第1問 A《発音の判別》 問1 1 ② 《子音の判別》 “g”の発音に関する問題。各語の発音と意味は以下の通り。①illegal[ɪlíːɡl](違法の)② logical[lɑ́ ːdʒɪkl](論理的な)③tiger[táɪɡər](トラ)④vague[véɪɡ](ぼんやりした)。①,③, ④では下線部は[ɡ]と発音されるが②は[dʒ]と発音される。よって正解は②である。 問2 2 ④ 《母音の判別》 “ou”の発音に関する問題。各語の発音と意味は以下の通り。①bounded[báᴜndɪd](跳び は ね た ) ② founded[fáᴜndɪd] ( 設 立 さ れ た ) ③ surrounded[səráᴜndɪd] ( 囲 ま れ た ) ④ wounded[wúːndɪd](傷ついた)①②③の下線部は[aᴜ]と発音されるが④は[uː]と発音される。 よって正解は④である。 問3 3 ② 《母音の判別》 “ur”の発音に関する問題。各語の発音と意味は以下の通り。①church[tʃə́ ːrtʃ](教会)② curious[kjᴜ́ əriəs](好奇心の強い)③curtain[kə́ ːrtn](カーテン)④occur[əkə́ ːr](起こる)。 ①,③,④の下線部は[əːr]と発音されるが②は[ᴜər]と発音される。よって正解は②である。 B《アクセントの位置》 問1 4 ③ 《2音節の単語のアクセント》 各語のアクセントの位置と意味は次の通り。①civ-il [sɪ́vl](国内の;一般人の)② pur-chase[pə́ ːrtʃəs](~を購入する)③u-nite[ju ː náɪt](結合する) ④val-id[vǽlɪd](有効な; 合法的な)①,②,④は第1音節にアクセントがあるが,③は第2音節にアクセントがあ る。よって正解は③。 問2 5 ③ 《3音節の単語のアクセント》 各語のアクセントの位置と意味は次の通り。①a-ban-don[əbǽndən](~を見捨てる)② de-ci-sion[dɪsɪ́ʒən](決定)③pol-i-tics[pɑ́ ːlətɪks](政治)④po-ten-tial[pəténʃəl](可能な; 潜在的な)。①,②,④は第2音節にアクセントがあるが,③は第1音節にアクセントがあ る。よって正解は③。 問3 6 ④ 《3音節の単語のアクセント》 各 語 の ア ク セ ン ト の 位 置 と 意 味 は 次 の 通 り 。 ① char-i-ty[tʃérəti] ( 慈 善 ) ② con-ti-nent[kɑ́ ːntənənt] ( 大 陸 ) ③ dem-on-strate[démənstrèɪt] ( ~ を 論 証 す る ) ④ op-po-nent[əpóᴜnənt](対抗者)①,②,③は第1音節にアクセントがあるが,④は第2音 節にアクセントがある。よって正解は④。 問4 7 ① 《4音節の単語のアクセント》 各語のアクセントの位置と意味は次の通り。 ①ag-ri-cul-ture[ǽɡrɪkʌ̀ ltʃər](農業)② 。 dis-cov-er-y[dɪskʌ́ vəri](発見)③ma-te-ri-al[mətɪ́əriəl](物質)④phi-los-o-phy[fəlɑ́ ːsəfi](哲学) ②,③,④のアクセントは第2音節にあるが,①は第1音節にアクセントがある。よって 1 正解は①。 第2問 A《空所補充》 問1 8 ① 《過去形と過去完了形》 「私が駅のホームに着いた時すでに電車が到着していたので,寒い中待たずに済んだ。」 when I reached(私が着いた時)というのは過去の話で,その時にすでに電車が到着して いたという内容になるように選択肢を選ぶ。過去のある時点ですでに完了していた事柄を 表すには,過去完了形<had+過去分詞>を使う。よって①が正解。②は現在完了形であり ④は現在形であるので,問題文の when I reached や I didn’t have to と時制が一致しな い。③を入れると,「私が駅のホームに着いた時,電車が以前に到着した」となり,文章の 意味が通じなくなるので不適。 問2 9 ① 《譲歩を表す接続詞》 「東京は土地面積は比較的小さいが,非常に多くの人口を有する。」選択肢はいずれも‘逆 接’を表すが,② But(だが)は対立関係にある2つのものを結合する働きをするので, 文頭ではなく,節と節の間に入る。④ However(しかしながら)は副詞なので,2つの節 をつないで1つの文にすることはできない。③ Despite は前置詞で,despite +名詞の形 で「~にも関わらず」の意味を表すが,ここでは後に節が続いているので,不適。① Although は接続詞で,Although …,~ または,~ although … の形で「…だけれども~」という ‘譲歩’を表す。「土地面積は小さいけれども,人口は多い」という意味になるので,これ が正解。接続詞 Though も同じ使い方をする。 問3 10 ② 《過去分詞による名詞の修飾》 「バイリンガルの両親に育てられる子供たちは自然と2か国語を学ぶかもしれない。」S, V,O と,文を構成する要素はそろっているので,空所部分は Children を後ろから修飾 していると考えられる。選択肢がすべて bring up(~を育てる)というイディオムを使っ ていることと,すぐ後に by ~ parents(~な両親によって)とあることから,受動的な 意味を表す選択肢を選べばよいとわかる。①は現在分詞で,能動態で「育てている子供た ち」の意味合いになるので不適。また,bring up の目的語にあたるものも欠けているので 文法的にも不可。③の「育ててきた子供たち」は,①と同じ理由に加え,分詞になってい ない現在完了形なので,名詞を修飾することができないため,文法的にも不可。②の<名 詞+過去分詞による後置修飾>は「~された…」という受動的な意味を表すので,②が正 解。④を入れると,関係代名詞や接続詞もなく一文の中に were と learn の2つの述語動 詞が存在することになり,文法的におかしいため誤り。 問4 11 ④ 《either と neither の用法》 「私の姉は真面目な高校生ではなかったし,私もまたそうではなかった。」and でつなが っているので,前半と後半は‘順接’の関係である。前半が My sister was not ~ と否定 2 文なので,後半は「私もまた,そう(真面目な高校生)ではなかった」という内容になる と推測できる。either はそれだけだと否定の意味を伴わないため, 「…もまた~ない」を表 すには not を伴って I wasn’t either. の形にしなければならないので,①,②は誤り。 neither は否定文または否定の節の後で<neither +be 動詞+主語>の倒置の形をとって, 「…もまた~ない」の意味を表す。よって正解は④。③は語順が誤り。 ◆ either の用法 either は「どちらか;どちらも」という意味であり,neither はそのものに否定の意味を含 んでいて,「どちらも~ない」という意味である。例えば, 「どちらの少年も知らない。」と 書く場合,either を使えば,I don’t know either boy. となり,neither を使えば I know neither boy. となる。否定文に対して, ‘同意・補足’を表す場合,either は肯定文におけ る too のような使い方をする(例:He didn’t come either.(彼も来なかった。) )。 問5 12 ② 《類義語の語法》 「映画が始まる前に,携帯電話の電源が切られていることをご確認ください。 」 keep を使い「~を…の状態にして」の意味とする場合には,<keep+O+C(=過去分詞 など)>という形をとる。本問では is という動詞が入っていて switched off が C になら ないため①は不適。②は<make sure(that)SV>で「…であることを確認してください」 という意味になる。that は省略可能なので,本問では that が省略されており,これが正 解。③は never fail to do の形で「必ず…してください」という意味になるが,ここでは後 ろが不定詞ではないため不適。④ remind は「~に(…を)気づかせる〔思い出させる〕」 という意味で,文意が通るようにするには,直後に人を表す目的語と that 節が必要なので, 不適。 問6 13 ① 《類義語の比較》 「私たちは順調に進行することができたので,すでに予定よりも早く進んでいる。」 progress は「進歩;発展」の意味。good progress とあるので,何かが順調に進んだと読 み取れる。続く部分は so we are already ~「だから私たちはすでに~」と‘順接’の関 係でなので,順調にいくと予定と比べてどうなるかを考える。① ahead of ~ は「~より 先に;~の前に」という意味で ahead of schedule で「予定より早く」という意味になる ので,これが正しい。② apart from ~ は「~と離れて」 ,③ far from ~ は「~から遠 く離れて」,④ out of ~ は「~の外に;~から離れて〕」という意味で,いずれも「予定 から離れた」 ,「予定から外れた」といった意味合いになり,we made good progress とい う部分とかみ合わない文となってしまい不適。 問7 14 ① 《形容詞と副詞の区別》 「私のプレゼンテーションの後の彼らの友好的なコメントのおかげで,とても安心する ことができた。」 <thanks to ~>は「~のおかげで〔せいで〕」と,主節の出来事が起こった経緯を述べる のに使われる。ここでは「彼らの~なコメントのおかげで」という意味で,‘~’に当ては 3 まるものを選ぶ。① friendly は形容詞で「友好的な」,② nicely は副詞で「上手に;親切 に」,③ properly は副詞で「適切に;正確に」,④ warmly は副詞で「暖かく」という意 味である。意味だけを見るとすべての選択肢が I felt very relieved という文脈に合うよう な気がするかもしれないが,空所の場所に気を付けると their 14 comments と名詞 comments を修飾しているので,ここには副詞は入れない。よって正解は① 問8 15 ③ 《条件を表す接続詞》 「この必修科目を全部取らない限り,卒業できません。 」 ①を入れると If you’ve completed ~ you won’t be able to graduate.(もしこの必修科目を全部 取ったら,卒業できない。)となり意味が通らないので,不適。②の Unless は「~でない 限りは…」という意味で,これとセットになっている would を後半部分に入れると,Unless you’ve completed ~ you would be able to graduate. は「この必修科目を全部取らない限り, あなたは卒業できます。 」となり,これも前半と後半の内容が合わない。③の Until は「… するまでは」という意味で,won’t と一緒に入れると「この必修科目を全部取るまでは,卒 業できません。」となり意味が通る。④ While … は「…の間は」という意味なので時間の 幅がある場合に使われるため,’ve(=have)completed (現在完了形の‘完了’)のように 時間の幅のない1つの時点をともなって使うには適さない。以上より正解は③。 問9 16 ① 《use を用いた表現》 「木はかつて主燃料として使われていたが,最近では化石燃料が広く使われている。」 