あじさい Vol.13,No.1,2004 Feb.2004 Vol.13 No.1 ★シリーズ 薬物相互作用―7 『飲食物・嗜好品と薬−1』 要旨:医薬品と食品(健康食品を含む)との相互作用を添付文書、並びに各種文献より調べてみました。 その結果、アルコール、サプリメント(セントジョーンズワート、その他のハーブ類、ビタミン・ミネラル類、)、グレー プフルーツジュース、コーヒー、コーラ、炭火焼きビーフ、高タンパク食、ヒスチジンを多く含む食品(マグロ、サバ 等)、チラミンを多く含む食品(チーズ、ワイン、ビール、酵母等)、フロクマリンを多く含む食品(セロリ、パセリ等) の食品との相互作用は多く報告されていました。しかし、サプリメントについては情報に乏しく有効性や相互作 用について科学的に実証されていないものがあり、その使用においては十分な注意が必要です。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ◎はじめに 教訓だったりすることも少なくありません。体にイイも の同士でも、危険なケース、薬が効かない!かえっ て体調が悪くなった。それは「飲み合わせ」が原因 かもしれません。 どの成分とどの成分の相性が悪いのか?今回のあ じさいで検証してみたいと思います。 人間が生きていくためには食事は必要不可欠で す。栄養管理に気を付けている人であっても一生 の間に一度は病気になり、薬を飲むこともあります。 薬の服用と食べ物の摂取がほぼ同時期に行われ、 薬と食品中の成分が相互作用を起こし有害作用を おこしたり効果が減弱したりすることがあります。 相互作用は、「薬」と「薬」(いわゆる飲み併せ)だ けでなく、「食」と「薬」、「食」と「食」(いわゆる食べ 合わせ)という組み合わせでも、人間の体に多種多 様な変化をもたらす場合があります。(図1)一緒に 食べると体に良くない食物の取り合わせが、昔から 言い伝えられています。 「合食禁(がっしょうきん)」 と言われる生活の知恵です。地方によって、組み合 わせは千差万別で、その中でも「ウナギと梅干し」 「てんぷらとスイカ」「タコと柿」は、広く知られていま す。 消化の良くないもの、おなかを冷やすもの、つ い食べ過ぎる食べ物同士が目立ちます。それらは 科学的根拠に基づいているというよりは、迷信に過 ぎなかったり、生ものの保存ができなかった過去の 図1 食と薬が関係した相互作用 食 ⇔ 食 薬 ⇔ 薬 薬 ⇔ 食 ◎相互作用の分類 薬物相互作用はその発現機構の違いから、薬物 動態学的相互作用と薬力学的相互作用に分類さ れます。薬物動態学的相互作用とは、ある薬物の 1 あじさい Vol.13,No1,2004 体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)が他の薬物の 併用により変化し、その体内量が変化することによ って薬効や毒性が変化する相互作用です。一方、 薬力学的相互作用とは、薬効発現部位での薬物 受容体への結合性の変化や生理的変化によって 生じる相互作用です。薬力学的相互作用では薬物 血中濃度の変化は見られず、薬物の併用により効 果発現濃度あるいは毒性発現濃度が変化させられ たように見えます。薬力学的相互作用は、同一作 用部位(受容体)で起こるものと、異なる作用部位 で起こるものとに分けられます。 図2 薬物動態学的相互作用 1:薬物動態学的相互作用 7 0 ) 1) 吸収過程 消化吸収における相互作用は、キレート形成、吸 着反応、消化運動の変化、消化管 pH の変化、薬 物輸送担体における薬物間での競合や阻害などを 介する機序が知られています。 2:薬力学的相互作用 7 0 ) 1) 同一作用部位における相互作用 同一の受容体に作用する2種類の作動薬(あるい は拮抗薬)を併用すると、おのおのの薬理作用が 増強されます。一方、同一の受容体に作用する作 動薬と拮抗薬を併用すると、作動薬の薬理作用が 減弱あるいは消失します。 例)テトラサイクリン系+鉄剤(抗菌効果の減弱) リボフラビン+メトクロプラミド(ビタミン作用の減弱) 例)塩酸モルヒネ+ナロキソン(鎮痛作用の減弱) エノキサシン+H2 ブロッカー(抗菌効果の減弱) 2) 分布過程 薬物の血中あるいは組織内タンパク質との競合あ るいはトランスポーターの関与が示唆されています。 以前は、多くの薬物相互作用の発現機序として、 血漿タンパク結合の置換によるものと説明されてい ましたが、最近では、そのほとんどが他の機序によ って惹起されていることが明らかになり、タンパク結 合による相互作用の発生頻度は少ないとされてい ます。 3) 代謝過程 薬物の血中濃度変化は、代謝によって強く影響 を受けることから、臨床上問題となるような相互作用 も多いようです。薬物代謝にかかわる相互作用は、 代謝酵素誘導によるものと阻害によるものとに大別 でます。薬物代謝によるチトクローム P450、グルク ロン酸転移酵素が関与しますが、代謝過程の相互 作用においては、チトクローム P450 に影響する薬 物が多く存在します。 例)トリアゾラム+エリスロマイシン(血中濃度上昇) シクロホスファミド+フェノバルビタール(毒性の増強) 4) 排泄過程 腎臓における排泄過程における相互作用は、薬 物の糸球体ろ過、尿細管への分泌ならびに尿細管 からの再吸収過程への影響に大別されます。 例)メトトレキサート+プロベネシド(毒性の増強) クロルプロパミド+炭酸水素ナトリウム(作用減弱) 2 ジアゼパム+アルコール(抗不安作用の増強) 2) 異なる作用部位における相互作用 異なる受容体に作用しますが、ある効果器に対し て同様の効果を与える2種類の薬物を併用すると、 その薬理作用は相互に増強されます。一方、異な る受容体に作用しますが、ある効果器に対して逆 の効果を与える2種類の薬物を併用すると、互いに その薬理作用が減弱されます。 例)ワルファリン+アスピリン(抗凝固作用の増強) 図3 薬力学的相互作用 あじさい Vol.13,No.1,2004 ◎飲食物・嗜好品と薬の相互作用 薬物動態は、薬物の吸収・分布・代謝・排泄の4 相からなりますが、このうち食事(あるいは食品)が 最も影響するのは、吸収相と代謝相で、これらを含 む初回通過の過程です。初回通過効果には、消 化管の血液量や小腸、肝臓の薬物代謝酵素活性 が関与していますが、これらが食事によって影響さ れます。たとえば、塩酸プロプラノロール、酒石酸メ トプロロール、塩酸ラベタロール、塩酸プロパフェノ ンなどは、食後の投与で血中濃度が絶食時と比較 して上昇することが知られていますが、この血中濃 度上昇は、食事による一過性の腸管膜動脈の血流 上昇によると考えられています。 薬物の酸化的代謝に関わる薬物代謝酵素チトク ローム P-450 活性も、食事の組成や栄養状態によ って影響されます。 一般に摂食は胃内容排泄速度を低下させますが、 これによって、薬物の酸分解が促進され、吸収低 下につながることがあります。この例としてベンジル ペニシリンやリファンピシンがあります。徐放性製剤 も食事の有無によって吸収動態が影響を受けやす くなります。さらに、食後、胆汁酸の分泌が促進され るので、ビタミンKなど吸収に胆汁酸が必要な薬物 の吸収は増加します。 栄養状態とアンチピリン代謝(複数の CYP が関与 する)の研究では、栄養失調時に、アンチピリン代 謝は低下することが報告されています。また、同じ カロリー不足でも、タンパク不足を伴うほうがよりアン チピリン代謝の低下が顕著であることも明らかにな っています。逆に高カロリー高タンパクの欧米食で は、アンチピリン代謝が上昇するという報告もあり、 CYP 活性に関与して、タンパクが他の栄養素と比 較して重要であることが示唆されます。 