
10
11
12
20
20
15
16
17
時
Ⅲ.相談内容別件数
学年別件数
扶養者事故死亡共済金相談主訴分類
件数
今年度
割合
前年度
割合
1年
2年
3年
4年
大学院 その他
1
法律相談
0件
0.0%
-
0件
0件
0件
0件
0件
0件
2
税務相談
4件
12.1%
-
0件
0件
0件
0件
0件
4件
3
フィナンシャル・プランナー相談
0件
0.0%
-
0件
0件
0件
0件
0件
0件
4
暮らしの相談
0件
0.0%
-
0件
0件
0件
0件
0件
0件
5
その他
29件
87.9%
-
1件
1件
0件
1件
0件
26件
33件
100.0%
1件
1件
0件
1件
0件
30件
合
計
今年度 今年度 前年度
件数 割合 割合
相談者の状態
1
法律相談
相続贈与
0件
0.0%
-
不動産
0件
0.0%
-
金銭貸借
0件
0.0%
-
損害賠償
0件
0.0%
-
交通事故
0件
0.0%
-
消費生活
0件
0.0%
-
雇用・労働
0件
0.0%
-
その他
0件
0.0%
-
0件
0.0%
小計
2
税務相談
4件 100.0%
-
不動産
0件
0.0%
-
所得
0件
0.0%
-
保健年金
0件
0.0%
-
その他
0件
0.0%
-
4件 100.0%
資産運用相談
フィナンシャ
ル・プラン 住宅資金相談
ナー相談
その他
暮らしの相談
0.0%
-
0件
0.0%
-
0件
0.0%
-
0件
0.0%
冠婚葬祭
0件
0.0%
-
その他
0件
0.0%
-
0件
0.0%
小計
5
その他
0.0%
0件
小計
4
0.0%
相続贈与
小計
3
0.0%
その他
29件 100.0%
苦情・要望
0件
小計
合
0.0%
29件 100.0%
計
33件
※複数回答あり
21
21
0.0%
0.0%
-
-
0.0%
Ⅴ.相談の傾向
《全体の動き》
月別の推移は下記の通りです。
20
100
200
100
77
67
79
82
94
9
77
9
84
99
9
4
4月
5
5月
91
100
64
66
75
4
4
22
2
65
3
3
6
6月
7
7月
8
8月
9
9月
6
0
10月
11月
12月
1
1月
2
2月
3
3月
期中のサービス開始のため、4月から9月までの6ヵ月間に受電した件数は、33件でした
が、扶養者事故死亡共済金に関わる相談は11件(33.3%)でした。
11件の月次内訳は、4月5件、5月4件(4件とも同一人)、7、8月各1件でした。
扶養者事故死亡共済金以外の22件は、他の共済金に関する問い合わせや相談でした。
《相談者の利用状況》
扶養者事故死亡特約共済金に関わる相談11件については、親御さんからの相談が9
件、本人1件、不明1件と、扶養者からの相談が82%でした。
親御さんからの相談のうち4件が同一人からの税務相談で、相談内容の詳細は、下記
《相談内容》の項をご参照ください。
男女比では、同一人を一人としてカウントすると4人対4人で、丁度半々の比率になり
ます。
従来からの健康相談・メンタル相談とは異なり、サービス提供内容もありますが、親
御さんからのご相談を多数頂いております。学生ご本人だけではなく、親御さんとの関
わりを持つ意味でも加入者様との包括的な関係構築という新しい可能性が感じられま
す。
《時間帯別の利用状況》
扶養者事故死亡特約共済金に関わる相談11件については、10時台2件、11時台1件、12
時台3件、13時台1件、16時台4件でした。
午前3件、昼どき4件、夕方4件であり、ほぼ均等に入電しています。ただし、16時台
の4件中3件は、同一人からの同一日の税務相談でした。
《相談内容》
扶養者事故死亡特約共済金支払いに関する相談は、同一人からの税務相談4件で、相
談があった翌日に税理士予約相談となり、予約日に3回の相談を重ねご理解いただきま
した。
内容は、扶養者(母)からの相談で、扶養者(父)の交通事故死亡により共済金500
万円が学生(子供)の口座に振り込まれたが、司法書士から税務上「贈与になるのでは
ないか?」と言われた件についての相談でした。