A に入るのは選択肢より used to か was used to である。used to は助動詞で,<S used to do>の形で「Sはかつて…したものだ」という意味で‘過去の習慣’を表す。また,was used to は2通りに解釈できる。1 つ目は,used を形容詞として<be used to 名詞相当語 句>の形で「…(すること)に慣れている」という解釈。2つ目は,<他動詞 use の受動 態+‘目的’を表す不定詞>の形で「…するために使われる」という解釈。この設問では, A のあとに be(=動詞の原形)が続くので,形式面だけではまだ判断がつかない。受動態 と捉えて文意を考えると,「木は主燃料として使われるために使われた」と意味が重複して しまうのでおかしい。A には used to が入り, 「かつては木が主燃料として使われていた」 という意味になる。次に後半部分だが,have been used(使われ続けてきた),are used(使 われている)から B に入るものを選ぶ。ここで but nowadays(しかし今日では)という, 過去からのつながりを含まない,明確に現在を表す表現が使われていることから,現在形 の are used が適している。have been used を使うと,「しかし今日,石油燃料が使われ 続けてきた」となり,意味が合わなくなってしまう。以上より正解は①。 問 10 17 ④ 《It is…for 人 to do 構文と It is…of 人 to do 構文の違い》 「とても思いやりがあることに,彼は毎日病院の祖母のところへ会いに来るのだ。」 空所 A に入る候補は He is と It is の2つ。He is を使う場合は,He is so considerate to do(…するとは彼は思いやりがある)の形をとるが,この問題では B のあとに to do で はなく him が続いているため文型が合わない。よってここは It is が入るとわかる。次に 4 B に入るものを選ぶが,<It is ~ for 人 to do>は,「…することは‘人’にとって~だ。」 という意味で,その行動が人にとってどのようなものかを表す。一方で<It is ~ of 人 to do>は「…するとは‘人’は~だ」と行動を通してそれを行う人に対する評価を表す。こ こでは毎日祖母に会いに来る〔彼〕について considerate(思いやりがある)と言っている ので,後者の文型をとる。よって④が正解である。 5 ◆ It is ~ for 人 to do / It is ~ of 人 to do It is のあとに入る形容詞の意味によって,人の前に置く前置詞が決まる。difficult や easy など,その行動がその人にとってどうであるかを表す形容詞を使うときには It is ~ for 人 to do となり,nice や rude など,ある行動に基づいて,その行動をしている人物の性 質についての評価を表している形容詞の場合は It is ~ of 人 to do の形をとる。 B《整序英作文》 問1 18 ⑤ 19 ① 《wonder if 構文》 ホテルのフロント係:おはようございます,ゴメス様。何かご入り用ですか? ゴメス夫人 :あのね,劇場への行き方を教えてくださらないかしら? 空所部分の直後に us(私たち)と how to get to ~(~への行き方)があるので,この 前に入るのは動詞 tell だとわかり,tell us how to get to ~(劇場への行き方を教える) というかたまりができる。また,選択肢の中に wondering と if があるので,丁寧な依頼 を表す< wonder if S V>の構文ができることに気づきたい。ここでは wondering と進行 形になっており,その前には be 動詞が必要なので we’re が入るとわかる。ここまでで,we’re wondering if と tell us how to get to … ?のかたまりができた。残る選択肢は could と you であるから,これらが if 節の中の主語,述語になる。以上より完成文は(Well,) we’re wondering if you could tell(us how to get to the theater.)(④-⑤-②-⑥-①-③)と なる。助動詞が過去形 could になっているのは,さらに控えめな気持ちを表しているため。 問2 20 ③ 21 ⑤ 《使役動詞 let の用法》 学生:すみません,来週のセミナーで何を議論するか知りたいのですが。 教授:まだ決めていないから,詳しいことはメールでお知らせします。 来週の授業内容を知りたい学生と教授の会話で,教授が「まだ決めていない」と話して おり,発言の最後にある email や選択肢にある send から,「メールで知らせる」という 旨の発言だと予測できる。let は使役動詞で,<let+人+動詞の原形>の形で,「人が…す ることを許可する」という意味になる。選択肢にある動詞の原形は send(送る)のみで, 何を送るかと言えば the details(詳細)である。send は<send + O₁(人)+ O₂(も の)>または<send + O₂(もの)to O₁(人)>の形で「O₁ に O₂ を送る」という意味 になるが,この問題では選択肢に to がないため前者の形をとると判断できる。教授(me) が学生(you)に詳細(the details)を送るので,語順は let me send you the details とな る。残る選択肢 by は‘手段’を表し,by email となる。 以上より完成文は(I haven’t decided yet, so)let me send you the details by(email.) (② -③-④-⑥-⑤-①)となる。 6 問3 記者 22 ④ 23 ⑥ 《動詞の区別》 :このような大きな会社の取締役になってから,あなたはどのように変わりました か。 社長 :私は自分の時間をより有効に管理することの必要性に気づくようになりました。 選択肢のうち動詞が4つもあるため,難しく見えてしまうかもしれないが,記者の How did you ~ ? の質問に対する答えなので,答えとなる文の述語は過去形だろうと予想できる。 過去形は came to のみなので,これが文全体の述語となる。次のヒントは the で,the が 一番最後の空所に入って,the my time となることは文法上あり得ないから,定冠詞 the が 付くのは選択肢の manage,need,realize のいずれかの前であるが,この中で the を伴って 名詞となれるのは need だけであり,the need to …(…する必要性)というまとまりを作る とわかる。また,社長の発言の最後に my time more effectively(自分の時間をより有効に) とあることから,manage(~を管理する)がこの直前にきて,the need to manage my time(自 分の時間を管理する必要性)となることが予測できる。残った realize(~に気づく)がこ れを目的語として,came to(…するようになった)の後に続き, 「自分の時間を管理する必 要性に気づくようになった」という文ができる。 以上より完成文は(I)came to realize the need to manage(my time more effectively.) (① -④-⑤-③-⑥-②)となる。 ◆単語の並べ換えの解法 並べ換え問題を解く際,与えられた単語から思いつくイディオムを考え始めて,そこを起 点に語順を決めていくことが多いかもしれないが,この問3のように動詞が多く,manage to,need to など複数のイディオムを作れる場合,そのイディオムの結び付きにしばられて, 文意の検討がしづらくなってしまうことがある。二者の対話での並べ換えにおいては,一 方の発言に対する応答を完成させるのだから,先の発言も含めて,内容面の精査が必要。 動詞の時制や代名詞の指している人(もの)から解答部分の主語・述語になる単語を探し てみたり,冠詞・定冠詞がどこに付くのかといったところから考えてみたりすると,意外 なヒントが見つかることがある。 C《対話完成》 問1 24 ②《allow と agree の用法》 マイカ:サマーキャンプの最後の夜にキャンプファイヤーをするのはどうかな? ナオミ:最近とても乾燥しているから,先生たちが火を焚くのを許可してくれるとは思え ないな。 キャンプファイヤーをしようというマイカの提案に対するナオミの発言で,空所の前に It’s been very dry recently, so …(最近とても乾燥している,だから…)と言っていること と選択肢から,「先生たちが許可しないだろう」という内容を言ったと予想できる。1つ目 と2つ目の2択については, (A)→(A) (I don’t think our teachers will allow ~)は「先 7 生たちが許可するとは思えない」,または(B)→(B) (I suppose our teachers won’t agree ~)は「先生たちは賛成しないと思う」の並びで意味が通る。次に3つ目の2択を見てみ よう。2つ目の選択肢(A)の allow は<allow 人 to do>の形をとって「‘人’が…する のを許可する」という意味になるから後に続くのは(B)で(A)→(A)→(B)が,意味合いも文 法も正しい並びとなる。一方2つ目の選択肢(B)の agree が人と動詞を伴って「(行動) に賛成する」という意味を表すには<agree with 人 about doing>または<agree +所有格 + doing>の形をとる必要があり,適する選択肢がないためこれは不適。よって正解は②。 25 問2 ②《比較級と最上級》 ジョージ:時々自分はそんなによいミュージシャンだと思えないんだ。 ロビン :まさか! 君ほど才能のある人はいないよ。 ジョージの発言を受けて,ロビンが Come on ! と言っていることから,ジョージを励ま そうとしていることがわかる。2つ目の2択から比較級または最上級を使った表現が予想 される。2つ目の2択で比較級(A)を使う場合,<No one is more … than ~>で「~ よりも…な人はいない」という意味になるから,No one is more talented than you.((A) →(A)→(B))の並びで,正しい文を作ることができる。次に最上級を使う場合だが,<You are the most ~ in …>という形で「あなたは…の中で一番~だ」という意味になるので一見 正しそうに見えるが,3つ目の2択で(A)in all the other people を選ぶと「すべての他 の人たちの中で」という意味になるためその中にジョージは含まれていないような表現と なり不適。 (A)→(A)→(B)の並びになるので,正解は②。 ◆ other の用法 other は形容詞として名詞を修飾する場合,無冠詞で用いられると不特定の「他の人〔もの〕」 を表し,定冠詞 the を付けると特定の人〔もの〕を表す。つまり,「他のすべての人〔も の〕」という意味になる。例として Do you have any other questions? と言えば「他のどん な質問でも」 ,と不特定に指しているが,The other hotels are full. と言えば「他のホテル はすべて」といった意味合いになる。 問3 26 ④《someone と anyone》 ポール:ねえヨウコ,僕がピアノについて息子に教えてあげられることは本当に何にもな いんだ。