インターネット上でのコンテンツの流通

d70317
d70318
d70319
d70320
d70325
インターネット上でのコンテンツの流通
技術課題のブレークスルーにより、コンテンツの流通は円滑に進み、利用者が増
え、そのことにより配信側も増加する。
ということは、CM 効果も高まり、ギブアンドリターンがうまくいくので利益が増す
と考えられる。
つまり利用者、配信者の両方にとって有益であるといえる。
コンテンツの円滑化はさらなる利益、発信する情報量の増加をもたらすだろう。
ネット権について
コンテンツ企業の経営者や知的財産権法の学識経験者らで構成する「デジタル・コ
ンテンツ法有識者フォーラム」は 2008 年 3 月 17 日、インターネット上でコンテンツの
流通促進を図るための政策提言を行った。テレビ番組・映画・音楽の 3 分野につい
て、インターネットで配信するための諸権利を統合した「ネット権」の新設が柱。
これを放送局、映画会社、レコード会社などの各社へ与える代わりに、各社に対
し、コンテンツ流通により得た収入を適性に分配することを求めている。このほ
か、コンテンツの二次利用について、米国で導入されているフェアユース規定を日
本でも導入すべきとした。
現行の著作権法を基にテレビ番組や音楽をインターネットで流通させるには、す
べての著作者・著作隣接権者から二次利用の合意を取り付ける必要があり、流通を
阻害する要因として問題となっている。また、テレビ番組などに偶然映り込んだ一
般人の肖像権について、当人の承諾を得るのが困難といった問題もある。
こうした問題を解決するため、提言ではインターネット上の映像・音楽流通に対
象を絞った特別法の立法を提唱。「ネット権」と呼ぶ権利の創設を提案している。
ネット権を持つ者は、対象となるコンテンツをネット上で流通させるための複製、
譲渡といった利用を行う権利を専有し、他の者がそれらのコンテンツを二次利用す
る際、許諾するか否かを決める権利を与えるとした。
ネット権を付与する対象は、テレビ番組では放送局、映画では映画会社、音楽で
はレコード会社に限定。ネット権保有者は現行の著作権・著作隣接権に相当する権
利を専有できる代わりに、コンテンツ配信による収益から、個々のクリエイターに
適正な対価を配分する義務を負う。ネット権保有者以外の個々のクリエイターは、
d70317
d70318
d70319
d70320
d70325
現行の著作権・著作隣接権で認められている二次利用の許諾権を失う代わりに、現
行制度より報酬請求権が手厚く保護される。
次に電子書籍流通システム について述べる。
現在,印刷書籍市場と比較すれば,その市場規模は小さいものの,電子書籍も流通している.そ
の流通システムは『著者→出版社→電子書籍販売サイト→読者』となっている.“電子書籍”とは,
電子情報端末機での読書を前提とした,電子データを媒体とする書籍である.そして,この電子書
籍を取り扱っているWebサイトが“電子書籍販売サイト”である.
★ 電子書籍販売サイト
<手続きと機能の現状>
電子書籍を購入するには,まず名前,住所,電話番号,生年月日,メールアドレス,利用環境など
の個人情報を入力し,会員登録をする.その際,IDとパスワードが発行され,サイト側はそれらによ
って個人情報管理を行っている.
1
決済方法としては,クレジットカード決済とプロバイダー決済 が主流で,携帯電話の場合は通信料
に含ませる事が多い.クレジットカードの明細書には,販売サイト名のみが記され,商品名を非表
示にする事で,プライバシーの保護を図っている.
また,ダウンロードに失敗した場合には再ダウンロードが可能で,その有効期間は一週間程度であ
る.その際,電子書籍への課金は発生しないが,通信料は購入者の負担となる.特定ページ範囲
内の立ち読みも可能だが,用語集や実用書などに関しては,この限りではない.
<現時点での問題点>
購入するには個人情報を入力する必要があり,個人データの流出や盗聴の危険性がある.また,
決済方法にクレジットカードを用いると,カード番号を入力しなければならない.そのため,読者は
セキュリティに関しての不安を抱える事になる.
決済方法については,販売者側と購入者側の間にクレジットカード会社,プロバイダーなどの通信
事業者といった第三者の支払代替業者が介入するため,スムーズな決済方法とは言い難い.これ
は,現段階ではWeb上の取引において,直接交換可能な貨幣価値を有するものが存在しないた
めに生じる.
また,ファイル形式については,読書専用端末機ではなく,電子情報端末機を利用しているため,
その機 器やその中の機種によって,対応するソフトウエアが異なる.それゆえ,多様なファイル形
式が存在し,それぞれに対応するソフトウエアが必要となる.
電子書籍の発刊点数も問題である.現在,電子書籍の多くは新刊である.新刊については,印刷
書籍を作るとともに電子書籍として商品化する事も可能である.しかし,過去の作品は印刷書籍で
あり,莫大な数の書籍が存在するため,容易に電子化が進まない.出版社において,新刊とともに
過去の作品の電子化を進める動きもあるが,まだまだ電子書籍としての発刊数は少ない.つまり,
ある作品が欲しいが,電子書籍化されていないために入手できないという状況が起きている.
