SPH だより 68 - 石川県教育センター

石川県立工業高等学校
第 68 号
2015. 11. 28
今年も残り1ヶ月少々となりました。日々の学習はどうですか?2学期末考査も始まります。学習した成果を
十分発揮して下さい。
11 月24日午後3時23分に三菱重工業と宇宙航空研究開発機構
(JAXA)が H2Aロケット29号機を、鹿児島県の種子島宇宙
センターから打ち上げ、成功したニュースが報じられています。商
業衛星だけを載せた純粋な商業打ち上げは日本で初めてです。今回
の打ち上げは、衛星が目指す軌道へより近く運ぶための技術改良が
加えられています。
H2Aロケットとは?
2段式で全長53メートル、重さ289トン。日本初の国産ロケットH2で培った技術をもとに宇宙開
発事業団(現JAXA)が開発し、2001年に1号機が打ち上げられました。2003 年に6号機で失敗
した以外は28号機まで成功しています。2007 年から打ち上げ事業は三菱重工業に移管されています。
◇日本の技術力でロケット改良、長時間飛行
今回の通信放送衛星のように赤道上空約3
万6000キロを周回する静止軌道に投入す
る静止衛星は需要が多いですが赤道から離れ
た種子島からの打ち上げは効率の悪い軌道に
しか衛星を送ることしかできませんでした。こ
のため、静止軌道に到達するまでに衛星の燃料
を消費し、寿命が短くなることが弱点でした。
三菱重工とJAXAは今回より遠くまで衛星
を運べるよう第2段ロケットの高度化を図り
ました。静止衛星「ひまわり8号」の打ち上げ
では約30分後に衛星を切り離したのですが、
今回は4時間半後という長時間飛行に挑んだ
のです。飛行中の燃料蒸発を減らすため、オレンジ色の燃料タンクの表面
は白い塗装に変更されました。
◇下町ロケット
日曜午後 9 時から MRO 放送で池井戸潤さんの「下町ロケット」がドラマ化されていま
す。以前、朝読書週間で山田校長先生がこの本を紹介されていました。国産旅客機「MRJ」
や「H2A」で日本の技術力、ものづくりのすばらしさが連日紹介されている中でのタイ
ムリーなドラマです。毎週欠かさずに見ています。
「下町ロケット」は宇宙開発の研究員だった主人公の佃航平が自身の開発したエンジン
を載せたロケットの打ち上げ失敗の責任を取らされ退職し、父親の遺した中小企業の「佃
製作所」を継ぎ大企業とのせめぎあいなど、いくつもの苦難に直面しながらもそれを乗り
越え、夢に向かって突き進むというストーリーです。
全校集会で山田校長先生が話されていたとおり、働くとは? ものづくりとは? 生活が大事? 夢が大事?
働く人であれば誰もが抱える答えの出ない葛藤を、ロケット開発事業という夢のある世界を背景に浮かび上がら
せながらドラマがすすんでいます。
(写真・資料:毎日新聞、産経新聞、JAXA)
ものづくり = 夢 = 探究心
ichiro-h@SPH 推進委員