今やあの子は僕よりずっと上手に弾くんだよ。 ヨウコ:うーん,私たち,誰か他の人にあの子の指導を頼んだ方がいいわね。 1つ目の2択では,take も get も基本動詞で後に続く語句によって意味もさまざまなの で,この時点ではまだどちらとも決めかねる。2つ目の2択が「人」で,これが目的語に なるので,3つ目の2択では to に注目して,<get+‘人’+ to do>で「‘人’に…して もらう〔させる〕」という意味になるよう,1つ目では(A),3つ目では(B)をそれぞれ選 べばよいとわかる。take は SVOC の構文をとれないので,動詞の原形も不定詞もどちらも 目的語に続けられないため,不適。2つ目の2択について, (A)の anyone は不特定な人 をイメージしていて,肯定文では「(教えてくれる人なら)誰でも」という意味で, (B)の 8 someone は「(教えてくれる)誰か」という意味。父親がやってみて無理だったことを他の 誰かに依頼しようという流れなので,誰でもいいとは考えにくい。適しているのは someone である。よって(A)→(B)→(B)の並びになり,正解は④。 第3問 A《対話完成》 問1 スー 27 ④ 《展開の推測》 :ねえ,ピーターの誕生日がもうすぐね。サプライズパーティーの準備はすべて順 調なの? ポリー:うん,もうプレゼントも買って包んであるの。ほら,見て。 スー :彼が見ないように隠しておいた方がいいわよ。すぐにでも彼が入ってくるかもし れないから。 ポリー:わかった。パーティーまでしまっておくわね。 ①「彼はその包み紙の色は好きじゃないわ。 」 ②「何を買えばいいか全然思い浮かばないの。」 ③「彼が来たらあなたが買ったものを見せましょうよ。 」 ④「彼が見ないように隠しておいた方がいいわよ。」 始めのスーの発言にあるように,2人はピーターの誕生日ためのサプライズパーティー の話をしている。ポリーが Here, look. と言って誕生日プレゼントを見せた時のスーの発 言を選ぶが,サプライズパーティーであることと,後に続くスーの He might walk in at any moment. とそれに対するポリーの I’ll put it away until the party. から,2人がプレ ゼントをまだピーターに見せたくないと思っていることがわかる。よって答えは「彼が見 ないように隠しておいた方がいい」と言っている④である。スーの発言にある put ~ away は,「~を片付ける」という意味で使われる。③は逆の内容で「パーティーまでしまってお く」というポリーの発言に矛盾するので不適。①,②はありえそうな発言であるが,「彼が 入ってくるかもしれない」という内容につなげて使うには不適である。 問2 28 ② 《展開の推測》 ディエゴ:英語の宿題はやった? フレッド:あぁ! 難しかったよね。 完全に忘れていたよ。 ディエゴ:お昼の時間にできるよ。 フレッド:やってみる価値さえないよ。時間の無駄さ。 ディエゴ:諦めるなよ。英語の単位取らなきゃいけないんだろ? ①「僕は絶対できるよ。」 ②「時間の無駄だよ。 」 ③「君が何をできるのか見せてよ。」 ④「それを失敗したくないだろ。 」 9 ディエゴとフレッドが英語の宿題について話している。フレッドが忘れてしまった宿題 をディエゴが You can do it during lunch time.(お昼の時間にできるよ。)と言うのに対し て,フレッドが言った発言を選ぶ。直前にある There’s little point in …ing の point は 「効用;利益」という意味合いで,little は準否定語なので,「…しても意味がない」と訳 せるから,「やってみる価値さえないよ」と言っているのだとわかる。これと,直後のディ エゴの発言,Don’t give up. から,フレッドは課題をすることに対して消極的な発言を言っ たと予測できるから②が正解。①は積極的に課題をしようとしているので不適。③も直後 のディエゴの発言とかみ合わず,④についてはディエゴの立場に立った発言であり会話が かみ合わないので不適。 B《不要文削除》 問1 29 ①《文章の論理構成》 全訳:日本の学生は今,授業中に実践的な活動により多く取り組んでおり,事実を暗記す ることはあまりしていない。生徒たちは実際の体験を通して科学的原則を学ぶので ある。①彼らは世界中の他の学生たちよりも科学の分野で優秀である。②彼らは針 金,磁石,クリップといった日用品で,電気モーターを作る。③彼らは塩と氷で, アイスクリームを手作りする。④生徒たちは実践的なだけでなく,楽しくて教育的 なことから,この新しい学習スタイルを気に入っているという。この新しいやり方 が,生徒が科学に興味を持つ励みになってくれるだろうと期待されている。 1文目は日本の学生が engaging more in practical activities and less in memorization of facts(より多くの実践的な活動に取り組んでおり事実を暗記することは少なくなってい る)と述べており,2文目 learning scientific principles through actual experience はそ の中でも科学の原則について実際の体験を通して学んでいることが述べられている。下線 部②,③はこの実践的な科学の学習の具体例とわかるから,取り除く必要はない。④は実 践的な科学の学習についての生徒たちの感想であり,その後に続く It is hoped that … in science.(この新しいやり方が,生徒が科学に興味を持つ励みになってくれるだろうと期待 されている。 )に続く文として自然であるから取り除く必要はない。①のみが新しい学習ス タイルに関連する内容ではなく,日本の学生を世界中の他の学生と比較する内容を述べて おり,話題から外れているので,取り除くべきは①だとわかる。 問2 30 ② 《文章の論理構成》 全訳:科学で使われる方法である,試行錯誤は日常生活でも頻繁に見られる。それは人が 具合のよくない時に観察され得る。彼らはすでに以前使ったことのある治療のリス トを持っているかもしれない。彼らはまた,新しい治療を探して,医学書を調べた りインターネットで調べたりすることもできる。彼らはそれらの治療の中のどれか を使うと決めるかもしれない。①その治療法により状態が改善されなければ,彼ら は別の治療法を試す。②彼らはその治療法がいかに科学的であるかを心配する。こ 10 れはその手法が日常生活に採用されている一例である。③問題を解決する過程で, 科学者たちは複数のアイディアを思いつき,可能な1つの選択肢を使う。④そのア イディアが失敗したら,代替案を考えるのだ。こうして,科学と日常生活に使われ る方法にはいくつかの共通点がある。 1文目では,科学で使われる trial and error(試行錯誤)の方法が日常生活でも見られる と述べている。選択肢が始まる前の2文目から5文目は,その具体例として when people do not feel well(具合のよくない時)の treatment(治療)の話をしている。①はその具 体例の続きとして, 「もしもその治療法により状態が改善されなければ,別の方法を試す。」 と,正に試行錯誤のことを述べていて,かつ,その直前の They may decide to use any one of the treatments. という治療法を選ぶ話に続く文としても適している。それに続く②は, 「人々は治療法がいかに科学的であるかを心配する」という内容だが,直後の8文目 This is an example ~ in everyday life.(これはその手法が日常生活に採用されている一例であ る。)の「これ」とは1つの治療法が効かなかった場合に,他の治療を試すという①の内容 を指していることから,話の流れに関係のない②が間に入っているのは展開上,不自然で ある。。③については科学者が複数の選択肢を思いつき,その中の1つを試してみること, ④はそれが失敗したら他の方法を考えることが述べられており,これらは試行錯誤を説明 した内容に一致するもので,取り除く必要はない。②のみが trial and error に関係のない ことを述べているとわかるので,答えは②。 問3 31 ① 《文章の論理構成》 全訳:食べ物は私たちの胃袋を満たすだけではない ―― 私たちの心も満たしてくれるの だ。空腹でない時に気持ちを食べ物で満たそうとすることは,感情的摂食と呼ばれ ている。感情的空腹と身体的空腹の間には重大な違いがいくつかある。①感情的空 腹も身体的空腹も,どちらも食べ物で除去しようとできる空腹のサインである。② 感情的空腹は突然やってくるのに対して,身体的空腹は徐々に感じられる。③感情 的な空腹は食べたいものですぐに対処する必要があるように感じられるが,身体的 空腹は待つことができる。④感情的摂食は後で罪悪感が残るが,身体的空腹のため の食事はそうではない。感情的空腹は食べ物で完全に満たされることが不可能だ。 その時は食べることが心地よく感じるかもしれないが,空腹を引き起こした感情は とどまっている。 本文1,2文目は emotional eating というあまり耳慣れない単語について説明している 導入部分であり,3文目からは There are some significant differences between emotional hunger and physical hunger.(感情的空腹と身体的空腹の間には重大な違いがいくつかあ る。)と述べているように,その2つの違いについての説明が始まる。②,③,④はそれぞ れ,emotional eating と physical eating の違い,または emotional hunger と physical hunger の違いについて述べた文であるから,significant difference に矛盾しない内容で ある。ここで,①のみが2つに共通する事柄を述べていることがわかり, 「重大な違いがい 11 くつかある」という文とその違いを挙げた部分の間に入る文としては不自然であるから, 取り除くべきは①である。 C《意見の要約》 32 ④ 全訳: 教授:おはよう。みんな宿題を読んできただろうから,異文化間コミュニケーションにつ いての今日の授業を始めます。私からの最初の質問は「なぜ異文化間コミュニケーシ ョンを学ぶ必要があるのか」です。誰か答えたい人はいるかな? 学生1:はい,私が答えてみます。人は自分たちが物事を行う方法や世界を見る見方が「自 然」で「正しい」と思うことがあります。異なる方法で物事を行う誰かに出会った時 に,それを「変だ」または「間違っている」とみなしてしまいます。異文化間のコミ ュニケーションを知ることは,誤解が生じた時に,それを理解し対処する手助けとな ります。仕事や勉強,観光などの多くの理由で人々が海外に渡航している今日では, これは特に重要になってきていると考えます。他の国からの人々と出会う機会が大変 増えてきています。この接触の増加により,異なる文化圏から来る人々の間で問題が 発生する機会がより多くなっています。 教授:その通り。君が言ったように,異文化間のコミュニケーションを学ぶことは有益だ。 なぜなら 32 からです。 ① 「異文化への知識は人々が外国で学ぶことを促進する」 ② 「一部の生き方は他の生き方に比べてより正しいとみなされる」 ③ 「過去にはもっと多くの異文化間コミュニケーションの事例があった」 ④ 「私たちが文化的な誤解に,より簡単にそしてスムーズに対処できる」 空所前の教授の発言に,As you said, … とあるように,生徒が言った回答をまとめて言 い直している部分であり, 「異文化間コミュニケーションを学ぶことは有益だ。