ソフトウェアの品質と生産性を高める ALMソリューション

特集 「お客様の変革を実現するシステム開発」と
「技術のトレンドを先読みした先進サービス開発」を実践するNTTデータのR&D
ソフトウェアの品質と生産性を高める
ALM ソリューションセンタの取組み
ソフトウェアの開発から運用までを一元的に管理し、ソフトウェアの品質と生産性を向上させる ALM ソリューション。NTT デ
ータでは、「インシデント管理ソリューション」
、「開発試験クラウド」といった取組みを推進している。
システム開発・運用を一元管理
クラウド時代の開発環境を刷新
ム開発において、要
件定義から提供までに
主眼を置いていました
NTT データは、システムの開発
が、実際は運用保守の
から運用まで全工程を一元管理し、
部分が最も長く、これ
ソフトウェアの品質と生産性を高め
を含めたアプリケーシ
る ALM(Application Lifecycle
ョンのライフサイクル
Management)ソリューションに
を想定する必要があり
注力している。この取組みの拠点と
ます。クラウド時代で
㈱ NTT データ
技術開発本部
ALM ソリューションセンタ
㈱ NTT データ
技術開発本部
ALM ソリューションセンタ
なる ALM ソリューションセンタで
は、システムづくりか
センタ長 安達 定昌氏
課長 的場 聡弘氏
は、ソフトウェア開発の進捗品質管
ら「サービスを使う」局面に重心が
理を中心にしたツール群、構成管理、
移行することから、運用保守のフェ
インシデント管理、開発試験クラウ
ーズから次の課題を抽出する過程も
ドの4部門で新しい提案を重ねてい
重要となります。ALM はこうした
る(図1参照)。
視点からシステム開発を刷新する取
「従来、NTT データでは、システ
ンセンタ 的場聡弘課長)
システム活用を支援する
インシデント管理ソリューション
組みとして脚光を浴びています。」
プロジェクトローカル環境だけでなく、オフショアや
分散開発を想定したクラウド型サービスとしても提供
①
進捗・品質管理
進捗管理や品質管理、問題課題管理などの機能により
プロジェクト管理を強力にサポートします。
②
構成、問題課題管理
バージョン管理やコミュニケーション管理、自動ビルド
などを統合し、
システム開発をサポートします。
③
インシデント管理
安定的なサービス提供と継続的な業務改善を図る
ITIL準拠の標準手順とツールを一体で提供します。
④
開発試験クラウド
必要なときだけ利用するクラウド基盤上に開発試験を
円滑に実施可能な機能を提供します。
図 1 ALM ソリューションセンタのソリューション概要
NTT データの ALM ソリューショ
運用保守担当
進捗、品質、変更、インシデント管理等、計画から開発・
サービス提供までシステムライフサイクルの全フェーズを
統合管理するソリューションを提供します。
2
(技術開発本部 ALM ソリューショ
要望・要求
ユーザ
システム部門
開発者
全ての関係者
要望
問い合わせ
ナレッジ
開発者
要件定義書
要件定義
運用保守
設計
設計書
ソース
製造
テストコード
試験
リリース
ALMは、アプリケーションの開発者だけではなく、運用保守担当者、
システム部門、
エンドユーザなど、アプリケーションライフサイクルに関わる全ての人が関わる取り組み
図 2 ALM ソリューションセンタ概要
ビジネスコミュニケーション
2012 Vol.49 No.1
ンでまず注目されるのは、システム
の雛形となるテンプ
の活用面を支援する「インシデント
レートを提供する
管理ソリューション」である。
「試験環境提供サービ
「本ソリューションの特長は、IT
ス」を開始している。
サービスマネジメントの社内標準で
引き続き同社グルー
ある TERASOLUNA IT サービス管
プのソリューション
理手順に準拠していることや、現場
を検証・学習する
の状況に合わせて柔軟にカスタマイ
「モデル環境提供サー
ズ可能なことです。また、入力支援
ビス」も開始する予
機能によってオペレーターのインシ
定だ。
㈱ NTT データ
技術開発本部
ALM ソリューションセンタ
㈱ NTT データ
技術開発本部
ALM ソリューションセンタ
課長 西之上 実氏
課長 横山 和俊氏
デント入力時間を大幅に短縮でき、
サポート業務の効率化に寄与しま
す。」(技術開発本部 ALM ソリュー
ションセンタ横山和俊課長、西之上
実課長)
踏まえ、震災対応も考慮して、クラ
標準ツールをテンプレート化 VM
作成や保存も容易に
いる。
開発試験クラウドでまず特筆され
る点は、NTT データの標準ツール
をテンプレートとして用意している
開発環境をクラウドへ
プロジェクトを大幅高速化
ウド環境の一部を海外にも展開して
ことだ。
開発試験環境を
マレーシアに設置
NTT データはマレーシアの首都、
「システム開発に必要な環境が整
クアラルンプールの郊外に、ネット
一方、システム開発・試験の環境
っているため、ブラウザのバリエー
ワーク経由で利用する開発試験クラ
をクラウドで提供する「開発試験ク
ション試験や帳票作成なども容易に
ウド環境を新たに整備した。国内拠
ラウド」も先進的な取組みである。
実行できます。ユーザーが個別に
点からの利用に加え、ベトナムやイ
VM を作成し、スペックを増減させ
ンドのオフショア開発拠点からも利
開発プロジェクトごとにサーバやネ
ることも可能です。VM イメージを
用する計画であり、クラウド型の開
ットワーク機器などを用意する必要
保存しておけば、機能追加など新規
発を拡大し、開発効率化とシステム
がありません。また、システム開発
プロジェクトにもスムーズに移行
品質向上を狙っている。
に伴うサーバ調達や開発環境のばら
できます。」(技術開発本部 ALM ソ
つき、情報の分散といった問題も起
リューションセンタ安達 定昌セン
開発での利用を想定した高速回線を
こりません。このため、開発環境の
タ長)
利用する。今後、マレーシアとベト
「開発環境をクラウドに置けば、
東京とマレーシア間の通信には、
構築期間を短縮することが可能とな
開発試験クラウドによって、シス
り、開発環境の複製もしやすくなり
テム開発に伴うハードウェア更新や
ます。さらには、システムの品質向
試験環境数の増加、それらのメンテ
中国においては、NTT データの
上にもつながります。」(技術開発本
ナンスにかかるコストと時間を削減
グループ会社である無錫 NTT デー
部 ALM ソリューションセンタ 安達
できるメリットは大きい。開発拠点
タが、無錫市にクラウド型の開発環
定昌センタ長)
が分散したプロジェクトや、複数の
境を構築している。また、インドで
NTT データは、これまでに SaaS
拠点から同一環境を利用したいオフ
は、同じくグループ会社のバーテッ
型の課題・構成管理ソリューション
ショア開発、省電力が必要な開発に
クスソフトウェア社が同環境を構築
を提供する「開発環境提供サービス」
も好適である。
し、クラウド型の開発を進めている。
に加え、開発・試験用サーバと環境
ビジネスコミュニケーション
2012 Vol.49 No.1
ナム・インド間の回線も整備する計
画である。
NTT データはこうした分散化を
3