栄養状態は、薬物の抱合化反応にも影響します。 栄養失調の小児では、グルクロン酸抱合化の障害 によると考えられるクロラムフェニコールの血中濃度 上昇も報告されています。 1.アルコール 1 7 ) 1 8 ) 飲酒による興奮は脳の抑制制御機構が抑制され るためで、エタノールは中枢神経系を抑制します。 エタノールの作用は血中濃度に比例しています。 エタノールは糖新生を抑制するため低血糖を起こ す場合があるため、経口血糖降下剤またはインスリ ンを投与した場合などには過度の飲酒は禁忌で す。 1) アルコール代謝に影響する薬物 エタノールはアルコール脱水素酵素(ADH)によ 3 ってアセトアルデヒドに代謝され、アセトアルデヒド はアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に 代謝されます。このようにエタノールは中間代謝物 のアセトアルデヒドを経て不活化されますが、薬物 によってアセトアルデヒド脱水素酵素が阻害され、 血中にアセトアルデヒドが蓄積すると二日酔いの症 状が現れます。症状が強い場合は呼吸抑制や意 識障害に至ります。 グリセオフルビン、メトロニダゾール、カルモフール、 クロルプロパミドおよび N-メチルテトラゾールチオメ チル基を有するセフェム系抗生物質はジスルフィラ ム様作用のあるものがあるので、投与期間中および 投与中止直後は禁酒するよう指導する必要があり ます。 H2 拮抗薬は肝臓と胃粘膜に存在し、少量のエタ ノールは胃粘膜で代謝(初回通過効果)を受けま す。H2 拮抗薬のシメチジンは、胃粘膜 ADH を阻 害しエタノールの吸収を高め、さらに肝 ADH を阻 害し消失を遅延させ、飲酒時の血中エタノール濃 度を上昇させます。 シメチジン投与中の患者では急性アルコール中 毒が発現する可能性があるので、飲酒しないか、量 に注意して飲むように指導します。ラニチジンにも 胃粘膜 ADH 阻害作用があることが報告されており、 シメチジン同様に飲酒に注意を要します。 又、エタノール含量が少ない医薬品、飲食物でも 注意する必要があります。 2) 薬物代謝への影響 エタノールは肝臓において主に ADH によって代 謝されるが、血中エタノ ー ル 濃 度 が 高 い 状 態 (200mg/dl 以上)では ADH が飽和するため、チト クローム P-450(CYP)によって代謝されます。CYP は薬物の主な代謝酵素でもあり、エタノール存在下 では多くの薬物で代謝が抑制され、作用が増強さ れることがあります。一方、慢性的に大量飲酒者で は CYP が誘導された状態となっていますので、多く の薬物で消失速度が亢進し薬効が減弱することが 報告されています。(例)ワルファリンカリウム、フェ ニトイン、トルブタミド等 また、代謝物に活性がある薬物では酵素誘導に より作用が増強することがあります。アセトアミノフェ ンの中間代謝物(N-水酸化体)が過剰に産生され ると肝細胞壊死が生じるため、慢性的過量飲酒者 ではアセトアミノフェンを1 日 4∼8g 服用した場合に 重篤な肝障害をおこしたとの報告があります。 シメチジンはエタノールの代謝を阻害しますが、エ タノールによってシメチジンの代謝も阻害されるた め、血中濃度が上昇してシメチジンによる中枢神経 あじさい Vol.13,No1,2004 障害(頭痛、めまい、知覚減退、四肢のしびれ、錯 乱等)が起こる可能性があります。 2. サプリメント 1)セント・ジョンズ・ワート(SJW)34)35)36)37)38) SJW はハーブの一種で、抗うつ作用、抗ストレス 作用をうたった健康食品に主成分として含有されて います。 欧米ではポピュラーなハーブで、最近日本でも健 康食品としてかなり浸透してきています。 SJW 中に含まれるヒペルフォリンなどが、主に消 化 管 上 皮 細 胞 に 存 在 す る チトクローム P-450 (CYP3A4)活性または P 糖タンパクを誘導して薬 物血中濃度を低下させ、薬効を減弱させます。 SJW によるこれら機能蛋白質の誘導発現やその 消失には時間を要すると考えられているので、その 摂取中、摂取中止後においては、投与量調節方法 などに十分注意する必要があります。 併用によって血中濃度が低下する薬剤には、 TDM の対象となっている免疫抑制剤(シクロスポリ ン、タクロリムス)、気管支喘息治療薬(テオフィリン など)、ジギタリス製剤、抗てんかん薬(フェニトイン、 フェノバルビタール)、抗不整脈(ジソピラミド、塩酸 アミオダロン)、さらに抗 HIV 剤(インジナビル、ネビ ラピンなど)、経口避妊剤、血液凝固阻止剤(ワル ファリン)、アミトリプチリン、ミダゾラム、シンバスタチ ンなどがあり、いずれも CYP3A4 で代謝される薬剤 です。また P 糖タンパクの基質です。 2 )その他のハーブ ハーブはその成分の詳細が解っていないものも 多く、正しい用法・用量、相互作用などに関する情 報が不足しがちです。また、ビタミン・ミネラルのよう に過不足の基準となる栄養所要量がないため、過 剰摂取による毒性発現も懸念されています。 イチョウの葉、ガーリック、チョウセンニンジンはワル ファリンカリウムの代謝や排泄などに影響を及ぼす 可能性があります。イチョウの葉の成分であるギンゴ ライトは PAF(血小板活性化因子)を阻害する作用 があり、イチョウの葉単独服用でも硬膜外出血の報 告があります。 ガーリックは血小板機能を抑制することにより、出 血傾向を引き起こすことがあります。チョウセンニン ジンはワルファリンカリウムの抗凝固作用を低下さ せますが、一方、動物実験では顕著な影響はみら れなかったという報告もあります。 医薬品がビタミン・ミネラルの吸収を阻害する場 合は、同時服用を避けるよう指導します。またビタミ ン・ミネラルの代謝・排泄に影響を及ぼす可能性の ある医薬品の長期服用は、ビタミン・ミネラルの不足 を引き起こすことが予想されるため、逆にサプリメン トによる補給をすすめることを考慮します。 医薬品がビタミン・ミネラルの吸収を阻害する要因 として、粘膜傷害、キレート形成、消化管内の pH の変化などが考えられます。 例えば、制酸剤は消化管の pH を上昇させること により鉄に対し難溶性塩を形成させ、腸管吸収を 抑制します。 ① ビタミン D (吸収過程に影響) ビタミンの中には薬物の吸収を促進し、血中濃度 を上昇させる作用機序をもつものがあります。例え ば、ビタミン D はカルシウムやマグネシウムの腸管 からの吸収を増加させ、マグネシウム含有製剤やカ ルシウム含有製剤との併用により高カルシウム血症、 高マグネシウム血症が発現する可能性があります。 また、ビタミン D の二次的作用として、腸管カルシウ ムの吸収を促進させるため、高カルシウム血症を誘 発し、このときにジギタリス製剤が併用されていると その毒性が増強することがあります。 逆に、フェノバルビタールやフェニトインなどは、ビ タミン D の代謝過程に影響を及ぼし、二次的にカ ルシウムの吸収不良が生じる結果、骨軟化症を引 き起こす場合があります。 ② ビタミン B 6 (代謝過程に影響する薬剤)4 0 ) ビタミン B6 の作用は、薬物代謝酵素を活性化す ることが知られています。ビタミン B6 は、レボドパに 対する脱炭酸酵素の作用を促進し、脱炭酸化によ る代謝を速めるため、その抗パーキンソン効果を減 弱させたり、大量投与によりフェニトインやフェノバ ルビタールの酸化による代謝を促進し、血中濃度 を低下させます。 