税理士から、父親が保険料を負担し、共済金が学資への充当であることから「相続財
産」と判断されるため、①相続税の申告義務がなければ問題なし、②申告義務があれば
生命保険の非課税枠500万円に該当するとの回答がなされました。
他の7件については、請求方法の相談が3件、振り込み・入金方法の相談が2件、保障
内容及び契約内容の相談が各1件でした。これら7件については、サポートダイヤルへの
お問い合わせをご案内しました。
《学年別相談傾向》
学生本人からの相談は、1件のみで、学校名、学年とも不明のため、コメントはあり
ません。
23
23
4 健康&安全のための特別連載コラム
大阪大学名誉教授
(前大阪大学保健センター長)
杉田 義郎
◆生きる力の総合力をアップするストレス対処力
(上)
現象が生じるのです。
現代、
「ストレス」
という言葉は耳にしなかったり、口にしない
日がないくらい日常生活で頻繁に使われています。
しかも
「ス
それではなぜ、ネガティブな意味合いをもつ言葉を発した
トレス=悪」
というような意味合いで使われることが多かった
り、
イメージを持つことでそのような反応を起こすのでしょう
言葉です。ストレスの語源は
「物体に圧力を加えることで生じ
か。それを理解するヒントは動物の進化を考えることで理解し
る歪み」
を意味する物理学用語ですが、1936年にカナダの生
やすくなります。脊椎動物は進化して爬虫類のレベルになる
理学者ハンス・セリエ
(Selye, H)
が発表した
「ストレス学説」
が
と、捕食者や縄張りに侵入するライバルなど、強いストレスと
注目を浴び、その後、多くは生理学的な意味で用いられるよう
なる要因
(ストレッサー)
が加わると、
「 闘う
(ファイト)
」
か、
「逃
になりました。もともとは、精神的や肉体的に負担となる刺激
げる
(フライト)
」
か、
「立ちすくむ
(フリーズ)
」
かのいずれかの
が加えられて反応することによって引き起こされる生体機能
ストレス反応を末梢器官と脳の感覚・運動領域、
ストレス評価
の変化という意味でした。
しかし、
ストレス
(stress)
という言葉
領域と実行系の中枢神経系、自律神経系と迷走神経とがネッ
は、英語で
「悲しみ、苦悩」
を意味するディストレス
(distress)
トワークを形成してプログラム化されました。
に由来し、さらにdistressのルーツはラテン語のdistrictus
さらに進化して、鳥類、哺乳類となり、
ヒト科の類人猿まで脳
で、
これは心が別々の方向に引き離されて落ち着かない状態
はより複雑なストレスに適応できるような脳や自律神経系な
を指す言葉でありました。
どの調節機構を発展させました。後から発達した進化的に新
なぜこのように言葉の語源を長々と説明するのかというと、
しい脳、大脳皮質など脳領域は、爬虫類で完成を見た、進化的
「ストレス」
という言葉が本来は学術用語であっても、一般的に
に旧い脳、脳幹や間脳といった脳領域の活動を抑制する作用
使用されるとその言葉のもつ意味が伝わって人々の心に大き
がもつことから、
より複雑で高度なストレス反応が可能になっ
な影響を与えます。つまり、欧米圏ではストレス
(stress)
とい
ています。迷走神経はその名称のように迷走の経路は進化の
う言葉は明確にネガティブな意味合いをもっているので、そ
痕跡であり、身体の色々な機能の異なる器官をつなぎ合わせ
れが一般的に使われると、多くのメディア
(新聞、
テレビ、一般
て、脳から各器官に信号を送るとともに、各器官の状態を脳に
書、
インターネット等)
を通じてその影響力は計り知れないも
知らせる役割も担っています。ヒトは迷走神経を発達させて
のとなります。一旦、
「ストレス」
という言葉を使ってその意味
いるのでストレス反応系へのブレーキ機能を生かして環境へ
合いやイメージをもつと、厄介なことに、
とくにストレス要因
の適応能力を高めることができます。
がなくても何となく身体が緊張し、気持ちが重たくなるという
◆生きる力の総合力をアップするストレス対処力
(中)
リーズ)
」
かのいずれかのストレス反応が生じると述べました。
現在の人間の先祖であるヒトはチンパンジーから約700万