なぜなら…」 に続く部分を選ぶ。①について,5文目の発言で学生1は people travel overseas ~study or vacations. と述べているが,これは増えている海外渡航の理由として,study を挙げて いるだけで,異文化間コミュニケーションがそれを促進しているとは述べていない。よっ て①は誤り。②については,学生の発言の最初の方で,People may think ….(人は自分た ちが物事を行う方法や世界を見る見方が「自然」で「正しい」と思うことがあります。)と 述べているが,それが正しいとは言っていない。むしろ,第4文で Having an awareness of intercultural … can help us … and deal with misunderstandings when they arise. と 述べていることからもからわかるように,この学生は,そういった誤解は異文化間コミュ ニケーションを学ぶことで対処することができる,つまり対処すべき誤解である,と考え ている。よって②も誤り。③については5,6文目の発言 I think it is especially important … increased greatly. から,さまざまな理由で海外渡航が増え,異文化と接触する機会が 12 増えているのは最近のことだとわかるから,誤り。④は先述の4文目の発言に一致してい て正しい。 33 ④ 全訳: 教授:「文化」の概念に話を移そう。文化は常に私たちの周りにあるため,定義するのは難 しいということを知っておきなさい。だから,私たちは文化を特徴的な点から議論し ようと思う。だれか文化の特性の例を挙げてくれるかな? 学生2:私が興味深く感じた特性は,ある文化に属する人たちは同じ価値観,信条,行動 を持っているということです。価値観とは日本人の「もったいない」という概念のよ うに価値があると感じられている事柄を意味します。信条とは人々が真実であると信 じていてその範囲が多岐にわたっているものを指します。例えば,ある文化の人々は ある種の食べ物を受け入れがたいという心情を共有しています。行動とは人々の動き 方のことで,同じ文化に属する人々にはしばしば似た行動が見られます。 教授:よい説明ですね。要するに, 33 。 ① 「他の文化集団と同じ信条を持つことが重要である」 ② 「同じ文化集団の人々は普通違った行動をする」 ③ 「食べ物に対する態度が彼らがどの文化集団に属するのかを決定する」 ④ 「共有された行動が人を文化集団の一員にする」 教授は学生2の説明を a good explanation と評価しており,要するに,と言い換えて改 めて説明しているのだから,学生2の言った cultural characteristic の内容をまとめてい る選択肢を選べばよい。学生2の発言の1文目 The characteristic I found interesting is that … から,この that に続く部分 people belonging to a culture have the same values, beliefs, and behaviors.(ある文化に属する人たちは同じ価値観,信条,行動を持っている) ということがわかり,values と beliefs と behaviors がそれぞれどのようなことを指して いるのかを続けて説明しているので,①のように他の文化集団と同じ beliefs を持つことの よし悪しは発言していない。よって①は誤り。②の同じ文化集団の人々について,usually behave differently というのは people belonging to a culture have the same values, beliefs, and behaviors. と矛盾するので,誤り。選択肢③について,food の話は学生2の 発言の4文目で For example として挙げられている。学生2は同じ文化集団に属する人々 は might share beliefs about the kinds of foods that are unacceptable(受け入れられない 食べ物についての心情を共有することがある)と述べているのに対して,③では食べ物へ の姿勢が determine which cultures they are from(どの文化集団の人々なのかを決定す る)と述べている。食べ物の話は例として might(そういうこともある)と述べているだ けなので,すべての文化集団に当てはまるわけではなく,そのことで文化集団が「決定す る」と言い切ってはいない。よって③も誤り。④は学生2の発言の最後にある,people in the same culture can often be seen behaving similarly. と一致するし,同じ文化に属する人々 13 は同じ行動を共有する,という内容と一致することから,正しい。 34 ① 全訳: 学生3:質問してもいいですか? 教授:もちろん。 学生3:周りの人たちと,いつも違って見える人々についてはどうですか? 僕は時々友 達と同じように物事を行わないことがあります。もし,同じ行動をすることが同じ集 団の一員であることに必要ならば,それはつまり,同じでない人々はその文化集団の 一員でないということになりますか? 教授:よい質問ですね。それに答えるためには,個々の例よりも文化規範という点から考 える必要があります。 学生3:文化規範とは何ですか? 教授:文化規範とは文化集団に属する人々に共有される,行動の決まりや標準の行動のこ とです。 学生3:では,文化規範に従わない人々はどうなるのでしょうか。 教授:うーん,彼らはより小さな集団,つまり準・文化集団に属しているかもしれないが, その集団はなお,文化の一部であると考えられます。これは,彼らの行動がその特定 の文化で許容される範囲に入っている限り,言えることです。 学生3:では, 34 と考えれば正しいでしょうか。 ① 「文化は1つの大きな集団を作る複数の集団を含む」 ② 「違った行動をすることは集団の一員でいる上で許されない」 ③ 「文化規範に従う集団に属することが重要である」 ④ 「準・文化集団の数は制限されるべきである」 教授:そうですね。これで君の疑問が解決されたのならいいですが。よし,また別の文化 の特徴について話を移して考える準備ができたようですね。 学生3の質問は「周りと異なった行動をとる人々は同じ文化集団の一員と言えないのか」 で,それに対して教授は individual examples(個々の例)よりも cultural norms で考え るべきと答えている。cultural norm とはここでのポイントとなっている言葉で,教授の発 言から,文化集団の人々に共有される行動の規則や標準的な行動のことである。教授の4 つ目の発言 they may belong to ~ part of the culture と一致するので,①は正しそうで ある。また,学生3の4つ目の発言,cultural norms に従わない人々はどうなるか,とい う質問に対して,教授は as long as their actions are within the acceptable limits of behavior for that particular culture(彼らの行動がその特定の文化で受け入れられる範囲 に入っている限り(文化集団の一部と言える))と答えているから,②は誤り。③について, ここでは cultural norms に従わない人々がその文化集団に属すると言えるのかどうかを 客観的に考えている場面であり,cultural norms に従うことのよし悪しは話題になってい 14 ないから不適。④についても,sub-cultural group はそれに属する人々の行動が許容され る範囲に入っている限り,文化集団の一部とみなせる,と話していることから,数は制限 されていないので,誤り。本文に出てきた limit は許容される行動の限度のことで,数を 制限するという話は出てきていないので,同じ単語に飛びつかないよう気を付けよう。 注 ○intercultural「異文化間で起こる」 ○awareness「知ること」 ○concept「概念」 ○define「~を定義〔限定〕する」 ○norm「標準;基準;規範」 ○move on「 〔次の段階に〕移る」 第4問 A《グラフと説明文の読解》 全訳 アメリカの消費者は,特に 1990 年以降,量も種類も豊かになった新鮮な輸入果物の恩恵 を受けてきた。今日の食料品店の果物と野菜のコーナーは,一年中何ダースもの種類の生 の果物を並べていて,それらは国産の生の果物に加え,地球のあらゆる場所から来ている。 生の果物の輸入量の急速な増加は,アメリカの果物市場の多くの面に影響を与えてきて いる。例えば,オレンジはアメリカの主要な国内生産の果物であるが,アメリカの作物が 寒波に見舞われた際に時折起こる急激な増加も含めて,1990 年代からアメリカのオレンジ の輸入量は,着々と増加してきている。 アメリカの国内市場はさまざまな国と地域からオレンジの輸入を受けている。主要な供 給源の中で,メキシコは長年の産地である。しかしながら,アメリカの一年を通しての生 のオレンジへの強い需要のために,特に国産のネーブルオレンジが穫れない夏の数カ月, 南半球の国々も主要な輸出元となっている。オーストラリアはそのような国の最初の1つ であり,アメリカ政府からネーブルオレンジをアメリカに輸出する許可を得た 1990 年代初 めから輸出を始めた。1990 年代後半には南アフリカが続き,最も最近ではチリもそうであ る。 アメリカでは主に2種類のオレンジが生産されている。 「ネーブルオレンジ」と「バレン シアオレンジ」である。ネーブルオレンジは,ほとんど種がなく簡単に果肉をばらすこと ができ,水っぽくなく身が締まっているため,生で食べる最も一般的なオレンジである。 2010 年から 2012 年のアメリカの国内マーケットのオレンジのうちネーブルオレンジが占 める割合は 76%だった。対照的に,バレンシアオレンジは,皮が薄く,時たま種を含み, 水分が多く甘い果肉を持ち,同じ期間の割合は 24 パーセントだった。アメリカの生鮮市場 15 のオレンジの最大の供給元であるカリフォルニアは,生鮮市場における 87%のネーブルオ レンジと 81 パーセントを超えるバレンシアオレンジを生産している。 国内産のオレンジの主な収穫時期は 11 月から5月で,カリフォルニアのネーブルオレン ジが旬になる。しかし,6月から 10 月までの間,国内でのオレンジの生産と発送は著しく 減少する。以前,まだ生のオレンジの輸入量が国内使用量のわずかな割合しか占めていな かった頃,バレンシアオレンジはネーブルオレンジが旬でない時に人気の品種だった。と ころが,表2でわかるように,夏季には南半球の国々から輸入したネーブルオレンジがア メリカで優勢となってきている。 季節的な生産量の偏りから,メキシコのオレンジの大部分は,12 月から6月の,アメリ カ産の供給が比較的に多い時期に市場に届く。反対に,南半球の国々からの輸入品の旬は 主にアメリカ産の供給の比較的少ない 7 月から 10 月である。この傾向は他の多くの果物に 同じように見られる。 ≪表とグラフ省略≫ ◆ 各パラグラフの要旨 第1パラグラフ:アメリカには一年を通して,世界中から果物が輸入されている。 第2パラグラフ:アメリカのオレンジの輸入量は増加している。 第3パラグラフ:アメリカへオレンジを輸出している国々。 