さらに、イソニアジドや塩酸ヒドララジンは、ピリド キサールキナーゼ阻害作用を有するため、ビタミン B6 の欠乏症状を引き起こす場合があります。 ③ ビタミン K 食品中に含まれるビタミン K は K1と K2 であり、そ の効力は同等です。主として K1 は緑色の野菜(植 物の葉緑体で産生、タバコ、緑茶に多い)に含まれ、 K2 は微生物により作られる発酵食品に含まれてい ます。 ビタミン K は、血液凝固に必要な蛋白性の凝固 3 )ビタミン・ミネラル 5 7 ) 4 あじさい Vol.13,No.1,2004 すなわちアスピリンと葉酸が血清タンパクとの結合 に競合する結果、葉酸の排泄が促進されます。 肝ミクロソーム中の薬物代謝を誘導するような医 薬品を摂取した場合、結果的にこれらの酵素の活 性が高まり、補助因子としてのビタミンの需要が増 加します。例えば、フェノバルビタールやフェニトイ ンを長期間服用した場合、葉酸の欠乏が現れるこ とがあります。 又、フェニトインは葉酸と併用すると血中濃度が 低下しますが、これは葉酸によりフェニトインの酸化 代謝が誘導されるためと考えられます。 因子や骨の石灰化調節因子となる蛋白質の肝臓 における合成に関与しています。 ビタミン K との相互作用を起こす薬品としては、ワ ルファリンが有名です。併用では、ビタミン K 依存 性凝固因子の合成促進によりワルファリンカリウム の作用が減弱するため、クロレラ製品などビタミン K を多く含む食品を摂取している患者に対しては、そ の摂取を避けるよう指導します。 ワルファリンカリウムはその他、ビタミンCとの併用 時に血液凝固時間が短縮することがあるので、血 液凝固能の検査値の変動に注意します。 又、ビタミン E、ビタミン A を過剰摂取すると、ワル ファリンカリウムの抗凝固作用が増強したとの報告 があります。 3. ミネラル ミネラルはキレート形成や難溶性の塩形成により、 薬物の腸管吸収を阻害することがあります。例えば、 ニューキノロン系抗菌剤やテトラサイクリン系抗生物 質、ビスホスホネート系製剤は、消化管内でカルシ ウムなどの金属カチオンと難溶性のキレートを形成 するため吸収が減少し、効果減弱の可能性があり ます。 サプリメントとしてカルシウム・鉄・亜鉛剤などを服 用している場合には、両剤の服用時期を 2 時間以 上ずらすよう指導する必要があります。 ④ ビタミン C ビタミン C の摂取によりノルゲストレル・エチニルエ ストラジオールの代謝が抑制され、バイオアベイラビ リティが増加するため血中濃度が上昇するとの報告 があります。また、ビタミン Cと結合型エストロゲンの 併用は、ビタミン C によりエストロゲンの吸収が促進 されます。 非ステロイド性消炎鎮痛薬は腸粘膜の多数の部 分で少量出血を引き起こすことがあるので、ビタミン C の吸収低下や鉄欠乏性貧血症の原因となる可 能性があります。 又、ビタミン C は鉄の吸収率を高めますが、その 反面鉄による消化器系の副作用発現頻度も高まり ます。通常の食事を摂取している限りでは鉄の服 用にビタミン C を併用する必要はないようです。 ⑤ ビタミン A (過剰摂取による毒性)2 8 ) ビタミン・ミネラルの過剰な摂取による健康障害を 防ぐために、一部のビタミン・ミネラルについては許 容上限摂取量が定められています。(表1,2参照) 妊娠中にビタミン A を過剰摂取することにより先天 異常や自然流産を引き起こす可能性があるので、 妊娠可能年齢の女性にはその摂取を 5000IU/日 以下に制限するように指導します。ビタミン A は、ビ タミン A 誘導体のエトレチナートとの併用により、過 剰摂取による中毒症状(頭痛、吐気等)が現れる可 能性があります。 ⑥ 葉酸 4 1 ) 6 1 ) メトトレキサートは、葉酸の代謝酵素の一種であ るジヒドロ葉酸還元酵素を可逆的阻害することで、 葉酸の代謝拮抗剤として機能します。 アスピリンは葉酸の排泄過程に影響を及ぼします。 5 4. 牛乳 2 0 ) 4 9 ) 5 0 ) 5 1 ) 牛乳飲用による薬物動態の変動は、消化管から の薬物吸収の変動に基づいています。吸収が低下 する薬剤として、セファレキシン、アモキシシリン、テ トラサイクリン系抗生物質、エチドロン酸二ナトリウム、 リン酸エストラムスチンナトリウムなどがあります。 テトラサイクリン系抗生物質は、カルシウム、マグ ネシウム、アルミニウム、鉄剤などとキレートを形成し て吸収低下を起こすため、牛乳による吸収率低下 も含有されるカルシウムによると考えられています。 吸収が増大する薬剤としては、エトレチナート、グ リセオフルビンなどがあります。 牛乳に含まれる脂 肪がグリセオフルビンなどの難溶性薬剤の溶解性 を高め、胆汁酸塩とミセルを形成して吸収が促進さ れます。グリセオフルビンをミルクと一緒に投与する と最高血中濃度(Cmax)で3倍、血中濃度曲線下 面積(AUC)で約 10 倍上昇すると報告されていま す。 又、大量の牛乳とカルシウム製剤、酸化マグネシ ウムとの併用によりミルク・アルカリ症候群(高カルシ ウム血症、高窒素血症、アルカローシス等)を起こ すことがあります。普通牛乳中のカルシウム量は 100mg/100ml とされています。牛乳中のカルシウ ムが吸収されやすいとしても、100%吸収するとは あじさい Vol.13,No1,2004 考えられません。添付文書の表記に「大量の牛乳」 と曖昧な表現がされていますが、これは「500ml を 超える量を 1 回に飲用する程度の量」を意味するの ではないかとの報告がありました。80) 表1 ビタミンの働き(第6次改訂日本人の栄養所要量) ビタミン 1日の栄養所要量 ( ) 内は許容上限摂取量 ビタミンA 男 2000IU 女 1800IU 体内での働き 欠乏症 粘膜の形成や機能に大きく関わっており、皮膚や細 胞を健康にし、視力を正常に保つ働きがある。 夜盲症、皮膚乾燥、結膜乾燥症 カルシウムの腸管からの吸収を助け、骨の発育を 促進。血液中のカルシウム量を一定に保つ作用が ある。 小児のくる病、成人の骨軟化症 細胞の酸化や老化を防ぎ、過酸化脂質の生成を抑 え血管を強化する。脳の活性化や生殖能力を高め る働きもある。 不妊( 動物実験) 、赤血球の溶血 ( 上限5000IU) ビタミンD 100IU ( 上限2000IU) ビタミンE 男 10mg 女 8mg ( 上限600mg/αトコフェロール当量) ビタミンK1 ビタミンK2 男 65μg 女 55μg ( 上限30000μg) ( ビタミンKとして) 血液を凝固させるプロトロンビンなどの形成に不可 血液凝固時間の延長、出血 欠。 骨の発育を促進する。破骨細胞の働きを遅らせ、骨 骨粗鬆症 粗鬆症を予防・ 治療する。 ビタミンB1 男 1.1mg 女 0.8mg エネルギーをつくりだす糖質の代謝に不可欠 脚気、多発性神経炎、Wernicke脳 な物質。体を動かすことによって消費量も増え 炎、食欲不振、神経障害 る。精神の安定を保つ作用も。 ビタミンB2 男 1.2mg 女 1.0mg エネルギー代謝、アミノ酸代謝、脂質代謝など の酸化還元反応に関与する補酵素。目や皮 成長障害、口内炎、口唇炎、口角 膚、口・ 鼻の粘膜の健康を保ち、正常に機能す 炎、皮膚炎、シビガッチャキ病 るように作用。成長促進や細胞の再生にも不 可欠。体質を強化する。 ナイアシン 男 16∼17mg 女 13mg ( 上限 30mg) 細胞の代謝や遺伝子の修復、インスリンの合 成などに関与。血液循環をよくしコレステロー ペラグラ皮膚炎 ルを低下させる働きもある。 