年前に分かれたといわれています。森林から草原に進出した
生死を争うような強いストレス状況下では、人間でも爬虫類と
後も、捕食者に狩られる長い歴史が続く中で、最も社会的な
同じようなストレス反応が起こります。つまり、大脳皮質、特に
動物として進化を続けたと考えられています。社会性を発揮
前頭部が脳幹や間脳の働きを適切に抑制できない場合には、
する上で、その鍵となったものは
「共感力」
と
「利他性」
であっ
爬虫類レベルのストレス反応が出現します。もちろんそれが
たであろうと考えられます。厳しい環境下でストレスや不安、
最適なストレス対処行動である場合もあります。火事の際に
恐怖を乗り越えて生き延びるためには、
「共感力」
と
「利他性」
炎の勢いが強くなっているとき大事な物を取りに行かない
が欠かせなかったことでしょう。協働で食料を調達し、皆で平
と、
と思って炎の中に飛び込んでは命を失ってしまいます。津
等に分ける哺乳動物は人間以外にはありません。
波と同じで逃げるが勝ちなのは言うまでもありません。この
前回のコラムでは、爬虫類は、捕食者や縄張りに侵入するラ
種の反応は不安や恐怖が強い中で生じる素早い反応である
イバルなど、強いストレスとなる要因
(ストレッサー)
が加わる
一方、理性的なコントロールが利かないのが特徴です。
と、
「闘う
(ファイト)
」
か、
「逃げる
(フライト)
」
か、
「立ちすくむ
(フ
現代日本の日常生活や大学生活で、生死を争うようなスト
24
レスはまずありません。
しかし、大学生活はそれまでの生活と
NHK出版、
2014年より引用)
そうです。
は環境やペースが大きく変化します。地元を離れて下宿生活・
ストレス下でそのような繊細な行動の調節ができるのは前
寮生活を始めること、友達もいない全く新しい環境の中に飛
回に紹介した迷走神経によるブレーキの働きが大きいことを
び込むようなことは、相当なストレッサーになると思いますが
神経科学者のスティーヴン・ポーガス
(Porges, S)
が明らかに
いかがでしょうか。そのストレッサーが大きくて不安感や恐怖
しています。人間は他者に共感し、利他性をもち、多様な意見
感を強くもつと、爬虫類が発達させた脳は危険な状態に直面
を受け入れ、他者と協働して働き、学び、目標を達成するなど
したかのようにストレス反応を返します。
「 闘う
(ファイト)
」
か
の社会的活動を通じて成長への強い欲求をもっています。そ
「逃げる
(フライト)
」
、あるいは行動が強く抑制されて
「立ちす
のような高度で柔軟な社会活動の遂行ができるのも、迷走神
くむ
(フリーズ)
」
が生じます。このような事態がしばしば起これ
経が身体と脳と間の双方向情報交換を仲介し、それらに不可
ば、
まず学生生活を楽しむどころではなくなってしまいます。
欠な複雑な活動を支えてくれているお陰なのです。
しかし、私
今も自然の中で野性的な生活をおくって人々は、アフリカ
たちは普段、迷走神経や自律神経活動にほとんど気付きませ
の草原でライオンに遭遇した時にどのような行動をとるので
ん。つまりほとんどが無意識下で調節が行われています。多
しょうか。その行動には現代のストレス状態に直面したときの
様な迷走神経の働きは幼少時に安心・安全な生育環境の下
大事なヒントがあります。
「彼らには共通している
『プロトコル
で、養育者との良好な愛着関係の中で発達することも明らか
(儀式)』があって、それは歩くことが基本となります。けっして
にされていますが、思春期以降も安心・安全が保証される環
獲物のようにまっすぐ逃げたりはせず、落ち着いてゆっくりと、
境下でさらに発達し、人間的成長を縁の下から支えてくれる
斜めの方向にライオンの視界から消えていく。その間ずっと
と考えて間違いないようです。もちろん、不規則な睡眠・休養
ライオンに話しかける。尊敬の念を込め、抑揚をつけて
「立派
や不健康な食生活など生活習慣を続けていると迷走神経の
なライオンさん」
と呼びかけるのだ」
(ジョン・J・レイティ&リ
活動は低下してしまいます。これらは一本の鎖のようにつな
チャード・マニング著、野中香万子訳:野生の体を取り戻せ!