第4パラグラフ:ネーブルオレンジとバレンシアオレンジの特徴。 第5パラグラフ:アメリカのオレンジ生産量の季節的変化。 第6パラグラフ:メキシコと南半球の国々からアメリカへのオレンジの輸出時期の違い。 問1 35 ② 「図1において,(A) ,(B),(C) ,(D)は次のどれを表しているか。 」 ① 「(A)オーストラリア (B)チリ (C)メキシコ (D)南アフリカ」 ② 「(A)オーストラリア (B)メキシコ(C)南アフリカ ③ 「(A)南アフリカ (B)チリ ④ 「(A)南アフリカ (B)メキシコ(C)オーストラリア(D)チリ」 (D)チリ」 (C)オーストラリア(D)メキシコ」 図1はアメリカに輸入されているオレンジの総量と,それに占める輸出元の国別の量を 示している。輸出元の国については第3パラグラフで述べられていて,まずヒントとなる のは,2文目の Mexico is a longtime source. で,この文から一番長い輸出歴のある(B) がメキシコだろうと予測できる。3文目では,the Southern Hemisphere countries have also become major suppliers(南半球の国々も主要な供給源となってきた)と言っており, 4文目で Australia was the first such country, starting in the early 1990s とあることか ら,次に早く登場している(A)がオーストラリアである。5文目で Australia was followed by South Africa in the late 1990s, and most recently by Chile as well. とあることから南 16 アフリカが 1990 年代後半に,さらに最も最近,チリがアメリカへの輸出国となったことが わかるから, (C)が南アフリカで(D)がチリである。 問2 36 ① 「本文によればネーブルオレンジとバレンシアオレンジの違いの1つを正しく述べてい るのは次のどれか?」 ① 「ネーブルオレンジはバレンシアオレンジに比べてより少ない種を含む。」 ② 「ネーブルオレンジはバレンシアオレンジに比べてより多くの果汁を含む。」 ③ 「バレンシアオレンジは冬場にはネーブルオレンジよりも人気がある。」 ④ 「バレンシアオレンジはネーブルオレンジよりも生のまま食べるのに適している。」 ネーブルオレンジとバレンシアオレンジの特徴を述べているのは主に第4パラグラフで ある。第4パラグラフ2文目に Navel oranges ― virtually without seeds, とあり,4文 目に Valencia oranges ― with thin skins,containing occasional seeds とあることから, ネーブルオレンジはほとんど種がなく,バレンシアオレンジは時たま種を含む。つまり① は正しいとわかる。②は2文目に生のネーブルオレンジは firm rather than watery(水分 が多いというよりは身が締まっている)という表現があり,逆に4文目のバレンシアオレ ンジの説明に with juicy and sweet flesh とあるのでこれは逆であり,誤り。③は第5パ ラグラフ3文目後半に Valencia oranges were a popular variety when navel oranges were out of season. とあることから,正解と思ってしまうかもしれないが,バレンシアオ レンジが人気だったのはネーブルオレンジが旬でない時期の話であり,それは第5パラグ ラフ2文目から6月から 10 月のこととわかるので冬ではないし,さらに「ネーブルオレン ジよりも人気があった」とは書かれていないので,これは誤り。④については第4パラグ ラフ2文目に Navel oranges … are the most popular oranges for eating fresh. とある ことから誤りとわかる。 問3 37 ③ 「この文章の主な目的は何か?」 ① 「アメリカのオレンジ生産量の季節的変化を報告すること。」 ② 「ネーブルオレンジとバレンシアオレンジの違いを説明すること。」 ③ 「アメリカのオレンジの生産量と輸入量の関係を明らかにすること。 」 ④ 「アメリカで生産されるネーブルオレンジの品質を向上させること。 」 ①の account for は「~について説明する」の意味で,seasonal change in the US production は確かに第5パラグラフで説明されているし,②の navel orange と Valencia orange の違いも第4パラグラフにある。また,③も本文中でふれられているため,明らか な誤りを見つけられず,迷うかもしれないが, 「主な目的」なので,文章全体の流れを読み 取って,中心となっている話題を見つける。まず,第1パラグラフではアメリカで輸入果 物が増えていることを述べ,第2パラグラフではその中のオレンジに話をしぼって輸入量 の増加を説明している。第3パラグラフではアメリカにオレンジを輸出している国が増え 17 てきていること,第4パラグラフでは主な2種のオレンジの特徴,第5・第6パラグラフ ではアメリカ国内のオレンジが生産される時期と他の国から輸入される時期について述べ ている。以上より,本文を通して述べられているのはオレンジの生産量と輸入量の話であ るから,答えは③。①や②のように,本文の一部にすぎない内容は,話題の中心とは言え ない。 選択肢④は,アメリカのオレンジついて生産量や代表的な2種のオレンジの違いは述べら れているが,quality(品質)についてはふれていないので不適。 問4 38 ② 「どのトピックが一番,最終パラグラフの後に続きそうか?」 ① 「他の果物のアメリカから南半球への輸出量」 ② 「他の果物の輸入量の季節変化を表す統計」 ③ 「南半球からのネーブルオレンジの発送方法」 ④ 「アメリカとメキシコで栽培されている果物の種類」 第6パラグラフ1文目,2文目では Mexico’s oranges ((アメリカと同じ北半球にある) メキシコのオレンジ)はアメリカ国内の供給量の多い時期に届き,the season for imports from Southern Hemisphere countries(南半球からの輸入品の季節)はアメリカ国内の供 給量の比較的少ない時期である,ということが述べられている。そして,パラグラフの最 終文には This trend is similar to that seen with many other fruits as well.(この傾向は 他の多くの果物に見られる傾向とよく似ている。)と結んでいる。つまり第6パラグラフで は,オレンジを例にとって,北半球にあるアメリカへ果物を輸出する際に,同じく北半球 にあるメキシコからだと収穫時期が重なってしまい,南半球の国からだと,アメリカでの 供給の少ない時期に輸出品を届けることができると説明しているのだ。そして,この傾向 はオレンジにとどまらず他の果物でも同様であると述べているから,②が続くのが最も自 然であると言える。 注 ○dozens of ~「何ダースもの~」 ○occasional「時々の」 ○crop「作物」 ○supplier「供給国〔地〕 」 ○Southern Hemisphere「南半球」 ○virtually「実質的には;ほぼ」 ○account for ~「~を占める」 ○dominate ~「~で優位を占める」 B《ウェブサイトの読み取り》 18 全訳 オクタゴン美術館 OMA オクタゴン美術館(OMA)は絵画,彫刻,写真などの現代アートを主役とした展覧会やプ ログラムを提供しています。1972 年にオクタゴン財団により設立され,多くの常設展示作 品を有し,特別展やプロのアーティストや評論家による講習,児童向けの教室,専門家に よるツアーもご用意しています。 入場料:5 ドル/1人(6 歳以下の子供――無料) プログラム料金 短時間ツアー 大人(18 歳以上) 10 ドル 毎日2回 (90 分) 学生(7-17 歳) 8 ドル 午前9時と午後2時 子供(6 歳以下) 無料 広範囲ツアー 大人(18 歳以上) 20 ドル 火曜日と土曜日 (3時間) 学生(7-17 歳) 15 ドル 午前 10 時 子供(6 歳以下) 無料 絵画教室 大人(18 歳以上) 15 ドル 月曜日,午後7時 (90 分) 学生(7-17 歳) 8 ドル 水曜日,午後4時 子供(6 歳以下) 無料 水曜日,午前 10 時 写真講習会 大人(18 歳以上) 17 ドル 日曜日,午後7時 (2時間) 学生(7-17 歳) 12 ドル 日曜日,午前 10 時 補足: ―ツアー,教室,講習会の料金には入場料が含まれます。 ―ツアー,教室,講習会は1週間前までにこちらからお申し込みください。 ―隔週の土曜日 OMA ホールでゲストが大人の方向けに講演する「アートトーク」も行って います。ご予約や追加料金は必要ありません。今月のスケジュールはこちらから。 問1 39 ② 「19 歳の店員であるかず子は美術館の活動に参加したいが,週日の夜しか時間がない。 彼女が一番選びそうな活動はどれか?」 ① 「広範囲ツアー」 ② 「絵画教室」 ③ 「写真講習会」 ④ 「短時間ツアー」 まず,問題文の free という言葉がどこにかかるのか間違わないようにしよう。is only free というのは Kazuko に対する述語で,activity が無料ということを表しているわけで はない。Kazuko … is only free on weekday evenings. とあることと Kazuko の年齢から, 週日の夜に開講されている大人向けの活動を探せばよい。表より,Monday, 7pm に開講さ 19 れている Drawing class のみが当てはまる。よって,正解は②。 問2 40 ③ 「退職した夫婦とその6歳の孫が平日の午後に一緒に活動に参加したいと考えている。 彼らが一番選びそうな活動はどれか,また全部でいくらの費用を払うだろうか?」 ① 「広範囲ツアー 20 ドル」 ② 「広範囲ツアー 40 ドル」 ③ 「短時間ツアー 20 ドル」 ④ 「短時間ツアー 28 ドル」 ま ず , 夫 婦 と 孫 は weekday afternoon ( 平 日 の 午 後 ) に 活 動 に 参 加 し た い が , Comprehensive tour は Tuesday & Saturday 10am の開講なので,①,②は誤り。よっ て選んだのは Short tour だとわかる。retired couple(退職した夫婦)つまり Adult 2名 と 6-year-old grandchild つまり child 1名なので料金の合計は,表から 10 ドル×2+ Free=20 ドルである。よって,正解は③。 問3 41 ① 「このウェブサイトによれば次のどれが正しいか?」 ① 「『アートトーク』には事前予約が必要ない。」 ② 「広範囲ツアーは毎日開講されている。」 ③ 「入場料はツアーの費用に含まれていない。」 ④ 「アマチュアのアーティストによる講義も行われている。 」 選択肢①の advance は「前進」などを意味する名詞だが, 「前払い」という意味もあり, advance booking で「事前の予約」という意味になる。 “Art Talk”についてはウェブサイ ト一番下の Notes の3番目に No reservation or additional fee is required.(ご予約や追 加料金は必要ありません。)と書いてあるので,これは正しい。