JGASにおける我が社の展示と 印刷技術の最新動向

巻 頭 企 画
JGASにおける我が社の展示と
印刷技術の最新動向
座談会:ジャグラ・カラー印刷技術委員会主催
先月号に引き続き、10 月上旬に東京ビッグサイトで開
催された国際総合印刷機材展 JGAS2013 の情報をお伝え
します。今回はジャグラ・カラー印刷技術委員会のメンバ
カラー PDF で
ご覧いただけます
JGAS2013 における
我が社の展示内容
ーであるメーカー各社のご担当をお呼びして、
『JGAS に
──ジャグラ・カラー印刷技術委
おける我が社の展示と印刷技術の最新動向』と題する座談
員長の大内です。本日は 10 月に開
会を開催しました。
催 さ れ た 印 刷 展 JGAS に つ い て、
●出席者(順不同・敬称略)
大内 靖
司
会
ジャグラ常任理事 / カラー印刷技術委員長
㈱グラフィカ大内
橋本 和彦
リョービ㈱
槇 秀孝
富
士フイルムグローバルグラフィックシステムズ㈱
技術二部
主任
平林 利文
大
日本スクリーン製造㈱
商品開発統括部
グローバルソリューション部 部長
吉川 武志
㈱
小森コーポレーション
DPS 事業本部 マーケティング部
部長
平田 素康
㈱小森コーポレーション
ソリューションビジネス推進部
営業技術課 専任課長
渡邊 健一
キヤノンマーケティングジャパン㈱
PPS 企画本部 プロダクションシステム商品企画部
プロダクションシステム企画第三課 チーフ
川﨑 哉
コニカミノルタビジネスソリューションズ㈱ PPG 事業統括部 PPG・CRD 事業推進部
エリア推進部 東日本エリア推進グループ 担当課長
グラフィックシステム本部 営業部 営業統括課
販売促進営業支援担当主任
各社の出展内容をご紹介いただく
と と も に、 昨 今 そ し て 今 後 の 印
刷技術の動向について整理してお
きたいと考え、各社にお集まりい
ただきました。先ず、自己紹介と
JGAS における展示内容をご説明願います。
■橋本 リョービの橋本です。弊社は 2 機種を展示しまし
た。1 つ は、A 全 の 8 色 機 RYOBI 928P ── LED-UV 乾
燥装置搭載のストレート反転兼用機で、ワンパスの両面速
乾印刷をデモしました。同機には、初披露となる新バージ
ョンの Smart-RPC =全自動同時刷版交換装置を搭載しま
した。旧バージョンでは 1 版づつ
廃版排版・給版を行っていました
が、新バージョンでは、後刷り・
先刷りの 4 版毎に交換できるよう
になり、準備時間の一層の短縮を
アピールしました。
も う 1 つ は 参 考 出 品 で す が、
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巻頭企画
JGASにおける我が社の展示と印刷技術の最新動向
A 全 8 色機 RYOBI 928P
B2 判液体トナー式デジタルオフセット印刷機 RYOBI DP760
Truepress Jet520ZZ
B2 判液体トナー方式デジタルオフセット印刷機 RYOBI
タルソリューションなどを、ワークフローでは XMF V5.5
ーサルワークフロー EQUIOS Ver2.03 やオンライン入稿 /
■吉川 小森コーポレーションの
DP760 ── こ れ は ミ ヤ コ シ さ ん と の 共 同 開 発 機 で す。
などを、ワイドフォーマットでは Acuity LED 1600 ──
校正 / 承認システム EQUIOS Online、クラウドによるバ
吉川です。
「KOMORI OnDemand」
Drupa 2012 ではミヤコシさんのブースでハイパイル仕様
ポスターやバナー、POP、バックリットなど、幅広い広
リアブルデータ制作システム・バリアブルフロントエンド
に つ い て 補 足 し ま す と、 こ れ は
を展示しましたが、今回はローパイル仕様で、リョービブ
告物を製作できる、ワイドフォーマット LED UV インク
サービスなどをご紹介しました。
ランドでの初披露となります。小ロットの連続印刷、カレ
ジェットプリンターなどを、CTP では現像廃液削減装置
※参考:同社HP http://www.screen.co.jp/ga_dtp/news/news/
ンダーのフルバリアブル印刷のデモをご覧いただきまし
XR-1200J、環境対応型サーマルプレートプロセサー XP-
た。
940R などを展示いたしました。
── DP760 のローパイル仕様という位置づけは?
