2006 年度統計力学 II 宿題 4 (5 月 10 日出題、5 月 17 日提出) 解答 担当 吉森 明 [問題 1.](1) 状態密度 D(²) = D0 ²n (n > −1) のとき E と P V の関係を求 めなさい。 [訂正] D0 は、体積 V に比例するとして下さい。体積に依存しないと思わ れた方、申し分けありませんでした。 [解答] (1) ここでは、D(²) に内部状態の数 g を含める。つまり、教科書 P137 の (9.19) 式の gD(²) に D0 ²n を代入する。 Z ∞ PV = D0 ²n ln(1 + ze−β² )d² (1) kB T 0 n = 1/2 の時と同様、部分積分すると、n > −1 だから、 ¸∞ · n+1 ² P V = kB T D0 ln(1 + ze−β² ) n+1 0 Z ∞ n+1 z(−β)e−β² ² − kB T D0 d² (2) n + 1 1 + e−β² ) 0 [· · · ] は、² = 0 で、n > −1 だから 0、² → ∞ は、e−β² → 0 で 0 になる。 Z ∞ n+1 ² 1 P V = kB T D0 β d² (3) n + 1 z −1 eβ² + 1 0 β = 1/(kB T ) だから Z ∞ = D0 0 ²n+1 1 d² n + 1 z −1 eβ² + 1 x = β² に変数変換すると、 Z ∞ (kB T )n+1 xn+1 1 = D0 kB T dx n+1 z −1 ex + 1 0 Z (kB T )n+2 ∞ xn+1 = D0 dx n+1 z −1 ex + 1 0 1 (4) (5) (6) フェルミ-ディラック積分 (9.21) を使うと、 (kB T )n+2 = D0 Γ(n + 2)fn+2 (z) n+1 (7) 一方、P134 の (9.7) 式に gD(²) に D0 ²n を代入 Z ∞ ²D0 ²n E= d² eβ(²−µ) + 1 0 Z ∞ ²n+1 = D0 d² eβ(²−µ) + 1 0 (8) (9) P V と同じように x = β² に変数変換し、z = exp[βµ] すると、 Z ∞ = D0 0 (kB T )n+1 ²n+1 kB T dx ex z −1 + 1 (10) フェルミ-ディラック積分 (9.21) を使うと、 = D0 (kB T )n+2 Γ(n + 2)fn+2 (z) (11) = (n + 1)P V (12) [別解] フェルミ-ディラック積分を使わなくても、直接 (6) 式と (11) 式を比 べて、E = (n + 1)P V は導ける。 [問題 2.] 教科書 P144 演習問題 [5] (ただし、2 次元平面内の 1 辺 L の正方 形の中に閉じ込められているとする。A = L2 ) [解答] (1) から (3) までは、4 月 26 日出題の宿題 1 と同じだが、ここでは、 教科書の P220 の解答の方法で説明する。 P [考え方] D(²) は、そもそも教科書 P133 の (9.2) 式や (9.3) 式の k を、² の積分に置き換えたときに出てくるものだった。この因子が必要なのは、 横軸に ² をとったとき、固有状態が等間隔に並んでいないためだ。 P k を積分に直すのは、特に ² を積分変数にする必要はないので、ここ では、波数の積分を考える。波数空間では、固有状態は、2π/L の等間隔で 2 並んでいるので、単に X µ Z −→ g dk k L 2π ¶d (13) とすれば良い。ただし、d は空間の次元を表していて、2 次元だと d = 2 で、3 次元だと d = 3 になる。dk は、2 次元だと、dkx dky を、3 次元だと dkx dky dkz を表す。g は、内部自由度 (スピン) の縮退度を表す。 [解答](1) 教科書 P133 の (9.1) を波数空間の積分に直すと、d = 2、g = 2、 A = L2 なので、 Z A N = 2 dk f (²) (14) (2π)2 p ² は、² = h̄2 k 2 /2m で、波数の絶対値 k = kx2 + ky2 と結ばれている。積 分変数を kx , ky から、極座標 k, θ に変換すると、 Z ∞ Z 2π A N =2 kdk dθf (²) (15) (2π)2 0 0 f (²) は、θ に依らないから、 A N =2 (2π)2 Z ∞ kdk2πf (²) (16) 0 絶対零度のときは、k > kF で f (²) = 0、k < kF で f (²) = 1 だから、 Z kF A N = 4π kdk (17) (2π)2 0 A kF2 A 2 = 4π = 2π k (18) 2 (2π) 2 (2π)2 F p kF について解けば、kF = 2πN/A となり、²F も ²F = h̄2 kF2 /2m = h̄2 πN/Am。 (2) エネルギーは、教科書 P133 の (9.3) 式だから、 Z A ²f (²) (19) E = 2 dk (2π)2 3 N と同様に Z A E = 4π (2π)2 ∞ kdk²f (²) (20) 0 絶対零度で A E = 4π (2π)2 Z kF ²kdk (21) h̄2 k 2 A h̄2 kF4 kdk = 4π 2m (2π)2 2m 4 (22) 0 ² = h̄2 k 2 /2m を代入して A E = 4π (2π)2 Z kF 0 ²F = h̄2 kF2 /2m を使うと、 E = 4π A kF2 ² F (2π)2 4 (23) (1) の結果 N = 2πkF2 A/(2π)2 から、 N ²F 2 E= (24) (3) 教科書の解答は、Σ(²) を使っているが、ここでは、別解として、積分 変数の変換を使う。 話を一般的にするために、任意の ² の関数、F = F (²) を考える。この F (²) は、例えば、f (²) や ²f (²) などを表す。この F (²) を波数で積分す ると、 Z I=2 dk A F (²) (2π)2 (25) F (²) = f (²) のとき、I = N で、F (²) = ²f (²) ならば、I = E になる。問 題 (1) と (2) でやったのと同じように極座標に変換すると、 Z ∞ A I = 4π kdkF (²) (26) (2π)2 0 ここで、積分変数を ² に変換することを考える。 A I = 4π (2π)2 Z ∞ k(²) 0 4 dk d²F (²) d² (27) q k(²) = 2m²/h̄2 、dk/d² = √ √ 2m/(2h̄ ²) だから、 √ Z ∞r Z ∞ A 2m² 2m m A √ I = 4π d²F (²) = 4π d²F (²) (2π)2 0 (2π)2 0 h̄2 h̄2 2h̄ ² R I = D(²)F (²)d² だから、 D(²) = 4π A m Am = 2 (2π)2 h̄ πh̄2 (28) (29) [問題] 3 次元の場合にもこのような考えで状態密度が出せるかどうか、確 かめなさい。 残りの問題は、教科書の解答どおり ² 積分で考える。 (4) 教科書 P134 の (9.6) 式から、積分範囲を 3 つに分けて Z ∞ D(²)f (²)d² N= −∞ Z Am ∞ = f (²)d² πh̄2 0 ½Z µ−2kB T ¶ ¾ Z µ+2kB T µ 1 ²−µ Am d² + = − d² 2 4kB T πh̄2 µ−2kB T 0 ) ( · ¸ 2 µ+2kB T Am 1 (² − µ) = µ − 2k T + ² − B 2 8kB T µ−2kB T πh̄2 ¾ ½ Am 1 (2kB T )2 − (2kB T )2 = µ − 2kB T + × 4kB T − 2 8kB T πh̄2 Am = µ πh̄2 したがって、µ = ²F となる。 5 (30) (31) (32) (33) (34) (35) (5) エネルギーも同様に積分区間を分けて Z ∞ E= D(²)²f (²)d² −∞ Z Am ∞ = ²f (²)d² πh̄2 0 ½Z µ−2kB T ¶ ¾ Z µ+2kB T µ Am 1 ²−µ = ²d² + ² d² − 2 4kB T πh̄2 0 µ−2kB T ½Z µ−2kB T Am = ²d² πh̄2 0 ¶ ¾ µ Z µ+2kB T 1 ²−µ − d² + {(² − µ) + µ} 2 4kB T µ−2kB T δ² = ² − µ として、2 項目の積分を変数変換、 µ ¶ ¾ ½ Z 2kB T 1 δ² Am (µ − 2kB T )2 + (δ² + µ) − dδ² E= 2 2 4kB T πh̄2 −2kB T 2 項目の積分は奇関数は、0 だから、 ½ ¶ ¾ Z 2kB T µ Am (µ − 2kB T )2 µ δ²2 E= + − dδ² 2 2 4k T πh̄2 B −2kB T ( · ¸2kB T ) 3 2 µ Am (µ − 2kB T ) δ² = + 2 δ² − 2 2 12kB T 0 πh̄2 ½ ¾ Am (µ − 2kB T )2 (2kB T )3 = + µ(2kB T ) − 2 6kB T πh̄2 ½ 2 µ ¶ ¾ Am µ 4 = + 2 − (kB T )2 2 2 3 πh̄ ½ 2 ¾ Am µ 2 = + (kB T )2 2 2 3 πh̄ 6 (36) (37) (38) (39) (40) (41) (42) (43) (44) (45)
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