②は料金表より,Tuesday & Saturday に開講されており,毎日ではないので誤り。③は Notes の1番目に The fees for tours, classes, and workshops include the admission fee.(ツアー,教室,講習会の料金に は入場料を含みます。)とあることから誤り。④はウェブサイトの上部の文章の4~5行目 に (it) also offers special exhibits, lectures by professional artists and critics とあり,プ ロのアーティストや評論家による講義があるとは書かれているが,amateur artists(アマ チュアのアーティスト)についてはどこにもふれられていないから誤り。 注 ○contemporary art「現代美術」 ○establish ~「~を設立する」 ○permanent「永続する;常設の」 ○comprehensive「広範囲な;包括的な」 20 第5問 《文章読解》 全訳 「誰一人,僕が大した人物になるとは思っていなかったよ」台所に立って,賞を取った 4品料理のディナーをどうやってまとめあげるのか僕に見せながら,ジョンおじさんは言 った。僕はちょうど大学を卒業したばかりで,このディナーはおじさんから僕へのプレゼ ントだった。有名なシェフに自分のために料理をしてもらうのは最高の気分だった。それ に加えて,おじさんは全国放送のテレビ料理大会「ザ・ビッグ・タイム・クック・オフ」 に数日後に参加する予定だったので,僕は興奮していた。 ジョンおじさんが若かった頃,おじさんの家族は田舎に住んでいた。おじさんの母親は 地元の学校で教師をしていたが,ジョンおじさんが 10 歳になった時,年老いた母親を世話 するために,仕事をやめなければならなかった。その時までは,おじさんの父親は優しく て,ジョンおじさんと2人の妹たちと遊んでくれる時間もたくさんあった。だけど,請求 書がたまり続けるようになると,一家は困窮した。ジョンおじさんの父親はついに,遠く 離れた街で仕事をしなければならなくなり,週末にしか帰って来られなくなった。 忙しい仕事のスケジュールのせいで,だんだんと,ジョンおじさんの父親は家に帰って くる時はいつでも疲れて見えるようになった。正直に言えば,優しくてユーモアの溢れて いた人から,いつでも暗い雰囲気の人に変わってしまった。父親は家にいる時はただ休み たがった。父親は小さなことで,よくジョンおじさんを叱った。父親に受け入れてほしく て,ジョンおじさんは一生懸命頑張ったけれど,ちゃんとできたと感じられることは一度 もなかった。結局は父親を避けるようになってしまった。ショッピングモールで友達とぶ らぶらするようになり,時々授業をさぼった。少しずつ,ジョンおじさんの成績は悪くな った。両親と先生たちは彼の将来を心配していた。 ある日曜日の朝,ジョンおじさんの母親が自分の母親の世話をするために留守にしてい る間,父親はテレビのある部屋で居眠りをしていた。おじさんの妹たちがお腹が減ってし まったので,彼は妹たちのために何か料理し始めた。料理のやり方はよくわからなかった が,父親の手を煩わせたくなかった。 急に台所のドアが開いて,父親がそこに立っていた。「父さん,起こしちゃったならごめ ん。チェルシーとジェシカがお腹をすかせているから,卵を焼いてあげようと思って。」父 親は一瞬彼を深刻そうな顔で眺めた。 「卵だって? 今日みたいに素晴らしい日曜日の昼飯 に卵は似合わないだろう。裏庭で,ステーキを焼こう。」 「本当に? 疲れているでしょう。」 「いいんだ。俺は料理が好きなんだよ。学生時代にアルバイトでコックをしていたのを思 い出すんだ。うまいステーキの作り方を教えてやるよ。」 料理を始めた途端父親が生き生きしだしたことに,ジョンおじさんは驚いた。父親はジ ョンおじさんを脇に呼んで,科学のプロジェクトのように料理の何たるかを詳しく説明し た。「材料を正確に測って,どれが調和するか知らなきゃいかん。これをマスターしたら, 21 すごくたくさんの人たちを喜ばせることができるんだ。」ジョンおじさんは久しぶりに父親 を近くに感じることができた。その時から,ジョンおじさんは家で多くの時間を過ごすよ うになり,定期的に家族のために料理をし始め,その後大学では友達に料理をしてあげる ようになった。ジョンおじさんは料理をする時はいつも幸せを感じ,この幸福感は彼の人 生の他の部分にも溢れて行ったのだ。 ジョンおじさんは大学生の間ずっとレストランで働き続け,最後には有名なレストラン のシェフとなった。彼は仕事が大好きで,自分自身の特別な技術を磨くことに一生懸命だ った。ついに,ユニークなスタイルの食事を提供する自分のレストランを開くことができ た。いくつもの賞を取って,お金持ちや有名人に料理を出した。 それで大会のことに話が戻る。ジョンおじさんと私は彼が選ばれたことに興奮していた。 だけど,おじさんは台所で本当に感動的なことを教えてくれた。「あのな,マイク,」とお じさんは言った。「『ザ・ビッグタイム・クック・オフ』でテレビに出るのはすごくわくわ くするよ。でも一番幸せなのは,私にとって大切な人の1人であるお前とここに立って喋 っていることなんだ,お前と私の2人だけで。何年も前のある晴れた夏の日に,父が私に してくれたのとまさに同じだ。そしてそれが私の人生のすべてを変えたんだ。」 ◆ 話の流れ <現在の話> ・有名シェフである John おじさんが僕(Mike)に料理をしてくれている。 ・おじさんは数日後にテレビの料理大会番組に出ることになっている。 <回想>John おじさんが子供の頃の話 ・家族は困窮していて,都会に働きに出た父親は疲れて人が変わってしまった。 ・おじさんはそんな父親を避けるようになり,勉強への意欲も失った。 ・ある日父親が料理を教えてくれ,そのことがきっかけで親子の絆が戻った。 ・おじさんは料理する幸せを知り,その幸せが彼の人生を満たした。 <話が現在に戻る> ・おじさんは有名なシェフになった。 ・しかしおじさんが何より幸せなのは,自分にとって大切な人の1人である Mike と台所 で,かつての父と自分自身のように話をすることだと言った。 問1 42 ② 「話の初め,ジョンおじさんは 42 。」 ① 「ザ・ビッグタイム・クック・オフで料理をしているところである」 ② 「マイクのために特別な食事を作っているところである」 ③ 「大会のためにマイクを訓練しているところである」 ④ 「彼のレシピを改良しているところである」 第2パラグラフからはジョンおじさんが子供の頃の話なので,第1パラグラフでジョン 22 おじさんがしていることを選べばよい。第1パラグラフ1文目の as he stood in the kitchen, showing me how he put together an award-winning four-course dinner からジ ョンおじさんが料理をしているということがわかり,また2文目に this dinner was his gift to me とあることからその料理が語り手である青年(Mike)のためのものであるとわ かる。よって正解は②。①については,第1パラグラフ4文目に in a few days he was going to compete in The Big-Time Cook Off とあり,大会が開かれるのは数日後なので①は誤り。 また大会に出るのはジョンおじさんなので,③の「大会のためにマイクを訓練する」とい うのも不適。④についても,レシピを改良したという話は本文に出てこないので不適。 問2 43 ③ 「ジョンおじさんの父親は街で働き始めた,なぜなら 43 からだ。」 ① 「彼は田舎に住むことに疲れてしまった」 ② 「その方が家族と時間を過ごしやすい」 ③ 「一家が暮らすためにもっとお金が必要だった」 ④ 「ジョンおじさんの母親が病気になってしまった」 第2パラグラフの最終文に John’s father finally had to take a job in a city と書いてあ るので,その周りを読むとヒントが見つかる。直前の4文目 as bills kept piling up, the family got into trouble から,ジョンおじさんの一家がお金に困っていたという内容が読み 取れ,2文目にも His mother taught at a local school, but … she had to quit(ジョンお じさんの母親は地元の学校で教師をしていたが…やめなければならなくなった)とあるこ とから一家の収入が減ってしまったことが読み取れるので,③が正しそうである。また, おじさんの母親が仕事をやめた理由は to take care of her elderly mother で,母親自身が 病気になっているわけではないから④は誤り。①の he was tired だが,第3パラグラフの 1文目から,ジョンおじさんの父親が疲れていたのは遠い街で働き始めてからとわかるの で,街で仕事をするようになった理由としては不適。②の it was easier to spend time with his family はパラグラフの最後に he could only come home on the weekends((遠い街で 仕事をしなければならなかったため)週末しか帰って来られなかった)とあるので,不適。 問3 44 ② 「ジョンおじさんの両親と先生たちが彼の将来について心配したのはなぜか?」 ① 「彼は家でただ休みたがったから。 」 ② 「彼が勉強への興味を失ってしまったから。」 ③ 「彼が自分の父親を避けることをやめたから。 」 ④ 「彼がもはや優しくユーモア溢れる人ではなくなったから。」 第3パラグラフの最後に His parents and teachers were worried about his future. と まさに問題となっている部分がある。その直前には Little by little John’s grades got worse.(少しずつジョンおじさんの成績は下がった。)とあり,さらに前の7文目には, He began hanging out … sometimes skipping his classes.(彼はショッピングモールをぶ 23 らつくようになり,時々授業をさぼった)とある。これに一致しそうな選択肢は②である。 他の選択肢も見てみると,3文目に When he was home, he just wanted to rest. とある が , こ の he は John で は な く John’s father を 指 す か ら ① は 誤 り 。 第 6 文 に は Eventually, he started avoiding his father. とあるから stopped avoiding と書かれた③ も誤り。④については,2文目に he had changed from being good-humored to being in a bad mood all the time(彼は優しくてユーモアのあふれていた人から,いつでも暗い雰囲 気の人に変わってしまった)とあるが,この he も John ではなくて John’s father を指 すので,④も誤りとわかる。第3パラグラフによれば,優しかった父親が変わってしまい, ジョンおじさんは父親を避けるようになった,そして友達とショッピングモールをぶらつ いたり授業をさぼったりするようになって,成績が少しずつ落ちてしまった,ということ になる。よって,正解はやはり②である。 問4 45 ③ 「ジョンおじさんの人生を最も変えたものは何か?」 ① 「彼のお友達と賞をとった食事を食べること」 ② 「ザ・ビッグタイム・クック・オフのような料理大会に出ること」 ③ 「料理を通して,自分の父親との絆を作ること」 ④ 「マイクとキッチンで話をして過ごすこと」 第8パラグラフの最後のジョンおじさんの発言に And that made all the difference in my life. とある。この that は直前の1文の what my dad did for me one fine day in summer, so many years ago.(何年も前のある晴れた夏の日に,父が私にしてくれたこと) を指す。何をしてくれたのかは第5パラグラフ後半から第6パラグラフにある。第5パラ グラフの最後のジョンおじさんの父親の発言 I’ll show you how to prepare delicious steaks.(おいしいステーキの作り方を教えてやろう。)や第6パラグラフ2文目 He took John aside and explained to him in detail that cooking was, in a way, like a science project.(彼はジョンおじさんを脇に呼んで,科学の研究でもするかのように料理の何たる かを詳しく説明した。)から,父親はジョンおじさんに料理を教えたということがわかる。 また,第6パラグラフ5文目 John felt close to his father for the first time in a long time. (ジョンおじさんは久しぶりに父親を近くに感じることができた。)から,この出来事がジ ョンおじさんに避けていた父親との親しい関係を取り戻すきっかけとなったことがわかり, 第6パラグラフ最終文の John always felt happy when he cooked, and this happiness spilled over into other areas of his life. から,父親に教えてもらった料理をする喜びが彼 の人生の他の部分まで満たしていった(=人生を変えた) ,という内容が読み取れる。よっ て正解は③である。①,②について,友達に料理をしてあげるようになったのは第6パラ グラフ7文目の later for his friends at college からもわかるように大学に入った後の話で, この時はすでに料理をする喜びを知っていたし,賞をとったりテレビの料理大会に出ると いった内容もその後の話であるから,ジョンおじさんの人生を変えた出来事とは言えない 24 ので①,②は不適。④についても第8パラグラフ5文目で what makes me the happiest is to stand here with you,… and talk とあることから正解に思えるかもしれないが,なぜ, ジョンおじさんがマイクとキッチンに立って話をすることが一番幸せだと言っているかと いうと,それが自分の父親としたことと同じだからであり,そのことが自分の人生を変え たのだと言っているから,人生を変えたこととしては④は不適。 46 問5 ② 「ジョンおじさんが最も価値があると思っているのはどのようなことか?」 ① 「有名人のために個性的な4品料理を開発すること」 ② 「近しい人達と有意義な関係を持つこと」 ③ 「テレビの料理ショーで,人々を幸せにすること」 ④ 「自分のお店でたくさんの人々においしい料理を提供すること」 第 8 パ ラ グ ラ フ 4 ~ 5 文 目 の ジ ョ ン お じ さ ん の 発 言 I’m thrilled to be … The Big-Time Cook Off . But what makes me the happiest is … がヒントとなる。what makes me the happiest(私を一番幸せにすること)は to stand here with you, one of the people I care about, and talk(自分が大事に思っている人の一人であるマイクと,台所に いて喋っていること)だと言う。問4で見たように,料理をしながら語り合うという行動 はジョンおじさんにとって,自分の人生を変えるきっかけとなった父親との大切な思い出 と同じものであり,それを甥であるマイクとできたことが一番幸せだ,と言っているのだ。 つまりジョンおじさんが一番大切にしていることは,自分にとって大切な人たちと良い時 間を過ごすこととわかるから,正解は②である。①,③,④についてはジョンおじさんの 料理をする喜びに矛盾するものではないが,find most rewarding(最も価値があると思っ ている)に当てはまるものではないので,不適。 注 ○amount to ~「~に達する;~になる」 ○pile up「山積みになる」 ○gradually「だんだんと」 ○eventually「結局は」 ○hang out「ぶらつく」 ○ingredient「材料」 ○precisely「正確に」 第6問 全訳 ⑴ オペラは人間の声の最高レベルの表現を讃える芸術形式である。他のどの芸術も,特 に素晴らしい歌い手が演じた時のオペラのような興奮と感動は作り出さない。そういった 25 歌手は人間の声のために今までに作られた中で,最も素晴らしく最も難しい音楽の一部を 披露するべく鍛え上げられている。 ⑵ オペラは西洋の古典音楽の伝統の重要な役割を担っている。音楽,言葉,演技を使っ て劇的な物語を生き生きとしたものにする。オペラは 16 世紀の終わりにイタリアで生まれ, のちにヨーロッパ中で人気になった。長い間,オペラは世界中のさまざまな音楽や演劇の 発展に順応してきたし,そうし続ける。最近の数十年,現代の録画技術によって,もっと ずっと幅広い層の観客がオペラを観るようになった。一部の歌手はラジオやテレビ,映画 で演じたことによって有名人となった。 ⑶ しかしながら,最近,オペラは深刻な課題に直面している。それらの原因のいくつか は制御不能だ。オペラの差し迫った試練の1つは経済的なことである。現在の世界的な経 済の低迷は文化施設や芸術家にかけられるお金がより少ないということを意味している。 この資金不足が,オペラ歌手や他の芸術家を支援するのにいくら支払うべきか,という疑 問をより広く持ち上げる。社会は会社経営者が支払われる多額の給料やスポーツ選手が結 ぶ何百万ドルもの契約は受け入れているように見える。しかしオペラ歌手についてはどう だろうか? どういうわけか,芸術家は貧困に苦しんでこそ創造的でいられると思われて いるが,それは現実的ではない。もしオペラ歌手を含む芸術家たちが必要な支援を受けら れなければ,価値ある才能が衰えてしまうのだ。 ⑷ 資金の不足だけでなく,オペラの世界におけるお金の扱われ方もまた苦難をもたらし ている。主演歌手は普通,ショーを完結してから出演料を支払われる。彼らは大体,ショ ーが始まる前の何週間ものリハーサル期間は何も受け取らない。役作りのためにレッスン と練習会のための費用を払わなくてはいけない。もし病気になったり出演がキャンセルに なれば,出演料を失うことになる。この仕組みの不安定さがオペラの将来性に危険性を持 たせている。 ⑸ オペラが直面しているもう1つの問題は,大衆的な娯楽に影響された観客の要求にど う応えるかである。ポップ歌手はどう聞こえるかと同じくらい,どう見えるかという基準 で判断される。この大衆文化に影響された観客にむかって演じるオペラ歌手は,今や「歌 うモデル」であることを求められる。このような要求は非現実的で有害でさえあり得る。 オペラ歌手がもし痩せすぎてしまえば,マイクを使わずに大きな劇場やコンサートホール を満たす十分大きな声を出すことが絶対にできなくなってしまう。身体的な見た目を歌唱 力よりも重要視することで,観客は最高の状態の人間の声を楽しめなくなるかもしれない。 ⑹ オペラが抱える問題への簡単な解決策はなく,オペラの価値についてはたくさんの異 なる意見がある。しかしながら,毎年多くの若者が自身の才能をこの特別な芸術形式で花 開かせようと,夢と希望をもって音楽科に志願している。オペラがたくさんの障害を乗り 越え,新しい世代を魅了し続けるという事実は,オペラが十分価値があり,敬意を払われ る芸術形式であり続けることを証明しているのである。 26 ◆ 各段落の要旨 ⑴:オペラのすばらしさ。 ⑵:オペラの誕生から現在への変遷。 ⑶:オペラにおける資金不足の問題。 ⑷:オペラ歌手の給与体制の問題。 ⑸:観客層の広がりによる新たな問題。 ⑹:問題を抱えつつ人々を魅了し続けるオペラの魅力。 A《段落の内容理解》 問1 47 ① 《パラグラフの要約》 「パラグラフ(2)によれば,これらのうちどの主張が真実か?」 ① 「オペラは新しい状況に適応することで発展してきた。」 ② 「オペラのファンは有名人が演じていることに感謝している。」 ③ 「オペラ歌手はテレビや映画で歌うことを避ける。」 ④ 「オペラ歌手の人生はドラマチックである。」 パラグラフ(2)4文目に Over the years, it has responded to various musical and theatrical developments around the world and continues to do so.(長い間,オペラは世 界中の様々な音楽や演劇の発展に順応してきたし,そうし続ける。)とあるので,①が正し い。②についてはパラグラフ(2)の最後の一文 Some singers have become celebrities thanks to performing on radio, on television, and in the cinema.(ラジオやテレビや映画 の中で演じたおかげで一部のオペラ歌手は celebrities になった)と述べているので,thank celebrities(有名人に感謝している)というのは誤り。③について,同パラグラフ5文目で 最近の数十年でより多くの人々が録画技術(テレビや映画)を通してオペラにふれるよう になった,と言っていることからもわかるようにオペラ歌手はテレビや映画で歌うことを 避けているわけではないので③は誤り。④は同パラグラフ2文目 It (=opera)uses music, words, and actions to bring a dramatic story to life. と似ているが,これは「オペラは, 音楽,言葉,演技を使って劇的な物語を生き生きとしたものにする」という意味であり, オペラ歌手の人生がドラマチックであると言っているわけではないので,④も誤り。 問2 48 ③ 《疑問文の言い換え》 「パラグラフ(3)の,“But what about opera singers?” という質問の別の言い方はどれ か?」 ① 「オペラ歌手はどのように準備するか?」 ② 「我々はオペラ歌手をどのように使えばよいか?」 ③ 「オペラ歌手はどのくらいの財産を持っているのだろうか?」 ④ 「オペラ歌手はどのくらい支払うのだろうか?」 27 第3パラグラフは3文目に One current challenge to opera is economic.(オペラの直面 している問題の1つは経済的なことだ。)とあることからもわかるように,オペラにまつわ る金銭的な問題について述べている。下線部 But what about opera singers? はその直前 にある6文目の Society seems to accept the large salaries paid to business managers and the multi-million-dollar contracts given to sports athletes. を受けて,それと対比さ れている。