※参考:同社HP
■橋本 より小ロットというか、実用的なサイズという位
http://ffgs.fujifilm.co.jp/
jgas2013_prnt_the_difference.html
ラベル向け UV インクジェット印刷機 Truepress Jet L350UV
「OffsetOnDemand」 と し て 2009
年にオフセット印刷機でどれだけ
オンデマンド性を高められるかと
いうことに挑戦したことに始り
■ 平 田 小 森 コ ー ポ レ ー シ ョ ン の 平 田 で す。 弊 社 は
「KOMORI OnDemand」をテーマに、2 つのソリューショ
ま す が、 昨 年 の drupa か ら、 デ
ジタル機での「Digital On Demand と併せて「KOMORI
ンのご紹介をいたしました。1 つは、お客様が直面してい
OnDemand」というコンセプトでご紹介しています。
■平林 大日本スクリーン製造の平林です。弊社は今回
る多品種・小ロット・短納期への解決策として、H-UV を
さて、今回のもう1つの目玉は 29 インチの枚葉 UV イ
「Pr!nt the Difference ~変わろう、印刷ビジネスのオンリ
搭載した A 全判 4 色オフセット枚葉印刷機 LITHRONE
ンクジェットプリンティングシステム Impremia IS29 の
ーワンへ~」を出展テーマとした製品の紹介を行いました。
A37 と フ ル カ ラ ー デ ジ タ ル プ リ ン テ ィ ン グ シ ス テ ム
技術展示です。コニカミノルタさんとの共同開発※で、搬
■槇 FFGS の槇です。弊社は 5 つのゾーンで、デジタ
JGAS 会場に全ての製品は展示できませんので、弊社の門
Impremia C80 の両機を使ったオンデマンド対応をご紹介
送系を弊社が、その他をコニカミノルタさんが担当してい
ルプレス、パッケージ、ワークフロー、ワイドフォーマッ
前仲町ショールーム「ホワイトカンバス」との2元中継で
しました。H-UV 機の特徴である速乾性を活かし、パンフ
ます。デモ内容としては、バリアブルで違うポスターを片
ト、CTP をご紹介させていただきました。デジタルプレ
デモを行い、興味を持たれたお客様をバスで門前仲町まで
レットを印刷直後に隣のホリゾンブースで製本加工、そ
面印刷、ボタンによる切り替えで4ページ / 4ページの文
スでは、JetPress720F(仮称)──紙器・パッケージ分野
ご案内するという工夫をしました。
の場で配布しました。また、弊社の CMS ソフト K-Color
字物の両面印刷、加えて来春リリース予定の K-STATION
に対応する Jet Press シリーズの新ラインアップ、富士ゼ
JGAS で の 展 示 は、 バ リ ア ブ ル 印 刷 ゾ ー ン で、
Simulator による、オフセット印刷とカラーマッチングさ
Ver.4 ──従来バージョンが持つ印刷群管理機能に、自動
置づけです。
※参考:同社HP
http://www.ryobi-group.co.jp/projects/printing/
ロックスの Color Inkjet ロール連
Truepress Jet520 シ リ ー ズ の フ
せた Impremia C80 の POD 印刷の
CMS、自動スケジューラー、ワークフローボトルネック
帳機と多彩な後加工機を組み合わ
ラ ッ グ シ ッ プ モ デ ル Truepress
デモを行いました。POD 機の付加
管理機能などを統合した印刷工程管理システムの紹介を行
せた一貫処理システムなどをデモ
Jet520ZZ を 国 内 初 出 展、 ラ ベ ル
価値を高めるラミネーターやカッ
いました。
しました。
印刷ゾーンでラベル向け UV イン
ティングプロッターなどフィニッ
※編集部注:同機のコニカミノルタにおける開発名称は KM-1
そ の 他、 パ ッ ケ ー ジ で は
ク ジ ェ ッ ト 印 刷 機 Truepress Jet
シャーも併せて展示し、幅広いビ
──オフセット機と POD 機とのカラーマッチングについ
GRANPACS(グランパックス)─
L350UV を 国 内 初 出 展、EQUIOS
ジネスモデルのサンプル紹介も行
て少し説明願えますか?