がって機能していることは記憶に留めておくと良いでしょう。
◆生きる力の総合力をアップするストレス対処力
(下)
感情、
行動、態度も深く係わることは言うまでもありません。
現代日本において、学生諸君は
「餓死」
するかどうかを不安
に思ったり、心配するわけではありません。学校や職場に行く
一方、言いたいことも言わなかったり、あるいは言えなかっ
のに、友人に会いに行くのに何時間も歩く必要はないでしょ
たりすると、
自分の想いが相手に伝わりませんし、相手から無
う。
しかし、自分の思いを相手にうまく伝えられない、
コミュニ
視、軽視されやすい状況を生み出します。自分を抑えて相手
ケーションがうまくとれないと思って悩んでいる学生諸君は
優先、相手の言いなりは自分の言論の自由という人権を否定
少なくないのではないでしょうか。高等学校時代には何となく
していることになります。このようなスタイルは
「非主張的自
できていたのに、大学に入学してみると勝手が違うと思ってい
己表現」
と言います。
ませんか。ストレスが溜まると感じていませんか。
また、相手を抑えつけ、
自分の想いを通すスタイルは
「攻撃
学生諸君が悩むのは当たり前なのです。社会に出た大先輩
的自己表現」
と言います。これは自分の言い分を押し通して相
達も悩んでいまし、恥ずかしいことではありません。人間は、
手の言い分を聴かない、相手を思い通りに動かそうとするス
生まれた瞬間から赤ん坊は泣くことで自分の思いを周囲に伝
タイルで、
これは相手の人権を侵しています。
え、その信号に周囲が応えてコミュニケーションを開始しまし
コミュニケーションをこの3つのスタイルに分類して説明
た。成長に伴ってより複雑なやり取りへと発展しますが、家族
し、アサーション・トレーニングを開発したJ・ウォルピは、人々
や学校などでのやり取りは個々に一定のパターンを形成して
はこれらのスタイルを知らず知らずのうちに身につけていく
いきます。
ので、
アサーションとそうでない自己表現の違いを認識して、
勤労者を対象とするストレス関連調査で、
もっとも多くの人
意識的なコミュニケーションを心がける必要があると主張し
が悩んでいることが
「人間関係について」
であることが明らか
ています。
にされています。その原因の多くはコミュニケーションがうま
初等・中等・高等教育の中にアサーティブなコミュニケー
くとれないことに起因していると考えられます。よりよいコ
ションについて学習する機会が採り入れられることが望まれ
ミュニケーション・スタイルを身につけると日常的なストレス
ます。そうすれば、
自分も他人も言葉や態度で傷つけず、多様
感が軽減するでしょう。その気になってしっかり学べば誰でも
な人々を排除することなく受け入れられる人を多く輩出する
身につけられるものです。
でしょう。さらに新しいことや困難なことに果敢にチャレンジ
ここで紹介するのは
「アサーション」
というコミュニケーショ
する、
すなわちストレス対処力の高い若者を育てることにもつ
ン・スタイルの一つです。その意味とは、自分と他者の人権を
ながっていくことでしょう。
侵すことなく、自己表現することです。この自他尊重のコミュ
(アサーションについては多く出版物があります。図書館に
ニケーションは、
自分の想いを大切にして、考えや気持ちを正
もきっとあるでしょう。例えば、
「平木典子著:アサーションの心
直に、率直に
「伝え」
、同時に相手の想いを大切にして
「聴く」
こ
自分も相手も大切にするコミュニケーション、朝日新聞出
とで成立するものです。これには言葉そのものだけではなく、
版、2015年」
を紹介しておきます。)
25
大 学 生 協 の
学 生 総 合 共 済
学生総合共済は学生どうしのたすけあいを制度化したものです。
学生生活に必要な保障を、少ない掛金で実現していきます。
安心して過ごせるように学生生活をしっかりサポートします。
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