Cover Story 趣味の世界から飛び立つ 「ド ローンの1年になる」─。米 性を見いだす企業が出てきた。米 のものとするのがエレクトロニクス 国のあるベンチャー企業は、 Amazon.com社やドイツDHL社とい 技術だ。小型電動ヘリが多様なセン 2014年をこう表現する。 「ドローン」 った企業が配送への応用を検討し始 サーや信号処理機能を備え、周辺状 や「UAV(unmanned aerial vehicle) 」 めたり、セキュリティー会社や設備管 況を正しく認識しながら、必要なとき などと呼ばれる無人の飛行体の応用が 理会社が危険な場所や行きにくい場 に自動で飛行する─。こうしたロ 進むことへの期待を込めたものだ。 所へ派遣する応用を提案したりして ボット化が進んだとき、小型電動ヘリ ブームの中心にいるのは、複数の いる。橋梁や太陽電池の点検で実際 は趣味の世界から飛び出し、応用範 プロペラを備える小型の電動ヘリコ に電動ヘリを使い始めた例もある。 囲を一気に広げるはずだ。人の視界 プターだ。趣味や映像制作で広がり これらの用途の多くは、まだ絵に や人の運搬能力を拡張する、人にと 始めた小型電動ヘリに、新しい可能 描いた かもしれない。それを現実 って欠かせないパートナーになる。 米Amazon.com社 無人機による宅配サービス 「Prime Air」 Amazon.com 社の配送センターから荷物パックを 抱えた小型電動ヘリが飛び立ち、購入者の自宅前に 自動で届けるサービスの構想。同社が 2013 年12 月1日に、テスト飛行の動画とともに公表した。 「FAA(連邦航空局)が法規制を2015 年に整備する ことを期待している。その時点までには(サービス 開始の)準備ができているだろう」 (Amazon.com 社)と説明する。サービスの提供地域や配送距離、 運搬できる商品の重さなどは未公表。 (写真:Amazon.com 社) 30 NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.3 物 を 動 か す ドイツDefinetz / ドイツHeight-Tech社 AED 運搬システム 「Defi-Copter」 非営利団体のDefinetzと小型電動ヘリメー カーのHeight-Tech 社が共同開発した、緊急 時にAED(自動体外式除細動器)を自動で運 搬するシステム。通報した人の近くまで小型 電動ヘリが自動で飛行し、パラシュートを付 けたAED入りの箱を上空から落下させる。 2013 年 8月の発表会をゴルフ場で開催した ことからも分かるように、AEDの設置場所か ら離れた場所になるべく短時間で運搬可能な 手段として小型電動ヘリが選ばれた。 (写真: Height-Tech 社) 特集 無人ヘリ セコム 防犯用の自律型飛行監視ロボット 商業施設や工場、倉庫などの防犯に向けたロボ ット。敷地内への不審者の侵入などの異常があ ったときに、対象に近づいて撮影する。監視カ メラから離れた場所であっても証跡性が高い映 像を記録できる他、自動追跡機能によって逃走 の方向や手段を的確に捉えられる。ドイツAscending Technologies 社の小型電動ヘリに、 レーザーセンサーやカメラ、通信機器、コンピュ ーター、LED 照明装置などを搭載した。 機 能 を 動 か す フランスRenault 社 小型無人ヘリを格納可能な コンセプト車「Kwid」 2014 年 2月の「Delhi Auto Show 2014」で公 開した、新興国市場に向けた小型 SUV のコンセ プト車。ルーフの後部に、ローターが 4 基の小 型電動ヘリ「Flying Companion」を格納するス ペースがある。このFlying Companionを「交 通状況の偵察や、風景写真の撮影、道の前方に ある障害物の検知などに利用できる」 (Renault 社)とする。車内のダッシュボードに取り付け られたタブレット端末から指示を出したり操作 したりできる。 (写真:Renault 社) 米Massachusetts Institute of Technology, Senseable City Laboratory キャンパス案内ロボット「SkyCall」 MIT のSenseable City Laboratoryが開発している、 キャンパスの道案内を行うロボット。スマートフォンの アプリで訪問先を呼び出すと、スマートフォンから送信 した位置情報を基に小型電動ヘリが迎えに来て、ヘリが 目的地まで道案内してくれるという構想だ。都市部での 無人飛行体の有益な使い方を模索する一環として研究 している。 (写真:MIT Senseable City Lab) 徳島大学 三輪研究室 足場が悪い場所に使える「空中台車」 徳島大学の三輪昌史氏の研究グループが開発を進め ている、 車 がない台車。板状の筐体の上に荷物を載 せて、側面を軽く押しながら歩くと、人の歩行に合わ せて台車が浮かんだまま移動する形態を目指してい る。載せられる物の重さの制約やプロペラの回転音な どの課題はあるが、足場が悪い場所や段差が多い場所 でも軽快に使える利点がある。 (写真:徳島大学) NIKKEI ELECTRONICS 2014.3.3 31
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