─フレキソ DLE を主体としたトー
ワークフローゾーンでは、ユニバ
いました。
■吉川 独自開発した K-Color Simulator という CMS ソ
JetPress720F(仮称)
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GRANPACS
Acuity LED 1600
XP-940R
A 全 4 色オフセット枚葉印刷機 LITHRONE A37
Impremia C80
Impremia IS29
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フトで行いますが、特定のカラーチャートをオフセット印
今回、オセ社の連帳プリンタを 3 機種展示しましたが、
が、プレート出力による印刷物のロットは年々小さくなっ
刷で刷り、それを色彩計でソフトに読み込んでプロファイ
2 機種が新製品です。カラーのインクジェットプリンタ
ていると良く耳にします。また、今回の JGAS での展示や
ルを作り、そのプロファイルを用いて、インクジェット校
Océ ColorStream 3000Z。モノクロのトナー式プリンタ
お客様の注目などを考えると、最終的には無版印刷になっ
正機や POD から出力するという手順です。オフセット印
Océ VarioStream 7170。その他、Océ JetStream3000。
てくるだろうと思います。やはり扱いが非常に簡単ですの
刷機のシミュレーションをプリンター側で行えるカラーマ
また、ワイドフォーマットの分野では、モノクロ&カラ
で、これまでプリプレスまでしか手掛けていなかったお客
ネージメントです。
ー対応高生産性大判プリントシステム Océ ColorWave900
様についても、デジタル印刷まで手を伸ばそうかなといっ
※参考:同社HP
と同 650 をサンプル展示しました。
た声も聞かれます。
http://www.komori.co.jp/hp/prod/lith_a/top.htm
■橋本 大ロットで品質の高いものについてはオフセット
※参考:同社オンデマンドプリンターHP
http://www.komori.co.jp/hp/prod/special/impremia.htm
http://cweb.canon.jp/ondemand-printer/index.html
http://www.komori.co.jp/hp/prod/donet/index.htm
B2 枚葉インクジェット印刷機 KM-1(開発名称)
印刷といった傾向は、これからも変わらないと思います。
一方、POD の良さは、損紙なしで小ロットに対応でき、
■渡邊 キヤノンマーケティングジャパンの渡邊です。弊
■川﨑 コニカミノルタビジネスソリューションズの川﨑
バリアブル印刷が行えることですが、この両方の良さを融
社は今回キヤノンブランドの製品を 8 機種展示しました。
です。今回、弊社は、「コニカミノルタのさらなる進化〜
合した形が、今回出展した DP760 のコンセプトとなって
うち 6 機種が新製品です。
デジタル印刷が可能とする印刷ビジネスの訴求〜」をコン
います。
カラーの枚葉機 imagePRESS C7011VPS は、オセ社の
セプトに各種展示を行いましたが、お客様にとってのメイ
同機はオフセット印刷の進化形と称しており、オフセッ
プリンターコントローラー「PRISMAsync」を搭載した
ンは、小森さんと共同開発した B2 枚葉インクジェット印
ト印刷機と同じシリンダー構成で、液体トナーを用いて印
モデルで、プリントジョブ管理の機能強化やオペレーター
刷機「KM-1(開発名称)
」だったようです。弊社では実機
刷する仕組みとなっていますので、デジタルではあるけれ
操作性を向上させるなど効率的なワークフローを提供しま
展示はせず、印刷サンプルの展示だけでしたが、小森さん
す。
のブースでのデモは黒山の人だかりで、お客様の興味のほ
ら刷版交換にかかる時間の短縮、資材コスト削減、納期短
モノクロの枚葉機は、オセ社のモノクロプロダクショ
どが伺えました。
縮が期待できますので、この手のデジタル機の普及によっ
ンプリンター Océ VarioPrint 6320 Ultra+ シリーズを展
また、来年 2 月に発売する bizhub PRESS C1070 も発
ラー機に、
モノクロページはモノクロ機に自動で振り分け、
て、お客様に提案する印刷物の内容も変わってくるのでは
示しました。オセ独自の「Gemini(ジェミニ)」テクノ
表しました。同機は、エンジンと用紙搬送経路を新設計し、
ページ丁合までを行い、印刷機の効率化とコストの削減を
ないでしょうか。
ロジーを搭載することで両面同時印刷を可能にし A4 両
メディア対応力とその生産性を強化したモデルで、デジタ
実現するソリューションです。
■渡邊 やはりオンデマンド性が求められるというか、在
面 毎 分 314 ペ ー ジ の 高 速 印 刷 を 実 現 し ま す。 同 シ リ ー
ルトナーや画像処理システムなど独自技術で刷新し、オフ
また、
「buzhub PRESS C7000」による、センター貼り
庫ゼロという方向に進むと考えています。自動販売機で飲