ビタミンB6 男 1.6mg 女 1.2mg ( 上限 100mg) たんぱく質や脂肪の吸収・代謝を助け、体内で 成長障害、舌炎、皮膚炎、神経炎、 のたんぱく質合成に不可欠な物質。中枢神経 てんかん様発作、発疹、貧血 系を正常に働かせる。 葉酸 200μg ( 上限 1000μg) たんぱく質や糖質の代謝を助け、ヘモグロビン や赤血球、核酸の合成に関与。特に妊娠時や 巨赤芽球性貧血 授乳期には摂取が必要。 ビタミンB12 2.4μg たんんぱく質や核酸の代謝を助け成長を促 進。赤血球の生成を促し貧血を防ぐ。葉酸、ビ 悪性貧血 タミンCとともに摂取。 ビオチン 30μg アミノ酸や脂肪酸の代謝を助けるほか、甲状 腺や生殖器官、神経・ 皮膚組織を正常に保つ 欠乏症はない 働きがある。 パントテン酸 ビタミンC 5mg 100mg 糖分やたんぱく質の代謝酵素・コエンザイム材 成長障害、体重減少、悪心、めま 料。中枢神経の発達を促し、副腎皮質の働き い、痙攣 を強化、解毒作用。 アミノ酸代謝や蛋白質代謝に関与する補酵 素。血管、骨、筋肉の形成に必要なコラーゲン 壊血病、出血、色素沈着 の生成を促進し、免疫力を高める。日焼け予 防や鉄の吸収を助ける働き。 年齢によって異なるが、ここでは最大の値を載せる。 6 あじさい Vol.13,No.1,2004 表2 ミネラルの働き ミネラル 1日の栄養所要量 ()内は許容上限摂取量 カルシウム 男 600∼700mg 女 600mg Ca (上限 2500mg) 鉄 男 10mg 女 12mg Fe (上限 40mg) マグネシウム 男 300∼320mg 女 250∼260mg Mg (上限 650∼700mg) リン 700mg P (上限 4000mg) カリウム 2000mg K ナトリウム 10g以下 Na (食塩として) マンガン 男 4.0mg 女 3.0∼3.5mg Mn (上限 10mg) 亜鉛 体内での働き 過剰症 欠乏症 歯や骨の形成障害、成長 骨や歯の形成に不可欠な成分。血液 幻覚、脱力、食欲不振、 障害、骨粗鬆症、知覚過 の凝固を助けたり、筋肉や神経を正常 尿路結石 敏、テタニー にする作用も。 赤血球(ヘモグロビン)の構成成分で、 各細胞へ酸素を運ぶ役割をになう。成 ヘモクロマトーシス 長促進や免疫にも関与する。 貧血 糖質の代謝を助け、心臓や血管系を 健康に保つ。また刺激による筋肉や神 傾眠、低血圧 経の興奮を正常に戻す役目をになう。 骨や歯の形成障害、虚血 性心疾患、テタニー、知 覚過敏 血液中の酸やアルカリを中和し、糖質 カルシウム吸収障害、副 骨や歯の形成障害、筋力 の代謝を円滑にする。体内のカルシウ 甲状腺機能亢進症 低下 ムバランスを保つ役目を果たす。 主に細胞の内側の体液に含まれ、そ の濃度を調整している。筋肉がエネル 不整脈、腹痛 ギーをつくりだすときにも不可欠。 疲労感、脱力感、不整脈 血液や細胞間液など、細胞の外側の 高血圧、浮腫、興奮、口 体液中に存在し、それらの濃度を調整 渇、体温上昇 する。 食欲低下、悪心、嘔吐、 意識障害、痙攣 骨の形成を促進し、肝臓や骨の酵素 成長障害、軽度の皮膚 鉄欠乏性貧血、傾眠、低 作用を活性化する。疲労やイライラを 炎、血糖上昇、テタニー、 血圧 やわらげ、記憶力を増進させる。 知覚過敏 男 11∼12mg 女 9∼10mg Zn 細胞分裂に不可欠な元素。皮膚、骨 格、味覚、生殖器官の発達 貧血、発熱、悪心 成長障害、味覚喪失、腸 性肢端皮膚炎症、下痢、 血糖上昇 (上限30mg) 銅 男 18mg 女 1.6mg Cu (上限9mg) セレン エネルギーの産生、酵素の構成成分、 赤血球、白血球細胞の成熟を促す、骨 溶血性黄疸、Wilson病 の形成を助け、骨の強度に関与、脳の 発育に必要といわれる 男 50∼60μg 女 45μg Se 抗酸化物質(酵素)の合成に関与 (上限 250μg) モリブデン 皮膚障害、脱毛、肝硬 変、貧血、腹痛、呼吸障 害 低色素性貧血、毛髪や皮 膚の色素脱失、成長障害 成長障害、筋肉萎縮症、 不妊症、肝臓障害、免疫 能低下 男 30μg 女 25μg Mo たんぱく質の構成成分、硫黄の酸化に 成長停止、貧血 作用 成長障害、神経障害 甲状腺ホルモン(エネルギー調節機構 甲状腺腫 を制御する) の合成成分 甲状腺肥大症、成長障害 (上限250μg) ヨウ素 150μg I 7 あじさい Vol.13,No1,2004 5. グレープフルーツジュース(GFJ)5)6)7)8)9)10)11) カルシウム拮抗薬のフェロジピンの血中濃度を上 昇させ、過度の血圧低下を引き起こす食品として精 力的に研究された相互作用です。この相互作用は、 初回通過効果を受けやすい薬物(バイオアベイラビ リティが 25%以下の薬物)、CYP3A4 によって代謝 される薬物で起こりやすく、Cmax や AUC が上昇し ますが、半減期には影響しないという特徴がありま す。AUC 増加率として高い方から、フェロジピン> ニソルジピン>ニトレンジピン>ニフェジピン>アム ロジピン>ジルチアゼム、Cmax 増加率は、ニソル ジピン>フェロジピン>ニトレンジピン>ニフェジピ ン>アムロジピン>ジルチアゼムという報告がありま す。 グレープフルーツジュースの飲用量がわずかコッ プ 1 杯程度(250ml 前後)でも、バイオアベイラビリ ティが増大しています。薬物によっては、グレープフ ルーツジュースの抑制効果が数日間持続すること があるため、薬物ごと、グレープフルーツジュース飲 用と薬物服用のタイミングに応じて適切な服薬を指 示する必要があります。 作用機序は、小腸上皮に分布している CYP3A4 の活性を阻害し、初回通過時の代謝不活化を抑制 することに基づいています。 現在、GFJ と薬物との相互作用メカニズムは、主 にチトクローム P450(CYP3A4)による消化管での 薬物代謝に対するグレープフルーツジュース中に 含まれるフラノクマリン誘導体(ベルガモチン、6‘7’ −ジヒドロキシベルガモチンとその二量体 GF-1-1と GF-1-4)による阻害効果によるものであると考えら れています。さらに、最近、P-糖蛋白などの消化管 で排出解毒を担うトランスポーターに対する作用な ども報告されています。 性の医薬品は排泄が抑えられ血中濃度が上昇す ることがあります。硫酸キニジンは、尿細管からの再 吸収が促進されて体内に蓄積し、副作用が増強す ることがあります。 7. キサンチン類(コーヒー等)2 3 ) 4 8 ) コーヒー、紅茶、緑茶などにはカフェインを含有し ています。普通の状態では、カフェインは肝臓で代 謝分解され解毒され、特に体内に蓄積することはあ りません。しかし、シメチジンやニューキノロン系抗 菌薬(エノキサシン)などが存在すると、カフェインの 代謝が阻害されてカフェインがいつまでも体内に蓄 積することになります。 カフェインの N-脱メチル化代謝に関与する酵素 はチトクローム P-450(CYP1A2)であり、シメチジン やニューキノロン系抗菌薬(エノキサシン)等 CYP1A2 阻害活性のある薬剤を服用するとカフェ インの副作用(頭痛、イライラ感、落ち着きのなさ、 不眠等)があらわれる場合があります。 これらの嗜好品類は通常量では薬との相互作用 は頻繁に起こるものではありませんが、過量に摂取 するとカフェインの副作用が起こる可能性がありま す。よって、カフェイン含有の嗜好品類は避ける必 要があります。 表3 カフェインの摂取量と発現症状 摂取量 50∼200ng (85∼250mg) 200∼500ng (500∼1000mg) 1000mg以上 いらいら感、不 眠気減弱・消失 眠、振戦、頭痛、 不眠、精神興奮、 発現症状 疲労感減弱・消失 知覚過敏、精密 軽度妄想状態 思考力増進 作業遂行能力低 下 表4 嗜好品中のカフェイン(可食部 100g 当たり) 6. 