新オンライン流通システム
d70317
d70318
d70319
d70320
d70325
本研究が提案する流通システムは『著者→電子書籍販売サイト→読者』という流れで,書籍の執筆
から販売までのすべてのやりとりを,ネットワークを介して行うものである.なお,このシステムでは電
子マネーの普及と不正コピー防止可能な電子書籍ファイル形式の規格統一が成されている事を
前提とする.
★新流通システムにおける出版と読書
流著者は,まず販売サイトの作品登録ページに個人情報を記入する.さらに,簡単な内容紹介文
や出版時の名前などの出版情報を決定し,原稿を電子データの形態で送信する.その際,販売サ
イトに登録料として,電子書籍としての商品化やWeb空間の提供,著作権管理における費用を徴
収する.登録料に関しては,作品のデータサイズで格差を設ける事により,作品掲載管理費用と見
合う料金を徴収する.また,一年ごとに登録更新を行い,登録取り消しを申請しない場合に限り自
動的に更新する.その際の更新料をサイトの維持管理費に充てる。
参考URL:http://www.jc.u-aizu.ac.jp/11/141/thesis/msy2003/06.pdf
映像提供についての課題に対する技術(NTT の例)
インターネット上の映像提供については、これまで配信する側から利用者に向けた一方
向的な提供形態が中心となっていた。NTT では、利用者がインタラクティブに映像を操作
して利用することができるコンテンツ(インタラクティブコンテンツ)の利用技術の開発
を進めてきた。
従来、画像の中でこのような動作をさせるには、CG で動画を作成するしかなく、多くの
時間と高い制作コストがかかった。しかし、「サイバーコースター」(ビデオ映像の画面内
に見えないスライダを埋め込むことにより、利用者が興味をもったオブジェクトを、あた
かも直接動かすような感覚で操作できる技術)では、ビデオ映像を使用して利用者がイン
タラクティブに操作可能な映像を簡単に作成するツールを開発し、Java が動作するブラウ
ザ上で利用可能とした。
また、デジタルコンテンツは複製しても劣化しないという特性を持っており、オリジナ
ルと同品質のコンテンツを誰でも利用することができるため、著作権の保護が問題になっ
ている。NTT では、
「電子透かし」技術を初め、著作権を保護するための各種技術の開発を
進めてきた。
コンテンツセキュリティを確保するために、NTT が開発した「電子透かし」技術を用い
ている。
「電子透かし」とは、オリジナルコンテンツに、人間に知覚できないように情報(透
かし情報)を埋め込む技術のことである。コンテンツ所有者は、この技術を使うことによ
り、コンテンツの帰属(著作権者や所有者)を明確にすると共にコンテンツの不正な利用
を抑止することができる。
また、コンテンツ ID が埋め込まれた映像にスクランブル処理をかけることで、サイバー
d70317
d70318
d70319
d70320
d70325
コースター以外のアプリケーションでの再生ができないようにしている。このようにして、
コンテンツの不正な二次利用を防いでいる。
http://www.ntt.co.jp/news/news00/0002/000214.html
検索エンジンと著作権問題
検索エンジンにおける著作物の利用行為については、以下の(ア)、
(イ)、
(ウ)及び(エ)
の観点から、権利制限を設ける必要がある。
まず、(ア)検索エンジンは、インターネット上に存在する著作物の所在情報を効率的に
提供することを可能とし、著作物の流通を促進する、いわば社会インフラ的な役割を果た
すものということができる。また、
(イ)検索エンジンにおける利用行為は、著作物の提示
や提供自体を目的としているものではなく、たいていの場合、著作権者の著作物利用市場
と衝突するものではない。したがって、これらの行為は、著作権者の利益に悪影響を及ぼ
さないことが通常であり、むしろ著作物を広く周知したい著作権者の利益ともなるもので
あり、著作物の流通促進に資することで、文化の発展に寄与するものであると考えられる。
そして、(ウ)インターネット上に存在する無数の著作物が検索対象となるため、検索エン
ジンサービス提供者が、著作権者から事前に利用許諾を得ることは事実上不可能であるこ
とから、権利制限を設ける必要性は高い。これらに加えて、(エ)実際上、インターネット
上に開設されたウェブサイトにアップロードされた著作物の(全てではないとしても)多
くについては、その著作権者は、検索対象となることを予見し、検索エンジンにおいて利
用されることを黙示的に許諾していると考えられる。
〈権利制限上の課題〉
権利制限の制度設計に当たっては、検索エンジンに期待される著作物の流通促進機能が
十分に確保されるよう留意しつつ、その一方で、検索エンジンにおける著作物の利用行為
に伴って権利者が受ける損害の程度と利益との比較衡量についても勘案する必要がある。
この場合、第一に、権利制限の対象範囲をどのように画定するのか、第二に、権利者の
保護のために、権利者がその著作物が検索対象として利用されることを拒否する旨の意思
を有している場合や、著作権者の許諾なくアップロードされた違法複製物が検索対象とな
ってしまった場合、さらには著作者人格権に関する問題にどのように対応するのかが論点
となる。
参考
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/07101103/003/005.htm