ズの特徴の1つに処理速度のアップグレードがありま
セット印刷に引けを取らない高画質を実現しています。位
封筒をはじめとした様々な封筒印刷や長尺印刷の印刷実
み物を買うように本が買えないか──しかも刷り置きした
す。 例 え ば エ ン ト リ ー モ デ ル の 処 理 枚 数 は 180 枚 / 分
置づけとしては従来機 bizhub PRESS C7000 と C8000 の
演、
「buzhub PRESS C70hc」の特性を生かした業界唯一
ものではなく、端末で欲しい本を選ぶと 1 ~ 2 分で印刷し
ですが、繁忙期だけアップグレードライセンスを購入
中間というモデルです。
のクラウド版フォトブックシステムについて、取り組み事
て出てくるようなものはできないかという話は社内で良く
し て 314 枚 / 分 に 処 理 速 度 を 上 げ る こ と が 可 能 で す。
その他、最上位モデルのデジタル印刷システム「bizhub
例やサンプルの紹介、インクジェットプルーフコントロー
出ますね。
そ の 他、 デ ザ イ ン 事 務 所 な
PRESS C8000」とモノクロデジタ
ラー「Falbard AQUA」の新たなラインアップとして、印
──印刷がプリクラみたいになるのですね?(笑)
どでのカンプ出力などに最適
ル 印 刷 シ ス テ ム「bizhub PRESS
刷本紙に直接印字できる大日精化工業社製・インクジェッ
■渡邊 まあ、お手軽になるというイメージですね。もち
な imagePRESS C1+II、
刷
1250」による大量カラー・モノク
トプリンタ「Proof Master」の展示、品質管理機能を強化
ろん手軽になっても品質は落としてはいけない。そこは技
サンプルだけの展示でしたが
ロ出力混在クラスタ印刷を提案し
した蛍光分光濃度計「FD-5/FD-7」なども展示しました。
術でカバーできると思っています。
DreamLabo5000 ──これは大型の
ました。カラークラスタ印刷とは、
※参考:同社HP
■槇 弊社は刷版を取り扱う中では、オフセット印刷が
ロールタイプのインクジェットプ
カラー・モノクロページ混在のジ
http://www.konicaminolta.jp/business/products/graphic/index.html
衰退しているという印象は今のところ感じられません。も
リンタです。
ョブにおいて、カラーページはカ
imagePRESS C7011VPS
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印
Océ ColorStream 3000Z
Océ VarioStream 7170
bizhub PRESS C1070
どオフセット印刷機という位置づけです。デジタルですか
ちろん、今後はデジタル分野が伸びると見越して JetPress
Océ ColorWave900
これからの印刷技術動向と
デジタルの位置付け
を出したわけですが、コスト的にオフセット印刷にはまだ
まだ追いついていない部分もあるので、部数やコンテンツ
を絞った分野で利用されていくのかなという印象です。
──お話を伺って、各社ともデジタル印刷にシフトしてい
個人的には今、
パッケージの商材を担当していますので、
る印象を持つわけですが、これからの印刷技術はどうなっ
その分野でお話しさせていただくと、例えば軟包装フィル
ていくと思いますか?
ム印刷について言えば、国内は 9 割方グラビア印刷、海外
■川﨑 オフセット印刷が今すぐ無くなるとは思いません
は 8 割方水性フレキソとなっています。環境面を考える
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JGASにおける我が社の展示と印刷技術の最新動向
と、今後は国内でも脱溶剤の方向に進むと思います、この
を切っています。小ロットのオフセット印刷は増えている
分野でのデジタル生産機は未だできていませんが、シール
のです。
分野などではデジタル印刷機が開発されてきたりしていま
先 ほ ど FFGS さ ん か ら 刷 版 の 売 上 げ は 減 っ て い な
すね。
い と い う お 話 が あ り ま し た が、 弊 社 が 提 案 し て い る
■平林 ご質問の「印刷の未来」ということで言えば、後
「OffsetOnDemand」など各社の努力により、小ロットの
加工機と上手く付き合わないといけないという思いを弊社
印刷物でもコストが合うようになって、その類の仕事が増
がデジタル印刷機を手掛けた頃から感じています。JGAS
えることにより版が増えているということだと思います。
での見せ方ひとつ取っても、各社ともホリゾンさんやデュ
だからデジタル印刷機はなかなかテイクオーバーできない
プロさんと連携してデモをしているケースも多いのです
でいますね。世界的にはまだまだオフセット印刷が主流の
が、お付き合いをすればするほど、工程によってお互いの
国が大部分で、バタバタとデジタルに変わることはないで
言語が違うと感じるのです。
しょう。変化はジワジワと進むわけです。
今回の JGAS で弊社は、大ロットの仕事が今後見込めな
── 10 年後には半分くらいデジタルに進みますか?