果物ジュース 4 2 ) ジュース成分(フラノクマリン類、バイオフラボノイド 類)は 有 機 ア ニ オ ントランスポーター(OATP: organic anion transporting polypeptide)と P 糖蛋白質により、薬剤の血液中濃度を低下させ る考えられています。 フェキソフェナジンは P-糖蛋白質と OATP の基質 といわれており、果物ジュースにより血中濃度の低 下が報告されています。 又、野菜や果物、海草などはカリウム、ナトリウム、 マグネシウム、カルシウムなどの陽イオンが硫黄、リ ン、塩素などの陰イオンより多く含まれている食品 (アルカリ性食品)です。よって、アルカリ性食品を 大量に摂取すると尿がアルカリ性になり、アルカリ 玉露 浸出液 カフェインの カフェイ 含有量 ン含有 侵出条件 量 茶 3.5% 0.16% 茶10g/60℃の湯60ml、2.5分 抹茶 茶 3.2% 煎茶 茶 2.3% 0.02% 茶10g/90℃の湯430ml、1分 お釜煎り茶 茶 2.5% 0.01% 茶10g/90℃の湯430ml、1分 番茶 茶 2.0% 0.01% 茶15g/90℃の湯650ml、0.5分 ほうじ茶 茶 1.9% 0.02% 茶15g/90℃の湯650ml、0.5分 玄米茶 茶 1.8% 0.01% 茶15g/90℃の湯650ml、0.5分 ウーロン茶 茶 2.4% 0.02% 茶15g/90℃の湯650ml、0.5分 紅茶 茶 2.7% 0.05% 茶2.5g/90℃の湯100ml、2分 炒り珈琲豆 珈琲豆 1.3% 0.04% ドリップ式10g/150mlの熱湯で浸出 食品名 インスタントコーヒー 8 0.8% − − − − あじさい Vol.13,No.1,2004 8. コーラ(酸性飲料)2 2 ) 4 8 ) コーラは pH が 2.5 と、高い酸性飲料水です。イト ラコナゾールやケトコナゾールのように、通常水に 殆ど溶解しない薬剤で、胃内において初めて可溶 性の塩酸塩となり溶解するような薬剤を服用すると 溶解性が増し血中濃度が上昇します。 無酸症(胃液の塩酸が欠如していること)、あるい は低塩酸症や減酸症(胃における塩酸量が異常に 少ないもの)の患者では、コーラの摂取により胃内 pH を低下させ、イトラコナゾールのバイオアベイラ ビリティを改善することができます。また、イトラコナ ゾールはコーラとともに服用すると吸収が良好であ るため、結果的に投与量が少なくて済み、経済的 でもあります。しかし、どのような患者でも、やみくも にイトラコナゾールをコーラで服用すると、予想でき ない血中濃度上昇による副作用が発現すると考え られますので、イトラコナゾールは食直後に水ととも に服用するのが最も良いと思われます。 又、ニコチンガムはコーラ、コーヒーを飲んだ後に 噛むと、十分な効果が得られない可能性があります。 ニコチンは塩基性の物質であり、口の中が酸性下 であると、ニコチンはイオン型となるため、吸収性の 高い分子型のニコチンの割合が低下し、全体として の吸収量は低下します。 よって、酸性飲料を摂取した時には、ニコチンガ ムの服用を避ける必要があります。どれくらいの時 間をあけるかの検討はまだなされていませんが、水 などで口をすすぐと短時間で十分であるかもしれま せん。 表5 各種飲料の pH 値 コカコーラ 飲食物 pH 2.5 ペプシ カナダドライ・ジンジャーエール マウンテンデュー 2.5 2.7 2.9 ダイエット ミニッツ・メイド・オレンジジュース レモンペプシツイスト 3.0 3.1 グレープフルーツジュース 7−アップ ダイエット コカコーラ ダイエット ペプシ 3.17 3.2 3.2 3.2 レモンダイエットペプシツイスト ダイエット カナダドライ・ジンジャエール 3.2 3.2 パイナップルジュース カンダドライ・オレンジジュース 3.64 3.7 リンゴジュース レモンライムソーダ 3.88 3.22∼3.28 オレンジジュース 3.81∼3.89 炭火焼きした食物(特にビーフ)、あるいはスモー ク処理した食物には多環芳香族炭化水素が含まれ ており、また食物によってその種類も相違することが 知られています。さらに、多環芳香族炭化水素が薬 物代謝に影響することが明らかになっています。 炭火焼きビーフを 4∼7 日以上連続して摂取する ことで、テオフィリンなどのチトクローム P4501A2 (CYP1A2)により解毒代謝される薬剤の代謝が亢 進し、十分な治療効果が得られなくなる可能性があ ります。これは、炭火焼きビーフに含まれる多環炭 化水素によって、CYP1A2 の酵素誘導が原因して いると考えられています。 炭火焼きビーフを大量に、かつ長期にわたって摂 取しない限り、大きな問題となることはないと考えら れています。しかし、1 回の炭火焼きビーフの摂取 によっては、どの程度の影響が出てくるかは不明で あるので、一応の注意は必要です。 10. 高タンパク食 4 7 ) 小腸にはロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン などの比較的大きなアミノ酸を特異的に運ぶトラン スポーターが存在しています。メルファランは、それ に乗って吸収されると考えられています。本来、栄 養物質であるアミノ酸のために備わっているトランス ポーターが、運ぶ相手を誤認識してメルファランを 輸送していると考えられます。 アミノ酸は食物に含まれる、消化管において蛋白 質の消化によって生まれます。従って、食物中の高 蛋白食品の摂取によって生成した、ロイシン、イソロ イシンなどメルファランの消化管吸収を阻害する可 能性があります。 メルファランは、胃腸障害や飲み忘れを防ぐため にも、食後に服用するようにして下さい。 11. マグロ(ヒスチジンを多く含む食品)2 4 ) マグロ、サバ、イワシなどの赤みの魚肉や魚の加 工品にはヒスタミンを生成するヒスチジンが含まれて います。 ヒスチジン(食品中のアミノ酸)は、細菌(特に Proteus morganii)の持つヒスチジン脱炭酸酵素 によってカルボキシル基が取れてヒスタミンとなりま す。ある程度のヒスタミンであれば、消化管や肝臓 に存在するヒスタミナーゼ、N-メチルヒスタミンオキ シダーゼ(MAO)などの酵素によって分解されてし まい問題となりませんが、ヒスタミン生成量が多く、こ れらの酵素で処理しきれなくなると、体内に溜まりヒ スタミン中毒(まぶた、口のまわり、耳などに熱感、 酩酊感、顔面・上半身の紅潮、蕁麻疹、発熱、吐き 9. 炭火焼きビーフ 4 4 ) 9 あじさい Vol.13,No1,2004 気、下痢)などが起こります。イソニアジドは、ヒスタミ ナーゼ、MAO によるヒスタミンの分解を阻害するた め、ヒスタミン中毒が出現することがあります。 よって、イソニアジドを服用している患者は、新鮮 でないマグロの刺身等を食べることは控えた方がよ いでしょう。 12. 表7 魚類 チ ー ズ(チラミンを多く 含 有 す る 飲 食 物) 25) チラミン(tyramine:p-hydroxy phenylethylamine)は、L-チロシンの脱炭酸で生 じますが、生体内で生ずることは少なく、チラミン含 有食品に由来します。チラミンを多く含有する食品 としては、チーズ、酵母、肉の抽出液、ワイン、保存 魚製品等があります。