会社経営者やスポーツ選手が多額の収入を得ているのに対して,「しかし,オペ ラ歌手はどうだろうか?」と言っているのだから,これはオペラ歌手の経済状況について 「どうだろうか?」と言っているのである。これに沿う選択肢は③である。worth は be worth … で,「…の財産を有している」という意味になるので,ここでは「オペラ歌手は どのくらい財産があるのだろうか?」という意味になる。よって,まったく異なる質問に なっている①,②は明らかに誤り。④も sums(金額)や pay(払う)というお金に関連 した単語が含まれているので迷うかもしれないが,4文目で,芸術家にかけられるお金が 少なくなっていると説明されていて,それを受けて5文目で,the broader question of how much should be paid to support opera singers and other aritists?(オペラ歌手や他の芸術 家を支援するのにいくら支払うべきか,というより広範な疑問)とあることから,「オペラ 歌手が払う金額」ではなく,「オペラ歌手が払われる金額」が問題となっているので,④は 不適。 問3 49 ①《主張の読み取り》 「パラグラフ(3),(4)によれば,どの主張が正しいか?」 ①「オペラ歌手は経済的に不安定である。」 ②「オペラ歌手はお金持ちにのみ参加してほしい。」 ③「オペラ歌手はショーの前に給与を支払われる。」 ④「オペラ歌手は貧しい方が良いパフォーマンスができる。」 パラグラフ(3)(4)はオペラ歌手の経済的な問題について述べられている。 まず,パラグラフ(3)8文目 Somehow, people have the idea that artists can be creative only if they suffer in poverty, but this is unrealistic(どういうわけか,芸術家は貧困に苦 しんでこそ創造的でいられると思われているが,それは現実的ではない)と否定している から,④は誤り。only if … は「…でさえあれば,」という限定的な仮定を表す。次にパラ グラフ(4)の2~3文目に,オペラ歌手に performance fee(出演料)が支払われるのはシ ョーが終了してから(once they complete a show)で,They typically receive nothing during the many weeks of rehearsal (何週間ものリハーサル期間には何も受け取らない(= つまり,収入がない))と書いてあるので③も誤り。さらに5文目には If they become ill or cancel their performance, they lose their performance fee.(もし病気になったり出演がキ ャンセルになったりすれば,出演料を失う。)とある。まとめると,オペラ歌手はショーが 終わるまでの間は何週間ものリハーサル期間を含めて収入がなく,もし病気などで出演が なくなれば,その出演料さえ得られなくなる,ということで,6文目でその状態を the 28 insecurity of this system(この仕組みの不安定さ)と述べている。this system とはオペ ラ歌手の給与の支払いの仕組みのことであり,それがオペラの未来に risk を与えていると いうのである。よって,①の「オペラ歌手は経済的に不安定である。 」が正しい。②につい て,オペラ歌手が参加者を選んでいるような記述はないので誤り。 問4 50 ③ 《筆者の意見の読み取り》 「パラグラフ(5)での筆者の意見を最もよく表しているのはどれか?」 ①「観客はオペラがどのように演じられるべきか一番よく知っている。」 ②「オペラがより楽しめるものになるために,マイクが使われるべきだ。」 ③「オペラ歌手の声は彼らの見た目よりも重視されるべきである。 」④「大衆文化はオ ペラに良い影響を与えてきた。」 パラグラフ(5)冒頭で Another problem faced by opera is how to meet the demands of audiences who are influenced by popular entertainment. とある「オペラが直面するもう 1つの問題」とは,「大衆娯楽(popular entertainment)から影響を受けた観客の要求に どう応えるかだ」という意味だが,それはどのよう要求だろうか。2文目にはポップ歌手 は are judged as much on the basis of how they look as(on the basis of) how they sound (彼ら(の声)がどう聞こえるかと同じくらい,彼らがどう見えるのかで判断される)と 述べており,3文目にも opera singers …are now expected to be “models who sing”. と 書いてある。要するに,大衆文化の影響を受けた観客を満足させるには,ポップ歌手と同 じく,見た目が良いという事が要求されるのだ。しかし筆者はこの要求が非現実的 (unrealistic)で,有害(possibly harmful)でさえあると言う(4文目)。さらに6文目 Emphasizing physical appearance over singing ability(身体的な見た目を歌唱力よりも重 要視すること)で観客が最高の状態の人の声を楽しめなくなるかもしれない,と述べてい る。miss out on ~ は「~(=よいチャンス)を逃す」という意味。イディオムの意味を 知らなくても,miss(逃す),out(外れる)という単語から意味を推測したい。以上から, 筆者は歌唱力よりも見た目が重視されることがオペラにとって良くないと考えていること がわかるから,正解は③。大衆文化やその影響を受けて見た目を重視する観客の考え方に 対して,筆者は反論をしているので,それらに肯定的な意見となっている①,④は誤り。 ②について,筆者は同パラグラフ5文目で,オペラ歌手が痩せすぎることにより,マイク なしでコンサートホールを満たすのに十分な声が出せなくなる,と危惧している。つまり 筆者はマイクなしで演じることに価値を感じていることがわかるので,これも誤り。 問5 51 ③ 《主題を捉える》 「この文章に最適なタイトルはどれか?」 ① 「オペラにおけるお金の稼ぎ方」 ② 「大衆文化の中のオペラ」 ③ 「オペラが直面している問題」 29 ④ 「オペラの歴史的背景」 まず選択肢①だが,パラグラフ(3)で(4)では shortage of money,management of money がオペラの直面する問題として述べられているが,how to make money(お金の稼ぎ方) に関する内容ではないので,誤り。選択肢②について,パラグラフ(5)では popular culture に影響を受けた観客の見た目に対する要求がオペラ歌手の直面するもう1つの問題として 挙げられているが,これはこのパラグラフのみで話されていることで,本文全体のタイト ルとしては不適。④について,context は「前後関係;状況;背景」といった意味があり, ここでは「オペラの歴史的背景」を表す。歴史的背景はパラグラフ(2)で述べられているだ けなので,全体のタイトルとしては不適。③については,オペラ歌手の直面している金銭 に関連した問題および,popular culture からの影響により外見を重視されてしまうという 問題の2つが本文で話題の中心として扱われているため,適切である。 B《段落の主旨理解》 52 ③ パラグラフ(2)は3文目 Opera started in Italy at the end of the 16th century(オペラは 16 世紀末に始まった)や4文目 Over the years, it has responded …(長年,オペラは… してきた),5文目 In recent decades, much wider audiences …(最近の数十年には,ず っと多くの観客が…)などの内容から,オペラの始まりから現在までの変遷を述べている とわかるので,③の「オペラの過去から現在」が正解。present は「贈り物」という意味で 使われる他に「現在;現在の」(目の前にある時間)や「出席している;居合わせる」(人 が目の前にいる)といった複数の意味を持つので覚えておきたい。 53 ① パラグラフ(3)は opera has been facing serious challenges(オペラは深刻な試練に直面 している)と始まり,その1つ目として economic(3文目)な問題を挙げている。The current world economic slowdown によって,文化設備や芸術家にかけられるお金が少なくなった (4文目)と述べているし,パラグラフの最後では If artists … valuable talent is wasted. と,支援が得られないこと(=貧困)によって芸術家が才能を衰えさせてしまうことへの 危機感が述べられているから,①の「世界経済のオペラへの影響」が当てはまる。 54 ④ パラグラフ(4)は冒頭で,the way money is managed in the opera world(オペラにおけ るお金の管理の仕方)が hardship(苦難)をもたらしていると始まって,その後に続く文 で,その管理の仕方の詳細が述べられている(問3の解説参照)。そしてパラグラフの最後 で,The insecurity of this system puts the future of opera at risk. とまとめている。以上 からパラグラフ(4)の内容をまとめると,④ Problems in money management(お金の管 理における問題)である。 55 ② パラグラフ(5)は Another problem faced by opera is … と始まり,話題が変わるのがわ 30 かる。オペラが直面するもう1つの問題とは,how to meet the demands of audiences(観 客の要求にいかに応えるか)であり,audience の説明として,who are influenced by popular entertainment(大衆的な娯楽に影響を受けている)とある。また,3文目にも opera singers, performing to audiences influenced by this popular culture, are now expected … とあり,popular culture〔popular entertainment〕から影響を受けた人たち の前で演じることでオペラ歌手が pop singers のように「どう聞こえるか」だけでなく「ど う見えるか」で判断されることになると述べている。パラグラフ後半部分はそのことによ って生じる悪影響を危惧している内容で,それについては問4の解説参照。以上より,パ ラグラフ(5)は「大衆文化がオペラに与える影響」を述べているので,正解は②。 注 ○compose ~「~を作曲する」 ○theatrical「劇場の;演劇の」 ○challenge「課題;難題」 ○typically「大体;概して」 ○insecurity「不安定」 ○emphasize ~「~を強調〔重要視〕する」 ○obstacle「障害」 31
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