いならば、小ロットの仕事を束ね、まとめて印刷しましょ
■吉川 最近アメリカで「2050 年にはデジタルがオフセ
うというデモを行いました。枚葉のデジタル印刷機は、既
ットを上回るだろう」とある著名な教授が話しています。
設の後加工機をそのまま利用できますとセールスしていま
2050 年ですよ。
すが、これまでのオフセット印刷機と同じ仕事をこなして
■全員 2050 年!(笑い)
いくだけではコスト面でどうなんだろう? レーザーカッ
■吉川 デジタルの割合は全世界でまだ数パーセントです
ターやニス引きの後加工をインラインで付けたら付加価値
から、年率 40%で増えたとしてもなかなか増えない。2 桁
がつけられるかなど、社内でいろいろな可能性を議論して
に達した瞬間に一気に増えるのかなという感じですが、オ
います。
フセットの効率化も年々進みます。リョービさんが仰った
今回の JGAS に米 HP 社さんが Indigo 10000 を国内に
ように版交換の時間は年々短縮されますし、印刷会社や機
初めて持ってきましたが、この B2 の枚葉デジタル印刷機
資材メーカの努力による効率化も進んでいます。
の市場は、弊社の Truepress JET-SX も交えて確実に広が
デジタルはオフセットの進化に追いついていけるのか、
っていくだろうと思います。いずれにしましてもプレイヤ
今、悩んでいるところですね。粉体トナーの限界が議論さ
ーが増えて、各社、切磋琢磨しつつ市場が形成・成長して
れ始め、液体トナーとかインクジェットの道が模索されて
いければと期待しているところです。
いる。2016 年頃には EP(電子写真方式)をインクジェッ
■吉川 自分が大学生の頃、GATF(米国の印刷技術協会。
トが抜くのではという予測もされるなど、デジタルの中で
現在は PIA(米印刷工業会)に吸収)の報告書に、「21 世
も試行錯誤が続いています。数年間のうちに予想を超える
紀にはオフセット印刷は無くなる」といった類の記述があ
ようなブレークスルーがない限り、まだ当分の間、オフセ
りましたが、現在に至っても9割以上のプロフェッショナ
ット印刷はマジョリティの位置を占めるでしょう。
ル印刷物はオフセットなどのアナログ系印刷で、これを超
ただ、特定の分野──例えば、同人誌とかミニマムな領
える技術はなかなか出てきません。
域での仕事におけるデジタルの優位性はあるわけで、そち
デジタル印刷機はバーチャルな在庫倉庫だという言われ
らの方は特殊な印刷加工が無ければ 100%デジタルに移行
方をします。従来なら 5000 部刷って、500 部納品し 4500
するでしょうね。要するに、コストと生産性と売価のバラ
部は在庫としていた仕事を、デジタル印刷では 500 部、
ンスの問題ですから。
300 部と小出しに刷って納品している。持っているデータ
──お客様からいただける印刷料金が安くなり、必要な部
自体が在庫という考えですね。
数だけを刷る時代にあって、デジタル印刷機の技術動向は
しかしながら、現在では半栽のオフセット印刷機で 300
ジャグラにとっても注目すべきテーマです。これからも皆
部刷った場合、デジタル印刷機よりコストが安いケースだ
様方メーカー各社と情報交換しながら、その活用方法など
ってある。アメリカでは元々 1500 部とか 2500 部あたりが
を探っていきたいと考えていますので、よろしくお願いい
採算クロスポイントとされてきましたが、今では 1000 部
たします。本日はありがとうございました。
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