普通は吸収されても腸管内 に大量に含まれているモノアミン酸化酵素(MAO: monoamine ixidase とよばれている)により代謝 分解され、不活性化されてしまうため、症状は発現 しませんが、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO 阻 害薬)の服用者では、これらの食品摂取によって、 チラミン分解が阻害され高血圧発作等を引き起こ すことがあります。 チラミンが、もし腸管より吸収されると、全身に存 在するアドレナリン作動性神経終末部と呼ばれる部 分に取り込まれ、ノルアドレナリンの放出を促進させ、 その濃度を増大させます。さらに、チラミンにはノル アドレナリンなどのカテコールアミン類が代謝分解さ れるのを阻害する働きがあります。従って、ノルアド レナリンなどのカテコラミン類の濃度が増大し、その 作用が増強することになります。 よって、イソニアジドのように MAO を阻害する薬 剤はチラミンの代謝を阻害するため、腸管内でチラ ミンの分解ができなくなり、チラミン中毒(発汗、動 悸、上腹部痛、頭痛、血圧上昇、及び悪心・嘔吐な どの症状)が惹起される可能性があります。 表6 チラミンの毒性 報告されている摂取量 発現する症状 6mg(経口) 血圧の徴候的な上昇 8mg(経口) 25mg(経口) 20∼80mg(皮下注) 500mg以上 収縮期血圧を30mmHg上昇させた 致命的結果 血圧が目覚ましく上昇し、重篤な頭痛が 発症 収縮期血圧を30mmHg上昇させるに要す る量 10 食品中のチラミン量 (mg/100g 可食部) ニシンの塩漬け ニシンの塩漬けの漬け汁 野菜 キャベツの塩漬け 果実類 バナナの皮 アボカド バナナの果肉 パインジュース イチジク 肉類 肉エキル( 3種) 牛レバー サラミ ドライソーセージ 鶏レバー( 保存5日目) ソーセージ( 経日) コンビーフ ブルー・ チーズ 醗酵食 スチルトン・ 品関連 チェダー・ チーズ( 長期間発酵品) ポー・ デュサンリュ・ チーズ チーズ チェダー・ チーズ( 中期間発酵品) チーズ チェダー・ チーズ( 短期間発酵品) プロセスイーズ ゴーダ・ チーズ 濃口醤油 淡口醤油 米味噌 麦味噌 豆味噌 醤油 ビール( 4銘柄) ビール( 4銘柄) ワイン( 赤6銘柄) ワイン( 白3銘柄) 47.0∼ND 1.51 5.547 6.5∼5.17 2.3∼ND 0.7∼ND 0.04 ND 30.4∼9.5 27.4∼0.54 18.8 12.5 5.1 2.9 1.1 217 153 111.6 19.2 12.0 2.6 2.0 35.6( 平均) 24.0( 平均) 19.4( 平均) 14.6 9.3 0.176 1.12∼0.65 0.452∼0.145 0.441∼0.035 0.279∼0.039 13. セロリ(フロクマリンを含む食品)2 9 ) セロリ、ライム、人参、パセリ、イチジク、アメリカボ ウホウ、カラシなどには、光感作力の強いフロクマリ ン(8-メトキシソラレン、5-メトキシソラレン)が含まれ ています。一般的に野菜にはフロクマリン含量は低 いことが知られていますが、真菌の侵入、UV 照射、 冷却、化学物質への暴露などセロリに対するストレ ス状況によって、セロリ中のフロクマリンの濃度が上 昇することがあります。 尋常性白斑治療薬のメトキサレン(8-メトキソラレ ン)(商品名:オクソラレン)は、セロリに含まれるフル クマリンと同一成分であり、セロリを多量に摂取した 場合には、薬を過量に投与したと同様で、光を浴 びた時には光毒性が惹起する可能性が考えられま す。 よって、オクソラレンを服用中にフルクマリンを含 むセロリ、ライム、人参、パセリ、イチジク、アメリカボ ウホウ、カラシなどを多量に摂取しないように注意す ることが望ましいとされています。 あじさい Vol.13,No.1,2004 14.タバコ 喫煙によって、薬物代謝酵素チトクローム P450 (CYP1A2)が誘導されることから、主に CYP1A2 によって代謝される薬物を使用する場合には注意 する必要があります。 また、誘導現象には一部 CYP1A2 の遺伝子多型 によると考えられる個人差があると考えられていま す。禁煙によって、もとの活性に戻るまで少なくとも 1週間以上(報告によっては3カ月∼2年間)は要し ます。テオフィリンを服用中の人は、用法・用量の調 節には十分に注意し、血液濃度のモニタリングをす る必要があります。 受動喫煙においても酵素誘導が起こる可能性は 高く、喫煙者と同様な注意が必要です。 テオフィリン服用者は禁煙することが必要であり、 またその家族も患者が受動喫煙にならないよう配慮 するべきです。 ◎ 食品と医薬品の相互作用一覧 添付文書、文献報告を元に相互作用一覧表を作 成しました。判定には、添付文書相互作用の項の 併用禁忌、併用注意を用いています。 A 医薬品を薬効群にまとめ掲載しています。 データベースの記載要項については表9を参照し て下さい。 表9 1:薬品名は一般名[商品名]で記載 A薬品:主に薬品 B薬品:薬剤と相互作用を起こす食品 2:作用・・・具体的な相互作用 A作=「A薬品名」の作用 B作=「B薬品名」の作用 ↑=作用増強 ↓=作用減弱 3:判定・・・併用して良いかどうかの目安 添付文書情報 禁=禁忌(投与しないこと) 注=併用注意(注意して投与) 添付文書以外の報告があるもの 報=報告がある 4:促進・阻害・・・吸収、排泄、代謝、薬理作用につい て促進と阻害に分類しメカニズムの概略が分かるよ うに記載 15.トロンボキサン A2 酵 素 活 性 阻 害 物 質 が 含 ま れている食品 野菜や果物にはトロンボキサン A2 酵素活性を阻 害する物質が含まれており、血小板凝集阻害活性 があるといわれています。野菜、果物のもつ血小板 凝集阻害活性度と血栓溶解剤あるいは、抗凝固療 法中の患者に対する影響については検討の必要 があります。 一度に1種類の野菜や果物を大量に摂取するこ とはないにしても、数種の野菜や果物の組み合わ せによる摂取は考えられることであり、総合的な量と しての野菜・果物の摂取量を考えた場合、薬物療 法に影響することが考えられられます。 表8 5:症状・・・併用による症状 6:措置 具体的な措置、対処法を掲載 血小板凝集阻害活性度 50%以上 ニンニク シシトウ さやいんげん ほうれん草 玉ねぎ アスパラガス セロリ アシタバ パセリ トマト 葱 シソ メロン パッションフルーツ 50∼30% 春菊 大根奈 貝割れ大根 ワケギ アサツキ 二十日大根 人参 青梗菜 ピーマン 苺 アボカド グレープフルーツ 甘夏 30∼10% モヤシ 大根 三つ葉 南瓜 サラダ菜 鞘豌豆 グリーンピース レモン パパイヤ 西瓜 柿 ふじ林檎 オレンジ 相互作用記載要領 10%以下 レタス 胡瓜 カリフラワー 小松菜 牛蒡 生姜 茄子 白菜 蓮根 キャベツ チェリー 蜜柑 枇杷 梨(幸水) 11 あじさい Vol.13,No1,2004 ♪♪♪♪♪まとめ♪♪♪♪♪ 高齢化社会を背景に、消費者の健康維持や医療 費の自己負担率の上昇を見込んだ病気の予防へ の関心が高まり、米国同様、わが国でも健康食品 商品の売り上げが増加の一途をたどっています。 健康食品には有効性が科学的に実証されていな いものや医薬品との相互作用を有するものなど、そ の使用においては十分な注意を要します。 サプリメントと医薬品との相互作用については、ま だまだ情報が不足しているため、エビデンスを捉え、 そのメカニズムを明らかにし、相互作用を回避する ためにどうしたらよかいを科学的にアプローチして いく必要があります。 薬と食べ物あるいは嗜好品などとの併用は、全て が悪いということではありませんが、組み合わせによ っては副作用がでたり効果が現れない場合があり ます。 病気の予防や治療のためには、食品と薬の組み 合わせの利点を活用していきたいものです。 <参考文献> 1)添付文書 2) 最新サプリメントガイド、日本評論社 3) 澤田.薬と食の相互作用 2 1.食・嗜好品が薬 を 毒 に す る a) 薬 と 低 塩 食; 医 薬 ジ ャ ー ナ 35:11.168,1999 4) 澤田ら.薬と食の相互作用 3 1.食・嗜好品が 薬を毒にする b)薬と果物ジュース+制酸剤;医 薬ジャーナ 35:11.168,1999 5) 澤田ら.薬と食の相互作用 4 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (1);医薬ジャーナ 36:1.178,2000 6) 澤田ら.薬と食の相互作用 5 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (2);医薬ジャーナ 36:2.192,2000 7) 澤田ら.薬と食の相互作用 6 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (3);医薬ジャーナ 36:3.189,2000 8) 澤田ら.薬と食の相互作用 7 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (4);医薬ジャーナ 36:4.142,2000 9) 澤田ら.薬と食の相互作用 8 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (5);医薬ジャーナ 36:5.139,2000 10) 澤田ら.薬と食の相互作用 9 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース 12 (6);医薬ジャーナ 36:6.176,2000 11) 澤田ら.薬と食の相互作用 10 1.食・嗜好品 が薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュー ス(7);医薬ジャーナ 36:7.242,2000 12) 澤田ら.薬と食の相互作用 11 1.食・嗜好品 が薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュー ス(8);医薬ジャーナ 36:8.189,2000 13) 澤田ら.薬と食の相互作用 12 1.食・嗜好品 が薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュー ス(9);医薬ジャーナ 36:9.162,2000 14) 澤田ら.薬と食の相互作用 13 1.食・嗜好品 が薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュー ス(10);医薬ジャーナ 36:10.278,2000 15) 澤田ら.薬と食の相互作用 14 1.食・嗜好品 が薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュー ス(11);医薬ジャーナ 36:11.166,2000 16) 澤田ら.薬と食の相互作用 15 1.食・嗜好品 が薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュー ス(12);医薬ジャーナ 36:12.155,2000 17) 澤田ら.薬と食の相互作用 16 1.食・嗜好品 が薬を毒にする d)薬とお酒(1);医薬ジャーナ 37:1.200,2000 18)澤田ら.薬と食の相互作用 17 1.食・嗜好品が 薬を毒にする d) 薬とお酒(2);医薬ジャーナ 37:2.131,2001 19)澤田ら.薬と食の相互作用 18 1.食・嗜好品が 薬を毒にする e)薬の食後服用がもたらす副作 用;医薬ジャーナ 37:3.229,2001 20)澤田ら.薬と食の相互作用 19 1.食・嗜好品が 薬 を 毒 に す る f) 薬 と 牛 乳; 医 薬 ジ ャ ー ナ 37:4.172,2001 21)澤田ら.薬と食の相互作用 20 1.食・嗜好品が 薬 を 毒 に す る g) 薬とタバコ;医薬ジャーナ 37:5.135,2001 22)澤田ら.薬と食の相互作用 21 1.食・嗜好品が 薬 を 毒 に す る h) 薬とコーラ;医薬ジャーナ 37:6.209,2001 23)澤田ら.薬と食の相互作用 22 1.食・嗜好品が 薬を毒にする I)薬とコーヒー;医薬ジャーナ 37:7.190,2001 24)澤田ら.薬と食の相互作用 23 2.薬が食・嗜好 品 を 毒 に す る a) 薬とマグロ;医薬ジャーナ 37:8.177,2001 25)澤田ら.薬と食の相互作用 24 2 薬が.食・嗜好 品を毒にする b) 薬とチーズ;医薬ジャーナ 37:9.186,2001 26)澤田ら.薬と食の相互作用 25 2 薬が.食・嗜好 品を毒にする c)薬とコーヒー;医薬ジャーナ あじさい Vol.13,No.1,2004 37:10.278,2001 27)澤田ら.薬と食の相互作用 26 2 薬が.食・嗜好 品 を 毒 に す る d) 薬 と お 酒; 医 薬 ジャ ー ナ 37:11.171,2001 28)澤田ら.薬と食の相互作用 27 3 薬と.食・嗜好 品の作用が集積する a)薬とビタミン A;医薬ジャ ーナ 37:12.138,2001 29)澤田ら.薬と食の相互作用 28 3 薬と.食・嗜好 品の作用が集積する b)薬とセロリ;医薬ジャー ナ 38:1.174,2002 30)澤田ら.薬と食の相互作用 29 3 薬と.食・嗜好 品の作用が集積する c)薬とビタミン D 含有の 食・嗜好品・健康食品・栄養剤;医薬ジャーナ 38:2.150,2002 31)澤田ら.薬と食の相互作用 30 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (13);医薬ジャーナ 38:3.135,2002 32)澤田ら.薬と食の相互作用 31 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (14);医薬ジャーナ 38:4.155,2002 33)澤田ら.薬と食の相互作用 32 1.食・嗜好品が 薬を毒にする c)薬とグレープフルーツジュース (15);医薬ジャーナ 38:5.164,2002 34)澤田ら.薬と食の相互作用 33 3.薬と食・嗜好 品の作用が集積する d)薬とセントジョーンンズ ワート(1);医薬ジャーナ 38:6.117,2002 35)澤田ら.薬と食の相互作用 34 3.薬と食・嗜好 品の作用が集積する d)薬とセントジョーンンズ ワート(2);医薬ジャーナ 38:7.154,2002 36)澤田ら.薬と食の相互作用 35 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン a)薬とセントジョーンン ズワート(3);医薬ジャーナ 38:8.126,2002 37)澤田ら.薬と食の相互作用 36 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン a)薬とセントジョーンン ズワート(4);医薬ジャーナ 38:9.129,2002 38)澤田ら.薬と食の相互作用 37 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン a)薬とセントジョーンン ズワート(5);医薬ジャーナ 38:10.270,2002 39)澤田ら.薬と食の相互作用 38 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン b)薬とタバコ;医薬ジ ャーナ 38:11.146,2002 40)澤田ら.薬と食の相互作用 39 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン c)薬とビタミン B6 含有 の食・嗜好品・健康食品・栄養剤;医薬ジャーナ 38:12.182,2002 41)澤田ら.薬と食の相互作用 40 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン d)薬と葉酸含有の食・嗜 好 品 ・ 健 康 食 品 ・ 栄 養 剤; 医 薬 ジ ャ ー ナ 39:1.192,2003 42)澤田ら.薬と食の相互作用 41 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン a)薬と果物ジュ ース;医薬ジャーナ 39:2.153,2003 43)澤田ら.薬と食の相互作用 42 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン b)薬とカルシウム 含 有 健 康 食 品 な ど; 医 薬 ジ ャ ー ナ 39:3.125,2003 44)澤田ら.薬と食の相互作用 43 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン e)薬と炭火焼きビー フ;医薬ジャーナ 39:4.139,2003 45)澤田ら.薬と食の相互作用 44 1.薬の解毒促 進から薬理効果がダウン f)薬とガーリック・サプ リメント;医薬ジャーナ 39:5.168,2003 46)澤田ら.薬と食の相互作用 45 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン c)薬とお茶;医薬 ジャーナ 39:6.134,2003 47)澤田ら.薬と食の相互作用 46 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン d)薬と高蛋白食; 医薬ジャーナ 39:7.212,2003 48)澤田ら.薬と食の相互作用 47 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン e)薬とコーヒー、 コーラ;医薬ジャーナ 39:8.154,2003 49)澤田ら.薬と食の相互作用 48 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン f)薬と乳製品など (1);医薬ジャーナ 39:9.138,2003 50)澤田ら.薬と食の相互作用 49 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン f)薬と乳製品など (2);医薬ジャーナ 39:10.135,2003 51)澤田ら.薬と食の相互作用 50 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン f)薬と乳製品など (3);医薬ジャーナ 39:11.140,2003 52)澤田ら.薬と食の相互作用 51 2.薬の小腸吸 収低下から薬理効果がダウン f)薬と乳製品など (4);医薬ジャーナ 39:12.217,2003 53)澤田ら.薬と食の相互作用 52 1.食・嗜好品が 薬 を 毒 に す る j) 薬 と 塩; 医 薬 ジ ャ ー ナ 40:1.131,2004 54)本間ら.食品と医薬品のやくぶつ動態学的相 互作用;臨床と薬物治療 19:9.836,2000 55)安田.朝食を抜く人への指導;臨床と薬物治療 19:9.841,2000 56)鷲見ら.お酒をよく飲む人への指導;臨床と薬 物治療 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OTC 薬 と 食 品; 臨 床 と 薬 物 治 療 19:9.892,2000 68)徳山.サプリメントをめぐる現状;臨床と薬物治 療 21:7.711,2002 69)徳山.サプリメントアドバイスの必要性とアドバイ ザ リ ー ス タ ッ フ の 養 成; 臨 床 と 薬 物 治 療 21:8.859,2002 70)徳山.サプリメントの安全性と副作用;臨床と薬 物治療 21:8.915,2002 71)徳山.各種疾患に対するサプリメント使用の影 響と関連医薬品との相互作用ー高血圧を中心と してー(1);臨床と薬物治療 21:10.1006,2002 72)徳山.各種疾患に対するサプリメント使用の影 響と関連医薬品との相互作用ー糖尿病を中心と してー(2);臨床と薬物治療 21:10.1006,2002 73)徳山.各種疾患に対するサプリメント使用の影 響と関連医薬品との相互作用ー高脂血症を中 心 と し て ー (3) ; 臨 床 と 薬 物 治 療 21:10.1006,2002 74)徳山.各種疾患に対するサプリメント使用の影 響と関連医薬品との相互作用ー骨粗鬆症を中 心 と し て ー (4) ; 臨 床 と 薬 物 治 療 21:10.1006,2002 75)徳山.整腸作用に関連するサプリメント摂取時 の注意点と医薬品との相互作用;臨床と薬物治 療 22:2.146,2003 76)徳山.歯科疾患に関連するサプリメント摂取時 の注意点;臨床と薬物治療 22:5.480,2003 77)徳山.医薬品とサプリメントの相互作用ーリスク 回 避 に 向 け て ー; 臨 床 と 薬 物 治 療 22:6.600,2003 78)エーザイ株式会社.Warfarin の適正使用情報 第2版 79)澤田.薬物・食物(嗜好品)相互作用一覧表; 月刊薬事 42:4.815,2000 80) 古 泉.ミルク・アルカリ症候群;調剤と情報 6:8.22,2000 81) 梅 本 ら . 飲 食 物 − 薬 物 相 互 作 用 6; 薬 局 47:7.119,1996 82) 梅 本 ら . 飲 食 物 − 薬 物 相 互 作 用 7; 薬 局 47:8.121,1996 83) 梅 本 ら . 飲 食 物 − 薬 物 相 互 作 用 8; 薬 局 47:9.121,1996 84) 梅 本 ら . 飲 食 物 − 薬 物 相 互 作 用 9; 薬 局 47:12.117,1996 <編集後記> 最近、食品と医薬品の相互作用が色々報告さ れてきています。わが国においても、米国同様に サプリメントブームであり、ますます食品と医薬品 の相互作用は増えていくと考えられます。食品と 医薬品の相互作用については、科学的に実証さ れていないものが多いため、食品と薬の相性に ついてエビデンスを揃えていく必要があると思い ます。 次回のあじさいでは、サプリメントについて考えて みたいと思います。 先 生 方 の 参 考 資 料としていただければ幸いで す。 発行者:富田薬品(株) 医薬営業本部 池川登紀子 お問い合わせに関しては当社の社員又は、下記 までご連絡下さい。 TEL (096)373-1141 FAX (096)373-1132 E-mail t-ikegawa@tomita-pharma.co.jp 14
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